説明

シート状物の同時二軸延伸機

【課題】シート状物のTD方向およびMD方向の延伸倍率を独立させて可変でる同時二軸延伸機を提供することにある。
【解決手段】本発明は、シート状物1の両側に一対の走行レール10を設け、前記シート状物の端部を把持する掴み装置31を内側端に設けたスライドアーム30を前記シート状物のTD方向に摺動自在に支持する支持部材20を複数、前記各走行レール上を前記シート状物のMD方向に走行できるように並べて設け、前記支持部材20の前記MD方向の間隔を可変することによって前記スライドアーム30の前記MD方向の間隔を可変して前記掴み装置31で端部を把持したシート状物1を前記MD方向に延伸するMD可変手段と、前記スライドアーム30を前記TD方向に移動させて前記掴み装置で端部を把持したシート状物を前記TD方向に延伸するTD可変手段とを互いに独立させて可変制御できるように設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルム等の原反シート状物の同時二軸延伸機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の延伸機としては、様々な形態のものが知られている。
【0003】
特に、特開2003−211533号公報には、シート状物を間隔をおいてクリップで挟持し、各クリップを対向した辺縁に対して移動させて該シート状物を延伸することにより該シート状物を薄膜化するものにおいて、該シート状物における対向した各辺縁と平行に移動する複数の移動体を設けてあり、該各移動体にはクリップを個別にしかも各辺縁の方向に移動可能に設けてあり、該各移動体は該各辺縁と並行に移動するための個別の駆動源を備えており、該各移動体が各辺縁と並行に移動する場合に各クリップが各辺縁の方向に移動することを調整するガイド部材を設け、さらに各移動体は各辺縁と並行に設けてある複数の無端条体(チェーン)と個別に連結してあり、各無端条体は各駆動源により個別に駆動することが知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−211533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1においては、クリップを備えた各移動体が、サーボモータにより速度制御可能な各無端条体(各チェーン)に取り付けられ、さらに、各移動体に各ガスシリンダの駆動源の出力を接続し、ガイド部材をシート状物の縦横延伸倍率に合うように傾斜させておき、上記各無端条体を等速度で移動させた状態で、各移動体のカムフォロアを上記ガイド部材に接触させることによってシート状物を横方向に延伸するものである。
【0006】
また、上記特許文献1においては、シート状物を縦横同時に延伸する場合には、各サーボモータを制御して各無端条体の速度も制御することで、シート状物の横方向(TD方向)の延伸倍率と縦方向(MD方向)の延伸倍率を任意の制御することは可能である。しかしながら、実際の装置ではシート状物の長手方向に多数のクリップを設ける必要があるので、多数の移動体及びそれを駆動させる無端条体も多数必要で、機構が複雑であるばかりでなく,制御も複雑なものとなる。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決すべく、光学フィルム等のシート状物のTD方向およびMD方向の延伸倍率を独立して可変でき、しかも機構および制御を簡素化して大幅な原価低減を実現したシート状物の同時二軸軸延伸機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、シート状物の両側に一対の走行レールを設け、前記シート状物の端部を把持する掴み装置を内側端に設けたスライドアームを前記シート状物のTD方向に摺動自在に支持する支持部材を複数、前記各走行レール上を前記シート状物のMD方向に走行できるように前記MD方向に並べて設け、前記複数の支持部材について前記各走行レール上を前記MD方向に走行させる際、前記支持部材の前記MD方向の間隔を可変することによって前記スライドアームの前記MD方向の間隔を可変して前記掴み装置で端部を把持したシート状物を前記MD方向に延伸するMD可変手段と、前記スライドアームを前記TD方向に移動させて前記掴み装置で端部を把持したシート状物を前記TD方向に延伸するTD可変手段とを互いに独立させて可変制御できるように設けたことを特徴とするシート状物の同時二軸延伸機である。
【0009】
