説明

シート給送装置および画像形成装置

【課題】数少ないサイドエア吹付駆動源で、シートをスキュー給送することなく、また重送しない給送を行えるシート搬送装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】用紙束2の各側端面にエアaを吹き付けるサイドエア吐出口42oを備えた複数のサイド吐出ノズル42a,42b,42c,42dと、サイド吐出中継管(ダクト)43とサイド吐出駆動源チャンバ44とを介して、サイド吐出ノズル42a,42b,42c,42dに連通・接続され、サイドエア吹付駆動源としての直列に連通・接続された2つのシロッコファン41a,41bとを有する。サイドフェンス5と連動して移動可能な各サイド吐出ノズル42a,42b,42cおよび移動不能なサイド吐出ノズル固定42dは、積載・セットされた用紙束2の先端からシート給送方向Xに異なった距離に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート給送装置およびこれを有する画像形成装置に関し、さらに詳しくは、エアを吹き付けることにより積載されたシート束からシート同士を分離させ、分離された最上位の1枚のシートをエア吸引しつつ給送するエア吸引式のシート給送装置およびこれを有する、孔版印刷装置等を含む印刷装置、電子写真方式の複写機を含む複写機、ファクシミリ、プリンタ、インクジェット記録装置、プロッタ等またはそれら複数の機能を備えた複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
積載されたシート束からシートを1枚ずつ取り出し給送するシート給送装置(給紙装置)には、周知のとおり、摩擦式およびエア式のものがある(摩擦式については図19参照)。エア式の給紙装置は、エアを吹き付け・吐出することによりシート束からシート同士を分離させ、分離された最上位の1枚のシートをエア吸引しつつ給送するものである(例えば、特許文献1ないし3参照)。
【0003】
図15および図16に、従来のエア式の給紙装置500(以下、「エア給紙装置500」ともいう)の一例を示す。エア給紙装置500の原理は、概略以下の(1)〜(3)の工程・動作で行われる。
(1)用紙束2の先端面および両側端面にエアaを吹き付けることで、用紙間にエアが入り、図15に示すように用紙束2の用紙S同士が1枚ずつに分離しバラける。
(2)分離した用紙S1,Sの最上位の用紙S1を1枚のみ吸引することで、吸引ベルト11に用紙S1が貼り付き・保持される。
(3)吸引ベルト11が回転・走行することで、用紙S1を1枚給送・搬送する。
【0004】
用紙束2の先端面および両側端面にエアaを吹き付ける工程(1)で機能する構成部品(構成要素)の動作は、次のようである。図15に示すように、用紙束2の前方からはフロントエア吐出駆動源としてのDCファンからなるフロントエア吐出ファン23によりエアaの流れを作り、このエアaがフロント吐出チャンバ20を通りフロントエア吐出口21から外に出て、用紙束2の先端面(前端面)に吹き付ける。ここで、フロントエア吐出口21を備えたフロント吐出チャンバ20およびフロントエア吐出ファン23は、フロント吐出ユニット22を構成している。
【0005】
また、図15および図16に示すように、用紙束2の左右の両側端面からも同様に、サイドエア吐出駆動源としてのDCファンからなる左右一対のサイドエア吐出ファン41,41よりエア(以下、「サイドエア」ともいう)aの流れを作り、このエアaがサイド吐出チャンバ42を通り外に出て、用紙束2の各側端面に吹き付ける。上記各エアが用紙束2の先端面および両側端面に吹き付けることで、用紙束2の上部が図15に示すように1枚ずつ分離しバラける。
ここで、サイドエア吐出ファン41,41およびサイド吐出チャンバ42は、サイド吐出ユニット40を構成している。フロント吐出ユニット22およびサイド吐出ユニット40は、給紙トレイ3上に積載された用紙束2の先端面および両側端面にエアを吹き付けることにより用紙Sを1枚ずつ分離させるエア分離手段を構成している。
【0006】
給紙トレイ3は、図示しない駆動手段としての昇降モータを備えた昇降機構によって、用紙束2を積載して昇降可能に構成されている。給紙トレイ3の上方には、給紙トレイ3上に積載されている用紙束2の最上位の用紙Sの後端部に当接して、分離された1枚の最上位の用紙S1をエア吸引給紙可能とする給紙位置を占めるようにするための上限検知センサ(図示せず、例えば、コロ状部材とこれを回転可能に支持するブラケットに設けられたフィラーで透過型フォトセンサをオン/オフする構成)が配設されている。この図示しない上限検知センサからの信号に基づいて、図示しない制御手段は給紙トレイ3が用紙束2の積載高さに応じた適正高さを保持するように上記図示しない昇降モータを制御するようになっている。
給紙トレイ3におけるシート給送方向あるいはシート搬送方向(以下、「用紙搬送方向」もしくは「給紙方向」ともいう)Xと直交するシート幅方向(以下、「用紙幅方向」ともいう)Yには、用紙束2の両側端の位置を規制することで位置決め揃えるための図示しない一対のサイドフェンスがシート幅方向Yに移動可能に設けられている。各サイドフェンスにはサイドエアを通過させる開口部が形成されている。
【0007】
分離した最上位の用紙S1を1枚のみ吸引する工程(2)および吸引ベルト11が回転・走行することで用紙S1を1枚搬送する工程(3)で機能する構成部品(構成要素)は、吸引ベルト11、駆動ローラ14a、従動ローラ14b、吸引チャンバ12、吸引中継管(ダクト)13、エア吸引駆動ファン15、吸引駆動源チャンバ17、吸引ベルト駆動モータ47である。
用紙束2における最上位の用紙S1の上方に、一対の回転部材としての駆動ローラ14aと従動ローラ14bとの間に巻き掛けられた無端ベルトからなる吸引ベルト11が有り、吸引ベルト11には、エア吸引用の多数の孔11aが形成されている。なお、図16においては、図示の簡明化を図るため、孔11aの形成箇所を駆動ローラ14aと従動ローラ14bとの間の吸引ベルト11の特定の範囲に形成されているように描かれているが、孔11aが吸引ベルト11におけるシート給送方向Xおよびこれと直交するシート幅方向Yの全体に亘って、当然吸引ベルト11の下側および各ローラ上14a,14bにも等ピッチで形成されていることは無論である(後述する吸引ベルト11の平面図でも同様)。
用紙束2が積載されている給紙トレイ3の左右外側には、後述する給紙ユニット500A(該給紙トレイ3を含め上記工程(1)〜(3)で機能するほぼ全ての構成部品で構成される)を構成する図示しない一対のユニット側板が配設されていて、駆動ローラ14aと従動ローラ14bとは、上記一対のユニット側板に図15中矢印方向(時計回り方向)に回転可能に軸支されている。また、給紙ユニットを構成しないエア給紙装置にあっては、駆動ローラ14aと従動ローラ14bとは、装置本体に固着された図示しない一対の側板に図15中矢印方向(時計回り方向)に回転可能に軸支される。
駆動ローラ14aの軸の一端は、カップリング14cを介して、上記一方のユニット側板側に固設された、ベルト駆動手段としての吸引ベルト駆動モータ47の出力軸47aに接続されている。吸引ベルト駆動モータ47は、速度可変制御および回転による搬送距離の制御が容易で正確な、例えばステッピングモータからなる。
【0008】
駆動ローラ14aと従動ローラ14bとの間であって、上下の吸引ベルト11で囲まれた空間には、下向きに開口12aを形成されほぼ箱状をなす、エアaを吸引する吸引チャンバ12が設けられている。吸引チャンバ12の一側には、吸引中継管13が図16に示す吸引口13aを介して連通・接続されている。
エア吸引をする駆動源は、エア吸引駆動源としてのエア吸引駆動ファン15であり、このエア吸引駆動ファン15には、吸引駆動源チャンバ17が連通・接続されている。従って、吸引チャンバ12とエア吸引駆動ファン15とは、吸引中継管(ダクト)13と吸引駆動源チャンバ17とを介して連通・接続されている。
上記した吸引ベルト11、駆動ローラ14a、従動ローラ14b、吸引チャンバ12、吸引中継管13、エア吸引駆動ファン15、吸引駆動源チャンバ17、吸引ベルト駆動モータ47は、吸引ユニット10を構成している。
上記した吸引ユニット10中、吸引ベルト11、吸引チャンバ12、吸引中継管13、エア吸引駆動ファン15、吸引駆動源チャンバ17は、エア吸引手段を構成している。
また、上記した吸引ユニット10中、吸引ベルト11、駆動ローラ14a、従動ローラ14b、吸引ベルト駆動モータ47は、上記エア吸引手段により吸引・保持された用紙Sを給送するシート給送手段を構成している。
【0009】
上記工程(2)および(3)での動作は、次のようである。すなわち、エア吸引駆動ファン15を駆動させることにより、吸引駆動源チャンバ17および吸引中継管13を介して、吸引チャンバ12によりエアaが吸引されると、吸引チャンバ12の内部が負圧になり、吸引チャンバ12の開口12a面に対向した範囲の吸引ベルト11の孔11aからエアaが吸引されるので、上記(1)の工程で1枚に分離された最上位の用紙S1が吸引ベルト11に貼り付け・吸着保持される。
用紙S1が吸引ベルト11に貼り付いたら、吸引ベルト駆動モータ47を駆動させて、駆動ローラ14aを図15中矢印方向に回転させ、吸引ベルト11を走行させることで、シート給送方向Xの下流側に配設された上下一対のレジストローラ113a,113bまで用紙S1を搬送する。レジストローラ対113a,113bまで用紙S1を搬送後、吸引ベルト駆動モータ47の駆動を停止させることにより、吸引ベルト11の走行を停止させ、所定時間、吸引動作待ちをする。残りの用紙S1の搬送は、レジストローラ対113a,113bの回転により行う。用紙S1の後端が用紙束2の先端面を突き当てている前面板4の近傍にくると、上記したと同様の動作によって次の1枚に分離された用紙Sが吸引ベルト11に貼り付く。この工程・動作を繰り返すことで給紙をするのが、エア給紙のシステムである。なお、前面板4には、フロントエア吐出口21から吹き付けるエアaを通過させるための図示しない縦長状の複数のスリットが開けられている。
【0010】
図15および図16において、500Aはエア給紙装置500を構成する構成部品(構成要素)のうち、レジストローラ対113a,113bを除いて一体的に構成された給紙ユニットを示している。給紙ユニット500Aは、図示しないネジ等の締結手段を含む着脱手段を介して、例えば後述する図19に示す孔版印刷装置の装置本体50に対して着脱自在に構成されている。
【0011】
エアの吸引力は、吸引チャンバ12の開口12a面に対向した範囲に位置する吸引ベルト11の孔11aのトータルの面積(以下、「吸引ベルト孔面積」という)と、これらの孔11aから吸引するエアの速度とで決まる。エアの吸引力を大きくするには、一般的に、上記吸引ベルト孔面積は大きく、エアの速度は速いほうがよい。これは、エアの吸引力が大きくなって用紙Sを吸引・保持する働きが良好となるためである。なお、ここでいうエアの吸引力とは、単位時間当たりのエアの容積・風量を意味している。
吸引ベルト11の孔11aより吸引する風速を速くするには、吸引ベルト11の上記トータルの孔11aの面積より大きな断面積の吸引中継管13がよい。
【0012】
ところで、従来のサイドエアの吹き付けは、特許文献3の図2および図3に示されているように、シート幅方向の片側のみからサイドエア吹付けを行う方式や、または同文献の図10に示されているように、シート幅方向の両側のサイド規制部材(104,104)(サイドフェンス)からサイドエア吹付けを行って、用紙を浮上させ分離させている。
特許文献3の図2および図3に示されているファン(4,5)(サイドエア吹付駆動源)は、片側のサイド規制板(2)(サイドフェンス)に設置されているにもかかわらず、サイド規制板(2)に連動してシートサイズに対応してシート幅方向に移動するように構成されている。
【0013】
けれども、多くの従来技術では、例えば特許文献2の図6に示されている基準板(4)(サイドフェンス)ように、片方のサイドフェンスを固定とし、その固定されたサイドフェンスにサイド吹付け手段の開口部(8a)(サイドエア吐出口)を設置している。
【0014】
上記(1)の用紙分離工程で用紙束2の用紙S同士を1枚ずつに分離させるには、用紙束2の左右の両側端面に対するエアa(以下、「サイドエアa」ともいう)の吹付け力が重要である。サイドエアaの吹付け力Fは、吹付け面積(断面積)Acとエアの速度(風速)Vとの次式で決まる。但し、次式において、Qはサイドエアaの流量、ρはサイドエアaの密度である。すなわち、F=Q×V×ρ=Ac×V×V×ρである(∴Q=Ac×V)。
【0015】
【特許文献1】特開2005−162456号公報
【特許文献2】特開2007−31070号公報
