説明

シート状物品の横方向間隔変更装置

【課題】 高速運転により搬送路からシート状物品が落下したとしても、その落下したシート状物品が駆動手段に接触して損傷することなく、高速対応できるようにすること
【解決手段】 シート状物品(PTPシート1)を2列で搬送するための搬送路13a,14a,15aと、その搬送路の上方に配置され、その搬送路に沿って移動しつつシート状物品を押送する押送コンベア装置12を備える。2列の搬送路の間隔は、搬送方向に沿って徐々に変化する方向変換領域(第2搬送路14a)を有し、押送コンベア装置は、搬送路ごとに配置される押送爪と、その押送爪を各搬送路に沿って移動させる駆動手段と、を備えて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTP(Press Through Packaging)シート等のシート状物品を複数列で且つ一定間隔で搬送しながら、隣のシート状物品との間隔を変更することができるシート状物品の横方向間隔変更装置に関する。
【背景技術】
【0002】
良く知られているように、PTP(Press Through Packaging)シートは、容器(ポケット部)側から中身を押し出して上蓋を破壊し、中身を取り出すようにした包装形態であり、薬品包装における錠剤やカプセルの包装に良く使われる。そして、係るPTPシートは、通常複数個を積層した状態(物品集合体)でピロー包装し、さらにそのピロー包装した包装体を箱に収納した状態で市販されている。このとき、その複数枚のPTPシートを積層した状態で、把束テープでバンド掛けして一束に纏めた状態で包装処理や箱詰めをすることがある。
【0003】
例えば係るPTPシートの包装システムでは、PTPシートを製造する装置、一対のPTPシートを抱き合わせる装置、抱き合わせた一対のPTPシートを複数組積層する装置、積層したPTPシートの集合体を包装処理する装置など、各種の装置を適宜のレイアウトに設置するとともに、各装置間で所定の形態のPTPシートを渡すことで、PTPの製造から最終の包装体まで一連の連続した工程で処理するものがある。係るシステムを構成する各装置は、処理対象のPTPシートを一列で搬送したり、複数列で搬送したりするものがあるので、搬送途中で増列する増列装置を設けることがある。また、同じ複数列であっても、横に並んだ隣り合うPTPシートの間隔が装置間或いは同一の装置内でも各処理部間で異なる場合には、係る隣り合うPTPシートの間隔を変更する装置を設けることになる。もちろん、係る事態は、PTPシートに限ることはなく、各種のシート状物品に該当する。
【0004】
係る増列を行う増列装置としては、特許文献1に開示されたプレススルーパックシートの増列用コンベアがある。この装置は、平行に配置された左右一対の無端チェーンを有し、これらの無端チェーン間に掛け渡すようにして複数本のガイドバーが所定間隔で固定され、各ガイドバーにはプレススルーパックシートを載置可能な搬送板が左右横方向に摺動可能に取り付けられている。さらに、搬送板をガイドバーに沿って移動させ左右に振り分けることができるガイドレールが設けられていて、このガイドレールをガイドバーが通過する際、搬送板がガイドレールに案内されてガイドバー上を摺動しつつ左右に振り分けられるようになっている。よって、例えば搬送板を交互に左右に振分けることで、1列で搬送されたきたプレススルーパックシートを複数列に増列することができる。
【0005】
また、複数列で搬送する搬送装置の搬送板をこのように左右横方向に摺動可能とするとともに、前進移動中に適宜の位置で搬送板を左右方向に移動することで、横に隣り合う搬送板ひいてはその搬送板の上に置かれたシート状物品の間隔を変更する装置を構成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平7−19235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した装置では、搬送途中でシート状物品の不良品が見つかった場合、その不良品を排出する必要があるが、下方への不良品の排出がしづらいため、装置外に排出装置を配置しなければならない。よって装置構成が複雑・大型化すると共に、高速運転に適応しにくくなる。
【0008】
