説明

シート積載装置及び画像形成装置

【課題】排出方向と直交するシート幅方向に、シートを好適に整合可能な一対の整合手段を有するシート積載装置及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】束排出ローラ対130と、下積載トレイ137と、幅方向整合部と、を備えたフィニッシャにおいて、幅方向整合部は、回動自在でシートの排出方向と直交する幅方向に移動自在に支持された一対の第1整合部材91と、一対の第1整合部材91の先端に回動自在に支持された一対の第2整合部材92とを有する一対の整合部材と、一対の第1整合部材91を回動、かつ、幅方向に移動自在の駆動モータとを備え、一対の第1整合部材91が回動して一対の第2整合部材の一方がシートに当接すると、他方とでシートを幅方向に整合可能な対向面を構成し、一対の第1整合部材91を幅方向に駆動することにより前記対向面でシートを整合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート積載装置及び画像形成装置に関し、特に、シート積載部に積載されたシートを整合可能なシート積載装置及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートを積載するシート積載部上に排出されたシートを、排出方向と直交するシート幅方向に整合して、画像形成されたシートの取出し性を向上させたシート積載装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のシート積載装置は、シート積載部の上方を中心に回動自在で、下端部でシートを整合する一対の整合部材を備えており、一対の整合部材のそれぞれをシート幅方向の端面に当接させることでシート幅方向の整合を行う。例えば、シート積載装置は、一対の整合部材の一方をシート幅方向に移動して、基準となる他方の整合部材にシートを押し付けることでシート幅方向の整合を行う。また、シート積載装置は、ステイプル処理されない未綴じのシート束を、必要に応じてシート束ごとにシート幅方向にシフトした(ずらした)位置で仕分けて整合することもできる。
【0004】
このように、シート積載部に排出されるシートは、1枚ずつ排出される場合の他に、シート束で排出される場合がある。そのため、シートを排出する排出部は、排出されるシート束の厚さに応じて開口量を変更できるように上下方向に揺動可能になっており、一対の整合部材は、排出部から排出されるシート束に干渉しないように排出部の上方に配設されるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−179326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、既積載のシート束に対してシート幅方向にずらした位置で後続のシート束を整合する仕分け積載において、後続のシート束を一対の整合部材により一枚ずつ整合する際、シート幅方向に整合するシートが一対の整合部材の下を通過してしまうことがある。これを防止するためには、整合処理を行う際に、シートを押し付ける側の整合部材を、既積載のシート束の上に載っている基準側の整合部材よりも下方に位置させる必要がある。しかしながら、上述したように、一対の整合部材は排出部の上方に配設されており、排出部の上方を回動中心として回動自在に支持されている。そのため、整合部材の一方を下方に移動させるために回動させると、排出されたシートに対して、整合部材の回動半径分、排出方向における一対の整合部材の整合領域の位置が変わってしまう。そして、一対の整合部材の一方と他方とが互いに排出方向にずれた位置でシートを挟み込むと、シートを押圧した際にシートに回転モーメントを与えてしまい、シートを傾けてしまうおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、排出方向と直交するシート幅方向にシートを好適に整合可能な一対の整合手段を有するシート積載装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シート積載装置において、シートを排出する排出手段と、前記排出手段が排出したシートを積載するシート積載部と、上下に回動自在、かつ、シートの排出方向と直交する幅方向に移動自在に支持された一対の整合アームと、前記一対の整合アームの先端に上下に回動自在に支持された一対の整合部材と、を有する一対の整合手段と、前記一対の整合アームを回動させ、かつ幅方向に移動させる駆動手段と、前記駆動手段を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記排出手段が排出したシートを前記シート積載部に既に積載されたシートに対して幅方向にずれた位置で整合する際、前記一対の整合部材の一方が前記シート積載部に既に積載されたシートの上面に当接して上方に回動するよう前記一対の整合アームを下方に回動させ、前記一対の整合部材の一方と、前記シート積載部に既に積載されたシートに当接しない前記一対の整合部材の他方と、で排出されたシートを幅方向に整合するよう前記駆動手段を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シートをシート幅方向に整合する一対の整合手段を屈曲可能に構成することにより、シートの整合領域の変化が抑制され、シートを好適に整合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る複写機を模式的に示す断面図である。
【図2】本実施形態に係るフィニッシャを模式的に示す断面図である。
【図3】(a)は、本実施形態に係るステイプル部にシートが搬送された状態を模式的に示す図であり、(b)は、ステイプル処理が行われない場合のシートの排出状態を示す図である。
【図4】本実施形態に係る複写機を制御するCPU回路部のブロック図である。
【図5】本実施形態に係るフィニッシャ制御部のブロック図である。
【図6】(a)は、幅方向整合部を一方側から見た斜視図であり、(b)は、幅方向整合部を他方側から見た斜視図である。
【図7】(a)は、奥整合ユニットを一方側から見た斜視図であり、(b)は、奥整合ユニットを他方側から見た斜視図である。
【図8】(a)は、奥整合ユニットの整合部材等を示す分解斜視図であり、(b)は、奥整合ユニットの整合部材等を一方側から見た斜視図であり、(c)は、奥整合ユニットの整合部材等を他方側から見た斜視図である。
【図9】(a)は、奥整合ユニットの整合部材等を示す分解斜視図であり、(b)は、奥整合ユニットの整合部材等を一方側から見た斜視図であり、(c)は、奥整合ユニットの整合部材が回動した状態を示す斜視図である。
【図10】(a)は、前整合ユニットと奥整合ユニットとが連結された状態を示す斜視図であり、(b)は、整合部材を昇降させる整合部材昇降モータを示す部分拡大図である。(c)は、整合部材の昇降位置を検出する整合部材昇降HPセンサを示す部分拡大図である。
【図11】第1整合部材と第2整合部材の溝部の配置示す図である。
【図12】上部開閉ガイドに支持された排出方向整合部を示す斜視図である。
【図13】(a)は、排出方向整合部の分解斜視図であり、(b)は、退避位置に位置する排出方向整合部の部分拡大図である。
【図14】(a)は、排出方向整合部を上ステイに取り付ける昇降モータ支板を示す図であり、(b)は、上ステイに取り付けられた排出方向整合部を示す斜視図である。
【図15】(a)は、戻しホルダに支持されるトレイパドル等を示す図であり、(b)は、(a)の分解斜視図である。
【図16】(a)は、束排紙モータに接続された排出方向整合部を示す斜視図であり、(b)は、(a)のギア列を示す部分拡大図である。
【図17】下積載トレイに排出されたシートの未綴じ処理モードの整合処理を示すフローチャートである。
【図18】シフト処理されたシートの未綴じ処理モードの整合処理を示すフローチャートである。
【図19】(a)から(l)は、シフト処理されたシートの整合処理を説明するための図である。
【図20】(a)は、下積載トレイのくぼみ部に当接する第2整合部材を示す図であり、(b)は、下積載トレイに積載されたシートと当接する第2整合部材を示す図である。
【図21】(a)から(d)は、従来例と本実施形態に係る整合部材の構成を比較するための図である。
【図22】(a)から(d)は第2整合部材の下側をシートが通過するのを防ぐための第2整合部材の回動軸の配置領域を示す図である。