【特許文献3】特開2007−197097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記従来の2つのサイドエアの吹付け方式については、以下の問題点がある。すなわち、第1に、片側のサイドフェンスからのみのサイドエア吹付け方式では、シート幅方向に大きい用紙(シート)使用の場合、例えばA3やA4短手(つまりシート幅方向のサイズが297mm)の場合は、シート幅方向の片方のみ浮き上がり・分離し、逆側は浮き上がらない。その状態で吸引ベルトにて用紙を吸引すると、浮き上がった方は低負荷で吸引保持して搬送できるが、浮き上がらない方は搬送抵抗が大きくなり、斜めに搬送、つまりスキュー搬送になってしまう。最悪の場合、用紙を確実に吸引できず不送りになってしまう。
【0017】
第2に、両側のサイドフェンスからのサイド吹付け方式の場合では、シート幅方向に大きい用紙使用の場合(A3等)は、上記の第1のような不具合現象の発生はなく、用紙の浮き上がり・分離および搬送は安定する。しかし、逆にシート幅方向に狭い用紙使用の場合、例えばA5以下(シート幅方向のサイズが150mm以下)などの場合は、両側のサイドフェンスに設けられたサイドエア吐出口よりエアが吹き出しているため、お互いのエアが衝突し、エアの逃げが前方(シート給送方向)もし<は後方になる(後述の実験例を示す図10参照)。エアの逃げが後方だけのみであれば特に問題はないが、やはり前方にも逃げてしまう。この場合、その前方に逃げたエアが、積載されている用紙の先端部に影響を及ぼしてしまい、用紙が勝手に前方に行ってしまう。つまり重送搬送になってしまうという問題点がある。
【0018】
上記第2の問題点の対策としては、シート幅方向に狭い用紙使用の場合は、片側のサイドエア吹付けを停止させれば、両側のサイドフェンスより吹き出しているエア同士は衝突しずらくなるが、サイドフェンスがあるため完全にはエアが逃げることはできない。
また、この対策を行う場合は、各サイドフェンスにサイドエア吹付駆動源(DCファン等)を取り付けるか、または栓(切替バルブ)と栓を開閉駆動させる駆動源(モータ等)が必要となり、コストアップになってしまう。また用紙種類によって制御することも必要となってしまう。
【0019】
本発明は、上述の問題点・事情に鑑みてなされたものであり、数少ないサイドエア吹付駆動源で、シートをスキュー給送することなく、また重送しない給送を行えるエア給送方式のシート搬送装置およびこれを有する画像形成装置を実現し提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述した課題を解決するとともに上述した目的を達成するために、請求項ごとの発明では、以下のような特徴ある手段・構成を採っている。
請求項1記載の発明は、積載されたシート束の両側端面にエアを吹き付けることによりシートを1枚ずつ分離させるエア分離手段と、分離された最上位のシートを吸引するエア吸引手段と、該エア吸引手段により吸引保持されたシートをシート給送方向に給送するシート給送手段とを具備するシート給送装置において、上記エア分離手段は、シート束の上記各側端面にエアを吹き付ける複数のサイドエア吐出口と、該複数のサイドエア吐出口部に連通・接続されたサイドエア吹付駆動源とを有し、上記複数のサイドエア吐出口は、シート束の上記各側端面に対向して少なくとも2箇所配置され、かつ、それらが上記シート給送方向におけるシート束の先端から異なった距離に配置されていることを特徴とする。
【0021】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のシート給送装置において、上記シート給送方向と直交するシート幅方向におけるシート束の両側端の位置を規制する上記シート幅方向に移動可能な一対のサイドフェンスを有し、上記サイドエア吐出口を、上記一対のサイドフェンスの移動に連動して移動するように構成したことを特徴とする。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のシート給送装置において、上記複数のサイドエア吐出口のうちの上記シート給送方向の最下流に配置された最下流サイドエア吐出口は、上記シート給送方向および上記シート幅方向に移動不能に固定されていることを特徴とする。
【0023】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか一つに記載のシート給送装置において、上記サイドエア吹付駆動源は、エアを吸引するエア吸引口と、上記サイドエア吐出口に連通・接続されエアを吐出するエア吐出口とを備えており、上記エア吸引手段は、エアを吸引するエア吸引口とエアを吐出するエア吐出口とを備えたエア吸引駆動源を有し、上記サイドエア吹付駆動源は、上記エア吸引駆動源の上記エア吐出口近傍に配置されていることを特徴とする。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のシート給送装置において、上記サイドエア吹付駆動源は、シロッコファンであり、上記シロッコファンは、複数個配設されており、上流側の上記シロッコファンの上記エア吐出口に、該上流側の上記シロッコファンに燐る下流側の上記シロッコファンの上記エア吸引口を連通・接続して配置したことを特徴とする。
【0025】
請求項6記載の発明は、請求項4記載のシート給送装置において、上記エア吸引駆動源は、シロッコファンであり、上記シロッコファンは、複数個配設されており、上流側の上記シロッコファンの上記エア吐出口に、該上流側の上記シロッコファンに燐る下流側の上記シロッコファンの上記エア吸引口を連通・接続して配置したことを特徴とする。
【0026】
請求項7記載の発明は、請求項5または6記載のシート給送装置において、上記各シロッコファンは、回転数を可変することで、静圧および風量を変えることが可能であるDCファンからなることを特徴とする。
【0027】
請求項8記載の発明は、請求項4、5または6記載のシート給送装置において、上記エア吸引手段は、分離された最上位のシートを吸引し搬送するための、一対の回転部材の間に巻き掛けられ上記シート給送方向に走行するベルトを備えており、上記ベルトを駆動する駆動手段を上記エア吸引駆動源の近傍に配置し、上記サイドエア吹付駆動源、上記エア吸引駆動源および上記駆動手段を覆うカバー部材を有することを特徴とする。
【0028】
請求項9記載の発明は、請求項7記載のシート給送装置において、シートの種類を認識するシート種類認識手段と、上記シート種類認識手段により認識されたシートの種類に応じて、上記各シロッコファンを制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0029】
請求項10記載の発明は、請求項7記載のシート給送装置において、シートの種類を認識するシート種類認識手段と、上記印刷装置の温度を検知する温度検知手段と、上記シート種類認識手段により認識されたシートの種類および上記温度検知手段により検知された上記シート給送装置の温度に応じて、上記各シロッコファンを制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0030】
請求項11記載の発明は、請求項7記載のシート給送装置において、シートの重送を検知する重送検知手段と、上記重送検知手段により検知されたシートの重送によって、上記サイドエア吹付駆動源としての上記各シロッコファンを制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0031】
請求項12記載の発明は、給送されたシートに画像を形成する画像形成手段を具備する画像形成装置において、請求項1ないし11の何れか一つに記載されたシート給送装置を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、上記課題を解決して上記目的を達成することが可能な新規なシート給送装置およびこれを有する画像形成装置を実現し提供することができる。主な請求項ごとの効果を挙げれば、以下のとおりである。
すなわち、請求項1ないし3記載の発明によれば、上記構成により、数少ないサイドエア吹付駆動源(例えば複数の安価なDCファンからなるシロッコファンを直列に連通・接続した駆動源)で、画像形成装置で使用される全てのシートサイズおよびシート種類に対応したシート束からシートを1枚ずつ確実に分離することができるので、シートをスキュー給送することなく、また重送もしない安定したシート給送を行うことができる。また、切替バルブといった駆動源もいらない。
【0033】
請求項4記載の発明によれば、上記構成により、エア吸引駆動源のエア吐出口から吐き出されたエアをサイドエア吹付駆動源が吸引できることにより、サイドエア吹付駆動源の吸引効率をよくすることができる。
【0034】
請求項5および7記載の発明によれば、上記構成のとおり、安価なDCファンからなるサイドエア吹付駆動源として複数のシロッコファンを直列に連通・接続して配置したことにより、静圧をアップしてサイドエアの速度(風速)を速くし、特には厚紙等や塗工紙(コート紙等)でも確実に1枚ずつに分離できる。
【0035】
請求項6および7記載の発明によれば、上記構成のとおり、安価なDCファンからなるエア吸引駆動源として複数のシロッコファンを直列に連通・接続して配置したことにより、静圧をアップしてシートを十分に吸引・保持して給送することができる。
【0036】
請求項8記載の発明によれば、上記構成により、ベルトを駆動する駆動手段をエア吸引駆動源の近傍に配置し、サイドエア吹付駆動源、エア吸引駆動源および駆動手段を覆うカバー部材を有することにより、カバー部材によって各駆動音が遮音・低減されるので、低騒音給送が可能となる。
【0037】
請求項12記載の発明によれば、上記構成により、請求項1ないし11の何れか一つに記載のシート給送装置を有することによる効果を奏する画像形成装置を実現し提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、図を参照して、本発明を実施するための最良の形態および実施例を含む実施形態を説明する。上述した背景技術例、実施形態および変形例等に亘り、同一の機能を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がないものは適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等の構成要素をそのまま引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、実施形態等のそれと区別するものとする。
【0039】
まず、図18および図19を参照して、本発明を適用する印刷装置の一例としてのデジタル感熱式の孔版印刷装置の全体構成を説明する。図18は、上記デジタル感熱式の孔版印刷装置の全体構成を模式的に示し、図19は、図18における主として孔版印刷装置本体200の全体構成を示している。
図18および図19に示す孔版印刷装置では、活性エネルギー線硬化型インキの使用が可能であるため、その活性エネルギー線硬化型のインキを硬化させるための活性エネルギー線硬化定着装置201が図19の孔版印刷装置本体の排紙側に併設されている。活性エネルギー線硬化型インキとしては、その一例として紫外線硬化型インキが用いられ、活性エネルギー線硬化定着装置としては、その一例として紫外線硬化定着装置が用いられる。
【0040】
図18および図19において、孔版印刷装置本体200の右側には給紙部110が設けられている。上記したように、孔版印刷装置本体200の排紙側に、活性エネルギー線硬化定着装置201が併設されている。この活性エネルギー線硬化定着装置201内には、活性エネルギー線ランプや用紙を搬送するモータやベルト、吸着ファン等が組み込まれている。そして、活性エネルギー線硬化定着装置201内で活性エネルギー線硬化型インキを用紙上に定着させ、ベルト・吸着搬送で排紙台52へ印刷・定着済み用紙を排紙させるように構成されている。
活性エネルギー線硬化定着装置201の内部構成は、例えば本出願人が提案した特開2006−281658号公報の図1に示されている紫外線照射装置としてのUV照射装置(2)と同様である。これとの関連で、図19に示す孔版印刷装置本体200側には、上記特開2006−281658号公報の図4等に記載されている孔版印刷制御装置(55)と同様の構成が配設されている。
【0041】
次に、図19を参照して、孔版印刷装置本体200側の全体構成について説明する。図19において、50は、孔版印刷装置本体200側の骨組みをなす装置本体を示す。同図に示すように、装置本体50の上部にある、80で示す部分は原稿読取装置としての原稿読取部を、その下方の100で示す部分はデジタル感熱孔版式の製版装置としての製版部を、製版部100の左側に129で示す部分は多孔性円筒状の版胴を外周部に備えた印刷ドラム121が配置された印刷ドラム装置としての印刷ドラム部を、印刷ドラム121の下方の120で示す部分は印圧装置としての印圧部を、印刷ドラム121の左側に70で示す部分は排版装置としての排版部を、製版部100の下方の110で示す部分は給紙装置としての給紙部を、印圧装置120の左側であって排版装置70の下方の130で示す部分は排紙装置としての排紙部を、それぞれ示している。
