説明

シート成形設備

【課題】シート素材が押出装置から連続的に押し出され、その連続的に押し出されたシート素材を繋がった状態で受け取って成形する場合であっても、コンパクトな構成で実施できるシート成形設備を提供することである。
【解決手段】シート素材Sを押し出す押出装置10と、シート素材Sを搬送するベルトコンベア30と、同チェーンコンベア50および成形装置70とからなるシート成形設備であって、ベルトコンベア30を成形装置70に対して進退動作可能に設ける。そして、成形装置70での成形が開始すると、ベルトコンベア30は、押出装置10から受け取るシート素材Sに撓みや引きちぎりが生じることがないように搬送動作とコンベア自身の後退動作によってシート素材Sを蓄えていく。成形装置70での成形が開始すると、蓄えたシート素材Sをベルトコンベア30とチェーンコンベア50によって成形装置70へ送り込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融樹脂を連続的にシート状に押し出す押出装置と、この押出装置から押し出されたシート素材を受け取って搬送する搬送装置と、この搬送装置によって送り込まれたシート素材を成形する成形装置とからなるシート成形設備に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、溶融樹脂の押し出しによるシート素材から所定の成形品を成形するためのシート成形設備として、例えば、溶融樹脂を連続的にシート状に押し出す押出装置と、この押出装置から押し出されたシート素材を受け取って搬送する搬送装置(コンベア)と、この搬送装置によって送り込まれたシート素材を成形する成形装置(真空成形機)および成形品のトリミングプレス機とから構成されるものが既に知られている。このシート成形設備では、押出装置として、モータで回転駆動されるスクリューにより溶融樹脂を連続的に押し出す形式の装置が使用されている。この押出装置のダイスからシート状に押し出される溶融樹脂(シート素材)は、搬送装置のベルト上に載せられて成形装置に向けて連続的に送り込まれる。送り込まれたシート素材は、成形装置で所定の形状に順次成形される。そして、成形装置から搬出された個々の成形品はトリミングプレス機まで繋がったままで送られ、このトリミングプレス機で製品部分と不要部分とに切り離されている。上述したシート成形設備では、成形装置は連続的に繋がった状態のシート素材を成形している。そのため、成形装置での成形中、搬送装置を停止させることで成形装置に新たにシート素材を供給することを止めていた。このように搬送装置を停止させると、通常、その上流側の機器である押出装置も停止させなければいけない。しかし、押出装置を停止させると、溶融樹脂の一部が冷却固化してしまうことがあり出来上がった製品の品質に悪影響(例えば、色むら等)を及ぼすことから、押出装置を停止させることは問題となっていた。この問題を解決するために、成形装置での成形が開始すると、押出装置は搬送装置のベルト上方をベルトの移動方向と逆方向に移動しながらベルト上に溶融樹脂を押し出していく。このとき、搬送装置は上記した搬送を継続している。そして、成形装置での成形が終了すると、押出装置は搬送装置のベルト上方を先ほどの移動方向と逆方向に移動しながらベルト上に溶融樹脂を押し出していく。なお、このときも、搬送装置は上記した搬送を継続している。このようにして、成形装置での成形中、押出装置がベルトの移動方向と逆方向に移動することで、搬送装置は押出装置から押し出されるシート素材をベルト上に蓄えることができる。そのため、押出装置を停止させることなく成形装置は連続的に繋がった状態のシート素材を成形することができる。
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2002−273784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したシート成形設備では、例えば、成形品を1個成形するためのシート素材の1成形長が「1800mm」の場合、押出装置は、この1成形長に相当する距離、すなわち「1800mm」移動しなければいけなかった。