説明

シート後処理装置およびシート整合方法

【課題】シートの整合性をより向上可能なシート後処理装置を提供すること。
【解決手段】両面コピーされた薄紙などカールにより整合性を確保し難い用紙Sに対しては、トレイ150上において回転するパドル88a、217により搬送方向の整合(1回目)を行い((a)〜(c))、1回目の搬送方向の整合が終了すると、パドルを用紙Sから離間する位置に移動させた後(d)、整合板521,522により、搬送方向とは直交する幅方向の整合を行い(e)、幅方向の整合が終了すると、パドルを用紙Sに接触する位置に戻して、再度、搬送方向の整合(2回目)を行う(f)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置から出力されて、後処理用のトレイに収容されたシート束を整合した後、シート束にステープル綴じなどの後処理を施すシート後処理装置およびシート整合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機などの画像形成装置で実行されるジョブにより画像形成装置から出力されるプリント後のシートを1枚ずつ後処理用のトレイ(以下、「トレイ」という。)上に積載して収容し、トレイ上に積載されたシート束を整合した後、シート束を綴じるステープル綴じやシート束に孔を開けるパンチなどの後処理を行うシート後処理装置が開発されている。
トレイ上のシート束の整合は、通常、シートの搬送方向と、搬送方向に直交する幅方向のそれぞれに対して行われる。
【0003】
シートの搬送方向の整合方法として、特許文献1には、幅方向に沿った軸を中心に回転する弾性体からなるローレットベルトを、トレイ上における最上位のシートの上面に押し付けて、ローレットベルトの復元力による当該シートへの押圧力とローレットベルトの回転力により、当該シートを搬送方向下流のストッパーに向けて搬送して、ストッパーに当てることにより搬送方向に揃える方法が開示されている。
【0004】
また、幅方向の整合方法として、例えばトレイ上のシート束を挟んで幅方向の両側に配置された一対の整合板を幅方向に沿ってシート束に近づく方向に移動させて、シートの幅方向側縁を押してシートを幅方向に移動させることにより幅方向に揃える方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−145604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来の構成では、シートの整合性が低下するという問題がある。
すなわち、トレイ上に積載されたシート束がローレットベルトにより常時、上から押さえられているので、ローレットベルトと最上位のシートの上面との間に摩擦力が生じ、その摩擦力の作用により、シートが幅方向に移動し難くなり、整合板でシートを幅方向に押してもシートが揃わないことが生じるからである。
【0007】
特に、腰の弱いシート、例えば薄紙を整合板で押すと、薄紙の、整合板との当接部分が曲がってしまい(いわゆる腰砕けの状態になり)、整合板の押圧力がその薄紙の全体に伝わらず、整合板で押しても薄紙全体を幅方向に移動させることができなくなり、整合性が低下することが多く発生してしまう。
また、ローレットベルトに代えて、例えば可撓性を有する細長状のパドルを幅方向に沿う回転軸の周りを回転させて、その回転するパドルの先端部をトレイ上の最上位のシートに当てて当該シートを搬送する構成をとる場合でも、幅方向の整合の際に、パドルの先端部が当該シートに当たっていると、パドルの復元力によりパドルがシートを押さえつける状態になり、上記と同様に整合性が低下するという問題が生じ得る。
【0008】
整合性が低下しているシート束に後処理を施すと、各シートが搬送方向または幅方向にずれた姿勢でステープル綴じされたりパンチで孔が開けられたりして見栄えが悪く、場合によっては後処理をやり直す必要も生じる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、シートの整合性をより向上可能なシート後処理装置およびシート整合方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係るシート後処理装置は、画像形成装置から出力され、後処理用のトレイに積載されたシートを整合した後、後処理を施すシート後処理装置であって、トレイ上のシートの搬送を規制するためのストッパーと、トレイ上における最上位のシートを、その上面を押さえながら当該シートにストッパーに向かう方向の搬送力を付与してストッパーに当てることにより搬送方向に整合する第1整合部材と、第1整合部材の位置を、トレイ上における最上位のシートの上面に当たる第1位置と当該シートの上面から離間する第2位置とに選択的に切り替える切替手段と、トレイ上におけるシートの搬送方向に直交する幅方向の側縁を押して当該シートを幅方向に移動させることにより整合する第2整合部材と、1枚のシートごとに、第1位置に位置する第1整合部材による1回目の整合を行った後、第1整合部材を第2位置に切り替えて第2整合部材による整合を行い、その後、第1整合部材を第1位置に戻して第1整合部材による2回目の整合を行わせる整合モードを実行する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、前記制御手段は、トレイ上に搬送されて来るシートの種類に関する情報を取得する取得手段を備え、前記整合モードを第2整合モードとしたとき、第2整合モードとは別に、第1位置に位置する第1整合部材による整合と、これに並行して、第2整合部材による整合を行わせる第1整合モードを切り替えて実行可能であり、取得した情報から、前記シートが第1整合モードを適用すべき第1種類に属するか第2整合モードを適用すべき第2種類に属するかを判断し、第1種類に属することを判断すると、当該シートに対して第1整合モードを実行し、第2種類に属することを判断すると、当該シートに対して第2整合モードを実行することを特徴とする。
【0011】
ここで、前記情報は、シートの腰の強さを指標する情報であり、第2種類に属するシートは、第1種類に属するシートよりも腰が弱いシートであることを特徴とする。
また、前記画像形成装置は、シートの片面にだけ画像を形成する片面モードと、シートの両面に画像を形成する両面モードを切り替えて実行可能であり、前記制御手段は、片面モードによるシートに対しては第2種類に属するものであっても第2整合モードの実行を禁止し、第1整合モードを実行することを特徴とする。
【0012】
さらに、第1整合モードは、第1整合部材による整合が開始されてから時間t0を経過すると、第1整合部材による整合と並行するように、第2整合部材による整合を開始し、第2整合モードは、第1整合部材による1回目の整合を時間t1に亘って行い、時間t1が経過すると第1整合部材による整合に代えて、第2整合部材による整合を開始し、前記時間t1は、時間t0よりも短いことを特徴とする。
【0013】
また、前記制御手段は、トレイ上に搬送されて来るシートの質量を指標する情報を取得し、第1整合部材による1回目の整合時間t1を、シートの質量の大きさに応じて可変させることを特徴とする。
ここで、第1整合部材による1回目の整合時間t1は、シートの質量が小さくなるに伴って短くなることを特徴とする。
【0014】
また、前記シートの質量を指標する情報は、シートのサイズまたは坪量を示す情報であることを特徴とする。
さらに、第1整合部材による1回目の整合時間t1よりも、第1整合部材による2回目の整合時間t2の方が短いことを特徴とする。
また、前記制御手段は、トレイ上に搬送されて来るシートが整合対象となるシート束の最終紙であるか否かを判断する判断手段を備え、1枚のシートごとに、シートが最終紙でない場合には、第1整合部材による2回目の整合が終了すると、第1整合部材の位置を第1位置に維持させた状態で、次の第1整合部材による整合が行われるまで待機させ、シートが最終紙である場合には、第1整合部材による2回目の整合が終了すると、第1整合部材の位置を第1位置から第2位置に切り替えることを特徴とする。
【0015】
さらに、第1整合部材は、シートの幅方向に沿った軸を中心に回転する支持体に支持された可撓性のパドルであることを特徴とする。
また、前記後処理は、複数枚のシートを綴じるステープル綴じであることを特徴とする。
本発明に係るシート整合方法は、画像形成装置から出力され、後処理用のトレイに積載されたシートを1枚のシートごとに整合した後、後処理を施すシート後処理装置におけるシート整合方法であって、トレイ上における最上位のシートの上面を第1整合部材により押さえながら当該シートにストッパーに向かう方向の搬送力を付与してストッパーに当てることにより搬送方向に整合する第1整合を行う第1ステップと、第1ステップの後、第1整合部材を前記シートから離間させてから、第2整合部材により当該シートの搬送方向に直交する幅方向の側縁を押して当該シートを幅方向に移動させることにより整合する第2整合を行う第2ステップと、第2ステップの後、第1整合部材を前記シートに当接する位置に戻して、再度、第1整合を行う第3ステップと、を含むステップを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
上記のように構成すれば、第2整合部材による整合が行われている間には、第1整合部材がトレイ上のシートから離間することになるので、第1整合部材がトレイ上のシートを押し付けることによりシートが幅方向に移動し難くなって整合性が低下することを防止することができ、シートの整合性をより向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】画像形成装置とシート後処理装置の全体構成を示す図である。
【図2】シート後処理装置の用紙整合部の構成を示す斜視図である。
【図3】整合板によるCD整合の様子を模式的に示す平面図である。
【図4】第1パドル部に含まれる、用紙幅方向中央に位置するサブパドル部を図2の矢印Aで示す方向から見たときの図である。
【図5】第2パドル部の構成を示す正面図である。
【図6】ステープラーの移動域を示す平面図である。
【図7】シート後処理装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【図8】第1整合モードによる1枚の用紙Sに対する整合動作を説明するための模式図である。
【図9】第2整合モードによる1枚の用紙Sに対する整合動作を説明するための模式図である。
【図10】整合処理の内容を示すフローチャートである。
【図11】第1整合処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図12】第2整合処理のサブルーチンにおける一部の内容を示すフローチャートである。
【図13】第2整合処理のサブルーチンにおける残りの部分の内容を示すフローチャートである。