【0042】
図18および図19において、孔版印刷装置本体200の符号と共に、括弧を付して示す150〜153はそれぞれ後述する第1の実施形態、その変形例1〜3に係る孔版印刷装置本体であることを表しており、本発明を適用する孔版印刷装置本体200と区別している。
また、図19において、二点鎖線で示す76〜78は、後述する第1の実施形態の変形例1〜3に係る制御手段を、同図において二点鎖線で示す67は、孔版印刷装置本体150〜153,200の内部の温度を検知する温度検知手段としての温度検知センサを、それぞれ表している。制御手段76〜78、温度検知センサ67は、上述したように後述の第1の実施形態、変形例1〜3で使用されるものであるが、図示の便宜上図19に示した。
【0043】
原稿読取部80は、図示しない原稿載置台上から移送される原稿60の表面の画像を読み取る機能を、製版部100は、ロール状に巻かれたマスタ101を製版し給版搬送する機能を、印刷ドラム部129は、製版済みのマスタ101をその外周面に巻装し印刷ドラム121上の製版済みのマスタ101にインキを供給する機能を、印圧部120は、後述する押圧手段により印刷ドラム121に対してシート状の記録媒体・被印刷媒体としての用紙Sを押し付けて用紙S上に印刷画像を形成する機能を、排版部70は、印刷ドラム121の外周面から使用済みのマスタ101を剥ぎ取りこれを排版ボックス74内に排出・排版する機能を、給紙部110は、給紙台としての給紙トレイ51上に積載された用紙Sを印刷ドラム部129と印圧部120との間に給送する機能を、排紙部130は、印刷ドラム部129と印圧部120にて印刷された用紙Sを排紙台52に排出する機能を、それぞれ有する。
なお、シート状の記録媒体(以下、単に「シート」ともいう)・被印刷媒体としては、印刷用紙としての用紙(厚紙、はがき、封筒、普通紙、薄紙等を含む)、塗工紙(コート紙やアート紙等を含む)、OHPシートもしくはOHPフィルム、トレーシングペーパ等を含む。
【0044】
図19および図20を参照して、孔版印刷装置本体での基本的な全体動作について、説明する。先ず、使用者が、原稿読取部80の上部に配置された図示しない原稿載置台に印刷すべき画像を持った原稿60を載置・セットし、図20に示す操作パネル90の製版スタートキー91を押す。この製版スタートキー91の押下に伴い、製版スタート信号が生成されこれがトリガとなって、先ず排版工程が実行される。すなわち、この状態においては、印刷ドラム121の外周面(版胴の外周面)に前回の印刷で使用された使用済みのマスタ101が装着されたまま残っている。印刷ドラム121は、図示しない駆動機構を介して印刷ドラム駆動手段(図示せず、例えばメインモータ等)に連結されていて、印刷ドラム駆動手段によって回転駆動される。
【0045】
印刷ドラム121が図中矢印方向Aと反対方向に回転し、印刷ドラム121の外周面に装着されていた使用済みのマスタ101の後端部が排版部70の排版剥離ローラ対71a,71bに近づくと、同ローラ対71a,71bは回転しつつ一方の排版剥離ローラ71bで使用済みのマスタ101の後端部をすくい上げ、排版剥離ローラ対71a,71bの左方に配設された排版コロ対73a,73bと排版剥離ローラ対71a,71bとの間に掛け渡された排版搬送ベルト対72a,72bで構成される排版剥離搬送装置により、使用済みのマスタ101は印刷ドラム121の外周面から漸次剥され矢印方向X1方向へ搬送されつつ排版ボックス74内へ排出されていわゆる排版工程が終了する。この時印刷ドラム121は反時計回り方向への回転を続けている。排出された使用済みのマスタ101は、その後、圧縮板75によって排版ボックス74の内部で圧縮される。
【0046】
排版工程と並行して、原稿読取部80が作動して原稿読み取りが行われる。すなわち、図示しない原稿載置台に載置された原稿60は、分離ローラ81、前原稿搬送ローラ対82a,82bおよび後原稿搬送ローラ対83a,83bのそれぞれの回転により矢印X2からX3方向(以下、「原稿搬送方向X2」という)に搬送されつつ露光読み取りに供される。このとき、原稿60が多数枚あるときは、分離ブレード84の作用でその最下部の原稿のみが搬送される。
上側の後原稿搬送ローラ83aは、例えばステッピングモータからなる原稿搬送モータ(図示せず)によって回転駆動される。上側の前原稿搬送ローラ82aは、上側の搬送ローラ83aと搬送ローラ82aとの間に掛け渡されたタイミングベルト(図示せず)を介して上記原稿搬送モータによって回転駆動され、各ローラ82b,83bはそれぞれ従動回転する。
【0047】
原稿60の画像読み取りは、コンタクトガラス85上を搬送されつつ、蛍光灯86により照明された原稿60の表面からの反射光を、ミラー87で反射させレンズ88を通して、CCD(電荷結合素子等の光電変換素子)からなる画像センサ89に入射させることにより行われる。その画像が読み取られた原稿60は原稿トレイ80A上に排出される。
【0048】
原稿60の光学情報(画像データ)は画像センサ89で光電変換され、そのアナログの電気信号はアナログ/デジタル(A/D)変換部(図示せず)に入力されデジタルの画像信号に変換される。このデジタルの画像信号は図示しない制御部内の画像処理部(図示せず)で孔版用に画像処理を施され、こうして画像処理を施された2値の黒画素および白画素に関するデジタル画像信号は、図示しないサーマルヘッド駆動制御部に入力される。このサーマルヘッド駆動制御部は、主としてサーマルヘッド駆動回路(図示せず)を介して図19に示すサーマルヘッド102の個々の発熱体102aを制御するものであり、図示しない制御手段からの指令を受けて制御動作を行う。
【0049】
なお、上記A/D変換部へ入力される光学情報(画像データ)は上記CCDで読み取ったものに限らず、例えば密着イメージセンサ(CIS)等からのものでも構わない。また、上記図示しない制御部内のサーマルヘッド駆動制御部に入力されるデジタル画像データは、パソコン等のコンピュータから送信されるデジタル画像信号であっても構わない。
上記図示しない制御部内のサーマルヘッド駆動制御部に入力したデジタル画像信号は、サーマルヘッド駆動用の信号としてデジタル画像データ信号等を生成されて、サーマルヘッド駆動回路(図示せず)を介してサーマルヘッド102に送信される。
【0050】
一方、このような原稿走査および画像読み取り動作と並行して、デジタル信号化された画像情報(デジタル画像信号)に基づき製版および給版工程が行われる。すなわち、上記製版スタート信号がトリガとなって、プラテンローラ103に連結されたステッピングモータ(図示せず)が回転駆動されることにより、図示しないマスタ支持部材を介してマスタ101を繰り出し可能にセットされ、芯管101aの周りにロール状に巻かれて形成されたマスタロール101Aからマスタ101が引き出される。この時、マスタ101は、マスタ101を介してサーマルヘッド102に押し付けられているマスタ搬送手段としてのプラテンローラ103およびテンションローラ対105a,105bの一定速度の回転により、図中矢印X4で示す副走査方向X4(以下、「マスタ搬送方向X4」ともいう)の下流側に搬送される。
搬送されるマスタ101に対して、サーマルヘッド102の主走査方向にライン状に並んで配列された多数の微小な発熱体102aが、上記図示しない制御部内のサーマルヘッド駆動制御部から送られてくるデジタル画像データ信号に応じて各々位置選択的に発熱し、発熱した発熱体102aに接触しているマスタ101の熱可塑性樹脂フィルム部分が加熱溶融穿孔される。このようにして、画像情報に応じたマスタ101の位置選択的な溶融穿孔により、画像情報が穿孔パターンとしてマスタ101に書き込まれる。
【0051】
プラテンローラ103は、タイミングベルトおよびギヤ等の回転伝達部材(図示せず)を介して上記図示しないステッピングモータに連結されていて、ステッピングモータにより回転される。上記ステッピングモータの回転駆動力は、ギヤ等の回転伝達部材(図示せず)を介して、テンションローラ対105a,105bおよび電磁クラッチ(図示せず)を介して上下一対の反転ローラ107a,107bに伝達されるようになっている。なお、上記電磁クラッチに代えて、反転ローラ対107a,107bの駆動ローラを回転させる、上記ステッピングモータとは別のステッピングモータを配設した装置もある。
【0052】
サーマルヘッド102は、上記したように画像センサ89、それぞれ図示しない、上記A/D変換部、上記画像処理部等を経由して、あるいは図示しないパソコン等からのデジタル画像信号を受信するための図示しないパソコン・コントローラやインターフェース装置、データ展開部等を経由して上記画像処理部を介して、図示しない制御部のサーマルヘッド駆動制御部で処理されて送出されるデジタル画像データ信号を含むサーマルヘッド駆動用の信号に基づいて、多数の発熱体102aを位置選択的に加熱することにより、マスタ101を位置選択的に加熱溶融穿孔し製版する製版手段としての機能を有する。サーマルヘッド102は、図示しない周知の接離手段により、マスタ101を介してプラテンローラ103に接離自在となっている。
【0053】
図18および図19で使用されるマスタ101としては、例えば熱可塑性樹脂フィルムと、和紙繊維とか合成繊維あるいは和紙繊維および合成繊維を混抄したもの等からなる多孔質支持体とを貼り合わせたラミネート構造のものが挙げられる。熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)系のものが用いられる。
製版部100は、装置本体50に対して周知の着脱手段を介して着脱自在な製版ユニットを構成している。上記着脱手段としては、例えば、装置本体50側に設けられ製版ユニットを案内する断面コ字形状の案内部材と、製版ユニット側に設けられ上記案内部材に対して摺動可能な凸状部材との組合せが挙げられる。このように装置本体50側には、図示しない案内部材等が配設されることからも、給紙ユニット110Aにおける高さ方向Zの省スペース化および小型化が要望されている。
【0054】
画像情報が書き込まれた製版済みのマスタ101の先端は、反転ローラ対107a,107bにより印刷ドラム121の版胴外周部側へ向かって送り出され、さらに給版ガイド板108により進行方向を下方へ変えられ、図19に二点鎖線で示す給版位置状態にある印刷ドラム121の拡開したマスタクランパ122へ向かって垂れ下がる。このとき印刷ドラム121は、排版工程により使用済みのマスタ101を既に除去されている。
そして、装置本体50側に配設されマスタクランパ122を開閉する図示しない開閉装置の作動により、製版済みのマスタ101の先端が一定のタイミングでマスタクランパ122によってクランプ・保持されると、印刷ドラム121は図中矢印A方向(時計回り方向)に回転しつつ外周面に製版済みのマスタ101を徐々に巻き付けていく。製版済みのマスタ101の後端部は、製版完了後にカッタ104により一定の長さに切断されて、1版の製版済みのマスタ101が印刷ドラム121の外周面に完全に巻装された段階で製版および給版工程が終了する。
【0055】
その後、プラテンローラ103、テンションローラ対105a,105bおよび反転ローラ対107a,107bの回転により、切断された上流側の残りのマスタ101の先端が反転ローラ対107a,107bのニップ部に向けて搬送される。こうして搬送されたマスタ101の先端が図示しないマスタ先端検知センサによって検知され、マスタ101の先端が初期位置を占めたと判断されると、プラテンローラ103、テンションローラ対105a,105bおよび反転ローラ対107a,107bの回転が停止し、次の製版に備えた製版待機状態になる。マスタ101の初期位置は、例えば、反転ローラ対107a,107bのニップ部で挟持された位置から少し前方にはみ出た位置に予め設定されている。
【0056】
