説明

シート搬送装置及び後処理装置

【課題】複数種の駆動モーターにより駆動される複数のローラー対間の速度差により生じる不具合の発生を防止する。
【解決手段】パンチ処理部251によりパンチ処理が行われる前にローラー対31,32,36,37の駆動を停止させ、パンチ処理が行われた後にローラー対31,32,36,37の駆動を開始させる後処理装置において、ローラー対31,32,36を駆動するステッピングモーター26a,26bと、ローラー対37を駆動するブラシレスモーター27aとは、駆動開始時の加速度及び駆動停止時の減速度が異なっている。ステッピングモーター26a,26b及びブラシレスモーター27aによる複数のローラー対31,32,36,37の駆動開始に伴う加速期間及び駆動停止に伴う減速期間、ブラシレスモーター27aにより駆動されるローラー対37のローラー間の間隔を用紙挟持不可能な状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置及び後処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成後の用紙に対してパンチやステープル等の後処理を行う後処理装置において、はがき程度の小サイズからA3等の大サイズまで様々なサイズの用紙に対応するためには、用紙の搬送に用いるローラー対を短い間隔で多数配置する必要がある。
【0003】
また、一般的に、後処理装置では、後処理の対象となる用紙を停止させた状態で後処理を行っている。従来は、用紙を搬送するローラー対を駆動する全ての駆動源としてステッピングモーターを用い、全てのローラー対における用紙搬送速度が同一となるように加速・減速を行っている。
【0004】
しかし、搬送される用紙の枚数や厚さが変わる場合等、負荷変動が大きい場合や、コスト等の都合により、ステッピングモーターを使えない場合がある。ローラー対を駆動する駆動源の一部にブラシレスモーター等を用いる場合には、加減速時の速度制御がステッピングモーターに比べ困難であるため、駆動源の違いによってローラー対同士の間で速度差が生じるという問題がある。具体的には、前段のローラー対の方が後段のローラー対より速度が速い場合には、過ループによる騒音が発生し、前段のローラー対の方が後段のローラー対より速度が遅い場合には、両ローラー対間の用紙が突っ張り、モーターの脱調が発生するという問題がある。
【0005】
モーターの脱調を防止する技術として、例えば、シートをシート幅方向にシフトさせる斜送機構において、電源起動時に当接部材を位置決め部材へ当接させることで斜送ローラー対の初期位置を確定し、停止時に斜送ローラー対を離間させるものが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−105852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、複数種の駆動モーターにより駆動される複数のローラー対間の速度差により生じる不具合を解消するものではなく、上記従来技術における問題は依然として存在していた。
【0008】
本発明は、複数種の駆動モーターにより駆動される複数のローラー対間の速度差により生じる不具合の発生を防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、シートを挟持搬送する複数のローラー対と、前記複数のローラー対を駆動し、駆動開始時の加速度及び駆動停止時の減速度が異なる複数種の駆動モーターと、前記複数種の駆動モーターによる前記複数のローラー対の駆動開始及び駆動停止を制御する駆動制御手段と、前記複数種の駆動モーターによる前記複数のローラー対の駆動開始に伴う加速期間及び駆動停止に伴う減速期間において、前記複数種の駆動モーターのうち1種の駆動モーター以外の駆動モーターにより駆動されるローラー対のローラー間の間隔をシート挟持不可能な状態にするローラー間隔調整手段と、を備えるシート搬送装置である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシート搬送装置において、前記1種の駆動モーターは、前記1種の駆動モーター以外の駆動モーターより駆動開始時の加速度及び駆動停止時の減速度が大きい。