【図14】整合処理のタイミングチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るシート後処理装置の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(1)全体構成
図1は、画像形成装置1Aとシート後処理装置1Bの全体構成を示す図である。
同図に示すように、画像形成装置1Aは、画像読取部1と、作像部2と、給送部3と、定着部4と、両面搬送部5と、制御部6と、操作部7などを備えており、用紙Sの一方の面に画像形成を行う片面モードと、用紙Sの第1面と第2面のそれぞれに画像形成を行う両面モードを含む各種ジョブを実行可能な多機能複合機である。
【0019】
画像読取部1は、ユーザーによりセットされた原稿の画像を読み取って画像データを生成する。
作像部2は、画像読取部1により生成される画像データに基づいて、用紙Sに画像を形成するものであり、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各色のそれぞれに対応する作像ユニット(以下、「IU」という。)10Y,10M,10C,10Kおよび中間転写ベルト21などを備える。
【0020】
IU10Y〜10Kは、矢印Aで示す方向に回転駆動される感光体ドラム11Y〜11Kを有し、電子写真方式による帯電、露光、現像などの各工程を経て感光体ドラム11Y〜11K上にトナー画像を形成する。
中間転写ベルト21は、矢印Bで示す方向に周回走行され、IU10Y,10M,10C,10Kは、この順に、中間転写ベルト21の周回方向上流から下流に向かって列設される。ここでは、IU10Kが最下流に位置する。
【0021】
中間転写ベルト21は、駆動ローラー22と従動ローラー23とに張架されている。
中間転写ベルト21を介して感光体ドラム11Y〜11Kと対向する位置には、一次転写ローラー24Y,24M,24C,24Kが配置され、中間転写ベルト21を介して駆動ローラー22と対向する位置には、二次転写ローラー25が配置されている。中間転写ベルト21と二次転写ローラー25との間には、転写ニップが確保されており、この転写ニップが二次転写位置29になる。
【0022】
給送部3は、用紙Sを収容する2つの給紙カセット31A,31Bと、給紙カセット31A,31B内の用紙Sを搬送路39に向けて1枚ずつ繰り出す繰り出しローラー32A,32Bと、繰り出された用紙Sを矢印Cで示す方向に搬送する搬送ローラー対33,34と、二次転写位置29に用紙Sを送り出すタイミングをとるためのタイミングローラー対35などを備えている。
【0023】
給紙カセット31A,31Bには、異なるサイズの用紙Sを収容可能であり、また普通紙や薄紙、厚紙などの異なる厚みの用紙を収容することもでき、選択された方の給紙カセットからその給紙カセットに収容されている用紙が1枚ずつ給紙される。普通紙は、例えば60〜80〔g/m〕程度、薄紙は、例えば35〜60〔g/m〕程度、厚紙は、例えば80〜150〔g/m〕程度の範囲のものとすることができるが、これらの数値に限られることはない。
【0024】
定着部4は、筒状の定着ローラー41と、定着ローラー41を押圧して定着ローラー41表面との間に定着ニップNを確保する加圧ローラー42と、定着ローラー41に内挿されるヒーター43などを備え、定着ローラー41の表面温度が定着温度、例えば160℃に維持される。
両面搬送部5は、反転爪51と、循環路59に設けられる両面搬送ローラー対52,53,54,55などを備える。
【0025】
操作部7は、装置本体の前面の、ユーザーが操作し易い位置に配され、ユーザーによる入力操作、例えば片面と両面モードの選択、画像形成枚数の設定、給紙カセットの用紙サイズや用紙厚の区別などの設定、使用すべき給紙カセットの選択、ジョブの実行指示などを受け付けて、受け付けた情報を制御部6に送る。
制御部6は、操作部7からのユーザーによる入力情報を受け付けると共に、ユーザーの指示による片面モードまたは両面モードによる画像形成のジョブを、画像読取部1により生成された画像データに基づいて、作像部2、給送部3、定着部4、両面搬送部5等を制御して円滑に実行させる。
【0026】
<片面モードの場合>
片面モードの画像形成の場合には、IU10Y〜10Kごとに、画像データに基づく露光により、帯電された感光体ドラム11Y〜11K上に静電潜像が形成され、形成された静電潜像が現像剤としてのトナーにより現像されてトナー像として顕像化される。
感光体ドラム11Y〜11K上の各色トナー像は、一次転写ローラー24Y〜24Kによる静電力の作用により、感光体ドラム11Y〜11Kから中間転写ベルト21上に一次転写される。この際、各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト21上の同じ位置に重ね合わせて一次転写されるようにタイミングをずらして実行される。
【0027】
中間転写ベルト21上に一次転写された各色トナー像は、矢印Bで示す方向に周回走行する中間転写ベルト21により二次転写位置29に移動する。
一方、中間転写ベルト21上の各色トナー像の移動タイミングに合わせて、給送部3からは、選択された給紙カセットから繰り出された用紙Sがタイミングローラー対35を介して給送されて来ており、その用紙Sは、周回する中間転写ベルト21と二次転写ローラー25の間に挟まれて搬送され、二次転写位置29において静電力により、中間転写ベルト21上の各色トナー像が一括して用紙Sの片面(第1面)に二次転写される。
【0028】
二次転写位置29を通過した用紙Sは、定着部4に搬送され、定着ニップNを通過する際に、用紙S上の各色トナー像が加熱、加圧されて用紙Sの第1面に定着される。
定着部4を通過した用紙Sは、矢印Dで示す方向に搬送され、反転爪51に導かれる。
反転爪51は、支点を中心に上下に揺動することにより、同図の実線で示す第1姿勢と破線で示す第2姿勢に切り替え可能に構成されている。用紙Sの搬送方向先端(用紙の先端)が反転爪51に到達するまでの間には、反転爪51が自重で第1姿勢になり、用紙Sが反転爪51を通過するときに、用紙Sの先端が反転爪51を押し上げることにより、反転爪51が第2姿勢に切り替わる。用紙Sの搬送方向後端(用紙の後端)が反転爪51を通過すると、反転爪51が自重により元の第1姿勢に戻るようになっている。
【0029】
反転爪51を通過した用紙Sは、排出ローラー対37に導かれ、排出ローラー対37により排出される。排出ローラー対37により排出された用紙Sは、搬送ローラー対8A,8B,8Cを備える搬送ユニット8により搬送路8Dを搬送され、シート後処理装置1Bに送られる。シート後処理装置1Bの構成については、後述する。
<両面モードの場合>
両面モードによる画像形成の場合には、二次転写位置29で片面(第1面)にトナー像が二次転写された用紙Sは、定着部4から反転爪51を通って排出ローラー対37に搬送される。
【0030】
この時点では、排出ローラー対37は、正転しており、用紙Sは、排出ローラー対37により、さらに矢印Dで示す方向に搬送される。
排出ローラー対37により搬送される用紙Sの後端が反転爪51を通過した直後に排出ローラー対37が逆転される。この逆転により、用紙Sが反転して矢印Eで示す方向に搬送される(スイッチバック)。このとき、反転爪51が第1姿勢(実線)に戻っているので、スイッチバック後の用紙Sの先端は、反転爪51の上側を案内されて、循環路59に導かれる。
【0031】
循環路59に導かれた用紙Sは、両面搬送ローラー対52〜55により矢印Fで示す方向に搬送され、再びタイミングローラー対35を介して、二次転写位置29まで搬送される。用紙Sの二次転写位置29への搬送タイミングに合わせて、作像部2において第2面に対する各色トナー像の作像が行われており、中間転写ベルト21上に重ね合わされた各色トナー像が二次転写位置29において一括して用紙Sの第2面に二次転写される。
【0032】
二次転写位置29において第2面に各色トナー像が二次転写された用紙Sは、定着部4に搬送され、定着部4においてその各色トナー像が用紙Sの第2面に定着される。定着部4を通過した用紙Sは、反転爪51を介して排出ローラー対37に導かれる。この時点では、排出ローラー対37は、片面モードのときと同様に正転しており、搬送されて来た用紙Sをさらに搬送する。排出ローラー対37により搬送される用紙Sは、搬送ユニット8を介してシート後処理装置1Bに送られる。
【0033】
(2)シート後処理装置1Bの構成
シート後処理装置1Bは、用紙搬入部101と、搬送路切替部102と、用紙排出部103と、排紙トレイ104と、用紙整合部105と、ステープラー106と、積載トレイ部107と、制御部108などを備え、画像形成装置1Aから搬送ユニット8を介して出力された用紙Sに対し、ステープル綴じを行うステープル綴じ機能などを含む後処理を施すものである。
【0034】
用紙搬入部101は、搬送ユニット8の搬送ローラー対8Cから排出される用紙Sを受け入れて、搬送ローラー対121により搬送路190を搬送路切替部102に向けて搬送する。
搬送路切替部102は、制御部108の指示により、用紙搬入部101からの用紙Sの搬送先を搬送路191,192のいずれかに切り替える。用紙Sに対してステープル綴じを行わない場合には、搬送路191に切り替えられ、ステープル綴じを行う場合には、搬送路192に切り替えられる。
【0035】
用紙排出部103は、搬送路191を搬送される用紙を排出ローラー対122により機外に排出して、排紙トレイ104に収容させる。
搬送路切替部102により搬送路192に導かれた用紙Sは、搬送ローラー対123により矢印Gで示す方向に搬送され、搬送ローラー対124を通過して、その搬送方向(矢印aで示す方向)の前方に配置された排出ローラー対125に向かう。
【0036】
排出ローラー対125は、上側のローラーが下側のローラーに対して上下方向に移動可能になっており、ステープル綴じの実行前には、上側のローラーが下側のローラーから離間すると共に上側と下側のローラーの回転が停止された状態で待機される。
搬送ローラー対124により搬送される用紙Sの先端が排出ローラー対125の上側と下側のローラー間を通過した後、その用紙の搬送方向後端が搬送ローラー対124を通過すると、その用紙Sは、用紙整合部105の後処理用のトレイ150に導かれる。
【0037】
トレイ150は、排出ローラー対125が位置する側が上方、ステープラー106の位置する側が下方になるように傾斜した状態で配置されており、トレイ150上に落とされた用紙Sは、重力によりトレイ150上を矢印cで示す方向に滑降して、ステープラー106に向かう。
用紙整合部105は、CD整合部151と、FD整合部152を備え、1枚の用紙Sがトレイ150上に搬送されて来るごとに、その用紙Sがトレイ150上をステープラー17に向けて搬送されるときの搬送方向(FD方向)に沿う整合(以下、「FD整合」という。)と、当該搬送方向に直交する用紙幅方向に沿う整合(以下、「CD整合」という。)を行う。
