説明

シート積載装置、シート折り装置及び画像形成システム

【課題】スタッカ部に排紙されたシートの取り出しを容易にする。
【解決手段】シートPを積載するスタッカ部500と、スタッカ部にシートPを搬送する搬送ベルトと、スタッカ部500のスタックトレイ501に積載されたシートPをスタックトレイ501から持ち上げる持ち上げ部材とこの持ち上げ部材の上昇下降動作を行う持ち上げ機構を備え、持ち上げ機構によってシートPを持ち上げている間に、搬送ベルトによって次にスタックトレイ501上に搬送されるシートPをその前に搬送されたシートPの下に搬送し、搬送後、持ち上げ機構により持ち上げ部材を下降させ、その後、持ち上げ部材を後退させて、スタックトレイ上にシートを積載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送されてきた用紙、転写紙、フィルム状部材などのシート部材(以下、単に「シート」と称す。)を積載するシート積載装置、このシート積載装置を備え、前記シートに折り処理を施すシート折り装置、このシート折り装置と画像形成装置を少なくとも含む画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成済みのシートに対して穴あけ、整合、綴じ、折り、製本などの所定の処理を施すシート処理装置が知られている。このうち、折り処理機能を備えたシート折り装置には、多種の折り機能が備わった装置が増えている。多種の折り機能とは、例えば、二つ折り、三つ折り、観音折り、Z折りと言ったようなもので、シート折り装置では、このような折り処理を画像形成済みのシートに対して自動的に実行するので、昨今ではこのような折り処理が要求されるユーザに普及しつつある。このようなシート処理装置では、画像形成装置から排紙されてくるシートまた折り処理されたシートを大量に積載することができるスタッカ部を持つスタッカ装置あるいはシート処理装置がある。
【0003】
しかし、従来までのスタッカ部を有するスタック装置あるいはシート処理装置では、シートを積載するスタックトレイがあるスタッカ部は装置の下部にあり、屈まなくてはシートを取り出すことができない場合が多かった。このように、シートの取り出しに屈まなければならい場合、負傷や体の不具合により屈むことが困難なユーザ、あるいは車椅子に乗ったユーザがシートにとってシートを取り出しにくく、不便であった。
【0004】
従来から実施されているシート折り処理部とスタッカ部とを備えたシート処理装置の一例を図13に示す。図13において、シート折り装置100’は、第1ないし第7の7つの搬送路101〜107、第1ないし第6の6つの折りローラ201〜206、第1ないし第3の3つのストッパ301〜303、入口切替爪400、第1ないし第3の3つの撓み補助部材401〜403、及びスタッカ部500から基本的に構成され、スタッカ部500が前記シート折り処理部の各部の下部に配置されている。スタッカ部500は、折り処理する箇所の用紙搬送経路を湾曲させることによって下部にスタッカ部500のスペースを確保し、当該スペースに設けられている。このシート折り装置では、例えば、Z折り、二つ折り、外三つ折り、内三つ折りなどの折り処理が行われる。図13では、図1に示した後述の実施形態と同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。なお、折り動作の詳細は折りローラの配置と搬送路の配置が若干異なるが、基本的に同等である。なお、図13において、実線で示したスタックトレイ501は初期位置と、破線で示したスタックトレイ501’はシート取り出し位置をそれぞれ示し、符号502はスタッカ部500にシートをスタッカ排紙搬送ローラ113からスタッカ部500にシートを案内する可動板である。
【0005】
この従来構成では、スタッカ部500が折り部の下部に位置していることから、シート取り出しに際しては、姿勢を低くする必要があり、健常者でもシート折り装置100のスタッカ部からシートを取り出しにくく、不便であることは否めなかった。
【0006】
そこで、例えば特許文献1(特開平05−330720号公報)には、紙片の厚さ及び長さに関係なく確実にスタックでき、且つそのスタックされた用紙の取り出しを容易にするという目的で、スタッカ部のスタックトレイと、スタックする用紙の先端を揃える先端ストッパとを着脱自在にして、両者を磁力で吸着させるようにする発明が開示されている。この発明では、用紙を送り込む紙搬送手段として搬送面をスタックトレイの上面より若干突出させて搬送ベルトを配設し、ストッパの下端にこの搬送ベルトの搬送面より上方に突出せずに搬送面に平行に延びる突片を設け、搬送ベルトによって紙片を順次確実に送り込んで、ストッパに当接させてスタックし、その後、ストッパをスタックトレイから持ち上げることにより、スタックされた用紙を突片によって持ち上げて容易に取り出せるようになっている。
【0007】
また、特許文献2(特開2008−105850号公報)には、中折り用紙束をJAMの発生なしにより多くの用紙をスタックトレイに積載可能にし、各種印刷後処理の搬出効率を改善するという目的で、搬送手段から搬送されてくる用紙束を積載するスタックトレイと、当該スタックトレイの両側に配置され、且つ前記スタックトレイ上の用紙束を前記スタックトレイから持ち上げて前記スタックトレイとの間に空間を設定する用紙持ち上げ手段と、用紙持ち上げ手段を上下に駆動する駆動手段とを備えた発明が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に開示された発明では、スタックトレイに順次下側から積載されていくスタッカ部において、すでに大量の積載された用紙があった場合、ストッパに設けられた突片だけでは積載用紙を持ち上げることができず、特にスタッカ部に排紙される排紙口側は、積載された用紙を持ち上げないため、スタック紙とスタッカ部に排紙されてくる用紙とが衝突し、用紙ジャムが発生する場合がある。
【0009】
また、特許文献2に開示された発明では、搬送手段はスタックトレイに搬送するまでの用紙搬送を担っており、搬送手段を抜けた後、例えばシートにコシがない場合、又は、シートが重い場合はそのままスタックトレイに落ちてしまう。そのため、用紙持ち上げ手段で用紙を持ち上げる場合、搬送手段のローラ、若くはスタック機構の側面に擦りながら上昇することになる。その結果、用紙に汚れ、折れ等が発生し、用紙処理品質あるいは用紙上の画像品質が悪くなる場合がある。
【0010】
さらに、スタック機構に搬送されてきた用紙は、搬送手段を抜けた後、自重でスタックトレイに載ることから、スタックトレイ上の用紙揃え状態が悪くなる。加えて、用紙持ち上げ部材を回動させて用紙束の下に用紙持ち上げ部材を配置するので、用紙持ち上げ部材の回動動作時に用紙に用紙持ち上げ部材が接触し、薄い紙の場合、用紙にダメージが発生する場合がある。