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のシート搬送装置において、前記1種の駆動モーターは、ステッピングモーターである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のシート搬送装置において、前記ローラー間隔調整手段は、搬送されるシートの搬送方向における長さが予め定められた長さより長い場合に、前記1種の駆動モーター以外の駆動モーターにより駆動されるローラー対のローラー間の間隔をシート挟持不可能な状態にする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載のシート搬送装置において、前記ローラー間隔調整手段は、前記1種の駆動モーター以外の駆動モーターにより駆動されるローラー対にシートの先端が到達する前に、前記1種の駆動モーター以外の駆動モーターにより駆動されるローラー対のローラー間の間隔をシート挟持不可能な状態にし、前記複数のローラー対の線速が一致する時以降に、前記1種の駆動モーター以外の駆動モーターにより駆動されるローラー対のローラー間の間隔をシート挟持可能な状態にする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のシート搬送装置と、シートに対して後処理を行う後処理手段と、を備える後処理装置である。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の後処理装置において、前記駆動制御手段は、前記後処理手段により後処理が行われる前に、前記複数種の駆動モーターによる前記複数のローラー対の駆動を停止させ、前記後処理手段により後処理が行われた後に、前記複数種の駆動モーターによる前記複数のローラー対の駆動を開始させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数種の駆動モーターにより駆動される複数のローラー対間の速度差により生じる不具合の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】画像形成システムを構成する画像形成装置及び後処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】後処理装置の構成の一例を示す図である。
【図3】後処理装置の一部の搬送路に沿ったローラー対の模式図である。
【図4】後処理装置において実行される処理を示すフローチャートである。
【図5】ステッピングモーターにより駆動されるローラーの線速、ブラシレスモーターにより駆動されるローラーの線速、ブラシレスモーターにより駆動されるローラー対のローラー間隔調整、穿孔動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係るシート搬送装置及び後処理装置の一実施形態について説明する。
図1に、画像形成システム1を構成する画像形成装置10及び後処理装置20の機能的構成を示す。
【0019】
図1に示すように、画像形成装置10は、制御部11、通信部12、記憶部13、ローラー駆動部14、用紙収納部15、画像形成部16、画像読取部17、操作部18、表示部19を備える。
【0020】
制御部11は、画像形成装置10の各部を統括的に制御する。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えており、CPUは、ROMに格納されたプログラムを読み出し、RAM内のワークエリアに展開し、プログラムとの協働によって各種処理を実行する。
【0021】
通信部12は、後処理装置20との間でデータの送受信を行う。例えば、通信部12は、操作部18からの操作により指定された後処理を示す後処理条件情報、処理対象の用紙に関する用紙情報を後処理装置20に送信する。後処理条件情報には、パンチ処理やステープル処理等の各後処理について、当該後処理を実行するか否かを示す情報、当該後処理を行う位置を示す情報が含まれる。用紙情報には、用紙の搬送方向における長さを示す情報が含まれる。
【0022】
記憶部13は、画像形成装置10が実行する各種処理で使用するデータや、画像形成装置10が実行する各種処理により生成されたデータ等を記憶する。
【0023】
ローラー駆動部14は、画像形成装置10内に設けられた複数のローラー対を駆動し、シートとしての用紙を搬送する。
【0024】
用紙収納部15は、サイズや紙種の異なる複数の種類の用紙を収納する。
【0025】
画像形成部16は、用紙上にカラー画像を形成する。例えば、画像形成部16は、電子写真方式の画像形成を行うものであり、感光体ドラム、感光体ドラムの帯電を行う帯電部、画像データに基づいて感光体ドラム表面を露光走査する露光部、感光体ドラムにトナーを付着させる現像部、感光体ドラム上に形成されたトナー像を用紙に転写する転写部、用紙上に形成されたトナー像を定着させる定着部等から構成される。
【0026】