次いで、印刷工程が開始される。先ず、給紙トレイ51上に積載された用紙Sのうちの最上位の1枚が、給紙コロ111により引き出され、さらに分離コロ対112a,112bの協働作用により1枚に分離されてレジストローラ対113a,113bに向けてシート給送方向Xに給送され、さらにレジストローラ対113a,113bにより印刷ドラム121の回転と同期した所定のタイミングで印圧部120における印刷ドラム121とプレスローラ123との間に給送される。このプレスローラ123は、図示しない公知のプレスローラ変位手段により印刷ドラム121の外周面に接離自在になされており、外周面に製版済みのマスタ101が巻装された印刷ドラム121に対して給送されてきた用紙Sを押し付けて印刷画像を用紙S上に形成する押圧手段として機能する。そして、給送されてきた用紙Sが、印刷ドラム121とプレスローラ123との間に挿入されてくると、印刷ドラム121の外周面下方に離間していたプレスローラ123が揺動・上昇されることにより、印刷ドラム121の外周面に巻装されている製版済みのマスタ101に押し付けられる。こうして、印刷ドラム121の多孔部から滲み出たインキの粘性による付着力によって、製版済みのマスタ101が印刷ドラム121の外周面上に密着すると同時に、さらに製版済みのマスタ101の穿孔パターン部からインキが滲み出し、この滲み出たインキが用紙Sの表面に転移されて、印刷画像が形成される。
【0057】
この時、印刷ドラム121の内周側では、支軸124を兼ねるインキ供給管124からインキローラ125とドクターローラ126との間に形成されるインキ溜まり127にインキが供給され、印刷ドラム121の回転方向と同一方向に、かつ、印刷ドラム121の回転速度と同期して回転しながら内周面に転接するインキローラ125により、インキが印刷ドラム121の内周側に供給される。
なお、インキ供給管124、インキローラ125およびドクターローラ126は、印刷ドラム121上の製版済みのマスタ101にインキを供給するインキ供給手段を構成する。押圧手段は、プレスローラ123に限らず、印刷ドラム(版胴)121の直径とほぼ同径の圧胴等も用いられ、このような圧胴方式の孔版印刷装置でも無論、本発明は適用される。
上記したとおり、印刷ドラム121、上記インキ供給手段およびプレスローラ123は、印刷部110により給送されてきた用紙Sにインキによる印刷画像を形成する印刷画像形成手段を構成している。
【0058】
上質紙等への非コート紙に印刷する場合に使用するインキとしては、例えばW/O型のエマルジョンインキが好ましく用いられる。以下、図18および図19に示す孔版印刷装置例においては、説明の簡明化を図るために活性エネルギー線硬化型インキとしての紫外線硬化型インキが用いられるものとして説明する。以下、単にインキというときは、活性エネルギー線硬化型インキ(紫外線硬化型インキ)を意味するものとする。
【0059】
印圧部120において印刷画像が形成された用紙Sは、排紙部130における排紙剥離爪114により印刷ドラム121から剥がされ、吸引用ファン118に吸引されつつ、吸着排紙入口ローラ115および吸着排紙出口ローラ116に掛け渡された多孔性の搬送ベルト117に吸着され、この搬送ベルト117の反時計回り方向の回転・走行により、矢印X5のように排紙台52へ向かって搬送され、排紙台52上に順次排出積載される。このようにしていわゆる版付け印刷が終了する。
版付け印刷終了後、プレスローラ123は印刷ドラム121から離間し、印刷ドラム121は図19においてマスタクランパ122が略真上となる初期位置(ホームポジション)に復帰して、印刷待機状態となる。
【0060】
次に、図20に示す操作パネル90に配置されている図示しない印刷速度設定キーを押下することにより、所望する印刷速度値を設定し、これに前後して操作パネル90のテンキー93で印刷枚数をセットし、印刷スタートキー92を押すと上記版付け印刷と同様の工程で、給紙、印刷および排紙の各工程が設定された印刷速度でセットした印刷枚数分繰り返して行われ、孔版印刷の全工程が終了する。
【0061】
図19において、レジストローラ対113a,113bを除き二点鎖線で囲んだ部分は、図示しないネジ等の締結手段を含む着脱手段を介して、装置本体50に対して着脱自在に構成された給紙ユニット110Aを示している。給紙ユニット110Aは、上述した摩擦方式によるシート給送装置として構成されている。給紙ユニット110Aでは、分離手段として分離コロ対112,112bを用いたが、給紙ローラと摩擦部材である摩擦パッドとの組み合わせたものなども用いられる。
図19において、給紙ユニット110Aの符号と共に括弧を付して示す1Aは、図示しないネジ等の締結手段を含む着脱手段を介して、装置本体50に対して着脱自在に構成された後述する第1の実施形態等に係る給紙ユニットを表している。
また、エア給紙装置は、例えば大量給紙が可能な大量給紙ユニットと組み合わせ、印刷装置本体に対し外付けオプションとして装着可能なように構成してもよい。
【0062】
ここで、図20に示した操作パネル90を補説する。操作パネル90は、原稿読取部80の上部の一側部に配置されている。操作パネル90には、図20に詳しく示すように、周知の製版スタートキー91、印刷スタートキー92、テンキー93、試し刷りキー94、エンターキー95、モードクリアキー96、タッチパネル98および表示器99等が配設されている。また、操作パネル90には、報知手段およびシートの種類を認識するシート種類認識手段として機能するものも配設されている。
製版スタートキー91は、原稿の画像の読み取りから排版、製版、給版、給紙、版付け印刷、排紙工程に至るまでの一連の工程(動作)を起動するための動作起動手段としての機能を、テンキー93は、印刷枚数等を入力・設定する機能を、印刷スタートキー92は、テンキー93で入力・設定された印刷枚数分の印刷動作の起動等を行う機能を、試し刷りキー94は、試し刷り印刷動作を起動する機能を、それぞれ有する。エンターキー95は、各種設定時に数値等を確定・設定する機能を、モードクリアキー96は、各種モード設定状態を消去・クリアする機能を有し、それぞれそれらの機能を発揮させたい場合等に押下される。
【0063】
タッチパネル98は、図示しないタッチパネル駆動回路を含むLCD(液晶表示装置)駆動回路により駆動され、周知のタッチパネル方式で画面表示された各種モードや種々の選択設定手段(上述のシート種類設定手段)を白黒反転表示させて選択設定できるように構成されている。
タッチパネル98に配設されたLCD画面からなる表示手段ないしは報知手段は、使用するインキや後述する図1等に示す各シロッコファン15a,15b,41a,41bによる回転数による風量が薄紙、普通紙、コート紙あるいは厚紙に見合っていない場合に、それを表示ないしは報知するものである。
シート種類設定手段は、シートとして、薄紙、普通紙、コート紙、厚紙等を選択設定することにより、シート種類を認識することが可能なシート種類認識手段に含まれる。シート種類設定手段は、具体的にはタッチパネル98に設けられた薄紙設定キー131、普通紙設定キー132、コート紙設定キー133および厚紙設定キー134で構成されている。
【0064】
例えば、コート紙設定キー133でコート紙(アート紙等を含む)を選択設定した場合、その表面の平滑度が高い(ツルツル状態)ため、図18および図19に示した給紙ユニット110Aの摩擦分離方式では1枚ずつ用紙Sを分離することができない。そのため、コート紙設定キー133からのコート紙設定に係る信号に基づいて、図示しない制御手段がその旨(エア給紙装置の給紙ユニットを装着する旨)をタッチパネル98の上記LCD画面に表示・報知させると共に、給紙部110を含む孔版印刷装置本体200の印圧部120、印刷ドラム部129および排紙部130等を非作動状態にさせることで、給紙、印刷、排紙動作を禁止するように構成される。
【0065】
(第1の実施形態)
図1〜図9を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。図1および図2では、給紙トレイ3およびこの給紙トレイ3上の用紙束2におけるシート給送方向Xの長さを同方向Xに長く誇張して示す。また、図1では、図の簡明化のため、後述するサイド吐出ユニット40Aを構成していて紙面奥側に配設されている構成要素(図2に示すサイド吐出中継菅43およびサイド吐出ノズル42c,42d参照)の図示を省略している。
【0066】
第1の実施形態は、図15および図16に示したエア給紙装置500と比較して、給紙ユニット500Aに代えて、図1および図2に示すように、エア給紙装置1の給紙ユニット1Aを用いることのみ相違する。エア給紙装置1の給紙ユニット1Aは、エア給紙装置500の給紙ユニット500Aと比較して、給紙ユニット500Aの吸引ユニット10に代えて、吸引ユニット10Aを用いる点、給紙ユニット500Aのサイド吐出ユニット40に代えて、エア分離手段としてのサイド吐出ユニット40Aを用いる点、これら吸引ユニット10Aおよびサイド吐出ユニット40Aの採用に伴い、吸引ユニット10Aを構成する後述するエア吸引駆動源等およびサイド吐出ユニット40Aを構成する後述するサイドエア吹付駆動源等を後述するように特有の配置形態で構成した点、吸引ユニット10Aを構成する上記エア吸引駆動源としての複数(本実施形態例では2つ)のシロッコファン15a,15b、サイド吐出ユニット40Aを構成する上記サイドエア吹付駆動源としての複数(本実施形態例では2つ)のシロッコファン41a,41bおよび吸引ベルト駆動モータ47からなる3つの駆動源・駆動手段を覆うカバー部材としての静音カバー35(図1および図2中太い一点鎖線で示す)を用いる点が主に相違する。
【0067】
エア給紙装置1の給紙ユニット1Aは、上記相違点を詳細に後述する点以外は図15および図16に示したエア給紙装置500の給紙ユニット500Aと同様である。図18および図19において、摩擦方式の給紙ユニット110Aと共に括弧を付して示すエア方式の給紙ユニット1Aは、給紙ユニット110Aに代えて同図に括弧を付して示す孔版印刷装置本体150に装着・適用したことを表している。
【0068】
第1の実施形態の吸引ユニット10Aは、図15および図16に示した従来の吸引ユニット10と比較して、単一のエア吸引ファン15に代えて、図1〜図3等に示すように、エア吸引駆動源としての2つのシロッコファン15a,15bを吸引ベルト11の上方近傍に特有の連通・接続状態で配置した点、および吸引中継管(ダクト)13を、その吸引口13aが吸引チャンバ12におけるシート幅方向Yの少なくとも両側(本実施形態では2箇所)に連通・接続した点、これに伴い、吸引チャンバ12におけるシート幅方向Yの両側から吸引中継管13を吸引駆動源チャンバ17に連通・接続した点、吸引ベルト11を駆動する駆動手段としての吸引ベルト駆動モータ47をシロッコファン15a(エア吸引駆動源)の近傍に配置した点が主に相違する。
【0069】
図6、図7および図9に示すように、シロッコファン15aは、エアを吸引するエア吸引口15a1とエアを吐出するエア吐出口15a2とを備えている。同様に、シロッコファン15bは、エア吸引口15b1とエアを吐出するエア吐出口15b2とを備えている。そして、2つのシロッコファン15a,15bは、エア排出経路(エアa流れの方向)の上流側のシロッコファン15aのエア吐出口15a2に、隣る下流側のシロッコファン15bのエア吸引口15b1を連通・接続して配置されている。
【0070】
DCファンでも静圧が上げる方式として、エア吸引駆動源としてのエア吸引駆動ファンをシロッコファン15a,15bとし、そのシロッコファン15a,15bを上記各図に示すように配置するものである。すなわち、図1〜図3に示したと同様にして左右の吸引中継管(ダクト)13に吸引駆動源チャンバ17を連通・接続した後、図6および図7に示すように、吸引駆動源チャンバ17に上流のシロッコファン15aのエア吸引口15a1が連通・接続されている。
そして、上流のシロッコファン15aのエア吐出口15a2にはファン接続ダクト45が連通・接続されており、それから下流のシロッコファン15bのエア吸引口15b1にはファン接続ダクト45が連通・接続されており、最も下流側にシロッコファン15bのエア吐出口15b2が開口されていて、エアを吐出するようになっている。換言すれば、2つのシロッコファン15a,15bが直列に連通・接続された構成である。
【0071】
当然のことながら、吸引中継管13と吸引駆動源チャンバ17との接続部、吸引駆動源チャンバ17とシロッコファン15aのエア吸入口15a1との接続部、シロッコファン15aのエア吐出口15a2とファン接続ダクト45との接続部、シロッコファン15bのエア吸引口15b1とファン接続ダクト45との接続部は、それぞれエア漏れがないように適切な嵌合接続形状により、また適宜のシールテープ等の貼り付けによってエア漏れ防止が図られている。
【0072】
各シロッコファン15a,15bは、その静圧仕様が同等のもの、すなわち静圧仕様を含め形状・寸法等が共通のものである。2つのシロッコファン15a,15bを直列に連通・接続した構成にすることで、シロッコファン15a,15bの何れか一方の場合と比べて、静圧を約50%アップさせることができる。例えば1つのシロッコファンの静圧が仮に400Paとすると、図6および図7に示したようにシロッコファン15a,15bを直列に接続した構成と、シロッコファン15a,15bのうちの何れか一方のみに構成した場合との比較試験を行った結果、本変形例では600Paに約50%アップすることができた。