また、本発明は、シート状物の両側の各々に一対の長円形状の走行レールを設け、前記シート状物の端部を把持する掴み装置を内側端に設けたスライドアームをシート状物のTD方向に摺動自在に支持する走行台車を複数、前記各走行レール上を走行できるようにシート状物のMD方向に並べて設け、前記複数の走行台車について各走行レール上を前記MD方向に走行させる際、前記隣接する走行台車間の前記MD方向の間隔を可変することによって前記スライドアームの前記MD方向の間隔を可変して前記掴み装置で端部を把持したシート状物を前記MD方向に延伸するMD可変手段と、前記スライドアームを前記TD方向に移動させて前記掴み装置で端部を把持したシート状物を前記TD方向に延伸するTD可変手段とを互いに独立させて可変制御できるように設けたことを特徴とするシート状物の同時二軸延伸機である。
【0010】
また、本発明は、シート状物の両側の各々に一対の長円形状の走行レールを設け、該各走行レール上を走行用駆動源からの駆動力によって自走走行する複数の走行台車を設け、前記シート状物の端部を把持する掴み装置を内側端に設けたスライドアームを前記各走行台車に前記シート状物のTD方向に摺動自在に支持し、さらに前記スライドアームを前記TD方向に移動させるアーム用駆動源を前記各走行台車上に設け、前記複数の走行台車について前記各走行レール上を前記MD方向に走行させる際、前記走行用駆動源を制御して前記隣接する走行台車間の前記MD方向の間隔を可変することによって前記スライドアームの前記MD方向の間隔を可変して前記掴み装置で端部を把持したシート状物を前記MD方向に延伸するMD可変手段と、前記アーム用駆動源を制御して前記スライドアームを前記TD方向に移動させて前記掴み装置で端部を把持したシート状物を前記TD方向に延伸するTD可変手段とを互いに独立させて可変制御できるように設けたことを特徴とするシート状物の同時二軸延伸機である。
【0011】
また、本発明は、前記走行レール上における走行台車の位置制御及び該走行台車上におけるスライドアームの位置制御を、走行レール上に設けられた少なくとも予熱基準点、延伸基準点、熱固定基準点、及び出口基準点のリミットスイッチから得られる基準信号に基づいて実行する全体制御部を設けたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記一対の長円形状の走行レールを縦型で構成することを特徴とする。また、本発明は、前記各走行台車に設けられた制御盤に電源を供給する集電レールを設けたことを特徴とする。また、本発明は、前記走行用駆動源及び前記アーム用駆動源をサーボモータで構成し、各サーボモータをシーケンシャルに制御するように構成したことを特徴とする。また、本発明は、前記一対の長円形状の走行レールの各々を囲んで室状に構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、シート状物の同時二軸延伸機において、光学フィルム等のシート状物のTD方向およびMD方向の延伸倍率を独立させて可変でき、しかも可変機構を簡易にして可変精度を確保し易くすることができる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係るシート状物の同時二軸延伸機の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0015】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明に係るシート状物の同時二軸延伸機の第1の実施の形態を示す図2のA−A’矢視概略正面図である。図2は、図1に示すシート状物の延伸機において長円形縦型の走行レールを断面させて示した図である。図3は、走行レールの走行方向に並べてられ各々自走する各走行台車に載置されたアーム用駆動源によって各スライドアームがTD方向に可動する状態を示す平面図である。図4は、シート状物の片側におけるスライドアームをTD方向に移動させるアーム用駆動源を載置した一つの走行台車と走行レールとの関係を示す部分断面図である。図5は、一つの走行台車が搭載された走行台車用駆動源によって走行レールに案内されて自走する状態を示す部分断面図である。
【0016】
図1に示すような、長円形縦型の走行レール10a,10bは、図2に示すように、光学フィルム等の原板シート状物1の両側に、支柱11a,11bによって支持されて設けられる。走行台車(支持部材)20a,20bは、図1に示すように、走行レール10a,10bの各々において走行レールの走行方向にガイドレール12a,12bに案内されて多数並べて設置される。そして、走行台車20a,20bの各々は、図3に示すように、冂字断面形状の走行レール10a,10bの各々を跨ぐようにガイドレール12a,12bの各々によって案内される。
【0017】
さらに、図4、図5に示すように、多数の走行台車(支持部材)20a,20bの各々は、自身に搭載したモータ等の走行用駆動源(図示せず)に回転接続された歯車21a、21bの各々を、各走行レール10a,10b上面に設けられたピニオンラック13a,13bに噛み合わせることによって、自走できるように構成される。従って、走行レール上において各走行台車に設けられたモータ等の走行用駆動源を制御することによって図3に示すように隣接する走行台車間の距離を変えることによってシート状物1をMD方向に独立させて延伸できることになる。