【0011】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、スタッカ部に排紙されたシートの取り出しを容易にすることにある。また、積載されたシート束と排紙されてくるシートとの干渉をなくし、シートを安定してスタックできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、第1の手段は、シート部材を積載する積載手段と、前記積載手段にシート部材を搬送する搬送手段と、前記積載手段に積載されたシート部材を前記積載手段から持ち上げる持ち上げ手段と、前記持ち上げ手段によって前記シート部材を持ち上げている間に、前記搬送手段によって次に前記積載手段に搬送されるシート部材を前に搬送されたシート部材の下に搬送させる制御手段とを備えたシート積載装置において、前記持ち上げ手段が、前記シート部材の下に挿入される持ち上げ部材と、前記持ち上げ部材を前記シート部材の下に進出後退させる進出後退駆動機構と、前記持ち上げ部材を上昇下降させる上昇下降駆動機構と、を含み、前記制御手段が前記進出後退駆動機構と前記上昇下降駆動機構の動作を制御することを特徴とする。
【0013】
第2の手段は、第1の手段において、前記積載手段が、前記シート部材が積載されるトレイ部材を含み、前記トレイ部材のシート部材載置面には、前記シート部材の下面と干渉することなく前記持ち上げ部材の進出後退動作を可能とする溝が形成されていることを特徴とする。
【0014】
第3の手段は、第2の手段において、前記トレイ部材が、搬送されるシート部材の先端位置を規定する先端ストッパと、シート部材の先端位置を検知する検知手段と、を備え、前記制御手段は、前記検知手段によって検知したシート部材の先端位置に基づいて、前記搬送手段によって前記シート部材の先端が前記先端ストッパに当接する位置まで前記シート部材を搬送させることを特徴とする。
【0015】
第4の手段は、第3の手段において、前記先端ストッパの位置を変更する位置変更手段と、前記積載手段に搬送されるシート状部材のサイズを検知するサイズ検知手段と、を備え、前記制御手段は、サイズ検知手段によって検知したサイズに応じて前記位置変更手段の位置を変更し、変更した先端ストッパに先端が当接する位置まで前記搬送手段によってシート部材を搬送させることを特徴とする。
【0016】
第5の手段は、第3又は第4の手段において、前記先端ストッパにシート部材先端が到達したことを検知する到達位置検知手段をさらに備え、前記制御手段は、前記検知手段の検知情報に加え、当該到達位置検知手段によってシート部材の先端を検知した検知情報に基づいて前記搬送手段の駆動を停止することを特徴とする。
【0017】
第6の手段は、第1の手段において、前記積載手段に搬送されるシート状部材のサイズを検知するサイズ検知手段を備え、前記制御手段はサイズ検知手段で検知した用紙サイズ毎に前記持ち上げ部材の進出量を設定し、当該用紙持ち上げ部材を動作させることを特徴とする。
【0018】
第7の手段は、第1ないし第6のいずれかの手段において、前記積載手段に搬送されるシート部材のカール量を検知するカール量検知手段を備え、前記制御手段は前記カール量検知手段によって検知されたカール量に基づいて前記持ち上げ手段によるシート部材の持ち上げ量を設定することを特徴とする。
【0019】
第8の手段は、第1ないし第7のいずれかの手段において、前記積載手段に積載されたシート部材の高さを検知する高さ検知手段を備え、前記制御手段は前記高さ検知手段によって検知されたシート部材の積載高さに基づいて前記持ち上げ手段によるシート部材の持ち上げ量を設定することを特徴とする。
【0020】
第9の手段は、第1ないし第8のいずれかの手段に係るシート積載装置と、前記シート積載装置の前段に配置され、搬送されてくるシート部材に対して所定の折り処理を施す折り処理部と、を備えたシート折り装置を特徴とする。
【0021】
第10の手段は、第9の手段において、前記シート積載装置が前記折り処理部の上部に配置されていることを特徴とする。
【0022】
第11の手段は、第9又は第11の手段に係るシート折り装置と、前記シート折り装置に画像形成済みのシートを搬出する画像形成装置と、を含む画像形成システムを特徴とする。
【0023】
なお、後述の実施形態では、シート部材はシートPに、積載手段はスタッカ部500に、搬送手段は搬送ベルト509に、持ち上げ手段は持ち上げ機構600に、制御手段はCPU100aに、持ち上げ部材は符号601に、進出後退駆動機構はステッピングモータ606、タイミングベルト604、タイミングプーリ603及びリンク602に、上昇下降駆動機構はステッピングモータ701、ギア703,704,707,708,710,711,712,軸709、ベルト702,704,705に、トレイ部材はスタックトレイ501に、溝は符号501aに、先端ストッパは符号505に、検知手段は先端検知センサ510に、位置変更手段はプーリ901,902及びベルト903に、到達位置検知手段はシート検知センサ513に、サイズ検知手段は画像形成装置PRから送られてくるサイズ情報及び折り処理の情報からシートサイズを判断するCPU100aに、カール量検知手段はカール量検知センサ801及びCPU100aに、高さ検知手段は満杯検知センサ803に、シート積載装置はスタッカ部500全体の構成に、シート折り装置は符号100に、画像形成装置は符号PRにそれぞれ対応する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、スタッカ部に積載されたシートの取り出しが容易となる。また、積載されたシート束と排紙されてくるシートとの干渉をなくし、安定したシートスタックが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係るシート折り装置を含む画像形成システムの構成を示す図である。
【図2】図1におけるスタッカ部の内部構成を示す要部正面図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】スタック部内で先端ストッパ側にシートを搬送するシート搬送機構の概略構成を示す図である。
【図5】用紙持ち上げ機構の内部構造を示す正面図である。
【図6】モータを含む駆動機構を省略した図5の平面図である。
【図7】用紙持ち上げ機構の上下方向の駆動機構を示す図である。
【図8】カール量検知装置を実装した状態を示す図である。
【図9】シート高さ検知装置を示す図である。
【図10】先端ストッパの駆動機構を示す図である。
【図11】本発明の実施形態における画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の実施形態におけるスタッカ部の搬送動作の制御手順を示すフローチャートである。
【図13】従来から実施されているシート折り部とスタッカ部とを備えたシート処理装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、スタッカ部を折り部よりも上に設置すること、及びスタッカ部に積載されている折られたシートをスタッカ部内部の持ち上げ手段によって持ち上げてから、次のシートをスタックトレイに排紙することを特徴とする。