そのため、押出装置を移動させるための設備が大掛かりな設備となり、また、押出装置の移動距離が大きくなると、その移動距離を確保する必要があり、結果としてシート成形設備を設置するために大きなスペースが必要となっていた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、シート素材が押出装置から連続的に押し出され、その連続的に押し出されたシート素材を繋がった状態で受け取って成形する場合であっても、コンパクトな構成で実施できるシート成形設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、溶融樹脂を連続的にシート状に押し出す押出装置と、この押出装置から押し出されたシート素材を受け取って搬送する搬送装置と、この搬送装置によって送り込まれたシート素材を成形する成形装置とからなるシート成形設備であって、搬送装置は、押出装置のダイスから押し出されたシート素材を受け取る第1ベルトコンベアと、この第1ベルトコンベアから搬送されるシート素材を受け取って成形装置へ送り込むチェーンコンベアとからなり、第1ベルトコンベアは、シート素材をベルト表面で受け取り、その受け取ったシート素材を成形装置に対して反対方向に向けて搬送するとともに、その搬送したシート素材がヘッドローラー側に到達すると、その到達したシート素材をベルトリターン面に巻き回した状態で搬送可能となっており、且つ、ベルトの上方でベルトのヘッド側と同テール側との間をダイスが相対的に往復動作するよう成形装置に対して進退動作可能に構成されており、チェーンコンベアは、第1ベルトコンベアから受け取ったシート素材の両サイドをクランプした状態で成形装置の上下型の間に搬送可能に構成されており、成形装置での成形が開始すると、第1ベルトコンベアは、押出装置から受け取るシート素材に撓みや引きちぎりが生じることがないように搬送動作とコンベア自身の後退動作によってシート素材を蓄えていき、そのときのチェーンコンベアは、シート素材の搬送を停止しており、成形装置での成形が終了すると、第1ベルトコンベアは、後退動作する前の位置に戻るよう進行動作するとともに、押出装置から受け取るシート素材と次の成形に必要となるシート素材の1成形長の搬送動作を行い、チェーンコンベアは、第1ベルトコンベアから受け取るシート素材の搬送動作を行うように設定された構成である。
この構成によれば、成形装置での成形中、第1ベルトコンベアがベルトの移動方向と同方向に移動することで、第1ベルトコンベアは押出装置から受け取るシート素材をベルト上に蓄えることができる。そのため、従来技術と同様に、押出装置を停止させることなく成形装置は連続的に繋がった状態のシート素材Sを成形することができる。また、第1ベルトコンベア自体を移動(後退)させるため、第1ベルトコンベアの移動距離(後退距離)は、成形品を1個成形するためのシート素材の1成形長の半分で済む。そのため、従来技術と比較すると、コンパクトな構成で実施できる。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシート成形設備であって、搬送装置には、第1ベルトコンベアの下方位置に設けられた第2ベルトコンベアが備えられており、第2ベルトコンベアは、ベルトの表面と第1ベルトコンベアのベルトのリターン面との間で第1ベルトコンベアのベルトのリターン面側に巻き回され搬送されているシート素材の上下面をクランプさせた状態でシート素材をチェーンコンベアに向けて搬送可能に構成されており、成形装置での成形が開始すると、第2ベルトコンベアは停止しており、
成形装置での成形が終了すると、第2ベルトコンベアは、第1ベルトコンベアの進行動作速度と同搬送動作速度の合算速度で搬送動作を行うように設定された構成である。
この構成によれば、シート素材は、第1ベルトコンベアと第2ベルトコンベアとの間でクランプされる格好となっている。これにより、シート素材の形状出しをしっかりと行うことができる。すなわち、このクランプによって、シート素材は、確実にシート状に形成される。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のシート成形設備であって、第2ベルトコンベアのヘッドローラーは、成形装置とチェーンコンベアのテールスプロケットとの間に配置された構成である。
この構成によれば、第2ベルトコンベアの落口は、チェーンコンベアの載口に挟まれる格好となっている。これにより、第2ベルトコンベアからチェーンコンベアへシート素材を搬送するとき、第2ベルトコンベアの落口等でシート素材が落ちることなく、確実にシート素材をチェーンコンベアへ搬送させることができる。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシート成形設備であって、チェーンコンベアは、シート素材の搬送方向およびその搬送方向と逆方向に向けて往復動作するよう成形装置に対して進退動作可能に構成されている。
この構成によれば、シート素材を成形装置に送り込むとき、チェーンコンベアの進行速度を利用できるため、チェーンコンベアの搬送速度は、押し込みに必要な速度−進行速度の差分の速度で済む。したがって、チェーンコンベアを高速で搬送させる必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を用いて説明する。
(実施例1)
