シート状部材の打抜き方法および打抜き装置
【課題】 複数枚重ね合せられたシート状部材を打抜く場合においても、打抜く際に発生するダストを低減できる、シート状部材の打抜き方法および打抜き装置を提供する。
【解決手段】 支持台10上に弾性変形可能なシート状部材である2次中間積層原反20を設置し、2次中間積層原反20の、少なくとも切断予定面より外側の領域を含む固定領域を、固定手段16、18によって固定し、前記切断予定面全体に該切断予定面に対する張力を発生させるような外力を、外力付与手段14によって2次中間積層原反20に付与し、前記固定および前記外力の付与を行なっている状態で、打抜き手段12によって、2次中間積層原反20を前記切断予定面で切断して打抜きを行うことで、打抜き手段12と2次中間積層原反20の切断面との摩擦を抑える。
【解決手段】 支持台10上に弾性変形可能なシート状部材である2次中間積層原反20を設置し、2次中間積層原反20の、少なくとも切断予定面より外側の領域を含む固定領域を、固定手段16、18によって固定し、前記切断予定面全体に該切断予定面に対する張力を発生させるような外力を、外力付与手段14によって2次中間積層原反20に付与し、前記固定および前記外力の付与を行なっている状態で、打抜き手段12によって、2次中間積層原反20を前記切断予定面で切断して打抜きを行うことで、打抜き手段12と2次中間積層原反20の切断面との摩擦を抑える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状部材の打抜き方法および打抜き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状部材は様々な分野において利用されている。たとえば、液晶ディスプレイに用いるバックライトユニットは、明るさを均一にするために光を拡散させる拡散シートおよび光路が一定方向に進むように制御するためのプリズムシートなど、数種類のシート状部材を要素部品として構成されている。
【0003】
通常これらのシート状部材は、支持台上に載置され、プレス機構によってトムソン刃またはピナクル刃などの打抜き刃を当接させて切断することで所定の形状に打抜かれる。打抜かれたシート状部材は1枚ずつ順次手作業にて重ね合わせられ、バックライトユニットのフレームに組み込まれている。
【0004】
このようなシート状部材の打抜きを行うと、打抜き刃をシート状部材から離間させる際に、打抜き刃とシート状部材との摩擦によってシート状部材がめくれ上がってしまうという問題が生じる。この問題を解決することができる打抜き装置は特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開平10−328770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、打抜かれたシート状部材から打抜き刃を離間させる際に、打抜き刃との摩擦によってシート状部材がめくれ上がることを防止するために、複数のストリッパ部材を帯状部材で連結させて型ベース部に取り付けた打抜き装置が記載されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に示されるようなストリッパ部材を用いる装置では、シート状部材がめくれ上がることは防いでいるものの、シート状部材の切断面と打抜き刃とは、依然として接触しており、そのような接触状態で、シート状部材から打抜き刃を離間させると摩擦によってダストが発生してしまう。
【0007】
特にバックライトユニットに用いられる拡散シートおよびプリズムシートなどの光学シートは、ベースとなる基材の上に光を拡散させるためのビーズが貼り付けられていたり、光路を制御するプリズムが形成されていたりするため、打抜き刃の離間の際の摩擦によって、これらのビーズおよびプリズムが剥がれたり削れたりしやすく、ダストが発生しやすい。
【0008】
このようなダストは、以前は問題視されていなかったが、液晶ディスプレイの高画質・高解像度化が進んだ現在においては表示品位の低下をもたらす要因であり、発生するダストを低減することは大きな課題となっている。
【0009】
また、昨今においては、液晶ディスプレイの価格低下への対応としてのコストダウン要求が厳しくなってきており、液晶ディスプレイに用いるバックライトユニットの製造においても同様に、コストダウンが要求されている。
【0010】
この要求に応えるための手段として、これまで1種類ずつ所定の形状に打抜きを行った後に重ね合せていた拡散シートおよびプリズムシートなどの光学シートを、必要とされる積層状態にした後に打抜く方法、または手作業にて行っていたバックライトユニットのフレームへの組み込みを自動化する方法などがある。
【0011】
上記のような、積層状態のシート状部材の打抜きを行うことで、コストダウンは可能であるものの、積層状態のシート状部材の打抜きを、特許文献1の装置によって行うと、より多くのダストが発生してしまい、表示品位を低下させてしまう。
【0012】
本発明の目的は、複数枚重ね合せられたシート状部材を打抜く場合においても、打抜く際に発生するダストを低減できる、シート状部材の打抜き方法および打抜き装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、弾性変形可能なシート状部材を所定の形状に打抜く方法であって、
前記シート状部材の、少なくとも切断予定面より外側の領域を含む固定領域の固定を行う固定工程と、
前記固定工程開始後に、前記切断予定面全体に、該切断予定面に対する張力を発生させるような外力を、該シート状部材に付与する外力付与工程と、
前記固定と、前記外力の付与とがされている状態の前記シート状部材を、打抜き手段によって前記切断予定面で切断して打抜きを行う切断工程とを含むことを特徴とするシート状部材の打抜き方法である。
【0014】
また本発明は、前記シート状部材は積層状態のシート状部材であることを特徴とする。
また本発明は、前記外力付与工程は、押込み手段によって、前記シート状部材を支持するための支持台に設置されている該シート状部材の押込み領域の押込みを行うことで前記外力を付与することを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記固定領域は、前記シート状部材の、前記切断予定面によって囲まれる領域である打抜き領域の一部と、
該シート状部材の、前記押込み領域より外側の領域であって、2点を結ぶ線分同士が前記打抜き領域の重心で直交するような4点とを含む領域であることを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記押込みは、前記固定の開始後に行うことを特徴とする。
また本発明は、前記押込み領域は、前記シート状部材の、前記打抜き領域より外側の領域であって、2点を結ぶ線分同士が該打抜き領域の重心で直交するような4点を含む領域であることを特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記押込みは、前記押込み手段の先端が前記切断予定面全体よりも打抜き方向において低くなる位置まで前記押込み手段を移動させることによって行うことを特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記固定および前記押込みは、前記打抜きの終了まで継続することを特徴とする。
【0019】
また本発明は、前記切断は、前記打抜き手段として、超音波によって加振されることで打抜き方向に振動する打抜き刃を用いて行うことを特徴とする。
【0020】
また本発明は、弾性変形可能なシート状部材を所定の形状に打抜く打抜き装置であって、
前記シート状部材の、少なくとも切断予定面より外側の領域を含む固定領域の固定を行う固定手段と、
前記切断予定面全体に、該切断予定面に対する張力を発生させるような外力を、該シート状部材に付与する外力付与手段と、
前記シート状部材を前記切断予定面で切断して打抜きを行う打抜き手段とを含み、
前記固定および前記外力の付与を行なっている状態で、前記切断を行うことが可能であるように構成されることを特徴とするシート状部材の打抜き装置である。
【0021】
また本発明は、前記シート状部材を設置するための支持台を含み、
該支持台は所定空間を有し、
前記外力付与手段は、前記支持台に設置されている前記シート状部材の押込み領域を、前記所定空間の方向へ押込むように移動可能な押込み手段であることを特徴とする。
【0022】
また本発明は、前記固定手段は、前記シート状部材の、前記切断予定面によって囲まれる領域である打抜き領域の一部を固定する内部固定手段と、該シート状部材の、前記押込み領域より外側の領域の一部を固定する外部固定手段とからなり、
前記装置は、前記内部固定手段を備える内部固定型と、該内部固定型より外側に設けられる、前記打抜き手段を備える打抜き型と、該打抜き型より外側に設けられる、前記押込み手段を備える押込み型と、該押込み型より外側に設けられる、前記外部固定手段を備える外部固定型とを含むことを特徴とする。
【0023】
また本発明は、前記固定手段は、前記シート状部材の、前記切断予定面によって囲まれる領域である打抜き領域の一部を固定する内部固定手段と、該シート状部材の、前記押込み領域より外側の領域の一部を固定する外部固定手段とからなり、
前記装置は、前記打抜き手段、前記押込み手段、前記内部固定手段および前記外部固定手段を備える一体的打抜き型を含み、
前記打抜き手段は、該一体的打抜き型上の位置において、前記内部固定手段が設けられる位置よりも外側に設けられ、
前記押込み手段は、該一体的打抜き型上の位置において、前記打抜き手段が設けられる位置よりも外側に設けられ、
前記外部固定手段は、該一体的打抜き型上の位置において、前記押込み手段が設けられる位置よりも外側に設けられることを特徴とする。
【0024】
また本発明は、前記外部固定手段は、先端が尖鋭な部材であることを特徴とする。
また本発明は、前記打抜き手段は、打抜き方向に振動するように超音波によって加振することが可能な打抜き刃であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、弾性変形可能なシート状部材を所定の形状に打抜く方法であって、前記シート状部材の、少なくとも切断予定面より外側の領域を含む固定領域の固定を行う固定工程と、前記固定工程開始後に、前記切断予定面全体に、該切断予定面に対する張力を発生させるような外力を、該シート状部材に付与する外力付与工程と、前記固定と、前記外力の付与とがされている状態の前記シート状部材を、打抜き手段によって前記切断予定面で切断して打抜きを行う切断工程とを含むシート状部材の打抜き方法が提供される。
【0026】
該方法によれば、前記切断開始前の前記切断予定面全体には、前記外力の付与によって該切断予定面に対する張力が発生している。ゆえに、該シート状部材を前記切断予定面で切断すると、該シート状部材は弾性力によって元の形に戻ろうとし、前記切断終了後、前記切断予定面で囲まれる領域である打抜き領域は、内側方向へ縮み、打抜かれて残った前記シート状部材は、前記固定領域方向へ縮む。よって、前記打抜き手段を前記シート状部材から離間させる際の、該打抜き手段と前記シート状部材との接触を少なくすることができ、該打抜き手段と前記シート状部材との摩擦を少なくすることができる。したがって、該摩擦によって生じるダストを低減することができる。
【0027】
また本発明によれば、前記シート状部材は積層状態のシート状部材である。積層状態のシート状部材の打抜きを行うことにより、一度の打抜きによって複数枚のシート状部材を所定の形状に打抜くことができる。また、目的とする積層状態を形成した後に、打抜きを行った場合は、打抜き終了後に複数のシート状部材を重ね合わせる工程を省略することができる。
【0028】
また本発明によれば、前記外力付与工程は、押込み手段によって、前記シート状部材を支持するための支持台に設置されている該シート状部材の押込み領域の押込みを行うことで前記外力を付与する。該押込みによって前記張力を発生させることで、複雑な機構および動作を必要とせずに、前記押込み手段の移動機構によって前記張力を発生させることができる。
【0029】
また本発明によれば、前記固定領域は、前記シート状部材の、前記切断予定面によって囲まれる領域である打抜き領域の一部と、該シート状部材の、前記押込み領域より外側の領域であって、2点を結ぶ線分同士が前記打抜き領域の重心で直交するような4点とを含む領域である。前記打抜き領域の一部を固定することで、前記支持台の傾きおよび前記打抜き手段の打抜き方向における高さの少なくとも一方のばらつきによって、前記打抜き手段の部分ごとの前記支持台へ到達する時期がずれ、前記打抜き領域と打抜かれて残った前記シート状部材とが離間を始める時期が、該打抜き領域の部分ごとに異なったとしても、前記打抜き手段と前記打抜き領域との接触を少なくすることができる。また、前記押込み領域より外側の領域であって2点を結ぶ線分同士が前記打抜き領域の重心で直交するような4点を含む領域を固定することで、前記シート状部材の切断が終了して該シート状部材が外側へ縮む際に、前記打抜き手段と打抜かれて残った前記シート状部材との接触を少なくすることができる。
【0030】
また本発明によれば、前記押込みは、前記固定の開始後に行う。前記固定の開始後に前記押込みを開始することによって、前記シート状部材の前記支持台上のずれを少なくすることができ、前記シート状部材を精密に打抜くことができる。
【0031】
また本発明によれば、前記押込み領域は、前記シート状部材の、前記打抜き領域より外側の領域であって、2点を結ぶ線分同士が該打抜き領域の重心で直交するような4点を含む領域である。前記シート状部材の、前記打抜き領域より外側の領域であって、2点を結ぶ線分同士が該打抜き領域の重心で直交するような4点を含む領域を押込むことで、前記切断予定面全体に、該切断予定面に対する張力を容易に発生させることができる。
【0032】
また本発明によれば、前記押込みは、前記押込み手段の先端が前記切断予定面全体よりも打抜き方向において低くなる位置まで前記押込み手段を移動させることによって行う。該押込みを行うことで、前記切断予定面全体に、該切断予定面に対する張力を容易に発生させることができる。
【0033】
また本発明によれば、前記固定および前記押込みは、前記打抜きの終了まで継続する。前記切断終了後から前記打抜き手段の離間の終了までの間も、前記固定および前記押込みを継続することで、前記打抜き手段の離間の時期および速度に依らずに、前記打抜き手段と前記シート状部材との接触を少なくすることができる。
【0034】
また本発明によれば、前記切断は、前記打抜き手段として、超音波によって加振されることで打抜き方向に振動する打抜き刃を用いて行う。該打抜き刃によって前記切断を行うことで、該シート状部材が、高速で衝撃を与えると割れてしまったり欠けが生じてしまったりするような材料で構成されている場合においても、該シート状部材の切断の際に生じる割れおよび欠けの発生を少なくすることができる。
【0035】
また本発明によれば、弾性変形可能なシート状部材を所定の形状に打抜く装置であって、前記シート状部材の、少なくとも切断予定面より外側の領域を含む固定領域の固定を行う固定手段と、前記切断予定面全体に、該切断予定面に対する張力を発生させるような外力を、該シート状部材に付与する外力付与手段と、前記シート状部材を前記切断予定面で切断して打抜きを行う打抜き手段とを含み、前記固定および前記外力の付与を行なっている状態で、前記切断を行うことが可能であるように構成されるシート状部材の打抜き装置が提供される。該装置によれば、前記切断開始前の前記切断予定面全体には、前記外力の付与によって該切断予定面に対する張力が発生している。ゆえに、該シート状部材を前記切断予定面で切断すると、該シート状部材は弾性力によって元の形に戻ろうとし、前記切断終了後、前記切断予定面で囲まれる領域である打抜き領域は、内側方向へ縮み、打抜かれて残った前記シート状部材は、前記固定領域方向へ縮む。よって、前記打抜き手段を前記シート状部材から離間させる際の、該打抜き手段と前記シート状部材との接触を少なくすることができ、該打抜き手段と前記シート状部材との摩擦を少なくすることができる。
【0036】
また本発明によれば、前記シート状部材を設置するための支持台を含み、該支持台は所定空間を有し、前記外力付与手段は、前記支持台に設置されている前記シート状部材の押込み領域を、前記所定空間の方向へ押込むように移動可能な押込み手段である。該押込み手段によって前記張力を発生させることで、複雑な機構および動作を必要とせずに、前記押込み手段の移動機構によって前記張力を発生させることができる。
【0037】
