説明

シート状化粧料及びその製造方法

【課題】販売される本製品と同様の感触を有するために、サンプルとして好適に使用することができ、かつ、簡便な方法によって安価で製造することができるシート状化粧料を得る。
【解決手段】化粧品原料、粘結剤(B)及び揮発性溶剤(C)を混合しスラリー状とする工程(1)、前記工程(1)によって得られたスラリー状組成物をシート状基材上に噴霧する工程(2)、及び、前記工程(2)によって得られた化粧料層を有するシートを乾燥させる工程(3)によって得られ、化粧料原料は、少なくとも一部が粉体成分(A)及び油性成分(D)であり、粘結剤(B)は、化粧品原料100質量部に対して5質量部以下であることを特徴とするシート状化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンデーション,アイシャドウ,頬紅等の粉体含有化粧料の化粧料サンプルや、旅行用の小分けした化粧料等として使用することができるシート状化粧料及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ファンデーション,アイシャドウ,頬紅等の粉体含有化粧料のサンプルを収容するものとして、各種のサンプルケースが出回っている。ところが、これらはいずれも立体的な形状であり、このため、嵩張って運搬等の取り扱い性が悪いという問題がある。
【0003】
このような問題を改善するため、シート状の化粧料が開発されている。このようなシート状化粧料は、通常、シート状基材上にスクリーン印刷方式によって化粧料層を形成することによって製造されるものである。
一方、通常の商品として販売される化粧料としては、特許文献1に記載されたもののように、含水揮発性溶剤を含む組成物を容器充填して、その後乾燥することによる湿式製法によって得られる化粧料が公知である。これらの製造方法とスクリーン印刷方式とは製造方法として根本的に相違するものである。
【0004】
このように、実際の商品とシート状化粧料とでは、製造方法が異なるために、その使用時の感触が相違してしまうという問題があった。特に、スクリーン印刷方式によって製造されたシート状化粧料においては、印刷ができるように有機溶剤を添加することが行われるため、溶媒の揮発速度が速くなってしまい、これによって得られた化粧料の色調、光沢、感触等が実際の製品と相違するものとなってしまう。特に、揮発性溶剤を使用して成形する湿式の製造方法によって得られる化粧料においては、揮発の速度が相違することによって、性能に差が生じてしまいやすい。
【0005】
シート状化粧料を化粧品サンプルとして使用する場合には、製品としての化粧料との性能の差が大きいことは、サンプルの目的を達することができず、大きな問題となってしまう。
【0006】
その他のシート状化粧料の製造方法としては、特許文献2に記載されたものが知られている。これは、粉状化粧料をメッシュ上でブラシ毛でかき落とし、その後プレスを行うことによって製造する方法である。このような方法は、複雑な装置を有するため、サンプルのように無料配布する製品に使用するには、コスト高になるという問題がある。
【0007】
また、特許文献3に記載したように水溶性高分子を配合した組成物を基材上に塗布することによってシート状化粧料を得る方法も知られている。しかし、特許文献3の発明は光輝性顔料による光輝感を皮膚に付与するためのものであり、本発明において使用されるような通常のメイクアップ化粧料とは異なり、油性成分を含有しないものである。更に、水溶性高分子は単に光輝性顔料のシートへの付着能を高くするために使用されているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−72536号公報
【特許文献2】特開2001−29130号公報
【特許文献3】特開2010−43028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、販売される本製品と同様の感触を有するために、サンプルとして好適に使用することができ、かつ、簡便な方法によって安価で製造することができるシート状化粧料を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、化粧品原料、粘結剤(B)及び揮発性溶剤(C)とを混合しスラリー状とする工程(1)、上記工程(1)によって得られたスラリー状組成物をシート状基材上に噴霧する工程(2)、及び、上記工程(2)によって得られた化粧料層を有するシートを乾燥させる工程(3)によって得られ、化粧料原料は、少なくとも一部が粉体成分(A)及び油性成分(D)であり、粘結剤(B)は、上記化粧品原料100質量部に対して5質量部以下であることを特徴とするシート状化粧料である。
【0011】
本発明のシート状化粧料は、上記工程(1)において、粘結剤(B)及び揮発性溶剤(C)を予め混合する工程を行った後に、その他の成分を混合するものであることが好ましい。
上記揮発性溶剤(C)は、1種の溶媒であっても2種以上の溶媒の混合物であってもよい。
