説明

シールを貫通する構成要素冷却

【課題】従って、本出願は、タービン構成要素冷却システム(210)を提供する。
【解決手段】本構成要素冷却システム(210)は、タービン構成要素(220)と、タービン構成要素(220)に近接して流れる空気流と、タービン構成要素に隣接して配置されたシール(240)とを含むことができる。シール(240)は、それを通って空気流(255)が流れるのを可能にするようになった幾つかのアパーチャ(250)を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、総括的にはガスタービンエンジンに関し、より具体的には、シール構成要素を貫通する空気流により高温エンジン構成要素を貫通冷却することに関する。
【背景技術】
【0002】
タービンエンジンを通る空気流の一部分は、分流させかつ冷却目的に使用することができる。しかしながら、タービンエンジンの全体効率は、燃焼のために使用するのとは対照的に冷却目的で分流させた空気の量によって低下する。冷却目的のために分流させた空気流或いはその他の種類の寄生空気流が少なければ少ないほど、ガスタービンエンジンの効率及び作動は全体として、より良好になる。
【0003】
一例として、第1段ノズル外側基部の周りに配置された保持リングは、圧縮機吐出空気流によって冷却することができる。保持リングは、コア空気流からの冷却流で冷却することができる。しかしながら、保持リングの円周方向冷却は、該保持リング内に円周方向温度勾配が生じさせる可能性がある。さらに、保持リング内にグルーブを機械加工することは、機械加工時間及び労働コストを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,814,538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、少ない空気量を使用しながら全体システム効率を高めるようになった、構成要素冷却用のシステム及び方法の改善に対する願望が存在する。そのシステム及び方法はまた、より複雑でなくかつより安価な構成要素の使用を可能にするのが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本出願は、タービン構成要素冷却システムを提供する。本構成要素冷却システムは、タービン構成要素と、タービン構成要素に近接して流れる空気流と、タービン構成要素に隣接して配置されたシールとを含むことができる。シールは、それを通って空気流が流れるのを可能にするようになった幾つかのアパーチャを含むことができる。
【0007】
本出願はさらに、タービン構成要素冷却システムを提供する。本構成要素冷却システムは、タービン構成要素と、タービン構成要素に近接して流れる空気流と、タービン構成要素に隣接して配置されたW−シールとを含むことができる。W−シールは、それを通って空気流が流れるのを可能にするようになった幾つかのアパーチャを含むことができる。
【0008】
本出願はさらに、タービン構成要素冷却システムを提供する。本構成要素冷却システムは、第1段ノズル外側基部と、第1段ノズル外側基部に隣接して配置された保持リングと、保持リングに隣接して配置された第1段シュラウドと、保持リングに近接して空気シーリングプレートに沿って流れる空気流と、空気シーリングプレート及び第1段シュラウド間に配置されたシールとを含むことができる。シールは、それを通って空気流が流れるのを可能にするようになった幾つかのアパーチャを含むことができる。
【0009】
本出願のこれらの及びその他の特徴は、幾つかの図面及び特許請求の範囲と関連させてなした以下の詳細な説明を精査することにより、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ガスタービンエンジンの側面断面図。
【図2】保持リングを示す、第1段ノズル外側基部及び第1段シュラウドの内側セクションの側面断面図。
【図3】本明細書に記載したような保持リング及びW−シールを示す、第1段ノズル外側基部及び第1段シュラウドの内側セクションの側面断面図。
【図4】本明細書で使用することができるようなW−シールの側面平面図。
【図5】W−シールの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、幾つかの図全体を通して同じ参照符号が同様な要素を表している図面を参照すると、図1は、ガスタービンエンジン100の断面図を示している。公知なように、ガスタービンエンジン100は、流入空気流れを加圧する圧縮機110を含むことができる。圧縮機110は、加圧空気の流れを燃焼器120に送給する。燃焼器120は、加圧空気の流れを加圧燃料の流れと混合しかつその混合気を点火燃焼させる。高温燃焼ガスが次に、タービン130に送給される。高温燃焼ガスは、幾つかのタービンバケット140を駆動して、機械的仕事を産生するようにする。タービン130内で産生された機械的仕事は、圧縮機110を駆動しかつ発電機などのような外部負荷もまた駆動する。ガスタービンエンジン100は、天然ガス、様々なタイプの合成ガス及びその他のタイプの燃料を使用することができる。本明細書では、その他のタイプのガスタービンエンジンもまた、使用することができる。ガスタービンエンジン100は、その他の構成を有することができ、またその他のタイプの構成要素を使用することができる。本明細書では、複数のガスタービンエンジン100、その他のタイプのタービン及びその他のタイプの発電装置を共に使用することができる。
【0012】
