シート処理装置
【課題】載置手段上に摩擦部材を設けた場合であっても、移送手段によるシートの移送を安定して行うことができるシート処理装置を提供する。
【解決手段】グリッパーユニットによりシート束を排紙方向の逆方向のステープル位置に移動させる際(移送動作)、ローラ状の摩擦ローラ150はシート束の移動に伴い回転(I方向)する。このように摩擦ローラ150が動作することにより、摩擦ローラ150が固定され動作しない場合に比べて、グリッパーユニットがシート束を移動させる際の搬送抵抗を軽減させることができ、シート束の移動を安定させることができる。
【解決手段】グリッパーユニットによりシート束を排紙方向の逆方向のステープル位置に移動させる際(移送動作)、ローラ状の摩擦ローラ150はシート束の移動に伴い回転(I方向)する。このように摩擦ローラ150が動作することにより、摩擦ローラ150が固定され動作しない場合に比べて、グリッパーユニットがシート束を移動させる際の搬送抵抗を軽減させることができ、シート束の移動を安定させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等に備えられ、画像形成部から搬出されたシートを整合するシート処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシート処理装置は、後処理を行うために、順次搬送されるシート一枚ずつ載置手段上でシートの排出方向の上流端を規制しシートの幅方向の整合を行うことでシート束を形成した後、そのシート束に綴じ処理を行っていた。このとき、シート処理装置がシートを整合処理している際、装置の振動等の影響により、既に整合されたのシート束が整合された位置からずれてしまう場合がある。このずれを抑えるため、載置手段の上面の一部分に摩擦部材を設け、シート束のずれを抑える方法が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、シート束を形成し、移送手段を用いてシート束を排出方向上流方向に移動させ、後処理位置に移動した後、後処理を行うシート処理装置が知られている。
【特許文献1】特開2006−103839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記移送手段を備えたシート処理装置の載置手段に摩擦部材を配置した場合、載置手段上の摩擦部材は移送手段によりシート束を移動させる際の抵抗となる。このような抵抗により、移送手段はシート束を移送する際、安定した移送ができなくなるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みて、載置手段上に摩擦部材を設けた場合であっても、移送手段によるシートの移送を安定して行うことができるシート処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、順次搬送されるシートが載置される載置手段と、前記載置手段に載置されたシートを搬送するシート搬送手段と、前記シート搬送手段により搬送されたシートの端部を規制して該シートを整合する規制手段と、前記シート搬送手段が前記規制手段に向けてシートを搬送する搬送方向に関して前記規制手段の上流に位置するとともに、前記載置手段に載置されたシートの下面に当接する、前記載置手段のシート載置面の摩擦係数よりも摩擦係数が高い摩擦部材と、前記規制手段により整合されたシートを前記搬送方向の下流に移送させる移送動作を行う移送手段と、前記整合動作及び前記移送動作の際、前記搬送方向と逆方向への前記摩擦部材の移動を規制し、前記搬送方向への移動を許容する規制部材と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明は、順次搬送されるシートが載置される載置手段と、前記載置手段に載置されたシートを搬送するシート搬送手段と、前記シート搬送手段により搬送されたシートの端部を規制して該シートを整合する規制手段と、前記シート搬送手段が前記規制手段に向けてシートを搬送する搬送方向に関して前記規制手段の上流に位置するとともに、前記載置手段に載置されたシートの下面に当接する、前記載置手段のシート載置面の摩擦係数よりも摩擦係数が高い摩擦部材と、前記規制手段により整合されたシートを前記搬送方向の下流に移送させる移送動作を行う移送手段と、を備え、前記整合動作の際にシートの下面が前記摩擦部材から受ける力よりも、前記移送動作の際に該シートの下面が前記摩擦部材から受ける力が小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のように、載置手段に載置され規制手段により整合されたシートを移送手段により搬送方向の下流に移送させる移送させる際、規制手段により整合された該シートの下面に当接する摩擦部材は、搬送方向の下流方向に移動する。これにより、載置手段上に摩擦部材を設けた場合であっても、移送手段によるシートの移送を安定して行うことができる。
【0009】
本発明のように、載置手段に載置され規制手段により整合されたシートを移送手段により搬送方向の下流に移送させる移送させる際、整合動作の際、シートの下面が摩擦部材から受ける力よりも、該シートが移送動作の際、該シートの下面が摩擦部材から受ける力が小さくすることにより、載置手段上に摩擦部材を設けた場合であっても、移送手段によるシートの移送を安定して行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<実施形態1>
本発明の実施形態1について、図1ないし図15を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について説明する。図1に示すように、本実施形態の画像形成装置500は、給紙装置A、画像形成部B、シート処理装置C、原稿読取装置D、原稿搬送装置Eで構成されている。なお、給紙装置A及び画像形成部Bにより画像形成装置本体500aを構成している。
【0011】
原稿搬送装置Eは、原稿トレイにセットされた原稿を1枚ずつ原稿読取装置Dのプラテンガラス上に搬送し、排紙トレイ上に搬出する。この時、画像読取装置Dは、原稿搬送装置Eによってプラテンガラス上を通過する原稿を不図示読取手段によって読み取る。読取手段は、それぞれ不図示のランプ、複数のミラー、レンズ、イメージセンサから構成されている。そして、読取手段のランプが照射した光が原稿面で反射し、複数のミラー、レンズを介してイメージセンサに導かれ、イメージセンサで画像が読み取られる。そのイメージセンサにより読み取られた原稿の画像データは、所定の画像処理が施されて画像形成部Bの露光制御部へ転送される。
【0012】
画像形成部Bの露光制御部は、画像データに応じたレーザ光を出力する。レーザ光は、不図示感光ドラム上に照射される。感光ドラム上には走査されたレーザ光に応じた静電潜像が形成される。その感光ドラム上に形成された静電潜像は、不図示現像器により現像され、トナー像として可視化される。一方、画像が形成されるシートは、複数のカセットを備える給紙装置Aの何れかのカセットから、画像形成部Bの転写部へ搬送される。そして、給紙装置Aから搬送されたシートは、不図示の転写部において可視化されたトナー像が転写され、画像形成される。転写後のシートは、不図示の定着部にて定着処理が施される。そして、定着部を通過したシートはシート処理装置Cに搬送される。シート処理装置Cに搬送されたシートは、処理部9によって綴じ、折り及び穿孔等の後処理が施されて、積載部10に排出される。
【0013】
シート処理装置Cは、図1に示すように画像形成部Bと原稿読取装置Dとの間に配置され、搬送されるシートを整合し、綴じ処理を行う処理部9と、処理後のシートを積載する積載部10とを備える。本実施形態の画像形成装置500は、積載部10に排出されたシートを画像形成部Bと原稿読取装置Dの間の空間に収納する、胴内搬出機能を有する。このようなシート処理装置Cの処理部9は、図2に示すように、搬送部11と、載置手段である処理トレイ14と、整合部12と、グリッパー・ステープル部13とを備える。そして、搬送部11は画像形成部Bからシートを受け取り、搬送部11の排紙方向下流に位置する処理トレイ14にシートを搬送する。搬送部11により処理トレイ14に搬送された
シートは、整合部12により処理トレイ14のシート載置面である処理トレイ面14a上で整合される。そして、グリッパー・ステープル部13により、整合部12で整合されたシートにステープル処理を施す。このような処理部9の各構成部分について、図2ないし図4を用いて説明する。
【0014】
まず、図2に示すように、搬送部11は、画像形成部Bからのシートを受け取り、シートを搬送する際の通路として用いられる搬送経路20を備える。更に搬送部11は、搬送経路20に沿ってシートを搬送する搬送ローラ対21と、この搬送経路20の搬出口20cに設けられた搬出ローラ対22とを備える。このうちの搬送経路20は、シートを案内する一対のガイド板20a、20bにより構成される。画像形成部Bから排紙されたシートは、搬送経路20内に送られ、搬送ローラ対21により搬送経路20内を搬送させられる。そして、搬出ローラ対22は搬送経路20の下方に配置される処理トレイ14に順次シートを搬送する。なお、本実施形態では、搬出ローラ対22によって搬出されたシートは、処理トレイ14と、後述するスタックトレイ50又は51のシート載置面50a又は51a、或は、スタックトレイ50内の折り処理経路60との間に掛け渡された状態で載置される。そして、この状態で、所定の処理が施される。
【0015】
次に、図2に示すように、整合部12は、規制手段であるストッパー部材31と、シフト部材30aと、整合部材32とを備える。このうちのストッパー部材31は、支軸31aを支点に回動自在に構成されており、規制位置と、退避位置との間で移動可能である。規制位置は、後述するシフトローラ30がシートを排紙方向上流に搬送させた際シートの排紙方向上流端部が当接可能な位置である(後述する図11の破線部)。退避位置は、整合位置で整合されたシートを排紙方向上流に移動可能にする、処理トレイ14の上方に退避した位置である(後述する図11の実線部)。なお、支軸31aは、シート幅方向(シート面に平行で排紙方向に直角な方向)に向けられた軸である。そして、ストッパー部材31が整合位置に位置する場合、処理トレイ14上に搬出されたシートは、後述するシフトローラ30で一端をストッパー部材31に当接させられることにより、斜行が補正され、シートの排紙方向上流端部が整合される。また、整合部材32は、図4に示すように、処理トレイ14のシート幅方向の一端部に設けられている。処理トレイ14上のシートは、後述するシフトローラ30によりシート幅方向の端部を整合部材32に当接させられ、シート幅方向一端部が整合される。
【0016】
また、シフト部材30aは、シート搬送手段であるシフトローラ30と、アーム部材33とを備える。このうちのシフトローラ30は、外周面をウレタンゴム等により構成し、処理トレイ14上に搬出されたシートの上面に接触して、シートを所定方向に移動させる。また、シフトローラ30は、ストッパー部材31の排紙方向下流に位置している。本実施形態において、シート搬送手段であるシフトローラ30がシートをストッパー部材31に搬送する方向を搬送方向とする。この搬送方向は、上述した排紙方向の逆方向と同じ方向である。また、アーム部材33は、断面が多角形である支軸33aを支点に、外周部が円であり内周部が支軸33aと同じ多角形である不図示のカラーを介して回動自在に設けられている。アーム部材33は、支軸33aの支点を中心とした不図示の内周部を有しており、カラーの外周部はアーム部材33の内周部に嵌入している。アーム部材33は、カラーを介して支軸33aに支持されているので、支軸33aが回転したとしても支軸33aを支点に回動することができる。そして、アーム部材33は、前記支点と反対側の端部にシフトローラ30を支持している。このようなシフトローラ30は、ピックアップソレノイド200(図9参照)によりアーム部材33を回動動作させることによって処理トレイ14上のシートの上面に接触する接触位置と、シート上面から退避する退避位置との間を昇降可能である。また、アーム部材33はオフセットモータ201(図9参照)により、不図示のプーリ及びベルトを介して、支軸33aに沿ってシート幅方向に移動自在に構成されている。このため、シフトローラ30は、このアーム部材33を介してシート幅方
向にスライド移動可能である。
【0017】
また、シフトローラ30は、搬送モータ202(図9参照)により正逆両方向(シートを排紙方向及び排紙方向と逆方向に搬送させる回転方向)に回転可能である。この搬送モータ202は、不図示の駆動系を介して上述した搬送ローラ対21をシフトローラ30と同じ方向に回転させる。搬送モータ202は、歯車等の動力伝達機構を介して支軸33aを回転させる。支軸33aには、支軸33aに固定された不図示のプーリが配置されている。シフトローラ30を支持する回転軸は、回転軸に不図示のプーリが配置されている。支軸33aに固定されたプーリと、シフトローラ30を支持する回転軸に固定されたプーリとの間には不図示のベルトが掛け渡されている。そして、搬送モータ202は、支軸33aを回転させることにより、支軸33aに固定されたプーリ、ベルト、シフトローラ30を支持する回転軸に固定されたプーリを介して、シフトローラ30を回転させる。これにより、搬送モータ202の動力をシフトローラ30に伝達自在としている。なお、支軸33aを多角形の軸としているのは、支軸33aに固定されるプーリへの動力を伝達し易くするためである。
【0018】
このように構成されるため、シフトローラ30がシートの上面と接触した状態で、シフトローラ30を正転させることにより、シートを搬送部11から搬送された方向と同方向(排紙方向)にシート搬送可能である。また、同じくシフトローラ30を逆転させることにより、逆方向(排紙方向と逆方向)にシートを移動可能である。また、シフトローラ30は、シートの上面と接触した状態でシート幅方向に移動することにより、シートをシート幅方向に移動可能である。
次に、グリッパー・ステープル部13は、図2ないし図4に示すように、移送手段であるグリッパーユニット40と、ステープルユニット41とを備える。処理トレイ14上で整合されたシート束は、排出方向上流端をグリッパーユニット40によりグリップ(把持)された状態でステープル処理位置まで移動され、ステープルユニット41により綴じられる。グリッパーユニット40は、処理トレイ14上で整合されたシート束をグリップするために、一対のグリップアーム44(44a、44b)を備えている。一対のグリップアーム44は、図3に示すように、シート束の下面を支持する固定グリップアーム44aと、固定グリップアーム44a上に対向して設けられ、シート束の上面を押圧する可動グリップアーム44bとからなる。可動グリップアーム44bは、グリップモータ204(図9参照)により不図示の駆動系を介してシート束を把持する把持位置とシート束を把持しない開位置との間を移動自在に構成されている。