また本発明によれば、前記固定手段は、前記シート状部材の、前記切断予定面によって囲まれる領域である打抜き領域の一部を固定する内部固定手段と、該シート状部材の、前記押込み領域より外側の領域の一部を固定する外部固定手段とからなり、前記装置は、前記内部固定手段を備える内部固定型と、該内部固定型より外側に設けられる、前記打抜き手段を備える打抜き型と、該打抜き型より外側に設けられる、前記押込み手段を備える押込み型と、該押込み型より外側に設けられる、前記外部固定手段を備える外部固定型とを含む。前記内部固定手段によって前記打抜き領域の一部を固定することで、前記支持台の傾きおよび前記打抜き手段の打抜き方向における高さの少なくとも一方のばらつきによって、前記打抜き手段の部分ごとの前記支持台へ到達する時期がずれ、前記打抜き領域と打抜かれて残った前記シート状部材とが離間を始める時期が、該打抜き領域の部分ごとに異なったとしても、前記打抜き手段と前記打抜き領域との接触を少なくすることができる。また、前記打抜き型と、前記押込み型と、前記内部固定型と、前記外部固定型とが独立して移動可能であるので、前記固定、前記押込みおよび前記切断に最適な制御をそれぞれに対して行うことができる。
【0038】
また本発明によれば、前記固定手段は、前記シート状部材の、前記切断予定面によって囲まれる領域である打抜き領域の一部を固定する内部固定手段と、該シート状部材の、前記押込み領域より外側の領域の一部を固定する外部固定手段とからなり、前記装置は、前記打抜き手段、前記押込み手段、前記内部固定手段および前記外部固定手段を備える一体的打抜き型を含み、前記打抜き手段は、該一体的打抜き型上の位置において、前記内部固定手段が設けられる位置よりも外側に設けられ、前記押込み手段は、該一体的打抜き型上の位置において、前記打抜き手段が設けられる位置よりも外側に設けられ、前記外部固定手段は、該一体的打抜き型上の位置において、前記押込み手段が設けられる位置よりも外側に設けられる。前記内部固定手段によって前記打抜き領域の一部を固定することで、前記支持台の傾きおよび前記打抜き手段の打抜き方向における高さの少なくとも一方のばらつきによって、前記打抜き手段の部分ごとの前記支持台へ到達する時期がずれ、前記打抜き領域と打抜かれて残った前記シート状部材とが離間を始める時期が、該打抜き領域の部分ごとに異なったとしても、前記打抜き手段と前記打抜き領域との接触を少なくすることができる。また、前記一体的打抜き型上に前記打抜き手段と、前記押込み手段と、前記内部固定手段と、前記外部固定手段とが備えられているので、複雑な機構および動作を必要とせずに、前記一体的打抜き型の移動機構によって前記打抜きを行うことができる。
【0039】
また本発明によれば、前記外部固定手段は、先端が尖鋭な部材である。前記外部固定手段は先端が尖鋭な部材であるので、前記シート状部材をより強固に固定することができ、前記切断が終了して該シート状部材が外側へ縮む際に、前記打抜き手段と打抜かれて残った前記シート状部材との接触を少なくすることができる。
【0040】
また本発明によれば前記打抜き手段は、打抜き方向に振動するように超音波によって加振することが可能な打抜き刃である。該打抜き刃によって前記切断を行うことで、該シート状部材が、高速で衝撃を与えると割れてしまったり欠けが生じてしまったりするような材料で構成されている場合においても、前記シート状部材の切断の際に生じる割れおよび欠けの発生を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
積層状態のシート状部材として光学フィルム積層体20cを例に挙げて、本発明の実施形態を説明する。光学フィルム積層体20cは、第1光学フィルム、第2光学フィルム、および第1、第2光学フィルムの間に挟まれる2枚の被挟持光学フィルムを含み、光学フィルム積層体20cの外周の4カ所に配置され、被挟持光学フィルムと同じ厚さで、且つその被挟持光学フィルムとは結合していない接続部材を介して、第1および第2光学フィルムが接合されている。このように光学フィルム積層体20cを構成することで、光学フィルム間が容易に開かないようにでき、光学フィルム間にごみが入ったり、光学フィルム表面が露出して光学フィルム表面に傷がついたりする可能性を減少させることができる。また、光学フィルム積層体20cの外周の4カ所が接合しているので、吸着パッドでの吸着の際、最上層の光学フィルムのみの吸着にならず、吸着パッドを使用することができる。さらに、被挟持光学フィルムとは結合していない接続部材を介して第1および第2光学フィルムが接合されるので、積層する光学フィルムに熱および湿度による膨張量に差があっても、被挟持光学フィルムが第1、第2光学フィルムと接合されてはいないので、光学フィルム積層体20cにしわが発生するなどの光学特性上の問題が生じない。接合部材は、被挟持光学フィルムと同じ厚さであるので、光学フィルム積層体20cにはひずみが生じず光学的品質も良好となる。
【0042】
この光学フィルム積層体20cの製造工程について説明する。図1は、光学フィルム積層体20cを製造するための工程を説明するための図である。製造工程は図中の矢符方向に進む。
【0043】
まず、図1(a)に示す工程では、被挟持第1フィルム原反である第2フィルム原反70bと被挟持第2フィルム原反である第3フィルム原反70cとを重ね合わす。図示していないが、重ね合わされたフィルム原反は互いの位置がずれないように超音波溶着しておくのが好ましい。ここで、図1では製造工程を示すため便宜上フィルム原反を矩形のシートで描いているが、通常ロールに巻かれた長尺の帯状の材料をロールから引き出して用いる。
【0044】
次に図1(b)に示す工程で、重ね合わせたフィルム原反である1次中間積層原反71の所定の位置に切込みを入れる。切込み部72は打抜き装置等で切込みを入れることができ、好ましくはトムソン型、ピナクル型および彫刻刃の中から選ばれる打抜き刃を備えるプレス機等で形成する。
【0045】
次に図1(c)に示す工程で、切込みを入れたフィルム原反に対して上方から第1フィルム原反70aを、下方から第4フィルム原反70dを重ね合わせる。
【0046】
そして図1(d)に示す工程で、重ね合わせたフィルム原反を超音波溶着して2次中間積層原反20を形成する。超音波溶着位置73は、切込み部72より外側で、次の工程で打抜いた時製品のタブ部となる位置である。超音波溶着は、重ね合わせたフィルム原反70a〜70dがすべて溶着するよう設定する。
【0047】
そして図1(e)に示す工程で、超音波溶着位置73にあわせた切断位置74で、トムソン型、ピナクル型および彫刻刃の中から選ばれる打抜き刃を備えるプレス機等で打抜き、2次中間積層原反20を打抜き領域20aと残余フィルム20bとに分断する。最後に、図1(f)に示す工程で、残余フィルム20bを取り去ることで、光学フィルム積層体20cを得る。
【0048】
上記の工程を経ることで、最上層の第1フィルムと最下層の第2フィルムが接合し、且つそれらのフィルムの間に被挟持第1フィルムと被挟持第2フィルムを挟み込み、被挟持第1フィルムと被挟持第2フィルムの外周位置を規制する構造が実現できる。
【0049】
図2は、光学フィルム積層体20cの製造装置100の側面を概略的に示す図である。製造装置100は、図1で説明した工程を実現する装置である。
【0050】
製造装置100は、製造すべき光学フィルム積層体20cを構成する光学フィルムの枚数と同数のフィルム原反70a〜70dを備えている。以下では、不特定のいずれかのフィルム原反について説明するときは、添え字a〜dを省略してフィルム原反70と呼ぶ。フィルム原反70は、帯状の原反であり、それぞれロール状に巻回されて原反ロール7として準備される。
【0051】
製造装置100は、原反ロール7からフィルム原反70を供給する供給手段と、供給手段によって供給されるフィルム原反70を仮固定する第1の超音波溶着ユニット4と、フィルム原反70を本固定する第2の超音波溶着ユニット6と、フィルム原反70に切込みを入れる第1の切断手段5と、最終的に光学フィルム積層体20cを打抜く第2の切断手段9とを備える。
【0052】
供給手段は、フィルム原反70を図示しない搬送ローラ対で挟持し、その搬送ローラ対が回転することで原反ロール7からフィルム原反70を繰出し、その長手方向に移動させるように搬送する。第2フィルム原反70bは他のフィルム原反70a、70c、70dの搬送幅分の長さに切断され、他のフィルム原反70a、70c、70dと直角方向に供給される。また、図示していないが、フィルム原反70の供給手段の下流および各工程を行う手段の下流において、粘着性を有する粘着ローラでフィルム原反70を挟持することで、フィルム原反70に付着しているごみおよび各工程を経ることによって付着するごみを除去することができる。
【0053】
超音波溶着ユニット4、6はその先端に超音波ホーンが取り付けられ、フィルム原反70を押圧した状態で超音波を印可することで、フィルム原反70の押圧された部分が超音波接合される。
【0054】
切断手段5、9は、フィルム原反70を切断する切断機である。フィルム原反70に対し、たとえばトムソン型、ピナクル型および彫刻刃の中から選ばれる打抜き刃を備える打抜き型を押付けることでフィルム原反70に所望の加工が実現される。
【0055】
図示していないがフィルム原反70の最下層にキャリアテープを介在させることによって、切断手段5、9の切断刃の摩耗を防止することができ、また、光学フィルム積層体20cの搬出手段としても機能させることができる。たとえばフィルム原反70と同様にロール状に巻回しておき、同様の構成の供給手段で供給することができ、ロールに巻取ることによって回収することができる。キャリアテープの材料などの構成は、特に限定されることはなく、従来公知のものを含め、種々様々なものを採用することができる。
【0056】
残余フィルム20bは、残余フィルム巻き取りロール8に巻取られて光学フィルム積層体20cとは別に回収される。
【0057】
製造装置100は、第3フィルム原反70c上に第2フィルム原反70bを供給し、第1の超音波溶着ユニット4によって、第3フィルム原反70cと第2フィルム原反70bとの間を超音波溶着し、第2フィルム原反70bが第3フィルム原反70c上に固定された1次中間積層原反71を形成する。
【0058】
次に1次中間積層原反71を、第1の切断手段5へ搬送し、所定の位置に切込みを設ける。切込み加工後の1次中間積層原反71に対して上方から第1フィルム原反70a、下方から第4フィルム原反70dを重ね合わせる。
【0059】
そして、4枚のフィルム原反を重ね合せた状態で第2の超音波溶着ユニット6へ搬送し、所定位置73を超音波溶着する。これによって、第1フィルム原反70aと第4フィルム原反70dとが接合された2次中間積層原反20が形成される。
【0060】
最後に2次中間積層原反20を第2の切断手段9へ搬送し、所定の形状に打抜き、光学フィルム積層体20cを得る。
【0061】
本発明は上記の切断手段9に用いることができる打抜き方法および打抜き装置である。
本発明の効果をより明確にするために、先に従来の打抜き方法および打抜き装置について説明し、従来の打抜き方法および打抜き装置にどのような問題があるかを示す。
【0062】
図3は、従来の打抜き方法を用いた打抜き工程の各工程を説明するための図である。各工程は図中の矢符方向に進む。また、図3の各図は、各工程における従来の打抜き装置3の断面を概略的に示している。
【0063】
従来の打抜き装置3は、シート状部材である2次中間積層原反20が設置される支持台60と、2次中間積層原反20を所定の形状に打抜くための打抜き刃61と、2次中間積層原反20が所定の形状に打抜かれた後に、打抜かれた後の2次中間積層原反20が打抜き刃61に付着した状態で持ち上がったり、めくれ上がったりしてしまう事を防止するために、2次中間積層原反20を押さえるためのストリッパ62と、打抜き刃61とストリッパ62とが設けられる打抜き型63とによって構成される。
【0064】
図3(a)中の矢符21は打抜き方向を示しており、支持台60と設置された2次中間積層原反20とでは、打抜き方向において、中間積層原反20がより上方にある。以下では、高低および上下等の語句は、打抜き方向においての意味として用いる。
【0065】
ストリッパ62は、上下方向に駆動する機構を設けてもよいが、スポンジおよびゴムなどの弾性変形可能な材料を打抜き型63に貼付ける方法が広く用いられており、ストリッパ62の先端62aは、打抜き刃61の先端61aよりも低い位置になるように設置される。
【0066】
上記の従来の打抜き装置3を用いた打抜き工程を具体的に説明する。最初に、2次中間積層原反20が支持台60上に設置される。2次中間積層原反20の設置以前は、打抜き型63は支持台60より上方の位置で待機している(図3(a))。2次中間積層原反20の設置後、打抜き型63が下降して、ストリッパ62によって2次中間積層原反20の所定位置64を上方から固定する(図3(b))。さらに打抜き型63を下降させて、打抜き刃61によって2次中間積層原反20を打抜く(図3(c))。打抜きの際には、ストリッパ62が弾性変形して、所定位置64をより強固に固定している。よって、打抜き刃61によって2次中間積層原反20の切断が終了すると、打抜き刃61の厚みの分だけ2次中間積層原反20は打抜き刃61の両外側へ押出され、所定位置64と打抜き刃61とに挟まれる領域の2次中間積層原反20は圧縮される。圧縮された2次中間積層原反20は弾性力によって、打抜き領域20aは矢符65aの方向へ、残余フィルム20bは矢符65bの方向に戻ろうとするので、打抜き刃61と2次中間積層原反20の切断面とは常に接触することになる。
【0067】
上記の接触状態のまま打抜き型63を上昇させて、2次中間積層原反20から打抜き刃61を離間させる(図3(d))。打抜き刃61と2次中間積層原反20の切断面とが接触した状態で打抜き刃61が上昇すると、打抜き刃61と2次中間積層原反20の切断面との間に摩擦が生じる。所定位置64が固定されているので、2次中間積層原反20のめくれ上がりを防止することはできるが、上記の摩擦によってダストが発生してしまうという問題が生じる。
【0068】
本発明は、上記ダストを低減することが可能な打抜き方法および打抜き装置である。図4は、本発明の第1実施形態の打抜き装置1の端面を概略的に示す模式図である。また、図5(a)は、図5(b)に示す打抜き装置1のそれぞれの型の底面図、図5(c)は、図5(b)に示す2次中間積層原反20の平面図である。
【0069】
打抜き装置1は、シート状部材である2次中間積層原反20が設置される支持台10と、2次中間積層原反20を所定の形状に打抜くための打抜き手段である打抜き刃12および打抜き刃12が設けられる打抜き型13と、外力付与手段として、2次中間積層原反20の押込みを行う押込み手段である押込み部14および押込み部14が設けられる押込み型15と、2次中間積層原反20の内側を固定するための内部固定手段である内部固定部16および内部固定部16が設けられる内部固定型17と、2次中間積層原反20の外側を固定するための外部固定手段である外部固定部18および外部固定部18が設けられる外部固定型19とによって構成される。
【0070】
図4および図5中の矢符21は打抜き方向を示しており、支持台10と設置された2次中間積層原反20とでは、打抜き方向において、中間積層原反20がより上方にある。以下では、高低および上下等の語句は、打抜き方向においての意味として用いる。
【0071】
支持台10には、所定空間である押込み空間11が設けられる。押込み空間11は、押込み部14に比べて充分大きいことが好ましい。また押込み空間11は、充分な高さを有することが好ましい。支持台10には従来の支持台に用いるものと同じ材料を用いることができる。
【0072】
打抜き刃12は、打抜き型13に埋め込むようにして作製される直線状に形成された刃型であるトムソン刃、鋼材をエッチングして作製されるピナクル刃、および鋼材を切削加工して作製される彫刻刃等の中から選択できる。本発明においては、打抜き刃12の種類によらず同等の効果を得ることができるので、打抜き刃12は2次中間積層原反20の材質および要求される品質などに応じて選択すれば良い。また、打抜き刃12が打抜き方向に振動して2次中間積層原反20の切断を行えるように、超音波によって加振できるよう構成されることが好ましい。打抜き刃12は閉じた形状を成しており、2次中間積層原反20を切断予定面22で切断するように設けられている。切断予定面22は、打抜き方向に平行な面であり、後に切断面となる仮想的な面である。切断予定面22で囲まれる領域が打抜き領域20aである。
【0073】
押込み部14の配置は、点状であっても、図5(c)に示すように線状であっても、打抜き領域20aの形状に合わせて連続状であっても良い。押込み部14の数および配置は打抜き領域20aの形状および大きさに応じて最適なものを選択すれば良い。また、押込み部14の先端14aは、尖鋭でない形状であることが好ましい。押込み部14に用いる材料としては、押込みの際に変形しない程度の剛性を持つものであれば良く、2次中間積層原反20の材質に応じて最適なものを選択すれば良い。たとえば、PEEK( polyether-etherketon)材およびNCナイロン等を用いることができ、シート状部材が硬い材質である場合には、セラミックおよびステンレス等を用いることもできる。押込み部14が押し込む、2次中間積層原反20の領域が押込み領域24である。
