説明

シート貼付装置および貼付方法

【課題】構造の簡略化および小型化を図りつつ複数の接着シートを1つの被着体に貼付することができるシート貼付装置および貼付方法を提供すること。
【解決手段】シート搬送手段4のサクションベルト45と押圧手段5の押圧ベルト54との間にワークWを挟んで押圧するとともに、サクションベルト45の速度と押圧ベルト54の速度とを適宜に設定することで、回転させたワークWの回転数や搬送速度を容易に制御することができ、1つのワークWに対する接着シートSの貼付枚数が任意に設定できる。従って、貼付枚数ごとの繰出手段3を準備しなくても複数の接着シートSの貼付に容易に対応することができ、シート貼付装置1全体の構造を簡略化かつ小型化して装置コストや設置コストの低減を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着シートを被着体の外周面に貼付するシート貼付装置および貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビン等の被着体の外周面にラベルを貼付する自動ラベル貼付装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このラベル貼付装置は、被着体を搬送する搬送コンベヤと、この搬送コンベヤの両側に設けられた一対のラベル供給装置と、これらのラベル供給装置から供給されたラベルを支持して被着体に貼付する一対のラベル支持装置とを有して構成されている。一対のラベル支持装置のうち一方は、一方のラベル供給装置から供給されたラベルを吸着保持する吸引装置で構成され、他方のラベル支持装置は、他方のラベル供給装置から供給されたラベルを吸引する吸引装置と、吸引したラベルを保持しつつ搬送コンベヤに沿って回転する可撓性ベルトとを有して構成されている。そして、他方のラベル支持装置の可撓性ベルトによって被着体を回転させつつ搬送コンベヤによって被着体を搬送することで、被着体の表面における対向位置に一方および他方の2枚のラベルが同時に貼付されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭61−12815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のようなラベル貼付装置では、被着体の周長や貼付するラベル長が長くなるに従って、一対のラベル支持装置の全長も長くしなければならず、装置が大型化してしまうという不都合が生じる。また、そのような大型化された装置に周長や貼付するラベル長が短いものが採用された場合でも、先の被着体が一対のラベル支持装置から排出されるまで次の被着体をラベル支持装置内に投入することができないため、処理能力を向上させることができないという不都合も生じる。
また、2枚のラベルを1つの被着体に貼付する場合、ラベル供給装置およびラベル支持装置をそれぞれ一対ずつ準備すると、貼付装置が大型化かつ複雑化して装置コストや設置コストのみならず、メンテナンスの手間やコストも増大してしまうという不都合が生じる。さらに、従来のラベル貼付装置では、1つの被着体に2枚のラベルを貼付することはできるものの、3枚以上のラベルを貼付するためには、ラベル供給装置やラベル支持装置などを追加で設置する必要があり、ラベル貼付装置全体がさらに大型化してしまうことから、3枚以上のラベルを貼付するための改良が困難であるという問題もある。
【0005】
本発明の目的は、構造の簡略化および小型化を図りつつ被着体の外周面に接着シートを貼付することができるシート貼付装置および貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のシート貼付装置は、基材シートの一方の面に接着剤層を有する接着シートを被着体の外周面に貼付するシート貼付装置であって、前記接着シートを繰り出す繰出手段と、繰り出された接着シートを基材シートの他方の面側から支持して搬送するとともに、前記被着体の外周面に当接して当該被着体を転動させるシート搬送手段と、前記シート搬送手段に対向配置されて当該シート搬送手段との間に前記被着体を挟むとともに、前記接着シートに当該被着体を押圧して当該接着シートを貼付する押圧手段とを備え、前記押圧手段は、前記シート搬送手段による前記接着シートの搬送方向および搬送速度に対し、同一方向かつ同速以下で移動するか、停止するか、または反対方向かつ同速以下で移動しつつ前記被着体を押圧する押圧部材を有する、という構成を採用している。