画像読取部17は、原稿を画像データとして読み取る。具体的には、画像読取部17は、光源から原稿へ照明走査した光の反射光をCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサにより読み取る。
【0027】
操作部18は、数字キーやスタートキー等の各種キー、表示部19と一体的に形成されたタッチパネルを備えて構成され、ユーザーによる操作入力を受け付ける。操作部18は、キーやタッチパネルの操作により入力された操作信号を制御部11に出力する。
【0028】
表示部19は、LCD(Liquid Crystal Display)を備え、制御部11からの指示に従って、各種操作画面や各種処理結果を表示する。
【0029】
制御部11は、画像読取部17に原稿を読み取らせ、画像データを取得する。制御部11は、ローラー駆動部14を制御して、用紙収納部15から画像形成部16に用紙を搬送させ、取得した画像データに基づいて、画像形成部16に画像形成を行わせる。制御部11は、ローラー駆動部14を制御して、画像形成後の用紙を後処理装置20に排出させる。制御部11は、後処理条件情報及び用紙情報を、通信部12を介して後処理装置20に送信する。
【0030】
後処理装置20は、図1に示すように、制御部21、通信部22、記憶部23、入口センサー24、後処理部25、第1駆動モーター26、第2駆動モーター27、ローラー間隔調整部28を備える。ローラー対31〜37(図2参照)と、図1に示す制御部21と、第1駆動モーター26と、第2駆動モーター27と、ローラー間隔調整部28と、により構成される部分が本発明に係るシート搬送装置に該当する。
【0031】
制御部21は、後処理装置20の各部を統括的に制御する。制御部21は、CPU、ROM、RAM等を備えており、CPUは、ROMに格納されたプログラムを読み出し、RAM内のワークエリアに展開し、プログラムとの協働によって各種処理を実行する。
【0032】
通信部22は、画像形成装置10との間でデータの送受信を行う。例えば、通信部22は、画像形成装置10から送信された後処理条件情報及び用紙情報を受信する。
【0033】
記憶部23は、後処理装置20が実行する各種処理で使用するデータや、後処理装置20が実行する各種処理により生成されたデータ等を記憶する。
【0034】
入口センサー24は、用紙を検知するセンサーであって、画像形成装置10から搬送された用紙の先端を検知し、検知結果を制御部21に出力する。
【0035】
後処理部25は、パンチ処理部251(図2参照)、ステープル処理部252(図2参照)、ステープルトレイ253(図2参照)等を備え、画像形成装置10から排出された用紙に対してパンチ処理、ステープル処理等の後処理を行う。
【0036】
第1駆動モーター26は、後処理装置20内に設けられた用紙を挟持搬送するための複数のローラー対のうち一部のローラー対を駆動する。第1駆動モーター26として、ステッピングモーターを用いる。
【0037】
第2駆動モーター27は、後処理装置20内に設けられた用紙を挟持搬送するための複数のローラー対のうち第1駆動モーター26により駆動されるローラー対以外のローラー対を駆動する。第2駆動モーター27として、ブラシモーター、ブラシレスモーター(インナーローター、アウターローター)、ACモーター、静電モーター、超音波モーター等を用いる。
【0038】
第1駆動モーター26と、第2駆動モーター27とは、駆動開始時の加速度及び駆動停止時の減速度が異なる。具体的には、第1駆動モーター26は、第2駆動モーター27より駆動開始時の加速度及び駆動停止時の減速度が大きい。加速度とは、単位時間あたりに速度が加速する割合をいい、速度の変化率が正の値である場合の速度の変化率である。減速度とは、単位時間あたりに速度が減速する割合をいい、速度の変化率が負の値である場合の速度の変化率の絶対値である。
【0039】
ローラー間隔調整部28は、第2駆動モーター27により駆動されるローラー対のローラー間の間隔を、用紙挟持可能な状態又は用紙挟持不可能な状態に調整する。用紙挟持可能な状態とは、ローラー同士が接触し(用紙がローラー間に挟まれている場合も含む。)、用紙を搬送する際の状態をいう。用紙挟持不可能な状態とは、ローラー対のローラー同士が離間された状態をいう。ローラー間隔調整部28として、各種駆動モーターや、ソレノイドを用いる。
【0040】
制御部21は、画像形成装置10から受信した後処理条件情報に基づいて、実行すべき後処理を判断し、後処理部25に、用紙に対して後処理を行わせる。
【0041】
制御部21は、第1駆動モーター26及び第2駆動モーター27を制御して、後処理装置20内に設けられた複数のローラー対の駆動開始及び駆動停止を制御する。すなわち、制御部21は、駆動制御手段として機能する。