一般的に、その静圧仕様が同等の2つのシロッコファンを直列に連通・接続した構成の場合、理論上の静圧は約2倍になるが、本実施形態例では吸引駆動源チャンバ17およびファン接続ダクト45による摩擦、負荷抵抗等により約50%アップすることが分かった。
なお、各シロッコファン15a,15bは、DCファンからなるので、各々の回転数を可変することで、静圧および風量を変えることも可能であるが、本実施形態では各シロッコファン15a,15bは最大の回転数で回転駆動される設定である。
【0073】
本実施形態では、上述したように、吸引ベルト駆動モータ47をシロッコファン15aの近傍に配置するため、吸引ベルト11を駆動する吸引ベルト駆動モータ47の駆動力伝達方式を、図16に示したカップリング14cを介しての吸引ベルト駆動モータ47直結駆動方式から、図2に示すように、歯付きのベルト48、歯付きの駆動プーリ47a、歯付きのプーリ14dを用いた駆動力伝達手段に変更している。すなわち、図2に示すように、駆動ローラ14aの軸の一端に固着された歯付きのプーリ14dと、吸引ベルト駆動モータ47の出力軸に固着された歯付きの駆動プーリ47aと、歯付きのプーリ14dと歯付きの駆動プーリ47aとの間に巻き掛けられた歯付きのベルト48とからなる駆動力伝達手段を採用している。なお、駆動力伝達手段は、図2に示した手段に限らず、ギヤ列を用いたもの等でもよい。
【0074】
図1および図2において、吸引ベルト11、駆動ローラ14a、従動ローラ14bおよび単一の吸引チャンバ12、左右の吸引中継管13、吸引駆動源チャンバ17、各シロッコファン15a,15b、ファン接続ダクト45、吸引ベルト駆動モータ47は、吸引ユニット10Aを構成している。
上記した吸引ユニット10A中、吸引ベルト11、吸引チャンバ12、左右の吸引中継管13、吸引駆動源チャンバ17、各シロッコファン15a,15bは、エア吸引手段を構成している。
また、上記した吸引ユニット10A中、吸引ベルト11、駆動ローラ14a、従動ローラ14b、吸引ベルト駆動モータ47は、上記エア吸引手段により吸引・保持された用紙Sを給送するシート給送手段を構成している。
【0075】
サイド吐出ユニット40Aは、上述したように、給紙トレイ3上に積載された用紙束2の両側端面にエアを吹き付けることにより用紙Sを1枚ずつ分離させるエア分離手段を構成している。エア分離手段には、上述のフロント吐出ユニット22が含まれる。本実施形態は、上記エア分離手段の構成において、特にサイド吐出ユニット40Aに焦点を当てたものである。
【0076】
サイド吐出ユニット40Aは、図16に示した用紙束2の各側端面に対向して左右一対配置されたサイド吐出ユニット40と比較して、サイドエア吐出駆動源としてのサイドエア吐出ファン41に代えて、図1、図2、図4、図8および図9に示すように、サイドエア吹付駆動源としてのDCファンからなる複数(本実施形態例では2つ)のシロッコファン41a,41bを用いる点、すなわちエアを吸引するエア吸引口41a1とエアを吐出するエア吐出口41a2とを備えたシロッコファン41aおよびエアを吸引するエア吸引口41b1とエアを吐出するエア吐出口41b2とを備えたシロッコファン41bを用いる点、エア排出経路(エア流れ方向)の上流側のシロッコファン41bのエア吐出口41b2に、隣る下流側のシロッコファン41aのエア吸引口41a1を連通・接続して配置した点、サイドエア排出経路上流側のシロッコファン41bが吸引ユニット10Aにおけるシロッコファン15bのエア吐出口15a2近傍に配置されている点、用紙束2の各側端面にエアaを吹き付けるサイドエア吐出口42oを備えた複数のサイド吐出ノズル42a,42b,42c,42dと、各サイド吐出ノズル42a,42b,42c,42dを介してサイドエア吐出口42oにそれぞれ連通・接続されたサイド吐出中継管(ダクト)43と、サイド吐出中継管43に連通・接続されたサイド吐出駆動源チャンバ44と、このサイド吐出駆動源チャンバ44に直列に連通・接続された2つのシロッコファン41a,41bとを用いる点が主に相違する。
【0077】
本実施形態例では、シロッコファン41a,41bの静圧仕様は、例えばシロッコファン15a,15bのそれらと同等であり、共通部品化が図られている。DCファンでも静圧が上げる方式として、サイドエア吹付駆動源としてのエア吹付駆動ファンをシロッコファン41a,41bとし、そのシロッコファン41a,41bを図1、図2、図8等に示すように配置するものである。すなわち、上流のシロッコファン41bのエア吐出口41b2にはファン接続ダクト46が連通・接続されており、それから下流のシロッコファン41aのエア吸引口41a1にはファン接続ダクト46が連通・接続されており、最も下流側にシロッコファン41aのエア吐出口41a2が開口されていて、サイド吐出駆動源チャンバ44、サイド吐出中継菅43を介してサイドエアを圧送し、各サイド吐出ノズル42a〜42dのサイド吐出口42oからサイドエアを吐出し用紙束2の各側端面に吹き付けるようになっている。
【0078】
上述したとおり、サイドエア吐出口42oを備えた各サイド吐出ノズル42a,42b,42c,42dは、サイド吐出中継管43およびサイド吐出駆動源チャンバ44を介して、2つのシロッコファン41a,41bに連通・接続されている。それ故に、直列に連通・接続された2つのシロッコファン41a,41bによって生成された高い静圧で圧送されるサイドエアaがサイド吐出駆動源チャンバ44およびサイド吐出中継管43を通って、各サイド吐出ノズル42a,42b,42c,42dのサイドエア吐出口42oより吐出し、用紙束2の各側端面に吹き付けることで、用紙Sが1枚ずつに確実に分離されることとなる。
【0079】
当然のことながら、各サイド吐出ノズル42a,42b,42c,42dとサイド吐出中継管43との接続部、サイド吐出中継管43とサイド吐出駆動源チャンバ44との接続部、サイド吐出駆動源チャンバ44とシロッコファン41aのエア吐出口41a2との接続部、シロッコファン41aのエア吸引口41a1とファン接続ダクト46との接続部、ファン接続ダクト46とシロッコファン41bのエア吐出口41b2との接続部は、それぞれエア漏れがないように適切な嵌合接続形状により、また適宜のシールテープ等の貼り付けによってエア漏れ防止が図られている。
【0080】
各シロッコファン41a,41bは、その静圧仕様が同等のもの、すなわち静圧仕様を含め形状・寸法等が共通のものである。2つのシロッコファン41a,41bを直列に連通・接続した構成にすることで、シロッコファン41a,41bの何れか一方の場合と比べて、静圧を約50%アップさせることができる。例えば1つのシロッコファンの静圧が仮に400Paとすると、図1、図2、図4、図8等に示したようにシロッコファン41a,41bを直列に接続した構成と、シロッコファン41a,41bのうちの何れか一方のみに構成した場合との比較試験を行った結果、本実施形態例では600Paに約50%アップすることができた。
上述したように、その静圧仕様が同等の2つのシロッコファンを直列に連通・接続した構成の場合、理論上の静圧は2倍になるが、本実施形態ではファン接続ダクト46、サイド吐出駆動源チャンバ44およびサイド吐出中継管43による摩擦、負荷抵抗等により約50%アップすることが分かった。
【0081】
本実施形態においては、各シロッコファン41a,41bは、DCファンからなるので、各々の回転数を可変することで、静圧および風量を変えることも可能であるが、本実施形態例では、通常、各シロッコファン41a,41bは最大の回転数の70%で回転駆動される設定である。すなわち、各シロッコファン41a,41bの定格電圧が例えば24Vであると、17V程度に設定している。以下、各シロッコファン41a,41bの定格電圧が24Vの設定として説明する。
【0082】
上述のシロッコファン15a,15bを含め、シロッコファン41a,41bの具体的な製品例としては、図9に示すとおりである。すなわち、図9中、15c,41cは、シロッコファン15a,15bやシロッコファン41a,41bに設けられている多翼ファンを、15d,41dは、シロッコファン15a,15bやシロッコファン41a,41bに設けられているDC(直流)ファンモータ(以下、「DCファン」ともいう)に電力を供給するリード線をそれぞれ示している。なお、シロッコファンの名称は当業者の間で広く用いられている用語であるが、その正式名称(学術用語)は、遠心送風機の多翼ファンに相当する。
【0083】
次に、図1、図2、図4、図5を参照して、サイド吐出ノズル42a,42b,42c,42d、給紙トレイ3およびサイドフェンス5周りの特徴的な構成について説明する。
サイドフェンス5は、シート幅方向Yにおける用紙束2の両側端面に当接して用紙束2の両側端の位置を規制し位置決め揃える部材であり、シート幅方向Yに移動可能に一対配設されている。図5に示す紙面の手前側の2箇所のサイドフェンス5は、あたかも分離しているように描かれているが、実際には給紙トレイ3の下方の図示しない位置で一体的に連結されていて、紙面の手前側の2箇所のサイドフェンス5は同時に移動するようになっている。
【0084】
本実施形態の給紙トレイ3には、図5に示す紙面の手前側に2箇所、紙面の奥側に1箇所が切り欠かれて切欠部3a,3b,3cが形成されている。各サイドフェンス5は、給紙トレイ3の各切欠部3a,3b,3c範囲内でシート幅方向Yに移動するように構成されている。
切欠部3a,3b,3c範囲内で各サイドフェンス5を摺動・移動可能とする移動機構としては、給紙トレイ3の下方に設けられたエア給紙装置1の図示しない側板に固設された凹部(図示せず)と各サイドフェンス5の下部に一体的に形成された凸部(図示せず)とがシート幅方向Yに延在して緩く嵌合する周知の構成からなる。なお、各サイド吐出ノズル42a,42b,42cは、後述するように各サイドフェンス5のシート幅方向Yの移動と連動して同方向に移動するように構成されているので、各サイド吐出ノズル42a,42b,42cから吐出・吹き出すサイドエアの反力によって、各サイドフェンス5によって位置決めされた規制位置がずれないように、クリップなどのロック手段によって各サイドフェンス5を規制位置に固定保持するようにすることが好ましい。
【0085】
サイドフェンス5は、吸引ユニット10A(吸引ユニット10Aを構成する吸引ベルト11、駆動ローラ14a、従動ローラ14b、吸引中継菅13等の構成要素・部品を指す。以下、同様)に干渉しない場所、位置に設置されている。その理由としては、吸引ベルト11のシート幅方向より小さいサイズの用紙も通紙・給送できるようにしたためである。
また、サイドフェンス5は、エア給紙装置1の上記図示しない側板にシート幅方向Yに摺動・移動可能に支持されているが、給紙トレイ3と一緒に昇降しないようになっている。これは、図4に示すように、各サイド吐出ノズル42a,42b,42c,42dの高さ方向Zの位置を定位置に固定することで、給紙トレイ3上に残り少なくなった最後の用紙Sの数枚までも各サイド吐出ノズル42a,42b,42c,42dからのサイドエアaによって確実に1枚ずつに分離できるようにしたためである。
【0086】
図4および図5等に示すように、各サイド吐出ノズル42a,42b,42cは、各サイドフェンス5の外側面に固定されていて、サイドフェンス5のシート幅方向Yの移動と連動して同方向に移動するようになっている。
前面板4(用紙束2先端)近傍に配置されたサイド吐出ノズル42dは、サイドフェンス5の移動に連動せず、エア給紙装置1の上記図示しない側板等に固定してある。このため、以下、サイド吐出ノズル42dを「サイド吐出ノズル固定42d」ともいう。換言すれば、複数のサイドエア吐出口42oのうちのシート給送方向の最下流に配置された最下流サイドエア吐出口42oを備えたサイド吐出ノズル固定42dは、シート給送方向Xおよびシート幅方向Yに移動不能に固定されている。
【0087】
各サイド吐出ノズル42a,42b,42c,42dには、上記したように直列に接続されたシロッコファン41a,41bから圧送されたサイドエアaが行くようにサイド吐出中継管43が接続されている。サイド吐出中継管43は、可撓性のホースで形成されていて、シート幅方向Yに幅の狭い・小さいサイズの用紙の場合には、サイドフェンス5の移動に連動して各サイド吐出ノズル42a,42b,42cがシート幅方向Yに移動するとき、サイド吐出中継管43が上に向けて撓むことで不具合発生なきよう対応可能となっている。各シロッコファン41a,41bは、上述したように直列に連通・接続されていることで、静圧が高くなり、吹付け力が大きくなるように変えることができる。
【0088】
図5を参照して、後述する実験によって見出した、孔版印刷装置本体150で使用される全ての用紙(シート)サイズ・用紙(シート)種類に適用可能な各サイド吐出ノズル42a,42b,42cおよびサイド吐出ノズル固定42dの最適な配置位置について説明する。