【0007】
この際、本発明のシート貼付装置では、前記シート搬送手段は、前記繰出手段から繰り出される複数の接着シートを所定間隔を隔てて支持可能であり、これら複数の接着シートを1つの前記被着体に貼付可能に構成されることが好ましい。
また、本発明のシート貼付装置では、前記繰出手段は、前記シート搬送手段における前記接着シートの支持面に平行で、かつ当該繰出手段における前記接着シートの繰り出し方向に直交する方向に移動可能に設けられていることが好ましい。
さらに、本発明のシート貼付装置では、前記押圧手段は、前記シート搬送手段との対向方向に沿って移動可能に支持されていることが好ましい。
【0008】
一方、本発明のシート貼付方法は、基材シートの一方の面に接着剤層を有する接着シートを被着体の外周面に貼付するシート貼付方法であって、前記接着シートを繰り出し、繰り出された接着シートを基材シートの他方の面側からシート搬送手段で支持して搬送するとともに、当該シート搬送手段を前記被着体の外周面に当接させて当該被着体を転動させ、前記シート搬送手段に対向配置された押圧手段で当該シート搬送手段との間に前記被着体を挟んで押圧するとともに、前記シート搬送手段による前記接着シートの搬送方向および搬送速度に対し、前記押圧手段を同一方向かつ同速以下で移動させるか、停止させるか、または反対方向かつ同速以下で移動させることで、前記被着体に前記接着シートを貼付することを特徴とする。
この際、本発明のシート貼付方法では、前記シート搬送手段で複数の接着シートを所定間隔を隔てて支持し、これら複数の接着シートを1つの前記被着体に貼付することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によれば、シート搬送手段と押圧手段とで被着体を回転させて接着シートを貼付する際に、シート搬送手段による接着シートの搬送方向および搬送速度に対して押圧部材を適宜な方向および速度で移動させることで、被着体が転動される回転速度と、被着体が搬送される搬送速度との両方を制御することができる。これにより、被着体の周長や貼付するラベル長に合わせて、シート搬送手段および押圧手段の全長を長く設定することなく対応させることができ、装置構造の簡略化および小型化を図ることができる。また、接着シートの長さが短い場合、無駄に被着体を回転させて時間を費やすことなく、直ちに後工程側に被着体を搬送して次の被着体を受け入れる体制に入れるので処理能力を高めることができる。
さらに、シート搬送手段による接着シートの搬送速度と、押圧部材の移動方向および移動速度とを適宜に設定することができるので、被着体への接着シートの貼付条件が任意に変更でき、接着シートの貼付枚数ごとに供給装置や支持装置を準備しなくても複数の接着シートの貼付に容易に対応することができる。従って、シート貼付装置全体の構造を簡略化かつ小型化して装置コストや設置コストの低減を図ることができる。
【0010】
また、シート貼付装置において、シート搬送手段における接着シートの支持面に平行かつ繰り出し方向に直交して移動可能に繰出手段を設ければ、複数の接着シートごとに貼付位置を適宜に変更して被着体に貼付することができる。さらに、シート搬送手段との対向方向に沿って移動可能に押圧手段を設ければ、被着体の周長が変更になった場合でも難なく対応することができる。また、被着体の周長が変更された場合であっても、前述のように押圧部材の移動方向および速度を適宜に設定することで、被着体の回転速度と搬送速度との関係を適宜に調整することができ、任意の搬送距離の間に所定の貼付位置に接着シートを貼付することができる。従って、周長が大きな被着体であっても、搬送距離を大きく伸ばす必要がなく、シート貼付装置をさらに小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るシート貼付装置の平面図。
【図2】図1のシート貼付装置のA矢視部分断面図。
【図3】図1のシート貼付装置のB矢視部分断面図。
【図4】図1のシート貼付装置の動作説明図。
【図5】図1のシート貼付装置の他の動作説明図。
