説明

シールドケース及びこれを備えたコネクタ

【目的】 簡単に作成することができ且つこじり強度の向上を図ることができるシールドケース、及びこれを備えたコネクタを提供する。
【構成】 シールドケース300は、コンタクト200a、200bが配列されたボディ100を収容可能な略角筒状の収容部310と、この収容部310の前端に設けられており且つ後側に折り返された折り返し部320と、この折り返し部320に設けられており且つ収容部310の天板部311及び側壁部313、314に沿って配置された略下向きU字状のカバー部330と、カバー部330の両端部に設けられた一対の第1、第2係止片340a、340bとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドケース及びこれを備えたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコネクタとしては、2種類のプラグコネクタが接続可能になっている多極コネクタがある(特許文献1参照)。この多極コネクタは、シールドケースに2種類のプラグコネクタの外形に対応する2つの接続口が設けられている。この2つの接続口は、シールドケースの幅方向に並べて設けられていることから、該シールドケースの幅寸法が長くなる。また、前記接続口は、シールドケースの底板部中央が上方に折り曲げられた突脈又は前記底板部中央に設けられた突脈によって区切られているだけである。換言すると、前記接続口は、前記突脈により完全に区切られておらず、互いに連通している。このため、シールドケースの天板部の強度が弱く、一方の接続口にプラグコネクタが挿入され、該プラグコネクタの周方向にこじられると、シールドケースの天板部が撓むことがある。このように前記多極コネクタはこじり強度が弱いという問題を有している。
【0003】
このような問題を解消し得るコネクタとして、第1シールドケースと、この第1シールドケース内に収容される第2シールドケースとを有しているものがある(特許文献2参照)。この第1、第2シールドケースが二重構造となっているため、前述の通り幅広な形状となったとしても、こじり強度の低下を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−17165号公報
【特許文献2】実用新案登録第3109294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記コネクタは、第1シールドケース内に第2シールドケースを収容しなければならないことから、組み立てが面倒であるという別の問題を有している。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、簡単に作成することができ且つこじり強度の向上を図ることができるシールドケース、及びこれを備えたコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のシールドケースは、コンタクトが配列されたボディを収容可能な略角筒状の収容部と、この収容部の前端又は後端に設けられており且つ後側又は前側に折り返された折り返し部と、この折り返し部に設けられており且つ前記収容部の天板部及び両側壁部に沿って配置された略下向きU字状のカバー部とを備えている。
【0008】
このようなシールドケースによる場合、前記カバー部が前記収容部の天板部及び両側壁部に沿って配置されることにより、該収容部の天板部及び両側壁部と、カバー部とが二重構造をなしている。このため、接続対象がシールドケースの収容部に挿入され、周方向にこじられたとしても、該収容部の天板部が撓むのを抑制することができるので、その結果として、本シールドケースのこじり強度の向上を図ることができる。また、本シールドケースは、前記収容部と、この収容部の天板部の前端又は後端に設けられ且つ後側又は前側に折り返された折り返し部と、この折り返し部に設けられたカバー部とを備えた構成であることから、従来例の如く2つのシールドケースを組み合わせる必要がなく、プレス成形等により簡単に作成することができる。
【0009】
前記カバー部の両端部には少なくとも一対の係止片が設けられていることが好ましい。この場合、前記収容部の底板部を切り欠いて係止片を作成する必要がなく、該底板部の切り欠いた箇所に孔が形成されることもない。よって、前記収容部を基板上に設置し、前記係止片を基板に半田接続する場合であっても、半田接続時に発生する半田やフラックスが前記収容部内に侵入するのを抑制することができる。また、前記収容部に挿入される接続対象が前記孔に引っ掛かることもない。
【0010】