また、グリッパーユニット40は、グリッパーユニットモータ205(図9参照)により不図示の駆動系を介して排紙方向及び排紙方向の逆方向(図4の矢印α)に移動自在に構成されている。グリッパーユニット40は、シート束をグリップアーム44で把持した状態で、排紙方向の逆方向に移動することによりシート束をステープルユニット41が存在するステープル位置まで移動させることができる。なお、本実施形態のグリッパーユニット40は、図4に示すように3つのグリップアーム44を有しており、3つのグリップアーム対44はシート幅方向に所定間隔だけ隔てた位置に配置されている。
【0019】
ステープルユニット41は、図2、4に示すように、ステープルヘッドとアンビルブロックとを備え、不図示の針状のステープルをコ字状に折り曲げてシート束に圧入し、その先端をアンビルブロックで折り曲げてシート束を綴じる。本実施形態では、基端を互いに軸承した上下レバー部材の一方にステープルヘッドを、他方にアンビルブロックを取付け、この上下レバー部材を駆動カム部材によって離間位置から圧接位置に往復動させる、一般的なステープルユニットを採用している。図4に示すようにシート処理装置Cの底部の基台42上には、ステープルユニット41をシート幅方向(図4の矢印β)に移動させるためのガイドレール43が設けられている。このガイドレール43は最大シートの幅よりも長く形成されており、シートサイズに拘らず、ステープルユニット41をシートの両端
部に移動させ、シートの両端部を綴じることが可能である。
【0020】
上述の構成により、処理トレイ14上で整合されたシート束は、グリッパーユニット40のグリップアーム44により把持される。その後、グリッパーユニット40を排紙方向の逆方向に移動させることにより、シート束はステープル位置に移動させられる。このとき、前述のストッパー部材31は、グリッパーユニット40によるシート束の移動を妨げない退避位置に移動している。そして、グリッパーユニット40によってステープル位置に移動したシート束は、ステープルユニット41によってその端部に綴じ処理が施される。なお、綴じ処理はシート束の角部に綴じ処理を施す端綴じ処理と、シートの排紙方向上流端部の2個所以上に綴じ処理を施す複数個所綴じ処理が可能である。ステープルユニット41は、ガイドレール43に沿って移動し、端綴じ処理と複数個所綴じ処理のいずれか1つの綴じ処理を実行する。
【0021】
綴じ処理が施されたシート束は、グリッパーユニット40によって把持された状態で、排紙方向、即ち積載部10側に移動する。これによって、シート束は積載部10側に移動する。そして、グリッパーユニット40は、処理トレイ14の下流に存在するシート排出口100からシート束を排出し、積載部10に積載する。シート束を積載部10に移動させると、グリッパーユニット40は、グリップアーム44によるシート束の把持を解除することによりシート束の排出方向上流端を積載部10に落下させる。そして、グリッパーユニット40は、ストッパー部材31とステープル位置との中間位置であるホームポジションに移動し、次のシート束の処理まで待機する。
次に、処理トレイ14について、図2及び図7を用いて説明する。処理トレイ14の排紙方向下流端部には、摩擦ローラ150がシフトローラ30に接しない位置に設けられている。摩擦ローラ150は、排紙方向に関してストッパー部材31の下流(搬送方向に関してストッパー部材31の上流)に位置している。摩擦ローラ150は処理トレイ14の処理トレイ面14aから少なくとも一部が突出し、処理トレイ14に載置されたシートの下面に当接するように構成されている。この摩擦ローラ150は、本実施形態において、シート幅方向に2つ配置しているが、1つ又は3つ以上配置してもよい。また、摩擦ローラ150は、シフトローラ30が処理トレイ14に接地する部分よりも、排出方向下流に配置されている。図8に示すように、摩擦ローラ150は、外周がゴム等で構成され、回転軸心が排出方向に直交する方向に向けられた回転体として構成された摩擦部材153を有している。摩擦ローラ150は、摩擦部材153の内周に配置されたワンウェイクラッチを有している。処理トレイ14には、処理トレイ14に対して回転しないように取り付けられた軸152が配置されている。この軸152は、軸心が排紙方向に直交する方向に向けられている。軸152はワンウェイクラッチ151に嵌入している。これらの軸152及びワンウェイクラッチ151によって規制部材を構成している。この摩擦部材153は、本実施形態においてはゴムを使用しているが、処理トレイ面14aの摩擦係数よりも高い摩擦係数を有した他の部材で構成してもよい。
摩擦部材153の処理トレイ面14aから突出した部分において、ストッパー部材31により整合されたシートの下面に当接した当接部T(図8参照)が排紙方向(搬送方向の逆方向)に回転(移動)しないように、ワンウェイクラッチ151は構成されている。つまり、摩擦部材153は、排紙方向に回転しないように構成されている。この摩擦部材153の回転を本実施形態においては、移動とも称す。また、摩擦部材153の処理トレイ面14aから突出した部分において、ストッパー部材31により整合されたシートの下面に当接した当接部Tが排紙方向と逆方向(搬送方向)に回転(移動)するように、ワンウェイクラッチ151は構成されている。つまり、摩擦部材153は、排紙方向の逆方向に移動可能に構成されている。そのため、整合中のシート束が振動等で、排紙方向、つまりストッパー部材31から離れる方向へずれてしまうのを防止できる。
処理トレイ14に摩擦部材153があるとき、グリップアーム44でシート束の排出方向上流端部を把持し、シート束を排出方向と逆方向に移動させようとする際、摩擦部材15
3の影響によりシート束がグリップアーム44に対して排出方向にずれてしまう場合がある。このようなずれに対し、ずれを考慮してグリッパ−ユニット40の移動量をシートの種類や枚数に応じて調整するなどの対応策が考えられるが、適切な対応策とはいえない。本発明において、整合したシート束をグリッパーユニット40で排紙方向と逆の方向に移動させ、ステープル位置まで移動する際、シート束の移動に伴い摩擦ローラ150が回転する。その結果、摩擦ローラ150によるシート束への抵抗を、摩擦ローラ150が回転しない場合に比べて低減することができ、グリッパーユニット40は、シート束をステープル位置まで安定して搬送することができる。
次に、積載部10について、図2、5、6を用いて説明する。前述の処理トレイ14の下流に配置される積載部10は、シート積載手段である複数のスタックトレイを有する。本実施形態では、第1のスタックトレイ50と第2のスタックトレイ51とを有し、処理トレイ14に選択的に接続される。このために、スタックトレイ50、51は、それぞれ後述する昇降機構Lにより昇降可能とされている。このうちの第1のスタックトレイ50は、サドルユニット(シート束折りユニット)53により折り処理された折りシート、或は、シート排出口100から排出されるシートを積載収納するシート載置面50aを備えている。また、第1のスタックトレイ50内に設けたサドルユニット53は、処理トレイ14と折り処理経路60との間で部揃え集積したシート束を、綴じ処理した後折り合わせて第1のスタックトレイ50のシート載置面50aに収納するように構成される。このような第1のスタックトレイ50には、シート束に綴じ処理と折り処理を施すサドルユニット53からの折りシート束と、ステープルユニット41で端綴じ又は複数個所綴じが施されたシート束が積載収納される。
【0022】
また、第2のスタックトレイ51は、例えば樹脂等のモールド成形でシートを積載可能な形状に構成されて、シート排出口100から排出されるシートを積載収納するシート載置面51aを備えている。このような第2のスタックトレイ51には、主にステープルユニット41で端綴じ又は複数個所綴じが施されたシート束を収納する。なお、第1のスタックトレイ50と第2のスタックトレイ51との何れも、綴じや折りを施さないシート束も収納可能である。また、第2のスタックトレイ51には、シートの積載高さ位置を検出するレベルセンサ80が、処理部9側のフレームに取り付けられている。そしてシート載置面51a上に積載されたシート量に応じて第2のスタックトレイ51位置を降下させるように構成されている。
【0023】
次に、昇降機構Lについて、図5、6を用いて説明する。第1及び第2のスタックトレイ50、51は、処理トレイ14に連設するシート処理装置Cのフレームに上下方向にそれぞれ独立に昇降自在に支持されている。このために、第1のスタックトレイ50と、第2のスタックトレイ51とは、それぞれ第1、第2の支持板71a、71bに取り付けられている。第1の支持板71aの第1のスタックトレイ50が取り付けられる面と反対側の面には、2つのピニオン73a、73bが取り付けられている。この2つのピニオン73a、73bは、水平方向に間隔を隔てて上下方向に配置されたラック72a、72bと歯合している。各ラック72a、72bは、積載部10内に設けられたトレイフレーム70に取り付けられている。そして、ピニオン73a、73bのいずれか一方をモータ74により回転駆動することによって、ラック72a、72bに沿って第1の支持板71aが移動し、これに伴い第1のスタックトレイ50が昇降する。
【0024】
また、第2のスタックトレイ51の昇降機構も第1のスタックトレイ50と同様の構成となっている。即ち、第2のスタックトレイ51を支持する第2の支持板71bの反対面に配置された2つのピニオン73c、73dを、それぞれ各ラック72a、72bに歯合させている。そして、ピニオン73c、73dの一方を図示しないモータにより回転駆動させることによって、第2のスタックトレイ51を昇降させる。
【0025】
このように第1及び第2のスタックトレイ50、51を昇降自在とすることにより、例えば、図6に示すような位置に、各スタックトレイ50、51を配置する。まず、図6(a)では、シート排出口100から排出されるシートを、第1のスタックトレイ50のシート搬入口60aから受け取ることができる位置に各スタックトレイ50、51が移動している。また、図6(b)では、シート排出口100から排出されるシートを、第1のスタックトレイ50のシート載置面50aで受け取ることができる位置に各スタックトレイ50、51が移動している。更に、図6(c)では、シート排出口100から排出されるシートを、第2のスタックトレイ51のシート載置面51aで受け取ることができる位置に各スタックトレイ50、51が移動している。本実施形態では、図6(c)の状態とすべく、第1のスタックトレイ50を、シート排出口100を通過するように昇降可能としている。即ち、下側に存在する第2のスタックトレイ51をシート排出口100の位置まで上昇させるべく、第1のスタックトレイ50を、シート排出口100を通過させ、シート排出口100の上側まで上昇させる。このように各スタックトレイ50、51を昇降させる昇降機構Lは、外部からのシート処理モード信号に基づいてこれらのスタックトレイ50、51を昇降させる。
図9は、本実施形態におけるシート処理装置Cの制御部の構成を示すブロック図であり、300は、本実施形態における制御手段であるCPUである。このCPU300は、内部にROM301を有し、ROM301には後述する図10に示す制御手順に対応するプログラムが格納されている。CPU300は、このプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。
【0026】
また、CPU300は作業用データや入力データが格納されたRAM302を内蔵しており、CPU300は上述したプログラムに基づいてRAM302に収納されたデータを参照して制御を行う。CPU300の入力ポートには入口センサ203等のセンサが接続されている。CPU300の出力ポートにはピックアップソレノイド200、オフセットモータ201、搬送モータ202、グリップモータ204、グリッパーユニットモータ205等のモータ及びソレノイドが接続されている。CPU300はこれらのセンサの状態に基づき、上述のプログラムに従って出力ポートに接続された各種モータ、ソレノイド等の負荷を制御する。
【0027】
また、CPU300はシリアルインターフェイス部(I/O)303を備えており、画像形成装置本体500aの制御部と制御データの授受を行う。さらに、CPU300はシリアルインターフェイス部(I/O)303を介して画像形成装置本体500aの制御部から送られてくる制御データをもとに各部の制御を行う。
【0028】
なお、画像形成装置本体500aは排出するシートのサイズを把握しているので、シート処理装置CのCPU300は、画像形成装置本体500aの制御部とシリアル通信をすることにより、処理トレイ14に排出されたシートのサイズを把握することができる。
図10は本実施形態におけるシート処理装置の動作フローチャートである。以下、図10を用いてシート処理装置の動作を説明する。
画像形成装置500による画像形成動作が開始されると、シート処理装置CのCPU300は、画像形成装置本体500aの制御部からシート排出信号を受信したか否かをチェックする(S100)。CPU300は、シート排出信号を受信した場合(S100のY)、ピックアップソレノイド200をオンし(S110)、シフトローラ30を引っ張り上げる。
次にCPU300は、搬送モータ202をオンし(S120)、搬送部11の途中に設置されている搬送ローラ対21が、画像形成装置本体500aの排紙方向と同じ方向にシートを搬送できるようにする。ここで、最初のシートの先端は、入口センサ203を通過して入口センサ203をオンさせる(S130のY)。この後、シートが搬送ローラ対21に到達してシートに搬送ローラ対21から動力が伝わる状態になり画像形成装置本体50
0aの排紙部からシート後端が排出されると(S140Y)、シートの受け渡しが完了する。
搬送ローラ対21によりシートを処理トレイ14に搬送しつつ、搬送ローラ対21からシートが抜けきらないうちに、CPU300は、ピックアップソレノイド200をオフさせ(S150)シフトローラ30を自重でシートの上に着地させる。この後、CPU300は、搬送モータ202を制御しシフトローラ30によりシートを所定位置まで搬送させる(S160)。そして、シフトローラがシートを所定位置まで搬送すると(S160のY)、CPU300は、搬送モータ202の回転を停止し(S170)、シートの搬送を停止させる。
【0029】
次に、シフトローラ30の回転が止まった時点で、CPU300は、グリップモータ204を動作させグリップアーム44を開かせる(S180)。この後、CPU300は、搬送モータ202を排紙方向とは逆方向に回転させ、シフトローラ30によってシートを引き戻し(S190)、シート後端をストッパー部材31に突き当てさせる(この動作を整合動作と称す)。
【0030】