【0074】
内部固定部16および外部固定部18の配置は、点状であっても、線状であっても、打抜き領域20aの形状に合わせて連続状であっても良い。内部固定部16および外部固定部18の、数および配置は打抜き領域20aの形状および大きさに応じて最適なものを選択すれば良い。内部固定部16の先端部16aを除く部分および外部固定部18に用いる材料としては、固定の際に変形しない程度の剛性を持つものであれば良く、2次中間積層原反20の材質に応じて最適なものを選択すれば良い。たとえば、PEEK(polyether-etherketon)材およびNCナイロン等を用いることができ、シート状部材が硬い材質である場合には、セラミックおよびステンレス等を用いることもできる。また、外部固定部18の先端18aは、尖鋭な形状であることが好ましいが、シート状部材との摩擦が小さく滑りが生じやすい場合には、平坦であっても摩擦係数の高いニトリルゴム等を用いることができる。内部固定部16の先端部16aには、ゴムなどの弾性変形する摩擦係数の高い材料を用いることが好ましい。
【0075】
内部固定部16によって固定される領域のことを内部固定領域27aと呼び、外部固定部18によって固定される領域のことを外部固定領域27bと呼ぶ。固定領域は、内部固定領域27aおよび外部固定領域27bからなる。図5(c)に示すように、内部固定領域27aは打抜き領域20a内の領域であり、図5(c)に示すように、外部固定領域27bは切断予定面22より外側の領域である。
【0076】
打抜き型13、押込み型15、内部固定型17および外部固定型19は、図示しない制御手段によって、それぞれ独立して上下方向に移動することができる。図示しない制御手段は、それぞれの型を移動させる時期および速度を制御することができる。また、図5に示すように、内部固定型17の外側に打抜き型13、打抜き型13の外側に押込み型15、押込み型15の外側に外部固定型19が配置される。それぞれの型の間隔は、打抜き領域20aの大きさ、形状および2次中間積層原反20の材質に応じて最適なものを選択すれば良い。また、それぞれの型には従来の打抜き型に用いるものと同じ材料を用いることができる。
【0077】
図6は、第1実施形態の打抜き工程を説明するための図である。図6(a)は固定工程を、図6(b)は外力付与工程を、図6(c)は切断工程をそれぞれ説明するための図であり、打抜き工程は図中の矢符方向に進む。また、図6の各図は、各工程における本発明の打抜き装置1の端面を概略的に示している。
【0078】
固定工程の開始以前に、2次中間積層原反20が支持台10上に設置される。このとき、打抜き型13、押込み型15、内部固定型17および外部固定型19は、支持台10の上方で待機している。
【0079】
2次中間積層原反20が支持台10上に設置された後、固定工程を行う(図6(a))。固定工程は、固定領域を固定する工程である。第1実施形態の固定工程では、内部固定型17および外部固定型19をそれぞれ下降させることで、内部固定領域27aおよび外部固定領域27bの固定をそれぞれ開始し、固定の開始後は内部固定型17および外部固定型19の下降を止め、それぞれの高さを維持することで固定領域の固定を維持する。固定の開始とは、固定領域が一定距離以上変位不可能になった時点であり、固定の終了とは再び固定領域が一定距離以上変位可能になった時点である。すなわち、第1実施形態においては、支持台10上の2次中間積層原反20の固定領域が左右にずれることができなくなる時点が固定の開始であり、再びずれることができるようになる時点が固定の終了である。内部固定部16および外部固定部18がそれぞれ2次中間積層原反20に接触後、内部固定型17および外部固定型19がそれぞれ一定距離下降したときに固定を開始するように内部固定部16および外部固定部18の高さを調節することができる。
【0080】
固定工程の開始後に外力付与工程を行う(図6(b))。外力付与工程は、切断予定面22全体に切断予定面22に対する張力を発生させるような外力を、2次中間積層原反20に付与する工程である。
【0081】
弾性変形可能な2次中間積層原反20は、外力を加えると破壊されずに変形し、外力を取除くと弾性力によって元の形に戻る。2次中間積層原反20に外力が加えられている状態では、2次中間積層原反20内部には外力と釣り合うように弾性力によって応力が発生している。切断予定面22上のある点を考えるとき、その点での応力は、切断予定面22に対して垂直成分と平行成分とに分解することができ、面から離れる向きの垂直成分の力が張力である。切断予定面22上のある点に発生している応力が切断予定面22に対して張力である場合は、切断予定面22の両側の方向からその点が引っ張られていることを意味する。また、切断予定面22全体とは切断予定面上の点全てという意味である。すなわち、切断予定面22全体に切断予定面22に対する張力が発生しているとは、2次中間積層原反20が切断予定面22において両側から引っ張られ、伸びるように変形しているということである。
【0082】
第1実施形態の外力付与工程では、押込み型15を下降させることで、押込み部14を押込み空間11方向に移動させて、押込み領域23の押込みを開始し、切断予定面22全体に切断予定面22に対する張力が発生した時点で押込み型15の下降を止めて、押込み型15の高さを維持することで、その張力を維持する。押込みの開始とは押込み部14が2次中間積層原反20に接触した時点であり、押込みの終了とは押込み部14が2次中間積層原反20から再び離間した時点である。
【0083】
第1実施形態では、図5(c)に示すように、打抜き領域20aより外側の領域であって、2点26aを結ぶ線分25aと2点26bを結ぶ線分25bとが打抜き領域20aの重心24で直交するような4点26a、26bを全て含む領域を押込み領域24として押込みを行なっているので、切断予定面22全体に、切断予定面22に対する張力が充分に発生している。
【0084】
前記固定と前記外力の付与とを行なっている状態で、切断工程を開始し、2次中間積層原反20の切断を行う(図6(c))。第1実施形態の切断工程では、打抜き型13を下降させて切断予定面22上での2次中間積層原反20の切断を開始し、打抜き刃12が支持台に到達するまで打抜き型13をさらに下降させることで切断を終了し、所定の形状に打抜く。切断の開始とは、打抜き刃12が2次中間積層原反20に接触した時点であり、切断の終了とは、打抜き刃12によって打抜き領域20aと残余フィルム20bとが分断された時点である。また第1実施形態においては、前記切断開始から、打抜き領域20aと残余フィルム20bとの間にある打抜き刃12を2次中間積層原反20から一定距離離間させるまでを打抜きと呼ぶ。
【0085】
上記のように、切断予定面22全体には切断予定面22に対する張力が発生しているので、切断予定面22で2次中間積層原反20を切断すると、打抜き領域20aは切断面によって囲まれる領域となって、内側方向へ縮む。第1実施形態では内部固定領域27aを固定しているので、支持台10の傾きおよび打抜き刃12の高さの少なくとも一方にばらつきがあって、打抜き刃12の部分ごとの支持台10へ到達する時期がずれ、打抜き領域20aと残余フィルム20bとが離間を始める時期が打抜き領域20aの部分ごとに異なったとしても、打抜き領域20aが打抜き刃12に接触するように移動することはない。
【0086】
また前記切断終了後、残余フィルム20bは外部固定領域27b方向へ縮む。第1実施形態では、図5(c)に示すように、押込み領域24より外側の領域であって、2点28aを結ぶ線分25aと2点28bを結ぶ線分25bとが打抜き領域20aの重心24で直交するような4点28a、28bを全て含む領域を外部固定領域27bとして固定しているので、前記切断終了後、残余フィルム20bが縮もうとする際に、打抜き刃12と残余フィルム20bとが接触することがない。
【0087】
図7は2次中間積層原反20の切断終了後から打抜き終了までの打抜き装置1の一部を示す図である。打抜きは図7中の矢符方向へ進む。
【0088】
図7(a)に示すように、打抜き刃12が支持台10に到達し、2次中間積層原反20の切断が終了すると、2次中間積層原反20は弾性力によって縮もうとする。打抜き領域20aは、内側方向である矢符29aの方向へ縮む。残余フィルム20bは外側方向である矢符29bの方向へ縮む。よって、図7(b)に示すように、切断面30と打抜き刃12とが接触していない状態となる。この状態で打抜き刃12が上昇するので、図7(c)に示すように、打抜き刃12と切断面30とが接触せずに、打抜きを終了することができる。
【0089】
したがって第1実施形態によれば、打抜き刃12と切断面30との間に摩擦が生じないので、ダストが発生することがなく、光学フィルムの表示品位を保つことができる。
【0090】
前記固定工程において、内部固定部16の先端部16aにゴムなどの弾性変形する摩擦係数の高い材料を用いた打抜き装置1を用いることで、打抜き領域20aに圧痕や傷をつけずに内部固定領域27aの固定を行うことができる。また、外部固定部18の先端18aを尖鋭な形状とした打抜き装置1を用いることで、外部固定領域27bをより強固に固定することができる。
【0091】
前記外力付与工程では、好ましくは前記固定の開始後に前記押込みを開始する。前記固定開始後に前記押込みを行うことで、打抜き領域20aの支持台10上のずれを少なくし、より精密に打抜きを行うことができる。
【0092】
さらに、前記外力付与工程では、前記張力を充分に発生させるために、押込み部14の先端14aが切断予定面22全体よりも低い位置となるように押込み型15を下降させて押込みを行うことが好ましい。そのような押込みを行うために、押込み型15が充分に下方へ移動可能であり、支持台10の押込み空間11は押込み部14に比べて充分大きく、充分な高さを有することが必要である。また、そのような押込みを行う際に、押込み部14が2次中間積層原反20を貫通しないように、押込み部14の先端14aは尖鋭でない形状にするのが好ましい。
【0093】
前記外力付与工程は、前記押込みによって前記張力を発生させているが、前記押込みを行わずに、2次中間積層原反20を、2次中間積層原反20の面に平行な方向に直接引っ張ることで前記張力を発生させてもよい。
【0094】
前記切断工程では、打抜き刃12と切断面30との摩擦をより生じにくくするために、前記切断終了後から前記打抜きの終了まで前記固定および前記押込みを継続することが好ましい。また、2次中間積層原反20が、高速で衝撃を与えると割れてしまったり欠けが生じてしまったりするような材料で構成されている場合には、打抜き刃12を超音波によって上下に振動させて切断を行うことが好ましい。
【0095】
次に、本発明の第2実施形態の打抜き装置2について説明する。図8は、打抜き装置2の端面を概略的に示す模式図である。また、図9(a)は、図9(b)に示す打抜き装置2の一体的打抜き型の底面図、図9(c)は、図9(b)に示す2次中間積層原反20の平面図である。
【0096】
打抜き装置2は、シート状部材である2次中間積層原反20が設置される支持台10と、2次中間積層原反20を所定の形状に打抜くための打抜き手段である打抜き刃40と、外力付与手段として、2次中間積層原反20の押込みを行う押込み手段である押込み部41と、2次中間積層原反20の内側を固定するための内部固定手段である内部固定部42と、2次中間積層原反20の外側を固定するための外部固定手段である外部固定部43と、打抜き刃40、押込み部41、内部固定部42および外部固定部43が設けられる一体的打抜き型44とによって構成される。
【0097】
図8および図9中の矢符21は打抜き方向を示しており、支持台10と設置された2次中間積層原反20とでは、打抜き方向において、中間積層原反20がより上方にある。以下では、高低および上下等の語句は、打抜き方向においての意味として用いる。
【0098】
支持台10には、所定空間である押込み空間11が設けられる。押込み空間11は、押込み部41に比べて充分大きいことが好ましい。また押込み空間11は、充分な高さを有することが好ましい。支持台10には従来の支持台に用いるものと同じ材料を用いることができる。
【0099】
打抜き刃40は、一体的打抜き型44に埋め込むようにして作製される直線状に形成された刃型であるトムソン刃、鋼材をエッチングして作製されるピナクル刃、および鋼材を切削加工して作製される彫刻刃等の中から選択できる。本発明においては、打抜き刃40の種類によらず同等の効果を得ることができるので、打抜き刃40は2次中間積層原反20の材質および要求される品質などに応じて選択すれば良い。また、打抜き刃40が打抜き方向に振動して2次中間積層原反20の切断を行えるように、超音波によって加振できるよう構成されることが好ましい。超音波によって加振する場合には、一体的打抜き型44と打抜き刃40、押込み部41、内部固定部42および外部固定部43との間にそれぞれ緩衝材を設けておくことで、一体的打抜き型44に設けられる打抜き刃40以外の部材への加振による影響を少なくすることができる。また、内部固定部42にゴムおよびスポンジ等の材質を用いることでより影響を少なくすることができる。打抜き刃40は閉じた形状を成しており、2次中間積層原反20を切断予定面22で切断するように設けられている。切断予定面22は、打抜き方向に平行な面であり、後に切断面となる仮想的な面である。切断予定面22で囲まれる領域が打抜き領域20aである。
【0100】
押込み部41の配置は、点状であっても、図9(c)に示すように線状であっても、打抜き領域20aの形状に合わせて連続状であっても良い。押込み部41の数および配置は打抜き領域20aの形状および大きさに応じて最適なものを選択すれば良い。また、押込み部41の先端41aは、尖鋭でない形状であることが好ましい。押込み部41に用いる材料としては、押込みの際に変形しない程度の剛性を持つものであれば良く、2次中間積層原反20の材質に応じて最適なものを選択すれば良い。たとえば、PEEK(
polyether-etherketon)材およびNCナイロン等を用いることができ、シート状部材が硬い材質である場合には、セラミックおよびステンレス等を用いることもできる。押込み部41が押し込む、2次中間積層原反20の領域が押込み領域45である。
【0101】
内部固定部42および外部固定部43の一部は、それぞればね部42a、43aとなっており、内部固定部42および外部固定部43は打抜き方向に変位可能に構成される。ばね部42a、43aに用いる材料は打抜き領域20aの大きさ、形状および2次中間積層原反20の材質に応じて最適なものを選択すればよい。
【0102】
内部固定部42および外部固定部43の配置は、点状であっても、線状であっても、打抜き領域20aの形状に合わせて連続状であっても良い。内部固定部42および外部固定部43の、数および配置は打抜き領域20aの形状および大きさに応じて最適なものを選択すれば良い。内部固定部42のばね部42aおよび先端部42bを除く部分ならびに外部固定部43のばね部43aを除く部分に用いる材料としては、固定の際に変形しない程度の剛性を持つものであれば良く、2次中間積層原反20の材質に応じて最適なものを選択すれば良い。たとえば、PEEK(polyether-etherketon)材およびNCナイロン等を用いることができ、シート状部材が硬い材質である場合には、セラミックおよびステンレス等を用いることもできる。また、外部固定部18の先端18aは、尖鋭な形状であることが好ましいが、シート状部材との摩擦が小さく滑りが生じやすい場合には、平坦であっても摩擦係数の高いニトリルゴム等を用いることができる。内部固定部16の先端部16aには、ゴムなどの弾性変形する摩擦係数の高い材料を用いることが好ましい。
【0103】
内部固定部42によって固定される領域のことを内部固定領域48aと呼び、外部固定部43によって固定される領域のことを外部固定領域48bと呼ぶ。固定領域は、内部固定領域48aおよび外部固定領域48bからなる。図9(c)に示すように、内部固定領域48aは打抜き領域20a内の領域であり、図9(c)に示すように、外部固定領域48bは切断予定面22より外側の領域である。
【0104】
