説明

シート状物品の押切装置

【課題】粘着剤が塗布された基材と粘着剤を覆う剥離シートとを有した長尺な帯状の被切断シートからシート状物品を所望形状に切り出して搬送コンベア上に移載する押切装置において、切断したシート状物品の姿勢と位置とを確実に維持して移載し得るようになして高速運転化を図る。
【解決手段】供給される被切断シート4を上下一対の押切型62間に挟んで所望形状に切断する押切手段6と、切断後のシート状物品wを搬送コンベア8上に移載する移載手段10とを備え、上側押切型62aには、下面に突出する切断刃63と、切断後のシート状物品wを排出するための取出口64とが形成され、下側押切型62bは昇降駆動機構165により上下に往復移動可能であり、移載手段10はシート状物品を吸着するノズル102と、このノズルの下端を取出口の下端から搬送コンベア上に往復平行移動させる往復平行移動機構104とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤が塗布された基材とその粘着剤を覆う剥離シートとを有して所定長ずつ間欠的に供給されてくる長尺な帯状の被切断シートから、所望形状のシート状物品を切り出して搬送コンベア上に移載するようにしたシート状物品の押切装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
狭心症や喘息用の貼り薬等のように、基材フィルムに塗布した粘着剤の表面を剥離フィルムで覆ったシート状物品が多種あるが、このようなシート状物品は一般に長尺な帯状に形成されている被切断シートから矩形等の所望の寸法形状に切り出されるようになっている。
【0003】
ここで、上記のような被切断シートからシート状物品を所望の寸法形状に切り出して搬送コンベア上に移載する装置として、例えば特開平9−99907号公報に開示されたものが知られている。
【0004】
この装置は、巻回された原反ロールから引き出した長尺な帯状の被切断シートをロータリーダイカット装置の切断ローラとアンビルローラとの間に導いて、切断ローラに形成されている切断刃によって所望寸法形状のシート状物品を連続的に切り出すようになっており、この切り出した各シート状物品は吸着機能を有したアンビルローラにて吸着保持し、使用済みの被切断シートは廃材として巻き取り軸に巻回して回収している。また、上記アンビルローラに吸着保持したシート状物品は、当該アンビルローラに周面を対向させて並設してある、同じく吸着機能を有した受け渡しドラムに移し替えて、当該受け渡しドラムを介して搬送ベルト上に載置するようになっている。
【0005】
搬送ベルトは上下一対でなり、下搬送ベルト上に受け渡しドラムを介してシート状物品を所定間隔を空けて載置し、下搬送ベルトの上側には当該下搬送ベルト上に載置したシート状物品に位置ずれが生じるのを防止するために上搬送ベルトを配置して、当該上搬送ベルトでシート状物品を押さえ付けるようにしている。
【特許文献1】特開平9−99907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記公報に示される装置では、下搬送ベルトの上方に受け渡しドラムと上搬送ベルトとを配設するため、装置の小型化を図るのが困難で大型化してしまい、設置スペースを広く占有してしまうと言う課題があった。
【0007】
また、受け渡しドラムから下搬送ベルト上にシート状物品を載置する際に、シート状物品に姿勢や位置ズレが生じてしまうのを防止し難く、姿勢と位置とを高精度に保ちながら高速運転化を図るのが困難であるという課題もあった。
【0008】
更に、被切断シートが基材フィルムに塗布した粘着剤の表面を剥離フィルムで覆った形態をなす場合に、上記切断ローラとアンビルローラとの間に当該被切断シートを導いて、これより所望寸法形状のシート状物品を切り出すようにすると、切断後にその切断面に露出する粘着剤同士が再度接着してしまうので、シート状物品の切断後に廃材として巻回回収する使用済みの被切断シートから当該シート状物品を分離させてアンビルローラの周面上に吸着保持させる際に、その保持姿勢や位置にズレが生じてしまうこともあった。
【0009】
また更に、切断ローラとシート状物品送り量との誤差が裁断寸法誤差に直結しやすいという問題や、裁断時に粘着剤が被切断シートの送り方向にのみしごかれ易く、粘着剤(薬剤)量が不均一になり易いという問題もあった。
【0010】