なお、シート後端をストッパー部材31に突き当てる際のシフトローラ30の回転量は、シートの搬送を止めてスイッチバックさせる地点から、ストッパー部材31までの距離よりも若干多く搬送できるような回転量としている。つまり、シフトローラ30を、シートをストッパー部材31に当接させる距離だけ搬送した後も、所定時間逆転させるようにしている。これは、画像形成装置本体500aから送られてくる際に生じるシートの斜行を考慮しているためである。
【0031】
これにより、シートをストッパー部材31に確実に当接させることができる。なお、このように所定時間逆転させる間にシートがストッパー部材31に当接した場合、シフトローラ30はシート上を空回り(スリップ)するようになっている。
【0032】
次に、CPU300は、画像形成装置本体500aらのサイズ情報により排出されるシートサイズをチェックする(S200)。そして、CPU300は、排出されるシートのサイズに応じたオフセット移動量、即ち処理トレイ14に排出されたシートを整合部材32に押し付けるために必要なシート幅方向の移動量であるオフセット移動量を算出する(S210)。
【0033】
次に、CPU300は、オフセットモータ201を駆動し、シフトローラ30をオフセット移動させる(S220)。ここで、このようにシフトローラ30が移動する際、シフトローラ30に接したシートはシフトローラ30の摩擦力によって整合部材32の方向に、シフトローラ30と共に移動する。なお、このときグリップアーム44は、シートの移動の負荷とならないように上方回動している。
【0034】
そして、シフトローラ30がオフセット移動し、シートの幅方向端が整合部材32に突き当たることのより、シートの幅方向整合が行われる。なお、シフトローラ30はシートを整合部材32に突き当てた後、若干シートの上を滑りながら移動して止まる。このようにして、一枚目のシートの整合が完了する。このように、シートの後端及び幅方向端を整合させる動作を整合動作と称す。ただし、後述するように、シートの後端のみの整合の動作についても整合動作と称す。
【0035】
次に、このように一枚目のシートの整合が完了すると、CPU300は、ピックアップソレノイド200をオンさせ(S230)、シフトローラ30を持ち上げさせた後、グリップモータ204を動作させグリップアーム44を閉じさせる(S240)。これにより、整合済みのシートがグリップアーム44により挟持保持されるようになり、この結果、
最初に排出されたシートが、次に排出されるシートにより連れ送りされることを防ぐことができる。
【0036】
次に、CPU300は、ピックアップソレノイド200によりシフトローラ30を持ち上げさせた状態で、オフセットモータ201を動作させシフトローラ30をホームポジションまで移動させる(S250)。
【0037】
次に、CPU300は、処理トレイ14上に収容されたシートが複写原稿の最終ページに対応した最終のシートか否かをチェックする(S260)。画像形成装置本体500aから送られてきた情報に基づいて最終のシートでないと判断される場合(S260のN)、CPU300は、S100に戻って次に画像形成装置本体から送られるシート排出信号を受信する。そして、CPU300は、最終のシートが処理トレイ14に収容されるまで、前述のフローを繰り返す。
【0038】
一方、CPU300は、最終シートであると判断した場合には(S260のY)、処理トレイ14上に複写原稿に対応したシート束が形成されていることとなるので、次にステープル処理が選択されているか否かをチェックする(S270)。ステープル処理が選択されている場合には(S270のY)、CPU300は、グリッパーユニットモータ205を駆動させ、グリッパーユニット40によりシート束を排紙方向と逆方向のステープル位置に移動させる(S280)(この動作を移送動作と称す)。図11は、グリッパーユニット40のグリップアーム44によりシート束SAの排紙方向上流端部を把持し、搬送方向の逆方向(H方向)にシート束SAを移送させている状態を示す。ストッパー部材31は、図11に示すようにシート束SAの移送を妨げない上述した退避位置に移動している。なお、破線部は、ストッパー部材31がシートを整合させる際の位置である規制位置である。
ここで、グリッパーユニット40によりシート束を排紙方向の逆方向のステープル位置に移動させる際(移送動作)、ローラ状の摩擦ローラ150はシート束の移動に伴い回転(図11のI方向)する。このときの摩擦ローラ150の周速は、グリッパーユニット40により移動させられるシートの移動によって連れ回るので、シートの移動速度と同じである。このように摩擦ローラ150が動作することにより、摩擦ローラ150が固定され動作しない場合に比べて、グリッパーユニット40がシート束を移動させる際の搬送抵抗を軽減させることができ、シート束の移動を安定させることができる。さらに、ステープル処理するためのシート束を形成している際、摩擦ローラ150は処理トレイ14に対して回転しないため、装置の振動等の影響により、既に整合されたのシート束が整合された位置からずれてしまうことを抑えることができる。
そして、CPU300は、ステープルユニット41を駆動し、ステープル位置においてステープル処理を実行する(S290)。
【0039】
次に、ステープル処理が選択されていない場合(S270のN)、或いはステープル処理が完了した後は、CPU300は、シート束をグリップアーム44により掴んだ状態でグリッパーユニットモータ205を駆動させる。そして、CPU300は、グリッパーユニット40を排紙方向に前進させ、シート束をスタックトレイ50又は51に排出させる(S300)。
【0040】
次に、シート束の排出動作にあわせてスタックトレイ50又は51の移動(下降)処理を行い(S310)、この後、グリッパーユニット40を、ストッパー部材31とステープル位置との中間位置であるホームポジションに戻す(S320)。更に、この後、搬送ローラ対21、シフトローラ30の回転を止めるため搬送モータを停止させ(S330)、ピックアップソレノイドをオフさせることにより(S340)、シフトローラ30を下げて一連の処理を終了する。
【0041】
ここで、既述したように、グリッパーユニット40によりシート束を排紙方向と逆方向のステープル位置に移動させる際、ローラ状の摩擦ローラ150はシート束の移動に伴い回転する。このように摩擦ローラ150が動作することにより、摩擦ローラ150が固定され動作しない場合に比べて、グリッパーユニット40がシート束を移動させる際の搬送抵抗を軽減させることができ、シート束の移動を安定させることができる。さらに、ステープル処理するためのシート束を形成している際、摩擦ローラ150は処理トレイ14に対して回転しないため、装置の振動等の影響により、既に整合されたのシート束が整合された位置からずれてしまうことを抑えることができる。
【0042】
<実施形態2>
図12を用いて実施形態2に係るシート処理装置について説明する。図12は本実施形態に係るシート処理装置のグリッパーユニットがシート束を移送する動作を示す。なお、本実施形態のシート処理装置は、実施形態1の構成に対し、それぞれ後述する摩擦ローラモータ210及び摩擦ローラベルト211以外については同じ構成を有しているため、ここでは、詳しい説明は省略する。また、実施形態1と同様の構成部分については、同じ符号を用いている。
【0043】
図12の210は、摩擦ローラ150を回転させるための摩擦ローラモータである。211は、摩擦ローラモータ210の回転を摩擦ローラに伝達するための摩擦ローラベルトである。摩擦ローラ150は、摩擦ローラモータ210の回転により、摩擦ローラベルト211及び摩擦ローラ150に設けられた不図示のプーリを介して回転する。なお、摩擦ローラ150の個数及び配置位置は、図7に示すものと同じである。この摩擦ローラモータ210は、本実施形態の規制部材である。
【0044】
摩擦ローラモータ210は、図9に示すブロック図においてCPU300に接続されており、CPU300の動作指示に応じて回転するように構成されている。
【0045】
本実施形態における摩擦ローラ150の動作について説明する。
【0046】
本実施形態の摩擦ローラ150、摩擦ローラベルト211及び摩擦ローラモータ210以外の構成部分については、上述した図10のフローチャートに従い動作する。摩擦ローラ150、摩擦ローラベルト211及び摩擦ローラモータ210の動作について説明する。図10のS280のステップにおいて、グリッパーユニット40によりシート束SAを移送させる際、CPU300は、摩擦ローラモータ210を動作させ摩擦ローラ150を図12のI方向(排紙方向の逆方向)に回転させる。このときの摩擦ローラ150の周速は、グリッパーユニット40により移動させられるシートの移動速度と同じに設定してある。この摩擦ローラ150の回転を本実施形態においては、移動とも称す。しかし、摩擦ローラ150の周速が、グリッパーユニット40により移動させられるシートの移動速度よりも速い場合や遅い場合においても、摩擦ローラ150が固定され動作しない場合に比べて、グリッパーユニット40がシート束を移動させる際の搬送抵抗は軽減する。つまり、摩擦ローラ150の周速が、グリッパーユニット40により移動させられるシートの移動速度より速い場合においても、遅い場合においても、本発明の効果を得ることができる。したがって、本実施形態では、摩擦ローラ150の周速は、グリッパーユニット40により移動させられるシートの移動速度と同じに設定してあるが、シートの移動速度より速くしても遅くしても良い。そして、シート束がステ−プル位置に移送された後、CPU300は、摩擦ローラモータ210を停止させる。なお、摩擦ローラモータ210は、グリッパーユニット40によりシート束SAを移送させる時以外は動作させない。このように摩擦ローラモータ210を動作させることにより、摩擦ローラ150が固定され動作しない場合に比べて、グリッパーユニット40がシート束を移動させる際の搬送抵抗を軽減さ
せることができ、シート束の移動を安定させることができる。さらに、ステープル処理するためのシート束を形成している際、摩擦ローラ150は処理トレイ14に対して回転しないため、装置の振動等の影響により、既に整合されたのシート束が整合された位置からずれてしまうことを抑えることができる。
【0047】
なお、本実施形態において、グリッパーユニット40によりシート束をスタックトレイ50又は51に排出させる際、摩擦ローラ150は停止していた。しかし、ステープルユニット41によりシート束にステープル処理を施した後、グリッパーユニット40によりシート束をスタックトレイ50又は51に排出させる際、摩擦ローラ150をI方向の逆方向に回転させるようにし、シート束の排出が終わったら停止させてもよい。このようにすることにより、シート束の排出を安定して行うことができる。
【0048】
本実施形態において、シフトローラ30による整合動作の際、摩擦ローラ150は停止しているが、CPU300は、摩擦ローラ150を停止させておくために、摩擦ローラモータ210を励磁させておく。こうすることにより、整合動作の際に摩擦ローラ150は回転せずに保持される。
【0049】
また、本実施形態において、シフトローラ30によりシートをストッパー部材31に当接させる際、摩擦ローラ150は、停止していた。しかし、一枚目のシート(シート束を形成したときの一番下のシート)をシフトローラ30によりストッパー部材31に当接させ整合させる際、I方向に回転させてもよい。このようにすることにより、シフトローラ30は、一枚目のシートを整合させる際、シートの搬送を安定して行うことができる。
【0050】
<実施形態3>
図13を用いて実施形態3に係るシート処理装置について説明する。図13は本実施形態に係るシート処理装置のグリッパーユニットがシート束を移送する動作を示す。なお、本実施形態のシート処理装置は、実施形態1の構成に対し、それぞれ後述する摩擦部材154、摩擦部材移動モータ212、摩擦部材移動ベルト213及び摩擦部材移動ピニオン214以外については同じ構成を有しているため、ここでは、詳しい説明は省略する。また、実施形態1と同様の構成部分については、同じ符号を用いている。
【0051】
図13の154は摩擦部材であり、処理トレイ14に搬送されたシートの下面に当接するように構成されている。この摩擦部材154は、本実施形態においてはゴムを使用しているが、処理トレイ面14aの摩擦係数よりも高い摩擦係数を有した他の部材で構成してもよい。212は、摩擦部材154を排紙方向及び排紙方向と逆方向に移動させるための摩擦部材移動モータである。この摩擦部材移動モータ212は、本実施形態の規制部材である。213は、摩擦部材移動ピニオン214に摩擦部材移動モータ212の回転を伝達するための摩擦部材移動ベルトである。摩擦部材154は、摩擦部材移動モータ212の回転により、摩擦部材移動ベルト213、摩擦部材移動ピニオン214及び摩擦部材移動ピニオン214に噛みあい摩擦部材154に設けられた不図示のラックを介して排紙方向及び排紙方向と逆方向に移動する。なお、本実施形態においては、摩擦部材154は、処理トレイ14のシート幅方向中央一箇所に配置されている。しかし、摩擦部材154を処理トレイ14のシート幅方向に沿って複数箇所に配置してもよい。摩擦部材154の初期位置は、ストッパー部材31の排紙方向下流に設けられている。
【0052】
摩擦部材移動モータ212は、図9に示すブロック図においてCPU300に接続されており、CPU300の動作指示に応じて回転するように構成されている。
【0053】
本実施形態における摩擦部材154の動作について説明する。
【0054】
本実施形態の摩擦部材154、摩擦部材移動ピニオン214、摩擦部材移動ベルト213及び摩擦部材移動モータ212以外の構成部分については、上述した図10のフローチャートに従い動作する。摩擦部材154、摩擦部材移動ピニオン214、摩擦部材移動ベルト213及び摩擦部材移動モータ212の動作について説明する。図10のS280のステップにおいて、グリッパーユニット40によりシート束SAを移送させる際、CPU300は、摩擦部材移動モータ212を動作させ摩擦部材154を初期位置から図13のI方向(排紙方向の逆方向)に移動させる。このときの摩擦部材154の移動速度は、グリッパーユニット40により移動させられるシートの移動速度と同じに設定してある。しかし、摩擦部材154の移動速度が、グリッパーユニット40により移動させられるシートの移動速度よりも速い場合や遅い場合においても、摩擦部材154が固定され動作しない場合に比べて、グリッパーユニット40がシート束を移動させる際の搬送抵抗は軽減する。つまり、摩擦部材154の移動速度が、グリッパーユニット40により移動させられるシートの移動速度より速い場合においても、遅い場合においても、本発明の効果を得ることができる。したがって、本実施形態では、摩擦部材154の移動速度は、グリッパーユニット40により移動させられるシートの移動速度と同じに設定してあるが、シートの移動速度より速くしても遅くしても良い。そして、シート束がステ−プル位置に移送された後、CPU300は、摩擦部材移動モータ212を停止させる。そして、グリッパーユニット40によりシート束SAをスタックトレイ51に向けて排出した後、CPU300は、摩擦部材移動モータ212を回転させて摩擦部材154を排紙方向に移動させ、摩擦部材154が初期位置に復帰したときに摩擦部材移動モータ212を停止させる。なお、摩擦部材移動モータ212は、グリッパーユニット40によりシート束SAを移送させる時、及び摩擦部材154を初期位置に復帰させる時以外は動作させない。このように摩擦部材移動モータ212を動作させることにより、摩擦部材154が固定され動作しない場合に比べて、グリッパーユニット40がシート束を移動させる際の搬送抵抗を軽減させることができ、シート束の移動を安定させることができる。さらに、ステープル処理するためのシート束を形成している際、摩擦部材154は処理トレイ14に対して移動しないため、装置の振動等の影響により、既に整合されたのシート束が整合された位置からずれてしまうことを抑えることができる。 本実施形態において、シフトローラ30による整合動作の際、摩擦部材154は停止しているが、CPU300は、摩擦部材154を停止させておくために、摩擦部材移動モータ212を励磁させておく。こうすることにより、整合動作の際に摩擦部材154は移動せずに保持される。