まず、図1〜2によって実施例1を説明する。図1は、本発明のシート成形設備の一実施形態(実施例1)を示す全体構成図である。図2は、図1の搬送装置20におけるベルト31と両チェーン51、61の取り回しを示す模式図である。はじめに、図1、2を参照して、シート成形設備を構成する各装置を説明する。図1からも明らかなように、シート成形設備は、押出装置10、搬送装置20、成形装置70およびトリミングプレス機80に大別され、これら各装置は個々に独立して構成されている。はじめに、これら各装置を個別に説明する。
【0011】
押出装置10は、モータ11aの回転駆動を駆動源とする押出機11と、それに続く筒形状のシート成形部12とを備えている。このシート成形部12は、その内部にホッパー13から粒状の樹脂材料が供給され、この樹脂材料を加熱によって溶融させ、且つ、押出機11の駆動によって溶融樹脂をシート状に成形しながらダイス14に向けて送るものである。ダイス14は、シート成形部12から送られてくるシート状の樹脂材料を、所定寸法の幅あるいは厚みに整えながら外部に押し出すものである。この押出装置10は、フロアに設けられたハウジング15に固定されている。
【0012】
図2に示すように、搬送装置20は、第1ベルトコンベア30とチェーンコンベア50とから構成されている。第1ベルトコンベア30は、ベルト31が1対のローラ(ヘッドローラー32、テールローラー33)に掛け渡されて構成されている。また、ヘッドローラー32は、モータ(図示しない)の回転駆動によって、図2において反時計回り方向(図2において、矢印A方向)に回転可能となっている。これにより、第1ベルトコンベア30はシート素材Sをベルト31の表面で受け取ると、その受け取ったシート素材Sを搬送することができる。
【0013】
このとき、図2からも明らかなように、第1ベルトコンベア30はベルト31の表面で受け取ったシート素材Sを成形装置30に対して反対方向に向けて搬送している。しかし、この搬送したシート素材Sがヘッドローラー32側に到達すると、第1ベルトコンベア30は、その到達したシート素材Sをベルト31のリターン面に巻き回した状態で成形装置70の方向に向けて搬送することができる。
【0014】
また、第1ベルトコンベア30は、モータ(図示しない)の回転駆動によって、図2の実線で示すベルト31のヘッド側にダイス14が位置する状態と、同図の想像線で示すベルト31のテール側にダイス14が位置する状態との間を往復動作可能である。このように第1ベルトコンベア30は、成形装置70に対して進退可能に構成されている。
【0015】
チェーンコンベア50は、チェーン51が1対のスプロケット(ヘッドスプロケット52、テールスプロケット53)に掛け渡されたものと、これと同様に、チェーン61が1対のスプロケット(ヘッドスプロケット62、テールスプロケット63)に掛け渡されたものとから構成されている。これら両チェーン51、61は、第1ベルトコンベア30から送り込まれてくるシート素材Sの両サイドにおいて、それぞれの上下に位置するよう設けられている。
【0016】
ヘッドスプロケット52は、モータ(図示しない)の回転駆動によって、図2において反時計回り方向(図2において、矢印B方向)に回転可能となっている。これと同様に、ヘッドスプロケット62は、モータ(図示しない)の回転駆動によって、図2において時計回り方向(図2において、矢印C方向)に回転可能となっている。また、両ヘッドスプロケット52、62は成形装置70とトリミングプレス機80との間に設けられ、両テールスプロケット53、63は第1ベルトコンベア30と成形装置70との間に設けられている。これにより、チェーン51、61によって、第1ベルトコンベア30から送り込まれてくるシート素材Sの両サイドを上下から挟み込む格好でクランプし、このクランプ状態でシート素材Sを成形装置70の上下型間へ送り込むことができる。
【0017】
また、第1ベルトコンベア30のベルト31のリターン面側には、そのリターン面に沿って対向するように適宜の間隔で複数のキャリアローラー16が設けられている。なお、この複数のキャリアローラー16は、第1ベルトコンベア30が図2の実線状態において、ヘッドローラー32の位置からチェーンコンベア60のテールスプロケット63の位置まで設けられている。これにより、第1ベルトコンベア30からシート素材Sをチェーンコンベア60に搬送するとき、シート素材Sに生じるシワや弛み等を防止することができる。
【0018】
成形装置70は、シート素材Sを所定の形状に成形するための装置であって、例えば、公知の真空成形機等である。トリミングプレス機80は、成形後のシート素材Sから製品部分Wを切り離す切断機である。そして、製品部分は搬送ベルト82等によってシュートを通じて排出され、不要部分(スクラップ)はスクラップ排出機構によって粉砕機に送られ、樹脂材料として再利用されている。
【0019】
なお、このトリミングプレス機80のフレーム81には、滑車90が回転可能に取り付けられている。この滑車90には、チェーン91が掛け回されており、このチェーン91の一端は、チェーンコンベア50のヘッドスプロケット62の支軸(図示しない)に引っ掛けられ、その他端には、このチェーン91にテンションが作用するようにおもり92が締結されている。このチェーン91によって、成形後のシート素材Sはトリミングプレス機80へ搬送されている。