【0042】
具体的に、制御部21は、後処理部25により後処理が行われる前に、第1駆動モーター26及び第2駆動モーター27による複数のローラー対の駆動を停止させ、後処理部25により後処理が行われた後に、第1駆動モーター26及び第2駆動モーター27による複数のローラー対の駆動を開始させる。
【0043】
制御部21は、画像形成装置10から受信した用紙情報に基づいて、搬送される用紙の搬送方向における長さが予め定められた長さより長いか否かを判断する。制御部21は、搬送される用紙の搬送方向における長さが予め定められた長さより長い場合には、ローラー間隔調整部28を制御して、第1駆動モーター26及び第2駆動モーター27による複数のローラー対の駆動開始に伴う加速期間及び駆動停止に伴う減速期間、第2駆動モーター27により駆動されるローラー対のローラー間の間隔を用紙挟持不可能な状態にする。すなわち、制御部21及びローラー間隔調整部28により、ローラー間隔調整手段が構成される。
【0044】
具体的に、制御部21は、ローラー間隔調整部28を制御して、第2駆動モーター27により駆動されるローラー対に用紙の先端が到達する前に、第2駆動モーター27により駆動されるローラー対のローラー間の間隔を用紙挟持不可能な状態にし、複数のローラー対の線速が一致する時以降に、第2駆動モーター27により駆動されるローラー対のローラー間の間隔を用紙挟持可能な状態にする。
【0045】
図2に、後処理装置20の構成の一例を示す。
図2に示すように、後処理装置20は、ローラー対31〜37、方向切替部38、入口センサー24、パンチ処理部251、ステープル処理部252、ステープルトレイ253、排紙トレイ29等を備える。
【0046】
パンチ処理もステープル処理も指定されていない場合、又は、パンチ処理は指定されているがステープル処理は指定されていない場合には、画像形成装置10から排出された用紙は、ローラー対31〜35により、搬送路P1を搬送され、排紙トレイ29に排出される。パンチ処理が指定されている場合には、用紙が搬送路P1を搬送される途中で一旦用紙の搬送が停止され、パンチ処理部251により、用紙の所定の位置にパンチ処理が施される。
【0047】
ステープル処理が指定されている場合には、画像形成装置10から排出された用紙は、ローラー対31,32,36,37により、搬送路P2を搬送され、ステープルトレイ253に積載される。パンチ処理が指定されている場合には、用紙が搬送路P2を搬送される途中で一旦用紙の搬送が停止され、パンチ処理部251により、用紙の所定の位置にパンチ処理が施される。ステープル対象となる枚数の用紙がステープルトレイ253に積載された後、ステープル処理部252により、用紙の所定の位置にステープル処理が施され、ステープル処理後の用紙が搬送路P3を搬送され、排紙トレイ29に排出される。
【0048】
方向切替部38は、矢印Q方向に回転可能に設けられており、後処理装置20に搬入された用紙を搬送路P1又は搬送路P2に導くよう、用紙の搬送方向を切り替える。
【0049】
図3は、搬送路P2に沿ったローラー対31,32,36,37の模式図である。
以下の説明において、第1駆動モーター26としてステッピングモーター26a,26bを用い、第2駆動モーター27としてブラシレスモーター27aを用いた場合を例にして説明する。なお、ステッピングモーター26a,26bは、駆動開始時の加速度及び駆動停止時の減速度が同じ駆動モーターである。
【0050】
ローラー対31は、駆動ローラー31aと従動ローラー31bとから構成され、両ローラー31a,31bにより用紙を挟持搬送する。駆動ローラー31aは、ステッピングモーター26aにより駆動される。
【0051】
ローラー対32は、駆動ローラー32aと従動ローラー32bとから構成され、両ローラー32a,32bにより用紙を挟持搬送する。ローラー対36は、駆動ローラー36aと従動ローラー36bとから構成され、両ローラー36a,36bにより用紙を挟持搬送する。駆動ローラー32a,36aは、ステッピングモーター26bにより駆動される。
【0052】
ローラー対37は、駆動ローラー37aと従動ローラー37bとから構成され、両ローラー37a,37bにより用紙を挟持搬送する。駆動ローラー37aは、ブラシレスモーター27aにより駆動される。ローラー間隔調整部28により、従動ローラー37bの位置がR方向に調整され、駆動ローラー37aと従動ローラー37bとの間隔が用紙挟持可能な状態又は用紙挟持不可能な状態に調整される。
【0053】