前記折り返し部が前記収容部の天板部の前端に設けられている場合、前記収容部の後端又は前記カバーの後端にはバックカバーを設けることが可能である。前記バックカバーは、前記ボディの後端面の一部を覆うことが可能になっている。この場合、前記バックカバーにボディの後端面の一部を覆うことにより、本シールドケースを備えるレセプタクルコネクタのインピーダンス整合及びEMI特性の向上を図ることができる。
【0011】
前記収容部の天板部には、該収容部の底板部に向けて凸の突起を設けることが可能である。前記突起はボディの前面に当接可能になっている。前記バックカバーは、前記突起に当接した状態のボディの後面に当接するようになっている。すなわち、前記突起と、前記バックカバーとの間で前記ボディを挟持することができるようになっている。よって、ボディを前記収容部内で簡単に位置固定することができるので、ボディの収容部への組み込みが簡単になる。
【0012】
前記突起はボディの前面に設けられた嵌合凹部に嵌合可能になっていることが好ましい。この場合、前記突起がボディの嵌合凹部に嵌合することにより、ボディの収容部内における位置決めを行うことができる。
【0013】
また、前記収容部の底板部の後端がボディの前面に当接可能とすることが可能である。この場合、前記バックカバーは、前記底板部に当接した状態のボディの後面に当接している。すなわち、前記収容部の底板部と前記バックカバーとの間でボディを挟持することができるようになっている。このようにボディを前記収容部内で簡単に位置固定することができるので、ボディの収容部への組み込みが簡単になる。
【0014】
前記収容部に少なくとも第1、第2プラグコネクタが挿入可能になっている場合、前記収容部の底板部には仕切り部が前記天板部に向けて設けられている。前記仕切り部が前記収容部内を前記第1、第2プラグコネクタが挿入可能な第1、第2挿入孔に区画している。
【0015】
本発明のコネクタは、上記シールドケースと、このシールドケースの収容部に収容されたボディと、このボディに幅方向に沿って配列されたコンタクトとを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係るレセプタクルコネクタの基板実装状態を示す概略図であって、(a)が正面図、(b)が背面図である。
【図2】前記コネクタの基板実装状態を示す概略図であって、(a)が平面図、(b)が底面図である。
【図3】前記コネクタの基板実装状態を示す概略図であって、(a)が右側面図、(b)が左側面図である。
【図4】(a)が前記コネクタの図1(a)中のA−A断面図、(b)が前記コネクタの図1(a)中のB−B断面図、(c)が前記コネクタの図1(a)中のC−C断面図である。
【図5】前記コネクタが実装される基板の模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係るレセプタクルコネクタ(以下、レセプタクルと称する。)について図1乃至図5を参照しつつ説明する。図1に示すレセプタクルは、電子機器の基板10に実装され、図示しないMicro USB2.0プラグコネクタ(以下、USB2.0プラグと称する。)及びMicro USB3.0プラグコネクタ(以下、USB3.0プラグと称する。)が接続可能なコネクタである。このレセプタクルは、ボディ100と、複数の第1、第2コンタクト200a、200bと、シールドケース300とを備えている。以下、各部の動作について説明する。
【0018】
シールドケース300は導電性を有する金属板がプレス成型されたものである。このシールドケース300は、図1乃至図4に示すように、収容部310と、3つの折り返し部320と、カバー部330と、一対の第1、第2係止片340a、340bと、第1バックカバー350aと、一対の第2バックカバー350bと、一対の第3バックカバー350cとを有している。収容部310は、図1に示すように、略角筒状となっている。この収容部310は、天板部311と、天板部311に対向配置された底板部312と、天板部311及び底板部312の両端部を繋ぐ側壁部313、314とを有している。底板部312は、図1(a)及び図2(b)に示すように、略矩形状の板体であって、その中央部が天板部311に向けて下向き略V字状に折り曲げられている。また、底板部312の図1(a)の図示左側部分が傾斜している。底板部312の中央部は、図2(b)に示すように、底板部312の両端部によりも後方に張り出している。前記折り曲げ部が収容部310の内部を第1、第2挿入孔310a、310bに区画する仕切り部312aとなっている。第1、第2挿入孔310a、310bの内形は、USB2.0プラグ、USB3.0プラグの外形に対応した形状となっている。