本発明は、上記した背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、粘着剤が塗布された基材とその粘着剤の表面を覆う剥離シートとを有した長尺な帯状の被切断シートから所望形状のシート状物品を切り出して搬送コンベア上に移載するにあたって、そのシート状物品を確実に所定の姿勢と位置に保って搬送コンベア上に移載することができるとともに、装置の小型化と高速運転化とを図り得、かつ裁断寸法誤差が生じにくく、裁断時に粘着剤がしごかれてその塗布量が不均一になってしまうこともない、シート状物品の押切装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明に係るシート状物品の押切装置にあっては以下のように構成される。即ち、粘着剤が塗布された基材とその粘着剤を覆う剥離シートとを有した長尺な帯状の被切断シートから所望形状のシート状物品を切り出す押切手段と、該シート状物品を搬送コンベア上に移載する移載手段と、該被切断シートを所定長ずつ間欠的に該押切手段に供給する供給手段と、を備えたシート状物品の押切装置であって、前記押切手段は、前記供給手段から供給される前記被切断シートを挟んで所望形状に押し切りする上下一対の押切型を有し、該上側押切型は、その下面に環状に突出して前記所望形状に形成された切断刃と、該切断刃の内側に沿って形成されて切断されたシート状物品を上方に排出するための取出口とを有して、フレームに支持されており、該下側押切型は、該上側押切型に対向配置されて昇降駆動機構を介して上下に往復移動可能に設けられ、前記移載手段は、前記シート状物品を吸着する吸引ノズルと、該吸引ノズルを支持して該吸引ノズルの下端を該取出口の下端から前記搬送コンベア上に往復平行移動させる往復平行移動機構とを有してなる、ことを特徴とする。
【0012】
ここで、前記往復平行移動機構は平行四辺形リンクによって形成されている、構成となし得る。
【0013】
また、前記下側押切型には、切断された前記シート状物品を上方に押し上げるリフトアップピンが前記上側押切型の取出口に臨んで設けられている構成となし得る。
【0014】
さらに、前記取出口は、前記搬送コンベアに近接する側の内壁面が傾斜形成されて上部側の開口が拡大されている構成となし得る。
【発明の効果】
【0015】
上記構成に係る本発明のシート状物品の押切装置によれば、基材と剥離シートとの間に粘着剤層を有した長尺な帯状の被切断シートから所望寸法形状のシート状物品を切り出して搬送コンベア上に載置するにあたって、その切断面に粘着剤層が露出しても、当該シート状物品の姿勢や位置にズレを生じさせることなく搬送コンベア上に高精度に確実に移載することができる。
【0016】
また、従来のような受け渡しドラムや上搬送ベルト、並びにロータリーダイカット装置を用いないので、装置自体の可及的な小型化が図れるようになる。
【0017】
さらに、長尺な帯状の被切断シートを供給手段で所定送り量ずつ間欠的に上下一対の押切型内に送り込み、当該押切型の上側押切型と下側押切型とで挟んで所望形状のシート状物品を切り出すので、裁断寸法誤差が生じにくく、また、裁断時に粘着剤がしごかれてその塗布量が不均一になってしまうこともない。
【0018】
また、往復平行移動機構に平行四辺形リンクを採用することで、押切装置の高速運転化を可及的に図れるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明に係るシート状物品の押切装置の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係るシート状物品の押切装置の一例を示す平面図であり、図2は図1中のII-II線部の矢視断面図である。また、図3Aの[I](a),(b)〜[III](a),(b)と図3Bの[IV](a),(b)〜[VI](a),(b)はシート状物品の切断から移載までの1サイクルの動作状態を経時的に示したものであり、上記各図における(b)は(a)中の押切型部分の拡大図である。
【0020】
図1と図2とに示すように、この押切装置2は、粘着剤が塗布された基材とその粘着剤を覆って積層された剥離シートとを有した長尺な帯状の被切断シート4から、所望形状のシート状物品wを切り出す押切手段6と、当該押切手段6で切断されたシート状物品wを下流側の搬送コンベア8上に移載する移載手段10と、当該押切手段6の上流側に設けられて上記被切断シート4を所定の送り長ずつ間欠的に当該押切手段6に供給する供給手段12とを備えている。
【0021】
ここで、当該実施形態にあっては、上記供給手段12には、吸引式のベルトコンベア14が用いられており、上記被切断シート4は、図外のロール状に巻回形成されている供給ロールから繰り出されてベルトコンベア14上に導かれて、当該ベルトコンベア14の搬送面14aに開口されている多数の吸引孔に吸着されながら、所定長ずつ間欠的に送られて、当該ベルトコンベア14の下流に配置された押切手段6の押切型62内に向けて挿通供給されるようになっている。