一体的打抜き型44は、図示しない制御手段によって、上下方向に移動することができる。図示しない制御手段は、一体的打抜き型44を移動させる時期および速度を制御することができる。また、図9に示すように、一体的打抜き型44上の位置において、内部固定部42の外側に打抜き刃40、打抜き刃40の外側に押込み部41、押込み部41の外側に外部固定部43が配置される。また、図9に示すように、それぞれの部材の先端に何も接触していないときは、打抜き刃40の先端40aが最も高い位置にあり、次に高い位置にあるのは押込み部41の先端41aである。それぞれの部材の間隔および高さは、打抜き領域20aの大きさ、形状および2次中間積層原反20の材質に応じて最適なものを選択すれば良い。また、一体的打抜き型44には従来の打抜き型に用いるものと同じ材料を用いることができる。
【0105】
図10は、第2実施形態の打抜き工程を説明するための図である。図10(a)は固定工程を、図10(b)は外力付与工程を、図10(c)は切断工程をそれぞれ説明するための図であり、打抜き工程は図中の矢符方向に進む。また、図10の各図は、各工程における本発明の打抜き装置2の端面を概略的に示している。
【0106】
固定工程の開始以前に、2次中間積層原反20が支持台10上に設置される。このとき、一体的打抜き型44は、支持台10の上方で待機している。
【0107】
2次中間積層原反20が支持台10上に設置された後、固定工程を行う(図10(a))。固定工程は、固定領域を固定する工程である。第2実施形態の固定工程では、一体的打抜き型44を下降させることで、内部固定領域48aおよび外部固定領域48bの固定をそれぞれ開始し、固定の開始後も一体的打抜き型44の下降を続け、固定領域の固定を維持する。固定の開始とは、固定領域が一定距離以上変位不可能になった時点であり、固定の終了とは再び固定領域が一定距離以上変位可能になった時点である。すなわち、第2実施形態においては、支持台10上の2次中間積層原反20の固定領域が左右にずれることができなくなる時点が固定の開始であり、再びずれることができるようになる時点が固定の終了である。内部固定部42および外部固定部43がそれぞれ2次中間積層原反20に接触後、一体的打抜き型44が一定距離下降したときに固定を開始するように内部固定部42および外部固定部43の高さを調節することができる。
【0108】
打抜き装置2は、内部固定部42の先端部42bおよび外部固定部43の先端43bが押込み部41の先端41aおよび打抜き刃40の先端40aよりも低い位置にあるので、一体的打抜き型44を下降させると固定工程が最初に開始される。
【0109】
固定工程の開始後に外力付与工程を行う(図10(b))。外力付与工程は、切断予定面22全体に切断予定面22に対する張力を発生させるような外力を、2次中間積層原反20に付与する工程である。
【0110】
弾性変形可能な2次中間積層原反20は、外力を加えると破壊されずに変形し、外力を取除くと弾性力によって元の形に戻る。2次中間積層原反20に外力が加えられている状態では、2次中間積層原反20内部には外力と釣り合うように弾性力によって応力が発生している。切断予定面22上のある点を考えるとき、その点での応力は、切断予定面22に対して垂直成分と平行成分とに分解することができ、面から離れる向きの垂直成分の力が張力である。切断予定面22上のある点に発生している応力が切断予定面22に対して張力である場合は、切断予定面22の両側の方向からその点が引っ張られていることを意味する。また、切断予定面22全体とは切断予定面22上の点全てという意味である。すなわち、切断予定面22全体に切断予定面22に対する張力が発生しているとは、2次中間積層原反20が切断予定面22において両側から引っ張られ、伸びるように変形しているということである。
【0111】
第2実施形態の外力付与工程では、固定工程によって下降している一体的打抜き型44をさらに下降させて押込み部41を押込み空間11方向へ移動させ、押込み領域45の押込みを開始する。内部固定部42および外部固定部43はそれぞればね部42a、43aを有しているので、前記固定開始後も、ばね部42a、43aがそれぞれ打抜き方向に縮むことで、さらに一体的打抜き型44を下降させることができ、このような押込みを行うことができる。切断予定面22全体に切断予定面22に対する張力が発生した後も一体的打抜き型44の下降を続け、前記張力を発生させ続ける。押込みの開始とは押込み部41が2次中間積層原反20に接触した時点であり、押込みの終了とは押込み部41が2次中間積層原反20から再び離間した時点である。
【0112】
打抜き装置2は、押込み部41の先端41aが、内部固定部42の先端部42bおよび外部固定部43の先端43bより高く、打抜き刃40の先端40aより低い位置にあるので、一体的打抜き型44を下降させると固定工程の開始後に外力付与工程が開始される。
【0113】
第2実施形態では、図9(c)に示すように、打抜き領域20aより外側の領域であって、2点47aを結ぶ線分46aと2点47bを結ぶ線分46bとが打抜き領域20aの重心24で直交するような4点47a、47bを全て含む領域を押込み領域45として押込みを行なっているので、切断予定面22全体に、切断予定面22に対する張力が充分に発生している。
【0114】
前記固定と前記外力の付与とを行なっている状態で、切断工程を開始し、2次中間積層原反20の切断を行う(図10(c))。第2実施形態の切断工程では、外力付与工程によって下降している一体的打抜き型44をさらに下降させて切断予定面22上での2次中間積層原反20の切断を開始する。内部固定部42および外部固定部43はそれぞればね部42a、43aを有しているので、前記張力の発生後も、ばね部42a、43aがそれぞれ打抜き方向に縮むことで、さらに一体的打抜き型44を下降させることができ、このような切断を行うことができる。打抜き刃40が支持台に到達するまで一体的打抜き型44をさらに下降させることで切断を終了し、所定の形状に打抜く。切断の開始とは、打抜き刃12が2次中間積層原反20に接触した時点であり、切断の終了とは、打抜き刃12によって打抜き領域20aと残余フィルム20bとが分断された時点である。また第2実施形態においては、前記切断開始から、打抜き領域20aと残余フィルム20bとの間にある打抜き刃40を2次中間積層原反20から一定距離離間させるまでを打抜きと呼ぶ。
【0115】
打抜き装置2は、打抜き刃40の先端40aが、内部固定部42の先端部42b、外部固定部43の先端43bおよび押込み部41の先端41aよりも高い位置にあるので、一体的打抜き型44を下降させると固定工程および外力付与工程の開始後に切断工程が開始される。前記固定と前記外力の付与が行われている状態で切断を開始するように、打抜き刃40の先端40aの高さを調節する必要がある。
【0116】
上記のように、切断予定面22全体には切断予定面22に対する張力が発生しているので、切断予定面22で2次中間積層原反20を切断すると、打抜き領域20aは切断面によって囲まれる領域となって、内側方向へ縮む。第2実施形態では内部固定領域48aを固定しているので、支持台10の傾きおよび打抜き刃40の高さの少なくとも一方にばらつきがあって、打抜き刃12の部分ごとの支持台10へ到達する時期がずれ、打抜き領域20aと残余フィルム20bとが離間を始める時期が打抜き領域20aの部分ごとに異なったとしても、打抜き領域20aが打抜き刃40に接触するように移動することはない。
【0117】
また前記切断終了後、残余フィルム20bは外部固定領域48b方向へ縮む。第2実施形態では、図9(c)に示すように、押込み領域45より外側の領域であって、2点49aを結ぶ線分46aと2点49bを結ぶ線分46bとが打抜き領域20aの重心24で直交するような4点49a、49bを全て含む領域を外部固定領域48bとして固定しているので、前記切断終了後、残余フィルム20bが縮もうとする際に、打抜き刃40と残余フィルム20bとが接触することがない。
【0118】
第2実施形態においても、図7を用いて説明した第1実施形態と同様に、打抜きが進む。
【0119】
図7(a)と同様に、打抜き刃40が支持台10に到達し、2次中間積層原反20の切断が終了すると、2次中間積層原反20は弾性力によって縮もうとする。打抜き領域20aは、内側方向へ縮む。残余フィルム20bは外側方向へ縮む。よって、図7(b)と同様に、切断面と打抜き刃40とが接触していない状態となる。この状態で打抜き刃40が上昇するので、図7(c)と同様に、打抜き刃40と切断面とが接触せずに、打抜きを終了することができる。
【0120】
したがって第2実施形態によれば、打抜き刃40と切断面との間に摩擦が生じないので、ダストが発生することがなく、光学フィルムの表示品位を保つことができる。
【0121】
前記固定工程において、内部固定部42の先端部42bにゴムなどの弾性変形する摩擦係数の高い材料を用いた打抜き装置2を用いることで、打抜き領域20aに圧痕や傷をつけずに内部固定領域48aの固定を行うことができる。また、外部固定部43の先端43bを尖鋭な形状とした打抜き装置2を用いることで、外部固定領域48bをより強固に固定することができる。
【0122】
前記外力付与工程では、好ましくは前記固定の開始後に前記押込みを開始する。そのように押込みを行うために、押込み部41の先端41aの高さを調節する必要がある。前記固定開始後に前記押込みを行うことで、打抜き領域20aの支持台10上のずれを少なくし、より精密に打抜きを行うことができる。
【0123】
さらに、前記外力付与工程では、前記張力を充分に発生させるために、押込み部14の先端14aが切断予定面22全体よりも低い位置となるように押込み型15を下降させて押込みを行うことが好ましい。そのような押込みを行うために、押込み部41の先端41aの高さおよび打抜き刃40の先端40aの高さを調節する必要がある。また、一体的打抜き型44が充分に下方へ移動可能であり、支持台10の押込み空間11は押込み部41に比べて充分大きく、充分な高さを有する必要がある。また、そのような押込みを行う際に、押込み部41が2次中間積層原反20を貫通しないように、押込み部41の先端41aは尖鋭でない形状にするのが好ましい。
【0124】
前記外力付与工程は、前記押込みによって前記張力を発生させているが、前記押込みを行わずに、2次中間積層原反20を、2次中間積層原反20の面に平行な方向に直接引っ張ることで前記張力を発生させてもよい。
【0125】
前記切断工程では、打抜き刃12と切断面30との摩擦をより生じにくくするために、前記切断終了後から前記打抜きの終了まで前記固定および前記押込みを継続することが好ましい。そのためには、打抜き刃40の先端40aの高さを調節する必要がある。また、2次中間積層原反20が、高速で衝撃を与えると割れてしまったり欠けが生じてしまったりするような材料で構成されている場合には、打抜き刃12を超音波によって上下に振動させて切断を行うことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】光学フィルム積層体20cを製造するための工程を説明するための図である。
【図2】光学フィルム積層体20cの製造装置100の側面を概略的に示す図である。
【図3】従来の打抜き方法を用いた打抜き工程の各工程を説明するための図である。
【図4】本発明の第1実施形態の打抜き装置1の端面を概略的に示す模式図である。
【図5】打抜き装置1の模式図、打抜き装置1のそれぞれの型の底面図および2次中間積層原反20の平面図を並べて示す図である。
【図6】第1実施形態の打抜き工程を説明するための図である。
【図7】2次中間積層原反20の切断終了後から打抜き終了までの打抜き装置1の一部を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態の打抜き装置2の端面を概略的に示す模式図である。
【図9】打抜き装置2の模式図、一体的打抜き型44の底面図および2次中間積層原反20の平面図を並べて示す図である。
【図10】第2実施形態の打抜き工程を説明するための図である。
【符号の説明】
【0127】
1,2 打抜き装置
10 支持台
11 押込み空間
12 打抜き刃
13 打抜き型
14 押込み部
15 押込み型
16 内部固定部
16a 内部固定部16の先端部
17 内部固定型
18 外部固定部
19 外部固定型
20 2次中間積層原反
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状部材の打抜き方法および打抜き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状部材は様々な分野において利用されている。たとえば、液晶ディスプレイに用いるバックライトユニットは、明るさを均一にするために光を拡散させる拡散シートおよび光路が一定方向に進むように制御するためのプリズムシートなど、数種類のシート状部材を要素部品として構成されている。
【0003】
通常これらのシート状部材は、支持台上に載置され、プレス機構によってトムソン刃またはピナクル刃などの打抜き刃を当接させて切断することで所定の形状に打抜かれる。打抜かれたシート状部材は1枚ずつ順次手作業にて重ね合わせられ、バックライトユニットのフレームに組み込まれている。
【0004】
このようなシート状部材の打抜きを行うと、打抜き刃をシート状部材から離間させる際に、打抜き刃とシート状部材との摩擦によってシート状部材がめくれ上がってしまうという問題が生じる。この問題を解決することができる打抜き装置は特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開平10−328770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、打抜かれたシート状部材から打抜き刃を離間させる際に、打抜き刃との摩擦によってシート状部材がめくれ上がることを防止するために、複数のストリッパ部材を帯状部材で連結させて型ベース部に取り付けた打抜き装置が記載されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に示されるようなストリッパ部材を用いる装置では、シート状部材がめくれ上がることは防いでいるものの、シート状部材の切断面と打抜き刃とは、依然として接触しており、そのような接触状態で、シート状部材から打抜き刃を離間させると摩擦によってダストが発生してしまう。
【0007】
特にバックライトユニットに用いられる拡散シートおよびプリズムシートなどの光学シートは、ベースとなる基材の上に光を拡散させるためのビーズが貼り付けられていたり、光路を制御するプリズムが形成されていたりするため、打抜き刃の離間の際の摩擦によって、これらのビーズおよびプリズムが剥がれたり削れたりしやすく、ダストが発生しやすい。
【0008】
このようなダストは、以前は問題視されていなかったが、液晶ディスプレイの高画質・高解像度化が進んだ現在においては表示品位の低下をもたらす要因であり、発生するダストを低減することは大きな課題となっている。
【0009】
また、昨今においては、液晶ディスプレイの価格低下への対応としてのコストダウン要求が厳しくなってきており、液晶ディスプレイに用いるバックライトユニットの製造においても同様に、コストダウンが要求されている。
【0010】
この要求に応えるための手段として、これまで1種類ずつ所定の形状に打抜きを行った後に重ね合せていた拡散シートおよびプリズムシートなどの光学シートを、必要とされる積層状態にした後に打抜く方法、または手作業にて行っていたバックライトユニットのフレームへの組み込みを自動化する方法などがある。
【0011】
上記のような、積層状態のシート状部材の打抜きを行うことで、コストダウンは可能であるものの、積層状態のシート状部材の打抜きを、特許文献1の装置によって行うと、より多くのダストが発生してしまい、表示品位を低下させてしまう。
【0012】
本発明の目的は、複数枚重ね合せられたシート状部材を打抜く場合においても、打抜く際に発生するダストを低減できる、シート状部材の打抜き方法および打抜き装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、弾性変形可能なシート状部材を所定の形状に打抜く方法であって、
前記シート状部材の、少なくとも切断予定面より外側の領域を含む固定領域の固定を行う固定工程と、
前記固定工程開始後に、前記切断予定面全体に、該切断予定面に対する張力を発生させるような外力を、該シート状部材に付与する外力付与工程と、
前記固定と、前記外力の付与とがされている状態の前記シート状部材を、打抜き手段によって前記切断予定面で切断して打抜きを行う切断工程とを含むことを特徴とするシート状部材の打抜き方法である。
【0014】
また本発明は、前記シート状部材は積層状態のシート状部材であることを特徴とする。
また本発明は、前記外力付与工程は、押込み手段によって、前記シート状部材を支持するための支持台に設置されている該シート状部材の押込み領域の押込みを行うことで前記外力を付与することを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記固定領域は、前記シート状部材の、前記切断予定面によって囲まれる領域である打抜き領域の一部と、