また、搬送板からシート状物品が落下した場合、その落下したシート状物品がガイドバーやガイドレール等に絡み付いて装置の破損を招きやすい。特に、高速運転をした場合には、シート状物品が暴れて落下する可能性が出てくるので、上記の排出装置と相まって、高速対応に適した新たな構成の装置の開発が望まれているという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明のシート状物品の横方向間隔変更装置は、(1)シート状物品を複数列で搬送するための複数の搬送路と、その搬送路の上方に配置され、その搬送路に沿って移動しつつ前記シート状物品を押送する押送手段を備え、前記複数の搬送路の間隔を搬送方向に沿って徐々に変化させる方向変換領域を有し、前記押送手段は、前記搬送路ごとに配置される押送爪と、その押送爪を前記搬送路と交差する方向に移動させつつ、同搬送路に沿って移動させる駆動手段と、を備えて構成した。方向変換領域は、実施形態では、方向変更ガイド部14で実現されている。
【0010】
搬送路の上方に配置した押送手段によりシート状物品の搬送を行うので、搬送路の下方に排出装置を設けることができ、システム全体のコンパクト化を図ることができる。また、搬送路の上方に配置した押送手段によってシート状物品を搬送するため、落下したシート状物品による押送手段の破損を回避することができる。
【0011】
(2)前記方向変換領域を含む前記搬送路の全部または一部は、交換可能な板状部材の表面に形成され、前記板状部材を交換することで、複数列で搬送される前記シート状物品の隣接する横方向の間隔を変更するようにするとよい。このようにすると、板状部材を交換するだけで搬送路の形状(レイアウト)等を変えることができるので、 シート状物品の間隔の変更を容易に行える。
【0012】
(3)前記方向変換領域を移動する前記押送爪は、互いに逆方向に移動することで間隔を変える構造とするとよい。実施形態では、ラックとピニオンで実現したが、他の機構を用いてももちろん良い。このようにすると、押送爪は互いに逆方向に移動して間隔を変える構造になっているため、短時間で所望の間隔に変更することができ、高速運転に対応しやすい。
【0013】
(4)前記押送手段は、前記押送爪が鉛直面内を循環する片持ち構造とするとよい。押送爪が鉛直面内を循環する片持ち構造となっているため、その押送爪を移動させるための駆動手段を搬送面の上方から外側に外すことができ、駆動手段につけるグリスなどの機械油が落下してシート状物品を汚すおそれがない。
【0014】
(5)前記搬送路の下方に、不良品の排出経路を設けるとよい。搬送路の上方に押送手段を設けたことで、搬送路の下方に空間が確保でき、係る下方の空間に不良品の搬出経路を設けると、不良品の廃棄が容易に行えると共に、装置全体をコンパクトに纏めることができる。
【発明の効果】
【0015】
搬送路は、シート状物品の移動経路を規定するガイドとして機能し、シート状物品に対する搬送力は、搬送路の上方に設けた駆動手段により押送するようにしたので、仮に搬送路からシート状物品が落下したとしても、その落下したシート状物品が駆動手段に接触して損傷することはない。また、搬送路の下方に駆動手段がないので、搬送路の下方に廃棄通路を設けることができ、搬送途中でシート状物品の不良品が見つかった場合にその不良品を容易に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の好適な一実施形態を示す平面図である。
【図2】その正面図である。
【図3】図2におけるA−A断面図である。
【図4】図3の要部拡大図である。
【図5】図2におけるB−B断面図である。
【図6】図4の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1,図2は、本発明に係る並列搬送するシート状物品の横方向間隔変更装置の好適な一実施形態の全体図を示している。この横方向間隔変更装置は、シート状物品であるPTPシート1を複数列(本実施形態では2列)で搬送することができる複数の搬送路を備えた搬送ガイド11と、その搬送ガイド11の上方に配置され、前記複数の搬送路に沿ってPTPシート1が移動するようにそのPTPシート1に押送力を与える押送コンベア装置12と、を備えている。
【0018】