【0038】
用紙に対するCD整合は、CD整合部151により行われ、FD整合は、FD整合部152により行われる。用紙の整合方法の詳細については、後述する。
ステープラー106は、ステープル綴じすべき全枚数の用紙Sがトレイ150上に収容されると、その用紙束に対してステープル綴じを施す。
ステープル綴じが終了すると、排出ローラー対125の上側のローラーがトレイ150上の用紙束(ステープル綴じ後のもの)を挟んで下側のローラーに圧接する状態に遷移し、その後、排出ローラー対125が同図に示す方向に回転駆動されることにより、ステープル綴じ後の用紙束が排出ローラー対125により矢印eで示す方向に搬送され、積載トレイ部107に排出される。
【0039】
積載トレイ部107は、ステープル綴じされた用紙束を収容する。ここでは、収容される用紙束の量が多くなるに連れて、積載トレイ部107が自動的に下降して、大容量の用紙束を収容することができるようになっている。
搬送ローラー対124よりも用紙搬送方向上流の搬送路192に沿った位置には、搬送路192を搬送される用紙の搬送方向先端と後端を検出する用紙検出センサー126が配置されている。
【0040】
用紙検出センサー126は、例えば反射型の光学センサーなどが用いられるが、搬送される用紙を検出可能なものであれば、透過型や他の方式の検出器を用いることができる。用紙検出センサー126による用紙先端と後端の検出信号は、制御部108に送られる。
制御部108は、用紙搬入部101〜積載トレイ部107などの各部を統括的に制御して、用紙の整合、ステープル綴じなどの用紙に対する後処理を円滑に実行させる。
【0041】
(3)用紙整合部105の構成
図2は、用紙整合部105の構成を示す斜視図である。
同図に示すように、用紙整合部105は、トレイ150と、CD整合部151と、FD整合部152などを備え、CD整合部151に近い位置にステープラー106が配置されている。
【0042】
ステープラー106は、ステープル針を打ち出す針出部176と、針出部176よりも下に位置する針受部175を有し、針出部176と針受部175の間の空間178に用紙束の端縁が介在している状態で、針出部176が用紙束を介して針受部175の位置まで下がりつつ針出部176からステープル針が打ち出されることにより、用紙束に対するステープル綴じが行われる。
【0043】
ステープラー106は、後述のように用紙端縁に沿って移動可能になっており、同図では、用紙Sがトレイ150上においてFD整合部152に向かう方向(FD方向:以下、「用紙搬送方向」という。)に対し、約45°傾斜した姿勢でホーム位置に位置する様子を示している。用紙幅方向において、ステープラー17がホーム位置に位置する側を装置正面側、その反対側を装置背面側としている。
【0044】
トレイ150は、平板状であり、その上面に、搬送されて来る用紙Sが積載される。
(4)CD整合部151の構成
CD整合部151は、トレイ150の用紙搬送方向下流側に設けられており、一対の整合板521,522と、整合板駆動部523(図4)などを備える。
一対の整合板521,522は、トレイ150上において装置正面側と装置背面側に用紙幅方向に間隔をおいてその主面が対向するように立設されていると共に、用紙幅方向に沿って移動自在にトレイ150に支持されている。
【0045】
整合板521は、整合板駆動部523の駆動モーターM4(図4)の駆動力により、整合板522は、駆動モーターM5(図4)の駆動力により、独立して、相互に近づく方向と遠ざかる方向に移動可能になっている。
図3は、整合板521,522によるCD整合の様子を模式的に示す平面図であり、同図のCLは、用紙Sの搬送路における幅方向中央のラインを示している。
【0046】
図3(a)は、トレイ150上の用紙Sを搬送路の幅方向中央CLの位置でCD整合を行う場合の例を示している。この場合、整合板521,522は、それぞれが幅方向端部のホーム位置(破線の位置)から相互に近づく方向に整合位置(実線の位置)まで移動した後、ホーム位置に戻る往復動作が行われる(幅方向中央の整合)。
図3(b)は、トレイ150上の用紙Sを搬送路の幅方向中央CLに対して装置背面側にずらした位置に移動させてCD整合を行う場合の例を示している。この場合、整合板522がホーム位置に位置したまま、整合板521がホーム位置から整合板522に近づく方向に整合位置(実線の位置)まで移動した後、ホーム位置に戻る往復動作が行われる(装置背面側の整合)。
【0047】
図3(c)は、トレイ150上の用紙Sを搬送路の幅方向中央CLに対して装置正面側にずらした位置に移動させてCD整合を行う場合の例を示している。この場合、整合板521がホーム位置に位置したまま、整合板522がホーム位置から整合板521に近づく方向に整合位置(実線の位置)まで移動した後、ホーム位置に戻る往復動作が行われる(装置正面側の整合)。
【0048】
ステープル綴じを複数枚からなる部ごとに順次、実行する場合に、1つの部を構成する2枚以上の用紙に対して図3(b)に示す装置背面側の整合を行い、その用紙束にステープル綴じを行った後、積載トレイ部107に排出し、次の部を構成する2枚以上の用紙に対して図3(c)に示す装置正面側の整合を行い、その用紙束にステープル綴じを行った後、積載トレイ部107に排出するという動作を部単位で交互に繰り返すことにより、図3(d)の側面図に示すように、用紙束を部ごとに幅方向に沿って装置正面側と背面側に交互にずらした状態で積載トレイ部107上に積載させることができ、用紙束が部ごとに分けられるので、ユーザーにとって便宜となる。
【0049】
図3(a)〜図3(c)に示すそれぞれのCD整合の方法、図3(b)と図3(c)に示すCD整合を交互に繰り返す方法の中から1つをユーザーがジョブ実行に際し選択することができる。この選択は、例えば画像形成装置1Aの操作部7から選択入力する構成をとることができる。
整合板521,522によるCD整合により、トレイ150上の用紙Sが用紙搬送方向に対して斜めになっている場合に真っ直ぐな姿勢に矯正される。
【0050】
なお、整合板の往復動作は、通常は1回であるが、最終用紙(ステープル綴じすべき用紙束の最後に搬送されて来る用紙)に対してだけ2回実行される。最終用紙が収容されるとステープル綴じが実行されるので、ステープル綴じ直前に最後のCD整合をその回数を1回、増やして行うことで、整合性の向上を図るためである。2回も実行する必要がないような構成であれば、1回だけとしても良い。最終用紙以外の用紙に対するCD整合を第1CD整合、最終用紙に対するCD整合を第2CD整合と分けて説明する場合がある。
【0051】
(5)FD整合部152の構成
図2に戻って、FD整合部152は、第1パドル部161と、第2パドル部162(図5)と、ストッパー部163を備える。
(5−1)第1パドル部161の構成
第1パドル部161は、CD整合部151よりも用紙搬送方向下流に配され、サブパドル部71,72,73と、回転軸74と、パドル回転モーターM1などを有する。
【0052】
サブパドル部71,72,73は、用紙幅方向に間隔をおいて配置されており、回転軸74と装置筐体(不図示)の一部であるフレームFとに支持されてなる。
図4は、用紙幅方向中央に位置するサブパドル部71を図2の矢印Aで示す方向から見たときの図である。なお、図4では、フレームFが省略して示されており、またサブパドル部71の構成を見易くするために、トレイ150を水平姿勢にして示している。また、ステープラー106がホーム位置から移動してサブパドル部71の下に位置している様子を示している。以下、図2と図4に基づきサブパドル部71の構成を説明する。
【0053】
各図に示すように、サブパドル部71は、アーム81と、プーリー82,83と,2段プーリー84と、歯付きタイミングベルト85,86と、パドル支持体87と、パドル88a,88bなどを有する。
アーム81は、フレームFに支持される第1直線部811と、第1直線部の一方端から下方に屈曲してなる第2直線部812とを有するL字状の部材であり、第1直線部811の他方端側が軸受部材90を介して回転軸74に回転自在に支持されている。
【0054】
プーリー82は、回転軸74の、軸受部材90の軸方向近傍の位置に嵌め込まれており、ここでは回転軸74と一緒に回転するように回転軸74に固定支持されている。
プーリー83は、アーム81の第2直線部812の下端部に立設されたピン91に回転自在に嵌め込まれている。2段プーリー84は、アーム81の屈曲部に立設されたピン92に回転自在に嵌め込まれている。
【0055】
歯付きタイミングベルト85は、プーリー82と2段プーリー84の一方の段に掛け渡されており、歯付きタイミングベルト86は、プーリー83と2段プーリー84の他方の段に掛け渡されている。
パドル支持体87は、円筒状であり、プーリー83と一体に固定された状態でピン91に回転自在に支持されてなる。
【0056】
パドル88a,88bは、ゴムやシリコンなどの材料からなる可撓性を有する細長の板状の部材であり、パドル支持体87の周面に、その接線方向に近い角度で、周方向に間隔をおいて取着されており、ここでは同じ材料、同じサイズ、例えば長手方向の長さが30〜35〔mm〕、厚みが1.5〜2〔mm〕の範囲のものが用いられる。なお、パドル88a等は、上記の材料に限定されず、可撓性を有する弾性部材を用いることができる。
【0057】
サブパドル部72と73は、サブパドル部71と基本的に同じ構成であるが、図2に示すようにサブパドル部72と73のパドル88c〜88fは、パドル88a,88bよりも幅が狭くなっており、この点が異なっている。パドルによる用紙の搬送力を用紙幅方向の中央部の方が両端部よりも強くしたものであるが、これに限られない。なお、各パドルを特に区別して説明する必要がないときは、以下、「パドル88」ということとする。
【0058】
サブパドル部72と73は、パドル88を除いてサブパドル部71と同じ構成であるので、サブパドル部72と73の構成について、その説明を省略する。
回転軸74は、用紙幅方向に沿って平行に配置されてなり、パドル回転モーターM1の回転駆動力により回転し、パドル回転モーターM1が停止すると回転を停止する。パドル回転モーターM1は、例えばステッピングモーターからなり、その回転と停止は、制御部108により制御される。
【0059】
上記の構成において、回転軸74が矢印fの方向に回転すると、その回転駆動力がプーリー82、歯付きタイミングベルト85、2段プーリー84、歯付きタイミングベルト86、プーリー83を介してパドル支持体87に伝わり、パドル支持体87がピン91を中心にその周囲を矢印dで示す方向に回転する。
パドル支持体87に回転に伴い、パドル88もピン91を中心に矢印dで示す方向に回転する。このことを以下、パドルの回転という。
【0060】