【0022】
上記押切型62は、支持フレーム16に支持されて設けられており、上記ベルトコンベア14から供給される被切断シート4を上下から挟んで所望形状に押し切りするようになっていて、対をなす上側押切型62aと下側押切型62bとを有している。
【0023】
支持フレーム16は、被切断シート4の下方に設置された基盤161と、当該被切断シート4の送り方向両側に位置して立設されて下部が当該基盤161に固定された一対のU字状の縦フレーム162と、この一対の縦フレーム162の上端部の前部側同士と後部側同士とをそれぞれ繋いで、送り方向の前後に一対で設けられた上側クロスフレーム163a,163bと、この上側クロスフレーム163a,163bと若干の隙間を空けてその下方に対向配設された前後一対の下側クロスフレーム164a,164bとを有しており、当該下側クロスフレーム164a,164bはその上面の高さが上記供給側のベルトコンベア14の搬送面14aに一致されている。
【0024】
そして、送り方向の上流側に位置した下側クロスフレーム164aとベルトコンベア14の搬送終端に位置された終端ローラ141との間には、ベルトコンベア14の搬送面14aに高さが一致されて設けられた渡り板15が配されている。一方、送り方向の下流側に位置した下側クロスフレーム164bには、シート状物品wの押し切り後に廃材となった被切断シート4を、下方に設置されている図外の廃材巻き取りリールに向けて案内するためのガイドローラ19が設けられている。また、前後の上側クロスフレーム163a,163bの両側端部上には、送り方向の前後に延びて掛け渡された補強フレーム160が一対で設けられている。
【0025】
そして、上側押切型62aは前後一対の上側クロスフレーム163a,163bに支持されて設けられていて、ベルトコンベア14から供給されてくる被切断シート4の上側に若干の隙間を空けて配されている。ここで、当該上側押切型62aには、その下面に環状の切断刃63が下方に突出して一体形成されており、この環状の切断刃63はシート状物品wの所望形状に相応されている。即ち、当該実施形態では、切断刃63は矩形を呈した環状に形成されていて、被切断シート4から矩形のシート状物品wを切り出すようになっている。
【0026】
また、上側押切型62aには、切断したシート状物品wを上方に向けて排出して取り出すための取出口64が上下に貫通形成されている。この取出口64の下端部は切断刃63の内側に沿って開口されており、切断されたシート状物品wは当該取出口64を通じて、後述する移載手段10によって上方に排出されるようになっている。また、取出口64は、切断したシート状物品wの周縁部の切断面との接触を防止して当該シート状物品wの取り出しを容易にするために、上側押切型62aの下面から突出形成されている切断刃63の直上部において、その口径が若干拡大形成されている。さらに、当該取出口64は、搬送コンベア8に近接した下流側内壁面64aがその上部側を搬送方向下流の搬送コンベア8側に向けて傾斜形成されていて、その開口断面積は上部側に向けて漸次拡大形成されている。
【0027】
一方、下側押切型62bは、上側押切型62aに対向配置されて、供給される被切断シート4の下側に設けられている。この下側押切型62bは、平面視で上側押切型62aの切断刃63よりも一回り大きな矩形を呈しており、支持フレーム16の基盤161に取り付けられた昇降駆動機構165を介して上下に往復移動可能に設けられていて、その上昇端で上側押切型62aの切断刃63に当接して被切断シート4から矩形のシート状物品wを押し切りするようになっている。
【0028】
ここで、本実施形態における上記昇降駆動機構165は上記基盤161内に設けられた油圧または空圧作動式のシリンダー166からなっており、基盤161の上面から出没する作動ロッド167の先端に昇降板168が取り付けられて形成されている。そして、この昇降板168上に、脚部169を介して台座170が設けられ、この台座170の上面に下側押切型62bが一体的に固定されている。
【0029】