【0018】
また、多数の走行台車20a,20bの各々には、スライドアーム(移動体)30a,30bをTD方向に移動させる直線ガイド22a,22bが設けられる。そして、各走行台車20a,20b上には、スライドアーム30a,30bを直線ガイド22a,22bに案内されてTD方向に移動させるための例えばモータ等からなるアーム用駆動源(図示せず)を備え、該アーム用駆動源に回転接続された歯車23a,23bを上記スライドアーム30a,30bの各々の下面に設けられたピニオンラック32a,32bに噛み合わせることによってスライドアーム30a,30bの各々をTD方向に移動するように構成される。従って、各走行台車上に設けられたアーム用駆動源を制御することによって図3に示すようにシート状物1をTD方向に独立させて延伸できることになる。
【0019】
なお、スライドアーム30a,30bのシート状物側の先端部には、シート状物の縁を掴む掴み装置(クリップ機構)31a,31bが設けられている。
【0020】
さらに、上述したように、走行レール10a,10b上を走行させる隣接する走行台車間の距離を変えてMD方向の延伸を行せる走行用駆動源(図示せず)およびスライドアーム30a,30bをTD方向に移動させてTD方向の延伸を行せるアーム用駆動源(図示せず)を走行台車20a,20b上に搭載し、それらを制御する制御盤25a,25bも走行台車20a,20bに設けられる。そのため、少なくとも、上記駆動源に必要とする電源を走行レール10a,10bに沿って這わせた集電レール15a,15bから各制御盤25a,25bに供給することが必要となる。ただし、制御信号については、全体制御部40から各制御盤25a,25bに無線で送信してもよいし、また通信ネットワークで接続してもよい。
【0021】
また、掴み装置(クリップ機構)31a,31bの開閉は、図3に示すように入口部及び出口部に設けられた開閉ガイド18、19とバネ力の併用によって行えばよい。なお、制御盤25a,25bには電源が供給されるので、マグネットを用いて開閉させることも可能である。
【0022】
次に、本発明に係るシート状物の同時二軸延伸機の制御の一実施例について図6を用いて説明する。まず、走行レール10a、10b上には、原点(予熱基準点:予熱開始点)のリミットスイッチ101、延伸基準点(延伸開始点)のリミットスイッチ102、熱固定基準点(熱固定開始点)のリミットスイッチ103、出口基準点のリミットスイッチ104、減速基準点(上記原点の手前の戻り点)のリミットスイッチ105等が設けられる。各走行台車20a−1〜20a−n; 20b−1〜20b−nに設けられた制御盤25a−1〜25a−n;25b−1〜25b−nは、上記各種リミットスイッチから検出される信号に基づく全体制御部40からの無線又は有線の指令信号に基づいてシーケンス制御を行うシーケンサー251と、シーケンサー251からのシーケンス制御に基づいて走行用駆動源である走行用サーボモータMを駆動制御するサーボ駆動制御回路252と、シーケンサー251からのシーケンス制御に基づいてアーム用駆動源であるアーム用サーボモータMを駆動制御するサーボ駆動制御回路253とを備えて構成される。
【0023】
次に、本発明に係るシート状物の同時二軸延伸機の動作の一実施例について説明する。まず、図1に示すように、走行レール10の下側を用いて左側から光学フィルム等の原板シート状物1を入れて、右側から延伸したシート状物を出す場合について説明する。各走行台車20が走行用駆動源によって自走して次々と原点(予熱基準点である予熱開始点)に到達すると、全体制御部40からのシーケンサーへの指令に基づいて先行隣接する走行台車との間隙が最も近づくように制御され、同時にアーム用駆動源によってスライドアーム30が内側に位置するよう制御され、開閉ガイド機構19によって掴み装置(クリップ機構)31が開閉されてシート状物1の縁部(端)を掴み、予熱区間で延伸に必要な温度に加熱されことになる。このように、予熱区間の間は、走行台車20間の間隔を狭めた状態で、しかもスライドアーム30を止めた状態で走行することになる。
【0024】
続いて、各走行台車20が走行して次々と延伸基準点である延伸開始点に到達すると、図3に示すように、全体制御部40からシーケンサー251への指令に基づく走行用駆動源Mに対するサーボ駆動回路252の駆動により後行隣接(後部)走行台車に対して徐々に間隔を広げるように(MD方向に徐々に延伸するように)独立に制御され、同時にアーム駆動源Mに対するサーボ駆動回路253の駆動によりスライドアーム30が独立にTD方向に徐々に移動するように制御されてシート状物1はMD方向およびTD方向に夫々独立させて延伸制御できることになる。このように、全体制御部40は、シーケンサー251に対する指令により、シート状物の様々な種類の対象に適合するように、MD方向の延伸倍率(=P2/P1)とTD方向の延伸倍率(=B2/B1)を互いに独立して任意に設定することが可能となる。