【0020】
続いて、上述した構成からなるシート成形設備の一連の動作について、図2を参照して説明する。なお、この一連の動作を説明するにあたって、図2に示すように、予め、成形装置70にはシート素材Sが送り込まれており、この送り込まれた状態から説明を開始する。また、説明の前提条件として、成形装置70の1サイクルが35秒間であり、そのうちの30秒間で1800mmのシート素材Sを成形する場合を説明する。なお、この前提条件は、後述する実施例2、3においても同様である。
【0021】
成形装置70での成形が開始すると、第1ベルトコンベア30は、押出装置10から受け取ったシート素材Sに撓みや引きちぎりが生じることがないように搬送動作とコンベア自身の後退動作(図2において、第1ベルトコンベア30が実線で示される位置から想像線で示される位置への移動動作)によってシート素材Sを蓄えていく。ここで蓄えていくとは、シート素材Sを直ぐにチェーンコンベア50へ搬送することなく、一旦、自身のベルト31上に保存しておくことで、チェーンコンベア50から逃がすと言った意味合いである。このとき、チェーンコンベア50は、シート素材Sの搬送を停止している。
【0022】
この例では、成形装置70での成形中、30秒間に1800mmのシート素材Sが押し出されているため、シート素材Sの押し出し速度は60mm/sとなる。この速度で押し出されるシート素材Sを第1ベルトコンベア30の搬送動作と成形装置70に対する後退動作によって撓みや引きちぎりが生じることがないように吸収しなければいけない。そのため、第1ベルトコンベア30の搬送速度は、シート素材Sの押し出し速度×1/2、すなわち、60mm/s×1/2=30mm/sとなる。また、シート素材Sに撓みや引きちぎりが生じることがないように第1ベルトコンベア30の後退速度を搬送速度と一致させなければならない。そのため、第1ベルトコンベア30の後退速度は、30mm/sとなる。また、この成形中、シート素材Sを新たに成形装置70に対して送り込んではいけないために、チェーンコンベア50を停止させている。なお、この成形中、第1ベルトコンベア30は「900mm」後退したことになる。
【0023】
やがて、成形装置70での成形が終了すると、第1ベルトコンベア30は、後退動作する前の位置に戻るよう成形装置70に対して進行動作していく。このとき、第1ベルトコンベア30は、押出装置10から受け取るシート素材Sと次の成形に必要となるシート素材Sの1成形長の搬送動作を行う。また、このとき、チェーンコンベア50は、第1ベルトコンベア30から受け取るシート素材Sの搬送動作を行っている。
【0024】
この例では、次の成形が始まるまでに、第1ベルトコンベア30は、後退する前の位置に戻らなければいけないため、第1ベルトコンベア30の進行速度は、900mm/(35−30)s=180mm/sとなる。このとき、第1ベルトコンベア30は、押出装置10から受け取るシート素材Sと次の成形に必要となるシート素材Sの1成形長の搬送動作を行うため、第1ベルトコンベア30の搬送速度は、シート素材Sの押し出し速度と上記算出した進行速度とを合算した速度となり、60mm/s+180mm/s=240mm/sとなる。
【0025】
また、チェーンコンベア50は、第1ベルトコンベア30から受け取るシート素材Sの搬送動作を遅延なく行うために、第1ベルトコンベア30の進行速度と同搬送速度の合算した速度でシート素材Sを成形装置70へ送り込む。そのため、チェーンコンベア50の搬送速度は、180mm/s+240mm/s=420mm/sとなる。
【0026】
そして、成形装置70から搬出された個々の成形品は、チェーン91によってトリミングプレス機80まで繋がったままで送られ、このトリミングプレス機80で製品部分と不要部分とに切り離される。なお、成形装置70の成形は繰り返されるため、上述したシート成形設備の一連の動作は繰り返される。
【0027】
上述した構成によれば、成形装置70での成形中、第1ベルトコンベア30がベルト31の移動方向と同方向に移動することで、第1ベルトコンベア30は押出装置10から受け取るシート素材Sをベルト31上に蓄えることができる。そのため、従来技術と同様に、押出装置10を停止させることなく成形装置70は連続的に繋がった状態のシート素材Sを成形することができる。また、第1ベルトコンベア30自体を移動(後退)させるため、第1ベルトコンベア30の移動距離(後退距離)は、成形品を1個成形するためのシート素材Sの1成形長の半分で済む。そのため、従来技術と比較すると、コンパクトな構成で実施できる。
【0028】
(実施例2)