パドル88が回転して、パドル88の先端部がトレイ150上に収容されている最上位の用紙Sの上面に沿って撓みつつその上面を摺擦する際に(図4の破線の姿勢)、パドル88の用紙Sへの押し当てによるパドル88と用紙Sとの間の摩擦力により、用紙Sにパドル88の回転力が搬送力として付与されて、用紙Sがストッパー部163に向けて搬送される。
【0061】
ストッパー部163に向けて搬送される用紙Sがストッパー部163でその搬送が規制されることにより、用紙搬送方向の整合(FD整合)が行われる。
なお、後述のようにFD整合が終わると、サブパドル部71〜73ごとに、一方のパドル88a,88c,88eを、その先端部が用紙Sに当たって用紙Sを押し付ける所定の押圧姿勢(図8(d)の実線で示す回転位置)で停止させる制御と、どのパドル88も用紙Sに当たらない(離間する)所定の離間姿勢(図8(d)の破線で示す回転位置)で停止させる制御の切り替えを行っている。
【0062】
この切り替えを行うには、パドル支持体87の回転位置を制御する必要があり、本実施の形態では、回転軸74の回転角制御が採用されている。
すなわち、回転軸74が1回転したときにパドル支持体87(パドル88)も丁度、1回転するようにプーリー82〜84の径(ギア比に相当)が予め決められており、回転軸74の回転とパドル88の回転とが同期するように構成されている。従って、回転軸74の基準からの回転角が判れば、パドル88aの1周における回転位置も判ることになる。
【0063】
そこで、図2に示すように回転軸74に、回転軸74と一体となって回転する、切り欠きを有する円板78を取着すると共に、円板78の切り欠きを検出するための回転位置検出センサー76を設け、さらに回転軸74にロータリーエンコーダー77を取り付けることにより、1回転ごとに、回転位置検出センサー76による切り欠きの検出時を基準に、ロータリーエンコーダー77から出力される回転角に応じたパルス信号の数をカウントして、回転軸74の、基準からの回転角を検出する構成をとっている。
【0064】
パドル88aが所定の押圧姿勢(位置)になるときの、基準からの回転軸74の回転角に対応するパルス信号のカウント値(目標値)を予め設定しておき、回転中のパドルを停止させる際には、基準からのパルス信号のカウント値がその目標値に到達した時点で回転軸74を停止させることにより、パドル88aを所定の押圧姿勢(位置)で停止させることができる。
【0065】
なお、サブパドル部71〜73ごとに、各パドルは、回転方向に同じ位置関係になるように配置されているので、パドル88aを所定の押圧姿勢で停止する制御を行うと、これと同様にパドル88c,88eも同じ姿勢で停止されるようになる。
パドル88を所定の離間姿勢(位置)で停止させる場合も、上記と同様に、どのパドル88も用紙Sから離間する姿勢になるときのパルス信号の目標値を予め設定しておいて、基準からのパルス信号のカウント値がその目標値に到達した時点で回転軸74を停止させることにより、所定の離間姿勢で停止させることができる。
【0066】
(5−2)第2パドル部162の構成
第2パドル部162は、図5に示すようにCD整合部151の上方であり第1パドル部161よりもトレイ150上における用紙の搬送方向上流に配され、揺動アーム211と、回転軸212と、プーリー213と、ピン214と、プーリー215と、歯付きタイミングベルト216と、パドル217a,217b,217cと、揺動軸218と、揺動レバー219と、半円板220と、回転位置検出センサー221と、引っ張りバネ222と、ロータリーエンコーダー223と、パドル回転モーターM2と、アーム揺動モーターM3、ブレーキBKなどを有する
揺動アーム211は、長尺の板状体であり、一方端側が軸受部材229(破線)を介して回転軸212に回転自在に支持されている。
【0067】
回転軸212は、用紙幅方向に沿って平行な姿勢で装置筐体(不図示)に回転自在に支持されており、パドル回転モーターM2の駆動力により同図の矢印gで示す方向に回転し、パドル回転モーターM2が停止すると回転を停止する。パドル回転モーターM2は、例えばステッピングモーターからなり、回転と停止は、制御部108により制御される。
プーリー213は、回転軸212の、軸受部材229の軸方向近傍の位置に嵌め込まれており、ここでは回転軸212と一緒に回転するように回転軸212に固定支持される。
【0068】
プーリー215は、揺動アーム211の他方端側に立設されたピン214に回転自在に嵌め込まれており、パドル支持体としてパドル217a〜217cを支持する。歯付きタイミングベルト216は、プーリー213とプーリー215に掛け渡されている。
パドル217a〜217cは、上記のパドル88と同じ材料、形状、大きさからなる可撓性を有する細長の板状の部材であり、プーリー215の周面に、その接線方向に近い角度で、周方向に等間隔をあけて取着されている。なお、パドル88と同様に、その材料や形状等がこれに限定されず、可撓性を有する弾性部材を用いることができる。
【0069】
回転軸212が矢印gの方向に回転すると、その回転駆動力がプーリー213、歯付きタイミングベルト216を介してプーリー215に伝わり、パドル支持体であるプーリー215がピン214を中心にその周囲を矢印bで示す方向に回転する。この回転に伴い、パドル217a〜217cもピン214を中心に矢印bで示す方向に回転する。以下、パドル217a〜217cを区別する必要がないときには、パドル217という。
【0070】
揺動軸218は、用紙幅方向に沿って平行な姿勢で装置筐体に回転自在に支持されており、アーム揺動モーターM3の駆動力により同図の矢印mで示す方向とこれの逆方向に回転可能であり、アーム揺動モーターM3が停止すると回転を停止する。
アーム揺動モーターM3は、例えばステッピングモーターからなり、回転と停止は、制御部108により制御される。また、ブレーキBKは、揺動軸218に取り付けられ、例えば電磁クラッチからなり、制御部108の指示により揺動軸218にブレーキを掛けることにより、揺動軸218をロックして停止状態を維持する。
【0071】
揺動レバー219は、その基端部が揺動軸218に固定支持されてなり、先端部が揺動アーム211の本体上部から直角に折り曲げられて用紙幅方向に平行な屈曲片211aの上面に当接している。屈曲片211aは、揺動アーム211の長手方向全体に亘って設けられている。
半円板220は、揺動軸218と一体となって回転するように揺動軸218に固定されている。回転位置検出センサー221は、半円板220のエッジ220aを検出して、その検出信号を出力するものであり、ロータリーエンコーダー223は、揺動軸218の回転角に応じたパルス信号を出力する。
【0072】
引っ張りバネ222は、揺動アーム211に対し回転軸212を中心に上方に揺動する方向の引っ張り力を常時、付与するものであり、引っ張りバネ222の引っ張り力により、揺動アーム211は、その屈曲片211aが通常、ストッパー224に当接した状態で停止される(図5(a)で示す姿勢)。この位置をホーム位置という。ホーム位置は、パドル217が搬送ローラー対124により搬送される用紙Sの搬送路を塞ぐことがないように、その用紙Sの搬送路よりも上方の位置に設定されており、かつ、トレイ510上に積載される用紙束の最上位の用紙Sにパドル217が当たることがない位置に設定されている。
【0073】
揺動アーム211がホーム位置に位置する状態で、揺動軸218が矢印mで示す方向に回転すると、揺動レバー219が同方向に回転し、揺動レバー219の回転により、揺動アーム211が回転軸212を中心に、引っ張りバネ222の引っ張り力に抗して下方に揺動し、パドル217の先端部がトレイ510上に積載される用紙束の最上位の用紙Sに当たる位置に来ると停止され、ブレーキBKにより揺動軸218がロックされることにより、その停止姿勢に維持される(図5(b)で示す姿勢)。この位置を整合位置という。
【0074】
揺動アーム211の停止制御は、回転位置検出センサー221による半円板220のエッジ220aの検出時を基準に、ロータリーエンコーダー223から出力される回転角に応じたパルス信号の数をカウントして、回転軸212の、基準からの回転角を検出する構成をとっている。
揺動アーム211がホーム位置から整合位置まで揺動したときの、基準からの回転軸212の回転角に対応するパルス信号のカウント値(目標値)を予め設定しておき、揺動アーム211を整合位置で停止させる際には、基準からのパルス信号のカウント値がその目標値に到達した時点で回転軸212を停止させ、ブレーキBKを作動させることにより、揺動アーム211を整合位置で停止させることができる。
【0075】
揺動アーム211が整合位置に位置している状態で、回転軸212の回転によりパドル217が矢印bで示す方向に回転すると、各パドル217の先端部がトレイ150上に収容されている最上位の用紙Sの上面に沿って撓みつつその上面を摺擦する際に、パドル217の用紙Sへの押し当てによるパドル217と用紙Sとの間の摩擦力により、用紙Sにパドル217の回転力が搬送力として付与される。
【0076】
最上位の用紙Sには、パドル217による搬送力に加えて、上記のパドル88による搬送力が付与され、これらの搬送力により、最上位の用紙Sがストッパー部163に向けて搬送される。
整合位置に位置する揺動アーム211をホーム位置に戻す場合には、ブレーキBKが解除されると共に、揺動軸218が矢印mとは反対の方向に回転することにより、揺動レバー219も同方向に回転し、揺動アーム211が回転軸212を中心に、引っ張りバネ222の引っ張り力により上方に揺動する。
【0077】
回転位置検出センサー221が半円板220のエッジ220aを検出してから、エッジ220aが回転位置検出センサー221の検出位置を通り過ぎるのに必要な所定時間が経過すると、回転軸212が停止される。揺動アーム211は、ストッパー224によりその上方への揺動が規制されることにより停止し、ホーム位置に維持される。以下、揺動アーム211がホーム位置に位置しているときと整合位置に位置しているときのパドル217の各位置を、パドル217のホーム位置と整合位置と称することとする。
【0078】
なお、揺動アーム211は、ホーム位置から整合位置まで下方に揺動する際に、搬送ローラー対124を通過した直後の用紙Sを下方のトレイ150上に強制的に落下させる機能も有する。
すなわち、用紙Sが搬送ローラー対124を通過するタイミングに合わせて、制御部108の指示により、ホーム位置に位置する揺動アーム211が下方に揺動することにより、その用紙Sに対して上から叩くように強制的に下向きの力を付与するものである。
【0079】
搬送ローラー対124を通り抜けた用紙Sが自重でゆっくり落下するよりも、用紙Sをより早くトレイ150に収容させることができ、トレイ150上での用紙束の整合をより早く開始することができる。用紙束の整合をより早く開始できれば、それだけ後処理としてのステープル綴じをより早く開始でき、ステープル綴じされた後の用紙束をより早く排出することができる。