搬送ガイド11の上流側には、シート移し替え装置10が配置される。このシート移し替え装置10は、図示省略の上流側の装置(PTPシートを製造する装置等)から2列縦隊で搬送されてきたPTPシート1を受け取り、それぞれのPTPシート1を搬送ガイド11の2本の搬送路へ供給するものである。このシート移し替え装置10は、機枠10aに片持ち状態で軸受け支持された回転軸10bに装着された回転体10cの周面に吸着ノズル10dを120度間隔で取り付けられる。回転体10cは、円運動する回転軸10bを中心に回転する構造になっているため、回転体10c自体は自転しながら公転運動をする動作を行う。そして、タイミングを合わせ各吸着ノズル10dの吸引のON/OFFを制御することで、上流側の装置から搬出されてきたPTPシートを吸着ノズル10dが吸着して保持し、その状態で自転しつつ公転移動し、搬送ガイド11の搬入側である供給位置に至ると、吸着ノズル10dの吸引を停止し、搬送ガイド11のそれぞれの搬送路に対して落下供給する。
【0019】
搬送ガイド11は、搬送方向に沿ってその上流側から搬入ガイド部13と、方向変更ガイド部14と、搬出ガイド部15と、を備えている。図1に示すように、搬入ガイド部13は、進行方向前方に向けて徐々に下降する湾曲した形状をとり、図3に示すように、搬入ガイド部13は、その上面に2本の平行な第1搬送路13aを備える。この2本の第1搬送路13aは、進行方向に延び、幅方向の移動を規制しつつPTPシートの両端部を支持するサイドレール13a′と、中央部を支持する断面凹状の受けレール13a″とからなり、接近配置している(図4参照)。そして、この2本の第1搬送路13aの間隔は、横方向間隔変更装置の上流側に設置された装置の搬出側における隣り合ったPTPシートの間隔、すなわち、移し替え装置10により同時に落下供給される2つのPTPシート1の間隔に一致している。これにより、移し替え装置10により落下供給された2つのPTPシート1は、それぞれ対応する第1搬送路13aに沿って下降移動しながら前進する。なお、サイドレール13a′,受けレール13a″は、横方向に移動可能となり、PTPシート1の寸法が変わった場合等に対応できる。また、図4に示すように、中央のサイドレール13aは、その両面にPTPシート1の端部を支持するための溝が形成されており、2つの第1搬送路13aの共有部材となっているが、これをそれぞれの搬送路用に2つの部材によって形成し、横方向に移動可能にするとよい。すると、上流側の装置から搬出されて供給されるPTPシート1の横の間隔が異なる場合にも、外側のサイドレールと、内側の2つの部材に分けたサイドレールの横方向の位置を適宜にずらすことで、第1搬送路13aの位置を係る供給されてくる位置に合わせることができる。
【0020】
また、搬入ガイド部13に形成される2本の第1搬送路13aは、それぞれが独立した2つの部材で構成され、その間隔を変更できるようにすると良い。2つの第1搬送路13aは、鉛直方向では湾曲しているものの、直線路であり、少なくとも一方を横方向に移動可能にすることで、対応できる。これにより、上流側の装置から搬出されるPTPシート1の横方向の間隔が異なった場合には、それに併せて簡単に間隔を調整することができる。
【0021】
方向変更ガイド部14は、平らな板状部材からなり、着脱自在となっている。そして、図2に示すように、方向変更ガイド部14の上面には、2本の第2搬送路14aが形成されている。この第2搬送路14aも前後両端が開口した凹状の溝(横幅は、PTPシート1の幅に合わせている)からなり、その上流側は第1搬送路13aに連続する位置に設置されている。そして、第2搬送路14aは、進行方向前方に行く従って、互いに徐々に外側に離れていき、両者の間隔が広がるようなパターンに形成される。これにより、この第2搬送路14aに沿ってそれぞれ進む横に並んだPTPシート1は、前進移動に伴いその間隔が徐々に広くなる。さらに、この方向変更ガイド部14は、図1に示すように、進行方向前方側を高くし、全体として前方に行くに従って上方に傾斜するスロープを構成する
ことにより、一旦下がった搬送レベルを基準の搬送レベルに戻すようにしている。
【0022】
また、この方向変更ガイド部14は、着脱自在となっているため、第2搬送路14aのレイアウト(搬出側の第2搬送路14aの間隔等)を異ならせたものを用意し、それに交換することで、この第2搬送路14aを通過した際の横に隣接するPTPシート1の間隔の広がり具合を調整できる。もちろん、本実施形態では、第1搬送路13aは接近配置しているので、間隔の調整は下流側に行くに従って広くなるようにしたが、第1搬送路13aの隣り合う間隔が広くなっている場合には、逆に進行方向前方に行くに従って共に中央によるように間隔を狭める方向とすることもできる。このように、隣り合うPTPシートの間隔の調整は、方向変更ガイド部14自体を交換することで簡単に行える。また、PTPシート1の寸法(横幅)が異なる場合には、それに合わせた寸法の凹溝を有する方向変更ガイド部14を用意し、それに交換することで対応できる。
