説明

シート取り出しおもちゃ

【課題】ティッシュを取り出して遊びながら、出したものを自分で片付けるということを学ぶことができるシート取り出しおもちゃを提供する。
【解決手段】シート取り出しおもちゃ11は、内部に空間を有する容器12と、容器12の内部に配置され、容器12内部の空間を第1および第2領域12d,12eに分割する仕切り部材14と、第1領域12dと連通して第1領域12dに収納されたシート16を取り出し可能とする第1シート取出口12aと、第2領域12eに連通して取り出したシートを投入可能とするシート投入口12bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、子供がティッシュ等のシートを取り出して遊ぶことができるシート取り出しおもちゃに関するものである。
【背景技術】
【0002】
子供は、大人の行動に興味を持って真似しようとする。例えば、大人がティッシュを取り出すのを見て、子供がティッシュ箱から全てのティッシュを取り出してしまう等ということがある。従来では、子供が取り出したティッシュは、実際に使用されることなく廃棄されており、また、部屋中に散乱したティッシュは大人が片付ける必要があった。
【0003】
そこで、上記の問題点を解消すると共に、子供がティッシュを取り出して遊ぶことができるティッシュ型おもちゃが特開2005−13417号公報(特許文献1)に記載されている。同公報に記載されているティッシュ型おもちゃは、シートを入れる収納体と、上面に取り出し穴を有する蓋とが開閉可能な状態で取り付けられている。
【0004】
このティッシュ型おもちゃは、収納体にティッシュを模したシートを収納し、取り出し穴から取り出し可能とすることにより、幼児期の「引っ張り出す」という興味を損なわせず、楽しむことができると記載されている。
【特許文献1】特開2005−13417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、おもちゃの役割は、子供を楽しませるというだけでなく、遊びを通じて子供が生活に必要な事柄を習得できることが期待されている。例えば、ティッシュを取り出して遊んだ後には、取り出したティッシュを自分で片付けることも重要であって、これを興味を持ちながら学べるおもちゃであることが望ましい。
【0006】
上記構成のティッシュ型おもちゃは、シートを収納体に入れるために収納体と蓋とが開閉可能となっているが、これは大人がシートを収納体に戻して子供が再度遊べるようにするためのものであって、子供が取り出したシートを自分で元に戻すことを企図したものではないと考えられる。
【0007】
そこで、この発明の目的は、ティッシュを取り出して遊びながら、出したものを自分で片付けるということを学ぶことができるシート取り出しおもちゃを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るシート取り出しおもちゃは、内部に空間を有する容器と、容器の内部に配置され、容器内部の空間を第1および第2領域に分割する仕切り部材とを備える。そして、容器は、第1領域と連通して、第1領域に収納されたシートを取り出し可能とする第1シート取出口と、第2領域に連通して、取り出したシートの投入を可能とするシート投入口とを有する。
【0009】
上記構成のシート取り出しおもちゃは、第1シート取出口から取り出したシートをシート投入口に入れて遊ぶ。これにより、子供が遊びを通じて、出したものを自分で片付けるということを学ぶことができる。
【0010】
好ましくは、容器は、第2領域と連通して、シート投入口から第2領域に投入されたシートを取り出し可能とする第2シート取出口とを備える。これにより、シート投入口から投入したシートを第2シート取出口から再度取り出して遊ぶことが可能となる。
【0011】
さらに好ましくは、シート取り出しおもちゃは、容器の第2領域内に配置されて、シート投入口から投入されたシートを第2シート取出口に案内するシート案内部材をさらに有する。これにより、第2シート取出口からシートを取り出しやすくなる。
【0012】
一実施形態として、容器は、蓋付き円筒形状のごみ容器の形態を有しており、容器の外周面には、目および口を有する顔の図形が表現されており、第1シート取り出し口は、口の図形部分に設けられ、シート投入口は、蓋によって開閉可能とされている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1〜図3を参照して、この発明の一実施形態に係るシート取り出しおもちゃ11を説明する。なお、図1はシート取り出しおもちゃ11の正面図、図2はシート取り出しおもちゃ11の背面図、図3はシート取り出しおもちゃ11の内部構造を示す図である。
【0014】
シート取り出しおもちゃ11は、第1および第2シート取出口12a,12cおよびシート投入口12bを有する容器12と、容器12の上面に配置されてシート投入口12bを開閉可能とする蓋13と、容器12の内部を第1および第2領域12d,12eに分割する仕切り部材14と、第2領域12e内に配置されて、シート投入口12bから投入されたシート16を第2シート取出口12cに案内するシート案内部材15とを備え、第1領域12dにシート16が収納されている。