【図23】(a)から(c)は第1整合部材が回動するときに第2整合部材が積載済みのシートを移動させるのを防止するための第2整合部材の回動軸の配置領域を示す図である。
【図24】(a)から(d)は第1整合部材が整合位置へと回動する際のシートとの干渉を防止するための第2整合部材の回動軸の配置領域、及び、図22、23の領域とを兼ねた第2整合部材の回動軸の配置領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれら複合機器等、シート積載部に排出されたシートを排出方向と直交するシート幅方向(以下、単に「幅方向」という)に整合可能なシート積載装置を備えた画像形成装置である。以下の実施形態においては、画像形成装置として、白黒/カラー複写機(以下、単に「複写機」という)1000を用いて説明する。
【0012】
本発明の実施形態に係る複写機1000について、図1から図24を参照しながら説明する。まず、本実施形態に係る複写機1000の全体構成について、図1から図3(b)を参照しながらシートPの動きに沿って説明する。図1は、本発明の実施形態に係る複写機1000を模式的に示す断面図である。図2は、本実施形態に係るフィニッシャ100を模式的に示す断面図である。図3(a)は、本実施形態に係るステイプル部127にシートが搬送された状態を模式的に示す図である。図3(b)は、ステイプル処理が行われない場合のシートの排出状態を示す図である。
【0013】
図1に示すように、複写機1000は、シートPに画像を形成する複写機本体600と、シート積載装置としてのフィニッシャ100と、を備えている。本実施形態に係るフィニッシャ100は、複写機本体600に着脱自在に構成されており、単独でも使用可能な複写機本体600に対して、オプションとして使用することが可能となっている。
【0014】
なお、本実施形態においては、着脱自在のフィニッシャ100を用いて説明するが、フィニッシャ100と複写機本体600とが一体であってもよい。また、以下においては、ユーザが複写機1000に対して各種入力/設定を行う操作部601に臨む位置を複写機1000の「前側」といい、装置背面側を「奥側」という。つまり、図1は、前側から見た複写機1000の内部構成を示したものであり、フィニッシャ100は、複写機本体600の側部に接続されている。
【0015】
複写機本体600は、シート収納部602と、シート収納部602に収納されたシートPを給送するシート給送部603と、シート給送部603により給送されるシートPに画像を形成する画像形成部604とを備えている。また、複写機本体600は、原稿を給送可能な原稿給送装置605と、原稿給送装置605から給送された原稿の情報を読み取るイメージリーダ606とを備えている。
【0016】
シート収納部602は、シートPを収納するカセット909a,909bを有しており、カセット909a,909bに収納されたシートPは、シート給送部603により所定のタイミングで画像形成部604に給送される。画像形成部604は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が形成される感光ドラム914a〜914dを有しており、感光ドラム914a〜914dに形成された各色のトナー像をシートPに転写する。これにより、未定着トナー像がシートPに形成される。その後、未定着トナー像が定着器904で定着されて、シートPは排出ローラ907によりフィニッシャ100に排出される。
【0017】
なお、両面印刷の場合は、反転ローラ905でシートPが反転された後、反転搬送路に設けられる搬送ローラ906a〜906fにより反転したシートPが画像形成部604に再搬送され、上述が繰り返される。また、原稿の情報を画像情報としてシートPに形成する場合は、原稿給送装置605から給送され、イメージリーダ606により読み取られた画像情報のトナー像を感光ドラム914a〜914dに形成し、シートPに転写した後、これを定着させる。
【0018】
フィニッシャ100は、複写機本体600の下流側に接続されており、複写機本体600から送り込まれた複数枚のシートPを導入し、オンラインでサドル処理等ができるようになっている。また、フィニッシャ100には、フィニッシャ100の内部の搬送パス109にシートPを挿入可能なインサータ900が上部に設けられている。インサータ900は、例えば、シート束の先頭ページ、最終ページ、又は複写機本体600にて画像が形成されたシート間に、インサートシートを挿入するためのものである。
【0019】
図2に示すように、複写機本体600から送り込まれたシートPは、まず、フィニッシャ100の入口ローラ対102に受け渡される。このとき、入口センサ101によりシートPの受渡しタイミングも同時に検知される。入口ローラ対102により搬送されたシートPは、搬送パス103を通過しながらシートPの端部位置を横レジ検知センサ104により検知される。横レジ検知センサ104は、センター(中央)位置に対してどの程度、シートPの横レジ誤差(幅方向の位置ずれ)Xが生じているかを検知する。
【0020】
横レジ検知センサ104による横レジ誤差Xが検知されると、シフトローラ対105,106に搬送されている途中でシフト処理部としてのシフトユニット108により幅方向に所定量移動することによるシートPの仕分け処理としてのシフト動作が行われる。なお、シフトユニット108による横レジ検知処理については、ここではその説明を省略する。
【0021】
シフトユニット108によるシフト動作が終了すると、シートPは、搬送ローラ対110により搬送され、搬送ローラ対110により搬送されたシートPは、バッファローラ対115により更に下流側に搬送される。ここで、シートPが上積載トレイ136に排出される場合は、上パス切換部材118が不図示のソレノイド等の駆動手段により図2に示す破線の位置に移動する。これにより、シートPは、上パス搬送路に導かれ、上排紙ローラ対120により上積載トレイ136に排紙される。
【0022】
一方、シートPが上積載トレイ136に排出されない場合は、上パス切換部材118が図2に示す実線の位置に移動する。これにより、シートPは、束搬送パス121に導かれ、バッファローラ対122及び束搬送ローラ対124により束搬送パス121内を移動する。
【0023】
ここで、シートPを中綴じ処理(サドル処理)する場合は、不図示のソレノイド等の駆動手段によりサドルパス切換部材125が図2に示す破線の位置に移動する。これにより、シートPはサドルパス133に搬送され、サドルパス133に搬送されたシートPは、サドル入口ローラ対134によりサドルユニット135に導かれ、中綴じ処理が行われる。なお、中綴じ処理については、ここではその説明を省略する。
【0024】
一方、中綴じ処理を行わない場合は、サドルパス切換部材125を図2に示す実線の位置に移動させる。これにより、シートPは、ステイプル部127の中間処理トレイ138上に順次搬送される(図3(a)参照)。中間処理トレイ138上に搬送されたシートPは、排出方向及び幅方向の整合処理が行われた後、ステイプラ132による綴じ処理が行われる。
【0025】
ここで、図3(a)及び図3(b)を参照しながら、上述のステイプル部127について簡単に説明する。中間処理トレイ138は、シートPの排出方向に対して下流側(図3の左側)を上方に、上流側(図3の右側)を下方に傾斜して配設されており、中間処理トレイ138の上流側である下方端部には後端ストッパ150が設けられている。中間処理トレイ138の排出方向下流端である上方端部には、引込パドル131及び上部開閉ガイド149が配置されている。引込パドル131は、中間処理トレイ138の上方に配設され、戻しパドルモータM3により、適切なタイミングで図3における反時計回りに回転するようになっている。
【0026】
上部開閉ガイド149は、支持軸154を中心に上下に回動自在に支持されており、中間処理トレイ138に対向した上側の搬送ガイドとして機能している。上部開閉ガイド149は、中間処理トレイ138の下流側端部に設けられた下部束排出ローラ130aと共に排出部としての束排出ローラ対130を構成する上部束排出ローラ130bを回転自在に保持している。つまり、上部束排出ローラ130bは、上部開閉ガイド149の回動に伴って下部束排出ローラ130aに対して接離自在に構成されており、上部開閉ガイド149は、シート束等を機外に排出可能に、束排出ローラ対130を開閉自在に構成されている。
【0027】