【0023】
搬出ガイド部15は、2本の第3搬送路15aを備えている。この第3搬送路15aは、PTPシートの両端部を下から支持するサイドレールと、シートの幅方向の移動を規制するガイド板とからなり、その上流側は第2搬送路14aに連続する位置に設置されている。そして、この第3搬送路15aは、所定の距離をおいて平行に配置されるレイアウトをとる。さらに、この搬出ガイド部15は、図1に示すように、進行方向前方側を高くし、全体として前方に行くに従って上方に傾斜するスロープを構成するようにしている。そして、この搬出ガイド部15の傾斜と上記の方向変更ガイド部14の傾斜は一致させており、全体として一直線上に位置するようになる。これにより、PTPシート1は、第2搬送路14aから第3搬送路15a内をスムーズに移動することができる。また、例えばガイド板の位置を横方向に移動可能にすることで、横幅等の寸法が異なるPTPシートに対しても対応できる。
【0024】
またこの搬出ガイド部15は、その上流側に廃棄機構17を設けている。この廃棄機構17は、搬出ガイド部15の下方に設けた排出ガイド管17aと、その排出ガイド管17aの下方に設けた収納ボックス17bと、第3搬送路15aの一部を構成する排出部17dを備えている。排出部17dでは、サイドレールの一部をシリンダ17cによって外側に退避させることができるようになっており、退避状態の時に不良のPTPシートをサイドレールから脱落させて廃棄ガイド管17aに落として排出できるようになってい
る。廃棄ガイド管17aは、上下が開口した管路である。そして、廃棄機構17以前に配置しているPTPシート1の良否判定を行う検査装置(図示せず)により良品と判定された場合には、シリンダ17cを伸ばして退避状態で待機していたサイドレールの一部を第3搬送路15aにセットし良品のPTPシートを通過させるようにする。当然ながら、不良と判定されたときに、サイドレールの一を退避させて不良品を排出するようにしても良い。
【0025】
さらにこの搬出ガイド部15の下流側には、フィンガーコンベア装置16を設けている。このフィンガーコンベア装置16は、その搬送路が第3搬送路15aの延長線上に配置され、第3搬送路15a上を搬送されてきた2列のPTPシート1を、前後方向並びに隣り合う左右の間隔も同じ状態で搬送するように設定されている。これにより、第3搬送路15a上を搬送された各PTPシート1は、スムーズにフィンガーコンベア装置16に移送され、後段の装置に所望の相対位置関係の状態で供給される。
【0026】
上述したように、搬送ガイド11に設けられた各搬送路13a,14a,15aは、いずれも搬送路内のPTPシート1の搬送方向をガイドする機能を備えるものの、PTPシート1に対して前進するための力を直接与える機能はない。特に、第2,第3搬送路14a,15aは、上り坂となっているため、重力を考えると、PTPシート1は後退移動しようとする。なお、第1搬送路13aは、下り坂であるため、第1搬送路13aに供給されたPTPシート1は、重力による自然落下により第1搬送路13aに沿って移動することになる。
【0027】
そこで、本実施形態の横方向間隔変更装置は、搬送ガイド11に上方に設けた押送装置12により、搬送路上のPTPシート1に対して搬送力を与えるようにした。すなわち、は、鉛直面内を所定の軌跡で公転移動する多数の押送爪21を設け、その押送爪21の先端を各搬送路13a,14a,15a内に入り込んだ状態でその搬送路に沿って移動させるようにした。これにより、第1搬送路13a内では、PTTシート1は落下移動しようとするが、その前方に位置する押送爪21に接触し、それ以上の前進移動が抑止される。よって、PTPシート1は、前方の押送爪21の移動と共に前進することで、前後方向では、押送爪21の前後の配置間隔にそろう。また、上り坂である第2,第3搬送路14a,15a内のPTPシート1は、後方側の押送爪21により押送され、押送爪21の移動に追従して搬送される。