また、下側押切型62bと台座170とには、矩形状に押し切りされたシート状物品wを上方に押し上げて、上側押切型62aの取出口64内に挿入するリフトアップピン171が昇降移動自在に組み込まれて設けられている。このリフトアップピン171も油圧または空圧で作動されるようになっており、下側押切型62bと台座170とにはリフトアップピン171が摺動自在に嵌合挿入されるシリンダ孔172が形成されている。そして、リフトアップピン171の上端部には、シート状物品wとの当接面積を確保するための拡径部171aが形成されていて、この拡径部171aはリフトアップピン171の下降時には下側押切型62bの上面に形成された収納凹部65内に格納されるようになっている。また、支持フレーム16には、前後一対で配された上記下側クロスフレーム164間に、被切断シート4の受け板66が当該下側クロスフレーム164の上面と面一状態で設けられていて、かつ、その受け板66には下側押切型62bの挿通孔67が貫通形成されている。
【0030】
また、支持フレーム16の下流側には、押し切りされたシート状物wを下流の包装装置等に向けて搬送する搬送コンベア8が設けられており、この搬送コンベア8の搬入端を形成する始端ローラ81は、その軸心の高さが上側押切型62aの上面高さにほぼ一致されて、当該上側押切型62aに極近接して設置されている。また、この搬送コンベア8も前記供給コンベア14と同様に吸引式のものが用いられており、移載されたシート状物wは搬送コンベア8の搬送面8a上に開口されている多数の吸引口に吸着固定されながら下流の搬送終了端に向けて搬送されていく。
【0031】
そして、この搬送コンベア8の搬入端の一側部には、押切型62内で押し切りされたシート状物品wを上側押切型62aの取出口64を通じて上方に取り出して搬送コンベア8上に移載する移載手段10が設けられている。この移載手段10は、切断されたシート状物品wを吸着する吸引ノズル102と、この吸引ノズル102を支持してその吸引ノズル102の下端を取出口64の下端に近接した位置から搬送コンベア8上に往復平行移動させる往復平行移動機構104とを有してなり、この実施形態では当該往復平行移動機構104には平行四辺形リンクが用いられている。
【0032】
即ち、図1と図2とに示すように、この往復平行移動機構104は搬送コンベア8の架台等(図示せず)に固定された固定支持板106と、この固定支持板106に一端が回動自在に軸支された一対の等長の揺動アーム108a,108bと、これら両揺動アーム108a,108bの揺動端に回動自在に取り付けられた可動支持板110とからなる。一対の揺動アーム108a,108bは固定支持板106に対して相互に所定の間隔を空けて取り付けられ、また、両揺動アーム108a,108bの揺動端も当該所定間隔と等しい間隔で可動支持板110に取り付けられて、これらの4部材によって平行四辺形リンクが形成されている。
【0033】
そして、一方の揺動アーム108aの固定支持板106側の支軸109には、所定角度で正逆回転される駆動モータ112の回転軸が連結されていて、当該駆動モータ112の正逆回転により可動支持板110が平行に揺動移動されるようになっている。また、当該可動支持板110には、上方に延びて立ち上がる上方延出部分110aと、この上方延出部分110aの上端から搬送方向の後方に向けて斜め上方に延びる斜行延出部110bと、この斜行延出部110bの後端からさらに後方に向けてほぼ水平に延びる後方延出部110cとからなる延出部が一体形成されている。
【0034】
また、上記後方延出部110cの延出端には、供給側のコンベア14から搬送コンベアに至るシート状物品wの搬送経路の上方を横断して、その他側方に向けて延びる支持ステー114が取り付けられている。そして、この支持ステー114には、その搬送経路の中心上の位置に、吸引ノズル102が鉛直下方に向けて垂下されて取り付けられている。そして、この吸引ノズル102は上記可動支持板110の平行揺動移動に伴って、その下方に延びるノズル先端部が上側押切型62aの取出口64内の下端部と搬送コンベア8の搬送面8a上との間を、その姿勢を平行に維持されながら往復移動させられるようになっている。
【0035】
次に、上述のように構成されたシート状物品の押切装置2の作動について説明する。図3A〜図3Cはシート状物品wの切断から移載までの1サイクルの動作状態を経時的に示した概略図であり、図3Aはその前期工程を、図3Bはその中期工程を、図3Cはその後期工程をそれぞれ示している。ここで、図3A〜図3Cにおける[I]〜[VI]の各図に示してある(b)は、(a)中に図示されている押切型62部分の拡大図である。
【0036】