なお、シートPが中間処理トレイ138上に搬送されるときは、通常、上部開閉ガイド149は上方へ回動し、これに伴い上部束排出ローラ130bが下部束排出ローラ130aから離れた開口状態となっている。そして、中間処理トレイ138上でのシートPの処理が終了したとき、上部開閉ガイドモータM6の駆動により、上部開閉ガイド149は下方に回動し、上部束排出ローラ130bと下部束排出ローラ130aとでシート束を挟むようになっている。なお、本実施形態においては、束排出ローラ対130(例えば、下部束排出ローラ130a)は、束排紙モータM5によって正逆回転するようになっている。
【0028】
中間処理トレイ138の中間部には、中間処理トレイ138に排出されたシートPの幅方向の両側端位置を規制(整合)する不図示の側端規制部が設けられている。側端規制部は、前整合板モータM1及び奥整合板モータM2の駆動を不図示の前及び奥整合板に伝達して、中間処理トレイ138上に積載されたシートPの両側端に当接してシートを幅方向に整合する。また、ステイプル部127は、シートPの排出方向後端の位置を整合するシート後端整合部を備えており、シート後端整合部は、引込パドル131、ベルトローラ158、後端レバー159及び後端ストッパ150により構成されている。中間処理トレイ138上へ搬送されたシートPは、引込パドル131及びベルトローラ158の反時計回りの回転によって、後端レバー159にガイドされながら後端ストッパ150に排出方向上流端が突き当てられ、シートPの排出方向の後端の位置が整合される。
【0029】
ステイプル部127で所定のシート処理が行われたシートは、束排出ローラ対130によりシート積載部としての下積載トレイ137に排出される。一方、ステイプル部127で所定のシート処理を施さない場合は、図3(b)に示すように、シートPは、下排出ローラ対128から束排出ローラ対130へと受け渡され、下積載トレイ137へと排出される。下積載トレイ137へと排出されたシートPは、その後、後述のシート整合部としての幅方向整合部200及び排出方向整合部300により下積載トレイ137上での幅方向及び排出方向の整合が行われる。なお、幅方向整合部200による幅方向の整合及び排出方向整合部300による排出方向の整合処理については、後に詳述する。
【0030】
次に、本実施形態に係る複写機1000を制御するCPU回路部610について、図4及び図5を参照しながら説明する。図4は、本実施形態に係る複写機1000を制御するCPU回路部610のブロック図である。図5は、本実施形態に係るフィニッシャ制御部618のブロック図である。
【0031】
図4に示すように、CPU回路部610は、CPU611と、ROM612と、RAM613とを備えている。CPU611は、ROM612に格納されているプログラム及び操作部601から入力される指示情報に従って、原稿給送装置制御部614、イメージリーダ制御部615、画像信号制御部616、プリンタ制御部617及びフィニッシャ制御部618等を制御する。RAM613は、制御データを一時的に保持する領域や、制御に伴う演算の作業領域として用いられる。
【0032】
原稿給送装置制御部614は、原稿給送装置605を制御し、イメージリーダ制御部615は、原稿給送装置605から給送された原稿の情報を読み取るイメージリーダ606を制御する(図1参照)。なお、イメージリーダ制御部615により読み取られた原稿のデータは、画像信号制御部616へ出力される。プリンタ制御部617は、複写機本体600を制御する。外部インターフェイス619は、外部コンピュータ620と複写機本体600を接続させるためのインターフェイスであり、例えば、外部コンピュータ620から入力されたプリントデータを画像に展開して画像信号制御部616へ出力する。画像信号制御部616に出力された画像データは、プリンタ制御部617へ出力され、画像形成部604で画像が形成される。
【0033】
フィニッシャ制御部618は、図5に示すように、CPU(マイコン)701、RAM702、ROM703、入出力部(I/O)705a〜705d、通信インターフェイス706及びネットワークインターフェイス704を備えている。また、フィニッシャ制御部618は、搬送制御部707と、中間処理トレイ制御部708と、綴じ制御部709と、整合制御部710とを備えている。
【0034】
搬送制御部707は、シートPの横レジ検知処理、シートPのバッファリング処理、シートPの搬送処理等の制御を行う。中間処理トレイ制御部708は、中間処理トレイ138に配設された側端規制部の動作制御、引込パドル131の回転動作制御、ベルトローラ158の移動動作制御、上部開閉ガイド149の開閉制御等を行う。側端規制部の動作制御は、例えば、前整合板ホームセンサS1及び奥整合板ホームセンサS2に基づいて、前整合板モータM1及び奥整合板モータM2を制御することで実行される。引込パドル131の回転動作制御は、例えば、戻しパドルホームセンサS3に基づいて戻しパドルモータM3を回転制御することで実行される。ベルトローラ158の移動動作制御は、例えば、戻しベルトホームセンサS4に基づいて戻しベルト移動モータM4を制御することで実行される。上部開閉ガイド149の開閉制御は、例えば、開閉ガイドホームセンサS5に基づいて上部開閉ガイドモータM6を制御することで実行される。
【0035】
綴じ制御部709は、ステイプラ132のクリンチ、移動等を制御し、これらは、クリンチホームセンサS6、針有無センサS7及びステイプラホームセンサS8に基づいて、クリンチモータM7及びステイプラ移動モータM8を制御することにより実行される。
【0036】
制御部としての整合制御部710は、後述する整合部材1,1の移動や後述する戻しホルダ50の昇降等をホームポジション検知センサと移動モータによって制御する。整合部材1,1の制御は、前整合部材HPセンサS9、奥整合部材HPセンサS10及び整合部材昇降HPセンサS11に基づいて、前整合部材移動モータM9、奥整合部材移動モータM10及び整合部材昇降モータM11を制御することで実行される。また、戻しホルダ50の制御は、トレイパドルHPセンサS12に基づいて、トレイパドル昇降モータM12を回動制御すること等で実行される。なお、本実施形態においては、整合制御部710により整合部材1,1の移動や戻しホルダ50の昇降等を制御する構成について説明するが、整合制御部を複写機1000側のCPU回路部610に設けて複写機1000側から直接制御するようにしてもよい。
【0037】
入出力部(I/O)705a〜705dの入力ポートには、フィニッシャ制御部618の上述の各制御部の各種センサ信号が入力され、出力ポートには、不図示の制御ブロックや不図示の各種ドライバを介して接続された上述の各駆動系に出力される。
【0038】
次に、下積載トレイ137に排出されたシートの排出方向と直交する幅方向の整合処理を行う幅方向整合部200について、図2に加え、図6(a)から図10(c)を参照しながら説明する。図6(a)は、幅方向整合部200を一方側から見た斜視図である。図6(b)は、幅方向整合部200を他方側から見た斜視図である。図7(a)は、奥整合ユニット210を一方側から見た斜視図である。図7(b)は、奥整合ユニット210を他方側から見た斜視図である。図8(a)は、奥整合ユニット210の整合部材等を示す分解斜視図である。図8(b)は、奥整合ユニット210の整合部材等を一方側から見た斜視図である。図8(c)は、奥整合ユニット210の整合部材等を他方側から見た斜視図である。図9(a)は、奥整合ユニット210の整合部材1等を示す分解斜視図である。図8(b)は、奥整合ユニット210の整合部材1等を一方側から見た斜視図である。図9(c)は、奥整合ユニット210の整合部材1が上方に回動した状態を示す斜視図である。図10(a)は、前整合ユニット220と奥整合ユニット210とが連結された状態を示す斜視図である。図10(b)は、整合部材1を昇降させる整合部材昇降モータM11を示す部分拡大図である。図10(c)は、整合部材1の昇降位置を検出する整合部材昇降HPセンサS11を示す部分拡大図である。
【0039】
図2に示すように、幅方向整合部200は、下積載トレイ137の上方に配設されており、図6(a)及び図6(b)に示すように、前側に配置される前整合ユニット220と、奥側に配置される奥整合ユニット210と、上ステイ11と、を備えている。前整合ユニット220及び奥整合ユニット210は、上ステイ11に対して左右対称になるように取り付けられている。なお、前整合ユニット220と奥整合ユニット210とは、基本的な構成が同じであるため、ここでは奥整合ユニット210の構成について説明し、前整合ユニット220の構成についてはその説明を省略する。