そして、PTPシート1の前後方向の間隔は、やはり、押送爪21の前後の間隔に一致する。さらに、押送爪21は、その先端が二股上に分かれており、その二股状の先端に対向する各搬送路13a,14a,15aの部位は、空間が形成され、係る押送爪21の先端が当該空間内に入り込んだ状態で押送爪21が各搬送路13a,14a,15aに沿って移動するようにしている。これにより、押送爪21の先端は、各搬送路13a,14a,15aにおける搬送面よりも下方に位置させることができ、PTPシート1の前端或いは後端に確実に接触できるようにしている。係る空間は、凹溝のように有底のものでも良いし、底がない開放したものでもよい。例えば、第1搬送路13aのように、受けレールとサイドレールのように複数の部材で搬送路を構成している場合には、受けレールの両サイドに、所定の間隔をおいてサイドレールを配置することで、押送爪21の先端を挿入する空間が確保できる。第3搬送路15aも同様である。また、第2搬送路14aのように、平板の上面に凹溝を形成することで搬送路を形成している場合には、その凹溝の所定位置(押送爪21に対応する位置)をさらに一段低く(深く)した細幅の凹溝を形成することで対応できる。
【0028】
次に、押送爪21を所定の軌跡で公転移動させる機構について説明する。前後に配置した一対のスプロケット22間に、エンドレスチェーン23を掛け渡す。上流側のスプロケット22には、動力伝達機構60を介して駆動モータ61に連携されており、その駆動モータ61の回転力を受けてエンドレスチェーン23が回転する。このエンドレスチェーン23は、鉛直面内で回転する。そして押送爪21は、このエンドレスチェーン23に対して以下に示す所定の連結機構を介して片持ち支持される。
【0029】
すなわち、まずエンドレスチェーン23には、等間隔に連結プレート24の一端が取り付けられる。この連結プレート24は、エンドレスチェーン23の回転面(鉛直面)と平行な平面内に位置し、連結プレート24の他端はエンドレスチェーン23の中心(内側)に向けて延びるように配置されている。そして、この連結プレート24の他端には、前方に向けて突出する支持板25が取り付けられる。この支持板25と、連結プレート24とは直交している。この支持板25の先端の外面(公転移動する軌跡の外側)にはL字プレート26が取り付けられ、そのL字プレート26の起立した後面に取付板28を固定し、その取付板28にローラ29を取り付ける。ローラ29は、上下・左右に4個設け、前記支持板25と平行な軸29aに回転自在に支持される。ローラ29の周面には、溝29bが形成され、この溝29bがガイドレール30に符合する。つまり、ガイドレール30に対し、4つのローラ29が上下から挟み込むことで、ガイドレール30に対してしっかりと連携することができ、L字プレート26を介して支持板25はガイドレール30に沿って安定して公転移動することができる。
【0030】
さらに、ガイドレール30は、エンドレスチェーン23とほぼ並行な無端状に配置されるレイアウトをとる。これにより、支持板25は、ローラ29とガイドレール30との連携並びに連結プレート24を介したエンドレスチェーン23への連携により、軸方向に沿って外面の二箇所で支持されることから、安定した片持ち状態を保持できる。
【0031】
一方、支持板25の先端の内面(公転移動する軌跡の内側)には、間隔変更調整ボックス27が取り付けられている。この間隔変更調整ボックス27は、2本の平行な作動ロッド31,32の基端が連携され、その作動ロッド31,32を相対的に往復直線移動させ、作動ロッド31,32の先端位置を変更可能とするものである。この作動ロッド31,32は、支持板25と平行な方向、すなわち、エンドレスチェーン23の回転面と直交する前方に延びるように配置され、この作動ロッド31,32の先端に、支柱31a,32aを介してそれぞれ押送爪21が取り付けられる。
【0032】
間隔変更調整ボックス27は、その内部にピニオン34と、そのピニオン34に噛み合う第1ラック35と第2ラック36を備えている。第1ラック35は、第1スライダ37aに連結され、第2ラック36は、第2スライダ37bに連結される。これら第1,第2スライダ37a,37bは、それぞれ間隔変更調整ボックス27の内側壁に上下に平行に取り付けられた第1,第2スライドレール38a,38bに沿って移動する。そして、これら第1,第2スライダ37a,37bは、作動ロッド31,32に連結される。これにより、作動ロッド31,32ひいては、それに連結される2つの押送爪21は、ラック35,36とピニオン34の作用により、互いに逆方向に移動し、間隔を変えることができる。