【0055】
<実施形態4>
図14を用いて実施形態4に係るシート処理装置について説明する。図14(a)は処理トレイ上でシートSAが形成された状態を示す。図14(b)は本実施形態に係るシート処理装置のグリッパーユニットがシート束を移送する動作を示す。なお、本実施形態のシート処理装置は、実施形態1の構成に対し、それぞれ後述する摩擦部材155、摩擦部材移動ソレノイド215、摩擦部材移動部材216及び以外については同じ構成を有しているため、ここでは、詳しい説明は省略する。また、実施形態1と同様の構成部分については、同じ符号を用いている。
【0056】
図14の155は摩擦部材であり、処理トレイ14に搬送されたシートの下面に当接するように構成されている。この摩擦部材155は、本実施形態においてはゴムを使用しているが、処理トレイ面14aの摩擦係数よりも高い摩擦係数を有した他の部材で構成してもよい。摩擦部材155は、ストッパー部材31の排紙方向下流に設けられている。215は、摩擦部材155を、処理トレイ14に載置されたシートの下面に当接する当接位置(図14(a))と、処理トレイ14に載置されたシートの下面に当接しない退避位置(図14(b))とに移動させるための摩擦部材移動ソレノイドである。216は、摩擦部材155と摩擦部材移動ソレノイド215を接続するための摩擦部材移動部材である。摩擦部材155は、不図示のバネにより処理トレイ14に載置されるシートの方向に向かっ
て付勢されている。摩擦部材155は、摩擦部材移動ソレノイド215が摩擦部材移動部材216を引っ張ることにより、上述の当接位置から退避位置に移動する。したがって、摩擦部材移動ソレノイド215がオフの状態、つまり、摩擦部材移動部材216を引っ張らない状態の時、摩擦部材155は、当接位置に維持される。なお、本実施形態においては、摩擦部材155は、処理トレイ14のシート幅方向中央一箇所に配置されている。しかし、摩擦部材155を処理トレイ14のシート幅方向に沿って複数箇所に配置してもよい。
【0057】
摩擦部材移動ソレノイド215は、図9に示すブロック図においてCPU300に接続されており、CPU300の動作指示に応じてオン及びオフするように構成されている。
【0058】
本実施形態における摩擦部材155の動作について説明する。
【0059】
本実施形態の摩擦部材155、摩擦部材移動ソレノイド215、摩擦部材移動部材216以外の構成部分については、上述した図10のフローチャートに従い動作する。摩擦部材155、摩擦部材移動ソレノイド215、摩擦部材移動部材216の動作について説明する。図10のS280のステップにおいて、グリッパーユニット40によりシート束SAを移送させる際、CPU300は、摩擦部材移動ソレノイド215をオンさせ摩擦部材155を当接位置から退避位置に移動させる。そして、シート束がステ−プル位置に移送された後、CPU300は、摩擦部材移動ソレノイド215をオフさせる。なお、摩擦部材移動ソレノイド215は、グリッパーユニット40によりシート束SAを移送させる時以外はオンさせない。このように摩擦部材移動ソレノイド215を動作させることにより、摩擦部材155が処理トレイ14に固定され動作しない場合に比べて、グリッパーユニット40がシート束を移動させる際の搬送抵抗を軽減させることができ、シート束の移動を安定させることができる。さらに、ステープル処理するためのシート束を形成している際、摩擦部材155は処理トレイ14に対して移動しないため、装置の振動等の影響により、既に整合されたのシート束が整合された位置からずれてしまうことを抑えることができる。
【0060】
<実施形態5>
図15を用いて実施形態5に係るシート処理装置について説明する。図15(a)は処理トレイ上でシートSAが形成された状態を示す。図15(b)は本実施形態に係るシート処理装置のグリッパーユニットがシート束を移送する動作を示す。なお、本実施形態のシート処理装置は、実施形態1の構成に対し、それぞれ後述する摩擦部材156、突出部材218及び突出部材移動ソレノイド217以外については同じ構成を有しているため、ここでは、詳しい説明は省略する。また、実施形態1と同様の構成部分については、同じ符号を用いている。
【0061】
図15の156は摩擦部材であり、処理トレイ14に搬送されたシートの下面に当接するように構成され、処理トレイ14に固定されている。この摩擦部材156は、本実施形態においてはゴムを使用しているが、処理トレイ面14aの摩擦係数よりも高い摩擦係数を有した他の部材で構成してもよい。摩擦部材156は、ストッパー部材31の排紙方向下流に設けられている。217は、突出部材218を、処理トレイ14に載置されたシートの下面に当接する突出位置(図14(a))と、処理トレイ14に載置されたシートの下面に当接しない退避位置(図14(b))とに移動させるための突出部材移動ソレノイドである。突出部材218は摩擦部材の摩擦係数よりも小さい摺動部材によって構成されている。突出部材218は、不図示のバネにより退避位置に維持されるように付勢されている。突出部材218は、突出部材移動ソレノイド217が突出部材218を引っ張ることにより、回転軸218aを中心として上述の退避位置から突出位置に移動する。なお、本実施形態においては、摩擦部材156は、処理トレイ14のシート幅方向中央一箇所に
配置されている。そして、突出部材218は、シート幅方向に関して摩擦部材156の隣の位置に配置されている。しかし、摩擦部材156及び突出部材218を処理トレイ14のシート幅方向に沿って複数箇所に配置してもよい。
【0062】
突出部材移動ソレノイド217は、図9に示すブロック図においてCPU300に接続されており、CPU300の動作指示に応じてオン及びオフするように構成されている。
【0063】
本実施形態における突出部材218の動作について説明する。
【0064】
本実施形態の突出部材218及び突出部材移動ソレノイド217以外の構成部分については、上述した図10のフローチャートに従い動作する。突出部材218及び突出部材移動ソレノイド217の動作について説明する。図10のS280のステップにおいて、グリッパーユニット40によりシート束SAを移送させる際、CPU300は、突出部材移動ソレノイド217をオンさせ突出部材218を退避位置から突出位置に移動させる。このように突出部材218を突出位置に移動させ、処理トレイ14に載置されたシートの下面に当接させることで、摩擦部材156廻りのシートの領域を摩擦部材156から離間させることができる。その結果、グリッパーユニット40によりシート束SAを移送させる際、シート束SAは摩擦部材156に当接することが無くなる。その結果、摩擦部材156が固定され動作しない場合に比べて、突出部材移動ソレノイド217を動作させることにより、グリッパーユニット40がシート束を移動させる際の搬送抵抗を軽減させることができ、シート束の移動を安定させることができる。さらに、ステープル処理するためのシート束を形成している際、摩擦部材156は処理トレイ14に対して移動しないため、装置の振動等の影響により、既に整合されたのシート束が整合された位置からずれてしまうことを抑えることができる。シート束がステ−プル位置に移送された後、CPU300は、突出部材移動ソレノイド217をオフさせ突出部材218を退避位置に移動させる。なお、突出部材移動ソレノイド217は、グリッパーユニット40によりシート束SAを移送させる時以外はオンさせない。本実施例では、突出部材218が突出位置に移動することにより、摩擦部材156廻りのシートの領域を摩擦部材156から離間させている。しかし、シートを摩擦部材156から離間させなくとも、突出部材218によりシートに対して力を加えるようにすれば、摩擦部材156がシートに与える力が小さくなるので、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0065】
上述した実施形態1ないし実施形態5のシート処理装置においては、移送手段としてシートの排出方向上流端を把持することでシートを移送するグリッパ−ユニットを用いていた。しかし、移送手段はそれに限ったものでなく、シート束の上面と下面を挟持し回転することによりシート束を移送するローラ対であってもよい。
【0066】
上述した実施形態1ないし実施形態5のシート処理装置においては、シートの幅方向を揃える動作を、シフトローラ30をシートの上面に当接させた状態で幅方向に移動し整合部材32に突き当てることで行っていた。しかし、シートの幅方向を揃える動作は、ジョガーによってシートを挟むようにして揃えるようにしてもよい。また、処理トレイ14に搬送される際に、幅方向のシートのずれがほとんど無い場合は、処理トレイ14上でシートの幅方向を揃える動作を行わなくてもよい。この場合、シートの後端のみを整合させる動作についても整合動作と称す
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態1に係るシート処理装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す図。
【図2】本発明の実施形態1に係るシート処理装置の概略構成を示す図。
【図3】本発明の実施形態1シート処理装置のグリッパーユニットによりシート束を挟持する動作状態を示す図。
【図4】本発明の実施形態1に係るシート処理装置のグリッパー・ステープル部の概略構成を示す平面図。
【図5】本発明の実施形態1に係るシート処理装置のスタックトレイの昇降機構を、(a)は図2と同方向から見た模式図で、(b)は(a)のイ−イ断面図。
【図6】本発明の実施形態1に係るシート処理装置のスタックトレイの昇降位置を異ならせた3例を示す概略図。
【図7】本発明の実施形態1に係るシート処理装置の斜視図。
【図8】本発明の実施形態1に係るシート処理装置の摩擦ローラの説明図。
【図9】本発明の実施形態1に係るシート処理装置の制御部の構成を示すブロック図。
【図10】本発明の実施形態1に係るシート処理装置の動作を説明するフローチャート。
【図11】本発明の実施形態1に係るシート処理装置の摩擦ローラの動作説明図。
【図12】本発明の実施形態2に係るシート処理装置の摩擦ローラの動作説明図。
【図13】本発明の実施形態3に係るシート処理装置の摩擦部材の動作説明図。
【図14】本発明の実施形態4に係るシート処理装置の摩擦部材の動作説明図。
【図15】本発明の実施形態5に係るシート処理装置の摩擦部材の動作説明図。
【符号の説明】
【0068】
14 処理トレイ
30 シフトローラ
31 ストッパー部材
40 グリッパーユニット
41 ステープルユニット
51 スタックトレイ
150 摩擦ローラ
151 ワンウェイクラッチ
152 軸
153 摩擦部材
154 摩擦部材
155 摩擦部材
156 摩擦部材
210 摩擦ローラモータ
212 摩擦部材移動モータ
C シート処理装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等に備えられ、画像形成部から搬出されたシートを整合するシート処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシート処理装置は、後処理を行うために、順次搬送されるシート一枚ずつ載置手段上でシートの排出方向の上流端を規制しシートの幅方向の整合を行うことでシート束を形成した後、そのシート束に綴じ処理を行っていた。このとき、シート処理装置がシートを整合処理している際、装置の振動等の影響により、既に整合されたのシート束が整合された位置からずれてしまう場合がある。このずれを抑えるため、載置手段の上面の一部分に摩擦部材を設け、シート束のずれを抑える方法が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、シート束を形成し、移送手段を用いてシート束を排出方向上流方向に移動させ、後処理位置に移動した後、後処理を行うシート処理装置が知られている。
【特許文献1】特開2006−103839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記移送手段を備えたシート処理装置の載置手段に摩擦部材を配置した場合、載置手段上の摩擦部材は移送手段によりシート束を移動させる際の抵抗となる。このような抵抗により、移送手段はシート束を移送する際、安定した移送ができなくなるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みて、載置手段上に摩擦部材を設けた場合であっても、移送手段によるシートの移送を安定して行うことができるシート処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、順次搬送されるシートが載置される載置手段と、前記載置手段に載置されたシートを搬送するシート搬送手段と、前記シート搬送手段により搬送されたシートの端部を規制して該シートを整合する規制手段と、前記シート搬送手段が前記規制手段に向けてシートを搬送する搬送方向に関して前記規制手段の上流に位置するとともに、前記載置手段に載置されたシートの下面に当接する、前記載置手段のシート載置面の摩擦係数よりも摩擦係数が高い摩擦部材と、前記規制手段により整合されたシートを前記搬送方向の下流に移送させる移送動作を行う移送手段と、前記整合動作及び前記移送動作の際、前記搬送方向と逆方向への前記摩擦部材の移動を規制し、前記搬送方向への移動を許容する規制部材と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明は、順次搬送されるシートが載置される載置手段と、前記載置手段に載置されたシートを搬送するシート搬送手段と、前記シート搬送手段により搬送されたシートの端部を規制して該シートを整合する規制手段と、前記シート搬送手段が前記規制手段に向けてシートを搬送する搬送方向に関して前記規制手段の上流に位置するとともに、前記載置手段に載置されたシートの下面に当接する、前記載置手段のシート載置面の摩擦係数よりも摩擦係数が高い摩擦部材と、前記規制手段により整合されたシートを前記搬送方向の下流に移送させる移送動作を行う移送手段と、を備え、前記整合動作の際にシートの下面が前記摩擦部材から受ける力よりも、前記移送動作の際に該シートの下面が前記摩擦部材から受ける力が小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のように、載置手段に載置され規制手段により整合されたシートを移送手段により搬送方向の下流に移送させる移送させる際、規制手段により整合された該シートの下面に当接する摩擦部材は、搬送方向の下流方向に移動する。これにより、載置手段上に摩擦部材を設けた場合であっても、移送手段によるシートの移送を安定して行うことができる。