該シート状部材の、前記押込み領域より外側の領域であって、2点を結ぶ線分同士が前記打抜き領域の重心で直交するような4点とを含む領域であることを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記押込みは、前記固定の開始後に行うことを特徴とする。
また本発明は、前記押込み領域は、前記シート状部材の、前記打抜き領域より外側の領域であって、2点を結ぶ線分同士が該打抜き領域の重心で直交するような4点を含む領域であることを特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記押込みは、前記押込み手段の先端が前記切断予定面全体よりも打抜き方向において低くなる位置まで前記押込み手段を移動させることによって行うことを特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記固定および前記押込みは、前記打抜きの終了まで継続することを特徴とする。
【0019】
また本発明は、前記切断は、前記打抜き手段として、超音波によって加振されることで打抜き方向に振動する打抜き刃を用いて行うことを特徴とする。
【0020】
また本発明は、弾性変形可能なシート状部材を所定の形状に打抜く打抜き装置であって、
前記シート状部材の、少なくとも切断予定面より外側の領域を含む固定領域の固定を行う固定手段と、
前記切断予定面全体に、該切断予定面に対する張力を発生させるような外力を、該シート状部材に付与する外力付与手段と、
前記シート状部材を前記切断予定面で切断して打抜きを行う打抜き手段とを含み、
前記固定および前記外力の付与を行なっている状態で、前記切断を行うことが可能であるように構成されることを特徴とするシート状部材の打抜き装置である。
【0021】
また本発明は、前記シート状部材を設置するための支持台を含み、
該支持台は所定空間を有し、
前記外力付与手段は、前記支持台に設置されている前記シート状部材の押込み領域を、前記所定空間の方向へ押込むように移動可能な押込み手段であることを特徴とする。
【0022】
また本発明は、前記固定手段は、前記シート状部材の、前記切断予定面によって囲まれる領域である打抜き領域の一部を固定する内部固定手段と、該シート状部材の、前記押込み領域より外側の領域の一部を固定する外部固定手段とからなり、
前記装置は、前記内部固定手段を備える内部固定型と、該内部固定型より外側に設けられる、前記打抜き手段を備える打抜き型と、該打抜き型より外側に設けられる、前記押込み手段を備える押込み型と、該押込み型より外側に設けられる、前記外部固定手段を備える外部固定型とを含むことを特徴とする。
【0023】
また本発明は、前記固定手段は、前記シート状部材の、前記切断予定面によって囲まれる領域である打抜き領域の一部を固定する内部固定手段と、該シート状部材の、前記押込み領域より外側の領域の一部を固定する外部固定手段とからなり、
前記装置は、前記打抜き手段、前記押込み手段、前記内部固定手段および前記外部固定手段を備える一体的打抜き型を含み、
前記打抜き手段は、該一体的打抜き型上の位置において、前記内部固定手段が設けられる位置よりも外側に設けられ、
前記押込み手段は、該一体的打抜き型上の位置において、前記打抜き手段が設けられる位置よりも外側に設けられ、
前記外部固定手段は、該一体的打抜き型上の位置において、前記押込み手段が設けられる位置よりも外側に設けられることを特徴とする。
【0024】
また本発明は、前記外部固定手段は、先端が尖鋭な部材であることを特徴とする。
また本発明は、前記打抜き手段は、打抜き方向に振動するように超音波によって加振することが可能な打抜き刃であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、弾性変形可能なシート状部材を所定の形状に打抜く方法であって、前記シート状部材の、少なくとも切断予定面より外側の領域を含む固定領域の固定を行う固定工程と、前記固定工程開始後に、前記切断予定面全体に、該切断予定面に対する張力を発生させるような外力を、該シート状部材に付与する外力付与工程と、前記固定と、前記外力の付与とがされている状態の前記シート状部材を、打抜き手段によって前記切断予定面で切断して打抜きを行う切断工程とを含むシート状部材の打抜き方法が提供される。
【0026】
該方法によれば、前記切断開始前の前記切断予定面全体には、前記外力の付与によって該切断予定面に対する張力が発生している。ゆえに、該シート状部材を前記切断予定面で切断すると、該シート状部材は弾性力によって元の形に戻ろうとし、前記切断終了後、前記切断予定面で囲まれる領域である打抜き領域は、内側方向へ縮み、打抜かれて残った前記シート状部材は、前記固定領域方向へ縮む。よって、前記打抜き手段を前記シート状部材から離間させる際の、該打抜き手段と前記シート状部材との接触を少なくすることができ、該打抜き手段と前記シート状部材との摩擦を少なくすることができる。したがって、該摩擦によって生じるダストを低減することができる。
【0027】
また本発明によれば、前記シート状部材は積層状態のシート状部材である。積層状態のシート状部材の打抜きを行うことにより、一度の打抜きによって複数枚のシート状部材を所定の形状に打抜くことができる。また、目的とする積層状態を形成した後に、打抜きを行った場合は、打抜き終了後に複数のシート状部材を重ね合わせる工程を省略することができる。
【0028】
また本発明によれば、前記外力付与工程は、押込み手段によって、前記シート状部材を支持するための支持台に設置されている該シート状部材の押込み領域の押込みを行うことで前記外力を付与する。該押込みによって前記張力を発生させることで、複雑な機構および動作を必要とせずに、前記押込み手段の移動機構によって前記張力を発生させることができる。
【0029】
また本発明によれば、前記固定領域は、前記シート状部材の、前記切断予定面によって囲まれる領域である打抜き領域の一部と、該シート状部材の、前記押込み領域より外側の領域であって、2点を結ぶ線分同士が前記打抜き領域の重心で直交するような4点とを含む領域である。前記打抜き領域の一部を固定することで、前記支持台の傾きおよび前記打抜き手段の打抜き方向における高さの少なくとも一方のばらつきによって、前記打抜き手段の部分ごとの前記支持台へ到達する時期がずれ、前記打抜き領域と打抜かれて残った前記シート状部材とが離間を始める時期が、該打抜き領域の部分ごとに異なったとしても、前記打抜き手段と前記打抜き領域との接触を少なくすることができる。また、前記押込み領域より外側の領域であって2点を結ぶ線分同士が前記打抜き領域の重心で直交するような4点を含む領域を固定することで、前記シート状部材の切断が終了して該シート状部材が外側へ縮む際に、前記打抜き手段と打抜かれて残った前記シート状部材との接触を少なくすることができる。
【0030】
また本発明によれば、前記押込みは、前記固定の開始後に行う。前記固定の開始後に前記押込みを開始することによって、前記シート状部材の前記支持台上のずれを少なくすることができ、前記シート状部材を精密に打抜くことができる。
【0031】
また本発明によれば、前記押込み領域は、前記シート状部材の、前記打抜き領域より外側の領域であって、2点を結ぶ線分同士が該打抜き領域の重心で直交するような4点を含む領域である。前記シート状部材の、前記打抜き領域より外側の領域であって、2点を結ぶ線分同士が該打抜き領域の重心で直交するような4点を含む領域を押込むことで、前記切断予定面全体に、該切断予定面に対する張力を容易に発生させることができる。
【0032】
また本発明によれば、前記押込みは、前記押込み手段の先端が前記切断予定面全体よりも打抜き方向において低くなる位置まで前記押込み手段を移動させることによって行う。該押込みを行うことで、前記切断予定面全体に、該切断予定面に対する張力を容易に発生させることができる。
【0033】
また本発明によれば、前記固定および前記押込みは、前記打抜きの終了まで継続する。前記切断終了後から前記打抜き手段の離間の終了までの間も、前記固定および前記押込みを継続することで、前記打抜き手段の離間の時期および速度に依らずに、前記打抜き手段と前記シート状部材との接触を少なくすることができる。
【0034】
また本発明によれば、前記切断は、前記打抜き手段として、超音波によって加振されることで打抜き方向に振動する打抜き刃を用いて行う。該打抜き刃によって前記切断を行うことで、該シート状部材が、高速で衝撃を与えると割れてしまったり欠けが生じてしまったりするような材料で構成されている場合においても、該シート状部材の切断の際に生じる割れおよび欠けの発生を少なくすることができる。
【0035】
また本発明によれば、弾性変形可能なシート状部材を所定の形状に打抜く装置であって、前記シート状部材の、少なくとも切断予定面より外側の領域を含む固定領域の固定を行う固定手段と、前記切断予定面全体に、該切断予定面に対する張力を発生させるような外力を、該シート状部材に付与する外力付与手段と、前記シート状部材を前記切断予定面で切断して打抜きを行う打抜き手段とを含み、前記固定および前記外力の付与を行なっている状態で、前記切断を行うことが可能であるように構成されるシート状部材の打抜き装置が提供される。該装置によれば、前記切断開始前の前記切断予定面全体には、前記外力の付与によって該切断予定面に対する張力が発生している。ゆえに、該シート状部材を前記切断予定面で切断すると、該シート状部材は弾性力によって元の形に戻ろうとし、前記切断終了後、前記切断予定面で囲まれる領域である打抜き領域は、内側方向へ縮み、打抜かれて残った前記シート状部材は、前記固定領域方向へ縮む。よって、前記打抜き手段を前記シート状部材から離間させる際の、該打抜き手段と前記シート状部材との接触を少なくすることができ、該打抜き手段と前記シート状部材との摩擦を少なくすることができる。
【0036】
また本発明によれば、前記シート状部材を設置するための支持台を含み、該支持台は所定空間を有し、前記外力付与手段は、前記支持台に設置されている前記シート状部材の押込み領域を、前記所定空間の方向へ押込むように移動可能な押込み手段である。該押込み手段によって前記張力を発生させることで、複雑な機構および動作を必要とせずに、前記押込み手段の移動機構によって前記張力を発生させることができる。
【0037】
また本発明によれば、前記固定手段は、前記シート状部材の、前記切断予定面によって囲まれる領域である打抜き領域の一部を固定する内部固定手段と、該シート状部材の、前記押込み領域より外側の領域の一部を固定する外部固定手段とからなり、前記装置は、前記内部固定手段を備える内部固定型と、該内部固定型より外側に設けられる、前記打抜き手段を備える打抜き型と、該打抜き型より外側に設けられる、前記押込み手段を備える押込み型と、該押込み型より外側に設けられる、前記外部固定手段を備える外部固定型とを含む。前記内部固定手段によって前記打抜き領域の一部を固定することで、前記支持台の傾きおよび前記打抜き手段の打抜き方向における高さの少なくとも一方のばらつきによって、前記打抜き手段の部分ごとの前記支持台へ到達する時期がずれ、前記打抜き領域と打抜かれて残った前記シート状部材とが離間を始める時期が、該打抜き領域の部分ごとに異なったとしても、前記打抜き手段と前記打抜き領域との接触を少なくすることができる。また、前記打抜き型と、前記押込み型と、前記内部固定型と、前記外部固定型とが独立して移動可能であるので、前記固定、前記押込みおよび前記切断に最適な制御をそれぞれに対して行うことができる。
【0038】
また本発明によれば、前記固定手段は、前記シート状部材の、前記切断予定面によって囲まれる領域である打抜き領域の一部を固定する内部固定手段と、該シート状部材の、前記押込み領域より外側の領域の一部を固定する外部固定手段とからなり、前記装置は、前記打抜き手段、前記押込み手段、前記内部固定手段および前記外部固定手段を備える一体的打抜き型を含み、前記打抜き手段は、該一体的打抜き型上の位置において、前記内部固定手段が設けられる位置よりも外側に設けられ、前記押込み手段は、該一体的打抜き型上の位置において、前記打抜き手段が設けられる位置よりも外側に設けられ、前記外部固定手段は、該一体的打抜き型上の位置において、前記押込み手段が設けられる位置よりも外側に設けられる。前記内部固定手段によって前記打抜き領域の一部を固定することで、前記支持台の傾きおよび前記打抜き手段の打抜き方向における高さの少なくとも一方のばらつきによって、前記打抜き手段の部分ごとの前記支持台へ到達する時期がずれ、前記打抜き領域と打抜かれて残った前記シート状部材とが離間を始める時期が、該打抜き領域の部分ごとに異なったとしても、前記打抜き手段と前記打抜き領域との接触を少なくすることができる。また、前記一体的打抜き型上に前記打抜き手段と、前記押込み手段と、前記内部固定手段と、前記外部固定手段とが備えられているので、複雑な機構および動作を必要とせずに、前記一体的打抜き型の移動機構によって前記打抜きを行うことができる。
【0039】
また本発明によれば、前記外部固定手段は、先端が尖鋭な部材である。前記外部固定手段は先端が尖鋭な部材であるので、前記シート状部材をより強固に固定することができ、前記切断が終了して該シート状部材が外側へ縮む際に、前記打抜き手段と打抜かれて残った前記シート状部材との接触を少なくすることができる。
【0040】
また本発明によれば前記打抜き手段は、打抜き方向に振動するように超音波によって加振することが可能な打抜き刃である。該打抜き刃によって前記切断を行うことで、該シート状部材が、高速で衝撃を与えると割れてしまったり欠けが生じてしまったりするような材料で構成されている場合においても、前記シート状部材の切断の際に生じる割れおよび欠けの発生を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
積層状態のシート状部材として光学フィルム積層体20cを例に挙げて、本発明の実施形態を説明する。光学フィルム積層体20cは、第1光学フィルム、第2光学フィルム、および第1、第2光学フィルムの間に挟まれる2枚の被挟持光学フィルムを含み、光学フィルム積層体20cの外周の4カ所に配置され、被挟持光学フィルムと同じ厚さで、且つその被挟持光学フィルムとは結合していない接続部材を介して、第1および第2光学フィルムが接合されている。このように光学フィルム積層体20cを構成することで、光学フィルム間が容易に開かないようにでき、光学フィルム間にごみが入ったり、光学フィルム表面が露出して光学フィルム表面に傷がついたりする可能性を減少させることができる。また、光学フィルム積層体20cの外周の4カ所が接合しているので、吸着パッドでの吸着の際、最上層の光学フィルムのみの吸着にならず、吸着パッドを使用することができる。さらに、被挟持光学フィルムとは結合していない接続部材を介して第1および第2光学フィルムが接合されるので、積層する光学フィルムに熱および湿度による膨張量に差があっても、被挟持光学フィルムが第1、第2光学フィルムと接合されてはいないので、光学フィルム積層体20cにしわが発生するなどの光学特性上の問題が生じない。接合部材は、被挟持光学フィルムと同じ厚さであるので、光学フィルム積層体20cにはひずみが生じず光学的品質も良好となる。
【0042】
この光学フィルム積層体20cの製造工程について説明する。図1は、光学フィルム積層体20cを製造するための工程を説明するための図である。製造工程は図中の矢符方向に進む。
【0043】
まず、図1(a)に示す工程では、被挟持第1フィルム原反である第2フィルム原反70bと被挟持第2フィルム原反である第3フィルム原反70cとを重ね合わす。図示していないが、重ね合わされたフィルム原反は互いの位置がずれないように超音波溶着しておくのが好ましい。ここで、図1では製造工程を示すため便宜上フィルム原反を矩形のシートで描いているが、通常ロールに巻かれた長尺の帯状の材料をロールから引き出して用いる。
【0044】
次に図1(b)に示す工程で、重ね合わせたフィルム原反である1次中間積層原反71の所定の位置に切込みを入れる。切込み部72は打抜き装置等で切込みを入れることができ、好ましくはトムソン型、ピナクル型および彫刻刃の中から選ばれる打抜き刃を備えるプレス機等で形成する。
【0045】
次に図1(c)に示す工程で、切込みを入れたフィルム原反に対して上方から第1フィルム原反70aを、下方から第4フィルム原反70dを重ね合わせる。
【0046】
そして図1(d)に示す工程で、重ね合わせたフィルム原反を超音波溶着して2次中間積層原反20を形成する。超音波溶着位置73は、切込み部72より外側で、次の工程で打抜いた時製品のタブ部となる位置である。超音波溶着は、重ね合わせたフィルム原反70a〜70dがすべて溶着するよう設定する。
【0047】