図2は、タービン130の一部分の拡大図である。具体的には、第1段ノズル外側基部150の周りに配置された保持リング145とタービンシェル170内に配置された第1段シュラウド160との交差部を示している。空気シーリングプレート180は、保持リング145及び第1段シュラウド160間に配置することができる。空気シーリングプレート180は、その一側面において、保持リング145内に配置された幾つかの円周方向グルーブ190に面し、また他側面において1つ又はそれ以上のW−シールに面する。空気シーリングプレート180との間で保持リング145は、このケースでは円周方向グルーブ190を通って流れる圧縮機吐出空気流195である空気流195によって冷却することができる。しかしながら、そのような円周方向空気の冷却は、保持リング145に沿って、最大約20°F(約6.7℃)又はそのあたりの温度勾配を生じる可能性がある。
【0013】
図3は、本明細書に記載したような構成要素冷却システム210を示している。構成要素冷却システム210は、タービン構成要素220を含むことができる。タービン構成要素220は、保持リング225とすることができる。この実施例では、保持リング225は、円周方向グルーブ190ではなくて、空気シーリングプレート230を含む。構成要素冷却システム210はまた、該構成要素冷却システム210に当接して配置された1つ又はそれ以上のW−シール240を含むことができる。図4及び図5に示すように、W−シール240は、該W−シール240内に、それを通る冷却空気流255を可能にするようになった幾つかのアパーチャ250を含むことができる。アパーチャ250は、その直径を約0.07インチ(約1.78ミリメートル)とし、またその個数を約300個とすることができる。アパーチャ250の寸法及び個数は、所望の冷却流量に合せて変化させることができる。
【0014】
W−シール240は、Inconel 718又は同様なタイプの材料で製造することができる。(Inconel 718は、アルミニウム及びチタンの添加によって析出硬化性にされかつ約1290°F(約700℃)までの高温におけるクリープ破壊強度を有するニッケルクロム合金である)。Inconelは、ウェストバージニア州ハンチントン所在のHuntington Alloy Corporationの商標である。本明細書では、その他のタイプの又は組合せの材料を使用することができる。Inconel材料は、約0.01インチ(約0.254ミリメートル)の厚さを有することができる。
【0015】
W−シール240を貫通する空気流255は、約0.215% W25とすることができる。W−シール240の使用により、保持リング225の一層均一な冷却を行なうことができる。円周方向グルーブ190を形成する材料及び労働コストもまた、排除される。同様に、円周方向グルーブ190を排除することは、保持リング225を構造的に一層強度があるものにする。従って、W−シール240は、それを貫通する冷却空気流255を調量すると同時に保持リング145及び第1段シュラウド160間のシールとして作用する両方を行なう。本明細書に記載したW−シール240はさらに、冷却流を必要とする可能性があるあらゆる箇所で使用することができる。本明細書に記載した構成要素冷却システム210では、その他のタイプのシール及びその他のタイプのタービン構成要素220を使用することができる。
本明細書で使用することができる燃焼器14の実施例の側面断面図である。燃焼器14は、
上記の説明は本出願の一部の実施形態のみに関するものであること並びに本明細書において当業者は特許請求の範囲及びその均等物によって定まる本発明の一般的技術思想及び技術的範囲から逸脱せずに多くの変更及び修正を加えることができることを理解されたい。
【符号の説明】
【0016】
100 ガスタービンエンジン
110 圧縮機
120 燃焼器
130 タービン
140 タービンバケット
145 保持リング
150 第1段ノズル外側基部
160 第1段シュラウド
170 タービンシェル
180 空気シーリングプレート
190 円周方向グルーブ
195 空気流
200 W−シール
210 構成要素冷却システム
220 タービン構成要素
225 保持リング
230 空気シーリングプレート
240 W−シール
250 アパーチャ
255 空気流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン構成要素(220)と、
前記タービン構成要素(220)に近接して流れる空気流(255)と、
前記タービン構成要素に隣接して配置されたシール(240)と、を含み、
前記シール(240)が、それを通って前記空気流(255)が流れるのを可能にするようになった複数のアパーチャ(250)を含む、
タービン構成要素冷却システム(210)。
【請求項2】
前記タービン構成要素(220)が、保持リング(225)を含む、請求項1記載のタービン構成要素冷却システム(210)。
【請求項3】
前記保持リング(225)に隣接して配置された空気シーリングプレート(230)をさらに含む、請求項2記載のタービン構成要素冷却システム(210)。
【請求項4】
前記シール(240)が、前記シーリングプレート(230)及び第1段シュラウド(160)の周りに配置される、請求項3記載のタービン構成要素冷却システム(210)。
【請求項5】
前記シール(240)が、W−シール(240)を含む、請求項1記載のタービン構成要素冷却システム(210)。
【請求項6】
前記複数のアパーチャ(250)が、約300個のアパーチャ(250)を含む、請求項1記載のタービン構成要素冷却システム(210)。
【請求項7】
前記シール(240)が、ニッケルクロム合金を含む、請求項1記載のタービン構成要素冷却システム(210)。
【請求項8】
前記空気流が、約0.215% W25を含む、請求項1記載のタービン構成要素冷却システム(210)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−265893(P2010−265893A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109812(P2010−109812)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】