【0015】
容器12は、底面から上方に向かって広がる略円筒形状であって、下部側面に第1および第2シート取出口12a,12cが互いに反対向きに設けられており、上面の開口部はシート投入口12bとなっている。また、容器12の内部は、仕切り部材14によって第1および第2領域12d,12eに分割されている。
【0016】
また、容器12および蓋13は金属をプレス成型して形成されており、容器12の側面に縦長の凹部を複数設ける等して、全体として蓋付きのゴミ箱との印象を受けるような形態となっている。さらに、容器12側面の正面中央部には2つの目が描かれており、目の下に口を模した形状の第1シート取出口12aが設けられて、口から舌が出ているように第1シート取出口12aからシート16の一部が飛び出している。
【0017】
仕切り部材14は、第1シート取出口12aが第1領域12dに連通し、シート投入口12bおよび第2シート取出口12cが第2領域12eに連通するように、容器12の内部を分割する。なお、この実施形態における仕切り部材14は、シート16を収容する箱であって、例えば、市販のティッシュ箱等が該当する。
【0018】
案内部材15は、容器12を斜めに横切るように配置される板状の部材であって、シート投入口12bから案内部材15の上面に落ちたシート16が第2シート取出口12cの近くに集まるようにスロープを形成している。なお、案内部材15は、第1領域12dにシート16を収納可能とするために、容器12に対して着脱自在となっている。
【0019】
シート16は、第1シート取出口12aから取り出し可能な状態で第1領域12dに収納されている。この実施形態におけるシート16は、箱に収納された市販のティッシュであるが、これに限ることなく、この発明に適用可能なシート16としては、ハンカチ、タオル、またはトイレットペーパー等であってもよい。
【0020】
上記構成のシート取り出しおもちゃ11において、子供は、まず第1シート取出口12aからシート16を取り出す。次に、蓋13を外して取り出したシート16をシート投入口12bに投入する。これにより、シート投入口12bに投入されたシート16は第2シート取出口12cから取り出し可能となる。次に、第2シート取出口12cからシート16を取り出して、再度シート投入口12bに投入する。
【0021】
例えば、大人が子供の前で上記のようにして見せることによって、子供は興味を持って真似をする。これにより、子供は、遊びを通して取り出したものを自分で片付けることを覚える。
【0022】
また、シート投入口12bの周辺に発音体や発光体を取り付けて、シート16をシート投入口12bに入れたとき、若しくは蓋13を外したときに、音が鳴ったり光ったりさせてもよい。これにより、子供にシート16をシート投入口12bに入れることに強い興味を抱かせることができる。
【0023】
また、シート16をティッシュとした場合でも、シート投入口12bから第2領域12eに収納されたティッシュは第2シート取出口12cから取り出して使用可能となるので、子供がティッシュ遊びをしても無駄になることがない。
【0024】
次に、図4を参照して、この発明の他の実施形態に係るシート取り出しおもちゃ21を説明する。なお、シート取り出しおもちゃ21の外観は、図1および図2に示したシート取り出しおもちゃ11と共通であるので、内部構造を中心に説明する。
【0025】
シート取り出しおもちゃ21は、第1および第2シート取出口22a,22cおよびシート投入口22bを有する容器22と、容器22の内部の空間を第1および第2領域22d,22eに分割する仕切り部材24とを備え、第1領域22dには、一部が第1シート取出口22aから突出するシート26が収容されている。また、仕切り部材24は、シート投入口22bから投入されたシート26を第2シート取出口22cに案内するシート案内部材としても機能する。
【0026】
なお、上記の各実施形態においては、シート案内部材を有するシート取り出しおもちゃ11,21の例を示したが、シート案内部材はこの発明の必須の構成要素ではない。例えば、図5を参照して、図3に示すシート取り出しおもちゃ11の案内部材15を取り外した状態で使用してもよい。
【0027】
また、図6を参照して、図4に示すシート取り出しおもちゃ21の変形例として、容器32の内部を上下に分割するように仕切り部材34を容器32の底面と平行に配置してもよい。なお、この場合においては、第2シート取出口32cは、第1シート取出口32aよりも上側に位置することになる。
【0028】
また、上記の各実施形態においては、投入口から投入されたシートを再度取り出すことができるようにシート取出口を2箇所設けた例を示したが、第2シート取出口を設けない場合であっても、子供が出したものを自分で片付けることを覚えるというこの発明の効果を得ることはできる。
【0029】