【0025】
続いて、各走行台車20が走行して次々と熱固定基準点である熱固定開始点に到達すると、延伸区間が終了して熱処理区間に入るため、後行隣接(後部)走行台車との間隙をほぼ変えない(多少狭める(シート状物1の縁部を少し圧縮させる)ことも考えられる)ように制御し、スライドアーム30をほぼ移動させないように制御することによってシート状物1は所定の温度で熱固定され、冷却区間で急冷して、出口基準点に到達することになる。このように出口基準点に到達すると、シート状物1は開閉ガイド機構19によって掴み装置(クリップ機構)31から外され、該外されたシート状物1はそのまま進行されることになる。その後、走行台車20は、入口まで比較的高速で走行し、原点の手前の戻り点である減速基準点に到達すると減速されて原点に到達することになる。要するに出口から入口までは走行台車の高速走行による戻りの区間である。
【0026】
以上説明したように、全体制御部40は、走行レール10上に設置された原点(予熱基準点である予熱開始点)のリミットスイッチ101、延伸基準点である延伸開始点のリミットスイッチ102、熱固定基準点である熱固定開始点のリミットスイッチ103、出口基準点のリミットスイッチ104、減速基準点(上記原点の手前の戻り点)のリミットスイッチ105等を基準にした位置制御(X−Y座標)に基づく例えば時間制御(シーケンス制御)により、MD方向(X方向)に自走する各走行台車20の走行速度及び各走行台車上のTD方向(Y方向)のスライドアーム30の引き込み速度を制御することになる。各走行台車20上には、TD方向に移動するスライドアーム30を設置し、該スライドアーム30のシート状物側の先端に掴み装置31を取り付けた構造である。各走行台車20は、走行レール10上を自走走行する。そして、本発明においては、自走走行台車20の速度を変更して、後行隣接(後部)走行台車との間隔Pを変更してシート状物1のMD方向の延伸を行う。さらに、伸ばしたスライドアーム30を縮める(引き込ませる)ことで、シート状物1のTD方向の延伸を行う。
【0027】
なお、各走行台車にはシーケンサー251やサーボ駆動制御回路252、253を有する制御盤25が搭載されている関係で、シート状物1が加熱区間、及び延伸区間等において加熱される熱が走行レール10上に出来るだけ入らないように、図2及び図3に示すように、壁50a,50bで覆う必要がある。そして、壁50a,50bで囲まれた室51a,51b内の圧力を少し高めて熱が室内に入り込まないように工夫することが好ましい。
【0028】
また、図1に示すように、走行レール10の下側においてシート状物1を同時二軸延伸するように構成したが、走行レール10の上側においてシート状物1を同時二軸延伸するように構成してもよい。この場合、走行レール10の下側は、各走行台車の戻りに利用される。
【0029】
また、図1に示すように、長円状の走行レール10を縦型に設置して構成したが、スペース的に平面的に設置することが可能であれば、横型に設置することも可能である。その場合、各走行台車は横型の長円状走行レールの上面を走行させるようにすればよい。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態によれば、シート状物の延伸機において、光学フィルム等のシート状物のTD方向およびMD方向の延伸倍率を独立的に可変でき、しかも機構および制御を簡素化して大幅な原価低減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るシート状物の同時二軸延伸機の第1の実施の形態を示す図2のA−A’矢視概略正面図である。
【図2】図1に示すシート状物の延伸機において長円形縦型の走行レールを断面させて示した図である。
【図3】走行レールの走行方向に並べてられ各々自走する各走行台車に載置されたアーム用駆動源によって各スライドアームがTD方向に可動する状態を示す平面図である。
【図4】シート状物の片側におけるスライドアームをTD方向に移動させるアーム用駆動源を載置した一つの走行台車と走行レールとの関係を示す部分断面図である。
【図5】一つの走行台車が搭載された走行台車用駆動源によって走行レールに案内されて自走する状態を示す部分断面図である。
【図6】本発明に係るシート状物の同時二軸延伸機の制御の一実施例について説明するための図である。
【符号の説明】
【0032】