【0040】
図7(a)及び図7(b)に示すように、奥整合ユニット210は、アーム状の一対の整合手段としての整合部材1と、プーリ支板10と、駆動手段としての奥整合部材移動モータM10(前整合部材移動モータM9)とを備えている。整合部材1は、下積載トレイ137の上方に設けられた第1整合支軸2を回動支点として上下に回動自在な一対の整合アームとしての第1整合部材91と、第1整合部材91の先端に上下に回動自在に支持された一対の整合部としての第2整合部材92とを備えている。図8(a)及び(b)に示すように、第1整合部材91は、基端が第1整合支軸2に移動自在に支持された移動部材3に支持されており、移動部材3が第1整合支軸2に沿って移動することで前奥方向(幅方向)に移動するように構成されている。移動部材3は、第1整合支軸2を回転中心として第1整合支軸2に回転自在、かつ、移動自在に支持されると共に、第2整合支軸4に回転止めとして支持されている。
【0041】
また、移動部材3は、図8(c)に示すように、位置検知部材5とで第2駆動伝達ベルト7を挟持しており、第2駆動伝達ベルト7は、両端を駆動伝達プーリ8,8に掛架されている。駆動伝達プーリ8,8は、プーリ支板10にカシメ結合されたプーリ支軸9に回転自在に支持されている。また、駆動伝達プーリ8,8は、段プーリとなっており、第1駆動伝達ベルト6とも係合している。第1駆動伝達ベルト6は、奥整合部材移動モータM10と係合している。第1整合部材91は、奥整合部材移動モータM10の駆動が第1駆動伝達ベルト6、駆動伝達プーリ8、第2駆動伝達ベルト7及び移動部材3を介して伝わり、第1整合支軸2に沿って前奥方向に移動するように構成されている。
【0042】
また、図9(a)及び図9(b)に示すように、第1整合部材91は、回転止めとしての第3整合支軸21に係合しており、第3整合支軸21は、第1整合支軸2に支持された整合部材昇降プーリ22,22に、両端が支持されている。第1整合支軸2、整合部材昇降プーリ22,22は、平行ピンにより係合されているため、整合部材昇降プーリ22と整合部材昇降プーリ22の回転は同期する。これにより、図9(c)に示すように、整合部材昇降プーリ22,22が回転すると、第3整合支軸21も第1整合支軸2を中心に回転移動し、係合している整合部材1が回転するようになっている。
【0043】
図10(a)から図10(c)に示すように、整合部材昇降プーリ22は、駆動伝達ベルト24を介して第2昇降プーリ23に連結されており、第2昇降プーリ23は、昇降伝達軸25に前奥共にDカットで取り付けられている。また、昇降伝達軸25には、第3昇降プーリ26が係合しており、第3昇降プーリ26は、駆動伝達ベルト27を介して駆動手段としての整合部材昇降モータM11に連結されている。これにより、整合部材昇降モータM11の駆動が駆動伝達ベルト27を介して第3昇降プーリ26へと伝わり、昇降伝達軸25、第2昇降プーリ23及び駆動伝達ベルト24を介して整合部材昇降プーリ22へと伝わる。その結果、整合部材昇降プーリ22が回転し、上述したように第3整合支軸21を介して第1整合部材91が上下に回動する。つまり、整合部材1が昇降する。
【0044】
このとき、整合部材昇降プーリ22が持つフラグ部22fが、整合部材1の昇降位置を検出する整合部材昇降HPセンサS11をオン、オフすることで、第1整合部材91の回動位置は検出、制御される。このようにして、整合部材昇降モータM11の駆動が前整合ユニット220と奥整合ユニット210の第1整合部材91,91の昇降へと伝達され、第1整合部材91,91の昇降(回転)は同期しながら、回転、位置制御される。
【0045】
第2整合部材92は、第1整合部材91に対して回動支点としての回動軸93を中心に上下に回転自在(屈曲自在)に支持されると共に、シートPの端部を押す整合面96を有している。また、第2整合部材92の下部は、下積載トレイ137の積載面に形成された後述の凹状部としてのくぼみ部97に沿って移動可能に形成された(略平行な)稜線94(後述の図20(a)参照)となっている。稜線94は、第2整合部材92が既積載シートに当接すると、当接した状態を維持したまま、回動軸93を中心に上方に回動する形状に形成されている(後述の図20(b)参照)。
【0046】
また、図11に示すように、第2整合部材92には、第1整合部材91の先端部91tを挟み込む溝部92mを設けてもよい。溝部92mで第1整合部材91の先端部91tを挟み込むことによって、第1整合部材91と第2整合部材92とのガタ取りをし、第1整合部材91が移動してシートの整合を行う際の第2整合部材92の追従性を向上させることができる。また、溝部92mは、回動軸93を中心に第2整合部材92が回動する際の回転軌跡に沿って案内可能に形成されており、第2整合部材92がどの位置に回動した場合でもガタ取りができ、第1整合部材91の移動に対する追従性を維持することが可能となっている。
【0047】
溝部92mは、第2整合部材92が図11(d)に示す矢印R方向に回動した際の上下方向の回動領域を広くするために、第2整合部材92の上下方向において幅の広い領域に配置にされている。例えば、溝部92mが点線部の92m’の位置に配置されていると、回動領域高さがhからh’となり回動領域が狭くなってしまう。すると、下積載トレイ137の後述の凹状部と第2整合部材92のラップ量とが十分に確保できなかったり、シートのカール状態によっては、第2整合部材92とシートとが空振りして積載ズレを引き起こしてしまう。よって、第2整合部材92の回動領域を広くすることによって、積載ズレが発生するのを防止することが可能になる。
【0048】
次に、下積載トレイ137に排出されたシートの排出方向の整合を行う排出方向整合部300について、図12から図16(b)を参照しながら説明する。図12は、上部開閉ガイド149に支持された排出方向整合部300を示す斜視図である。図13(a)は、排出方向整合部300の分解斜視図である。図13(b)は、退避位置に位置する排出方向整合部300の部分拡大図である。図14(a)は、排出方向整合部300を上ステイ11に取り付ける昇降モータ支板67を示す図である。図14(b)は、上ステイ11に取り付けられた排出方向整合部300を示す斜視図である。図15(a)は、戻しホルダ50に支持されるトレイパドル40等を示す図である。図15(b)は、図15(a)の分解斜視図である。図16(a)は、束排紙モータM5に接続された排出方向整合部300を示す斜視図である。図16(b)は、図16(a)のギア列を示す部分拡大図である。
【0049】
図12に示すように、排出方向整合部300は、上部開閉ガイド149の前奥方向の略中央部に支持されており、上部束排出ローラ130bの上方で支持されることで中間処理トレイ138から排出されるシートPの上方に位置するように構成されている。図13(a)及び図13(b)に示すように、排出方向整合部300は、トレイパドル40,40と、戻しホルダ50と、を有している。トレイパドル40,40は、戻しホルダ50の先端部に回転自在に支持されおり、戻しホルダ50の基端は、トレイ戻し支軸70に支持されている。トレイ戻し支軸70は、上部束排出ローラ130bの上方に位置するように上部開閉ガイド149に回転自在に支持されており、これにより、上部束排出ローラ130bの上方で戻しホルダ50が回動するように構成されている。なお、トレイ戻し支軸70の一端(奥側)は、ギア支板72を介して上部開閉ガイド149に支持されている。
【0050】
トレイ戻し支軸70の他端(前側)は、先端60aが戻しホルダ50と嵌合した戻し部材昇降プーリ60に接続されており、戻しホルダ50の回転とトレイ戻し支軸70の回転とが同期するように構成されている。図13(a)及び図13(b)に示すように、戻し部材昇降プーリ60には、昇降プーリスペーサ59を介して駆動伝達ベルト61及び第1昇降リンク62が接続されており、駆動伝達ベルト61及び第1昇降リンク62は、昇降リンクプーリ63に接続されている。昇降リンクプーリ63は、駆動伝達ベルト64の軸間を保持するために第2昇降リンク65が取り付けられた駆動伝達ベルト64及び昇降ギア66を介して、トレイパドル昇降モータM12に接続されている。トレイパドル昇降モータM12は、昇降モータ支板67に取り付けられており、昇降モータ支板67は、上ステイ11に取り付けられている。このように構成されることで、トレイパドル昇降モータM12の駆動力が戻しホルダ50に伝達可能になり、戻しホルダ50がトレイ戻し支軸70を中心に回動可能となる。つまり、戻しホルダ50の先端に支持されたトレイパドル40が移動自在になる。