すなわち、第1挿入孔310aにUSB2.0プラグが、第2挿入孔310bにUSB3.0プラグが挿入可能となっている。天板部311は、図1(a)及び図2(a)に示すように、略矩形状の板体である。この天板部311には、該天板部311の一部を上方に切り上げた一対の切り上げ片311aが設けられている。天板部311の奥側部分には、図1、図4(a)及び図4(b)に示すように、3つの突起311bが底板部312に向けて突設されている。側壁部313は略矩形状の板体である。側壁部314は側壁部313よりも高さ寸法が小さい略矩形状の板体である。この側壁部313、314の下端部後端には、図1(b)、図2(b)及び図3に示すように、後方に突設されたガイド片313a、314aが設けられている。ガイド片313a、314aの間の間隔は、ボディ100の本体部110の幅寸法よりも若干大きくなっている。
【0019】
折り返し部320は、図3及び図4に示すように、天板部311の前端の中央部及び幅方向の両端部に各々連設され且つシールドケース300の後側に向けて折り返された断面視略横向きU字状の板体である。この折り返し部320の上端にはカバー部330が連設されている。
【0020】
カバー部330は、図1に示すように、下向き略U字状の板体である。カバー部330は、中央補強板331と、一対の両側補強板332(両端部)とを有している。中央補強板331は、前面に折り返し部320が各々連設された天板部311よりも幅寸法が大きい略矩形状の板体であって、天板部311の上面に沿って配置されている。この中央補強板331には、図2(a)及び図4(b)に示すように、天板部311の切り上げ片311aに対応する位置に略矩形状の長孔331aが設けられている。この長孔331aに切り上げ片311aの先端部が挿入されている。両側補強板332は、図1に示すように、中央補強板331の両端部に連設された略矩形状の板体であって、側壁部313、314の外面に沿って配置されている。両側補強板332の下端には、第1係止片340a及び第2係止片340bが下方に向けて延設されている。この第1、第2係止片340a、340bが基板10の係止孔11、係止孔12に挿入され、グランド接続される部位である。
【0021】
第1バックカバー350aは、図1(b)に示すように、収容部310の天板部311の後端中央部に連設されている。第2バックカバー350bは、図1(b)に示すように、収容部310の天板部311の後端の第1バックカバー350aの両側に連設されている。第3バックカバー350cは、図1(b)に示すように、収容部310の側壁部313、314の上端部の後端に各々連設されている。第1バックカバー350aは、折り曲げ部351aと、この折り曲げ部351aに連設された略矩形状の板体であるカバー本体部352aとを有している。折り曲げ部351aが天板部311に対して略直角に折り曲げられ、カバー本体部352aがボディ100の本体部110の後端面の中央部に沿って配置され且つ該後端面の中央部に当接している。第2バックカバー350bは、一対の折り曲げ部351bと、この折り曲げ部351bに連設された略L字状の板体であるカバー本体部352bとを有している。第3バックカバー350cは、折り曲げ部351cと、この折り曲げ部351cに連設された略矩形状の板体であるカバー本体部352cとを有している。折り曲げ部351bが天板部311に対して略直角に折り曲げられ、折り曲げ部351cが側壁部313、314に対して略直角に折り曲げられている。カバー本体部352b、352cはボディ100の本体部110の後端面の両端部に沿って配置され且つ該後端面の両端部に当接している。
【0022】
ボディ100は、図1(a)に示すように、絶縁樹脂製の成型品である。このボディ100は、本体部110、と、第1、第2凸部120a、120bとを有している。本体部110は断面視略矩形状の板状体であって、シールドケース300の収容部310内に収容されている。この本体部110の上端部には、3つの嵌合凹部111が設けられている。この嵌合凹部111にシールドケース300の突起311bが嵌合している。この嵌合凹部111の底面がシールドケース300の突起311bに当接している。また、本体部110の後側部の下端には、図2(b)に示すように、一対の両側突脈112と、両側突脈112の間に位置する中央突脈113とが設けられている。両側突脈112の前面がシールドケース300の底板部312の両端部後端に当接し、中央突脈113の前面がシールドケース300の底板部312の中央部後端に当接している。また、本体部110の後端面には、図4に示すように、第1、第2、第3バックカバー350a、350b、350cのカバー本体部352a、352b、352cが当接している。すなわち、本体部110は、シールドケース300の突起311b及び底板部312の後端と、第1、第2、第3バックカバー350a、350b、350cのカバー本体部352a、352b、352cとの間で挟持されている。また、本体部110の両側突脈112が、図2(b)に示すように、ガイド片313a、314aに当接している。