図4は、後処理装置20において実行される処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部21のCPUと、ROMに格納されたプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。ここでは、後処理としてパンチ処理及びステープル処理が指定されている場合に、パンチ処理が行われる際の処理を例にして説明する。
【0054】
まず、制御部21により、画像形成装置10から受信した用紙情報に基づいて、搬送される用紙の搬送方向における長さが予め定められた長さより長いか否かが判断される(ステップS1)。ここでは、「予め定められた長さ」として、パンチ処理部251の位置から、ブラシレスモーター27aにより駆動されるローラー対37の位置までの経路長を用いる。
【0055】
用紙の搬送方向における長さが予め定められた長さより長い場合には(ステップS1;YES)、制御部21により、入口センサー24において用紙の先端が検知されたか否か、すなわち、画像形成装置10から排出された用紙が後処理装置20に搬入されたか否かが判断される(ステップS2)。入口センサー24において用紙の先端が検知されない場合には(ステップS2;NO)、入口センサー24において用紙の先端が検知されるまで待機状態となる。
【0056】
入口センサー24において用紙の先端が検知された場合には(ステップS2;YES)、制御部21により、用紙の先端がブラシレスモーター27aにより駆動されるローラー対37に到達する前に、ローラー間隔調整部28が制御され、ローラー対37が用紙挟持不可能な状態にされる(ステップS3)。具体的には、制御部21により、ローラー間隔調整部28が制御され、従動ローラー37bが駆動ローラー37aから離間される。
【0057】
なお、入口センサー24において用紙の先端が検知されてから用紙の先端がブラシレスモーター27aにより駆動されるローラー対37の位置に到達するまでの時間は、入口センサー24の位置からローラー対37の位置までの経路長及び用紙の搬送速度により求められる。
【0058】
次に、制御部21により、ステッピングモーター26a,26bの減速が開始され(ステップS4)、ステッピングモーター26a,26bが停止される(ステップS5)。ステップS4,S5と並行して、制御部21により、ブラシレスモーター27aの減速が開始され(ステップS6)、ブラシレスモーター27aが停止される(ステップS7)。
【0059】
ステップS5、ステップS7の後、制御部21により、パンチ処理部251が制御され、用紙に対してパンチ処理が行われる(ステップS8)。
【0060】
次に、制御部21により、ステッピングモーター26a,26bの加速が開始され(ステップS9)、ステッピングモーター26a,26bが定速状態にされる(ステップS10)。ステップS9,S10と並行して、制御部21により、ブラシレスモーター27aの加速が開始され(ステップS11)、ブラシレスモーター27aが定速状態にされる(ステップS12)。
【0061】
ステップS10、ステップS12の後、制御部21により、ローラー間隔調整部28が制御され、ブラシレスモーター27aにより駆動されるローラー対37が用紙挟持可能な状態にされる(ステップS13)。具体的には、制御部21により、ローラー間隔調整部28が制御され、従動ローラー37bが駆動ローラー37aに接近した位置に移動される。
【0062】
ステップS1において、用紙の搬送方向における長さが予め定められた長さ以下の場合には(ステップS1;NO)、制御部21により、パンチ処理部251が制御され、用紙に対してパンチ処理が行われる(ステップS14)。
ステップS13、又は、ステップS14の後、処理が終了する。
【0063】
図5は、ステッピングモーター26a,26bにより駆動されるローラー(駆動ローラー31a,32a,36a)の線速、ブラシレスモーター27aにより駆動されるローラー(駆動ローラー37a)の線速、ブラシレスモーター27aにより駆動されるローラー対37のローラー間隔調整、パンチ処理部251における穿孔動作を示すタイミングチャートである。
【0064】
まず、ローラー間隔調整部28により、ブラシレスモーター27aにより駆動されるローラー対37の従動ローラー37bが駆動ローラー37aから離間され、用紙挟持不可能な状態にされる(T1)。
【0065】
その後、ステッピングモーター26a,26bにより駆動される駆動ローラー31a,32a,36a及びブラシレスモーター27aにより駆動される駆動ローラー37aの減速が開始される(T2)。ステッピングモーター26a,26bは、ブラシレスモーター27aより駆動停止時の減速度が大きいため、先に駆動ローラー31a,32a,36aが停止され(T3)、後から駆動ローラー37aが停止される(T4)。
【0066】