サイド吐出ノズル固定42dは、シート幅方向Yに広い・大きいサイズの用紙の場合にはサイドエアが確実に当たるように、かつ、シート幅方向Yに幅の狭い・小さいサイズの用紙の場合にはエアの当たりが弱くなる位置、すなわち給紙トレイ3におけるシート幅方向Yの外側寄りに配置されている。このようにサイド吐出ノズル固定42dは、シート幅方向Yに幅広い用紙の先端を確実に浮かせる役目があり、図5に示すように、給紙トレイ3におけるシート幅方向Yの外側寄りであって、かつ、前面板4(もしくは給紙トレイ3上に積載・セットされる用紙束の先端)からシート給送方向Xの距離で20mmの位置に配置される。
【0089】
シート幅方向Yに幅の狭い用紙を搬送するために、サイドフェンス5およびサイド吐出ノズル42aを吸引ユニット10Aと干渉しない位置、つまり図5における前面板4(もしくは給紙トレイ3上に積載・セットされる用紙束の先端)からシート給送方向Xの距離で85mmの位置に配置し、用紙束のほぼ中腹部にサイドエアの吹付けを行っている。そのため、サイド吐出ノズル固定42dの近傍は用紙が浮き上りずらくなる。本来なら、サイド吐出ノズル固定42dもサイドフェンス5と連動して移動をするなら各用紙サイズにも対応できるが、そうすると吸引ユニット10Aの吸引ベルト11幅よりシート幅方向Yに小さいサイズの用紙の分離には対応できなくなってしまう。
【0090】
サイドフェンス5と連動して移動可能な各サイド吐出ノズル42a,42b,42cおよびサイド吐出ノズル固定42dは、図5に示すように、前面板4(もしくは給紙トレイ3上に積載・セットされる用紙束の先端)からシート給送方向Xに異なった距離の位置に配置されている。前面板4から各サイド吐出ノズル42a,42b,42cまでの距離は、サイド吐出ノズル42aで上記したように85mm、サイド吐出ノズル42bで310mm、サイド吐出ノズル42cで220mmに設定している。これらの配置位置は、シート幅方向Yに幅の狭い用紙の搬送の際、サイド吐出ノズル42a,42b,42cが近づいても、お互いのサイドエアが衝突し合うことがないので、サイドエアがシート給送方向Xもしくはこれと逆方向へ流れることはない。また、用紙束の各側端面に対向して両側からサイドエアを吐出・吹付けしているため、用紙全体を浮き上らせることもできる。
【0091】
次に、図1〜図9を参照して、エア給紙装置1の給紙ユニット1Aの給紙動作を説明する。まず、使用者が印刷に用いる用紙束2を準備し、これを給紙トレイ3に積載し用紙束2の先端面を前面板4に突き当て用紙束2の先端を位置決め揃える。次いで、用紙束2のシート幅方向Yの位置決め揃えを行うべく左右のサイドフェンス5をシート幅方向Yに摺動・移動させ規制位置を占めさせた後、適宜のロック手段によってサイドフェンス5を規制位置に固定保持する。次いで、使用者が操作パネル90を上述したように操作すると、図示しない制御手段による制御の下で、給紙動作が開始する。先ず、直列に接続されたDCファンからなるシロッコファン41a,41bを駆動させることにより、単一の同一仕様のシロッコファンと比べて静圧がアップしたサイドエアaの流れを作り、このサイドエアaが左右の各サイド吐出中継管43,43を通り、さらにシート給送方向Xの下流および上流側に延びた各サイド吐出中継管43,43を通り、各サイド吐出ノズル42a,42b,42c,42dのサイドエア吐出口42oから用紙束2の各側端面に吹き付ける。
これと同時に、フロントエア吐出ファン23を駆動させることにより、エアaの流れを作り、このエアaがフロント吐出チャンバ20を通り、フロントエア吐出口21から外に出て、用紙束2の先端面(前端面)に吹き付ける。このように、各エアaが用紙束2の先端面および両側端面に吹き付けることで、用紙束2の上部が図1および図4に示すように1枚ずつ確実に分離しバラける。
【0092】
次いで、所定のタイミングで直列に接続されたDCファンからなるシロッコファン15a,15bを駆動させることにより、吸引駆動源チャンバ17および左右の各吸引中継管13,13を介して、単一の吸引チャンバ12から静圧がアップした状態でエアaが吸引されると、吸引チャンバ12の内部が負圧になり、吸引チャンバ12の開口12a面に対向した範囲の両サイドの吸引ベルト11の孔11aからエアaが吸引されるので、図15および図16を参照して説明した従来の吸引ユニット10による場合と比べて、吸引面積を実質2倍にした状態で1枚に分離された最上位の用紙S1が吸引ベルト11に確実に貼り付け・吸着保持される。
【0093】
用紙S1が吸引ベルト11に貼り付いたら、吸引ベルト駆動モータ47を駆動させることで、駆動ローラ14aが図1中矢印方向に回転し、吸引ベルト11が走行することで、給紙方向Xの下流側のレジストローラ113a,113bまで用紙S1が搬送される。レジストローラ対113a,113bまで用紙S1が搬送された後、吸引ベルト駆動モータ47の駆動を停止させることにより、吸引ベルト11の走行が停止し、所定時間、吸引動作待ちをする。残りの用紙S1の搬送は、レジストローラ対113a,113bの回転により行う。用紙S1の後端が用紙束2の先端面を突き当てている前面板4の近傍にくると、上記したと同様の動作によって次の1枚に分離された用紙Sが吸引ベルト11に貼り付く。この時、シロッコファン15a、15bを駆動させることにより、エア吐出口15b2から吐き出されたエアaが、シロッコファン41a,41bを駆動させることによりエア吸引口41b1を介して吸引することで、シロッコファン41a,41bの吸引効率がよくなる。以上の工程・動作を繰り返すことでエア給紙が続行される。
【0094】
ここで、上述の本実施形態の効果をまとめる上で、上述の背景技術例の有する不具合点をさらに掘り下げる。図15および図16に示した従来の吸引中継管13は、
(イ)図15および図16に示したように、吸引ベルト11の横から1箇所にて吸引していた。
(ロ)図16に示すように、用紙吸引方向である上方向より吸引する方式であった。
しかしながら、エアの吸引力に関して、上記(イ)の吸引ベルト11の横から1箇所で吸引する方式では、吸引中継管13の大きさ・断面積は、吸引ベルト11ピッチ間、すなわちローラ14a,14b間の距離で決まってしまう(図15参照)。つまり、吸引中継管13の大きさ・断面積は、図15に示す関係から、吸引ベルトピッチ間より短く、駆動(従動)ローラ14a(14b)の直径より小さくなってしまう。
【0095】
今までは、スペースの制約等のないため、吸引ベルト孔面積<吸引中継管(ダクト)断面積であったが、スペースを小さくしなければならない場合、すなわち吸引ベルトピッチ短く、または駆動(従動)ローラの直径を小さくしなければならないが、これでは吸引中継管13の断面積も小さくなってしまう。つまり、吸引ベルト孔面積>吸引中継管(ダクト)断面積となってしまい、吸引力が落ちてしまう。
【0096】
もし、吸引ベルト孔面積>吸引中継管(ダクト)断面積の関係で吸引力を上げるとなると、エア吸引駆動ファン15の静圧を上げることにより、吸引中継管13を通過する風速を上げることで対応していた。
しかしながら、エア吸引駆動ファン15の静圧を上げるとなると、DCファンでは限界があり、電気掃除機に使用されているAC(交流)モータ等で駆動する大きなブロアを使用していた。これでは、大きなブロア自体によるスペース確保、装置の大型化およびコストアップが避けられなかった。
また、別の観点から従来の技術を考察すると、図15および図16に示した従来例のエア給紙装置500の吸引ユニット10のように、エア給紙装置およびこれを有する孔版印刷装置を含む印刷装置本体の省スペース化および小型化を図るために、吸引ベルトピッチ間を小さく、または駆動(従動)ローラの直径を小さくした場合、1つの吸引チャンバから1つの吸引中継管(ダクト)を接続する構成しか考慮されていなかったとも言える。
【0097】
一方、上記(ロ)に関して、用紙(シート)吸引方向である上方向より吸引する一例を図17に示している。この方式では、吸引ベルト孔面積≒吸引面積となるが、上側の吸引ベルト11と吸引駆動源チャンバ17Aとの間、特に駆動ローラ14a近傍の上側の吸引ベルト11と吸引駆動源チャンバ17Aとの間に隙間19が発生することにより、エアが漏れてしまい、安定した吸引搬送ができないという不具合点があった。なお、図17において、吸引チャンバ12aと上下の吸引ベルト11との間、従動ローラ14b近傍の吸引駆動源チャンバ17Aと吸引ベルト11との間には、吸引時に吸引力が働いて密着傾向となるため、上記部位の隙間19と比較して無視してよいレベルである。
【0098】
次に、サイドエアの吹付け力について考察する。サイドエアで用紙を確実に1枚ずつ分離する、つまり用紙を吹き上げるには、サイドエアの速度が速いほうが確実に分離し、また単位面積当たりにかかる力が強いほど良い。
例えば、速度の遅い弱い力のサイドエアを用紙、特には厚紙等や高温高湿給紙条件下の塗工紙(コート紙やアート紙等を指し、以下「コート紙」で代表する)の両側端面全体に吹き付けてもコート紙同士の密着力が高くなっていて分離できない。吹付け面積が狭くても風速(サイドエアの速度)が速ければ速いほど用紙を確実に1枚ずつに分離することができる。これは、図15および図16に示したエア給紙装置500の構成にて、サイドエアの速度と吹付け面積とをパラメータにして、厚紙等や高温高湿給紙条件下のコート紙を分離する実験にて確認した。よって、風速をできるだけ速くしたい。風速はエア駆動源の静圧と比例関係にある。静圧が高ければ風速が速くなる。
【0099】
以上説明したとおり、本実施形態によれば以下の効果を奏する。第1に、給紙ユニット1Aおよびこれを有する孔版印刷装置本体150において、上述の特有の構成を備えたサイド吐出ユニット40Aを具備していることにより、数少ないサイドエア吹付駆動源としての安価なDCファンからなるシロッコファン41a,41bで、静圧をアップした状態のサイドエアaで、孔版印刷装置本体150で使用される全ての用紙(シート)サイズに対して、用紙束2上部の用紙Sを1枚ずつ確実に分離することができるので、用紙(シート)をスキュー搬送することなく、また重送しない安定した用紙(シート)搬送を行うことができる。また、サイドエア吹付駆動源も直列に連通・接続されたシロッコファン41a,41bを1箇所だけで配置でき、また栓(切替バルブ)といった駆動源もいらない。
【0100】
また、エア吹付駆動源として安価なDCファンからなるシロッコファン41a,41bを上述したように直列に連通・接続して配置したことにより、静圧が可能な限り高くなることで、サイドエアの速度(風速)が速くなり、特には厚紙等や塗工紙(コート紙等)でも確実に1枚ずつに分離できるようになった。
【0101】
第2に、給紙ユニット1Aおよびこれを有する孔版印刷装置本体150において、省スペース化および小型化を図るために、吸引ベルト11のピッチ間を小さく、または駆動(従動)ローラ14a(14b)の直径を小さくした場合でも、安価なDCファンからなるシロッコファン15a,15bを上述したように直列に連通・接続して配置したことにより、図15および図16に示した従来例の吸引ユニット10による場合と比べて、静圧がアップすることで用紙Sを十分に吸引・保持して給送することができる。
【0102】
第3に、直列に連通・接続して配置されたシロッコファン41a,41bのシロッコファン41bがシロッコファン15bのエア吐出口15b2近傍に配置されていることにより、シロッコファン15bの吐き出したエアaをシロッコファン41bのエア吸引口41b1を介して吸引できることで、エア吹付駆動源としてのシロッコファン41a,41bの吸引効率を図15および図16に示した従来例の吸引ユニット10による場合と比べて、よくすることができる。
【0103】
第4に、上記特有の構成の吸引ユニット10Aを有することにより、装置の省スペース化および小型化を図るために、吸引ベルト11のピッチ間を小さく、または駆動・従動ローラ14a,14bの直径を小さくした場合でも、直列に連通・接続して配置された安価なDCファンからなるシロッコファン15a,15bで対応できると共に、吸引駆動源チャンバ17および左右の各吸引中継管13,13を介して、単一の吸引チャンバ12によりシート幅方向Yの左右の吸引ベルト11の孔11aからエアaが吸引されるので、図15および図16に示した従来例の吸引ユニット10による場合と比べて、用紙S1に対する吸引面積を実質2倍にした状態で1枚に分離された最上位の用紙S1を吸引ベルト11に確実に貼り付け・吸着保持させて給送することができる。用紙S1における用紙幅方向Yの両側から吸引することに伴い、エア吸引駆動源としてのシロッコファン15a,15bを吸引ベルト11の上方近傍に配置することが可能となり、後述する第5の効果を奏する前提となるスペースの効率化(構成部品や構成部材等の集約化)を図ることができると共に、吸引中継管(ダクト)13の長さを短くできることによって、管摩擦損失およびコストをできるだけ抑えることができる。