次に、図3〜4によって実施例2を説明する。図3は、本発明のシート成形設備の異なる実施形態(実施例2)を示す全体構成図である。図4は、図3の搬送装置20におけるベルト31と両チェーン51、61の取り回しを示す模式図である。なお、以下の説明をするにあたって、実施例1と同一もしくは均等な部材には、図面において同一符号を付すことで、重複する説明は省略する。このことは、後述する実施例3においても同様である。
【0029】
図3からも明らかなように、この実施例2は、既に説明した実施例1と比較すると、キャリアローラー16の代わりに第2ベルトコンベア40を備えた形態である。第2ベルトコンベア40は、ベルト41が1対のローラ(ヘッドローラー42、テールローラー43)に掛け渡されて構成されている。また、ヘッドローラー42は、モータ(図示しない)の回転駆動によって、図4において時計回り方向(図において、矢印D方向)に回転可能となっている。
【0030】
また、第2ベルトコンベア40は、ベルト41の表面と第1ベルトコンベア30のベルト31のリターン面との間で第1ベルトコンベア30のベルト31のリターン面側に巻き回され搬送されているシート素材Sの上下面をクランプさせた状態でシート素材Sをチェーンコンベア50に向けて搬送可能に構成されている。また、第2ベルトコンベア40のヘッドローラー42は、成形装置70とチェーンコンベア50のテールスプロケット63との間に配置されている。すなわち、第2ベルトコンベア40の両サイドにチェーンコンベア50の両チェーン51、61が配置される格好となっている。
【0031】
上述した構成によれば、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。また、シート素材Sは、第1ベルトコンベア30と第2ベルトコンベア40との間でクランプされる格好となっている。これにより、シート素材Sの形状出しをしっかりと行うことができる。すなわち、このクランプによって、シート素材Sは、確実にシート状に形成される。また、第2ベルトコンベア40の落口は、チェーンコンベア50の載口に挟まれる格好となっている。これにより、第2ベルトコンベア40からチェーンコンベア50へシート素材Sを搬送するとき、第2ベルトコンベア40の落口等でシート素材Sが落ちることなく、確実にシート素材Sをチェーンコンベア50へ搬送させることができる。
【0032】
(実施例3)
次に、図5〜6によって実施例3を説明する。図5は、本発明のシート成形設備のさらに異なる実施形態(実施例3)を示す全体構成図である。図6は、図5の搬送装置20におけるベルト31と両チェーン51、61の取り回しを示す模式図である。図5からも明らかなように、この実施例3は、既に説明した実施例2と比較すると、チェーンコンベア50がシート素材Sの搬送方向とその逆方向に向けて往復動作するよう構成された形態である。これにより、チェーンコンベア50は、成形装置70に対して進退動作可能となっている。
【0033】
この実施例3の構成からなるシート成形設備の一連の動作について、図6を参照して説明する。成形装置70での成形が開始すると、第1ベルトコンベア30と第2ベルトコンベア40は、実施例1で説明した動作を行う。このとき、チェーンコンベア50は、成形装置70に対して後退動作(図6において、チェーンコンベア50が実線で示される位置から想像線で示される位置への移動動作)を行う。なお、このときのチェーンコンベア50の後退速度は、例えばシート素材Sの押し出し速度の60mm/sである。また、このときのチェーンコンベア50の搬送速度は、後退速度と一致させる必要があるため、60mm/sである。なお、この成形中、チェーンコンベア50は「1800mm」後退したことになる。
【0034】
やがて、成形装置70での成形が終了すると、第1ベルトコンベア30と第2ベルトコンベア40は、実施例1で説明した動作を行う。このとき、チェーンコンベア50は、後退動作する前の位置に戻るよう成形装置70に対して進行動作していく。なお、このときのチェーンコンベア50の進行速度は、1800mm/(35−30)s=360mm/sである。また、このときのチェーンコンベア50の搬送速度は、60mm/sである。
【0035】
上述した構成によれば、実施例2と同様の作用効果を得ることができる。また、チェーンコンベア50がシート素材Sを成形装置70に送り込むとき、チェーンコンベア50自身の進行速度と搬送速度との合算した速度で送り込むことができる。そのため、実施例2の場合、シート素材Sを成形装置70に送り込むとき、チェーンコンベア50は搬送速度のみでシート素材Sを送り込まなければいけなかった。そのため、チェーンコンベア50を高速(420mm/s)で搬送させなければいけなかった。しかし、この実施例3の場合、シート素材Sを成形装置70に送り込むとき、チェーンコンベア50の進行速度(360mm/s)を利用できるため、チェーンコンベア50の搬送速度は、押し込みに必要な速度−進行速度の差分の速度(420mm/s−360mm/s=60mm/s)で済む。したがって、チェーンコンベア50を高速で搬送させる必要がない。