本発明のシート状化粧料は、その製造方法において、上記工程(2)の後、工程(3)を行う前の段階においてプレスを行わないことが好ましい。
【0012】
本発明は、化粧品原料、粘結剤(B)及び揮発性溶剤(C)を混合しスラリー状とする工程(1)、上記工程(1)によって得られたスラリー状組成物をシート状基材上に噴霧する工程(2)、及び、上記工程(2)によって得られた化粧料層を有するシートを乾燥させる工程(3)を有し、化粧料原料は、少なくとも一部が粉体成分(A)及び油性成分(D)であり、粘結剤(B)は、化粧品原料100質量部に対して5質量部以下であることを特徴とするシート状化粧料の製造方法でもある。
【0013】
上記工程(1)は、粘結剤(B)及び揮発性溶剤(C)を予め混合溶解する工程を行った後に、その他の成分を混合するものであることが好ましい。
上記揮発性溶剤(C)は、1種の溶媒であっても2種以上の溶媒の混合物であってもよい。
本発明のシート状化粧料の製造方法においては、上記工程(2)の後、工程(3)を行う前の段階においてプレスを行わないことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、商品として販売される化粧料と同様の感触を有し、サンプルとして好適に使用することができ、かつ、簡便な方法によって安価で製造することができるシート状化粧料を得ることができる。このようなシート状化粧料は、サンプルだけではなく、小分けした状態の化粧料(例えば、旅行用等の使い切りタイプ)においても使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、主に粉体成分を含有する化粧料のサンプルとして使用することができるシート状化粧料に関するものである。なお、本発明の化粧料をサンプルとして使用する場合は、商品と同一の組成であってもよいし、感触を調整するために、原料の配合割合を若干変更したものであってもよい。
より具体的には、化粧下地、コンシーラ、ファンデーション、アイカラー、アイブロウ、アイライナー、アイシャドウ等の粉体成分を含有する各種の形態の化粧料において使用することができる。
【0016】
本発明の化粧料は、化粧品原料、粘結剤(B)及び揮発性溶剤(C)とを使用して得られるものである。上記化粧品原料は、少なくとも一部が粉体成分(A)及び油性成分(D)である。なお、本明細書において、「化粧品原料」とは上記スラリー状組成物を構成する原料のうち、粘結剤(B)及び揮発性溶剤(C)に該当しない成分の総称である。
【0017】
上記粉体成分(A)としては特に限定されず、例えば、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄等の無機着色顔料、雲母チタン、ベンガラ被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラスフレーク等の光輝性着色顔料、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機粒子、ポリエチレン末、ナイロン末、架橋ポリスチレン、セルロースパウダー等の有機粒子等の化粧品において汎用される材料を使用することができる。更に、赤色201号、赤色202号、赤色220号、赤色226号、赤色104号の(1)もしくはその金属レーキ、青色404号、青色1号もしくはその金属レーキ、黄色4号もしくはその金属レーキ等の有機色素も上記粉体成分(A)に包含されるものである。
【0018】
これらの成分は必要に応じて表面処理を施したものであってもよい。表面処理としては、シリコーン類、フッ素化合物、金属石鹸、油剤、アシルグルタミン酸塩等の物質による、公知の疎水化処理;シリカやアルミナによる無機系の表面処理等を挙げることができる。
上記粉体成分(A)は、2種以上を併用して使用するものであってもよい。
【0019】
本発明の化粧料は、粘結剤(B)を含有するものである。これによって、噴霧した際に粒子同士が結着しやすくなり、好適な化粧料層を形成することが容易であるという点で好ましいものである。上記粘結剤(B)は、本発明の工程(2)において、噴霧された化粧料粒子同士を結着させる作用を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、水溶性高分子、水分散性高分子、水膨潤性物質等を挙げることができる。これらの2種以上を併用して使用するものであってもよい。
【0020】
本発明において使用することができる粘結剤(B)のうち、水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、アラビアガム、アルギン酸又はその塩、カラギーナン、寒天、グアーガム、クインスシード、タマリンドガム、デキストリン、デキストラン、デンプン、ローカストビーンガム、カラヤガム、トルガカントガム、ペクチン、マルメロ、キトサン、キサンタンガム、ジェランガム、ヒアルロン酸又はその塩、プルラン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
【0021】