即ち、図3Aの[I],[II]は、移載手段10の吸引ノズル102がシート状物品wの移載先である搬送コンベア8上から移載元である上側押切型62a の取出口64内に向けて復帰中の状態を示している。この復帰中には、下側押切型62bは上側押切型62aから離間して下方に降下しており、押切型62は開いている。そして、この押切型62が開いている間に、供給コンベア14及び廃材の巻取リールが間欠作動されて、未切断の被切断シート4が所定の送り長だけ繰り出されて押切型62内に供給されるとともに、当該押切型62でシート状物品wが切断されて抜き取られた後の廃材となった被切断シート4は巻取リールに巻回されて回収される。なお、[II]は被切断シート4の供給が停止した直後の状態であり、この時点では吸引ノズル102は上側押切型62aの取出口64の上部内に挿入され始めており、また下側押切型62bは既に閉作動を開始されていて上昇し始めている。
【0037】
図3Bの[III],[IV]は、それぞれシート状物品wの切断時とリフトアップピンの上昇時とを示している。即ち、[III]の時点では、下側押切型62bはその上昇端に達してその上面が上側押切型62aの切断刃63に当接し、押切型62は閉じられた状態となる。これにより、上側押切型62aと下側押切型62bとの間に挟まれている被切断シート4は切断刃63によって押し切りされ、切断刃63の内側に所望形状の切断シートが切り出される。この時、下側押切型62bに組み込まれているリフトアップピン171はまだ上昇されずにいて、収納凹部65内に格納されている。また、吸引ノズル102は、その下端部が上側押切型62aの取出口64内でその下端の開口直近の下降端位置まで移動されてきており、かつ吸引ノズル102は吸引作動を開始している。そして、その直後の[IV]の時点でリフトアップピン171が上昇作動されて、切断済みのシート状物品wが上方に突き上げられて被切断シート4から離脱されるとともに、吸引ノズル102の下端に吸着保持される。爾後、移載手段10の駆動モータ112が反転回転されて可動支持板110は図示する時計回転方向に揺動されていく。
【0038】
ここで、切断されたシート状物品wを上記のようにしてリフトアップピン171で突き上げながら吸引ノズル102の下端に吸着させるようにすることで、被切断シート4からシート状物品wを切り出したその切断直後に、それらの切断面に露出する粘着剤同士が再度接着してしまっても、あるいは、シート状物品wの切断面に露出する粘着剤が切断刃63に接着してしまっても、シート状物品wを確実に上方に離脱させることができて、吸引ノズル102で吸着保持するシート状物品wの保持姿勢や保持位置にズレを生じさせることを可及的に防止することができる。また、長尺な帯状の被切断シート4を供給手段12のベルトコンベア14で所定送り量ずつ間欠的に上下一対の押切型62内に送り込み、当該送り動作が停止された状態で被切断シート4を上側押切型62aと下側押切型62bとで挟んで、切断刃6の形状に相応した所望形状のシート状物品wを切り出していくので、裁断寸法誤差が生じにくく、また、裁断時に粘着剤が一方側にしごかれてその塗布量が不均一に偏在してしまうこともない。なお、吸引ノズル102の吸引力のみでも、保持姿勢や保持位置にズレを生じさせることなく確実に被切断シート4からシート状物品wを上方に離脱させ得れば、リフトアップピン171は省略しても良い。
【0039】
図3Cの[V],[VI]は、シート状物品wを搬送コンベア8上へと移載している状態を示している。上記のように駆動モータ112の反転作動により可動支持板110が図示する時計回転方向に揺動していくと、[V]に示すように、吸引ノズル102は上側押切型62aの取出口64内を上昇していく。このとき、吸引ノズル102は円弧を描いて平行移動して行くことになるが、取出口64の搬送コンベア8側の内壁面64aは傾斜形成されて上部側が漸次拡大されているので、シート状物品wが当該内壁面64aに干渉することはない。そして、この時点においては、リフトアップピン171は既にその下端まで下降作動されていて、上端部の拡径部171aは下側押切型62bの収納凹部65に格納されており、また、下側押切型62bも下降作動され始める。
【0040】
そして、駆動モータ112が時計回り方向に所定角度まで回転されると、図3Cの[VI]に示すように、吸引ノズル102はその下端部が搬送コンベア8の搬送面8a上に極近接した位置まで平行移動されてくる。この時点で、下側押切型62bは下降端位置まで下降されていて、押切型62は完全に開放された状態になっており、また、吸引ノズル102の吸引作動は停止されて、その下端部に吸引保持されていたシート状物wが搬送コンベア8の搬送面8a上にその姿勢を保たれたまま移載される。
【0041】