【0080】
また、ロータリーエンコーダー223の出力パルス信号のカウント値と、揺動アーム211の上下方向の揺動量とを対応付けておけば、そのカウント値の大きさに基づき、ホーム位置の揺動アーム211を基準にパドル217がどれだけ下に位置しているかを検出することもできる。
トレイ150上の用紙積載枚数、すなわち用紙束の厚さによって、最上位の用紙Sの、トレイ150からの高さ位置が異なり、パドル217の、最上位の用紙Sへの接触角が変わり、パドル217による用紙Sへの押圧力も変わる。そこで、用紙積載枚数と、パドル217による用紙Sへの押圧力が適した値になるような揺動アーム211のホーム位置からの下降量とを対応付けておいて、用紙積載枚数に応じて揺動アーム211の揺動量を可変する構成をとることが望ましい。
【0081】
(5−3)ストッパー部163の構成
図2に戻り、ストッパー部163は、トレイ150上の用紙Sの用紙搬送方向への搬送を規制するものであり、用紙幅方向に間隔をおいて4個のストッパー61,62,63,64(図2)と、ストッパー駆動部65(図4)を備える。
ストッパー61〜64は、第1パドル部161のパドルによる用紙への押し当て位置よりも用紙搬送方向下流に位置し、第1パドル部161と第2パドル部162の各パドルにより搬送される用紙Sの搬送方向先端がストッパー61〜64に当たってその用紙Sの搬送が規制されることにより、用紙SのFD整合が行われる。
【0082】
ストッパー61〜64は、用紙幅方向に移動可能にトレイ150に支持されており、ストッパー駆動部65のモーターM6の駆動力を受けて用紙幅方向に移動される。
ストッパー駆動部65は、制御部108から指示された位置にストッパー61〜64を移動させる。このようにストッパーを用紙幅方向に移動させるのは、次に説明するステープラー106の移動に伴い、ステープラー106と一部のストッパーが干渉する場合があり、そのストッパーをステープラー106と干渉しない位置まで退避させるためである。
【0083】
(6)ステープラー106の移動
図6は、ステープラー106の移動域を示す平面図である。
同図に示すように、ステープラー106は、駆動部172の案内部172aに沿って移動自在に支持されている。
案内部172aは、用紙幅方向に平行な直線部と、装置正面側と背面側において直線部の端部から用紙搬送方向とは逆方向に向かって曲がる曲線部を有する。
【0084】
ステープラー106が装置正面側の曲線部に位置するときがホーム位置になり、ホーム位置から直線部を介して装置背面側の曲線部までの間を移動することができ、その移動域内の位置で停止して、トレイ150上に収容されている用紙束に対して、ステープル綴じを行うことができる。
ステープラー106とストッパー61(62〜64も同じ)とは、図4に示すように、ステープラー106の針出部176と針受部175との間の空間178の方がストッパー61の大きさよりも広くなっているため、ステープラー106がストッパー61に当たることはない。
【0085】
ところが、図6に示すようにステープル綴じ位置が、破線で示すストッパー64の位置に重なる場合、ストッパー64を移動させなければステープル綴じを行えないので、ストッパー64を実線の位置まで退避させてステープル綴じを行えるようにするものである。
用紙束に対するステープル綴じ位置は、用紙サイズなどによって予め決まっており、ステープル綴じがどの位置で行われるかによって、どのストッパーをどこにどれだけ移動させれば良いかを予め決めておくことにより、ストッパーの位置に関わりなく、ステープル綴じを実行することが可能になる。
【0086】
ステープラー106の移動は、トレイ150上にステープル綴じすべき全枚数の用紙Sが収容されてから開始される。
(7)制御部108の構成
図7に示すように、制御部108は、CPU131と、ROM132と、RAM133と、整合制御部134と、ステープル制御部135と、タイマー136を備え、各部が相互にデータや情報をやりとりすることができるようになっている。
【0087】
CPU131は、画像形成装置1Aとの間で画像形成などの各ジョブの実行に関する情報をやりとりして、用紙搬入部101、搬送路切替部102などの各部を統括的に制御して、円滑な用紙搬送、排出、整合、ステープル綴じなどの各動作を実行する。
また、画像形成装置1Aから画像形成ジョブに関するジョブ情報、例えばジョブが開始されたこと、終了したことを示す状態情報、設定モード(ステープル綴じモードなど)に加えて、画像形成情報(片面/両面モード)、用紙のサイズ(A4、B5など)、枚数、厚みの区別(普通紙/薄紙/厚紙)などを用紙の種類に関する情報として取得して、ジョブの開始、終了、ステープル綴じモードの指示があったこと、搬送される用紙Sごとに両面に画像形成されたものか片面に画像形成されたものかの区別、用紙Sのサイズ、ステープル綴じすべき用紙束の枚数、用紙の厚みなどを知ることができる。
【0088】
ROM132は、用紙整合やステープル綴じなどの各動作のプログラムが格納されている。RAM133は、CPU131のワークエリアとなる。
整合制御部134は、CD整合部151とFD整合部152を制御して、トレイ150上に積載された用紙の整合を行う。用紙の整合には、第1整合モードと第2整合モードがあり、搬送される用紙の厚みや画像形成モードに応じて各モードが切り替えられる。
【0089】
第1整合モードは、FD整合とCD整合を同時並行して実行するモードであり、第2整合モードは、FD整合とCD整合を同時に実行しない(別々に実行する)モードである。
第2整合モードは、搬送される用紙が両面モードかつ薄紙である場合に実行され、第1整合モードは、第2整合モードに適用される用紙以外の用紙の場合に実行される。
ステープル制御部135は、ステープラー106の動作(移動、ステープル綴じ)を制御すると共に、ステープラー106の移動に伴ってストッパー61〜64の移動が必要になる場合にそのストッパーの移動を制御する。
【0090】
タイマー136は、用紙の整合制御を行う際の計時を担当する。
(7−1)第1整合モード
図8は、第1整合モードによる1枚の用紙Sに対する整合動作を説明するための模式図である。
図8(a)は、用紙Sが搬送ローラー対124により搬送されている様子を示しており、この時点では、パドル217がホーム位置に位置しており、パドル88もパドル217も回転していない。
【0091】
図8(b)は、パドル217とパドル88の回転が開始される様子を示している。
すなわち、用紙Sの搬送ローラー対124による搬送が進み、用紙Sの後端が搬送ローラー対124を通過するタイミングに合わせて、揺動アーム211の下方への揺動が開始されると共に、パドル217の矢印b方向への回転と、パドル88の矢印d方向への回転が開始される。揺動アーム211の下方への揺動により、搬送ローラー対124を通過した用紙Sが揺動アーム211によって上から叩かれるようになり、トレイ150上に落とされる。
【0092】
図8(c)は、用紙Sに対してFD整合とCD整合が同時並行している様子を示している。すなわち、トレイ150上に落下した用紙Sは、その上面に、回転するパドル217とパドル88の先端部が押し当てられることにより搬送力が付与されて矢印c方向に搬送される。
搬送される用紙Sは、パドル217とパドル88による搬送力を受けつつ、用紙Sの先端がストッパー61に当たりその搬送が規制されることにより、搬送方向の整合(FD整合)が行われる。
【0093】
FD整合に並行して、整合板521,522によるCD整合が行われる。
このようにFD整合とCD整合を同時並行して実行することにより、別々に順に実行する場合よりも用紙の整合に要する全体の時間を短くすることができる。
ところが、FD整合により回転するパドル217とパドル88が用紙Sに当たるごとに用紙Sを上から押さえる力(押圧力)がかかると、その押圧力によりパドル217,88と用紙Sの上面との間に摩擦力が生じ、その摩擦力がブレーキになって用紙Sが幅方向に移動し難くなる状態が生じ易い。
【0094】
このような状態になると、用紙Sが薄紙のように腰の弱いものであれば、幅方向の整合をとることが難しくなる。
なぜなら、図8(e)で示すように例えば整合板521を移動させて用紙Sの幅方向側縁を押しても、パドルによる上からの押圧力Fが掛かった状態では、腰が弱い用紙Sは、その側縁部Seが曲がるだけの状態(腰砕けの状態)になり易く、用紙S全体を幅方向に移動させ難いからである。
【0095】
これに加えて、両面の画像形成により用紙Sにカール(幅方向中央に対して両端部が浮き上がる、または幅方向両端部に対して中央が浮き上がるような曲がった姿勢になること)が生じていれば、より幅方向の整合がとり難くなる。
これに対し、普通紙や厚紙のように腰の強い用紙であれば、腰が強い分、両面の画像形成でカールしても、用紙Sの側縁部が曲がるだけにならずに用紙S全体に整合板による幅方向に移動させる力が作用し易いので、整合をとり易くなる。
【0096】
つまり、用紙の腰の強さやカールが、FD整合とCD整合を同時に実行するときの整合性に影響を与えるか与えないかを決める要因と考えることができる。
そこで、本実施の形態では、FD整合とCD整合を同時に行う第1整合モードでもユーザーにとって整合性の低下と感じられることのない規定の整合性を得られる第1種類に属する用紙(普通紙と厚紙:片面モードの薄紙)を用いる第1の場合と、第1整合モードでは規定の整合性を得られなくなるが、FD整合とCD整合を同時に行わない第2整合モードであれば得られる第2種類に属する用紙(両面モードかつ薄紙)を用いる第2の場合とで区別して、第1の場合には第1整合モードを適用し、第2の場合には第2整合モードを適用することとしている。
【0097】
図8(d)は、用紙Sに対するFD整合とCD整合の終了後の様子を示している。すなわち、パドル217の回転が停止しつつ揺動アーム211が上方へ揺動してホーム位置に戻ると共に、パドル88が所定の押圧姿勢(実線で示す姿勢)で停止される。
このようにパドル217をホーム位置に戻しつつパドル88aを所定の押圧姿勢で停止させるのは、次の理由による。
【0098】
すなわち、図8(a)において、トレイ150上に既に用紙S1が収容されていると仮定して、次の用紙S2が搬送ローラー対124により搬送されて来たときに、その用紙S2の先端が、トレイ150上の用紙S1の上面に当たると、用紙S1と用紙S2間の摩擦力による矢印aで示す方向の力が用紙S1に付与され、用紙S1が矢印aで示す方向に動いて、搬送方向の整合が乱れるおそれがある。
【0099】
このため、図8(d)に示すようにパドル88aをその撓みによる復元力(弾性力)で用紙S1を上から押さえ付けるような押圧姿勢で停止させることにより、用紙Sが用紙S1に当たっても用紙S1が矢印aで示す方向に動き難くして、搬送方向の整合の乱れを防止しようとするものである。