本発明において使用することができる粘結剤(B)のうち、水分散性高分子としては特に限定されず、例えば、アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、ポリアクリル酸エステルエマルジョン、ポリ塩化ビニルエマルジョン、(メタ)アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルション、(メタ)アクリル酸アルキル・酢酸ビニル共重合体エマルション、ビニルピロリドン・スチレン共重合体エマルション、シリコーン系ポリマーエマルション等からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
【0022】
本発明において使用することができる粘結剤(B)のうち、水膨潤性物質としては特に限定されず、例えば、マグネシウムアルミニウムシリケート、ナトリウムマグネシウムシリケート等を挙げることができる。
【0023】
更に、本発明の工程(1)においては、揮発性溶剤(C)を使用するものである。揮発性溶剤(C)を含有することで、スラリー状組成物の噴霧によって化粧料層を形成することができる。
上記揮発性溶剤(C)としては、水、軽質流動イソパラフィン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン等の低沸点溶剤等を挙げることができる。これらのうち、2種以上を併用して使用するものであってもよい。
【0024】
上記油性成分(D)としては、化粧品において汎用される油脂類、ロウ類、硬化油類、炭化水素類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類等を挙げることができる。これらの2種以上を併用して使用することがより好ましい。
【0025】
上記油性成分(D)としてより具体的には、例えば、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素油;ヒマシ油、オリーブ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、タートル油、アーモンド油、サフラワー油、アボガド油、ラノリン等の動植物油;ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等の脂肪酸;グリセリルジイソステアレート、グリセリルトリイソステアレート、トリメチロールプロパン−2−エチルイソステアレート、グリセリル−トリ−2−エチルヘキサノエート、イソプロピルミリステート、セチル−2−エチルヘキサノエート、ジイソステアリルマレート、2−ヘプチルウンデシルパルミテート等の合成エステル油;セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール等の高級アルコール;固形パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モクロウ、ミツロウ、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ポリエチレンワックス等のワックス類;アルキル変性シリコーンワックス等のシリコーン系油剤;パーフルオロポリエーテル、フッ素変性シリコーン等のフッ素系油剤等が挙げられる。
【0026】
本発明の化粧料においては、更にその他の成分(E)を含有するものであってもよい。その他の成分(E)としては、化粧品において汎用される任意の成分を挙げることができ、例えば、多価アルコール、界面活性剤、薬効成分、着香剤、清涼剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、懸濁剤、安定化剤、湿潤剤、抗酸化剤、pH調整剤、粘度調整剤、着色剤、防腐剤等を挙げることができる。
【0027】
上記多価アルコールとしては、化粧料分野において一般的に使用される公知のものを使用することができ、例えば、ジプロピレングリコール、1,3‐ブチレングリコール、イソペンチルジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトール、ラフィノース等を挙げることができる。これらは市販品として容易に入手することができる。上記多価アルコールは、必要に応じて、1種又は2種以上を用いることができる。
【0028】
本発明の化粧料を製造する際の工程(1)は、化粧品原料、上記成分(B)及び成分(C)を混合することによってスラリー状として、スラリー状組成物を調製する工程である。上記化粧品原料において、化粧料原料は少なくとも上記成分(A)及び成分(D)を配合するものである。上記成分(A)は、化粧品原料に対して、50〜99.5質量%であることが好ましい。50質量%より少ないと、粉体成分の少ない処方となるので、シート状の化粧料とすることに適さないものとなるおそれがある。99.5質量%を超えると、粉体比が多すぎて噴霧するノズルが詰まるおそれがある。上記(A)の配合量は、60〜95質量%であることがより好ましい。
【0029】