【0009】
本発明のように、載置手段に載置され規制手段により整合されたシートを移送手段により搬送方向の下流に移送させる移送させる際、整合動作の際、シートの下面が摩擦部材から受ける力よりも、該シートが移送動作の際、該シートの下面が摩擦部材から受ける力が小さくすることにより、載置手段上に摩擦部材を設けた場合であっても、移送手段によるシートの移送を安定して行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<実施形態1>
本発明の実施形態1について、図1ないし図15を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について説明する。図1に示すように、本実施形態の画像形成装置500は、給紙装置A、画像形成部B、シート処理装置C、原稿読取装置D、原稿搬送装置Eで構成されている。なお、給紙装置A及び画像形成部Bにより画像形成装置本体500aを構成している。
【0011】
原稿搬送装置Eは、原稿トレイにセットされた原稿を1枚ずつ原稿読取装置Dのプラテンガラス上に搬送し、排紙トレイ上に搬出する。この時、画像読取装置Dは、原稿搬送装置Eによってプラテンガラス上を通過する原稿を不図示読取手段によって読み取る。読取手段は、それぞれ不図示のランプ、複数のミラー、レンズ、イメージセンサから構成されている。そして、読取手段のランプが照射した光が原稿面で反射し、複数のミラー、レンズを介してイメージセンサに導かれ、イメージセンサで画像が読み取られる。そのイメージセンサにより読み取られた原稿の画像データは、所定の画像処理が施されて画像形成部Bの露光制御部へ転送される。
【0012】
画像形成部Bの露光制御部は、画像データに応じたレーザ光を出力する。レーザ光は、不図示感光ドラム上に照射される。感光ドラム上には走査されたレーザ光に応じた静電潜像が形成される。その感光ドラム上に形成された静電潜像は、不図示現像器により現像され、トナー像として可視化される。一方、画像が形成されるシートは、複数のカセットを備える給紙装置Aの何れかのカセットから、画像形成部Bの転写部へ搬送される。そして、給紙装置Aから搬送されたシートは、不図示の転写部において可視化されたトナー像が転写され、画像形成される。転写後のシートは、不図示の定着部にて定着処理が施される。そして、定着部を通過したシートはシート処理装置Cに搬送される。シート処理装置Cに搬送されたシートは、処理部9によって綴じ、折り及び穿孔等の後処理が施されて、積載部10に排出される。
【0013】
シート処理装置Cは、図1に示すように画像形成部Bと原稿読取装置Dとの間に配置され、搬送されるシートを整合し、綴じ処理を行う処理部9と、処理後のシートを積載する積載部10とを備える。本実施形態の画像形成装置500は、積載部10に排出されたシートを画像形成部Bと原稿読取装置Dの間の空間に収納する、胴内搬出機能を有する。このようなシート処理装置Cの処理部9は、図2に示すように、搬送部11と、載置手段である処理トレイ14と、整合部12と、グリッパー・ステープル部13とを備える。そして、搬送部11は画像形成部Bからシートを受け取り、搬送部11の排紙方向下流に位置する処理トレイ14にシートを搬送する。搬送部11により処理トレイ14に搬送された
シートは、整合部12により処理トレイ14のシート載置面である処理トレイ面14a上で整合される。そして、グリッパー・ステープル部13により、整合部12で整合されたシートにステープル処理を施す。このような処理部9の各構成部分について、図2ないし図4を用いて説明する。
【0014】
まず、図2に示すように、搬送部11は、画像形成部Bからのシートを受け取り、シートを搬送する際の通路として用いられる搬送経路20を備える。更に搬送部11は、搬送経路20に沿ってシートを搬送する搬送ローラ対21と、この搬送経路20の搬出口20cに設けられた搬出ローラ対22とを備える。このうちの搬送経路20は、シートを案内する一対のガイド板20a、20bにより構成される。画像形成部Bから排紙されたシートは、搬送経路20内に送られ、搬送ローラ対21により搬送経路20内を搬送させられる。そして、搬出ローラ対22は搬送経路20の下方に配置される処理トレイ14に順次シートを搬送する。なお、本実施形態では、搬出ローラ対22によって搬出されたシートは、処理トレイ14と、後述するスタックトレイ50又は51のシート載置面50a又は51a、或は、スタックトレイ50内の折り処理経路60との間に掛け渡された状態で載置される。そして、この状態で、所定の処理が施される。
【0015】
次に、図2に示すように、整合部12は、規制手段であるストッパー部材31と、シフト部材30aと、整合部材32とを備える。このうちのストッパー部材31は、支軸31aを支点に回動自在に構成されており、規制位置と、退避位置との間で移動可能である。規制位置は、後述するシフトローラ30がシートを排紙方向上流に搬送させた際シートの排紙方向上流端部が当接可能な位置である(後述する図11の破線部)。退避位置は、整合位置で整合されたシートを排紙方向上流に移動可能にする、処理トレイ14の上方に退避した位置である(後述する図11の実線部)。なお、支軸31aは、シート幅方向(シート面に平行で排紙方向に直角な方向)に向けられた軸である。そして、ストッパー部材31が整合位置に位置する場合、処理トレイ14上に搬出されたシートは、後述するシフトローラ30で一端をストッパー部材31に当接させられることにより、斜行が補正され、シートの排紙方向上流端部が整合される。また、整合部材32は、図4に示すように、処理トレイ14のシート幅方向の一端部に設けられている。処理トレイ14上のシートは、後述するシフトローラ30によりシート幅方向の端部を整合部材32に当接させられ、シート幅方向一端部が整合される。
【0016】
また、シフト部材30aは、シート搬送手段であるシフトローラ30と、アーム部材33とを備える。このうちのシフトローラ30は、外周面をウレタンゴム等により構成し、処理トレイ14上に搬出されたシートの上面に接触して、シートを所定方向に移動させる。また、シフトローラ30は、ストッパー部材31の排紙方向下流に位置している。本実施形態において、シート搬送手段であるシフトローラ30がシートをストッパー部材31に搬送する方向を搬送方向とする。この搬送方向は、上述した排紙方向の逆方向と同じ方向である。また、アーム部材33は、断面が多角形である支軸33aを支点に、外周部が円であり内周部が支軸33aと同じ多角形である不図示のカラーを介して回動自在に設けられている。アーム部材33は、支軸33aの支点を中心とした不図示の内周部を有しており、カラーの外周部はアーム部材33の内周部に嵌入している。アーム部材33は、カラーを介して支軸33aに支持されているので、支軸33aが回転したとしても支軸33aを支点に回動することができる。そして、アーム部材33は、前記支点と反対側の端部にシフトローラ30を支持している。このようなシフトローラ30は、ピックアップソレノイド200(図9参照)によりアーム部材33を回動動作させることによって処理トレイ14上のシートの上面に接触する接触位置と、シート上面から退避する退避位置との間を昇降可能である。また、アーム部材33はオフセットモータ201(図9参照)により、不図示のプーリ及びベルトを介して、支軸33aに沿ってシート幅方向に移動自在に構成されている。このため、シフトローラ30は、このアーム部材33を介してシート幅方
向にスライド移動可能である。
【0017】
また、シフトローラ30は、搬送モータ202(図9参照)により正逆両方向(シートを排紙方向及び排紙方向と逆方向に搬送させる回転方向)に回転可能である。この搬送モータ202は、不図示の駆動系を介して上述した搬送ローラ対21をシフトローラ30と同じ方向に回転させる。搬送モータ202は、歯車等の動力伝達機構を介して支軸33aを回転させる。支軸33aには、支軸33aに固定された不図示のプーリが配置されている。シフトローラ30を支持する回転軸は、回転軸に不図示のプーリが配置されている。支軸33aに固定されたプーリと、シフトローラ30を支持する回転軸に固定されたプーリとの間には不図示のベルトが掛け渡されている。そして、搬送モータ202は、支軸33aを回転させることにより、支軸33aに固定されたプーリ、ベルト、シフトローラ30を支持する回転軸に固定されたプーリを介して、シフトローラ30を回転させる。これにより、搬送モータ202の動力をシフトローラ30に伝達自在としている。なお、支軸33aを多角形の軸としているのは、支軸33aに固定されるプーリへの動力を伝達し易くするためである。
【0018】
このように構成されるため、シフトローラ30がシートの上面と接触した状態で、シフトローラ30を正転させることにより、シートを搬送部11から搬送された方向と同方向(排紙方向)にシート搬送可能である。また、同じくシフトローラ30を逆転させることにより、逆方向(排紙方向と逆方向)にシートを移動可能である。また、シフトローラ30は、シートの上面と接触した状態でシート幅方向に移動することにより、シートをシート幅方向に移動可能である。
次に、グリッパー・ステープル部13は、図2ないし図4に示すように、移送手段であるグリッパーユニット40と、ステープルユニット41とを備える。処理トレイ14上で整合されたシート束は、排出方向上流端をグリッパーユニット40によりグリップ(把持)された状態でステープル処理位置まで移動され、ステープルユニット41により綴じられる。グリッパーユニット40は、処理トレイ14上で整合されたシート束をグリップするために、一対のグリップアーム44(44a、44b)を備えている。一対のグリップアーム44は、図3に示すように、シート束の下面を支持する固定グリップアーム44aと、固定グリップアーム44a上に対向して設けられ、シート束の上面を押圧する可動グリップアーム44bとからなる。可動グリップアーム44bは、グリップモータ204(図9参照)により不図示の駆動系を介してシート束を把持する把持位置とシート束を把持しない開位置との間を移動自在に構成されている。
また、グリッパーユニット40は、グリッパーユニットモータ205(図9参照)により不図示の駆動系を介して排紙方向及び排紙方向の逆方向(図4の矢印α)に移動自在に構成されている。グリッパーユニット40は、シート束をグリップアーム44で把持した状態で、排紙方向の逆方向に移動することによりシート束をステープルユニット41が存在するステープル位置まで移動させることができる。なお、本実施形態のグリッパーユニット40は、図4に示すように3つのグリップアーム44を有しており、3つのグリップアーム対44はシート幅方向に所定間隔だけ隔てた位置に配置されている。
【0019】
ステープルユニット41は、図2、4に示すように、ステープルヘッドとアンビルブロックとを備え、不図示の針状のステープルをコ字状に折り曲げてシート束に圧入し、その先端をアンビルブロックで折り曲げてシート束を綴じる。本実施形態では、基端を互いに軸承した上下レバー部材の一方にステープルヘッドを、他方にアンビルブロックを取付け、この上下レバー部材を駆動カム部材によって離間位置から圧接位置に往復動させる、一般的なステープルユニットを採用している。図4に示すようにシート処理装置Cの底部の基台42上には、ステープルユニット41をシート幅方向(図4の矢印β)に移動させるためのガイドレール43が設けられている。このガイドレール43は最大シートの幅よりも長く形成されており、シートサイズに拘らず、ステープルユニット41をシートの両端
部に移動させ、シートの両端部を綴じることが可能である。
【0020】
上述の構成により、処理トレイ14上で整合されたシート束は、グリッパーユニット40のグリップアーム44により把持される。その後、グリッパーユニット40を排紙方向の逆方向に移動させることにより、シート束はステープル位置に移動させられる。このとき、前述のストッパー部材31は、グリッパーユニット40によるシート束の移動を妨げない退避位置に移動している。そして、グリッパーユニット40によってステープル位置に移動したシート束は、ステープルユニット41によってその端部に綴じ処理が施される。なお、綴じ処理はシート束の角部に綴じ処理を施す端綴じ処理と、シートの排紙方向上流端部の2個所以上に綴じ処理を施す複数個所綴じ処理が可能である。ステープルユニット41は、ガイドレール43に沿って移動し、端綴じ処理と複数個所綴じ処理のいずれか1つの綴じ処理を実行する。
【0021】
綴じ処理が施されたシート束は、グリッパーユニット40によって把持された状態で、排紙方向、即ち積載部10側に移動する。これによって、シート束は積載部10側に移動する。そして、グリッパーユニット40は、処理トレイ14の下流に存在するシート排出口100からシート束を排出し、積載部10に積載する。シート束を積載部10に移動させると、グリッパーユニット40は、グリップアーム44によるシート束の把持を解除することによりシート束の排出方向上流端を積載部10に落下させる。そして、グリッパーユニット40は、ストッパー部材31とステープル位置との中間位置であるホームポジションに移動し、次のシート束の処理まで待機する。
次に、処理トレイ14について、図2及び図7を用いて説明する。処理トレイ14の排紙方向下流端部には、摩擦ローラ150がシフトローラ30に接しない位置に設けられている。摩擦ローラ150は、排紙方向に関してストッパー部材31の下流(搬送方向に関してストッパー部材31の上流)に位置している。摩擦ローラ150は処理トレイ14の処理トレイ面14aから少なくとも一部が突出し、処理トレイ14に載置されたシートの下面に当接するように構成されている。この摩擦ローラ150は、本実施形態において、シート幅方向に2つ配置しているが、1つ又は3つ以上配置してもよい。また、摩擦ローラ150は、シフトローラ30が処理トレイ14に接地する部分よりも、排出方向下流に配置されている。図8に示すように、摩擦ローラ150は、外周がゴム等で構成され、回転軸心が排出方向に直交する方向に向けられた回転体として構成された摩擦部材153を有している。摩擦ローラ150は、摩擦部材153の内周に配置されたワンウェイクラッチを有している。処理トレイ14には、処理トレイ14に対して回転しないように取り付けられた軸152が配置されている。この軸152は、軸心が排紙方向に直交する方向に向けられている。軸152はワンウェイクラッチ151に嵌入している。これらの軸152及びワンウェイクラッチ151によって規制部材を構成している。この摩擦部材153は、本実施形態においてはゴムを使用しているが、処理トレイ面14aの摩擦係数よりも高い摩擦係数を有した他の部材で構成してもよい。