【0033】
つまり、外側の押送爪21が連携される作動ロッド32の基端側(奥側;エンドレスチェーン23側)には、ベース40を介してカムフロア41が取り付けられる。このカムフロア41は、搬入側に配置される第1カム溝42に符合する(図2,図3,図4参照)。第1カム溝42は、エンドレスチェーン23側に近い位置で、進行方向に沿って平行に配置される。よって、図3,図4に示すように、カムフロア41が第1カム溝42に符合することで、カムフロア41は、エンドレスチェーン23に近い位置、つまり第1搬送路13aから見ると奥側に下がった位置に至る。それにより、作動ロッド32・第2スライダ37bひいては第2ラック36も奥側に位置し、作動ロッド32に取り付けられる押送爪21も奥側に位置する。これに伴い、ラックとピニオンの作用により、第1ラック35は反対にエンドレスチェーン23から離れる手前側に移動し、さらには、第1スライダ37a,作動ロッド31ひいてはそれに連携される押送爪21も手前側に移動する。よって、両押送爪21は、互いに接近し、その状態のまま平行に前進移動する。この接近した際の間隔並びにその位置は、それぞれの押送爪21が第1搬送路13a内に入り込む位置に設定される(図3参照)。
【0034】
一方、搬出側に配置される第2カム溝44は、図2,図5,図6に示すように、エンドレスチェーン23から離れた手前側に設けられ、進行方向に沿って平行に配置される。これに伴い、その第2カム溝44に符合するカムフロア41も、第1カム溝42と符合している場合に比べて手前側に位置することになる。よって、上記とは逆に、図5,図6に示すように、カムフロア41が第2カム溝44に符合することで、カムフロア41は、エンドレスチェーン23から離れた位置、つまり第3搬送路15aから見ると手前側に近づいた位置に至る。それにより、作動ロッド32・第2スライダ37bひいては第2ラック36も手前側に位置し、作動ロッド32に取り付けられる押送爪21も手前側に位置する。これに伴い、ラックとピニオンの作用により、第1ラック35は反対にエンドレスチェーン23に近づく奥側に移動し、それに伴い、第1スライダ37a,作動ロッド31ひいてはそれに連携される押送爪21も奥側に移動する。よって、両押送爪21は、互いに離反し、その状態のまま平行に前進移動する。この離反した際の間隔並びにその位置は、それぞれの押送爪21が第3搬送路15a内に入り込む位置に設定される。
【0035】
さらに、図2に示すように、この第1カム溝42と第2カム溝44とを連絡する揺動カム溝46を設ける。この揺動カム溝46は、進行方向に対し、傾斜するように配置され、その両端がそれぞれ第1カム溝42,第2カム溝44に連続するようになっている。つまり、第1カム溝42と第2カム溝44は、互い平行であるもののエンドレスチェーン23(搬送ガイド11)からの距離が異なるため、その差を揺動カム溝46が傾斜(斜行)することで吸収する。これにより、第1カム溝42内を前進移動してきたカムフロア41は、そのまま揺動カム溝46内に進入する。そして、揺動カム溝46内を移動することで、当該カムフロア41は、前進移動しながら徐々にエンドレスチェーン23から離れて手前側に移動し、最終的に第2カム溝44内に至る。そして、図3,図4に示す状態から、揺動カム溝46内を移動している最中に、ラック・ピニオンの作用により、徐々に押送爪21が互いに離反する方向に移動し、その間隔が広がっていき、第2カム溝44に至ったときには、押送爪21は、第2搬送路14aの搬出側の間隔が広がった平行の領域に至り、その後は、そのまま直進移動をすることになる。
【0036】
また、本実施形態では、第2カム溝44は、連結ロッド50を介して機枠53に固定されている。そして、揺動カム溝46は、第2カム溝44に対して所定角度範囲内で水平面内で回転可能となり、揺動カム溝46と第2カム溝44のなす角を調整できるようになっている。さらに揺動カム溝46と第1カム溝42との間も所定角度範囲内で回転(旋回)できるようになっている。そして、第1カム溝42は、ベース板51に連携され、このベース板51が移動ロッド52を介して機枠53に連携される。よって、移動ロッド52の機枠53を基準とした前後進移動により、ベース板51ひいては、第1カム溝42が機枠53(エンドレスチェーン23)を基準に離反/接近し、それに追従して揺動カム溝46も旋回することで、第1カム溝42から第2カム溝44まで連続したカム溝を構成しつつ、第1カム溝42と第2カム溝44の間隔を調整できるようになる。なお、このように第1カム溝42と第2カム溝44の間隔を変えた場合には、第1カム溝42の位置により規定される押送爪21の間隔が変更されるため、搬入ガイド部13における第1搬送路13aの間隔も変更すると共に、第2搬送路14aのレイアウトも変更すべく、適切な第2搬送路14aのレイアウトを持つ方向変更ガイド部14に交換する。