即ち、シート状物wは押切型62で切断された時の姿勢を保たれたまま平行に移動されてきて搬送コンベア8の搬送面8a上に、その姿勢を平行に保たれたまま、位置ズレを生じることを可及的に防止されつつ移載されることになる。また、搬送コンベア8にも供給コンベア14と同様に吸引式のものが用いられているので、移載されたシート状物wは搬送コンベア8の搬送面上8aに開口されている多数の吸引口に吸着固定されながら下流の搬送終了端に向けて搬送されていくことになる。爾後、駆動モータ112は再度反転作動され、往復平行移動機構10の可動支持板110が図示する反時計回りに揺動されて、吸引ノズル102は上側押切型62aの取出口64に向けて移動されていき、図3Aの状態に戻ってその1サイクル動作が終了する。
【0042】
従って、以上のようにしてなる本実施形態のシート状物品の押切装置2にあっては、これを高速運転させてもシート状物品wを確実に所定の姿勢と位置に保って搬送コンベア8上に移載することができる。また、従来のような受け渡しドラムや上搬送ベルト、並びにロータリーダイカット装置等を用いないので、シート状物品の押切装置2自体の可及的な小型化も図れるようになる。
【0043】
なお、この実施形態では、移載手段10の往復平行移動機構104には、平行四辺形リンクを用いているが、本発明はこれに限定されることはない。即ち、吸引ノズル102を平行移動させ得るものであれば、どのような機構のものを採用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係るシート状物品wの押切装置2の一例を示す平面図である。
【図2】図1中のII-II線部の矢視断面図である。
【図3A】シート状物品wの切断から移載までの1サイクルの動作状態を経時的に示した図で、その前期工程を示している。
【図3B】同上、1サイクルの動作状態を経時的に示した図で、その中期半工程を示している。
【図3C】同上、1サイクルの動作状態を経時的に示した図で、その後期工程を示している。
【符号の説明】
【0045】
w シート状物品
2 シート状物品の押切装置
4 被切断シート
6 押切手段
8 搬送コンベア
10 移載手段
12 供給手段
14 ベルトコンベア
16 フレーム
62 押切型
62a 上側押切型
62b 下側押切型
63 切断刃
64 取出口
64a 内壁面
102 吸引ノズル
104 往復平行移動機構
165 昇降駆動機構
171 リフトアップピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤が塗布された基材とその粘着剤を覆う剥離シートとを有した長尺な帯状の被切断シートから所望形状のシート状物品を切り出す押切手段と、
該シート状物品を搬送コンベア上に移載する移載手段と、
該被切断シートを所定長ずつ間欠的に該押切手段に供給する供給手段と、
を備えたシート状物品の押切装置であって、
前記押切手段は、前記供給手段から供給される前記被切断シートを挟んで所望形状に押し切りする上下一対の押切型を有し、
該上側押切型は、その下面に環状に突出して前記所望形状に形成された切断刃と、該切断刃の内側に沿って形成されて切断されたシート状物品を上方に排出するための取出口とを有して、フレームに支持されており、
該下側押切型は、該上側押切型に対向配置されて昇降駆動機構を介して上下に往復移動可能に設けられ、
前記移載手段は、前記シート状物品を吸着する吸引ノズルと、該吸引ノズルを支持して該吸引ノズルの下端を該取出口の下端から前記搬送コンベア上に往復平行移動させる往復平行移動機構とを有してなる、
ことを特徴とするシート状物品の押切装置。
【請求項2】
前記往復平行移動機構には平行四辺形リンクが用いられていることを特徴とする請求項1に記載のシート状物品の押切装置。
【請求項3】
前記下側押切型には、切断された前記シート状物品を上方に押し上げるリフトアップピンが前記上側押切型の取出口に臨んで設けられていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のシート状物品の押切装置。
【請求項4】
前記取出口は、前記搬送コンベアに近接する側の内壁面が傾斜形成されて上部側の開口が拡大されていることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載のシート状物品の押切装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【公開番号】特開2009−136978(P2009−136978A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317439(P2007−317439)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】