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
〈全体構成〉
図1は本発明の実施形態に係るシート折り装置を含む画像形成システムの構成を示す図である。シート折り装置100は本実施形態では、画像形成システムの1要素として配置され、前段の画像形成装置PRが、後段のフィニッシャFRの間に位置している。
【0029】
図1において、シート折り装置100は、第1ないし第7の7つの搬送路101〜107、排紙搬送路108、3つの搬送ローラ111〜113、第1ないし第6の6つの折りローラ201〜206、第1ないし第3の3つのストッパ301〜303、2つの切替爪400,404、第1ないし第3の3つの撓み補助部材401〜403、スタッカ部500、及びスタックトレイ501から基本的に構成され、第1ないし第7の7つの搬送路101〜107、排紙搬送路108、3つの搬送ローラ111〜113、第1ないし第6の6つの折りローラ201〜206、第1ないし第3の3つのストッパ301〜303、2つの切替爪400,404、第1ないし第3の3つの撓み補助部材401〜403が折り処理部を構成し、スタッカ部500、及びスタックトレイ501がシート積載装置を構成している。
【0030】
第1搬送路101はシート折り装置100本体の上部にあるシートスルー搬送路であり、最上流側に入口搬送ローラ111が、最下流側に排紙搬送ローラ112がそれぞれ配置され、最上流側の用紙受け入れ口120は前段の画像形成装置PRの排紙口に、最下流側の用紙排紙口121は後段のフィニッシャFRの搬入口にそれぞれ接続されている。水平方向に延びていることから水平搬送路とも称される。
【0031】
第2搬送路102は、入口搬送ローラ111のシート搬送方向下流側の直後で第1搬送路101から分岐し、その分岐点には入口切替爪400が配置され、第1ストッパ搬送路として機能する。第2搬送路102は入口切替爪400によって分岐した上方位置からシート折り装置100の本体下部の下方位置まで設けられ、本体下部で湾曲した位置の下流側に第1折りローラ201と、この第1折りローラ201に従動する第1従動ローラ201aが配置され、第1従動ローラ201aの下流側に第1撓み補助部材401が設けられている。
【0032】
第2搬送路102は第1撓み補助部材401の下流側で図においてシート搬入方向から見ると反時計回りに円弧状に湾曲し、湾曲部分の曲率の中心部分に第1ストッパ301の支持軸301aが設置され、第2搬送路102の湾曲部分に沿って第1ストッパ301が回転によって移動可能に配置されている。また、第1撓み補助部材401が設置された位置に対向して第1及び第2折りローラ201,202のニップが位置し、当該ニップから第3搬送路103が延びている。第1撓み補助部材401は第1ストッパ301にシート端部を突き当てて第1及び第2折りローラ201,202でシートPを折るときに第1及び第2折りローラ201,202のニップに対向する位置に回転して突出し、シートPの折り目となる部分を当該ニップに導く機能を有する。
【0033】
第3搬送路103は第1及び第2折りローラ201,202のニップから第3折りローラ203と第3折りローラ203に従動する第2従動ローラ203aのニップまで延びており、は第1中継搬送路として機能する。
【0034】
第3折りローラ203は、第2従動ローラ203aのほかに第4折りローラ204とニップし、第3折りローラ203と第2従動ローラ203aのニップ部及び第3折りローラ203と第4折りローラ204のニップが第4搬送路104の最上流側に位置している。
【0035】
第4搬送路104は前記両ニップ部分から図においてシート搬入方向から見て時計回りに円弧状に湾曲し、第2搬送路102と同様に、湾曲部分の曲率の中心部分に第2ストッパ302の支持軸302aが設置され、第4搬送路104の湾曲部分に沿って第2ストッパ302が回転によって移動可能に配置されている。第4搬送路は第2ストッパ搬送路として機能する。
【0036】
第3及び第4折りローラ203,204のニップの下流側には第5搬送路105が第5折りローラ205とこれに従動する第3従動ローラ205aのニップまで延びている。第5折りローラ205は第6折りローラ206ともニップしており、第5折りローラ205と第3従動ローラ205aのニップ及び第5及び第6折りローラ205,206のニップ部を最上流側とする第6搬送路106が接続されている。
【0037】
第6搬送路106シート搬入側から見て時計回りに円弧状に湾曲し、第2搬送路102と同様に湾曲部分の曲率の中心部分に第3ストッパ303の支持軸303aが設置され、第6搬送路106の湾曲部分に沿って第3ストッパ303が回転によって移動可能に配置されている。この第6搬送路106は第3ストッパ搬送路として機能する。
【0038】
また、第5及び第6折りローラ205,206のニップのシート搬送方向下流側に第7搬送路107が上方に向かって設けられ、第7搬送路107の最下流はスタッカ部500直前に配置されたスタッカ排紙搬送ローラ113まで延びている。
【0039】
スタッカ排紙搬送ローラ113のスタックトレイ501とは逆側に、第7搬送路107を挟んで排紙切替爪404が配置されている。排紙切替爪404はシート搬送方向上流側の支持軸404aに関して揺動可能に設けられ、切替動作に応じて第7搬送路107に沿って搬送されてくるシートPをスタッカ排紙搬送ローラ113のニップあるいは第7搬送路の下流の第8搬送路108へと搬送方向を切り替える。これにより第7搬送路107はスタッカ排紙搬送路として機能する。
【0040】
第8搬送路108はシートPをスタッカ部500に排紙することなく、後段のフィニッシャFR側に導く搬送路で、第7搬送路107に続いて上方に向かって延びており、シートPを第1搬送路101から排紙搬送ローラ112のニップに導く排紙搬送路として機能する。
【0041】
なお、第3及び第4折りローラ203,204、第5及び第6折りローラ205,206のニップと対向する位置には、第1撓み補助部材401と同様の機能を有する第2撓み補助部材402及び第3撓み補助部材403がそれぞれ配置されている。
【0042】
スタッカ部500は、スタックトレイ501を備えている。
【0043】
〈折り動作〉
以下、図1に示したシート折り装置によって処理される各折り動作について説明する。
【0044】
《Z折り》
画像形成装置PR本体から搬入されたシートPは、入口切替爪400が図示反時計回り方向に回動し、第1搬送路101側を閉鎖し、第2搬送路102側を開放することにより第2搬送路102に案内される。第2搬送路102内の第1ストッパ301は、Z折りの最初の折り目が第1及び第2折りローラ201,202のニップ位置に来る位置まで支持軸301aを中心に回転して待機している。シートPは第1折りローラ201及び第1従動ローラ201aとによって第2搬送路102に搬送され、シートPの先端が第1ストッパ301に当接する。