【0037】
なお、上記の実施形態では、第2カム溝44を固定とし、それに伴い搬出ガイド部15の第3搬送路15aの横の間隔も固定とし、第1搬送路13aや第2搬送路14aのレイアウトを調整可能としたが、本発明はこれに限ることはなく、第3搬送路15a側或いは双方を変更可能としても良い。また、第2搬送路14aのレイアウト変更は、方向変更ガイド部14自体を交換するようにしたが、同一の方向変更ガイド部14の上面で、搬送路のパターンを変更(例えば、搬送路を形成する側壁の位置をずらす等)するようにしても良い。
【0038】
また、上述した実施形態では、2列で搬送されてくるPTPシートの隣り合う横の間隔を変更するものであったが、3列以上でももちろん良い。また、本実施形態では、2つの押送爪21をラック/ピニオンにより互いに接近移動させたり、離反移動させたりしたが、一方は、直進移動し他方を横方向に移動することで間隔を変更するようにしても良い。また、このことは、3列以上の場合も同様である。そして、3列の場合、中央のPTPシート(シート状物品)を直進移動し、両側のPTPシート(シート状物品)を上述した実施形態の機構を用いることで徐々に離反させることで、搬送中心をずらすことなく、間隔を等しく広げていくことができる。
【符号の説明】
【0039】
1 PTPシート(シート状物品)
11 搬送ガイド
12 押送コンベア装置
13 搬入ガイド部
13a 第1搬送路
14 方向変更ガイド部
14a 第2搬送路
15 搬出ガイド部
15a 第3搬送路
16 フィンガーコンベア装置
17 廃棄機構
21 押送爪
34 ピニオン
35 第1ラック
36 第2ラック
41 カムフロア
42 第1カム溝
44 第2カム溝
46 揺動カム溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状物品を複数列で搬送するための複数の搬送路と、
その搬送路の上方に配置され、その搬送路に沿って移動しつつ前記シート状物品を押送する押送手段を備え、
前記複数の搬送路の間隔を搬送方向に沿って徐々に変化させる方向変換領域を有し、
前記押送手段は、前記搬送路ごとに配置される押送爪と、その押送爪を前記搬送路と交差する方向に移動させつつ、同搬送路に沿って移動させる駆動手段と、
を備えたことを特徴とするシート状物品の横方向間隔変更装置。
【請求項2】
前記方向変換領域を含む前記搬送路の全部または一部は、交換可能な板状部材の表面に形成され、
前記板状部材を交換することで、複数列で搬送される前記シート状物品の隣接する横方向の間隔を変更することを特徴とする請求項1に記載のシート状物品の横方向間隔変更装置。
【請求項3】
前記方向変換領域を移動する前記押送爪は、互いに逆方向に移動することで間隔を変える構造としたことを特徴とする請求項1または2に記載のシート状物品の横方向間隔変更装置。
【請求項4】
前記押送手段は、前記押送爪が鉛直面内を循環する片持ち構造としたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のシート状物品の横方向間隔変更装置。
【請求項5】
前記搬送路の下方に、不良品の排出経路を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のシート状物品の横方向間隔変更装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−57433(P2011−57433A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212131(P2009−212131)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】