【0036】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
各実施例の説明とき、説明の前提条件とした数値は、これに限られるものでなく、本発明を成し得る範囲の数値であれば、いくらでもよい。
また、成形装置70は、真空成形機に限定されることなく、公知のプレス成形機等であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本発明のシート成形設備の一実施形態(実施例1)を示す全体構成図である。
【図2】図2は、図1の搬送装置20におけるベルト31と両チェーン51、61の取り回しを示す模式図である。
【図3】図3は、本発明のシート成形設備の異なる実施形態(実施例2)を示す全体構成図である。
【図4】図4は、図3の搬送装置20におけるベルト31と両チェーン51、61の取り回しを示す模式図である。
【図5】図5は、本発明のシート成形設備のさらに異なる実施形態(実施例3)を示す全体構成図である。
【図6】図6は、図5の搬送装置20におけるベルト31と両チェーン51、61の取り回しを示す模式図である。
【符号の説明】
【0038】
10 押出装置
20 搬送装置
30 第1ベルトコンベア
31 ベルト
32 ヘッドローラー
40 第2ベルトコンベア
41 ベルト
50 チェーンコンベア
70 成形装置
S シート素材



【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融樹脂を連続的にシート状に押し出す押出装置と、この押出装置から押し出されたシート素材を受け取って搬送する搬送装置と、この搬送装置によって送り込まれたシート素材を成形する成形装置とからなるシート成形設備であって、
搬送装置は、押出装置のダイスから押し出されたシート素材を受け取る第1ベルトコンベアと、この第1ベルトコンベアから搬送されるシート素材を受け取って成形装置へ送り込むチェーンコンベアとからなり、
第1ベルトコンベアは、
シート素材をベルト表面で受け取り、その受け取ったシート素材を成形装置に対して反対方向に向けて搬送するとともに、その搬送したシート素材がヘッドローラー側に到達すると、その到達したシート素材をベルトリターン面に巻き回した状態で搬送可能となっており、且つ、ベルトの上方でベルトのヘッド側と同テール側との間をダイスが相対的に往復動作するよう成形装置に対して進退動作可能に構成されており、
チェーンコンベアは、
第1ベルトコンベアから受け取ったシート素材の両サイドをクランプした状態で成形装置の上下型の間に搬送可能に構成されており、
成形装置での成形が開始すると、
第1ベルトコンベアは、押出装置から受け取るシート素材に撓みや引きちぎりが生じることがないように搬送動作とコンベア自身の後退動作によってシート素材を蓄えていき、そのときのチェーンコンベアは、シート素材の搬送を停止しており、
成形装置での成形が終了すると、
第1ベルトコンベアは、後退動作する前の位置に戻るよう進行動作するとともに、押出装置から受け取るシート素材と次の成形に必要となるシート素材の1成形長の搬送動作を行い、
チェーンコンベアは、第1ベルトコンベアから受け取るシート素材の搬送動作を行うように設定されているシート成形設備。
【請求項2】
請求項1に記載のシート成形設備であって、
搬送装置には、第1ベルトコンベアの下方位置に設けられた第2ベルトコンベアが備えられており、
第2ベルトコンベアは、
ベルトの表面と第1ベルトコンベアのベルトのリターン面との間で第1ベルトコンベアのベルトのリターン面側に巻き回され搬送されているシート素材の上下面をクランプさせた状態でシート素材をチェーンコンベアに向けて搬送可能に構成されており、
成形装置での成形が開始すると、
第2ベルトコンベアは停止しており、
成形装置での成形が終了すると、
第2ベルトコンベアは、第1ベルトコンベアの進行動作速度と同搬送動作速度の合算速度で搬送動作を行うように設定されているシート成形設備。
【請求項3】
請求項2に記載のシート成形設備であって、
第2ベルトコンベアのヘッドローラーは、成形装置とチェーンコンベアのテールスプロケットとの間に配置されているシート成形設備。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のシート成形設備であって、
チェーンコンベアは、シート素材の搬送方向およびその搬送方向と逆方向に向けて往復動作するよう成形装置に対して進退動作可能に構成されているシート成形設備。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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