【0104】
第5に、吸引ベルト11を駆動する吸引ベルト駆動モータ47をシロッコファン15aの近傍に配置することにより、3つの駆動手段・駆動源、すなわちエア吸引駆動源としてのシロッコファン15a,15b、エア吹付駆動源としてのシロッコファン41a,41bおよび駆動手段としての吸引ベルト駆動モータ47を1箇所にまとめ、その上から、これら3つの駆動手段・駆動源を覆うカバー部材としての静音カバー35(図1および図2中太い一点鎖線で示す)を設置することで、駆動音が遮音され低減されるので、低騒音給送が可能となる。
【0105】
(実験例)
上述の第1の実施形態において採用した特徴的な構成、すなわち孔版印刷装置本体150で使用される全ての用紙(シート)サイズ・用紙(シート)種類に適用可能な各サイド吐出ノズル42a,42b,42cおよびサイド吐出ノズル固定42dの最適な配置位置を求めるため、図10および図11に示す実験を行った。何れの実験でもフロント吐出ユニット22による吹付けエアaを併用した条件で行った。
上述したとおり、サイドエアの機能は用紙束上部の用紙全体を確実に浮かし、1枚ずつ分離することである。サイドエアの吹付け箇所を多くすればするほど用紙が浮きやすくなるが、その反面、副作用も発生する。図10(a)に示すように、シート幅方向に狭い小サイズの用紙S、例えばA5以下(シート幅方向のサイズが150mm以下)の用紙束2の各側端面に対して対向する各サイド吐出ノズル42で両サイド方向よりエアaを吹き付けると、図10(b)に示すように、お互いの吹付けエアaが衝突し、逃げエアbの逃げ道がシート給送方向Xの前方(下流)になってしまい、その逃げエアbに用紙Sが乗って搬送され、重送が発生した。
そこで、逃げエアbの逃げ道を確保すべくサイドエアの吹付け箇所を図10(c)に示すように紙面下側の1箇所にしたところ、重送の発生がなくなった。
なお、図10(a)〜図10(c)において、31は図示しない上限検知センサの近傍に配置され給紙トレイ(図示せず)上の用紙束2の最上位の用紙Sに接触して従動回転可能に支持されたローラである。給紙トレイ(図示せず)上の用紙束2の最上位の用紙Sがローラ31に接触するように、上記給紙トレイの昇降動作が制御されるようになっている。
【0106】
上述したように小サイズの用紙に対応して、サイドエアの吹き付けを吹付け有り、吹付け無しにすると、サイドエアの切替駆動源、例えば切替バルブの追加が必要となってしまう。そこで、サイドエア吹付駆動源は1箇所で、かつ、切替バルブ等が無くても、全用紙サイズ・用紙種類に対応可能なサイドエア吹き付け位置の検討に関する実験を行ったところ、図11に示す結果を得た。図11中、用紙サイズ・用紙種類ごとに黒塗色で示した各サイド吐出ノズル42a,42b,42cおよびサイド吐出ノズル固定42dが最適な配置個数、配置位置を表している。各サイド吐出ノズル42a,42b,42cは、図11中図示しないサイドフェンスの移動に連動してシート幅方向Yに移動する。
【0107】
図11の実験結果をまとめると、第1の実施形態として実施例的に図5に示した、孔版印刷装置本体150で使用される全ての用紙サイズ・用紙種類に適用可能なサイドエア吐出口42oを備えた各サイド吐出ノズル42a,42b,42cおよびサイド吐出ノズル固定42dの最適な配置位置が得られた。
【0108】
(第1の実施形態の変形例1)
図12、図19および図20を参照して、第1の実施形態の変形例1を説明する。変形例1は、第1の実施形態のエア給紙装置1の給紙ユニット1Aおよびこれを有する孔版印刷装置本体150に代えて、図12、図19および図20に示すように、操作パネル90に設けられたシート種類認識手段としてのシート種類設定手段と、制御手段76とを有する孔版印刷装置本体151を用いる点が主に相違する。変形例1は、上記相違点以外の構成は、第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態と同様のエア給紙装置1の給紙ユニット1Aを有していることは無論である。
【0109】
図20に示す操作パネル90に配設された、シート種類設定手段として、薄紙、普通紙、コート紙、厚紙を選択設定することが可能な薄紙設定キー131、普通紙設定キー132、コート紙設定キー133および厚紙設定キー134に限らず、薄紙、普通紙、コート紙、厚紙の各表面の反射光量をその平滑度の差を利用して検出し認識する公知のシート種類検出手段を含むシート種類認識手段であってもよい。シート種類検出手段としては、例えば特開2001−328332号公報の図5に示されている用紙種類検知センサ(40)と同様のものを利用することができる。すなわち、用紙種類検出手段は、上記公報の段落番号「0059」ないし「0065」に記載され、図5に詳しく示されているように、用紙(62)の表面に光を投射する発光手段としての発光素子(40aa)を備えた発光部(40a)と、その用紙(62)の表面で反射された反射光を受ける受光手段としての複数の受光素子(40ba)を備えた受光部(40b)とを有し、これらの発光部(40a)および受光部(40b)は、搬送されることで移動する用紙(62)に対して、受光部(40b)の複数の受光素子(40ba)が受けた反射光の受光位置のバラツキを認識することにより被印刷媒体種類を自動的に検出するものである。また、レーザ光の透過光量を検出することで、薄紙、普通紙、コート紙、厚紙を検知するものであってもよい。シート種類認識手段には、シート種類設定手段およびシート種類検出手段の双方が含まれる。
【0110】
制御手段76は、シート種類認識手段としてのシート種類設定手段によって選択設定された薄紙設定キー131、普通紙設定キー132、コート紙設定キー133および厚紙設定キー134からの何れか1つの用紙(シート)種類に応じて、各シロッコファン15a,15b、各シロッコファン41a,41bの回転数および風量を変えるように制御する機能を有する。
制御手段76は、操作パネル90に配設された各種キーやスイッチ、各種センサからの信号に基づいて、操作パネル90に配設された液晶表示装置(LCD)や各種LED、上記各装置・各部の動作を制御可能な、それぞれ図示しないCPU、ROM、RAMおよびタイマ等を備えた周知のマイクロコンピュータを具備している(後述する変形例2の制御手段77、変形例3の制御手段78も同様である)。ROMには、制御手段76の上記CPUの機能を発揮するための動作プログラムや関係データが予め記憶されている(後述する変形例2の制御手段77、変形例3の制御手段78も同様である)。
【0111】
第1の実施形態で説明したように、通常、各シロッコファン15a,15bは最大の回転数で、また各シロッコファン41a,41bは最大の回転数で70%で回転駆動されるよう設定されている。しかしながら、薄紙等で腰の無い紙の場合、静圧が高いと吸引ベルト11の孔11aに入り込んでしまい、用紙にダメージを与える虞がある。その場合は、制御手段76からの指令によって、各シロッコファン15a,15bの一方のファンの回転数を半分にし、もしくは作動停止させることで、薄紙(用紙)にダメージを与えないように静圧を下げることができる。
【0112】
上述したように、通常、各シロッコファン41a,41bは最大の回転数の70%で回転駆動されるよう設定されている。しかしながら、薄紙等で腰の無い用紙を用いる場合、サイドエアの速度(風速)が速いと薄紙等からなる用紙束2上の用紙Sを必要以上に吹き上げたり、用紙Sをばたつかせたりすることで、吸引ユニット10A側の吸引ベルト11が最上位の用紙S1を吸引しずらくなり、搬送ミスが発生する場合がある。
その場合は、制御手段76からの指令によって、両シロッコファン41a,41bの回転数を自動的に遅く(例えばファン電圧14V)し、またはシロッコファン41a,41bの片方を停止するものである。
また、厚紙を用いる場合であるが、厚紙からなる用紙束2上の用紙Sを確実に1枚ずつ分離するためにサイドエアの速度(風速)を速くするほうがよい。その場合は、制御手段76からの指令によって、両シロッコファン41a,41bの回転数を自動的に速くする(ファン電圧21V程度)。
【0113】
つまり、変形例1によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することは元より、薄紙を使用する際、操作パネル90上で薄紙モードを設定する薄紙設定キー131を押すことで、制御手段76による制御によって、各シロッコファン15a,15bの一方のファンの回転数を半分にし、もしくは作動停止させることで、薄紙(用紙)にダメージを与えないように静圧を下げることができると共に、両シロッコファン41a,41bの回転数を自動的に遅く(例えばファン電圧14V)し、またはシロッコファン41a,41bの片方を停止させることで、サイドエアの速度(風速)を遅くすることができる。また、厚紙を使用する際、操作パネル90上で、厚紙設定キー134を押すことで、制御手段76による制御によって両シロッコファン41a,41bの回転数を自動的に速く(ファン電圧21V)させることができる。
【0114】
変形例1では、制御手段76およびシート種類認識手段が孔版印刷装置本体151側に配設された例で説明したが、これに限らず、制御手段76およびシート種類認識手段を、シート給送装置としてのエア給紙装置1における給紙ユニット1B側に配設して構成することもできる(請求項9)。
【0115】
(第1の実施形態の変形例2)
図13および図19を参照して、第1の実施形態の変形例2を説明する。変形例2は、第1の実施形態のエア給紙装置1の給紙ユニット1Aおよびこれを有する孔版印刷装置本体150に代えて、図13、図19および図20に示すように、操作パネル90に設けられたシート種類認識手段としてのシート種類設定手段と、装置本体内に配設された例えばサーミスタ等からなる温度センサ67と、制御手段77とを有する孔版印刷装置本体152を用いる点が主に相違する。変形例2は、上記相違点以外の構成は、第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態と同様のエア給紙装置1の給紙ユニット1Aを有していることは無論である。
【0116】
制御手段77は、シート種類認識手段としてのシート種類設定手段によって選択設定された薄紙設定キー131、普通紙設定キー132、コート紙設定キー133および厚紙設定キー134からの何れか1つのシート種類および温度センサ67によって検知された装置本体50内の温度に応じて、各シロッコファン15a,15b、各シロッコファン41a,41bの回転数および風量を変えるように制御する機能を有する。
【0117】
変形例2では、制御手段76による変形例1に特有の制御に加えて、高温高湿時になるとさらに薄紙等の用紙にダメージを与えてしまう虞や、また高温高湿条件下の塗工紙(コート紙)の厚紙になるとコート紙同士が強く密着し合わうことで1枚ずつに分離しずらくなる。そこで、変形例2では、第1の実施形態と同様の効果を奏することは元より、薄紙を使用する際、薄紙モードを設定する薄紙設定キー131を押すことで薄紙モードを設定すると共に、温度センサ67からの温度が予め図示しないROM等に記憶している温度よりも高い場合は、制御手段77による制御によって自動的に片方のファンの作動を停止して、薄紙(用紙)にダメージを与えないように他方のファンのみによって適正な静圧に下げることができる。
【0118】
また、上記制御と同時にあるいは独立して、厚紙でかつ塗工紙(コート紙)を使用する際、厚紙設定キー134を押すことで厚紙モードを設定すると共にコート紙設定キー133を押すことで塗工紙(コート紙)モードを設定し、温度センサ67からの温度が予め図示しないROM等に記憶している温度よりも高い場合(例えば27℃)は、制御手段77による制御によって自動的に両シロッコファン41a,41bの回転数を最大(定格電圧24V)にすることで、最大のサイドエアの速度(風速)とし、もって高温高湿時の塗工紙(コート紙)の厚紙を使用する場合であってもその用紙Sを確実に1枚ずつに分離することができる。
なお、高温高湿状態をより正確に検知したい場合には、温湿度検知手段としての温度センサと湿度センサとが一体型の公知の温湿度センサを採用することが好ましい。
【0119】
変形例4では、制御手段77、シート種類認識手段および温度検知手段としての温度センサ67が孔版印刷装置本体152側に配設された例で説明したが、これに限らず、制御手段77、シート種類認識手段および温度検知手段としての温度センサ67を、シート給送装置としてのエア給紙装置1における給紙ユニット1A側に配設して構成することもできる(請求項10)。
【0120】
(第1の実施形態の変形例3)