なお、上記のようにパドル88aが所定の押圧姿勢で停止すると、パドル88c,88eも同じ姿勢で停止されるので、これらの3つのパドル88により搬送方向の整合乱れの防止が図られることになる。
【0100】
パドル88を所定の押圧姿勢で停止させる制御は、次の用紙がまだ搬送されて来る場合に実行され、ステープル綴じすべき全枚数の用紙がトレイ150上に収容された場合(最終紙が搬送されて来た場合)には、押圧姿勢に代えて、どのパドル88も最上位の用紙Sに当たらない所定の離間姿勢(図8(d)の破線で示す姿勢)で停止される。
(7−2)第2整合モード
図9は、第2整合モードによる1枚の用紙Sに対する整合動作を説明するための模式図である。
【0101】
図9(a)は、用紙(両面モード:薄紙)Sが搬送ローラー対124により搬送されている様子を示しており、図9(b)は、パドル217とパドル88の回転が開始される様子を示している。図9(a)と(b)は、図8(a)と(b)と同じ状態を示している。
図9(c)は、用紙Sに対するFD整合(1回目)が行われている様子を示している。
すなわち、トレイ150上の用紙Sが、回転するパドル217とパドル88により搬送力が付与されて矢印c方向に搬送されつつ、ストッパー61で規制されることにより、搬送方向の整合(FD整合)が行われる。
【0102】
このときCD整合は実行されない。両面モードで画像形成された薄紙である用紙Sは、上記のように腰が弱くカールし易いために幅方向の整合が行い難いからである。
図9(d)は、用紙Sに対するFD整合が終了した時点の様子を示している。
すなわち、パドル217の回転が停止しつつ揺動アーム211が上方へ揺動してホーム位置に戻り、どのパドル88も、その先端部がトレイ150上に収容されている最上位の用紙Sの上面から離間する状態(所定の離間姿勢)で停止されるようになっている。
【0103】
これによりトレイ150上に収容されている用紙束は、パドル217,88による押圧力を受けない状態になる。
図9(e)は、用紙Sに対する整合板521,522によるCD整合が行われている様子を示している。なお、幅方向中央、装置背面側、装置正面側の3つの整合方法のいずれかが選択されることは、第1整合モードと同じである。
【0104】
図9(f)は、用紙Sに対するFD整合(2回目)が行われている様子を示している。
すなわち、アーム211がホーム位置から整合位置に移動しつつパドル217が回転すると共にパドル88が回転して、トレイ150上の最上位の用紙Sが、回転するパドル217とパドル88により矢印c方向への搬送力が付与されつつストッパー61でその搬送が規制される。
【0105】
2回目のFD整合を行うのは、次の理由による。すなわち、1回目のFD整合の後に実行されたCD整合により、用紙Sの搬送方向への整合が微小とはいえ乱れることがあり得るので、このCD整合で生じた乱れを直すためである。2回目のFD整合を行うことにより、整合性をより向上することができる。
図9(g)は、パドル217,88の回転が停止され、用紙Sに対する2回目のFD整合が終了した時点の様子を示している。
【0106】
なお、パドル88については、第1整合モードと同様に、次に搬送されて来る用紙Sがある場合には所定の押圧姿勢(実線)で停止され、次に搬送されて来る用紙がない場合には離間姿勢(破線)で停止される。
図9(h)は、パドル217,88の回転が停止された状態で、揺動アーム211が整合位置からホーム位置まで上昇している様子を示している。揺動アーム211がホーム位置に位置することにより、搬送ローラー対124による用紙Sの搬送路が開放される。次の用紙Sが搬送ローラー対124により搬送されて来ると、その用紙Sに対する第2整合モードの整合動作として、図9(a)以降の動作が繰り返し実行される。
【0107】
このように第2整合モードは、1回目のFD整合の後、パドル88、217をトレイ150上の最上位の用紙Sから離間する位置に移動させてからCD整合を行い、CD整合の後、パドル88、217を最上位の用紙Sに当たる位置まで戻して、2回目のFD整合を行うものである。
(8)制御部による整合処理の内容
図10〜図13は、整合処理の内容を示すフローチャートであり、図14は、整合処理のタイミングチャートを示す図である。整合処理は、用紙1枚ごとに、図示しないメインルーチンによりコールされることにより繰り返し実行される。
【0108】
なお、図10〜図13では、整合方法が装置正面側または装置背面側が選択された場合の例を示している。また、図14(a)に示すタイミングチャートは、トレイ150に搬送されて来る用紙Sが片面モードで画像形成された普通紙(B5サイズ)の場合の例であり、第1整合モードによる整合動作を示しており、図14(b)に示すタイミングチャートは、両面モードで画像形成された薄紙(B5サイズ)の場合の例であり、第2整合モードによる整合動作を示している。
【0109】
図10に示すように、トレイ150に搬送されて来る用紙Sが両面モードで画像形成さされたものであるか否かを判断する(ステップS1)。この判断は、画像形成装置1Aからのジョブ情報を取得することにより行われる。
両面モードではなく、片面モードで画像形成された用紙Sであることを判断すると(ステップS1で「NO」)、第1整合処理(ステップS5)を実行して、リターンする。第1整合処理は、第1整合モードを実行する処理である。この場合、用紙Sが薄紙か否かに関わりなく第1整合モードが適用(第2整合モードの適用が禁止)されることになる。
【0110】
一方、両面モードで画像形成された用紙であることを判断すると(ステップS1で「YES」)、薄紙であるか否かを判断する(ステップS2)。この判断は、画像形成装置1Aからのジョブ情報を取得することにより行われる。用紙Sが薄紙ではなく、普通紙または厚紙であることを判断すると(ステップS2で「NO」)、第1整合処理(ステップS5)を実行する。
【0111】
薄紙であることを判断すると(ステップS2で「YES」)、A4サイズ以下であるか否かを判断する(ステップS3)。この判断は、画像形成装置1Aからのジョブ情報を取得することにより行われる。
A4サイズ以下であるか否かを判断するのは、次の理由による。
すなわち、整合方法が装置正面側または装置背面側の場合、搬送路中央CLに沿って搬送されて来た用紙Sを幅方向に装置正面側または背面側までずらして移動させることになるので、幅方向中央の整合に比べて用紙の移動量が多くなる。
【0112】
この用紙の移動量は、用紙サイズによって変わり、大サイズよりも小サイズの方が多くなる。用紙の幅方向の移動量が多くなるほど、用紙の整合性がとり難くなる。
そこで、整合性をとり難くなる小サイズの用紙Sに対して第2整合モードを適用すべく、整合モードの切り替えの閾値となるサイズを、ここではA4サイズに設定して、A4サイズ以下の用紙か否かを判断するようにしたものである。
【0113】
A4サイズよりも大きいサイズであることを判断すると(ステップS3で「NO」)、第1整合処理(ステップS5)を実行する。A4サイズ以下であることを判断すると(ステップS3で「YES」)、第2整合処理(ステップS4)を実行して、リターンする。第2整合処理は、第2整合モードを実行する処理である。
なお、整合方法が例えば搬送方向中央であれば、用紙の幅方向への移動距離が少なくて済むので、整合性に問題が生じなければ、ステップS3のA4サイズ以下であるか否かの判断を行わない構成をとるとしても良い。また、整合性に問題が生じなければ、整合方法に関わらずステップS3を実行しない構成とすることも可能である。
【0114】
以下、第1整合処理と第2整合処理の内容を説明するが、いずれの処理も開始時には揺動アーム211がホーム位置に位置し、かつパドルが回転していない停止状態になっているものとする。また、パドル217を第1パドル、パドル88を第2パドル、これらを区別する必要のないときには、単にパドルという。
(A)第1整合処理の内容
図11は、第1整合処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【0115】
同図に示すように、搬送ローラー対124により搬送されている用紙Sの搬送方向後端(用紙後端)が検出された否かを判断する(ステップS11)。
用紙後端の検出は、用紙検出センサー126により行われる。具体的には、図14に示すように用紙検出センサー126の出力がONからOFF信号に切り替わる立ち下りエッジを検出することにより行われる。
【0116】
用紙後端が検出されると(ステップS11で「YES」)(図14の時点T1,T5)、所定時間tsが経過したか否かを判断する(ステップS12)。この所定時間tsは、用紙後端の検出から用紙後端が搬送ローラー対124を通過するまでに要する時間に相当し、予め求められて、その情報がROM132などに格納されている。所定時間tsの計時は、タイマー136により行われる。なお、後述する他の所定時間t0などの計時も同様にタイマー136が用いられる。
【0117】
所定時間tsが経過したことを判断すると(ステップS12で「YES」)(図14の時点T2,T6)、第1パドルと第2パドルの回転を開始すると共に(ステップS13)、揺動アーム211をホーム位置から整合位置まで下降させる(ステップS14)。
これにより、図8(b)〜(c)に示すようにトレイ150上の用紙Sに対する第1パドルと第2パドルによるFD整合が開始される。
【0118】
そして、FD整合の開始から所定時間t0が経過したか否かを判断する(ステップS15)。この所定時間t0は、普通紙のB5サイズの用紙Sに対するFD整合に必要な時間に相当し、予め求められて、その情報がROM132などに格納されている。
所定時間t0が経過したことを判断すると(ステップS15で「YES」)、当該用紙Sが最終用紙であるか否かを判断する(ステップS16)。この判断は、画像形成装置1Aからのジョブ情報に基づき行われる。具体的には、ステープル綴じすべき用紙束の枚数をN枚としたとき、当該用紙Sが1〜(N−1)番目に搬送されて来た用紙であれば最終用紙ではないと判断され、N番目の用紙であれば最終用紙と判断される。
【0119】
最終用紙ではないことを判断すると(ステップS16で「NO」)、整合板による第1CD整合を行う(ステップS17)(図14の時点T3〜T4)。
一方、最終用紙であることを判断すると(ステップS16で「YES」)、整合板による第2CD整合を行う(ステップS18)(図14の時点T7〜T8)。
第1CD整合は、上記のように整合板がホーム位置から整合位置までを1往復する整合方法であり、第2CD整合は、2往復する整合方法である。
【0120】
なお、図14では、整合板521だけによる装置背面側の整合が行われる場合の例が示されており、時点T3〜T4間では、整合板521の駆動源である整合板駆動モーターM4が正転して、整合板521が装置正面側から背面側に向かって装置背面側の整合位置まで移動すると、逆転に切り替わり、整合板521が装置背面側から正面側の元の位置に戻る1往復の動作を示し、時点T7〜T8間では、2往復の動作を示している。