【0051】
戻しホルダ50の回動は、センサ板58を介して上部開閉ガイド149に取り付けられたトレイパドルHPセンサS12にて検知され、フィニッシャ制御部618の整合制御部710により位置制御が行われる。具体的には、戻しホルダ50は、束排出ローラ対130の上方で待機する待機位置と、下積載トレイ137の積載面との間にシートを挟み込むと共にシートを突き当て部170に突き当てる突き当て位置と、の間を移動制御される。更に、戻しホルダ50は、整合処理(ジョブ)の終了後に、上部開閉ガイド149に収容される退避位置に移動制御される。なお、戻しホルダ50は、退避位置をホームポジションとして、通常は、退避位置に位置するように構成されている。また、退避位置は、フィニッシャの内部において、上部開閉ガイド149の回動動作に干渉しないように、上部開閉ガイド149に形成される。
【0052】
トレイパドル40,40は、複数枚のパドルを回転軸に放射状に固着して形成されている。図15(a)及び図15(b)に示すように、トレイパドル40,40は、戻しホルダ50の先端に回転自在に支持されたトレイ戻し軸43の両端に接続されている。トレイ戻し軸43は、トレイ戻し軸43の略中央部に取り付けられたトレイ戻しプーリ41に掛架された駆動伝達ベルト42を介してトレイ戻しプーリ41に接続されている。トレイ戻しプーリ41は、トレイ戻し支軸70の他端(前側)に取り付けられている。トレイ戻し軸43とトレイ戻しプーリ41は平行ピンで、トレイ戻し支軸70とトレイ戻しプーリ41も平行ピンにて係合しているため、トレイパドル40とトレイ戻し支軸70の回転は同期する。
【0053】
図16(a)及び図16(b)に示すように、トレイ戻し支軸70の端部には、ギア支板72に支持されたギア列が接続されている。ギア列は、トレイ戻し支軸70の端部に接続された戻し駆動ギア73から戻し駆動ギア74−1,74−2、排出駆動Wプーリ75、排出駆動ベルト83、排出連結Wプーリ76、排出伝達ベルト77、排出駆動Wギア78、排出ギア79と駆動連結されている。
【0054】
また、排出ギア79は、束排出ローラ対130の下部束排出ローラ130aを介して排出駆動プーリ81と接続されており、排出駆動プーリ81は、駆動伝達ベルト82を介して束排紙モータM5に接続されている。つまり、束排紙モータM5は、トレイパドル40,40及び下部束排出ローラ130aを回転させる共通の駆動源となっている。トレイパドル40,40及び下部束排出ローラ130aの駆動源を共通にすることで、部品点数を減らすことができる。
【0055】
次に、以上のように構成されたフィニッシャ100のフィニッシャ制御部618による下積載トレイ137上のシートPの整合処理について、図17から図20を参照しながら説明する。まず、ステイプル処理が行われない未綴じシートが下積載トレイ137上に排出される際に行われる未綴じ処理モードについて、図17を参照しながら説明する。図17は、下積載トレイ137に排出されたシートの未綴じ処理モードの整合処理を示すフローチャートである。
【0056】
図17に示すように、未綴じモードが設定されてジョブが開始されると(S801)、整合制御部710は、前整合ユニット220及び奥整合ユニット210の整合部材1,1と戻しホルダ50をイニシャル動作させ、ホームポジションに移動させる。なお、綴じ処理が行われる場合の中間処理トレイ138上での整合処理(S812〜S817)については、その説明を省略する。
【0057】
ここで、整合部材1,1の移動方向のホームポジションは、奥側、前側に各々設けられた前整合部材HPセンサS9、奥整合部材HPセンサS10により検知され、整合部材1,1がホームポジションに位置していない場合は整合部材1,1を移動させる。なお、整合部材1,1の移動方向のホームポジションは、それぞれが前奥方向の両端に退避させた退避位置である。
【0058】
整合部材1,1の昇降方向のホームポジションは、整合部材昇降HPセンサS11により検出され、整合部材1,1がホームポジションに位置していない場合は整合部材1,1を移動させる。なお、整合部材1,1の昇降方向のホームポジションは、整合部材1,1の先端を、第1整合支軸2を回転中心として上方に回動させて退避させた退避位置である。
【0059】
戻しホルダ50の回動方向のホームポジションは、トレイパドルHPセンサS12により検出され、戻しホルダ50がホームポジションに位置していない場合は戻しホルダ50を移動させる。なお、戻しホルダ50のホームポジションは、フィニッシャ100の内部で上部開閉ガイド149の上方に収納された状態であり、ユーザ等が接触することはない。また、上部開閉ガイド149の開閉動作にも干渉しない位置に設けられるようになっている。
【0060】
イニシャル動作により、整合部材1,1及び戻しホルダ50がホームポジションに位置すると、次に、整合制御部710はシートを受け入れ得る待機位置へと整合部材1,1及び戻しホルダ50を移動させる。まず、入力されたシートサイズ情報に応じて、整合部材1,1をシート受入位置に移動させる(S802)。なお、整合部材1,1の受け入れ位置とは、整合部材1,1同士の間隔がシートの幅方向(前奥方向)の長さよりも所定量大きく設定され、束排出ローラ対130から排出されるシートの妨げにならない位置である。その後、整合部材1,1をシート受入位置から所定量降下させて、シート受入昇降位置(以下、「待機位置」という)に移動させる(S803)。同様に、戻しホルダ50も回動させてホームポジションから待機位置へと移動させる。戻しホルダ50の待機位置とは、排出されるシートの上方に位置するように、束排出ローラ対130の上方で機外に突出した位置である。
【0061】
整合部材1,1及び戻しホルダ50が待機位置に位置すると、適宜面付けされて画像形成されたシートが順次、複写機本体600から排出され、入口ローラ対102に受け渡された後、下積載トレイ137へ搬送される(S804)。ここで、搬送されるシートPの後端が束排出ローラ対130のニップを通過すると(S805)、戻しホルダ50を待機位置から突き当て位置に下降させる。これにより、束排出ローラ対130ニップを抜けた直後の位置から下積載トレイ137上へのシートの落下がアシストされる。つまり、戻しホルダ50を待機位置から突き当て位置に移動させることで束排出ローラ対130のニップを抜けたシートを強制的に落下させることができ、落下時間を短くすることができる。
【0062】
また、束排出ローラ対130の駆動源とトレイパドル40の駆動源とが同じであるため、束排出ローラ対130と同時にトレイパドル40が回転していることで、シートPを下積載トレイ137上の突き当て部170へと突き当て可能になる。つまり、搬送方向の整合処理も下降と同時に行われる(S806)。なお、シートの後端が束排出ローラ対130のニップを抜けてから、戻しホルダ50を下降させるタイミングは、シート後端が下排出センサ129を通過してから所定時間後に下降させるように制御している。このタイミングは、例えば、排出されるシートの大きさ(サイズ)や坪量、画像形成の有無等のシート情報に応じて設定可能になっている。
【0063】
戻しホルダ50が突き当て位置で突き当て動作し、突き当て動作が終了する所定時間が経過すると、戻しホルダ50を回動させて再び待機位置に移動させる(S807)。なお、突き当て位置に位置する時間も、例えば、排出されるシートの大きさ(サイズ)や坪量、画像形成の有無等のシート情報に応じて設定可能になっている。
【0064】
戻しホルダ50が待機位置に移動すると、シートが下積載トレイ137着地後にシートPの前奥方向の長さよりも所定量大きい位置で待機する整合部材1,1をシート幅と同じ幅になるように移動させて幅方向の整合処理を行う(S808)。幅方向の整合処理が完了すると、整合部材1,1を上昇させて、再びシート受入昇降位置(待機位置)に移動させる。上述の動作を、排出されるシート毎に行い、最終シートの整合処理が完了すると、整合部材1,1及び戻しホルダ50を退避位置に移動させて、ジョブが終了する(S809,S810)。
【0065】
次に、シフト処理された未綴じ処理シートが下積載トレイ137上に排出される際に行われるオフセット未綴じ処理モードについて、図18から図19(l)を参照しながら説明する。図18は、シフト処理されたシートの未綴じ処理モードの整合処理を示すフローチャートである。図19(a)から図19(l)は、シフト処理されたシートの整合処理を説明するための図である。
【0066】