【0045】
シートPはこの状態からさらに搬送され、同時に第1撓み補助部材401が時計回り方向に回動される。これによりシートPの第1折り部が第1及び第2折りローラ201,202のニップに向かうように撓む。この状態で、シートPはさらに搬送され、第1及び第2折りローラ201,202のニップに第1折り部が挟持され、シートPに1回目の折りが施されて第1及び第2折りローラ201,202によって第3搬送路103を、第1折り部を先頭にして搬送される。
【0046】
1回目の折りが施されたシートPは第3折りローラ203と第2従動ローラ203aでニップされ、第4搬送路104に搬送される。第4搬送路104では、2回目の折りを施すために第2折り部が第3及び第4折りローラ203,204のニップで折られる位置に第2ストッパ302が支持軸302aを中心に回転して位置しており、第1折り部が第2ストッパ302に当接し、これ以上の搬送が阻止される。シートPは第1折り部の搬送阻止に拘わらず搬送されるので、第3及び第4折りローラ203,204のニップに向かって撓む。同時に第2撓み補助部材402が反時計方向に回転して撓み方向を規制し、第2折り部が第3及び第4折りローラ203,204のニップに向かうようにする。
【0047】
この状態からさらにシートPは搬送されるので、シートPは第3及び第4折りローラ203,204のニップで挟持されて第5搬送路105に導かれる。その際、第3撓み補助部材403がシートPの先端を第5及び第6折りローラ205,206のニップに導く位置に回動しており、第5搬送路105から搬送されてくるシートPは第3撓み補助部材403によって第5及び第6折りローラ205,206のニップに導かれ、第7搬送路107に導かれる。
【0048】
《二つ折り》
画像形成装置PR本体からシートPが搬入されたときに、入口切替爪400は第2搬送路102にシートPを受け入れる方向に切り替えられ、第1撓み補助部材401はシートPの先端を第1及び第2折りローラ201,202のニップに導く方向に回動している。これにより、シート折り装置100内に搬入されたシートPは第2搬送路102へは進入せずに第3搬送路103を通って第4搬送路104へ案内される。このとき、第2ストッパ302は二つ折りの折り部が第3及び第4折りローラ203,204のニップに案内される位置に位置している。この状態からさらにシートPが搬送されると、折り部が第3及び第4折りローラ203,204のニップに挟持されて第5搬送路105を通ってZ折りの場合と同様にして第7搬送路107に導かれる。
【0049】
《外三つ折り》
画像形成装置PR本体からシートPが搬入されたときに、入口切替爪400は第2搬送路102にシートPを受け入れる方向に切り替えられ、第1撓み補助部材401はシートPの先端を第1及び第2折りローラ201,202のニップに導く方向に回動している。これにより、シート折り装置100内に搬入されたシートPは第2搬送路102へは進入せずに第3搬送路103を通って第4搬送路104へ案内される。このとき、第2ストッパ302は三つ折りの第1折り部が第3及び第4折りローラ203,204のニップに案内される位置に位置し、第2撓み補助部材402はシートPの第1折り部を前記ニップに導く位置に位置している。第1折り部はシートPの前半(先端から略1/3程度)の位置に設定されている。
【0050】
第4搬送路104内の第2ストッパ302に先端が突き当ったシートPは、第2撓み補助部材402によって第3及び第4折りローラ203,204のニップに導かれて1回目の折りが行われ、第5搬送路105で1回目折りが完了する。1回目折り完了後、第6搬送路106へ搬送され、第6搬送路106内の第3ストッパ303に先端が突き当てられ、第2折り部が撓んで第5及び第6折りローラ205,206のニップに導かれ、2回目の折りが行われ、第7搬送路107に導かれて外三つ折りが完了する。
【0051】
なお、第3ストッパ303の突き当て位置は、第2折り部P5の折り位置に応じて設定される。
【0052】
《内三つ折り》
画像形成装置PR本体からシートPが搬入されたときに、入口切替爪400は第2搬送路102にシートPを受け入れる方向に切り替えられ、第1撓み補助部材401はシートPの先端を第1及び第2折りローラ201,202のニップに導く方向に回動している。これにより、シート折り装置100内に搬入されたシートPは第2搬送路102へは進入せずに第3搬送路103を通って第4搬送路104へ案内される。このとき、第2ストッパ302は三つ折りの第1折り部P5が第3及び第4折りローラ203,204のニップに案内される位置に位置し、第2撓み補助部材402はシートPの第1折り部を前記ニップに導く位置に位置している。第1折り部P5は、シートPの後半(後端から略1/3程度)の位置に設定されている。
【0053】
第4搬送路104内の第2ストッパ302に先端が突き当ったシートPは、第2撓み補助部材402によって第3及び第4折りローラ203,204のニップに導かれて1回目の折りが行われ、第5搬送路105で1回目折りが完了する。1回目折り完了後、第6搬送路106へ搬送され、第6搬送路106内の第3ストッパ303に先端が突き当てられ、第2折り部P6が撓んで第5及び第6折りローラ205,206のニップに導かれ、2回目の折りが行われ、第7搬送路107に導かれて内三つ折りが完了する。
【0054】
なお、第3ストッパ303の突き当て位置は、第2折り部の折り位置に応じて設定される。また、内三つ折りに関してシート搬送動作は外三折り同じであるが、第2ストッパ302のシートPへの当接位置を異ならせることによって2種類の折りが可能となる。
【0055】
前記各折り処理後、後段のフィニッシャFRに排紙する場合には、第7搬送路107から第8搬送路108を通り、排紙搬送ローラ112のニップ直前で第1搬送路101に合流し、排紙搬送ローラ112からフィニッシャFRに送られる。一方、スタッカ部500に排紙する場合には、排紙切替爪404によって搬送経路が切り替えられ、スタッカ排紙搬送ローラ113のニップにシートPを導き、スタックトレイ501上排紙する。
【0056】
その際、従来例では、図13に示したようにスタッカ排紙搬送ローラ113がスタッカ部500の上部に位置し、上からスタックトレイ501に排紙するようになっている。しかし、本実施形態では、図1に示すように折り部がシート折り装置100の下部に設けられており、三つ折りされた用紙などをスタッカ部500の上部まで搬送することになると、折り処理されたシートサイズに合わせ搬送ローラを搬送路に沿って数多く実装する必要があるので、実装スペースの確保、部品点数の増大、コストの増大が生じることになる。そこで、本実施形態では、スタッカ部500の下部から用紙をスタックトレイ501に排紙するように構成している。スタッカ部500への排紙は、スタッカ部500下部からの排紙となるため、用紙は下から積みあがるように積載される。