【0121】
第1CD整合でも第2CD整合でも、整合板が最後にホーム位置に戻って停止することにより、幅方向における1回のCD整合が終了する。CD整合の間、第1と第2パドルは回転を継続しているので、FD整合も同時並行されていることになる。なお、幅方向中央の整合、装置正面側の整合が選択された場合も同様に、整合板の1回の往復動作によりCD整合が行われる。
【0122】
CD整合が終了すると、揺動アーム211を整合位置から上昇させてホーム位置に戻す動作を開始すると共に、第1パドルの回転を停止させる(ステップS19,S20)(図14の時点T4,T8)。
そして、用紙Sが最終用紙ではない場合には(ステップS21で「NO」)、第2パドル(パドル88a)をその先端部が最上位の用紙Sの上面を押さえる所定の押圧姿勢で停止させて(ステップS22)(図8(d):図14の時点T4,T8)、リターンする。
【0123】
一方、最終用紙であれば(ステップS21で「YES」)、第2パドル(パドル88a)をその先端部が最上位の用紙Sから離間する所定の離間姿勢で停止させて(ステップS23)(図8(d):図14の時点T4,T8)、リターンする。これにより、1枚の用紙Sに対する第1整合モードによる整合が終了する。
(B)第2整合処理の内容
図12は、第2整合処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【0124】
同図に示すステップS31〜S34までは、上記の第2整合処理のステップS11〜S14までの処理と同じであるので、詳細は省略するが、概略すると、ステップS33,S34によりトレイ150上の用紙Sに対するFD整合(1回目)が開始される(図14の時点T2,T6)。
ステップS35では、FD整合の開始から所定時間t1が経過したか否かを判断する。
【0125】
所定時間t1は、薄紙のB5サイズの用紙Sに対する1回目のFD整合に必要な時間に相当し、同じB5サイズの用紙に対する第1整合モードの所定時間t0(CD整合の開始までの時間)よりも短い時間になっている。
これは、薄紙は単位面積当たりの質量が普通紙よりも軽く、このため普通紙よりもパドルの1回転当たりの搬送(移動)量が大きくなるので、同じサイズの普通紙に対して、CD整合が開始されるまでのFD整合に必要な時間を短くしても規定の整合性を確保できるからである。この短くなる時間は、図14の時点T11(T14)とT3(T7)との時間差tαに相当する。所定時間t1は、予め求められて、その情報がROM132などに格納される。
【0126】
上記では、同じB5サイズで厚みが異なる普通紙と薄紙の例を説明したが、質量が異なる場合としては、例えば厚みが同じで用紙サイズが異なる場合もあり得る。
具体的には、同じ厚みの薄紙でB5サイズとA5サイズの場合を想定すれば、1回目のFD整合に要する所定時間t1を、B5サイズの薄紙に対する時間よりも、B5サイズより質量が小さいA5サイズの薄紙に対しては短い時間に設定することができる。逆に、B5サイズよりも大きければ、長い時間を設定することもできる。
【0127】
すなわち、同じ厚みの用紙に対してその用紙サイズが小さくなるに伴って、所定時間t1を短い時間に可変する構成をとることができる。
用紙1枚単位で、1回目のFD整合に要する時間である所定時間t1が第1整合モードによる時間t0より時間tαだけ短くなれば、それだけCD整合を経て2回目のFD整合が終了する時期が早くなって用紙1枚に対する整合に要する時間が短くなる。
【0128】
1枚の用紙に対する時間tαがステープル綴じすべき全枚数の用紙に適用され、その短くなる時間が積算されれば、ステープル綴じなどの後処理をより早く開始できることになり、時間t1をt0と同じとする構成よりも、後処理の生産性の向上に繋がる。この効果は、用紙サイズが小さくなるに伴って所定時間t1が短くなるほど顕著に現れる。
なお、上記では用紙サイズを用紙の質量を指標する情報として取得する例を説明したが、この情報が用紙サイズに限られることはない。例えば、坪量とすることもできる。薄紙に区分される用紙には、坪量の大きいものもあれば小さいものも含まれ得るので、坪量のより小さい用紙に対しては所定時間t1をより短くすることができる。坪量以外に、例えば材質などが当該情報に含まれるとしても良い。
【0129】
所定時間t1が経過したことを判断すると(ステップS35で「YES」)、揺動アーム211を整合位置から上方にホーム位置に戻す動作と共に第1パドルの回転を停止させる(ステップS36,S37)。
続いて、第2パドル(パドル88a)をその先端部が最上位の用紙Sから離間する所定の離間姿勢で停止させる(ステップS38)。これにより、1枚の用紙Sに対する1回目のFD整合が終了する。
【0130】
そして、用紙Sが最終用紙であるか否かを判断する(ステップS39)。
最終用紙ではないことを判断すると(ステップS39で「NO」)、整合板による第1CD整合を行う(ステップS401)(図14の時点T11〜T12)。
一方、最終用紙であることを判断すると(ステップS39で「YES」)、整合板による第2CD整合を行う(ステップS41)(図14の時点T14〜T15)。CD整合の方法は、第1整合モードによる方法と同じであり、これに要する時間も同じである。
【0131】
CD整合が終了すると、図13に示すようにパドルの回転を再開すると共に、揺動アーム211をホーム位置から整合位置に下降させる(ステップS42,S43)(図14の時点T12,T15)。これにより、2回目のFD整合が開始される。
そして、2回目のFD整合が開始してから所定時間t2が経過したか否かを判断する(ステップS44)。この所定時間t2は、2回目のFD整合に必要な時間に相当し、予め求められて、その情報がROM132などに格納されている。
【0132】
2回目のFD整合は、直前に行われたCD整合により整合が乱れた場合に、これを直すためのものであるので、所定時間t2は、所定時間t1よりも短い時間に設定されており、例えばパドルの1回転に要する時間程度とすることができる。なお、時間t2を長くとりすぎると、整合に要する全体の時間が長くなり、また用紙がストッパーにより搬送が規制されている状態でパドルによる搬送力が用紙に付与される時間が長くなることから用紙に座屈が生じ易くなる場合もあり得るが、例えば時間に余裕があり、そのような座屈も生じない構成であれば、時間t2をt1と同じ、または少し長くとるとすることもできる。
【0133】
所定時間t2が経過したことを判断すると(ステップS44で「YES」)(図14の時点T13,T16)、2回目のFD整合が終了したとして、ステップS45に移る。ステップS45〜S49の処理は、第1整合モードによるステップS18〜S22の処理と同じであるので、詳細は省略するが、概略すると、揺動アーム211をホーム位置に戻すと共に第1パドルを停止させ、第2パドルについては用紙Sが最終用紙でなければ所定の押圧位置で停止させ、最終用紙であれば所定の離間位置で停止させる。
【0134】
以上、説明したように本実施の形態では、画像形成モード、用紙のサイズと厚みに応じて、CD整合とFD整合を同時並行して行う第1整合モードと、FD整合(1回目)、CD整合、FD整合(2回目)をこの順に行う第2整合モードを切り替える構成とした。
これにより、(a)片面モードによる普通紙などCD整合とFD整合を同時並行しても規定の整合性を確保できる用紙に対しては、第1整合モードを適用することにより、整合全体に要する時間を短縮化することできる。
【0135】
(b)一方で、CD整合とFD整合を同時並行すると整合性を確保し難い用紙、上記例では両面モードかつA4サイズ以下の薄紙に対しては、第2整合モードを適用することにより、整合性を確保しつつ、CD整合の開始までのFD整合の時間t1を、第1整合モードよる時間t0よりも短くすることにより、時間t0と同じとする構成に比べて、CD整合の開始をより早めて、後処理の生産性の向上を図ることができる。
【0136】
なお、上記の所定時間ts、t0、t1、t2のそれぞれについて、搬送される用紙Sのサイズ、厚み、画像形成モードなどに応じて整合に適した値が予め設定される。また、パドルや整合板などに各部材について、形状や材料、個数などが上記のものに限られることはなく、装置構成に適した形状や材料などが決められる。
本発明は、シート後処理装置に限られず、シート後処理装置が実行するシート整合方法であるとしてもよい。また、その方法をコンピュータが実行するプログラムであるとしてもよい。また、本発明に係るプログラムは、例えば磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD−ROM、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R、MO、PDなどの光記録媒体、フラッシュメモリ系記録媒体等、コンピュータ読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
【0137】
(変形例)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態では、用紙SがA4サイズ以下、薄紙、両面モードの場合に、第2整合モードを適用するとしたが、これに限られない。第2整合モードは、第1整合モードでは規定の整合性を確保することができない用紙に対して適用することができる。
【0138】
例えば、坪量の大きさを適用条件とすることができる。坪量が小さいものは、厚みが薄く腰が弱いために整合性を確保し難いが、坪量が大きいものは、厚みが厚く腰が強いために整合性を確保し易いといえるからである。
例えば、第1整合モードで整合性を確保できる坪量の範囲を求め、その範囲よりも坪量の小さい用紙に対しては第2整合モードに切り替える構成をとることができる。第2整合モードに切り替えるための閾値を坪量で予め規定すれば実現できる。なお、坪量に代えて、例えば用紙の厚みを整合モードの切替条件とすることもできる。
【0139】
用紙の坪量も厚みも用紙の腰の強さに関係するので、用紙の腰の強さを指標する情報といえ、用紙の腰が弱いほど整合性に影響を与え易いことからすれば、第1整合モードでも規定の整合性を確保できる腰の強さを有する用紙を第1種類、第1整合モードにすれば整合性を確保できない腰の弱い用紙を第2種類として、第2種類に属する用紙に第2整合モードを適用することができる。
【0140】
腰の強さは、例えば用紙の材質によっても変わり得るので、用紙の材質も用紙の腰の強さを指標する情報に含まれ、これを第2整合モードの適用条件とすることもできる。
また、両面の画像形成の際に加熱、加圧の定着工程を2回、経ることにより生じる用紙のカールが大きいと、ある程度、腰が強い用紙であっても、そのカールの浮き上がりの程度によっては、整合性を確保できない場合もあり得る。
【0141】