上記成分(B)は、化粧品原料100質量部に対して、5質量部以下である。5質量部を超えると乾燥後硬くなりすぎて感触が悪くなるおそれがある。上記成分(B)は化粧品原料100質量部に対して、3質量部以下であることがより好ましい。上記成分(B)の配合量の下限は特に限定されるものではないが、0.05質量部であることが好ましい。
【0030】
上記成分(C)は、化粧品原料100質量部に対して、30〜1500質量部であることが好ましい。
30質量部より少ないと、粉体比が多すぎて噴霧するノズルが詰まるおそれがある。1500質量部を超えると、溶剤比が多すぎて生産効率が悪くなるおそれがある。上記成分(C)の配合量は、化粧品原料100質量部に対して、50〜800質量部であることがより好ましい。
【0031】
上記成分(D)は、化粧品原料全量に対して、0.4〜20質量%であることが好ましい。上記範囲内とすることで、感触(滑らかさ)と付着性という点で好ましい化粧料を得ることができる。上記成分(D)は、化粧品原料全量に対して、1〜15質量%であることがより好ましい。
【0032】
上記工程(1)は、化粧品の通常の製造方法における混合と同様に行うことができる。例えば、モーター攪拌、手での攪拌等を挙げることができる。
【0033】
本発明の工程(1)においては、スラリーを調製する際の混合の順序や方法は特に限定されるものではないが、粘結剤(B)及び揮発性溶剤(C)を混合して溶解させた後に、化粧品原料(粉体成分(A)、油性成分(D)及び必要に応じて使用するその他の成分(E))を混合することが好ましい。このようにすることで、水溶性高分子が均一に溶解し、粉体成分も液体媒体中に均一に分散するため、優れた性能の化粧料とすることができる。
【0034】
本発明の化粧料は、上記工程(1)によって得られたスラリー状組成物をシート状基材上に噴霧する工程(2)を有する製造方法によって得られたものである。すなわち、公知の製造方法のように、シルクスクリーンによって化粧料層を形成するのではなく、スラリー状組成物を噴霧することによって化粧料層を形成するものである。これにより、スクリーン印刷で形成した場合のように、凝結した固い状態になるという問題を生じない。また、本発明においては、粘結剤(B)及び揮発性溶剤(C)の配合量を調整することによって、得られたシート状化粧料の感触を調整することができる。よって、これらの量を必要に応じて調整することで、製品の感触と近いサンプルとすることができるものである。
【0035】
本発明において使用されるシート状基材としては特に限定されず、紙、樹脂製シート、金属製シート等の任意のものを使用することができる。シート状基材は、化粧料層形成面に凹部を形成して、凹部に化粧料を充填するものであってもよい。
【0036】
上記工程(2)における噴霧方法は特に限定されず、エアースプレー、エアレススプレー等の公知の任意の噴霧方法によって行うことができる。また、シート状基材の全面に化粧料層を形成するものでない場合には、化粧料層を形成しない部分にマスクフィルムを貼付し、噴霧後に上記マスクフィルムを剥離してもよい。
【0037】
上記工程(2)においては、その噴霧量は特に限定されるものではないが、例えば化粧料層形成面1cmに対して0.002〜0.08gで化粧料層を形成することが好ましい。このような範囲で形成することによって、工程(3)において簡便に乾燥させることができ、また、塗布量が少な過ぎて使用時に化粧料をうまく取ることができない等の問題を生じることもない点で好ましい。
また、原料の配合が異なる複数種類のスラリー状組成物の噴霧を繰り返して行うことによって、多色のサンプルとすることもできる。
【0038】
上記工程(2)によって化粧料層を形成した後に、工程(3)によって乾燥を行うことにより、本発明のシート状化粧料は完成する。上記工程(3)における乾燥によって、揮発性溶剤(C)は揮発する。
上記工程(3)の乾燥条件等は特に限定されず、例えば、一昼夜の自然乾燥や40〜80℃の乾燥機中での3〜10時間での乾燥という条件等を挙げることができる。
【0039】
本発明においては、上記工程(2)を行った後、工程(3)を行うまでの間にはプレスを行わないことが好ましい。プレスを行うことなく乾燥させることによって、水溶性高分子によって得られた感触を変化させることがない、ひび割れや剥がれを生じない、工程が減ることによってコストダウンを得ることができる等の利点を有するものである。
本発明は、上述したような化粧料の製造方法でもある。
【実施例】
【0040】
次に、本発明を実施例及び比較例を挙げてさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、配合量はすべて質量%である。
【0041】
(実施例1〜5、比較例1〜2)
表1に示すアイシャドウを下記の方法により製造した。
【0042】
(アイシャドウの製造方法)
(1)粘結剤(B)と揮発性溶剤(C)とを混合し、粘結剤(B)を完全に溶解させた。
(2)上記(1)にA成分、D成分を混合し、よく攪拌しスラリー状とする。