【0057】
〈スタッカ部〉
図2は図1におけるスタッカ部の内部構成を示す要部正面図、図3はその平面図である。これらの図において、スタッカ部500は、折られたシートPを積載するスタックトレイ501、スタッカ部500の入口部のスタッカ排紙搬送ローラ113から搬送された折られたシートPをスタックトレイ501上に搬送する搬送ベルト509、スタックトレイ501上に搬送されたシート束の搬送方向を揃える先端ストッパ505、スタックトレイ501に排紙されてきたシート先端を検知する先端検知センサ510、スタックトレイ501に搬送されたシートPを持ち上げる持ち上げ機構600などによって構成されている。
【0058】
先端ストッパ505の位置は、スタックトレイ501に搬送されてくるシートPのシートサイズによってユーザが任意に変更することができる。
【0059】
先端ストッパ505は図2において矢印507方向に移動可能であり、その位置変更機構は、例えば画像形成装置の印字する用紙を大量にストックする給紙トレイ上にあるストッパの駆動機構と同一の機構であり、後述するが、例えばステッピングモータとその伝達機構を介してシート搬送方向に移動し、シートサイズに応じた位置で停止し、停止位置が保持される。
【0060】
搬送ベルト509は、先端検知センサ510によってシート先端が検知されると(ステップS105)、駆動が開始される(ステップS106)。その際、シートサイズ検知手段から検知されたシートサイズに応じて搬送ベルト509の駆動時間を決定し、先端ストッパ505にシート先端が当接するまでシートPを搬送する(ステップS107)。なお、シートサイズ検知手段は、画像形成装置PRから送られてくるサイズ情報及び折り処理の情報からシートサイズを判断する。なお、括弧内のステップは図6のフローチャートのステップに対応する。以下、同様。
【0061】
〈シート搬送機構〉
図4はスタック部500内でシートPを先端ストッパ505側に搬送するシート搬送機構の概略構成を示す図である。同図において、搬送ベルト509は、シート搬送方向の上流側と下流側に設けられた駆動プーリ509a、従動プーリ509b及びテンションプーリ509c間に張設され、折られたシートPを先端ストッパ505まで確実に搬送するため、シート搬送部材511がベルト表面側に突設されている。
【0062】
スタックトレイ501の下部に、シート搬送部材511のホームポジション位置があり、搬送ベルト509が駆動されないときは、シート搬送部材511は常にホームポジション位置で待機している。ホームポジション位置は、フィラー付きのホームポジションセンサ512によって検知する。
【0063】
シート搬送部材511は、折られたシートPの後端を確実に押すために、画像形成装置PRから送られてくるシートサイズ及び折り処理の情報から、折られたシートPがスタッカ部500に搬送されてくる前に一定距離駆動して(ステップS103)、折られたシートPがスタックトレイ501に搬送されてくるまで待機する(ステップS104)。折られたシートPの先端を先端検知センサ510が検知すると(ステップS105)、搬送ベルト509を再度駆動し(ステップS106)、シートPを先端ストッパ509まで搬送する(ステップS107)。搬送ベルト509の駆動は、図示しないステッピングモータで行い、パルス制御で駆動距離を制御できるが、先端ストッパ505にシート検知センサ513が実装されている場合には、シート検知センサ513がシートPの先端を検知すると、シート先端が先端ストッパ505まで搬送されたと判断し、搬送ベルト509の駆動を停止するように制御できるので、シートPの先端ストッパ505までの搬送精度が良くなる。
【0064】
シートPの搬送が終わると(ステップS108−YES)、搬送ベルト509は搬送方向とは逆の方向に駆動され(ステップS111)、シート搬送部材511を退避させる(ステップS109,S110)。その際、シート搬送部材511は、ホームポジションから一定距離離れた待機位置まで駆動される。搬送ベルト509が搬送方向と逆方向に駆動される場合には、スタックトレイ501に積載されているシート束を用紙持ち上げ機構600によってスタックトレイ501から持ち上げた状態にした後である(ステップS111)。これにより、シート搬送部材511とスタックトレイ501に積載されているシート束が干渉することはない。
【0065】
このようにしてスタックトレイ501に搬送されてくる折られたシートPの先端は、先端ストッパ505まで確実に搬送され、先端が先端ストッパ505で揃えられた状態で積載される。
【0066】
図3では、搬送ベルト509が2本、先端ストッパ505は1個、スタックトレイ501上に存在するが、シートPのコシあるいはシートサイズ等に応じて、さらに多く設けられても良いことは言うまでもない。
【0067】
〈持ち上げ機構〉
持ち上げ機構600は、先端ストッパ505まで搬送されたシートPを伸縮可能な持ち上げ部材601によって持ち上げる(ステップS110)。持ち上げ機構600は、スタックトレイ501に搬送されてくる折り紙サイズによって、実装位置が変わってくるので、図2及び図3に示した場合よりも多く実装しても良い。
【0068】
図5ないし図7は持ち上げ機構600を説明するためのもので、図5は用紙持ち上げ機構の内部構造を示す正面図、図6はモータを含む駆動機構を省略した平面図、図7は用紙持ち上げ機構の上下方向の駆動機構を示す図である。
【0069】
図5及び図6において、シートPの持ち上げ機構600は、シートPを直接持ち上げる持ち上げ部材601、持ち上げ部材601を図3に示すようにシートPの幅方向に対して前後に移動させるリンク602、タイミングプーリ603、タイミングプーリ603を、タイミングベルト604を介して駆動するステッピングモータ606、及びタイミングプーリ602のフィラー605を検知するセンサ607を備えた構成となっている。スタックトレイ501上に積載されているシートPの持ち上げは、シートPの持ち上げ機構600に実装される持ち上げ部材601がスタックトレイ501上に積載されたシートPの下まで伸び、シートPを支持した状態で、持ち上げ機構600が上方向に上昇駆動され、スタックトレイ上のシートPあるいはシート束を持ち上げる。
【0070】
持ち上げ機構600では、持ち上げ部材601の基端側に固定されているリンク602の長溝602aにタイミングプーリ603の突起603aが差し込まれており、タイミングプーリ603は、ベルト604を介してステッピングモータ606の駆動軸のプーリに連結され、ステッピングモータ606の駆動力がタイミングプーリ603に伝達され、タイミングプーリ603が回転する(矢印D1方向)。そして、このタイミングプーリ603の回転がリンク602により持ち上げ部材601の矢印D2方向の直線往復運動に変換される。
【0071】