この場合、例えば、ある用紙を、片面モードであれば第1種類に属する用紙とし、両面モードであれば第2種類に属する用紙とする構成をとることもできる。
用紙が第1と第2のいずれの種類に属するかを判断するために、用紙の坪量、厚み、材質、両面と片面モードの区別などを、その用紙(シート)の種類に関する情報として取得する構成をとることができる。この用紙の種類に関する情報は、画像形成装置1Aから取得する構成に限られず、例えばシート後処理装置1Bに操作部などを設ければ、操作部からその情報のユーザーによる入力を受け付ける構成をとることもできる。
【0142】
(2)上記実施の形態では、トレイ150上において搬送方向に間隔をあけて第1パドルと第2パドルを備える構成例を説明したが、これに限られない。例えば、何れか一方、第2パドルのみを備える構成とすることもできる。
また、トレイ150を傾斜姿勢としたが、これに限られず、水平姿勢であっても良い。
さらに、上下ローラーが圧接離間可能な排出ローラー対125を用いる構成例を説明したが、これに限られない。トレイ150上の用紙束を排出することができる機構であれば良く、排出ローラー対125を用いない別の構成をとることもできる。
【0143】
また、用紙Sが最終用紙であるか否かにより、パドルを所定の押圧姿勢で停止させるか離間姿勢で停止させるかを切り替えるとしたが、これに限られない。次に搬送されて来る用紙がトレイ150上の用紙束の整合性に影響を与えないような構成であれば、例えば常時、押圧姿勢または離間姿勢で停止させる構成をとるとしても良い。
(3)上記実施の形態では、本発明に係るシート後処理装置をステープル綴じ動作を行うものに適用した場合の例を説明したが、これに限られない。後処理として、例えばシートに1または複数個の孔を開けるパンチ処理を行う機能を有するシート後処理装置に適用することもできる。シート束に含まれる何枚かのシートが他のシートに対してずれた状態でシート束へのパンチ処理を行うと、シート1枚ごとにその孔の位置がずれることになる。パンチ処理機能を有するシート後処理装置に適用する場合、パンチを行うユニットがシートの端縁に沿って移動可能な構成とすることができる。
【0144】
また、FD整合を行う第1整合部材として、細長状のパドルを用いる構成例を説明したが、これに限られない。例えば、ベルト状の部材を用いることもできる。
この場合、ベルト状の部材をトレイ150上の最上位のシートに対して接触、離間を切り替え可能に構成し、第2整合モードの実行の際には、ベルト状の部材を、1回目と2回目のFD整合のときに当該シートに接触させ、CD整合のときに当該シートから離間する位置に切り替える制御を行うことができる。
【0145】
また、パドル217を回転可能に支持する揺動アーム211を下方に揺動することにより、搬送ローラー対124を通過した用紙Sを上から叩いて強制的にトレイ150上に落下させる構成例を説明したが、これに限られず、例えば別の部材を用いる構成や、用紙を叩く部材を用いずに用紙が自重で落下する構成などをとるとしても良い。
さらに、CD整合を行う第2整合部材として、整合板を用いる構成例を説明したが、これに限られず、板状以外の形状の部材を用いることもできる。また、上記では画像形成装置が多機能複合機である場合の例を説明したが、シートに画像を形成する機能を有する装置、例えば複写機、プリンター、ファクシミリ装置などであっても良く、さらに電子写真方式に限られず、例えばインクジェット方式など他の方式の装置であっても良い。
【0146】
また、上記実施の形態及び上記変形例の内容をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は、シートに対するステープル綴じなどの後処理を行うシート後処理装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0148】
1A 画像形成装置
1B シート後処理装置
61〜64 ストッパー
88a〜88f,217a〜217c パドル
105 用紙整合部
106 ステープラー
108 制御部
134 整合制御部
150 後処理用のトレイ
151 CD整合部
152 FD整合部
521,522 整合板
S 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置から出力され、後処理用のトレイに積載されたシートを整合した後、後処理を施すシート後処理装置であって、
トレイ上のシートの搬送を規制するためのストッパーと、
トレイ上における最上位のシートを、その上面を押さえながら当該シートにストッパーに向かう方向の搬送力を付与してストッパーに当てることにより搬送方向に整合する第1整合部材と、
第1整合部材の位置を、トレイ上における最上位のシートの上面に当たる第1位置と当該シートの上面から離間する第2位置とに選択的に切り替える切替手段と、
トレイ上におけるシートの搬送方向に直交する幅方向の側縁を押して当該シートを幅方向に移動させることにより整合する第2整合部材と、
1枚のシートごとに、第1位置に位置する第1整合部材による1回目の整合を行った後、第1整合部材を第2位置に切り替えて第2整合部材による整合を行い、その後、第1整合部材を第1位置に戻して第1整合部材による2回目の整合を行わせる整合モードを実行する制御手段と、
を備えることを特徴とするシート後処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
トレイ上に搬送されて来るシートの種類に関する情報を取得する取得手段を備え、
前記整合モードを第2整合モードとしたとき、第2整合モードとは別に、
第1位置に位置する第1整合部材による整合と、これに並行して、第2整合部材による整合を行わせる第1整合モードを切り替えて実行可能であり、
取得した情報から、前記シートが第1整合モードを適用すべき第1種類に属するか第2整合モードを適用すべき第2種類に属するかを判断し、
第1種類に属することを判断すると、当該シートに対して第1整合モードを実行し、第2種類に属することを判断すると、当該シートに対して第2整合モードを実行することを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
【請求項3】
前記情報は、
シートの腰の強さを指標する情報であり、
第2種類に属するシートは、第1種類に属するシートよりも腰が弱いシートであることを特徴とする請求項2に記載のシート後処理装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は、
シートの片面にだけ画像を形成する片面モードと、シートの両面に画像を形成する両面モードを切り替えて実行可能であり、
前記制御手段は、
片面モードによるシートに対しては第2種類に属するものであっても第2整合モードの実行を禁止し、第1整合モードを実行することを特徴とする請求項2または3に記載のシート後処理装置。
【請求項5】
第1整合モードは、
第1整合部材による整合が開始されてから時間t0を経過すると、第1整合部材による整合と並行するように、第2整合部材による整合を開始し、
第2整合モードは、
第1整合部材による1回目の整合を時間t1に亘って行い、時間t1が経過すると第1整合部材による整合に代えて、第2整合部材による整合を開始し、
前記時間t1は、時間t0よりも短いことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のシート後処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
トレイ上に搬送されて来るシートの質量を指標する情報を取得し、
第1整合部材による1回目の整合時間t1を、シートの質量の大きさに応じて可変させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のシート後処理装置。
【請求項7】
第1整合部材による1回目の整合時間t1は、
シートの質量が小さくなるに伴って短くなることを特徴とする請求項6に記載のシート後処理装置。
【請求項8】
前記シートの質量を指標する情報は、
シートのサイズまたは坪量を示す情報であることを特徴とする請求項6または7に記載のシート後処理装置。
【請求項9】
第1整合部材による1回目の整合時間t1よりも、第1整合部材による2回目の整合時間t2の方が短いことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のシート後処理装置。
【請求項10】
前記制御手段は、
トレイ上に搬送されて来るシートが整合対象となるシート束の最終紙であるか否かを判断する判断手段を備え、
1枚のシートごとに、
シートが最終紙でない場合には、第1整合部材による2回目の整合が終了すると、第1整合部材の位置を第1位置に維持させた状態で、次の第1整合部材による整合が行われるまで待機させ、
シートが最終紙である場合には、第1整合部材による2回目の整合が終了すると、第1整合部材の位置を第1位置から第2位置に切り替えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のシート後処理装置。
【請求項11】
第1整合部材は、
シートの幅方向に沿った軸を中心に回転する支持体に支持された可撓性のパドルであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のシート後処理装置。
【請求項12】
前記後処理は、
複数枚のシートを綴じるステープル綴じであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のシート後処理装置。
【請求項13】
画像形成装置から出力され、後処理用のトレイに積載されたシートを1枚のシートごとに整合した後、後処理を施すシート後処理装置におけるシート整合方法であって、
トレイ上における最上位のシートの上面を第1整合部材により押さえながら当該シートにストッパーに向かう方向の搬送力を付与してストッパーに当てることにより搬送方向に整合する第1整合を行う第1ステップと、
第1ステップの後、第1整合部材を前記シートから離間させてから、第2整合部材により当該シートの搬送方向に直交する幅方向の側縁を押して当該シートを幅方向に移動させることにより整合する第2整合を行う第2ステップと、
第2ステップの後、第1整合部材を前記シートに当接する位置に戻して、再度、第1整合を行う第3ステップと、
を含むステップを実行することを特徴とするシート整合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−95533(P2013−95533A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237660(P2011−237660)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】