図14、図19および図20を参照して、第1の実施形態の変形例3を説明する。変形例3は、第2の実施形態のエア給紙装置1の給紙ユニット1Aおよびこれを有する孔版印刷装置本体153に代えて、図14、図19および図20に示すように、用紙Sの重送を認識する重送認識手段・重送検知手段としての重送センサ79と、制御手段78とを有する孔版印刷装置本体153を用いる点が主に相違する。変形例3は、上記相違点以外の構成は、第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態と同様のエア給紙装置1の給紙ユニット1Aを有していることは無論である。
【0121】
制御手段78は、重送センサ79により検知された用紙Sの重送によって、各シロッコファン41a,41bの回転数および風量を変えるように制御する機能を有する。本実施形態の重送センサ79は、給紙ユニット1Aから搬送される用紙出口とレジストローラ対113,113bとの間の用紙(シート)搬送経路上に配設されている。
重送センサ79としては、例えば特開平7−121079号公報の図1および段落「0012」で開示されている、フォトダイオード等で構成され、用紙の透過率等の変化から重送を検知する重送センサ(7)を用いる例が挙げられる。また、特開2000−159393号公報の図2および段落「0023」等で開示されている超音波センサを利用した重送センサ(10)や光学センサを利用した公知のセンサを用いてもよい。
重送認識手段には、重送を自動的に検知する重送検知手段の他に、重送発生を設定する重送設定手段が含まれる。
【0122】
重送センサ79により用紙Sの重送が検知された場合、制御手段78からの指令によって、現に動作しているシロッコファン41a,41bの電圧を2V程度高くし、これによりシロッコファン41a,41bの回転数をアップさせることで、サイドエアの速度(風速)が自動的にアップすることとなるから、ジャム処理後の給紙・分離動作において用紙Sを確実に1枚ずつに分離することができるようになる。
【0123】
各シロッコファン41a,41bを最大電圧24Vで動作させている場合には対応できないが、24V以外で重送が発生した時は、制御手段78からの指令によって、重送発生が操作パネル90のタッチパネル98のLCD画面に警告表示されたり、ブザー97吹鳴により警告報知されるので、使用者は上記警告表示や警告音によって重送したことを理解し、操作パネル90のタッチパネル98等に適宜配設される重送設定手段としての図示しない重送モードキーや重送モードボタンを押すことで、上述したと同様に対応できる。
上述した例に限らず、重送が2、3回以上続いた場合に、現に動作しているシロッコファン41a,41bの電圧を高くし、これによりシロッコファン41a,41bの回転数をアップさせることで、サイドエアの速度(風速)が自動的にアップすることもできるようになっている。
【0124】
変形例3では、制御手段78が孔版印刷装置本体153側に配設された例で説明したが、これに限らず、制御手段78および重送認識手段・重送検知手段としての重送センサ79を、シート給送装置としてのエア給紙装置1における給紙ユニット1A側に配設して構成することもできる(請求項11)。
【0125】
本発明は、孔版印刷機(孔版印刷装置)やオフセット印刷機等を含む印刷装置に限らず、電子写真方式の複写機、プリンタ、インクジェット記録装置、あるいはこれらの少なくとも複数から構成される複合機等の画像形成装置にも適用できることは無論である。本発明を画像形成装置に適用した場合、「印刷装置」を「画像形成装置」と、「印刷画像形成手段」を「画像形成手段」とそれぞれ読み替えればよい。
【0126】
以上説明したとおり、本発明を特定の実施形態や、実験例、変形例等について説明したが、本発明が開示する技術的範囲は、上述した実施形態や変形例あるいは実施例等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
例えば、上述した変形例1ないし3を適宜組み合わせた制御構成であってもよく、本願が開示した発明の内容から、当業者であれば、変形例1ないし3の全ての制御を行える制御構成等を構成するようなことも容易に理解し実施できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の第1の実施形態のエア給紙装置の給紙ユニットを示す幾分模式的な正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の吸引ユニット周りの幾分模式的な側面図である。
【図4】図1のサイド吐出ユニット周りの幾分模式的な側面図である。
【図5】全ての用紙(シート)サイズ・用紙(シート)種類に適用可能な各サイド吐出ノズルの、実験によって見出した最適な配置位置を示す模式的な平面図である。
【図6】図1の吸引ユニットにおける要部(2つのシロッコファンの連通・接続状態)を示す模式的な正面図である。
【図7】図6の下面図である。
【図8】図1のサイド吐出ユニットにおける要部(2つのシロッコファンの連通・接続状態)を示す模式的な正面図である。
【図9】第1の実施形態等に使用されるシロッコファンの製品例を示す下面図、(b)は、同ファンの右側面図、(c)は、同ファンの平面図である。
【図10】(a)は、各サイド吐出ノズルおよびサイド吐出ノズル固定の最適な配置位置を求めるための実験経過を説明する要部の模式的な平面図、(b)は、同正面図、図10(c)は、同実験結果を説明する要部の模式的な平面図である。
【図11】全用紙サイズ・用紙種類毎に最適な各サイド吐出ノズルおよびサイド吐出ノズル固定の配置位置状態をまとめた図表である。
【図12】第1の実施形態の変形例1の要部の制御構成を示すブロック図である。
【図13】第1の実施形態の変形例2の要部の制御構成を示すブロック図である。
【図14】第1の実施形態の変形例3の要部の制御構成を示すブロック図である。
【図15】従来のエア給紙装置の要部を示す一部断面正面図である。
【図16】図15の平面図である。
【図17】図15とは別の従来のエア給紙装置の要部を示す一部断面正面図である。
【図18】本発明を適用する孔版印刷装置の全体構成を示す概略的な正面図である。
【図19】図18の孔版印刷装置本体の全体構成を示す正面図である。
【図20】図18の孔版印刷装置本体に用いられる操作パネルの平面図である。
【符号の説明】
【0128】
1 エア給紙装置(シート給送装置)
1A 給紙ユニット
2 用紙束(シート束)
3 給紙トレイ(シート積載台、給紙台)
5 サイドフェンス
10A 吸引ユニット(シート給送装置、給紙ユニットを構成)
11 吸引ベルト(ベルト、エア吸引手段を構成)
12 吸引チャンバ(エア吸引手段を構成)
13 吸引中継管(エア吸引手段を構成)
14a 駆動ローラ(シート給送手段を構成)
14b 従動ローラ(シート給送手段を構成)
15a,15b シロッコファン(エア吸引駆動源、エア吸引手段を構成)
15c,41c 多翼ファン
17 吸引駆動源チャンバ(エア吸引手段を構成)
35 静音カバー(カバー部材)
40A サイド吐出ユニット(エア分離手段を構成)
41a,41b シロッコファン(サイドエア吹付駆動源、エア分離手段を構成)
42a,42b,42c サイド吐出ノズル(エア分離手段を構成)
42d サイド吐出ノズル固定(エア分離手段を構成)
42o サイドエア吐出口
43 サイド吐出中継管(エア分離手段を構成)
44 サイド吐出駆動源チャンバ(エア分離手段を構成)
45 ファン接続ダクト(エア吸引手段を構成)
46 ファン接続ダクト(エア分離手段を構成)
50 装置本体
76,77,78 制御手段
121 印刷ドラム(印刷画像形成手段を構成)
123 プレスローラ(印刷画像形成手段を構成)
150〜153 孔版印刷装置本体(印刷装置)
S 用紙(シート、被印刷媒体)
X シート給送方向
Y シート幅方向
Z 高さ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載されたシート束の両側端面にエアを吹き付けることによりシートを1枚ずつ分離させるエア分離手段と、分離された最上位のシートを吸引するエア吸引手段と、該エア吸引手段により吸引保持されたシートをシート給送方向に給送するシート給送手段とを具備するシート給送装置において、
上記エア分離手段は、シート束の上記各側端面にエアを吹き付ける複数のサイドエア吐出口と、該複数のサイドエア吐出口部に連通・接続されたサイドエア吹付駆動源とを有し、
上記複数のサイドエア吐出口は、シート束の上記各側端面に対向して少なくとも2箇所配置され、かつ、それらが上記シート給送方向におけるシート束の先端から異なった距離に配置されていることを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
請求項1記載のシート給送装置において、
上記シート給送方向と直交するシート幅方向におけるシート束の両側端の位置を規制する上記シート幅方向に移動可能な一対のサイドフェンスを有し、
上記サイドエア吐出口を、上記一対のサイドフェンスの移動に連動して移動するように構成したことを特徴とするシート給送装置。
【請求項3】
請求項2記載のシート給送装置において、
上記複数のサイドエア吐出口のうちの上記シート給送方向の最下流に配置された最下流サイドエア吐出口は、上記シート給送方向および上記シート幅方向に移動不能に固定されていることを特徴とするシート給送装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一つに記載のシート給送装置において、
上記サイドエア吹付駆動源は、エアを吸引するエア吸引口と、上記サイドエア吐出口に連通・接続されエアを吐出するエア吐出口とを備えており、
上記エア吸引手段は、エアを吸引するエア吸引口とエアを吐出するエア吐出口とを備えたエア吸引駆動源を有し、
上記サイドエア吹付駆動源は、上記エア吸引駆動源の上記エア吐出口近傍に配置されていることを特徴とするシート給送装置。
【請求項5】
請求項4記載のシート給送装置において、
上記サイドエア吹付駆動源は、シロッコファンであり、
上記シロッコファンは、複数個配設されており、上流側の上記シロッコファンの上記エア吐出口に、該上流側の上記シロッコファンに燐る下流側の上記シロッコファンの上記エア吸引口を連通・接続して配置したことを特徴とするシート給送装置。
【請求項6】
請求項4記載のシート給送装置において、
上記エア吸引駆動源は、シロッコファンであり、
上記シロッコファンは、複数個配設されており、上流側の上記シロッコファンの上記エア吐出口に、該上流側の上記シロッコファンに燐る下流側の上記シロッコファンの上記エア吸引口を連通・接続して配置したことを特徴とするシート給送装置。
【請求項7】
請求項5または6記載のシート給送装置において、
上記各シロッコファンは、回転数を可変することで、静圧および風量を変えることが可能であるDCファンからなることを特徴とするシート給送装置。
【請求項8】
請求項4、5または6記載のシート給送装置において、
上記エア吸引手段は、分離された最上位のシートを吸引し搬送するための、一対の回転部材の間に巻き掛けられ上記シート給送方向に走行するベルトを備えており、
上記ベルトを駆動する駆動手段を上記エア吸引駆動源の近傍に配置し、
上記サイドエア吹付駆動源、上記エア吸引駆動源および上記駆動手段を覆うカバー部材を有することを特徴とするシート給送装置。
【請求項9】
請求項7記載のシート給送装置において、
シートの種類を認識するシート種類認識手段と、
上記シート種類認識手段により認識されたシートの種類に応じて、上記各シロッコファンを制御する制御手段と、
を有することを特徴とするシート給送装置。
【請求項10】
請求項7記載のシート給送装置において、
シートの種類を認識するシート種類認識手段と、
上記印刷装置の温度を検知する温度検知手段と、
上記シート種類認識手段により認識されたシートの種類および上記温度検知手段により検知された上記シート給送装置の温度に応じて、上記各シロッコファンを制御する制御手段と、
を有することを特徴とするシート給送装置。
【請求項11】
請求項7記載のシート給送装置において、
シートの重送を検知する重送検知手段と、
上記重送検知手段により検知されたシートの重送によって、上記サイドエア吹付駆動源としての上記各シロッコファンを制御する制御手段と、
を有することを特徴とするシート給送装置。
【請求項12】
給送されたシートに画像を形成する画像形成手段を具備する画像形成装置において、
請求項1ないし11の何れか一つに記載されたシート給送装置を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−274837(P2009−274837A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128907(P2008−128907)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)
【Fターム(参考)】