その後、用紙の搬送が停止された状態で、パンチ処理部251により、用紙に対してパンチ処理(穿孔)が行われる(T5)。
【0067】
その後、ステッピングモーター26a,26bにより駆動される駆動ローラー31a,32a,36a及びブラシレスモーター27aにより駆動される駆動ローラー37aの加速が開始される(T6)。ステッピングモーター26a,26bは、ブラシレスモーター27aより駆動開始時の加速度が大きいため、先に駆動ローラー31a,32a,36aが定速状態(通常の用紙搬送線速)となり(T7)、後から駆動ローラー37aが定速状態となる(T8)。
【0068】
ここで、ローラー対31,32,36,37の線速が一致する時に(T8)、ローラー間隔調整部28により、ブラシレスモーター27aにより駆動されるローラー対37の従動ローラー37bが駆動ローラー37aに接近した位置に移動され、用紙挟持可能な状態にされる。
【0069】
図5に示す例では、ステッピングモーター26a,26bにより駆動される駆動ローラー31a,32a,36aの線速と、ブラシレスモーター27aにより駆動される駆動ローラー37aの線速と、が一致した時に(T8)、ローラー対37を用紙挟持可能な状態にすることとしたが、駆動ローラー31a,32a,36aの線速と、駆動ローラー37aの線速と、が一致した後に、ローラー対37を用紙挟持可能な状態にすることとしてもよい。
【0070】
以上説明したように、本実施の形態における後処理装置20によれば、複数種の駆動モーター(第1駆動モーター26、第2駆動モーター27)による複数のローラー対の駆動開始に伴う加速期間及び駆動停止に伴う減速期間、複数種の駆動モーターのうち第1駆動モーター26以外の第2駆動モーター27により駆動されるローラー対のローラー間の間隔を用紙挟持不可能な状態にするので、複数種の駆動モーターにより駆動される複数のローラー対間の速度差により生じる不具合(過ループによる騒音、用紙の突っ張りによるモーターの脱調、紙詰まり等)の発生を防止することができる。
【0071】
特に、後処理前後の複数のローラー対の駆動停止に伴う減速期間及び駆動開始に伴う加速期間において、第2駆動モーター27により駆動されるローラー対のローラー間の間隔を用紙挟持不可能な状態にするので、複数種の駆動モーターにより駆動される複数のローラー対間の速度差により生じる不具合の発生を防止することができる。
【0072】
このように、同一装置内に複数種の駆動モーターを採用することができるので、駆動モーターの選択の幅が拡がる。例えば、ステッピングモーターは、速度制御が容易であるが、負荷や振動で脱調する可能性があり、またコストもかかる。一方、ブラシレスモーターは、ステッピングモーターと比較して速度制御が困難であるが、正回転・逆回転を高速に切り替えることができるというメリットがある。このような各駆動モーターの特性を活かしつつ、駆動モーターを使い分けることにより、コストダウンを図ることができる。
【0073】
また、搬送される用紙の搬送方向における長さが予め定められた長さより長いか否かに応じて、ローラー対のローラー間の間隔を用紙挟持不可能な状態にするか否かを決定するので、必要に応じて用紙挟持不可能な状態にするか否かを決定することができる。
【0074】
また、第2駆動モーター27により駆動されるローラー対に用紙の先端が到達する前に、第2駆動モーター27により駆動されるローラー対のローラー間の間隔を用紙挟持不可能な状態にし、複数のローラー対の線速が一致する時以降に、第2駆動モーター27により駆動されるローラー対のローラー間の間隔を用紙挟持可能な状態にするので、異なる種類の駆動モーターにより駆動される異なるローラー対の双方に用紙が挟持された状態で加速又は減速されることを防ぐことができる。
【0075】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係るシート搬送装置及び後処理装置の例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0076】
例えば、上記実施の形態では、駆動開始時の加速度及び駆動停止時の減速度が異なる第1駆動モーター26及び第2駆動モーター27を用いる場合について説明したが、駆動開始時の加速度及び駆動停止時の減速度が異なる3種以上の駆動モーターを用いることとしてもよい。この場合には、3種以上の駆動モーターによる複数のローラー対の駆動開始に伴う加速期間及び駆動停止に伴う減速期間、3種以上の駆動モーターのうち1種の駆動モーター以外の駆動モーターにより駆動されるローラー対のローラー間の間隔を、用紙挟持不可能な状態にすればよい。
【0077】