その際、センサ607によってタイミングプーリ603の外周に突設されたフィラー605を検知し、そこからステッピングモータ605はパルス制御を行い、タイミングプーリ603及び、持ち上げ部材601を駆動する。前記フィラー605の検知位置は、持ち上げ部材601が最も後退した初期位置である。モータ605の駆動量は、シートサイズによってシート幅が異なるため、画像形成装置PR本体から排紙されてくるシートPのサイズ情報に基づいて後述のCPU100aが設定し、モータ605の駆動を制御する。これにより、シートサイズに拘わらず、確実に用紙を持ち上げられることができる。例えば、A3サイズのシートPがスタックされている場合は駆動量が少なく、A4サイズのシートPがスタックされている場合は、駆動量が大きくなる。
【0072】
また、持ち上げ部材601と、スタックトレイ501が接触する部分においては、シートPを下から確実に持ち上げられるように、スタックトレイ501に持ち上げ部材601が入り込むことができる溝501aが形成されている。持ち上げ部材601はその溝501aに持ち上げ部材601が入り、シート幅方向中央部に進出し、その後シートPを持ち上げる。このように溝501aを設け、溝501aに沿って持ち上げ部材601の進出後退動作が行われるようにすると、スタックトレイ501上のシートPと、持ち上げ部材601が衝突若しくは干渉することがなくなり、衝突などによって生じるダメージもなくなる。その結果、シートPも良好な状態を保持しながら、確実にシートPを持ち上げることができる。
【0073】
図7はシートPの持ち上げ機構の上下方向の駆動部を示す図である。持ち上げ機構600は、ステッピングモータ701、駆動ギア列703,706,707,708,710,711,712、軸709、及びベルト702,704を含む。
【0074】
前記駆動部では、ステッピングモータ701の軸に取り付けられたギア703の駆動が、後段のギア706,707に連動し、両者間に掛け渡されたベルト704を動かす。一方、ギア706は、さらに後段のギア708と連動し、軸709を駆動する。この軸709の他側には、ギア708と同一のギア710が軸着されている。また、このギア710には、ベルト705を駆動するギア711,712の駆動側のギア711と噛合しており、モータ701が回転するとベルト704,705が回転する。両ベルト704,705間には、両者をまたいでさらに他のベルト702が取り付けられ、このベルト702に、持ち上げ機構600が固定されている。これにより、ステッピングモータ701が回転すると、ベルト702が上下動し、持ち上げ機構600がベルト702と一体に上下方向(矢印D3方向)に移動する。
【0075】
図7は、2つの持ち上げ機構600が上下動する駆動図であるが、図4に示したように他の側にも同様の持ち上げ機構600が設けられ、それぞれ別に駆動される。
【0076】
〈カール量検知〉
持ち上げ機構600の上下動作の駆動範囲は、常に一定であると、用紙種類、使用環境によって、スタック部500に排紙された折られたシートPのカールが大きい場合、折リ高さが大きい場合等があり、これらの場合には、スタック部500に排紙されてくるシートPと、持ち上げ機構600によって持ち上げられ、上昇したシートPが衝突することがある。このような衝突が発生すると、シートPの不送りによるジャム、あるいは衝突によるダメージの原因となる。
【0077】
そこで、本実施形態では、シートPのカール量を検知し、その量に応じて上昇量を制御するようにした。図8はカール量検知装置を実装した状態を示す図である。同図から分かるようにカール量検知装置は、第2搬送路(第1ストッパ搬送路)102に実装されるカール量検知センサ801によって行う。カール量検知センサ801は搬送されてきたシートPの先端及び後端を検知し、先端と後端の検知時間の差(シート搬送時間)からCPU100aがカールの有無を判断する。すなわち、CPU100aは前記検知時間の差から得られるシート搬送時間と、カール量がないときのシート搬送時間と比較し、搬送時間が短いならば、カールがあると判断する。この判断に基づいて、CPU100aは持ち上げ機構600の上昇量を大きくするという制御を行う。
【0078】
〈高さ検知〉
図9は、スタックトレイに積載されたシートPの高さを検知するシート高さ検知装置を示す図である。折り高さ検知装置は、満杯検知センサ803を備え、スタックトレイ501と対向した図示しない側板(スタッカ部500の上面)に実装されている。満杯検知センサ803は例えば測距型反射型センサからなる。スタッカ部500に排紙されてきた折られたシート(図9では内三つ折り)Pは、スタックトレイ501に積載されるが、1枚目のシートPが排紙されたら、センサ803によって折り高さを検知し、検知した折り高さが通常の折り高さよりも高いならば、CPU100aは持ち上げ機構600の上昇量を大きくする。
【0079】
〈先端ストッパ駆動機構〉
図10は、先端ストッパの駆動機構を示す図である。同図において、先端ストッパ505は、図示しないステッピングモータにより駆動される。このステッピングモータの駆動軸に駆動側のプーリ901が軸着され、従動側のプーリ902との間にはベルト903が張設されている。このベルト903には、先端ストッパ505が取り付けられ、ステッピングモータの回転によりベルト903が回転すると、その回転にともなってシート搬送方向(矢印D4方向)に往復動する。動作距離はステッピングモータの回転量によって制御される。
【0080】
すなわち、ステッピングモータが駆動されると、プーリ901,902、ベルト903を介してベルト903に固定されている先端ストッパ505が移動する。例えば、三つ折りされたシートPが排紙されてくる場合は、先端ストッパ505は、スタッカ排紙搬送ローラ113側に大きく移動し、A3の二つ折りシートPが排紙されてくる場合は、少し移動する。先端ストッパ505の移動量は、シートサイズによって変更され、シートサイズ情報は画像形成装置PRから入手する。このシートサイズ情報と折り情報に基づいてCPU100aはステッピングモータの駆動量と駆動方向を制御する。また、先端ストッパ505を移動させることができるので、持ち上げ機構600によって持ち上げたシートPをスタックトレイ501上に再積載したとき、先端ストッパ505を移動させてシートPの揃え動作を行うことも可能となる。
【0081】
〈制御構成〉
図11は本実施形態における画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。同図において、本実施形態における画像形成システムは、画像形成装置PR、シート折り装置100、及びフィニッシャFRからなり、シート折り装置100と画像形成装置PRは通信インターフェイス100−1で接続され、用紙情報、後処理モード、異常情報等の通知を行う。また、フィニッシャFRは通信インターフェイス100−2で接続され、用紙情報、後処理モード、異常情報等の双方向の通知に使用され、また、画像形成装置PRからの制御情報も通知される。
【0082】