未綴じソートモードが設定されてジョブが開始されると(S901)、前整合ユニット220及び奥整合ユニット210の整合部材1,1と戻しホルダ50をイニシャル動作させ、ホームポジションに移動させる。なお、綴じ処理が行われる場合の中間処理トレイ138上での整合処理(S912〜S917)については、ここではその説明は省略する。また、ホームポジションの検出については、上述の未綴じ処理モードと同じであるため、ここではその説明は省略する。また、以下においては、前整合ユニット220の整合部材及び整合部材を構成する部材については、符号の最後に「a」を付し、奥整合ユニット210の整合部材及び整合部材を構成する部材については、符号の最後に「b」を付して説明する。
【0067】
イニシャル動作により、整合部材1a,1b及び戻しホルダ50がホームポジションに位置すると、次に、シートを受け入れ得る待機位置へと移動させる。まず、入力されたシートサイズ情報に応じて、整合部材1a,1bをシフト処理時のシート受入位置に移動させる(S902)。なお、シフト処理時のシート受入位置とは、例えば、下積載トレイ137の奥側にシフト積載(オフセット積載)する場合は、整合部材1aをシフト積載位置に位置するシートの前側端部突き当て位置で待機するように位置させた位置である。また、このとき整合部材1bは、シフトユニット108でシフトされて排出されるシートの妨げにならない位置に位置される。
【0068】
その後、整合部材1a,1bをシート受入位置から所定量降下させて、図19(a)に示すシート受入昇降位置(待機位置)に移動させる(S903)。同様に、戻しホルダ50も回動させてホームポジションから待機位置へと移動させる。
【0069】
ここで、図20(a)に示すように、図19(a)に示すシート受け入れ位置では、整合部材1a,1bは、下積載トレイ137の積載面の両側に形成されたくぼみ部97に第2整合部材92a,92bが入り込んでいる(進入している)。くぼみ部97は、第2整合部材92a,92bの稜線94が略平行となるくぼみ形状98に形成されており、シートの側端部を押す整合面96を広くとれる形状に形成されている。また、第2整合部材92a,92bの稜線94は、図20(b)に示すように、積載されたシートに当接すると当接した状態を維持したまま回動軸93を中心に回動する形状に形成されている。なお、図20に示す整合部材1a,1bは、図11に示した整合部材と同形状のものを用いて説明したが、図6等に示す整合部材1,1においても同様に形成されている。
【0070】
整合部材1a,1b及び戻しホルダ50が待機位置に位置すると、画像形成されたシートが順次、複写機本体600から排出され、入口ローラ対102に受け渡された後、搬送パス103を通過して仕分け処理部としてのシフトユニット108に搬送される。シフトユニット108では、シートPを奥側に所定量シフトさせたオフセット処理が行われ(S904)、シフト処理されたシートPは、束搬送パス121に搬送される。
【0071】
その後、シートPは、サドルパス切換部材125により下パス126に搬送され、下排出ローラ対128から束排出ローラ対130を経て、下積載トレイ137へ搬送される(S905)。ここで、搬送されるシートPが束排出ローラ対130のニップを通過すると、トレイパドル40を支持する戻しホルダ50を待機位置から突き当て位置に下降させ、シートPを突き当て部170に突き当てて、排出方向の整合処理を行う(S906、S907)。このとき、シートの後端が束排出ローラ対130のニップを抜けてから、戻しホルダ50を下降させるタイミングは、シート後端が下排出センサ129を通過してから所定時間後に下降させるように制御している。このタイミングは、例えば、排出されるシートの大きさ(サイズ)や坪量、画像形成の有無等のシート情報に応じて設定可能になっている。
【0072】
戻しホルダ50が突き当て位置で突き当て動作し、突き当て動作が終了する所定時間が経過すると、戻しホルダ50を回動させて再び待機位置に移動させる(S908)。なお、突き当て位置に位置する時間も、例えば、排出されるシートの大きさ(サイズ)や坪量、画像形成の有無等のシート情報に応じて設定可能になっている。
【0073】
戻しホルダ50が待機位置に回動すると、図19(b)及び図19(c)に示すように、シートPが整合部材1aに突き当たるまで整合部材1bを幅方向に移動させ、シートPを幅方向に整合処理する(S909)。シートの幅方向に整合処理が終了すると、整合部材1bを図19(d)に示す待機位置に再び移動させ、次のシートの受け入れに備える。上述の動作をシートが排出される毎に繰り返し行い(図19(e)及び図19(f)参照)、最終シートの整合処理が完了すると、シフト位置の入れ替えを行う(S910、S911)。
【0074】
シフト位置の入れ替えは、整合部材昇降モータM11で所定量上昇させると共に、整合部材1a,1bを積載したシート束から離れる方(本実施形態においては前奥方向)に移動させる(S918)。そして、下積載トレイ137の前側にシフト積載するために、シフト積載時のシート受入位置に移動させる(S902)。このときの整合部材1bは、シフト積載位置のシートの奥側端部突き当て位置で待機させ、整合部材1aは、シフトユニット108でシフトされて排出されるシートの妨げにならない位置に待機させる。
【0075】
その後、整合部材1a,1bをシート受入位置から所定量降下させて、シート受入昇降位置(待機位置)に移動させる(S903)。このとき、図19(g)に示すように、整合部材1bは、シート束の最上位のシートの上面に当接する。ここで、整合部材1bは、図20(b)に示すように、第2整合部材92bがシート束に食い込まないような稜線95となっている。そのため、回動軸93bを中心に第2整合部材92bが上方に回動することで、シート束の上に載った整合部材1bによりシート束がずれるようなことはない。また、回動軸93bを中心に第2整合部材92bが回動することで、シートに当接した整合部材1bの第1整合部材91aの回動角度が整合部材1aの第1整合部材91aの回動角度と同じになるように回動(フィニッシャ100側に移動)する。そのため、整合部材1bの第2整合部材92aの整合面と整合部材1aの第2整合部材92bの整合面とで幅方向に一致した対向面が構成される(図20(b)参照)。
【0076】
この状態でシフトユニット108によりシート積載位置のシートの奥側端部突き当て位置よりも前側に所定量シフトさせた位置にシートが排出される。そして、束排出ローラ対130のニップを通過すると、戻しホルダ50を突き当て位置に下降させ、排出方向の整合処理を行う(S905〜S907)。戻しホルダ50が突き当て位置で突き当て動作し、突き当て動作が終了する所定時間が経過すると、戻しホルダ50を回動させて再び待機位置に移動させる(S908)。このときの戻しホルダ50を下降させるタイミング及び突き当て位置に位置する時間は、上述と同様である。
【0077】
戻しホルダ50が待機位置に回動すると、図19(h)及び図19(i)に示すように、シートが整合部材1bに突き当たる位置まで整合部材1aを幅方向に移動させ、整合処理する(S909)。シートの幅方向に整合処理が終了すると、整合部材1aを図19(j)に示す待機位置に再び移動させ、次のシートの受け入れに備える。上述の動作をシートが排出される毎に繰り返し行い(図19(k)及び図19(l)参照)、最終シートの整合処理終了後、次のシート束がある場合は、シフト位置の入れ替えを行う(S910、S911)。一方、次のシート束がない場合は、整合部材1a、整合部材1b及び戻しホルダ50を退避位置に移動させて、ジョブが終了する(S919)。
【0078】
このように、整合部材1a,1bは、回転中心が上方にあるため、最上位のシート(あるいはシート束)と離れた位置にある。また、シフト処理されたシート(あるいはシート束)を整合処理する場合には、幅方向に整合しようとするシートが整合部材1a,1bの下を通過してしまうことを防止するために、整合部材1a,1bの一方を下方に位置させる必要がある。そのため、従来例の整合部材500a,500bにおいては、図21(c)及び図21(d)に示すように、整合部材500aの整合面Aと整合部材500bの整合面Bとが、それぞれが排出方向に離れた位置に位置することになる。これにより、この状態で整合動作を行うと、前側と奥側とでシートを押す位置がずれ(図21(c)に示す矢印方向)、シートに回転モーメントを与えることになり、整列性が乱れる。
【0079】