そして図1(e)に示す工程で、超音波溶着位置73にあわせた切断位置74で、トムソン型、ピナクル型および彫刻刃の中から選ばれる打抜き刃を備えるプレス機等で打抜き、2次中間積層原反20を打抜き領域20aと残余フィルム20bとに分断する。最後に、図1(f)に示す工程で、残余フィルム20bを取り去ることで、光学フィルム積層体20cを得る。
【0048】
上記の工程を経ることで、最上層の第1フィルムと最下層の第2フィルムが接合し、且つそれらのフィルムの間に被挟持第1フィルムと被挟持第2フィルムを挟み込み、被挟持第1フィルムと被挟持第2フィルムの外周位置を規制する構造が実現できる。
【0049】
図2は、光学フィルム積層体20cの製造装置100の側面を概略的に示す図である。製造装置100は、図1で説明した工程を実現する装置である。
【0050】
製造装置100は、製造すべき光学フィルム積層体20cを構成する光学フィルムの枚数と同数のフィルム原反70a〜70dを備えている。以下では、不特定のいずれかのフィルム原反について説明するときは、添え字a〜dを省略してフィルム原反70と呼ぶ。フィルム原反70は、帯状の原反であり、それぞれロール状に巻回されて原反ロール7として準備される。
【0051】
製造装置100は、原反ロール7からフィルム原反70を供給する供給手段と、供給手段によって供給されるフィルム原反70を仮固定する第1の超音波溶着ユニット4と、フィルム原反70を本固定する第2の超音波溶着ユニット6と、フィルム原反70に切込みを入れる第1の切断手段5と、最終的に光学フィルム積層体20cを打抜く第2の切断手段9とを備える。
【0052】
供給手段は、フィルム原反70を図示しない搬送ローラ対で挟持し、その搬送ローラ対が回転することで原反ロール7からフィルム原反70を繰出し、その長手方向に移動させるように搬送する。第2フィルム原反70bは他のフィルム原反70a、70c、70dの搬送幅分の長さに切断され、他のフィルム原反70a、70c、70dと直角方向に供給される。また、図示していないが、フィルム原反70の供給手段の下流および各工程を行う手段の下流において、粘着性を有する粘着ローラでフィルム原反70を挟持することで、フィルム原反70に付着しているごみおよび各工程を経ることによって付着するごみを除去することができる。
【0053】
超音波溶着ユニット4、6はその先端に超音波ホーンが取り付けられ、フィルム原反70を押圧した状態で超音波を印可することで、フィルム原反70の押圧された部分が超音波接合される。
【0054】
切断手段5、9は、フィルム原反70を切断する切断機である。フィルム原反70に対し、たとえばトムソン型、ピナクル型および彫刻刃の中から選ばれる打抜き刃を備える打抜き型を押付けることでフィルム原反70に所望の加工が実現される。
【0055】
図示していないがフィルム原反70の最下層にキャリアテープを介在させることによって、切断手段5、9の切断刃の摩耗を防止することができ、また、光学フィルム積層体20cの搬出手段としても機能させることができる。たとえばフィルム原反70と同様にロール状に巻回しておき、同様の構成の供給手段で供給することができ、ロールに巻取ることによって回収することができる。キャリアテープの材料などの構成は、特に限定されることはなく、従来公知のものを含め、種々様々なものを採用することができる。
【0056】
残余フィルム20bは、残余フィルム巻き取りロール8に巻取られて光学フィルム積層体20cとは別に回収される。
【0057】
製造装置100は、第3フィルム原反70c上に第2フィルム原反70bを供給し、第1の超音波溶着ユニット4によって、第3フィルム原反70cと第2フィルム原反70bとの間を超音波溶着し、第2フィルム原反70bが第3フィルム原反70c上に固定された1次中間積層原反71を形成する。
【0058】
次に1次中間積層原反71を、第1の切断手段5へ搬送し、所定の位置に切込みを設ける。切込み加工後の1次中間積層原反71に対して上方から第1フィルム原反70a、下方から第4フィルム原反70dを重ね合わせる。
【0059】
そして、4枚のフィルム原反を重ね合せた状態で第2の超音波溶着ユニット6へ搬送し、所定位置73を超音波溶着する。これによって、第1フィルム原反70aと第4フィルム原反70dとが接合された2次中間積層原反20が形成される。
【0060】
最後に2次中間積層原反20を第2の切断手段9へ搬送し、所定の形状に打抜き、光学フィルム積層体20cを得る。
【0061】
本発明は上記の切断手段9に用いることができる打抜き方法および打抜き装置である。
本発明の効果をより明確にするために、先に従来の打抜き方法および打抜き装置について説明し、従来の打抜き方法および打抜き装置にどのような問題があるかを示す。
【0062】
図3は、従来の打抜き方法を用いた打抜き工程の各工程を説明するための図である。各工程は図中の矢符方向に進む。また、図3の各図は、各工程における従来の打抜き装置3の断面を概略的に示している。
【0063】
従来の打抜き装置3は、シート状部材である2次中間積層原反20が設置される支持台60と、2次中間積層原反20を所定の形状に打抜くための打抜き刃61と、2次中間積層原反20が所定の形状に打抜かれた後に、打抜かれた後の2次中間積層原反20が打抜き刃61に付着した状態で持ち上がったり、めくれ上がったりしてしまう事を防止するために、2次中間積層原反20を押さえるためのストリッパ62と、打抜き刃61とストリッパ62とが設けられる打抜き型63とによって構成される。
【0064】
図3(a)中の矢符21は打抜き方向を示しており、支持台60と設置された2次中間積層原反20とでは、打抜き方向において、中間積層原反20がより上方にある。以下では、高低および上下等の語句は、打抜き方向においての意味として用いる。
【0065】
ストリッパ62は、上下方向に駆動する機構を設けてもよいが、スポンジおよびゴムなどの弾性変形可能な材料を打抜き型63に貼付ける方法が広く用いられており、ストリッパ62の先端62aは、打抜き刃61の先端61aよりも低い位置になるように設置される。
【0066】
上記の従来の打抜き装置3を用いた打抜き工程を具体的に説明する。最初に、2次中間積層原反20が支持台60上に設置される。2次中間積層原反20の設置以前は、打抜き型63は支持台60より上方の位置で待機している(図3(a))。2次中間積層原反20の設置後、打抜き型63が下降して、ストリッパ62によって2次中間積層原反20の所定位置64を上方から固定する(図3(b))。さらに打抜き型63を下降させて、打抜き刃61によって2次中間積層原反20を打抜く(図3(c))。打抜きの際には、ストリッパ62が弾性変形して、所定位置64をより強固に固定している。よって、打抜き刃61によって2次中間積層原反20の切断が終了すると、打抜き刃61の厚みの分だけ2次中間積層原反20は打抜き刃61の両外側へ押出され、所定位置64と打抜き刃61とに挟まれる領域の2次中間積層原反20は圧縮される。圧縮された2次中間積層原反20は弾性力によって、打抜き領域20aは矢符65aの方向へ、残余フィルム20bは矢符65bの方向に戻ろうとするので、打抜き刃61と2次中間積層原反20の切断面とは常に接触することになる。
【0067】
上記の接触状態のまま打抜き型63を上昇させて、2次中間積層原反20から打抜き刃61を離間させる(図3(d))。打抜き刃61と2次中間積層原反20の切断面とが接触した状態で打抜き刃61が上昇すると、打抜き刃61と2次中間積層原反20の切断面との間に摩擦が生じる。所定位置64が固定されているので、2次中間積層原反20のめくれ上がりを防止することはできるが、上記の摩擦によってダストが発生してしまうという問題が生じる。
【0068】
本発明は、上記ダストを低減することが可能な打抜き方法および打抜き装置である。図4は、本発明の第1実施形態の打抜き装置1の端面を概略的に示す模式図である。また、図5(a)は、図5(b)に示す打抜き装置1のそれぞれの型の底面図、図5(c)は、図5(b)に示す2次中間積層原反20の平面図である。
【0069】
打抜き装置1は、シート状部材である2次中間積層原反20が設置される支持台10と、2次中間積層原反20を所定の形状に打抜くための打抜き手段である打抜き刃12および打抜き刃12が設けられる打抜き型13と、外力付与手段として、2次中間積層原反20の押込みを行う押込み手段である押込み部14および押込み部14が設けられる押込み型15と、2次中間積層原反20の内側を固定するための内部固定手段である内部固定部16および内部固定部16が設けられる内部固定型17と、2次中間積層原反20の外側を固定するための外部固定手段である外部固定部18および外部固定部18が設けられる外部固定型19とによって構成される。
【0070】
図4および図5中の矢符21は打抜き方向を示しており、支持台10と設置された2次中間積層原反20とでは、打抜き方向において、中間積層原反20がより上方にある。以下では、高低および上下等の語句は、打抜き方向においての意味として用いる。
【0071】
支持台10には、所定空間である押込み空間11が設けられる。押込み空間11は、押込み部14に比べて充分大きいことが好ましい。また押込み空間11は、充分な高さを有することが好ましい。支持台10には従来の支持台に用いるものと同じ材料を用いることができる。
【0072】
打抜き刃12は、打抜き型13に埋め込むようにして作製される直線状に形成された刃型であるトムソン刃、鋼材をエッチングして作製されるピナクル刃、および鋼材を切削加工して作製される彫刻刃等の中から選択できる。本発明においては、打抜き刃12の種類によらず同等の効果を得ることができるので、打抜き刃12は2次中間積層原反20の材質および要求される品質などに応じて選択すれば良い。また、打抜き刃12が打抜き方向に振動して2次中間積層原反20の切断を行えるように、超音波によって加振できるよう構成されることが好ましい。打抜き刃12は閉じた形状を成しており、2次中間積層原反20を切断予定面22で切断するように設けられている。切断予定面22は、打抜き方向に平行な面であり、後に切断面となる仮想的な面である。切断予定面22で囲まれる領域が打抜き領域20aである。
【0073】
押込み部14の配置は、点状であっても、図5(c)に示すように線状であっても、打抜き領域20aの形状に合わせて連続状であっても良い。押込み部14の数および配置は打抜き領域20aの形状および大きさに応じて最適なものを選択すれば良い。また、押込み部14の先端14aは、尖鋭でない形状であることが好ましい。押込み部14に用いる材料としては、押込みの際に変形しない程度の剛性を持つものであれば良く、2次中間積層原反20の材質に応じて最適なものを選択すれば良い。たとえば、PEEK( polyether-etherketon)材およびNCナイロン等を用いることができ、シート状部材が硬い材質である場合には、セラミックおよびステンレス等を用いることもできる。押込み部14が押し込む、2次中間積層原反20の領域が押込み領域24である。
【0074】
内部固定部16および外部固定部18の配置は、点状であっても、線状であっても、打抜き領域20aの形状に合わせて連続状であっても良い。内部固定部16および外部固定部18の、数および配置は打抜き領域20aの形状および大きさに応じて最適なものを選択すれば良い。内部固定部16の先端部16aを除く部分および外部固定部18に用いる材料としては、固定の際に変形しない程度の剛性を持つものであれば良く、2次中間積層原反20の材質に応じて最適なものを選択すれば良い。たとえば、PEEK(polyether-etherketon)材およびNCナイロン等を用いることができ、シート状部材が硬い材質である場合には、セラミックおよびステンレス等を用いることもできる。また、外部固定部18の先端18aは、尖鋭な形状であることが好ましいが、シート状部材との摩擦が小さく滑りが生じやすい場合には、平坦であっても摩擦係数の高いニトリルゴム等を用いることができる。内部固定部16の先端部16aには、ゴムなどの弾性変形する摩擦係数の高い材料を用いることが好ましい。
【0075】
内部固定部16によって固定される領域のことを内部固定領域27aと呼び、外部固定部18によって固定される領域のことを外部固定領域27bと呼ぶ。固定領域は、内部固定領域27aおよび外部固定領域27bからなる。図5(c)に示すように、内部固定領域27aは打抜き領域20a内の領域であり、図5(c)に示すように、外部固定領域27bは切断予定面22より外側の領域である。
【0076】
打抜き型13、押込み型15、内部固定型17および外部固定型19は、図示しない制御手段によって、それぞれ独立して上下方向に移動することができる。図示しない制御手段は、それぞれの型を移動させる時期および速度を制御することができる。また、図5に示すように、内部固定型17の外側に打抜き型13、打抜き型13の外側に押込み型15、押込み型15の外側に外部固定型19が配置される。それぞれの型の間隔は、打抜き領域20aの大きさ、形状および2次中間積層原反20の材質に応じて最適なものを選択すれば良い。また、それぞれの型には従来の打抜き型に用いるものと同じ材料を用いることができる。
【0077】
図6は、第1実施形態の打抜き工程を説明するための図である。図6(a)は固定工程を、図6(b)は外力付与工程を、図6(c)は切断工程をそれぞれ説明するための図であり、打抜き工程は図中の矢符方向に進む。また、図6の各図は、各工程における本発明の打抜き装置1の端面を概略的に示している。
【0078】
固定工程の開始以前に、2次中間積層原反20が支持台10上に設置される。このとき、打抜き型13、押込み型15、内部固定型17および外部固定型19は、支持台10の上方で待機している。
【0079】
2次中間積層原反20が支持台10上に設置された後、固定工程を行う(図6(a))。固定工程は、固定領域を固定する工程である。第1実施形態の固定工程では、内部固定型17および外部固定型19をそれぞれ下降させることで、内部固定領域27aおよび外部固定領域27bの固定をそれぞれ開始し、固定の開始後は内部固定型17および外部固定型19の下降を止め、それぞれの高さを維持することで固定領域の固定を維持する。固定の開始とは、固定領域が一定距離以上変位不可能になった時点であり、固定の終了とは再び固定領域が一定距離以上変位可能になった時点である。すなわち、第1実施形態においては、支持台10上の2次中間積層原反20の固定領域が左右にずれることができなくなる時点が固定の開始であり、再びずれることができるようになる時点が固定の終了である。内部固定部16および外部固定部18がそれぞれ2次中間積層原反20に接触後、内部固定型17および外部固定型19がそれぞれ一定距離下降したときに固定を開始するように内部固定部16および外部固定部18の高さを調節することができる。
【0080】
固定工程の開始後に外力付与工程を行う(図6(b))。外力付与工程は、切断予定面22全体に切断予定面22に対する張力を発生させるような外力を、2次中間積層原反20に付与する工程である。
【0081】
弾性変形可能な2次中間積層原反20は、外力を加えると破壊されずに変形し、外力を取除くと弾性力によって元の形に戻る。2次中間積層原反20に外力が加えられている状態では、2次中間積層原反20内部には外力と釣り合うように弾性力によって応力が発生している。切断予定面22上のある点を考えるとき、その点での応力は、切断予定面22に対して垂直成分と平行成分とに分解することができ、面から離れる向きの垂直成分の力が張力である。切断予定面22上のある点に発生している応力が切断予定面22に対して張力である場合は、切断予定面22の両側の方向からその点が引っ張られていることを意味する。また、切断予定面22全体とは切断予定面上の点全てという意味である。すなわち、切断予定面22全体に切断予定面22に対する張力が発生しているとは、2次中間積層原反20が切断予定面22において両側から引っ張られ、伸びるように変形しているということである。
【0082】
第1実施形態の外力付与工程では、押込み型15を下降させることで、押込み部14を押込み空間11方向に移動させて、押込み領域23の押込みを開始し、切断予定面22全体に切断予定面22に対する張力が発生した時点で押込み型15の下降を止めて、押込み型15の高さを維持することで、その張力を維持する。押込みの開始とは押込み部14が2次中間積層原反20に接触した時点であり、押込みの終了とは押込み部14が2次中間積層原反20から再び離間した時点である。
【0083】
第1実施形態では、図5(c)に示すように、打抜き領域20aより外側の領域であって、2点26aを結ぶ線分25aと2点26bを結ぶ線分25bとが打抜き領域20aの重心24で直交するような4点26a、26bを全て含む領域を押込み領域24として押込みを行なっているので、切断予定面22全体に、切断予定面22に対する張力が充分に発生している。
【0084】