また、上記実施の形態では、第2駆動モーター27により駆動されるローラー対のローラー間の間隔を用紙挟持不可能な状態にするか否かを決定する際の基準となる「予め定められた長さ」として、パンチ処理部251の位置から、ブラシレスモーター27aにより駆動されるローラー対37の位置までの経路長を用いた場合を例にして説明したが、「予め定められた長さ」として、他の後処理部の位置から、ローラー間の間隔が用紙挟持不可能な状態に調整されるローラー対の位置までの経路長を用いてもよい。また、「予め定められた長さ」として、異なる種類の駆動モーターにより駆動されるローラー対同士の距離を用いてもよい。
【0078】
また、上記実施の形態では、搬送されるシートとして用紙を用いる場合について説明したが、シート状のものであれば、他のものであってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 画像形成システム
10 画像形成装置
11 制御部
12 通信部
13 記憶部
14 ローラー駆動部
15 用紙収納部
16 画像形成部
17 画像読取部
18 操作部
19 表示部
20 後処理装置
21 制御部
22 通信部
23 記憶部
24 入口センサー
25 後処理部
26 第1駆動モーター
26a,26b ステッピングモーター
27 第2駆動モーター
27a ブラシレスモーター
28 ローラー間隔調整部
31〜37 ローラー対
31a,32a,36a,37a 駆動ローラー
31b,32b,36b,37b 従動ローラー
251 パンチ処理部
252 ステープル処理部
253 ステープルトレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを挟持搬送する複数のローラー対と、
前記複数のローラー対を駆動し、駆動開始時の加速度及び駆動停止時の減速度が異なる複数種の駆動モーターと、
前記複数種の駆動モーターによる前記複数のローラー対の駆動開始及び駆動停止を制御する駆動制御手段と、
前記複数種の駆動モーターによる前記複数のローラー対の駆動開始に伴う加速期間及び駆動停止に伴う減速期間において、前記複数種の駆動モーターのうち1種の駆動モーター以外の駆動モーターにより駆動されるローラー対のローラー間の間隔をシート挟持不可能な状態にするローラー間隔調整手段と、
を備えるシート搬送装置。
【請求項2】
前記1種の駆動モーターは、前記1種の駆動モーター以外の駆動モーターより駆動開始時の加速度及び駆動停止時の減速度が大きい、
請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記1種の駆動モーターは、ステッピングモーターである、
請求項1又は2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記ローラー間隔調整手段は、搬送されるシートの搬送方向における長さが予め定められた長さより長い場合に、前記1種の駆動モーター以外の駆動モーターにより駆動されるローラー対のローラー間の間隔をシート挟持不可能な状態にする、
請求項1から3のいずれか一項に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記ローラー間隔調整手段は、前記1種の駆動モーター以外の駆動モーターにより駆動されるローラー対にシートの先端が到達する前に、前記1種の駆動モーター以外の駆動モーターにより駆動されるローラー対のローラー間の間隔をシート挟持不可能な状態にし、前記複数のローラー対の線速が一致する時以降に、前記1種の駆動モーター以外の駆動モーターにより駆動されるローラー対のローラー間の間隔をシート挟持可能な状態にする、
請求項1から4のいずれか一項に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のシート搬送装置と、
シートに対して後処理を行う後処理手段と、
を備える後処理装置。
【請求項7】
前記駆動制御手段は、前記後処理手段により後処理が行われる前に、前記複数種の駆動モーターによる前記複数のローラー対の駆動を停止させ、前記後処理手段により後処理が行われた後に、前記複数種の駆動モーターによる前記複数のローラー対の駆動を開始させる、
請求項6に記載の後処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−1516(P2013−1516A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134805(P2011−134805)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】