一方、本実施形態においては、回動軸93a,93bを中心に第2整合部材92a,92bが上下に回動自在に支持される。そのため、例えば、シートに当接した整合部材1bの第1整合部材91bの回動角度を整合部材1aの第1整合部材91aの回動角度と同じになるように回動(フィニッシャ100側に移動)させることができる。これにより、整合部材1bの第2整合部材92bの整合面と整合部材1aの第2整合部材92aの整合面とで幅方向に一致した対向面が構成可能となる(図21(b)参照)。その結果、整合動作を行うに際し、前側と奥側とでシートを押す位置がずれてシートに回転モーメントを与えることを防止することができる。つまり、シフト処理されたシートを整合処理する場合においても、シートを好適に整合可能なシート積載装置及び画像形成装置を提供することができる。
【0080】
これは、例えば、シートがカールすると、シート束の厚さが排出方向における上流側と下流側とでシート束の厚さが異なる場合にも有効となる。
【0081】
また、本実施形態においては、下積載トレイ137の幅方向の両側にくぼみ部97を形成し、第2整合部材92a,92bの下端部をくぼみ部97のくぼみ形状98に沿った稜線94となるように形成している。そのため、第2整合部材92a,92bをくぼみ部97に沿って幅方向に移動させることが可能になる。これにより、例えば、下積載トレイ137に1枚目のシートが積載された場合においても、シートが第2整合部材92a,92bの下を通過してしまうことが防止可能となり、好適に整合処理することができる。なお、くぼみ形状は、少なくとも下積載トレイ137のシート幅方向の両側に形成されていればよい。
【0082】
また、第2整合部材92a,92bの稜線94は、第2整合部材92a,92bがシート又は下積載トレイ137に当接すると、当接した状態を維持したまま、回動軸93a,93bを中心に上方に回動する形状に形成されている。そのため、シートに当接した場合においても、シートに食い込むことなく、上方に回動することができる。
【0083】
ここで、第2整合部材92の回動軸93と下積載トレイ137、第2整合部材92の位置関係について、図22から図24を参照しながら説明する。図22(a)から(d)は、第2整合部材92の下側をシートが通過するのを防ぐための第2整合部材92の回動軸93の配置領域を示す図である。図23(a)から(c)は、第1整合部材91が回動するときに第2整合部材92が積載済みのシートを移動させるのを防止するための第2整合部材92の回動軸93の配置領域を示す図である。図24(a)から(d)は、第1整合部材91が整合位置へと回動する際のシートとの干渉を防止するための第2整合部材92の回動軸93の配置領域、及び、図22、23の領域とを兼ねた第2整合部材92の回動軸93の配置領域を示す図である。なお、図22から図24示す整合部材は、図11に示した整合部材と同形状のものを用いて説明したが、図6等に示す整合部材1,1においても同様である。
【0084】
図22(a)に示すように、第2整合部材92の回動軸93は、第1整合部材91が回動して第2整合部材92が整合位置に位置した際に、第2整合部材92の回動領域が、図22(a)の破線で示す軌跡C1となるように配置されている。なお、軌跡C1は、第2整合部材92が整合位置に位置した際に、第2整合部材92が下積載トレイ137のくぼみ形状98に対して喰い込む方向の、回動軸93を中心とした軌跡である。そのため、第2整合部材92が、下積載トレイ137の積載面137aの下方に位置するくぼみ部97に入り込み、積載面137aと第2整合部材92とが、整合位置に回動した際の第2整合部材92の最下面92cとの距離Dを確保可能となる。これにより、第2整合部材92の下をシートが通過するのを防止することができる。
【0085】
また、図22(b)に示すように、第2整合部材92の回動軸93は、くぼみ形状98の最下部である最下点98bの法線(最下点98bからくぼみ形状98と直交する方向に引いた直線)L1よりも排出方向上流側である一点鎖線内の領域に配置されている。これにより、下積載トレイ137のくぼみ形状98に喰いこむ方向に第2整合部材92を効率良く回動させることができる。一方、例えば、図22(c)に示すように、法線L1よりも排出方向下流側の位置に回動軸93’が配置されていると、第2整合部材92がくぼみ部97から離れていく方向(接線方向)の軌跡C2のように回動する。そのため、図22(a)の下積載トレイ137の積載面137aとの距離Dを確保することができなくなり、第2整合部材92の下側をシートが通過して積載ズレを引き起こすおそれが生じる。
【0086】
また、例えば、図22(d)に示すように、回動軸93’’のように回動軸93よりも下方にしていくと、第2整合部材92の描く回動軌跡が軌跡C3のようになり、回動軸93のときよりもさらに下積載トレイ137のくぼみ形状98に対して喰い込む方向となる。そのため、第2整合部材92の下をシートが通過するのを防止する点で、回動軸93のときよりも有利となり、できる限り下方にすることが望ましい。本実施形態においては、束排出ローラ対130のニップ線L2より下方に配置されている。そのため、図22(d)の一点鎖線内の領域T1内で、且つ、下方にしていくことにより、第2整合部材92の下をシートが通過するのを防止することができる。
【0087】
図23(a)に示すように、第2整合部材92の回動軸93は、第2整合部材92が下積載トレイ137の既積載シートPに当接したときに、第1整合部材91の第1整合支軸2から積載面137aに下ろした垂線L3上よりも排出方向の下流側に配置されている。これは、上述したシフト方向が切り替わる際に第1整合部材91が上方に回動して、第2整合部材92をシートに当接した位置から退避させるときに、下積載トレイ137に積載されて整合済みのシートPを移動させてしまうのを防止するためである。例えば、回動軸93zのように、回転軸が垂線L3よりも搬送方向上流側に位置すると、第1整合部材91が第1整合支軸2を中心に矢印Z方向に回動する際に、第2整合部材92の回動軌跡が軌跡C3のように既積載のシートPに対して喰い込む方向となる。すると、第1整合部材91が回動する際に、既積載の整合済みのシートPを矢印Y方向へと移動させてしまい、積載ズレを引き起こしてしまう。
【0088】
一方、図23(b)のように、第1整合支軸2から下積載トレイ137へ下ろした垂線L3よりも排出方向下流側に回動軸93が配置されていると、第1整合部材91が矢印Z方向に回動する際の軌跡C3が既積載のシートPから離れていく方向に回動する。そのため、上記のように既積載のシートPを移動させることがなく、第1整合部材91の回動に伴う既積載シートPの積載ズレを防止することができるようになっている。よって、本実施形態においては、第1整合支軸2から下積載トレイ137の積載面137aへと垂直に下ろした垂線L3よりも排出方向下流側に第2整合部材92の回動軸93を配置している。
【0089】
図22の第2整合部材92の下をシートが通過しない条件と、図23(a)及び(b)の第2整合部材92が整合位置から退避するときに既積載シートPを移動させない条件とを考慮して、図23(c)に示す一点鎖線の領域T2内に回動軸93は配置されている。即ち、くぼみ形状98の最下点98cから引いた法線L1と、束排出ローラ対130のニップ線L2と、第1整合支軸2から下積載トレイ137の積載面137aに垂直に下ろした垂線L3と、下積載トレイ137のくぼみ部97とで囲まれた領域である。
【0090】
一方、第1整合部材91が第1整合支軸2を中心に回動し、整合位置から退避した後に再び整合位置へと回動して第2整合部材92がシートPに当接する際に、図24(a)に示すように、第2整合部材92が当接して、回動軸93を中心に上方に回動する。すると、シートPがカール状態でない通常時には、第2整合部材92の最下面92cの部分がシートPに当接するようになっている。しかしながら、図24(b)に示すように、シートがカールした状態、特に上カールした状態で、束排出ローラ対130から排出されて、下積載トレイ137へと積載されると、カールしている分だけ、シートPの後端側が盛り上がって積載面が上昇する。すると、本来、第2整合部材92がシートに当接して上方に回動するはずが、第1整合部材91の最下面91cがシートに当接してしまう可能性がある。第1整合部材91がシートに当接すると、整合部材昇降モータM11で第1整合部材91を回動させる際に、既積載のシートPと干渉し、シートPが抵抗となり整合部材昇降モータM11が脱調する等、第1整合部材91が正常動作できない可能性がある。
【0091】