【図6】図1のシート貼付装置のさらに他の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態のシート貼付装置1は、被着体としてのワークWの外周面W1に接着シートSを貼付するものである。ここで、ワークWは、ビン、缶、ペットボトルなどの容器のように円筒状の胴を有したものが例示できる。また、接着シートSは、基材シートの一方の面に接着剤層が積層されるとともに、所定サイズの外形に予め切断されており、帯状の剥離シートRLに仮着された原反Rとして予め準備されている。
【0013】
図1〜図3において、シート貼付装置1は、接着シートSを繰り出す繰出手段3と、繰り出された接着シートSを基材シートの他方の面側から支持して搬送するシート搬送手段4と、シート搬送手段4に対向して当該シート搬送手段4との間にワークWを挟みこんで押圧する押圧手段5と、繰出手段3を図1中紙面直交方向に移動自在に支持する変位手段6とを備えて構成され、ワークWを搬送する搬送手段としてのベルトコンベア2を囲むように配置されている。
【0014】
ベルトコンベア2は、図1、2中左右に延びて設けられるとともに、駆動プーリ22(図3参照)によって回転駆動される無端ベルト21を有して構成され、ワークWを前工程(図1中右側)からシート貼付装置1側に搬送するとともに、接着シートSを貼付したワークWを後工程(図1中左側)に搬送するようになっている。
【0015】
繰出手段3は、変位手段6に支持されるフレーム31と、このフレーム31からシート搬送手段4側に延びるピールプレート32とを有し、フレーム31には、原反Rをロール状に巻回して支持する支持ローラ33と、剥離シートRLおよび接着シートSを案内する2個のガイドローラ34,35と、モータ36Aによって駆動する駆動ローラ36と、駆動ローラ36との間に剥離シートRLを挟み込むピンチローラ37と、モータ38Aの駆動によって剥離シートRLを回収する回収ローラ38とが設けられている。ピールプレート32は、ガイドローラ35に掛け回された剥離シートRLを駆動ローラ36に向かって折り返すことで、接着シートSを剥離シートRLから剥離してシート搬送手段4に向かって繰り出すようになっている。
【0016】
シート搬送手段4は、上下のフレーム41と、これらのフレーム41間に支持される3本のプーリ42,43,44と、これらのプーリ42,43,44に巻回された無端のサクションベルト45と、サクションベルト45の内側にてプーリ42,43間に位置する吸引チャンバ46と、上側のフレーム41に固定されてプーリ44を回転駆動する駆動モータ47とを有して構成されている。サクションベルト45は、多孔性かつ弾性を有した帯状部材で構成されるとともに、駆動モータ47に駆動されたプーリ44の回転によって図1中時計回りに回転駆動される。また、吸引チャンバ46がサクションベルト45を介して空気を吸引することで、吸引チャンバ46と反対側のサクションベルト45表面に吸引力が生じ、接着シートSを吸引支持する支持面45Aが形成されるようになっている。これにより、繰出手段3から繰り出された接着シートSが支持面45Aに支持され、サクションベルト45の回転に伴ってプーリ42側からプーリ43側に向かって搬送されるようになっている。
【0017】
押圧手段5は、フレーム51と、このフレーム51に支持される2本のプーリ52,53と、これらのプーリ52,53に巻回された無端の押圧ベルト(押圧部材)54と、フレーム51に固定されてプーリ53を回転駆動する駆動モータ55と、フレーム51が固定されたスライダ56を図3中左右方向に移動させる位置制御可能な直動モータ57とを備えて構成されている。なお、図3中二点鎖線で示される部分は、図解し易くするために上方向にずらして描かれているが、実際には上下方向にずれることはない。押圧ベルト54は、弾性を有した帯状部材で構成され、駆動モータ55に駆動されたプーリ53の回転によって図1中反時計回りまたは時計回りに回転駆動可能に設けられている。また、プーリ52,53間の押圧ベルト54は、シート搬送手段4におけるプーリ43,44間のサクションベルト45に対向して平行に配置されるとともに、サクションベルト45との間に挟み込んだワークWをサクションベルト45に向かって押圧するようになっている。
【0018】