なお、上記の各実施形態においては、金属をプレス加工して形成した容器の例を示したが、これに限ることなく、任意の構成の容器を採用することができる。例えば、樹脂材料を射出成型して形成してもよいし、木製の容器であってもよい。または、図7を参照して、容器42と、蓋43と、仕切り部材44とを備えるこの発明の他の実施形態に係るシート取り出しおもちゃ41は、クッションのような軟らかい素材で形成された容器42の形状を保持するために、形状保持部材45を容器42の内部に配置している。なお、その他の構成は、シート取り出しおもちゃ11と共通するので説明は省略する。
【0030】
形状保持部材45は、直径の異なる2枚の円板45a,45bと、2枚の円板45a,45bの間に配置される複数の柱部45cとを有し、容器42の形状に合わせて直径の大きい円板45aを上にして容器42内に配置する。また、円板45aは、シート投入口42bと第2領域42eとを連通させるために中央に穴が設けられている。
【0031】
これにより、容器42の形状を保持しつつ、子供が触れる部分を軟らかい素材にすることによって、安全で、かつ感触を楽しみながら遊ぶことができるシート取り出しおもちゃ41を得ることができる。
【0032】
さらには、上記の各実施形態におけるシート取り出しおもちゃは、椅子として使用することもできる。例えば、図1〜図6に示すシート取り出しおもちゃ11,21,31は、蓋13,23,33を取り外して、容器12,22,32を天地を逆にして床面上に載置すれば椅子として使用することができる。また、図7に示すシート取り出しおもちゃ41は、そのままの状態(形状保持部材45を容器42の中に収納した状態)で椅子として使用できる他、形状保持部材45を容器42から取り出して直径の小さい円板45bを上にしても椅子として使用することができる。
【0033】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
この発明は、子供が遊びを通して学ぶことができるシート取り出しおもちゃに有利に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の一実施形態に係るシート取り出しおもちゃの正面図である。
【図2】図1のシート取り出しおもちゃの背面図である。
【図3】図1のシート取り出しおもちゃの内部構造を示す図である。
【図4】この発明の他の実施形態に係るシート取り出しおもちゃの内部構造を示す図である。
【図5】図3のシート取り出しおもちゃから案内部材を取り出した状態を示す図である。
【図6】この発明の他の実施形態に係るシート取り出しおもちゃを示す図である。
【図7】この発明の他の実施形態に係るシート取り出しおもちゃを示す図である。
【符号の説明】
【0036】
11,21,31,41 シート取り出しおもちゃ、12,22,32,42 容器、12a,12c,22a,22c,32a,32c,42a,42c 取出口、12b,22b,32b,42b シート投入口、12d,12e,22d,22e,32d,32e,42d,42e 領域、13,23,33,43 蓋、14,24,34,44 仕切り部材、15 案内部材、45 形状保持部材、16,26,36,46 シート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空間を有する容器と、
前記容器の内部に配置され、前記容器内部の空間を第1および第2領域に分割する仕切り部材とを備え、
前記容器は、前記第1領域と連通して、前記第1領域に収納されたシートを取り出し可能とする第1シート取出口と、
前記第2領域に連通して、取り出したシートの投入を可能とするシート投入口とを有する、シート取り出しおもちゃ。
【請求項2】
前記容器は、前記第2領域と連通して、前記シート投入口から前記第2領域に投入されたシートを取り出し可能とする第2シート取出口とを備える、請求項1に記載のシート取り出しおもちゃ。
【請求項3】
前記シート取り出しおもちゃは、前記容器の第2領域内に配置されて、前記シート投入口から投入されたシートを前記第2シート取出口に案内するシート案内部材をさらに有する、請求項2に記載のシート取り出しおもちゃ。
【請求項4】
前記容器は、蓋付き円筒形状のごみ容器の形態を有しており、
前記容器の外周面には、目および口を有する顔の図形が表現されており、
前記第1シート取り出し口は、口の図形部分に設けられ、
前記シート投入口は、前記蓋によって開閉可能とされている、請求項1〜3のいずれかに記載のシート取り出しおもちゃ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−284106(P2007−284106A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113337(P2006−113337)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(390006231)アップリカ育児研究会アップリカ▲葛▼西株式会社 (97)
【Fターム(参考)】