1…シート状物、10,10a,10b…走行レール、11a、11b…支柱、13a、13b…ピニオンラック、15a、15b…集電レール、18、19…開閉ガイド、20、20a、20b…走行台車(支持部材)、21a、21b…歯車、23a、23b…歯車、30、30a、30b…スライドアーム(移動体)、31、31a、31b…掴み装置(クリップ機構)、32a、32b…ピニオンラック、25a、25b…制御盤、40…全体制御部、50a、50b…壁、51a,51b…室、101…原点リミットスイッチ、102…延伸基準点リミットスイッチ、103…熱固定基準点リミットスイッチ、104…出口基準点リミットスイッチ、105…減速基準点リミットスイッチ、251…シーケンサー、252、253…サーボ駆動回路、MM…走行用サーボモータ、MT…アーム用サーボモータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状物の両側に一対の走行レールを設け、
前記シート状物の端部を把持する掴み装置を内側端に設けたスライドアームと、該スライドアームを前記シート状物のTD方向に摺動自在に支持する支持部材とを一組とする走行体を前記シート状物のMD方向に走行できるように前記走行レールの前記MD方向に複数並べて設け、
前記複数の走行体について前記各走行レール上を前記MD方向に走行させる際、前記走行体の前記MD方向の間隔を可変することによって前記スライドアームの前記MD方向の間隔を可変して前記掴み装置で端部を把持したシート状物を前記MD方向に延伸するMD可変手段と、前記スライドアームを前記TD方向に移動させて前記掴み装置で端部を把持したシート状物を前記TD方向に延伸するTD可変手段とを互いに独立させて可変制御する制御手段を設けたことを特徴とするシート状物の同時二軸延伸機。
【請求項2】
シート状物の両側の各々に一対の長円形状の走行レールを設け、
前記シート状物の端部を把持する掴み装置を内側端に設けたスライドアームをシート状物のTD方向に摺動自在に支持する走行台車を複数、前記各走行レール上を走行できるようにシート状物のMD方向に並べて設け、
前記複数の走行台車について各走行レール上を前記MD方向に走行させる際、前記隣接する走行台車間の前記MD方向の間隔を可変することによって前記スライドアームの前記MD方向の間隔を可変して前記掴み装置で端部を把持したシート状物を前記MD方向に延伸するMD可変手段と、前記スライドアームを前記TD方向に移動させて前記掴み装置で端部を把持したシート状物を前記TD方向に延伸するTD可変手段とを互いに独立させて可変制御できるように設けたことを特徴とするシート状物の同時二軸延伸機。
【請求項3】
シート状物の両側の各々に一対の長円形状の走行レールを設け、
該各走行レール上を走行用駆動源からの駆動力によって自走走行する複数の走行台車を設け、
前記シート状物の端部を把持する掴み装置を内側端に設けたスライドアームを前記各走行台車に前記シート状物のTD方向に摺動自在に支持し、さらに前記スライドアームを前記TD方向に移動させるアーム用駆動源を前記各走行台車上に設け、
前記複数の走行台車について前記各走行レール上を前記MD方向に走行させる際、前記走行用駆動源を制御して前記隣接する走行台車間の前記MD方向の間隔を可変することによって前記スライドアームの前記MD方向の間隔を可変して前記掴み装置で端部を把持したシート状物を前記MD方向に延伸するMD可変手段と、前記アーム用駆動源を制御して前記スライドアームを前記TD方向に移動させて前記掴み装置で端部を把持したシート状物を前記TD方向に延伸するTD可変手段とを互いに独立させて可変制御できるように設けたことを特徴とするシート状物の同時二軸延伸機。
【請求項4】
前記走行レール上における走行台車の位置制御及び該走行台車上におけるスライドアームの位置制御を、走行レール上に設けられた少なくとも予熱基準点、延伸基準点、熱固定基準点、及び出口基準点のリミットスイッチから得られる基準信号に基づいて実行する全体制御部を設けたことを特徴とする請求項2または3記載のシート状物の同時二軸延伸機。
【請求項5】
前記一対の長円形状の走行レールを縦型で構成することを特徴とする請求項2または3記載のシート状物の同時二軸延伸機。
【請求項6】
前記各走行台車に設けられた制御盤に電源を供給する集電レールを設けたことを特徴とする請求項2または3記載のシート状物の同時二軸延伸機。
【請求項7】
前記走行用駆動源及び前記アーム用駆動源をサーボモータで構成し、各サーボモータをシーケンシャルに制御するように構成したことを特徴とする請求項3記載のシート状物の同時二軸延伸機。
【請求項8】
前記一対の長円形状の走行レールの各々を囲んで室状に構成することを特徴とする請求項2または3記載のシート状物の同時二軸延伸機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−142595(P2006−142595A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−334075(P2004−334075)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】