前記固定と前記外力の付与とを行なっている状態で、切断工程を開始し、2次中間積層原反20の切断を行う(図6(c))。第1実施形態の切断工程では、打抜き型13を下降させて切断予定面22上での2次中間積層原反20の切断を開始し、打抜き刃12が支持台に到達するまで打抜き型13をさらに下降させることで切断を終了し、所定の形状に打抜く。切断の開始とは、打抜き刃12が2次中間積層原反20に接触した時点であり、切断の終了とは、打抜き刃12によって打抜き領域20aと残余フィルム20bとが分断された時点である。また第1実施形態においては、前記切断開始から、打抜き領域20aと残余フィルム20bとの間にある打抜き刃12を2次中間積層原反20から一定距離離間させるまでを打抜きと呼ぶ。
【0085】
上記のように、切断予定面22全体には切断予定面22に対する張力が発生しているので、切断予定面22で2次中間積層原反20を切断すると、打抜き領域20aは切断面によって囲まれる領域となって、内側方向へ縮む。第1実施形態では内部固定領域27aを固定しているので、支持台10の傾きおよび打抜き刃12の高さの少なくとも一方にばらつきがあって、打抜き刃12の部分ごとの支持台10へ到達する時期がずれ、打抜き領域20aと残余フィルム20bとが離間を始める時期が打抜き領域20aの部分ごとに異なったとしても、打抜き領域20aが打抜き刃12に接触するように移動することはない。
【0086】
また前記切断終了後、残余フィルム20bは外部固定領域27b方向へ縮む。第1実施形態では、図5(c)に示すように、押込み領域24より外側の領域であって、2点28aを結ぶ線分25aと2点28bを結ぶ線分25bとが打抜き領域20aの重心24で直交するような4点28a、28bを全て含む領域を外部固定領域27bとして固定しているので、前記切断終了後、残余フィルム20bが縮もうとする際に、打抜き刃12と残余フィルム20bとが接触することがない。
【0087】
図7は2次中間積層原反20の切断終了後から打抜き終了までの打抜き装置1の一部を示す図である。打抜きは図7中の矢符方向へ進む。
【0088】
図7(a)に示すように、打抜き刃12が支持台10に到達し、2次中間積層原反20の切断が終了すると、2次中間積層原反20は弾性力によって縮もうとする。打抜き領域20aは、内側方向である矢符29aの方向へ縮む。残余フィルム20bは外側方向である矢符29bの方向へ縮む。よって、図7(b)に示すように、切断面30と打抜き刃12とが接触していない状態となる。この状態で打抜き刃12が上昇するので、図7(c)に示すように、打抜き刃12と切断面30とが接触せずに、打抜きを終了することができる。
【0089】
したがって第1実施形態によれば、打抜き刃12と切断面30との間に摩擦が生じないので、ダストが発生することがなく、光学フィルムの表示品位を保つことができる。
【0090】
前記固定工程において、内部固定部16の先端部16aにゴムなどの弾性変形する摩擦係数の高い材料を用いた打抜き装置1を用いることで、打抜き領域20aに圧痕や傷をつけずに内部固定領域27aの固定を行うことができる。また、外部固定部18の先端18aを尖鋭な形状とした打抜き装置1を用いることで、外部固定領域27bをより強固に固定することができる。
【0091】
前記外力付与工程では、好ましくは前記固定の開始後に前記押込みを開始する。前記固定開始後に前記押込みを行うことで、打抜き領域20aの支持台10上のずれを少なくし、より精密に打抜きを行うことができる。
【0092】
さらに、前記外力付与工程では、前記張力を充分に発生させるために、押込み部14の先端14aが切断予定面22全体よりも低い位置となるように押込み型15を下降させて押込みを行うことが好ましい。そのような押込みを行うために、押込み型15が充分に下方へ移動可能であり、支持台10の押込み空間11は押込み部14に比べて充分大きく、充分な高さを有することが必要である。また、そのような押込みを行う際に、押込み部14が2次中間積層原反20を貫通しないように、押込み部14の先端14aは尖鋭でない形状にするのが好ましい。
【0093】
前記外力付与工程は、前記押込みによって前記張力を発生させているが、前記押込みを行わずに、2次中間積層原反20を、2次中間積層原反20の面に平行な方向に直接引っ張ることで前記張力を発生させてもよい。
【0094】
前記切断工程では、打抜き刃12と切断面30との摩擦をより生じにくくするために、前記切断終了後から前記打抜きの終了まで前記固定および前記押込みを継続することが好ましい。また、2次中間積層原反20が、高速で衝撃を与えると割れてしまったり欠けが生じてしまったりするような材料で構成されている場合には、打抜き刃12を超音波によって上下に振動させて切断を行うことが好ましい。
【0095】
次に、本発明の第2実施形態の打抜き装置2について説明する。図8は、打抜き装置2の端面を概略的に示す模式図である。また、図9(a)は、図9(b)に示す打抜き装置2の一体的打抜き型の底面図、図9(c)は、図9(b)に示す2次中間積層原反20の平面図である。
【0096】
打抜き装置2は、シート状部材である2次中間積層原反20が設置される支持台10と、2次中間積層原反20を所定の形状に打抜くための打抜き手段である打抜き刃40と、外力付与手段として、2次中間積層原反20の押込みを行う押込み手段である押込み部41と、2次中間積層原反20の内側を固定するための内部固定手段である内部固定部42と、2次中間積層原反20の外側を固定するための外部固定手段である外部固定部43と、打抜き刃40、押込み部41、内部固定部42および外部固定部43が設けられる一体的打抜き型44とによって構成される。
【0097】
図8および図9中の矢符21は打抜き方向を示しており、支持台10と設置された2次中間積層原反20とでは、打抜き方向において、中間積層原反20がより上方にある。以下では、高低および上下等の語句は、打抜き方向においての意味として用いる。
【0098】
支持台10には、所定空間である押込み空間11が設けられる。押込み空間11は、押込み部41に比べて充分大きいことが好ましい。また押込み空間11は、充分な高さを有することが好ましい。支持台10には従来の支持台に用いるものと同じ材料を用いることができる。
【0099】
打抜き刃40は、一体的打抜き型44に埋め込むようにして作製される直線状に形成された刃型であるトムソン刃、鋼材をエッチングして作製されるピナクル刃、および鋼材を切削加工して作製される彫刻刃等の中から選択できる。本発明においては、打抜き刃40の種類によらず同等の効果を得ることができるので、打抜き刃40は2次中間積層原反20の材質および要求される品質などに応じて選択すれば良い。また、打抜き刃40が打抜き方向に振動して2次中間積層原反20の切断を行えるように、超音波によって加振できるよう構成されることが好ましい。超音波によって加振する場合には、一体的打抜き型44と打抜き刃40、押込み部41、内部固定部42および外部固定部43との間にそれぞれ緩衝材を設けておくことで、一体的打抜き型44に設けられる打抜き刃40以外の部材への加振による影響を少なくすることができる。また、内部固定部42にゴムおよびスポンジ等の材質を用いることでより影響を少なくすることができる。打抜き刃40は閉じた形状を成しており、2次中間積層原反20を切断予定面22で切断するように設けられている。切断予定面22は、打抜き方向に平行な面であり、後に切断面となる仮想的な面である。切断予定面22で囲まれる領域が打抜き領域20aである。
【0100】
押込み部41の配置は、点状であっても、図9(c)に示すように線状であっても、打抜き領域20aの形状に合わせて連続状であっても良い。押込み部41の数および配置は打抜き領域20aの形状および大きさに応じて最適なものを選択すれば良い。また、押込み部41の先端41aは、尖鋭でない形状であることが好ましい。押込み部41に用いる材料としては、押込みの際に変形しない程度の剛性を持つものであれば良く、2次中間積層原反20の材質に応じて最適なものを選択すれば良い。たとえば、PEEK(
polyether-etherketon)材およびNCナイロン等を用いることができ、シート状部材が硬い材質である場合には、セラミックおよびステンレス等を用いることもできる。押込み部41が押し込む、2次中間積層原反20の領域が押込み領域45である。
【0101】
内部固定部42および外部固定部43の一部は、それぞればね部42a、43aとなっており、内部固定部42および外部固定部43は打抜き方向に変位可能に構成される。ばね部42a、43aに用いる材料は打抜き領域20aの大きさ、形状および2次中間積層原反20の材質に応じて最適なものを選択すればよい。
【0102】
内部固定部42および外部固定部43の配置は、点状であっても、線状であっても、打抜き領域20aの形状に合わせて連続状であっても良い。内部固定部42および外部固定部43の、数および配置は打抜き領域20aの形状および大きさに応じて最適なものを選択すれば良い。内部固定部42のばね部42aおよび先端部42bを除く部分ならびに外部固定部43のばね部43aを除く部分に用いる材料としては、固定の際に変形しない程度の剛性を持つものであれば良く、2次中間積層原反20の材質に応じて最適なものを選択すれば良い。たとえば、PEEK(polyether-etherketon)材およびNCナイロン等を用いることができ、シート状部材が硬い材質である場合には、セラミックおよびステンレス等を用いることもできる。また、外部固定部18の先端18aは、尖鋭な形状であることが好ましいが、シート状部材との摩擦が小さく滑りが生じやすい場合には、平坦であっても摩擦係数の高いニトリルゴム等を用いることができる。内部固定部16の先端部16aには、ゴムなどの弾性変形する摩擦係数の高い材料を用いることが好ましい。
【0103】
内部固定部42によって固定される領域のことを内部固定領域48aと呼び、外部固定部43によって固定される領域のことを外部固定領域48bと呼ぶ。固定領域は、内部固定領域48aおよび外部固定領域48bからなる。図9(c)に示すように、内部固定領域48aは打抜き領域20a内の領域であり、図9(c)に示すように、外部固定領域48bは切断予定面22より外側の領域である。
【0104】
一体的打抜き型44は、図示しない制御手段によって、上下方向に移動することができる。図示しない制御手段は、一体的打抜き型44を移動させる時期および速度を制御することができる。また、図9に示すように、一体的打抜き型44上の位置において、内部固定部42の外側に打抜き刃40、打抜き刃40の外側に押込み部41、押込み部41の外側に外部固定部43が配置される。また、図9に示すように、それぞれの部材の先端に何も接触していないときは、打抜き刃40の先端40aが最も高い位置にあり、次に高い位置にあるのは押込み部41の先端41aである。それぞれの部材の間隔および高さは、打抜き領域20aの大きさ、形状および2次中間積層原反20の材質に応じて最適なものを選択すれば良い。また、一体的打抜き型44には従来の打抜き型に用いるものと同じ材料を用いることができる。
【0105】
図10は、第2実施形態の打抜き工程を説明するための図である。図10(a)は固定工程を、図10(b)は外力付与工程を、図10(c)は切断工程をそれぞれ説明するための図であり、打抜き工程は図中の矢符方向に進む。また、図10の各図は、各工程における本発明の打抜き装置2の端面を概略的に示している。
【0106】
固定工程の開始以前に、2次中間積層原反20が支持台10上に設置される。このとき、一体的打抜き型44は、支持台10の上方で待機している。
【0107】
2次中間積層原反20が支持台10上に設置された後、固定工程を行う(図10(a))。固定工程は、固定領域を固定する工程である。第2実施形態の固定工程では、一体的打抜き型44を下降させることで、内部固定領域48aおよび外部固定領域48bの固定をそれぞれ開始し、固定の開始後も一体的打抜き型44の下降を続け、固定領域の固定を維持する。固定の開始とは、固定領域が一定距離以上変位不可能になった時点であり、固定の終了とは再び固定領域が一定距離以上変位可能になった時点である。すなわち、第2実施形態においては、支持台10上の2次中間積層原反20の固定領域が左右にずれることができなくなる時点が固定の開始であり、再びずれることができるようになる時点が固定の終了である。内部固定部42および外部固定部43がそれぞれ2次中間積層原反20に接触後、一体的打抜き型44が一定距離下降したときに固定を開始するように内部固定部42および外部固定部43の高さを調節することができる。
【0108】
打抜き装置2は、内部固定部42の先端部42bおよび外部固定部43の先端43bが押込み部41の先端41aおよび打抜き刃40の先端40aよりも低い位置にあるので、一体的打抜き型44を下降させると固定工程が最初に開始される。
【0109】
固定工程の開始後に外力付与工程を行う(図10(b))。外力付与工程は、切断予定面22全体に切断予定面22に対する張力を発生させるような外力を、2次中間積層原反20に付与する工程である。
【0110】
弾性変形可能な2次中間積層原反20は、外力を加えると破壊されずに変形し、外力を取除くと弾性力によって元の形に戻る。2次中間積層原反20に外力が加えられている状態では、2次中間積層原反20内部には外力と釣り合うように弾性力によって応力が発生している。切断予定面22上のある点を考えるとき、その点での応力は、切断予定面22に対して垂直成分と平行成分とに分解することができ、面から離れる向きの垂直成分の力が張力である。切断予定面22上のある点に発生している応力が切断予定面22に対して張力である場合は、切断予定面22の両側の方向からその点が引っ張られていることを意味する。また、切断予定面22全体とは切断予定面22上の点全てという意味である。すなわち、切断予定面22全体に切断予定面22に対する張力が発生しているとは、2次中間積層原反20が切断予定面22において両側から引っ張られ、伸びるように変形しているということである。
【0111】
第2実施形態の外力付与工程では、固定工程によって下降している一体的打抜き型44をさらに下降させて押込み部41を押込み空間11方向へ移動させ、押込み領域45の押込みを開始する。内部固定部42および外部固定部43はそれぞればね部42a、43aを有しているので、前記固定開始後も、ばね部42a、43aがそれぞれ打抜き方向に縮むことで、さらに一体的打抜き型44を下降させることができ、このような押込みを行うことができる。切断予定面22全体に切断予定面22に対する張力が発生した後も一体的打抜き型44の下降を続け、前記張力を発生させ続ける。押込みの開始とは押込み部41が2次中間積層原反20に接触した時点であり、押込みの終了とは押込み部41が2次中間積層原反20から再び離間した時点である。
【0112】
打抜き装置2は、押込み部41の先端41aが、内部固定部42の先端部42bおよび外部固定部43の先端43bより高く、打抜き刃40の先端40aより低い位置にあるので、一体的打抜き型44を下降させると固定工程の開始後に外力付与工程が開始される。
【0113】
第2実施形態では、図9(c)に示すように、打抜き領域20aより外側の領域であって、2点47aを結ぶ線分46aと2点47bを結ぶ線分46bとが打抜き領域20aの重心24で直交するような4点47a、47bを全て含む領域を押込み領域45として押込みを行なっているので、切断予定面22全体に、切断予定面22に対する張力が充分に発生している。
【0114】
前記固定と前記外力の付与とを行なっている状態で、切断工程を開始し、2次中間積層原反20の切断を行う(図10(c))。第2実施形態の切断工程では、外力付与工程によって下降している一体的打抜き型44をさらに下降させて切断予定面22上での2次中間積層原反20の切断を開始する。内部固定部42および外部固定部43はそれぞればね部42a、43aを有しているので、前記張力の発生後も、ばね部42a、43aがそれぞれ打抜き方向に縮むことで、さらに一体的打抜き型44を下降させることができ、このような切断を行うことができる。打抜き刃40が支持台に到達するまで一体的打抜き型44をさらに下降させることで切断を終了し、所定の形状に打抜く。切断の開始とは、打抜き刃12が2次中間積層原反20に接触した時点であり、切断の終了とは、打抜き刃12によって打抜き領域20aと残余フィルム20bとが分断された時点である。また第2実施形態においては、前記切断開始から、打抜き領域20aと残余フィルム20bとの間にある打抜き刃40を2次中間積層原反20から一定距離離間させるまでを打抜きと呼ぶ。
【0115】
打抜き装置2は、打抜き刃40の先端40aが、内部固定部42の先端部42b、外部固定部43の先端43bおよび押込み部41の先端41aよりも高い位置にあるので、一体的打抜き型44を下降させると固定工程および外力付与工程の開始後に切断工程が開始される。前記固定と前記外力の付与が行われている状態で切断を開始するように、打抜き刃40の先端40aの高さを調節する必要がある。