そのため、図24(c)に示すように、上カール状態のシートPを積載した場合にも第1整合部材91の最下面91cがシートPに当接しないように積載面137aから第1整合部材91の最下面91cまで、所定距離dだけ離れた位置となるように構成されている。これにより、第1整合部材91が回動する際に上カール状態でシートPが積載されても、第1整合部材91とシートPが干渉することがなくなり、第1整合部材91を正常に動作させることができる。第1整合部材91と、第1整合部材91が整合位置へと回動する際の第1整合部材91の最下面91cとが積載面137aからd離れた位置となり、第2整合部材92の回動軸93も積載面からd離れた直線L4よりも所定量上方に位置することになる。
【0092】
図22及び図23の第2整合部材92の下側のシート通過防止と、既積載のシートPの移動防止と、第1整合部材と既積載シートPの干渉防止とを踏まえ、回動軸93は、図24(d)のように、直線L1〜L4で囲まれた領域T3内に配置されている。
【0093】
以上のように、第2整合部材92の回動軸93を領域T3に配置することで、排出されたシートを整合する際にシートが第2整合部材92の下側を通過するのを防ぎ、第2整合部材92を上方に退避させる際に、既積載シートが移動するのを防止可能になる。そして、第1整合部材91が整合位置へと回動するときにシートと干渉して第1整合部材91の動作に影響を及ぼすのを防止することができる。
【0094】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。
【0095】
例えば、本実施形態においては、奥側からシフト積載を開始する態様を用いて説明したが、前側からシフト積載を開始する態様であってもよい。
【0096】
また、本実施形態においては、第1整合部材91は、1つの回動軸を中心に回転するように構成したが、本発明においてはこれに限定されない。第1整合部材91は、2以上の回動軸(回動支点)を有する構成であってもよい。2以上の回動軸を有することで、整合部材1bの第2整合部材92bの整合面と整合部材1aの第2整合部材92aの整合面とで幅方向に一致した対向面が構成可能となる。
【符号の説明】
【0097】
1 整合部材(一対の整合手段)
91 第1整合部材(一対の整合アーム)
92 第2整合部材(一対の整合部)
93 回動軸(回動支点)
94 稜線
97 くぼみ部(凹状部)
98 くぼみ形状
98b 最下点(最下部)
100 フィニッシャ(シート積載装置)
108 シフトユニット(シフト処理部)
130 束排出ローラ対(排出部)
137 下積載トレイ(シート積載部)
138 中間処理トレイ
149 上部開閉ガイド
200 幅方向整合部(シート整合部)
600 複写機本体
604 画像形成部
1000 複写機
L1 法線
M9 前整合部材移動モータ(駆動手段)
M10 奥整合部材移動モータ(駆動手段)
M11 整合部材昇降モータ(駆動手段)
P シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを排出する排出手段と、
前記排出手段が排出したシートを積載するシート積載部と、
上下に回動自在、かつ、シートの排出方向と直交する幅方向に移動自在に支持された一対の整合アームと、前記一対の整合アームの先端に上下に回動自在に支持された一対の整合部材と、を有する一対の整合手段と、
前記一対の整合アームを回動させ、かつ幅方向に移動させる駆動手段と、
前記駆動手段を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記排出手段が排出したシートを、前記シート積載部に既に積載されたシートに対して幅方向にずれた位置で整合する際、前記一対の整合部材の一方が前記シート積載部に既に積載されたシートの上面に当接して上方に回動するよう前記一対の整合アームを下方に回動させ、前記一対の整合部材の一方と、前記シート積載部に既に積載されたシートに当接しない前記一対の整合部材の他方と、で排出されたシートを幅方向に整合するよう前記駆動手段を制御する、
ことを特徴とするシート積載装置。
【請求項2】
前記一対の整合アームは、2以上の回動支点を有し、前記一対の整合部材がシート又は前記シート積載部に当接すると、屈曲自在に構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項3】
前記一対の整合部材は、シート又は前記シート積載部に当接すると当接した状態を維持したまま回動支点を中心に上方に回動する形状に形成される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート積載装置。
【請求項4】
前記シート積載部は、積載面の少なくとも両側に、前記一対の整合部材が、積載されたシートより下方に進入し、かつ、前記幅方向に移動可能となるようにくぼんだ凹状部を有する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のシート積載装置。
【請求項5】
前記一対の整合部材のそれぞれは、前記凹状部のくぼみ形状に沿うように形成された稜線を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載のシート積載装置。
【請求項6】
前記一対の整合部材のそれぞれは、回動支点から該回動支点と先端部との間の中央部に向けて上下方向の幅が広くなると共に、前記中央部から前記先端部に向けて、前記凹状部のくぼみ形状に沿った前記稜線によって上下方向の幅が狭くなるように形成される、
ことを特徴とする請求項5に記載のシート積載装置。
【請求項7】
前記一対の整合部材のそれぞれは、前記一対の整合アームのそれぞれの先端を挟み込み、前記一対の整合部材のそれぞれを回動方向に案内する溝部を有し、
前記溝部は、前記稜線より排出方向上流側の幅の広い領域に形成される、
ことを特徴とする請求項6に記載のシート積載装置。
【請求項8】
前記一対の整合部材のそれぞれが回動するための回動支点は、前記一対の整合部材の一方が回動して前記一対の整合部材の他方とで対向面を構成する際に、前記凹状部のくぼみ形状の最下部における法線よりも排出方向上流側に位置する、
ことを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載のシート積載装置。
【請求項9】
前記排出手段は、排出ローラ対であり、
前記一対の整合部材のそれぞれが回動するための回動支点は、前記排出ローラ対が形成するニップ線よりも下方に位置する、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のシート積載装置。
【請求項10】
前記一対の整合アームがシートを整合する整合位置へと回動して、前記一対の整合部材がシートに当接して上方に回動した際に、前記一対の整合アームの最下部が、前記積載部の積載面より所定量上方に位置する、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のシート積載装置。
【請求項11】
前記一対の整合部材の一方が回動して前記一対の整合部材の他方とで対向面を構成する際の前記一対の整合部材の一方の回動支点は、前記一対の整合部材の一方とで対向面を構成する際の前記一対の整合部材の他方の回動支点から前記シート積載部の積載面へと垂直に下ろした直線よりも排出方向下流側に位置する、
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のシート積載装置。
【請求項12】
前記排出手段の排出方向の上流に、シートを排出方向と直交する幅方向にシフトさせるシフト処理部を備え、前記整合手段は、前記シフト処理部によりシフト処理されたシートを整合する、
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のシート積載装置。
【請求項13】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって画像が形成されたシートを整合処理する請求項1から12のいずれか1項に記載のシート積載装置と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−49572(P2013−49572A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−103012(P2012−103012)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】