摩擦部材153の処理トレイ面14aから突出した部分において、ストッパー部材31により整合されたシートの下面に当接した当接部T(図8参照)が排紙方向(搬送方向の逆方向)に回転(移動)しないように、ワンウェイクラッチ151は構成されている。つまり、摩擦部材153は、排紙方向に回転しないように構成されている。この摩擦部材153の回転を本実施形態においては、移動とも称す。また、摩擦部材153の処理トレイ面14aから突出した部分において、ストッパー部材31により整合されたシートの下面に当接した当接部Tが排紙方向と逆方向(搬送方向)に回転(移動)するように、ワンウェイクラッチ151は構成されている。つまり、摩擦部材153は、排紙方向の逆方向に移動可能に構成されている。そのため、整合中のシート束が振動等で、排紙方向、つまりストッパー部材31から離れる方向へずれてしまうのを防止できる。
処理トレイ14に摩擦部材153があるとき、グリップアーム44でシート束の排出方向上流端部を把持し、シート束を排出方向と逆方向に移動させようとする際、摩擦部材15
3の影響によりシート束がグリップアーム44に対して排出方向にずれてしまう場合がある。このようなずれに対し、ずれを考慮してグリッパ−ユニット40の移動量をシートの種類や枚数に応じて調整するなどの対応策が考えられるが、適切な対応策とはいえない。本発明において、整合したシート束をグリッパーユニット40で排紙方向と逆の方向に移動させ、ステープル位置まで移動する際、シート束の移動に伴い摩擦ローラ150が回転する。その結果、摩擦ローラ150によるシート束への抵抗を、摩擦ローラ150が回転しない場合に比べて低減することができ、グリッパーユニット40は、シート束をステープル位置まで安定して搬送することができる。
次に、積載部10について、図2、5、6を用いて説明する。前述の処理トレイ14の下流に配置される積載部10は、シート積載手段である複数のスタックトレイを有する。本実施形態では、第1のスタックトレイ50と第2のスタックトレイ51とを有し、処理トレイ14に選択的に接続される。このために、スタックトレイ50、51は、それぞれ後述する昇降機構Lにより昇降可能とされている。このうちの第1のスタックトレイ50は、サドルユニット(シート束折りユニット)53により折り処理された折りシート、或は、シート排出口100から排出されるシートを積載収納するシート載置面50aを備えている。また、第1のスタックトレイ50内に設けたサドルユニット53は、処理トレイ14と折り処理経路60との間で部揃え集積したシート束を、綴じ処理した後折り合わせて第1のスタックトレイ50のシート載置面50aに収納するように構成される。このような第1のスタックトレイ50には、シート束に綴じ処理と折り処理を施すサドルユニット53からの折りシート束と、ステープルユニット41で端綴じ又は複数個所綴じが施されたシート束が積載収納される。
【0022】
また、第2のスタックトレイ51は、例えば樹脂等のモールド成形でシートを積載可能な形状に構成されて、シート排出口100から排出されるシートを積載収納するシート載置面51aを備えている。このような第2のスタックトレイ51には、主にステープルユニット41で端綴じ又は複数個所綴じが施されたシート束を収納する。なお、第1のスタックトレイ50と第2のスタックトレイ51との何れも、綴じや折りを施さないシート束も収納可能である。また、第2のスタックトレイ51には、シートの積載高さ位置を検出するレベルセンサ80が、処理部9側のフレームに取り付けられている。そしてシート載置面51a上に積載されたシート量に応じて第2のスタックトレイ51位置を降下させるように構成されている。
【0023】
次に、昇降機構Lについて、図5、6を用いて説明する。第1及び第2のスタックトレイ50、51は、処理トレイ14に連設するシート処理装置Cのフレームに上下方向にそれぞれ独立に昇降自在に支持されている。このために、第1のスタックトレイ50と、第2のスタックトレイ51とは、それぞれ第1、第2の支持板71a、71bに取り付けられている。第1の支持板71aの第1のスタックトレイ50が取り付けられる面と反対側の面には、2つのピニオン73a、73bが取り付けられている。この2つのピニオン73a、73bは、水平方向に間隔を隔てて上下方向に配置されたラック72a、72bと歯合している。各ラック72a、72bは、積載部10内に設けられたトレイフレーム70に取り付けられている。そして、ピニオン73a、73bのいずれか一方をモータ74により回転駆動することによって、ラック72a、72bに沿って第1の支持板71aが移動し、これに伴い第1のスタックトレイ50が昇降する。
【0024】
また、第2のスタックトレイ51の昇降機構も第1のスタックトレイ50と同様の構成となっている。即ち、第2のスタックトレイ51を支持する第2の支持板71bの反対面に配置された2つのピニオン73c、73dを、それぞれ各ラック72a、72bに歯合させている。そして、ピニオン73c、73dの一方を図示しないモータにより回転駆動させることによって、第2のスタックトレイ51を昇降させる。
【0025】
このように第1及び第2のスタックトレイ50、51を昇降自在とすることにより、例えば、図6に示すような位置に、各スタックトレイ50、51を配置する。まず、図6(a)では、シート排出口100から排出されるシートを、第1のスタックトレイ50のシート搬入口60aから受け取ることができる位置に各スタックトレイ50、51が移動している。また、図6(b)では、シート排出口100から排出されるシートを、第1のスタックトレイ50のシート載置面50aで受け取ることができる位置に各スタックトレイ50、51が移動している。更に、図6(c)では、シート排出口100から排出されるシートを、第2のスタックトレイ51のシート載置面51aで受け取ることができる位置に各スタックトレイ50、51が移動している。本実施形態では、図6(c)の状態とすべく、第1のスタックトレイ50を、シート排出口100を通過するように昇降可能としている。即ち、下側に存在する第2のスタックトレイ51をシート排出口100の位置まで上昇させるべく、第1のスタックトレイ50を、シート排出口100を通過させ、シート排出口100の上側まで上昇させる。このように各スタックトレイ50、51を昇降させる昇降機構Lは、外部からのシート処理モード信号に基づいてこれらのスタックトレイ50、51を昇降させる。
図9は、本実施形態におけるシート処理装置Cの制御部の構成を示すブロック図であり、300は、本実施形態における制御手段であるCPUである。このCPU300は、内部にROM301を有し、ROM301には後述する図10に示す制御手順に対応するプログラムが格納されている。CPU300は、このプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。
【0026】
また、CPU300は作業用データや入力データが格納されたRAM302を内蔵しており、CPU300は上述したプログラムに基づいてRAM302に収納されたデータを参照して制御を行う。CPU300の入力ポートには入口センサ203等のセンサが接続されている。CPU300の出力ポートにはピックアップソレノイド200、オフセットモータ201、搬送モータ202、グリップモータ204、グリッパーユニットモータ205等のモータ及びソレノイドが接続されている。CPU300はこれらのセンサの状態に基づき、上述のプログラムに従って出力ポートに接続された各種モータ、ソレノイド等の負荷を制御する。
【0027】
また、CPU300はシリアルインターフェイス部(I/O)303を備えており、画像形成装置本体500aの制御部と制御データの授受を行う。さらに、CPU300はシリアルインターフェイス部(I/O)303を介して画像形成装置本体500aの制御部から送られてくる制御データをもとに各部の制御を行う。
【0028】
なお、画像形成装置本体500aは排出するシートのサイズを把握しているので、シート処理装置CのCPU300は、画像形成装置本体500aの制御部とシリアル通信をすることにより、処理トレイ14に排出されたシートのサイズを把握することができる。
図10は本実施形態におけるシート処理装置の動作フローチャートである。以下、図10を用いてシート処理装置の動作を説明する。
画像形成装置500による画像形成動作が開始されると、シート処理装置CのCPU300は、画像形成装置本体500aの制御部からシート排出信号を受信したか否かをチェックする(S100)。CPU300は、シート排出信号を受信した場合(S100のY)、ピックアップソレノイド200をオンし(S110)、シフトローラ30を引っ張り上げる。
次にCPU300は、搬送モータ202をオンし(S120)、搬送部11の途中に設置されている搬送ローラ対21が、画像形成装置本体500aの排紙方向と同じ方向にシートを搬送できるようにする。ここで、最初のシートの先端は、入口センサ203を通過して入口センサ203をオンさせる(S130のY)。この後、シートが搬送ローラ対21に到達してシートに搬送ローラ対21から動力が伝わる状態になり画像形成装置本体50
0aの排紙部からシート後端が排出されると(S140Y)、シートの受け渡しが完了する。
搬送ローラ対21によりシートを処理トレイ14に搬送しつつ、搬送ローラ対21からシートが抜けきらないうちに、CPU300は、ピックアップソレノイド200をオフさせ(S150)シフトローラ30を自重でシートの上に着地させる。この後、CPU300は、搬送モータ202を制御しシフトローラ30によりシートを所定位置まで搬送させる(S160)。そして、シフトローラがシートを所定位置まで搬送すると(S160のY)、CPU300は、搬送モータ202の回転を停止し(S170)、シートの搬送を停止させる。
【0029】
次に、シフトローラ30の回転が止まった時点で、CPU300は、グリップモータ204を動作させグリップアーム44を開かせる(S180)。この後、CPU300は、搬送モータ202を排紙方向とは逆方向に回転させ、シフトローラ30によってシートを引き戻し(S190)、シート後端をストッパー部材31に突き当てさせる(この動作を整合動作と称す)。
【0030】
なお、シート後端をストッパー部材31に突き当てる際のシフトローラ30の回転量は、シートの搬送を止めてスイッチバックさせる地点から、ストッパー部材31までの距離よりも若干多く搬送できるような回転量としている。つまり、シフトローラ30を、シートをストッパー部材31に当接させる距離だけ搬送した後も、所定時間逆転させるようにしている。これは、画像形成装置本体500aから送られてくる際に生じるシートの斜行を考慮しているためである。
【0031】
これにより、シートをストッパー部材31に確実に当接させることができる。なお、このように所定時間逆転させる間にシートがストッパー部材31に当接した場合、シフトローラ30はシート上を空回り(スリップ)するようになっている。
【0032】
次に、CPU300は、画像形成装置本体500aらのサイズ情報により排出されるシートサイズをチェックする(S200)。そして、CPU300は、排出されるシートのサイズに応じたオフセット移動量、即ち処理トレイ14に排出されたシートを整合部材32に押し付けるために必要なシート幅方向の移動量であるオフセット移動量を算出する(S210)。
【0033】
次に、CPU300は、オフセットモータ201を駆動し、シフトローラ30をオフセット移動させる(S220)。ここで、このようにシフトローラ30が移動する際、シフトローラ30に接したシートはシフトローラ30の摩擦力によって整合部材32の方向に、シフトローラ30と共に移動する。なお、このときグリップアーム44は、シートの移動の負荷とならないように上方回動している。
【0034】
そして、シフトローラ30がオフセット移動し、シートの幅方向端が整合部材32に突き当たることのより、シートの幅方向整合が行われる。なお、シフトローラ30はシートを整合部材32に突き当てた後、若干シートの上を滑りながら移動して止まる。このようにして、一枚目のシートの整合が完了する。このように、シートの後端及び幅方向端を整合させる動作を整合動作と称す。ただし、後述するように、シートの後端のみの整合の動作についても整合動作と称す。
【0035】
次に、このように一枚目のシートの整合が完了すると、CPU300は、ピックアップソレノイド200をオンさせ(S230)、シフトローラ30を持ち上げさせた後、グリップモータ204を動作させグリップアーム44を閉じさせる(S240)。これにより、整合済みのシートがグリップアーム44により挟持保持されるようになり、この結果、
最初に排出されたシートが、次に排出されるシートにより連れ送りされることを防ぐことができる。
【0036】
次に、CPU300は、ピックアップソレノイド200によりシフトローラ30を持ち上げさせた状態で、オフセットモータ201を動作させシフトローラ30をホームポジションまで移動させる(S250)。
【0037】
次に、CPU300は、処理トレイ14上に収容されたシートが複写原稿の最終ページに対応した最終のシートか否かをチェックする(S260)。画像形成装置本体500aから送られてきた情報に基づいて最終のシートでないと判断される場合(S260のN)、CPU300は、S100に戻って次に画像形成装置本体から送られるシート排出信号を受信する。そして、CPU300は、最終のシートが処理トレイ14に収容されるまで、前述のフローを繰り返す。
【0038】
一方、CPU300は、最終シートであると判断した場合には(S260のY)、処理トレイ14上に複写原稿に対応したシート束が形成されていることとなるので、次にステープル処理が選択されているか否かをチェックする(S270)。ステープル処理が選択されている場合には(S270のY)、CPU300は、グリッパーユニットモータ205を駆動させ、グリッパーユニット40によりシート束を排紙方向と逆方向のステープル位置に移動させる(S280)(この動作を移送動作と称す)。図11は、グリッパーユニット40のグリップアーム44によりシート束SAの排紙方向上流端部を把持し、搬送方向の逆方向(H方向)にシート束SAを移送させている状態を示す。ストッパー部材31は、図11に示すようにシート束SAの移送を妨げない上述した退避位置に移動している。なお、破線部は、ストッパー部材31がシートを整合させる際の位置である規制位置である。