変位手段6は、フレーム31が固定されたスライダ61を図1中紙面直交方向に移動可能な直動モータ62を備えて構成されている。これにより、繰出手段3がシート搬送手段4における接着シートSの支持面に平行で、かつ当該繰出手段3における接着シートSの繰り出し方向に直交する方向に移動可能に設けられている。
【0019】
以上のシート搬送手段4および押圧手段5において、サクションベルト45および押圧ベルト54は、互いに平行に設けられてワークWを挟む各々の対向部分に速度差が設定可能とされている。具体的には、サクションベルト45における対向部分は、図1中左向きのワークWの搬送方向に向かって速度V1で駆動されている。これに対して、押圧ベルト54は、図4に示すように停止する(速度V2=0)か、図5に示すように、押圧ベルト54の対向部分が速度V1と同一方向に速度V1以下の速度V2で移動するか、図6に示すように、速度V1と反対方向に速度V1以下の速度V2で移動するか、のいずれかの状態で駆動可能となっている。このようにサクションベルト45の速度V1と押圧ベルト54の速度V2との速度差(ΔV)により、ワークWは反時計回りに回転して接着シートSがその外周面W1に貼付されつつ、搬送方向に向かって搬送されることとなる。なお、図4〜図6では、ワークWとして周長の異なる3つの円柱状断面を有したものを示すが、ワークWの断面形状は特に限定されず、周長が同一の楕円柱状断面や多角柱状断面などであっても略同様の搬送状態となる。また、図4〜図6においては、ワークWの搬送状態を分かりやすくするために接着シートSを省略しているが、ワークWの移動に応じたサクションベルト45の適宜な位置に接着シートSを支持すればよく、複数の接着シートSを適宜な間隔で支持しておけば、ワークWの転動によって所定の貼付位置に接着シートSを貼付することができる。
【0020】
以上のシート貼付装置1において、ワークWの外周面W1に接着シートSを貼付する手順としては、シート搬送手段4が駆動モータ47でサクションベルト45を回転させるとともに、押圧手段5が駆動モータ55で押圧ベルト54を回転させ、これらのサクションベルト45および押圧ベルト54をワークWの周長に応じて適宜に設定した速度V1,V2で駆動する。また、ベルトコンベア2は、図示しないワーク供給手段などによって所定間隔で送り出されたワークWを所定の搬送速度で搬送する。
そして、ベルトコンベア2によってワークWが搬送されて来ると、図示しないセンサによってワークWが検出され、繰出手段3が駆動ローラ36およびモータ38Aを駆動して剥離シートRLを巻き取ることで接着シートSをシート搬送手段4に向かって繰り出す。この際、繰出手段3は、サクションベルト45に設定された駆動速度と同速の速度V1で接着シートSを繰り出す。さらに、変位手段6は、図2に示すように、直動モータ62を駆動して繰出手段3を上下に移動させ、予め設定した高さで接着シートSをシート搬送手段4に受け渡す。本実施形態では、2枚の接着シートSを1のワークWに貼付する。
【0021】
シート搬送手段4は、繰出手段3から繰り出された2枚の接着シートSをサクションベルト45の裏側から吸引チャンバ46で吸引し、支持面45Aにこれら接着シートSを支持するとともに、支持したサクションベルト45の回転によってこれら接着シートSを搬送する。ワークWは、サクションベルト45によって搬送される1枚目の接着シートSよりも若干早くサクションベルト45と押圧ベルト54の間に挟み込まれており、そこに1枚目の接着シートSが搬送されて来ると、ワークWの外周面W1に1枚目の接着シートSの先端部が貼付される。これに続いて、サクションベルト45と押圧ベルト54との速度差(ΔV)によってワークWが回転され、回転するワークWの外周面W1に1枚目の接着シートS全体を順次貼付する。1枚目の接着シートSの貼付後もシート搬送手段4および押圧手段5は、ワークWの回転、搬送を継続し、サクションベルト45で支持した2枚目の接着シートSも外周面W1に貼付する。2枚目の接着シートSが貼付されたワークWは、サクションベルト45と押圧ベルト54の間を抜け出し、ベルトコンベア2によって後工程に搬送されるようになっている。
【0022】