シート折り装置100は、シート処理装置全体及び各部を制御するCPU100aと、CPU100aと各センサ、ソレノイド、モータなどを駆動するドライバとの入出力を司るI/Oユニット100bとを含む。CPU100aは図示しないROMに格納されたプログラムコードを図示しないRAMに展開し、当該RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムコードで定義されたプログラムに沿った制御を実行し、前記各ドライバを通じて各部を動作させる。
【0083】
〈制御手順〉
図12は、本実施形態におけるスタッカ部の搬送動作の制御手順を示すフローチャートである。この制御はシート折り装置100のCPU100aで実行される。動作の内容は図3ないし図10を参照して上述した通りである。
【0084】
この制御手順では、使用者(ユーザ)が画像形成装置PRから画像出力を開始すると(ステップS101)、先端ストッパ505が駆動され、シートサイズに応じた位置に移動し(ステップS102)、搬送ベルト509がシート搬送方向に駆動される(ステップS103)。搬送ベルト509が停止し(ステップS104)、先端検知センサ510がシート先端を検知すると(ステップS105)、搬送ベルト509を再駆動して(ステップS106)シートPを搬送し、シート先端が先端ストッパ509に当接すると搬送ベルト509を停止させる(ステップS107)。
【0085】
その時点で、スタッカ部500への排紙が完了したか否かをチェックする(ステップS108)。このチェックで排紙が完了していれば、シートPの持ち上げ部材601を進出方向に駆動し、シートPの下に持ち上げ部材601を挿入する(ステップS109)。持ち上げ部材601がシートPの下に挿入され、シートPを持ち上げることができる状態になると、持ち上げ機構600のステッピングモータ701が駆動され、持ち上げ機構600を上昇させる(ステップS110)。
【0086】
シートPが持ち上げられ、その状態を保持している間に、搬送ベルト509がステップS103とは逆方向、すなわち、シート搬送方向上流側に回転し(ステップS111)、シート搬送部材511をスタックトレイ501の上面から退避させた後、停止する(ステップS112)。シート搬送部材511が退避すると、スタックトレイ501上にPを置くことが可能な状態となるので、持ち上げ機構600を下降させてシートPをスタックトレイ501上に降ろす(ステップS113)。その後、持ち上げ部材601を後退させてシートPの下から外す(ステップS114)。これによりシートPの取り出しが可能となる(ステップS115)。
【0087】
一方、ステップS108でスタッカ部500への排紙が完了していない場合には、満杯検知センサ803がオンかどうかをチェックする(ステップS116)。オンでなければ(ステップS116−NO)、満杯になっておらず、スタックトレイ501上にまだシートPを積載できるので、シートPの持ち上げ部材601をシートPの下面に進出させ(ステップS117)、持ち上げ機構600を上昇させ(ステップS118)シート束を持ち上げる。そして、搬送ベルト509をシート搬送方向と逆方向に駆動して(ステップS119)シート搬送部材511を退避させた後、搬送ベルト509を停止させる(ステップS120)。
【0088】
そして、先端検知センサ510がシート先端を検知すると(ステップS121)、搬送ベルト509を駆動してシートPをスタックトレイ501上に搬送する(ステップS122)。そして、シートPが先端ストッパ505に当接した時点で搬送ベルト509を停止させる(ステップS123)。搬送ベルト509が停止し、シートPのスタックトレイ501上への搬送が終了すると、持ち上げ機構600を下降させ(ステップS124)、前記搬送されてきたシートPの上に持ち上げていたシート束を降ろし、持ち上げ部材601を進出させ、シートPの下に挿入する(ステップS125)。その後、ステップS108に戻り、スタッカ部500への排紙が完了したかどうかを確認し、確認結果に基づいて以降の処理を実行する。
【0089】
他方、ステップS108でスタッカ部500への排紙が完了していない場合に、満杯検知センサ803がオンであれば(ステップS116−YES)、スタックトレイ501が満杯でシートPの排紙不能なので、シート折り装置100の動作を停止し(ステップS126)、持ち上げ部材601を進出させてシート束の下に挿入し(ステップS127)、持ち上げ機構600を上方に移動させ(ステップS128)、搬送ベルト509を逆方向に駆動してシート搬送部材511を退避させる(ステップS129)。そして、搬送ベルト509が停止し、シート搬送部材511の退避が完了すると(ステップS130)、持ち上げ機構600を下降させ(ステップS131)、持ち上げ部材601をシート束の下から抜いた後(ステップS132)、シート束を取り出す(ステップS133)。その後、シート折り装置100の再動作を開始し(ステップS134)、ステップS105に戻り、次のシートPの搬入を待ってステップS105以降の処理を繰り返す。
【0090】
以上のように、本実施形態によれば、
1) スタッカ部500に積載されたシート束を持ち上げ、その下にシートを排紙するので、積載された折りシートPと、排紙されてくる折りシートPとの衝突を回避することができる。
2) 折り処理部の上部にスタッカ部500を配置することができるので、屈まずにスタッカ部500に積載されたシート束を取り出すことが可能となる。
3) 2)に関連して屈まずにシート束の取り出しが可能となるので、身体的状況に拘わらず、あらゆるユーザに対して使用性の向上を図ることができる。
4) スタックトレイ501の上面に溝501aを設けたので、持ち上げ機構600の持ち上げ部材601を積載されたシート束の下にシートPと干渉することなく進出させることができる。これにより、確実にシートP若しくはシート束を持ち上げることができる。5) シートPにカールが付いてしまっても、その分、持ち上げ機構600の持ち上げ量を変化させる(高くする)ので、スタックトレイ501にシートPを搬送する際に、持ち上げられたシート束と排紙されてくるシートとの衝突を防ぐことが可能となり、確実にシートをスタックトレイ501上にスタックすることができる。
6) 折り処理後にシートの折り高さが高くなった場合でも、その分、持ち上げ機構600の持ち上げ量を変化させる(高くする)ので、スタックトレイ501にシートPを搬送する際に、持ち上げられたシート束と排紙されてくるシートPとの衝突を防ぐことが可能となり、確実にシートPをスタックトレイ501上にスタックすることができる。
7) シートサイズに拘わらず、シートPの持ち上げに必要な位置にまで持ち上げ機構600の持ち上げ部材601を確実に進出させることが可能なので、シートサイズに拘わらず安定してシートP若しくはシート束を持ち上げることができる。
8) CPU100aが先端ストッパ505の位置をシートサイズと折りの種類に応じて自動的に設定するので、ユーザが先端ストッパ505を移動させる必要がなくなり、シートPの揃え精度の向上を図ることができる。