ここで、グリッパーユニット40によりシート束を排紙方向の逆方向のステープル位置に移動させる際(移送動作)、ローラ状の摩擦ローラ150はシート束の移動に伴い回転(図11のI方向)する。このときの摩擦ローラ150の周速は、グリッパーユニット40により移動させられるシートの移動によって連れ回るので、シートの移動速度と同じである。このように摩擦ローラ150が動作することにより、摩擦ローラ150が固定され動作しない場合に比べて、グリッパーユニット40がシート束を移動させる際の搬送抵抗を軽減させることができ、シート束の移動を安定させることができる。さらに、ステープル処理するためのシート束を形成している際、摩擦ローラ150は処理トレイ14に対して回転しないため、装置の振動等の影響により、既に整合されたのシート束が整合された位置からずれてしまうことを抑えることができる。
そして、CPU300は、ステープルユニット41を駆動し、ステープル位置においてステープル処理を実行する(S290)。
【0039】
次に、ステープル処理が選択されていない場合(S270のN)、或いはステープル処理が完了した後は、CPU300は、シート束をグリップアーム44により掴んだ状態でグリッパーユニットモータ205を駆動させる。そして、CPU300は、グリッパーユニット40を排紙方向に前進させ、シート束をスタックトレイ50又は51に排出させる(S300)。
【0040】
次に、シート束の排出動作にあわせてスタックトレイ50又は51の移動(下降)処理を行い(S310)、この後、グリッパーユニット40を、ストッパー部材31とステープル位置との中間位置であるホームポジションに戻す(S320)。更に、この後、搬送ローラ対21、シフトローラ30の回転を止めるため搬送モータを停止させ(S330)、ピックアップソレノイドをオフさせることにより(S340)、シフトローラ30を下げて一連の処理を終了する。
【0041】
ここで、既述したように、グリッパーユニット40によりシート束を排紙方向と逆方向のステープル位置に移動させる際、ローラ状の摩擦ローラ150はシート束の移動に伴い回転する。このように摩擦ローラ150が動作することにより、摩擦ローラ150が固定され動作しない場合に比べて、グリッパーユニット40がシート束を移動させる際の搬送抵抗を軽減させることができ、シート束の移動を安定させることができる。さらに、ステープル処理するためのシート束を形成している際、摩擦ローラ150は処理トレイ14に対して回転しないため、装置の振動等の影響により、既に整合されたのシート束が整合された位置からずれてしまうことを抑えることができる。
【0042】
<実施形態2>
図12を用いて実施形態2に係るシート処理装置について説明する。図12は本実施形態に係るシート処理装置のグリッパーユニットがシート束を移送する動作を示す。なお、本実施形態のシート処理装置は、実施形態1の構成に対し、それぞれ後述する摩擦ローラモータ210及び摩擦ローラベルト211以外については同じ構成を有しているため、ここでは、詳しい説明は省略する。また、実施形態1と同様の構成部分については、同じ符号を用いている。
【0043】
図12の210は、摩擦ローラ150を回転させるための摩擦ローラモータである。211は、摩擦ローラモータ210の回転を摩擦ローラに伝達するための摩擦ローラベルトである。摩擦ローラ150は、摩擦ローラモータ210の回転により、摩擦ローラベルト211及び摩擦ローラ150に設けられた不図示のプーリを介して回転する。なお、摩擦ローラ150の個数及び配置位置は、図7に示すものと同じである。この摩擦ローラモータ210は、本実施形態の規制部材である。
【0044】
摩擦ローラモータ210は、図9に示すブロック図においてCPU300に接続されており、CPU300の動作指示に応じて回転するように構成されている。
【0045】
本実施形態における摩擦ローラ150の動作について説明する。
【0046】
本実施形態の摩擦ローラ150、摩擦ローラベルト211及び摩擦ローラモータ210以外の構成部分については、上述した図10のフローチャートに従い動作する。摩擦ローラ150、摩擦ローラベルト211及び摩擦ローラモータ210の動作について説明する。図10のS280のステップにおいて、グリッパーユニット40によりシート束SAを移送させる際、CPU300は、摩擦ローラモータ210を動作させ摩擦ローラ150を図12のI方向(排紙方向の逆方向)に回転させる。このときの摩擦ローラ150の周速は、グリッパーユニット40により移動させられるシートの移動速度と同じに設定してある。この摩擦ローラ150の回転を本実施形態においては、移動とも称す。しかし、摩擦ローラ150の周速が、グリッパーユニット40により移動させられるシートの移動速度よりも速い場合や遅い場合においても、摩擦ローラ150が固定され動作しない場合に比べて、グリッパーユニット40がシート束を移動させる際の搬送抵抗は軽減する。つまり、摩擦ローラ150の周速が、グリッパーユニット40により移動させられるシートの移動速度より速い場合においても、遅い場合においても、本発明の効果を得ることができる。したがって、本実施形態では、摩擦ローラ150の周速は、グリッパーユニット40により移動させられるシートの移動速度と同じに設定してあるが、シートの移動速度より速くしても遅くしても良い。そして、シート束がステ−プル位置に移送された後、CPU300は、摩擦ローラモータ210を停止させる。なお、摩擦ローラモータ210は、グリッパーユニット40によりシート束SAを移送させる時以外は動作させない。このように摩擦ローラモータ210を動作させることにより、摩擦ローラ150が固定され動作しない場合に比べて、グリッパーユニット40がシート束を移動させる際の搬送抵抗を軽減さ
せることができ、シート束の移動を安定させることができる。さらに、ステープル処理するためのシート束を形成している際、摩擦ローラ150は処理トレイ14に対して回転しないため、装置の振動等の影響により、既に整合されたのシート束が整合された位置からずれてしまうことを抑えることができる。
【0047】
なお、本実施形態において、グリッパーユニット40によりシート束をスタックトレイ50又は51に排出させる際、摩擦ローラ150は停止していた。しかし、ステープルユニット41によりシート束にステープル処理を施した後、グリッパーユニット40によりシート束をスタックトレイ50又は51に排出させる際、摩擦ローラ150をI方向の逆方向に回転させるようにし、シート束の排出が終わったら停止させてもよい。このようにすることにより、シート束の排出を安定して行うことができる。
【0048】
本実施形態において、シフトローラ30による整合動作の際、摩擦ローラ150は停止しているが、CPU300は、摩擦ローラ150を停止させておくために、摩擦ローラモータ210を励磁させておく。こうすることにより、整合動作の際に摩擦ローラ150は回転せずに保持される。
【0049】
また、本実施形態において、シフトローラ30によりシートをストッパー部材31に当接させる際、摩擦ローラ150は、停止していた。しかし、一枚目のシート(シート束を形成したときの一番下のシート)をシフトローラ30によりストッパー部材31に当接させ整合させる際、I方向に回転させてもよい。このようにすることにより、シフトローラ30は、一枚目のシートを整合させる際、シートの搬送を安定して行うことができる。
【0050】
<実施形態3>
図13を用いて実施形態3に係るシート処理装置について説明する。図13は本実施形態に係るシート処理装置のグリッパーユニットがシート束を移送する動作を示す。なお、本実施形態のシート処理装置は、実施形態1の構成に対し、それぞれ後述する摩擦部材154、摩擦部材移動モータ212、摩擦部材移動ベルト213及び摩擦部材移動ピニオン214以外については同じ構成を有しているため、ここでは、詳しい説明は省略する。また、実施形態1と同様の構成部分については、同じ符号を用いている。
【0051】
図13の154は摩擦部材であり、処理トレイ14に搬送されたシートの下面に当接するように構成されている。この摩擦部材154は、本実施形態においてはゴムを使用しているが、処理トレイ面14aの摩擦係数よりも高い摩擦係数を有した他の部材で構成してもよい。212は、摩擦部材154を排紙方向及び排紙方向と逆方向に移動させるための摩擦部材移動モータである。この摩擦部材移動モータ212は、本実施形態の規制部材である。213は、摩擦部材移動ピニオン214に摩擦部材移動モータ212の回転を伝達するための摩擦部材移動ベルトである。摩擦部材154は、摩擦部材移動モータ212の回転により、摩擦部材移動ベルト213、摩擦部材移動ピニオン214及び摩擦部材移動ピニオン214に噛みあい摩擦部材154に設けられた不図示のラックを介して排紙方向及び排紙方向と逆方向に移動する。なお、本実施形態においては、摩擦部材154は、処理トレイ14のシート幅方向中央一箇所に配置されている。しかし、摩擦部材154を処理トレイ14のシート幅方向に沿って複数箇所に配置してもよい。摩擦部材154の初期位置は、ストッパー部材31の排紙方向下流に設けられている。
【0052】
摩擦部材移動モータ212は、図9に示すブロック図においてCPU300に接続されており、CPU300の動作指示に応じて回転するように構成されている。
【0053】
本実施形態における摩擦部材154の動作について説明する。
【0054】
本実施形態の摩擦部材154、摩擦部材移動ピニオン214、摩擦部材移動ベルト213及び摩擦部材移動モータ212以外の構成部分については、上述した図10のフローチャートに従い動作する。摩擦部材154、摩擦部材移動ピニオン214、摩擦部材移動ベルト213及び摩擦部材移動モータ212の動作について説明する。図10のS280のステップにおいて、グリッパーユニット40によりシート束SAを移送させる際、CPU300は、摩擦部材移動モータ212を動作させ摩擦部材154を初期位置から図13のI方向(排紙方向の逆方向)に移動させる。このときの摩擦部材154の移動速度は、グリッパーユニット40により移動させられるシートの移動速度と同じに設定してある。しかし、摩擦部材154の移動速度が、グリッパーユニット40により移動させられるシートの移動速度よりも速い場合や遅い場合においても、摩擦部材154が固定され動作しない場合に比べて、グリッパーユニット40がシート束を移動させる際の搬送抵抗は軽減する。つまり、摩擦部材154の移動速度が、グリッパーユニット40により移動させられるシートの移動速度より速い場合においても、遅い場合においても、本発明の効果を得ることができる。したがって、本実施形態では、摩擦部材154の移動速度は、グリッパーユニット40により移動させられるシートの移動速度と同じに設定してあるが、シートの移動速度より速くしても遅くしても良い。そして、シート束がステ−プル位置に移送された後、CPU300は、摩擦部材移動モータ212を停止させる。そして、グリッパーユニット40によりシート束SAをスタックトレイ51に向けて排出した後、CPU300は、摩擦部材移動モータ212を回転させて摩擦部材154を排紙方向に移動させ、摩擦部材154が初期位置に復帰したときに摩擦部材移動モータ212を停止させる。なお、摩擦部材移動モータ212は、グリッパーユニット40によりシート束SAを移送させる時、及び摩擦部材154を初期位置に復帰させる時以外は動作させない。このように摩擦部材移動モータ212を動作させることにより、摩擦部材154が固定され動作しない場合に比べて、グリッパーユニット40がシート束を移動させる際の搬送抵抗を軽減させることができ、シート束の移動を安定させることができる。さらに、ステープル処理するためのシート束を形成している際、摩擦部材154は処理トレイ14に対して移動しないため、装置の振動等の影響により、既に整合されたのシート束が整合された位置からずれてしまうことを抑えることができる。 本実施形態において、シフトローラ30による整合動作の際、摩擦部材154は停止しているが、CPU300は、摩擦部材154を停止させておくために、摩擦部材移動モータ212を励磁させておく。こうすることにより、整合動作の際に摩擦部材154は移動せずに保持される。
【0055】
<実施形態4>
図14を用いて実施形態4に係るシート処理装置について説明する。図14(a)は処理トレイ上でシートSAが形成された状態を示す。図14(b)は本実施形態に係るシート処理装置のグリッパーユニットがシート束を移送する動作を示す。なお、本実施形態のシート処理装置は、実施形態1の構成に対し、それぞれ後述する摩擦部材155、摩擦部材移動ソレノイド215、摩擦部材移動部材216及び以外については同じ構成を有しているため、ここでは、詳しい説明は省略する。また、実施形態1と同様の構成部分については、同じ符号を用いている。
【0056】
図14の155は摩擦部材であり、処理トレイ14に搬送されたシートの下面に当接するように構成されている。この摩擦部材155は、本実施形態においてはゴムを使用しているが、処理トレイ面14aの摩擦係数よりも高い摩擦係数を有した他の部材で構成してもよい。摩擦部材155は、ストッパー部材31の排紙方向下流に設けられている。215は、摩擦部材155を、処理トレイ14に載置されたシートの下面に当接する当接位置(図14(a))と、処理トレイ14に載置されたシートの下面に当接しない退避位置(図14(b))とに移動させるための摩擦部材移動ソレノイドである。216は、摩擦部材155と摩擦部材移動ソレノイド215を接続するための摩擦部材移動部材である。摩擦部材155は、不図示のバネにより処理トレイ14に載置されるシートの方向に向かっ
て付勢されている。摩擦部材155は、摩擦部材移動ソレノイド215が摩擦部材移動部材216を引っ張ることにより、上述の当接位置から退避位置に移動する。したがって、摩擦部材移動ソレノイド215がオフの状態、つまり、摩擦部材移動部材216を引っ張らない状態の時、摩擦部材155は、当接位置に維持される。なお、本実施形態においては、摩擦部材155は、処理トレイ14のシート幅方向中央一箇所に配置されている。しかし、摩擦部材155を処理トレイ14のシート幅方向に沿って複数箇所に配置してもよい。
【0057】
摩擦部材移動ソレノイド215は、図9に示すブロック図においてCPU300に接続されており、CPU300の動作指示に応じてオン及びオフするように構成されている。
【0058】
本実施形態における摩擦部材155の動作について説明する。
【0059】