また、シート貼付装置1において、ワークWのサイズを変更して接着シートSを貼付する手順としては、先ず、図3に示すように、直動モータ57を駆動して押圧ベルト54をシート搬送手段4に向かって接近または離隔移動させ、サクションベルト45と押圧ベルト54との間隔を変更する。次に、サクションベルト45および押圧ベルト54をワークWの周長に応じて適宜に設定した速度V1,V2で駆動する。ワークWの周長に応じたサクションベルト45および押圧ベルト54の速度V1,V2設定としては、例えば、図4〜図6に示すように、周長が異なる複数サイズのワークWのいずれの場合であっても、ワークWの搬送距離Lが一定となるように設定することが可能である。
【0023】
先ず、図4に示すように、ワークWの周長がプーリ42,43およびプーリ52,53の中心間距離Lと等しい場合、ワークを1周させて接着シートSを貼付するには、押圧ベルト54の駆動を停止して速度V2をゼロに設定する。
また、図5に示すように、ワークWを1周させなくても接着シートSが貼付可能な場合や、ワークWの周長が中心間距離L以下のワークWに対しては、サクションベルト45と同一方向に速度V1以下で押圧ベルト54が移動するように速度V2を設定することで、無駄にワークWを回転させて時間を費やすことなくワークWを回転させて後工程に搬送することができる。
さらに、図6に示すように、ワークWに対して1周以上回転させて接着シートSを貼付する場合や、ワークWの周長が中心間距離L以上のワークWに対しては、サクションベルト45と反対方向に速度V1以下で押圧ベルト54が移動するように速度V2を設定することで、ワークWの回転速度を早めて接着シートSを貼付することができる。ここで、サクションベルト45と反対方向に速度V1と同速に速度V2を設定した場合、ワークWは後工程方向に搬送されることなく回転動作だけが行われるため、複数の接着シートSを貼付することができる。
このように周長が異なる複数のワークWに対しても、サクションベルト45および押圧ベルト54の速度V1,V2を適宜に設定することで、一定の移動距離LでワークWを回転させることができる。従って、ワークWが一回転する間に外周面W1に適宜な枚数の接着シートSを貼付するように繰出手段3の繰り出し間隔を設定すれば、1つのワークWの外周面W1に複数枚の接着シートSを適宜な位置および間隔で貼付することができる。
【0024】
以上のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、シート搬送手段4におけるサクションベルト45の速度V1と、押圧手段5における押圧ベルト54の速度V2とを適宜に設定することで、回転させたワークWの回転数や搬送距離を容易に制御することができ、1つのワークWに対する接着シートSの貼付枚数が任意に設定できる。従って、貼付枚数ごとの繰出手段3を準備しなくても複数の接着シートSの貼付に容易に対応することができ、シート貼付装置1全体の構造を簡略化かつ小型化して装置コストや設置コストの低減を図ることができる。さらに、ワークWのサイズ変更に対しても、容易に対応することができるとともに、ワークWの周長が長くなっても搬送距離を抑えることができ、シート貼付装置1をさらに小型化することができる。
【0025】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0026】
例えば、前記実施形態では、被着体であるワークWとして、円筒状の胴を有したものを例示したが、被着体としては、中空または中実の略同一断面が軸方向に連続するものであって、軸方向の細長比が大きい柱状のものや、細長比が小さい板状のもの、細長比が略1のものなど、所定の形状を保持可能な適宜な物体であればよい。また、被着体の外周面を形成する断面形状としては、円形や楕円形、多角形の他に、直線と曲線とを組み合わせたものや断面多角形の柱(三角柱や四角柱、五角柱…)状のものでもよく、つまり径方向外側に凸となる断面形状であって、極端に鋭角となるような角がなく、接着シートSの略全面を連続して貼付可能な断面形状であればよい。すなわち、極端な鋭角を有して外周面が形成されていると、被着体を転動させた場合に、鋭角部分で滑ったり跳ねたりするために接着シートSが適切に貼付されない貼付不良や、被着体が円滑に搬送されないことで接着シートSの貼付位置ずれを引き起こすことがあるため、このような不具合を起こさない程度に均整のとれた外周面を有していればよい。
【0027】