9) スタックトレイ501に搬送されてきたシートPは、搬送ベルト509により先端ストッパ505に突き当たるまで搬送されるが、折られたシート等のシート搬送方向の長さが短いシートPについては、先端ストッパ505の位置が自動的に変更されるので、搬送ベルト509の駆動時間を短縮することが可能となり、生産性の向上につなげることができる。
10) スタックトレイ501にシート検知センサ513が設けられている場合には、当該シート検知センサ513によってシートPの先端が先端ストッパ505に到達したことを確認して搬送ベルト509の駆動を停止させるので、確実にシートPをシート先端が先端ストッパ505に到達する位置まで搬送することが可能となり、搬送方向の揃え精度の向上を図ることができる。
等の効果を奏する。
【0091】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な実施形態を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲により規定される範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
100 シート折り装置
100a CPU
500 スタッカ部
501 スタックトレイ(トレイ部)
501a 溝
505 先端ストッパ
509 搬送ベルト
510 先端検知センサ
513 シート検知センサ
600 持ち上げ機構
601 持ち上げ部材
602 リンク
603 タイミングプーリ
604 タイミングベルト
606,701 ステッピングモータ
702,704,705,903 ベルト
703,704,707,708,710,711,712 ギア
709 軸
801 カール量検知センサ
803 満杯検知センサ
901,902 プーリ
P シート
PR 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】
【特許文献1】特開平05−330720号公報
【特許文献2】特開2008−105850号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート部材を積載する積載手段と、
前記積載手段にシート部材を搬送する搬送手段と、
前記積載手段に積載されたシート部材を前記積載手段から持ち上げる持ち上げ手段と、
前記持ち上げ手段によって前記シート部材を持ち上げている間に、前記搬送手段によって次に前記積載手段に搬送されるシート部材をその前に搬送されたシート部材の下に搬送させる制御手段と、
を備えたシート積載装置であって、
前記持ち上げ手段が、
前記シート部材の下に挿入される持ち上げ部材と、
前記持ち上げ部材を前記シート部材の下に進出後退させる進出後退駆動機構と、
前記持ち上げ部材を上昇下降させる上昇下降駆動機構と、
を含み、
前記制御手段が前記進出後退駆動機構と前記上昇下降駆動機構の動作を制御すること
を特徴とするシート積載装置。
【請求項2】
請求項1記載のシート積載装置において、
前記積載手段が、前記シート部材が積載されるトレイ部材を含み、
前記トレイ部材のシート部材載置面には、前記シート部材の下面と干渉することなく前記持ち上げ部材の進出後退動作を可能とする溝が形成されていること
を特徴とするシート積載装置。
【請求項3】
請求項2記載のシート積載装置において、
前記トレイ部材が、
搬送されるシート部材の先端位置を規定する先端ストッパと、
シート部材の先端位置を検知する検知手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記検知手段によって検知したシート部材の先端位置に基づいて、前記搬送手段によって前記シート部材の先端が前記先端ストッパに当接する位置まで前記シート部材を搬送させること
を特徴とするシート積載装置。
【請求項4】
請求項3記載のシート積載装置において、
前記先端ストッパの位置を変更する位置変更手段と、
前記積載手段に搬送されるシート状部材のサイズを検知するサイズ検知手段と、
を備え、
前記制御手段は、サイズ検知手段によって検知したサイズに応じて前記位置変更手段の位置を変更し、変更した先端ストッパに先端が当接する位置まで前記搬送手段によってシート部材を搬送させること
を特徴とするシート積載装置。
【請求項5】
請求項3又は4記載のシート積載装置において、
前記先端ストッパにシート部材先端が到達したことを検知する到達位置検知手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記検知手段の検知情報に加え、当該到達位置検知手段によってシート部材の先端を検知した検知情報に基づいて前記搬送手段の駆動を停止すること
を特徴とするシート積載装置。
【請求項6】
請求項1記載のシート積載装置において、
前記積載手段に搬送されるシート状部材のサイズを検知するサイズ検知手段を備え、
前記制御手段はサイズ検知手段で検知した用紙サイズ毎に前記持ち上げ部材の進出量を設定し、当該用紙持ち上げ部材を動作させること
を特徴とするシート積載装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のシート積載装置において、
前記積載手段に搬送されるシート部材のカール量を検知するカール量検知手段を備え、
前記制御手段は前記カール量検知手段によって検知されたカール量に基づいて前記持ち上げ手段によるシート部材の持ち上げ量を設定すること
を特徴とするシート積載装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のシート積載装置において、
前記積載手段に積載されたシート部材の高さを検知する高さ検知手段を備え、
前記制御手段は前記高さ検知手段によって検知されたシート部材の積載高さに基づいて前記持ち上げ手段によるシート部材の持ち上げ量を設定すること
を特徴とするシート積載装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載のシート積載装置と、
前記シート積載装置の前段に配置され、搬送されてくるシート部材に対して所定の折り処理を施す折り処理部と、
を備えていることを特徴とするシート折り装置。
【請求項10】
請求項9記載のシート折り装置において、
前記シート積載装置は前記折り処理部の上部に配置されていること
を特徴とするシート折り装置。
【請求項11】
請求項9又は10記載のシート折り装置と、
前記シート折り装置に画像形成済みのシートを搬出する画像形成装置と、
を含むことを特徴とする画像形成システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−180166(P2012−180166A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43918(P2011−43918)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】