【0116】
上記のように、切断予定面22全体には切断予定面22に対する張力が発生しているので、切断予定面22で2次中間積層原反20を切断すると、打抜き領域20aは切断面によって囲まれる領域となって、内側方向へ縮む。第2実施形態では内部固定領域48aを固定しているので、支持台10の傾きおよび打抜き刃40の高さの少なくとも一方にばらつきがあって、打抜き刃12の部分ごとの支持台10へ到達する時期がずれ、打抜き領域20aと残余フィルム20bとが離間を始める時期が打抜き領域20aの部分ごとに異なったとしても、打抜き領域20aが打抜き刃40に接触するように移動することはない。
【0117】
また前記切断終了後、残余フィルム20bは外部固定領域48b方向へ縮む。第2実施形態では、図9(c)に示すように、押込み領域45より外側の領域であって、2点49aを結ぶ線分46aと2点49bを結ぶ線分46bとが打抜き領域20aの重心24で直交するような4点49a、49bを全て含む領域を外部固定領域48bとして固定しているので、前記切断終了後、残余フィルム20bが縮もうとする際に、打抜き刃40と残余フィルム20bとが接触することがない。
【0118】
第2実施形態においても、図7を用いて説明した第1実施形態と同様に、打抜きが進む。
【0119】
図7(a)と同様に、打抜き刃40が支持台10に到達し、2次中間積層原反20の切断が終了すると、2次中間積層原反20は弾性力によって縮もうとする。打抜き領域20aは、内側方向へ縮む。残余フィルム20bは外側方向へ縮む。よって、図7(b)と同様に、切断面と打抜き刃40とが接触していない状態となる。この状態で打抜き刃40が上昇するので、図7(c)と同様に、打抜き刃40と切断面とが接触せずに、打抜きを終了することができる。
【0120】
したがって第2実施形態によれば、打抜き刃40と切断面との間に摩擦が生じないので、ダストが発生することがなく、光学フィルムの表示品位を保つことができる。
【0121】
前記固定工程において、内部固定部42の先端部42bにゴムなどの弾性変形する摩擦係数の高い材料を用いた打抜き装置2を用いることで、打抜き領域20aに圧痕や傷をつけずに内部固定領域48aの固定を行うことができる。また、外部固定部43の先端43bを尖鋭な形状とした打抜き装置2を用いることで、外部固定領域48bをより強固に固定することができる。
【0122】
前記外力付与工程では、好ましくは前記固定の開始後に前記押込みを開始する。そのように押込みを行うために、押込み部41の先端41aの高さを調節する必要がある。前記固定開始後に前記押込みを行うことで、打抜き領域20aの支持台10上のずれを少なくし、より精密に打抜きを行うことができる。
【0123】
さらに、前記外力付与工程では、前記張力を充分に発生させるために、押込み部14の先端14aが切断予定面22全体よりも低い位置となるように押込み型15を下降させて押込みを行うことが好ましい。そのような押込みを行うために、押込み部41の先端41aの高さおよび打抜き刃40の先端40aの高さを調節する必要がある。また、一体的打抜き型44が充分に下方へ移動可能であり、支持台10の押込み空間11は押込み部41に比べて充分大きく、充分な高さを有する必要がある。また、そのような押込みを行う際に、押込み部41が2次中間積層原反20を貫通しないように、押込み部41の先端41aは尖鋭でない形状にするのが好ましい。
【0124】
前記外力付与工程は、前記押込みによって前記張力を発生させているが、前記押込みを行わずに、2次中間積層原反20を、2次中間積層原反20の面に平行な方向に直接引っ張ることで前記張力を発生させてもよい。
【0125】
前記切断工程では、打抜き刃12と切断面30との摩擦をより生じにくくするために、前記切断終了後から前記打抜きの終了まで前記固定および前記押込みを継続することが好ましい。そのためには、打抜き刃40の先端40aの高さを調節する必要がある。また、2次中間積層原反20が、高速で衝撃を与えると割れてしまったり欠けが生じてしまったりするような材料で構成されている場合には、打抜き刃12を超音波によって上下に振動させて切断を行うことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】光学フィルム積層体20cを製造するための工程を説明するための図である。
【図2】光学フィルム積層体20cの製造装置100の側面を概略的に示す図である。
【図3】従来の打抜き方法を用いた打抜き工程の各工程を説明するための図である。
【図4】本発明の第1実施形態の打抜き装置1の端面を概略的に示す模式図である。
【図5】打抜き装置1の模式図、打抜き装置1のそれぞれの型の底面図および2次中間積層原反20の平面図を並べて示す図である。
【図6】第1実施形態の打抜き工程を説明するための図である。
【図7】2次中間積層原反20の切断終了後から打抜き終了までの打抜き装置1の一部を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態の打抜き装置2の端面を概略的に示す模式図である。
【図9】打抜き装置2の模式図、一体的打抜き型44の底面図および2次中間積層原反20の平面図を並べて示す図である。
【図10】第2実施形態の打抜き工程を説明するための図である。
【符号の説明】
【0127】
1,2 打抜き装置
10 支持台
11 押込み空間
12 打抜き刃
13 打抜き型
14 押込み部
15 押込み型
16 内部固定部
16a 内部固定部16の先端部
17 内部固定型
18 外部固定部
19 外部固定型
20 2次中間積層原反
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性変形可能なシート状部材を所定の形状に打抜く方法であって、
前記シート状部材の、少なくとも切断予定面より外側の領域を含む固定領域の固定を行う固定工程と、
前記固定工程開始後に、前記切断予定面全体に、該切断予定面に対する張力を発生させるような外力を、該シート状部材に付与する外力付与工程と、
前記固定と、前記外力の付与とがされている状態の前記シート状部材を、打抜き手段によって前記切断予定面で切断して打抜きを行う切断工程とを含むことを特徴とするシート状部材の打抜き方法。
【請求項2】
前記シート状部材は積層状態のシート状部材であることを特徴とする請求項1に記載のシート状部材の打抜き方法。
【請求項3】
前記外力付与工程は、押込み手段によって、前記シート状部材を支持するための支持台に設置されている該シート状部材の押込み領域の押込みを行うことで前記外力を付与することを特徴とする請求項1または2に記載のシート状部材の打抜き方法。
【請求項4】
前記固定領域は、前記シート状部材の、前記切断予定面によって囲まれる領域である打抜き領域の一部と、
該シート状部材の、前記押込み領域より外側の領域であって、2点を結ぶ線分同士が前記打抜き領域の重心で直交するような4点とを含む領域であることを特徴とする請求項3に記載のシート状部材の打抜き方法。
【請求項5】
前記押込みは、前記固定の開始後に行うことを特徴とする請求項3または4に記載のシート状部材の打抜き方法。
【請求項6】
前記押込み領域は、前記シート状部材の、前記打抜き領域より外側の領域であって、2点を結ぶ線分同士が該打抜き領域の重心で直交するような4点を含む領域であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載のシート状部材の打抜き方法。
【請求項7】
前記押込みは、前記押込み手段の先端が前記切断予定面全体よりも打抜き方向において低くなる位置まで前記押込み手段を移動させることによって行うことを特徴とする請求項3〜6のいずれか1つに記載のシート状部材の打抜き方法。
【請求項8】
前記固定および前記押込みは、前記打抜きの終了まで継続することを特徴とする請求項3〜7のいずれか1つに記載のシート状部材の打抜き方法。
【請求項9】
前記切断は、前記打抜き手段として、超音波によって加振されることで打抜き方向に振動する打抜き刃を用いて行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載のシート状部材の打抜き方法。
【請求項10】
弾性変形可能なシート状部材を所定の形状に打抜く打抜き装置であって、
前記シート状部材の、少なくとも切断予定面より外側の領域を含む固定領域の固定を行う固定手段と、
前記切断予定面全体に、該切断予定面に対する張力を発生させるような外力を、該シート状部材に付与する外力付与手段と、
前記シート状部材を前記切断予定面で切断して打抜きを行う打抜き手段とを含み、
前記固定および前記外力の付与を行なっている状態で、前記切断を行うことが可能であるように構成されることを特徴とするシート状部材の打抜き装置。
【請求項11】
前記シート状部材を設置するための支持台を含み、
該支持台は所定空間を有し、
前記外力付与手段は、前記支持台に設置されている前記シート状部材の押込み領域を、前記所定空間の方向へ押込むように移動可能な押込み手段であることを特徴とする請求項10に記載のシート状部材の打抜き装置。
【請求項12】
前記固定手段は、前記シート状部材の、前記切断予定面によって囲まれる領域である打抜き領域の一部を固定する内部固定手段と、該シート状部材の、前記押込み領域より外側の領域の一部を固定する外部固定手段とからなり、
前記装置は、前記内部固定手段を備える内部固定型と、該内部固定型より外側に設けられる、前記打抜き手段を備える打抜き型と、該打抜き型より外側に設けられる、前記押込み手段を備える押込み型と、該押込み型より外側に設けられる、前記外部固定手段を備える外部固定型とを含むことを特徴とする請求項11に記載のシート状部材の打抜き装置。
【請求項13】
前記固定手段は、前記シート状部材の、前記切断予定面によって囲まれる領域である打抜き領域の一部を固定する内部固定手段と、該シート状部材の、前記押込み領域より外側の領域の一部を固定する外部固定手段とからなり、
前記装置は、前記打抜き手段、前記押込み手段、前記内部固定手段および前記外部固定手段を備える一体的打抜き型を含み、
前記打抜き手段は、該一体的打抜き型上の位置において、前記内部固定手段が設けられる位置よりも外側に設けられ、
前記押込み手段は、該一体的打抜き型上の位置において、前記打抜き手段が設けられる位置よりも外側に設けられ、
前記外部固定手段は、該一体的打抜き型上の位置において、前記押込み手段が設けられる位置よりも外側に設けられることを特徴とする請求項11に記載のシート状部材の打抜き装置。
【請求項14】
前記外部固定手段は、先端が尖鋭な部材であることを特徴とする請求項12または13に記載のシート状部材の打抜き装置。
【請求項15】
前記打抜き手段は、打抜き方向に振動するように超音波によって加振することが可能な打抜き刃であることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1つに記載のシート状部材の打抜き装置。
【請求項1】
弾性変形可能なシート状部材を所定の形状に打抜く方法であって、
前記シート状部材の、少なくとも切断予定面より外側の領域を含む固定領域の固定を行う固定工程と、
前記固定工程開始後に、前記切断予定面全体に、該切断予定面に対する張力を発生させるような外力を、該シート状部材に付与する外力付与工程と、
前記固定と、前記外力の付与とがされている状態の前記シート状部材を、打抜き手段によって前記切断予定面で切断して打抜きを行う切断工程とを含むことを特徴とするシート状部材の打抜き方法。
【請求項2】
前記シート状部材は積層状態のシート状部材であることを特徴とする請求項1に記載のシート状部材の打抜き方法。
【請求項3】
前記外力付与工程は、押込み手段によって、前記シート状部材を支持するための支持台に設置されている該シート状部材の押込み領域の押込みを行うことで前記外力を付与することを特徴とする請求項1または2に記載のシート状部材の打抜き方法。
【請求項4】
前記固定領域は、前記シート状部材の、前記切断予定面によって囲まれる領域である打抜き領域の一部と、
該シート状部材の、前記押込み領域より外側の領域であって、2点を結ぶ線分同士が前記打抜き領域の重心で直交するような4点とを含む領域であることを特徴とする請求項3に記載のシート状部材の打抜き方法。
【請求項5】
前記押込みは、前記固定の開始後に行うことを特徴とする請求項3または4に記載のシート状部材の打抜き方法。
【請求項6】
前記押込み領域は、前記シート状部材の、前記打抜き領域より外側の領域であって、2点を結ぶ線分同士が該打抜き領域の重心で直交するような4点を含む領域であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載のシート状部材の打抜き方法。
【請求項7】
前記押込みは、前記押込み手段の先端が前記切断予定面全体よりも打抜き方向において低くなる位置まで前記押込み手段を移動させることによって行うことを特徴とする請求項3〜6のいずれか1つに記載のシート状部材の打抜き方法。
【請求項8】
前記固定および前記押込みは、前記打抜きの終了まで継続することを特徴とする請求項3〜7のいずれか1つに記載のシート状部材の打抜き方法。
【請求項9】
前記切断は、前記打抜き手段として、超音波によって加振されることで打抜き方向に振動する打抜き刃を用いて行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載のシート状部材の打抜き方法。
【請求項10】
弾性変形可能なシート状部材を所定の形状に打抜く打抜き装置であって、
前記シート状部材の、少なくとも切断予定面より外側の領域を含む固定領域の固定を行う固定手段と、
前記切断予定面全体に、該切断予定面に対する張力を発生させるような外力を、該シート状部材に付与する外力付与手段と、
前記シート状部材を前記切断予定面で切断して打抜きを行う打抜き手段とを含み、
前記固定および前記外力の付与を行なっている状態で、前記切断を行うことが可能であるように構成されることを特徴とするシート状部材の打抜き装置。
【請求項11】
前記シート状部材を設置するための支持台を含み、
該支持台は所定空間を有し、
前記外力付与手段は、前記支持台に設置されている前記シート状部材の押込み領域を、前記所定空間の方向へ押込むように移動可能な押込み手段であることを特徴とする請求項10に記載のシート状部材の打抜き装置。
【請求項12】
前記固定手段は、前記シート状部材の、前記切断予定面によって囲まれる領域である打抜き領域の一部を固定する内部固定手段と、該シート状部材の、前記押込み領域より外側の領域の一部を固定する外部固定手段とからなり、
前記装置は、前記内部固定手段を備える内部固定型と、該内部固定型より外側に設けられる、前記打抜き手段を備える打抜き型と、該打抜き型より外側に設けられる、前記押込み手段を備える押込み型と、該押込み型より外側に設けられる、前記外部固定手段を備える外部固定型とを含むことを特徴とする請求項11に記載のシート状部材の打抜き装置。
【請求項13】
前記固定手段は、前記シート状部材の、前記切断予定面によって囲まれる領域である打抜き領域の一部を固定する内部固定手段と、該シート状部材の、前記押込み領域より外側の領域の一部を固定する外部固定手段とからなり、
前記装置は、前記打抜き手段、前記押込み手段、前記内部固定手段および前記外部固定手段を備える一体的打抜き型を含み、
前記打抜き手段は、該一体的打抜き型上の位置において、前記内部固定手段が設けられる位置よりも外側に設けられ、
前記押込み手段は、該一体的打抜き型上の位置において、前記打抜き手段が設けられる位置よりも外側に設けられ、
前記外部固定手段は、該一体的打抜き型上の位置において、前記押込み手段が設けられる位置よりも外側に設けられることを特徴とする請求項11に記載のシート状部材の打抜き装置。
【請求項14】
前記外部固定手段は、先端が尖鋭な部材であることを特徴とする請求項12または13に記載のシート状部材の打抜き装置。
【請求項15】
前記打抜き手段は、打抜き方向に振動するように超音波によって加振することが可能な打抜き刃であることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1つに記載のシート状部材の打抜き装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−76019(P2010−76019A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245016(P2008−245016)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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