また、前記実施形態では、繰出手段3として剥離シートRLに複数の接着シートSが仮着された原反Rから当該接着シートSを供給するものを例示したが、これに限らず、枚葉の接着シートSを供給するものであってもよい。また、繰出手段3が有する原反Rは1つに限らず、複数の原反Rから複数種類の接着シートSを供給するようにしてもよい。また、1つの原反Rの剥離シートRLに複数種類の接着シートSが適宜な順序で並んで仮着されていてもよい。
また、前記実施形態では、繰出手段3を変位手段6で移動させて接着シートSの貼付位置を変更するように構成されていたが、これに限らず、シート搬送手段4を移動可能に支持して接着シートSの貼付位置を変更してもよく、またシート搬送手段4および押圧手段5によって転動させている途中の被着体を移動させて貼付位置を変更してもよい。
さらに、ワークWを1周させて接着シートSを貼付する以外に、1周以上回転させることによって、ワークWの図2中上下方向に複数枚の接着シートSを貼付するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 シート貼付装置
3 繰出手段
4 シート搬送手段
5 押圧手段
45A 支持面
54 押圧ベルト(押圧部材)
S 接着シート
W ワーク(被着体)
W1 外周面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの一方の面に接着剤層を有する接着シートを被着体の外周面に貼付するシート貼付装置であって、
前記接着シートを繰り出す繰出手段と、
繰り出された接着シートを基材シートの他方の面側から支持して搬送するとともに、前記被着体の外周面に当接して当該被着体を転動させるシート搬送手段と、
前記シート搬送手段に対向配置されて当該シート搬送手段との間に前記被着体を挟むとともに、前記接着シートに当該被着体を押圧して当該接着シートを貼付する押圧手段とを備え、
前記押圧手段は、前記シート搬送手段による前記接着シートの搬送方向および搬送速度に対し、同一方向かつ同速以下で移動するか、停止するか、または反対方向かつ同速以下で移動しつつ前記被着体を押圧する押圧部材を有して構成されることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
前記シート搬送手段は、前記繰出手段から繰り出される複数の接着シートを所定間隔を隔てて支持可能であり、これら複数の接着シートを1つの前記被着体に貼付可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載のシート貼付装置。
【請求項3】
前記繰出手段は、前記シート搬送手段における前記接着シートの支持面に平行で、かつ当該繰出手段における前記接着シートの繰り出し方向に直交する方向に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート貼付装置。
【請求項4】
前記押圧手段は、前記シート搬送手段との対向方向に沿って移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシート貼付装置。
【請求項5】
基材シートの一方の面に接着剤層を有する接着シートを被着体の外周面に貼付するシート貼付方法であって、
前記接着シートを繰り出し、
繰り出された接着シートを基材シートの他方の面側からシート搬送手段で支持して搬送するとともに、当該シート搬送手段を前記被着体の外周面に当接させて当該被着体を転動させ、
前記シート搬送手段に対向配置された押圧手段で当該シート搬送手段との間に前記被着体を挟んで押圧するとともに、前記シート搬送手段による前記接着シートの搬送方向および搬送速度に対し、前記押圧手段を同一方向かつ同速以下で移動させるか、停止させるか、または反対方向かつ同速以下で移動させることで、前記被着体に前記接着シートを貼付することを特徴とするシート貼付方法。
【請求項6】
前記シート搬送手段で複数の接着シートを所定間隔を隔てて支持し、これら複数の接着シートを1つの前記被着体に貼付することを特徴とする請求項5に記載のシート貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−93582(P2011−93582A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250930(P2009−250930)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】