本実施形態の摩擦部材155、摩擦部材移動ソレノイド215、摩擦部材移動部材216以外の構成部分については、上述した図10のフローチャートに従い動作する。摩擦部材155、摩擦部材移動ソレノイド215、摩擦部材移動部材216の動作について説明する。図10のS280のステップにおいて、グリッパーユニット40によりシート束SAを移送させる際、CPU300は、摩擦部材移動ソレノイド215をオンさせ摩擦部材155を当接位置から退避位置に移動させる。そして、シート束がステ−プル位置に移送された後、CPU300は、摩擦部材移動ソレノイド215をオフさせる。なお、摩擦部材移動ソレノイド215は、グリッパーユニット40によりシート束SAを移送させる時以外はオンさせない。このように摩擦部材移動ソレノイド215を動作させることにより、摩擦部材155が処理トレイ14に固定され動作しない場合に比べて、グリッパーユニット40がシート束を移動させる際の搬送抵抗を軽減させることができ、シート束の移動を安定させることができる。さらに、ステープル処理するためのシート束を形成している際、摩擦部材155は処理トレイ14に対して移動しないため、装置の振動等の影響により、既に整合されたのシート束が整合された位置からずれてしまうことを抑えることができる。
【0060】
<実施形態5>
図15を用いて実施形態5に係るシート処理装置について説明する。図15(a)は処理トレイ上でシートSAが形成された状態を示す。図15(b)は本実施形態に係るシート処理装置のグリッパーユニットがシート束を移送する動作を示す。なお、本実施形態のシート処理装置は、実施形態1の構成に対し、それぞれ後述する摩擦部材156、突出部材218及び突出部材移動ソレノイド217以外については同じ構成を有しているため、ここでは、詳しい説明は省略する。また、実施形態1と同様の構成部分については、同じ符号を用いている。
【0061】
図15の156は摩擦部材であり、処理トレイ14に搬送されたシートの下面に当接するように構成され、処理トレイ14に固定されている。この摩擦部材156は、本実施形態においてはゴムを使用しているが、処理トレイ面14aの摩擦係数よりも高い摩擦係数を有した他の部材で構成してもよい。摩擦部材156は、ストッパー部材31の排紙方向下流に設けられている。217は、突出部材218を、処理トレイ14に載置されたシートの下面に当接する突出位置(図14(a))と、処理トレイ14に載置されたシートの下面に当接しない退避位置(図14(b))とに移動させるための突出部材移動ソレノイドである。突出部材218は摩擦部材の摩擦係数よりも小さい摺動部材によって構成されている。突出部材218は、不図示のバネにより退避位置に維持されるように付勢されている。突出部材218は、突出部材移動ソレノイド217が突出部材218を引っ張ることにより、回転軸218aを中心として上述の退避位置から突出位置に移動する。なお、本実施形態においては、摩擦部材156は、処理トレイ14のシート幅方向中央一箇所に
配置されている。そして、突出部材218は、シート幅方向に関して摩擦部材156の隣の位置に配置されている。しかし、摩擦部材156及び突出部材218を処理トレイ14のシート幅方向に沿って複数箇所に配置してもよい。
【0062】
突出部材移動ソレノイド217は、図9に示すブロック図においてCPU300に接続されており、CPU300の動作指示に応じてオン及びオフするように構成されている。
【0063】
本実施形態における突出部材218の動作について説明する。
【0064】
本実施形態の突出部材218及び突出部材移動ソレノイド217以外の構成部分については、上述した図10のフローチャートに従い動作する。突出部材218及び突出部材移動ソレノイド217の動作について説明する。図10のS280のステップにおいて、グリッパーユニット40によりシート束SAを移送させる際、CPU300は、突出部材移動ソレノイド217をオンさせ突出部材218を退避位置から突出位置に移動させる。このように突出部材218を突出位置に移動させ、処理トレイ14に載置されたシートの下面に当接させることで、摩擦部材156廻りのシートの領域を摩擦部材156から離間させることができる。その結果、グリッパーユニット40によりシート束SAを移送させる際、シート束SAは摩擦部材156に当接することが無くなる。その結果、摩擦部材156が固定され動作しない場合に比べて、突出部材移動ソレノイド217を動作させることにより、グリッパーユニット40がシート束を移動させる際の搬送抵抗を軽減させることができ、シート束の移動を安定させることができる。さらに、ステープル処理するためのシート束を形成している際、摩擦部材156は処理トレイ14に対して移動しないため、装置の振動等の影響により、既に整合されたのシート束が整合された位置からずれてしまうことを抑えることができる。シート束がステ−プル位置に移送された後、CPU300は、突出部材移動ソレノイド217をオフさせ突出部材218を退避位置に移動させる。なお、突出部材移動ソレノイド217は、グリッパーユニット40によりシート束SAを移送させる時以外はオンさせない。本実施例では、突出部材218が突出位置に移動することにより、摩擦部材156廻りのシートの領域を摩擦部材156から離間させている。しかし、シートを摩擦部材156から離間させなくとも、突出部材218によりシートに対して力を加えるようにすれば、摩擦部材156がシートに与える力が小さくなるので、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0065】
上述した実施形態1ないし実施形態5のシート処理装置においては、移送手段としてシートの排出方向上流端を把持することでシートを移送するグリッパ−ユニットを用いていた。しかし、移送手段はそれに限ったものでなく、シート束の上面と下面を挟持し回転することによりシート束を移送するローラ対であってもよい。
【0066】
上述した実施形態1ないし実施形態5のシート処理装置においては、シートの幅方向を揃える動作を、シフトローラ30をシートの上面に当接させた状態で幅方向に移動し整合部材32に突き当てることで行っていた。しかし、シートの幅方向を揃える動作は、ジョガーによってシートを挟むようにして揃えるようにしてもよい。また、処理トレイ14に搬送される際に、幅方向のシートのずれがほとんど無い場合は、処理トレイ14上でシートの幅方向を揃える動作を行わなくてもよい。この場合、シートの後端のみを整合させる動作についても整合動作と称す
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態1に係るシート処理装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す図。
【図2】本発明の実施形態1に係るシート処理装置の概略構成を示す図。
【図3】本発明の実施形態1シート処理装置のグリッパーユニットによりシート束を挟持する動作状態を示す図。
【図4】本発明の実施形態1に係るシート処理装置のグリッパー・ステープル部の概略構成を示す平面図。
【図5】本発明の実施形態1に係るシート処理装置のスタックトレイの昇降機構を、(a)は図2と同方向から見た模式図で、(b)は(a)のイ−イ断面図。
【図6】本発明の実施形態1に係るシート処理装置のスタックトレイの昇降位置を異ならせた3例を示す概略図。
【図7】本発明の実施形態1に係るシート処理装置の斜視図。
【図8】本発明の実施形態1に係るシート処理装置の摩擦ローラの説明図。
【図9】本発明の実施形態1に係るシート処理装置の制御部の構成を示すブロック図。
【図10】本発明の実施形態1に係るシート処理装置の動作を説明するフローチャート。
【図11】本発明の実施形態1に係るシート処理装置の摩擦ローラの動作説明図。
【図12】本発明の実施形態2に係るシート処理装置の摩擦ローラの動作説明図。
【図13】本発明の実施形態3に係るシート処理装置の摩擦部材の動作説明図。
【図14】本発明の実施形態4に係るシート処理装置の摩擦部材の動作説明図。
【図15】本発明の実施形態5に係るシート処理装置の摩擦部材の動作説明図。
【符号の説明】
【0068】
14 処理トレイ
30 シフトローラ
31 ストッパー部材
40 グリッパーユニット
41 ステープルユニット
51 スタックトレイ
150 摩擦ローラ
151 ワンウェイクラッチ
152 軸
153 摩擦部材
154 摩擦部材
155 摩擦部材
156 摩擦部材
210 摩擦ローラモータ
212 摩擦部材移動モータ
C シート処理装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次搬送されるシートが載置される載置手段と、
前記載置手段に載置されたシートを搬送するシート搬送手段と、
前記シート搬送手段により搬送されたシートの端部を規制して該シートを整合する規制手段と、
前記シート搬送手段が前記規制手段に向けてシートを搬送する搬送方向に関して前記規制手段の上流に位置するとともに、前記載置手段に載置されたシートの下面に当接する、前記載置手段のシート載置面の摩擦係数よりも摩擦係数が高い摩擦部材と、
前記規制手段により整合されたシートを前記搬送方向の下流に移送させる移送動作を行う移送手段と、
前記整合動作及び前記移送動作の際、前記搬送方向と逆方向への前記摩擦部材の移動を規制し、前記搬送方向への移動を許容する規制部材と、
を備えたことを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記摩擦部材は、回転軸心が前記搬送方向に直交する方向に向けられた回転体で構成され、前記規制部材は、前記搬送方向への前記摩擦部材の回転を許容し、前記搬送方向と逆方向への前記摩擦部材の回転を規制するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記規制部材は、前記摩擦部材の内周に配置されたワンウェイクラッチと、
軸心が前記回転軸心と同じ方向に向けられ、前記ワンウェイクラッチに嵌入し、前記載置手段に対して回転しない軸と、
を有することを特徴とする請求項2記載のシート処理装置。
【請求項4】
シートを前記移送手段により前記搬送方向の下流に移送させる際、前記摩擦部材の周速が該シートの移動速度と同じであることを特徴とする請求項2又は3記載のシート処理装置。
【請求項5】
順次搬送されるシートが載置される載置手段と、
前記載置手段に載置されたシートを搬送するシート搬送手段と、
前記シート搬送手段により搬送されたシートの端部を規制して該シートを整合する規制手段と、
前記シート搬送手段が前記規制手段に向けてシートを搬送する搬送方向に関して前記規制手段の上流に位置するとともに、前記載置手段に載置されたシートの下面に当接する、前記載置手段のシート載置面の摩擦係数よりも摩擦係数が高い摩擦部材と、
前記規制手段により整合されたシートを前記搬送方向の下流に移送させる移送動作を行う移送手段と、
を備え、
前記整合動作の際にシートの下面が前記摩擦部材から受ける力よりも、前記移送動作の際に該シートの下面が前記摩擦部材から受ける力が小さいことを特徴とするシート処理装置。
【請求項6】
前記整合動作の際に、前記摩擦部材は前記載置手段に載置されたシートの下面に当接する位置に配置され、前記移送動作の際、前記摩擦部材は前記載置手段に載置された該シートの下面に当接しない位置に移動することを特徴とする請求項5記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記規制手段は、前記シート搬送手段により搬送されたシートの端部を規制する位置と、前記移送動作の際、該シートの移送を妨げない退避位置とに移動可能であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項1】
順次搬送されるシートが載置される載置手段と、
前記載置手段に載置されたシートを搬送するシート搬送手段と、
前記シート搬送手段により搬送されたシートの端部を規制して該シートを整合する規制手段と、
前記シート搬送手段が前記規制手段に向けてシートを搬送する搬送方向に関して前記規制手段の上流に位置するとともに、前記載置手段に載置されたシートの下面に当接する、前記載置手段のシート載置面の摩擦係数よりも摩擦係数が高い摩擦部材と、
前記規制手段により整合されたシートを前記搬送方向の下流に移送させる移送動作を行う移送手段と、
前記整合動作及び前記移送動作の際、前記搬送方向と逆方向への前記摩擦部材の移動を規制し、前記搬送方向への移動を許容する規制部材と、
を備えたことを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記摩擦部材は、回転軸心が前記搬送方向に直交する方向に向けられた回転体で構成され、前記規制部材は、前記搬送方向への前記摩擦部材の回転を許容し、前記搬送方向と逆方向への前記摩擦部材の回転を規制するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記規制部材は、前記摩擦部材の内周に配置されたワンウェイクラッチと、
軸心が前記回転軸心と同じ方向に向けられ、前記ワンウェイクラッチに嵌入し、前記載置手段に対して回転しない軸と、
を有することを特徴とする請求項2記載のシート処理装置。
【請求項4】
シートを前記移送手段により前記搬送方向の下流に移送させる際、前記摩擦部材の周速が該シートの移動速度と同じであることを特徴とする請求項2又は3記載のシート処理装置。
【請求項5】
順次搬送されるシートが載置される載置手段と、
前記載置手段に載置されたシートを搬送するシート搬送手段と、
前記シート搬送手段により搬送されたシートの端部を規制して該シートを整合する規制手段と、
前記シート搬送手段が前記規制手段に向けてシートを搬送する搬送方向に関して前記規制手段の上流に位置するとともに、前記載置手段に載置されたシートの下面に当接する、前記載置手段のシート載置面の摩擦係数よりも摩擦係数が高い摩擦部材と、
前記規制手段により整合されたシートを前記搬送方向の下流に移送させる移送動作を行う移送手段と、
を備え、
前記整合動作の際にシートの下面が前記摩擦部材から受ける力よりも、前記移送動作の際に該シートの下面が前記摩擦部材から受ける力が小さいことを特徴とするシート処理装置。
【請求項6】
前記整合動作の際に、前記摩擦部材は前記載置手段に載置されたシートの下面に当接する位置に配置され、前記移送動作の際、前記摩擦部材は前記載置手段に載置された該シートの下面に当接しない位置に移動することを特徴とする請求項5記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記規制手段は、前記シート搬送手段により搬送されたシートの端部を規制する位置と、前記移送動作の際、該シートの移送を妨げない退避位置とに移動可能であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−256031(P2011−256031A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133746(P2010−133746)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
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