(3)得られたスラリー状組成物を、表面加工した厚手の紙上に通常の噴霧装置によって噴霧して、化粧料層を形成した。
(4)室温で一昼夜放置することで、乾燥を行った。
【0043】
得られた化粧料について、以下の基準に基づいて評価を行った。
(感触)
化粧品評価専門パネル20名に実施例及び比較例の化粧料を使用してもらい、以下の基準に従って5段階評価した。なお、評価において対比の対象となる本製品は、各実施例それぞれについて、同様の組成を用いて通常の化粧品容器にスラリーを充填する湿式製法によって得たアイシャドウである。
(評価基準)
評価結果 : 評点
本製品と全く同じ:5点
本製品とかなり近い:4点
本製品と近い:3点
本製品と異なる:2点
本製品と大きく異なる:1点
【0044】
(付着性)
化粧料毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を以下の4段階の判断基準に従って判定した。
(評価基準)
評価結果 : 評点
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 :3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
(判定基準)
評点の平均点 : 判定
4.5以上 : ◎
3.5以上〜4.5未満 : ○
1.5以上〜3.5未満 : △
1.5未満 :×
【0045】
(外観)
実施例及び比較例の化粧料をそれぞれ10個用意し、シート状に収容した状態で、ひび割れの状態および30cmの高さから塩ビ板上に垂直落下させ、落下後の中味表面状態を目視にて以下の4段階の判定基準に従って判定した。
(判定基準)
10個全てひび割れ、剥がれがない : ◎
10個中9個ひび割れ、剥がれがない : ○
10個中2〜5個のひび割れ、剥がれがある : △
10個中6〜10個のひび割れ、剥がれがある : ×
【0046】
(生産性)
実施例及び比較例の化粧品原料、粘結剤(B)及び揮発性溶剤(C)を混合、噴霧を行った際の生産性について、以下の4段階の判断基準に従って判定した。
(判定基準)
特に問題なし : ◎
細かな設定を行えば問題なし : ○
混合・噴霧は可能だが効率が悪い : △
混合もしくは噴霧が不可 : ×
【0047】
【表1】

【0048】
表1の結果から、本発明の化粧料は、感触、付着性、外観、生産性のすべてにおいて優れた性能を有する化粧料であることが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の化粧料は、柔らかな感触を有することから、粉末含有化粧料についてのサンプルや使い切りタイプとしてのシート状化粧料等として使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品原料、粘結剤(B)及び揮発性溶剤(C)を混合しスラリー状とする工程(1)、前記工程(1)によって得られたスラリー状組成物をシート状基材上に噴霧する工程(2)、及び、前記工程(2)によって得られた化粧料層を有するシートを乾燥させる工程(3)
によって得られ、
化粧料原料は、少なくとも一部が粉体成分(A)及び油性成分(D)であり、
粘結剤(B)は、化粧品原料100質量部に対して5質量部以下であることを特徴とするシート状化粧料。
【請求項2】
前記工程(1)は、粘結剤(B)及び揮発性溶剤(C)を予め混合する工程を行った後に、その他の成分を混合するものである請求項1記載のシート状化粧料。
【請求項3】
揮発性溶剤(C)は、1種又は2種以上の溶媒の混合物である請求項1又は2記載のシート状化粧料。
【請求項4】
前記工程(2)の後、工程(3)を行う前の段階においてプレスを行わないことを特徴とする請求項1,2又は3記載のシート状化粧料。
【請求項5】
化粧品原料、粘結剤(B)及び揮発性溶剤(C)を混合しスラリー状とする工程(1)、前記工程(1)によって得られたスラリー状組成物をシート状基材上に噴霧する工程(2)、及び、前記工程(2)によって得られた化粧料層を有するシートを乾燥させる工程(3)を有し、
化粧料原料は、少なくとも一部が粉体成分(A)及び油性成分(D)であり、
粘結剤(B)は、化粧品原料100質量部に対して5質量部以下であることを特徴とするシート状化粧料の製造方法。
【請求項6】
前記工程(1)は、粘結剤(B)及び揮発性溶剤(C)を予め混合する工程を行った後に、その他の成分を混合するものである請求項5記載のシート状化粧料の製造方法。
【請求項7】
揮発性溶剤(C)は、1種又は2種以上の溶媒の混合物である請求項5又は6記載のシート状化粧料の製造方法。
【請求項8】
前記工程(2)の後、工程(3)を行う前の段階においてプレスを行わない請求項5,6又は7記載のシート状化粧料の製造方法。

【公開番号】特開2012−250954(P2012−250954A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126207(P2011−126207)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】