【0023】
本体部110の前面の図1(a)中の右側部分の前面には第1凸部120aが、左側部分の前面には第2凸部120bが突設されている。第1凸部120aは平板状の凸部であって、シールドケース300の収容部310の第1挿入孔310a内に配置されている。第1凸部120aの下面には、複数の長溝121aが幅方向に間隔を空けて設けられている。第2凸部120bは、平板状の凸部であって、シールドケース300の収容部310の第2挿入孔310b内に配置されている。第2凸部120bの下面には、複数の長溝121bが幅方向に間隔を空けて設けられている。本体部110及び第1凸部120a内には、インサート成形により第1コンタクト200aが幅方向に間隔を空けて(長溝121aと同ピッチ間隔で)埋設されている。また、本体部110及び第2凸部120b内には、インサート成形により第2コンタクト200bが幅方向に間隔を空けて(長溝121bと同ピッチ間隔で)埋設されている。
【0024】
各第1コンタクト200aは、図4(a)に示すように、略L字状の導電性を有する細長い金属板である。この第1コンタクト200aは、略L字状の中間部210aと、中間部210aの先端に連続する先端部220aと、中間部210aの後端に連設されたテール部230aとを有している。中間部210aは、ボディ100の本体部110内に埋設され、その後端が本体部110の両側突脈112から下方に突出している。先端部220aは、第1凸部120a内に埋設され、該先端部220aの下端部が第1凸部120aの長溝121aから露出している。この露出した部分がUSB2.0プラグのコンタクトが接触する部分となる。テール部230aはボディ100の両側突脈112の下面に沿って後方に向けて延出している。このテール部230aが基板10の電極13aに半田接続される部位となっている。
【0025】
各第2コンタクト200bは、図4(c)に示すように、略L字状の導電性を有する細長い金属板である。この第2コンタクト200bは、略L字状の中間部210bと、中間部210bの先端に連続する先端部220bと、中間部210bの後端に連設されたテール部230bとを有している。中間部210bは、ボディ100の本体部110内に埋設され、その後端が本体部110の両側突脈112から下方に突出している。先端部220bは、第2凸部120b内に埋設され、該先端部220bの下端部が第2凸部120bの長溝121bから露出している。この露出した部分がUSB3.0プラグのコンタクトが接触する部分となる。テール部230bはボディ100の両側突脈112の下面に沿って後方に向けて延出している。このテール部230bが基板10の電極13bに半田接続される部位となっている。
【0026】
以下、上述した構成のレセプタクルの組み立て手順について説明する。まず、第1、第2コンタクト200a、200bがインサート成形されたボディ100を用意する。これと共に、第1、第2、第3バックカバー350a、350b、350cの折り曲げ部351a、351b、351cが折り曲げられる前の状態のシールドケース300を用意する。その後、ボディ100をシールドケース300の収容部310の後側開口からボディ100を挿入する。このとき、ボディ100の第1、第2凸部120a、120bが収容部310の第1、第2挿入孔310a、310b内に挿入されると共に、ボディ100の本体部110の幅方向の両端部がシールドケース300の一対のガイド片313a、314aに当接し、該ガイド片313a、314aにガイドされる。ボディ100をシールドケース300の収容部310内に更に挿入すると、ボディ100の本体部110の嵌合凹部111にシールドケース300の突起311bが嵌合すると共に、ボディ100の両側突脈112がシールドケース300の底板部312の両端部に当接し、該ボディ100の中央突脈113がシールドケース300の底板部312の中央部に当接する。その後、第1、第2、第3バックカバー350a、350b、350cの折り曲げ部351a、351b、351cを略直角に折り曲げ、第1、第2、第3バックカバー350a、350b、350cのカバー本体部352a、352b、352cをボディ100の本体部110の後端面に当接させる。
【0027】
このように組み立てられたレセプタクルは次のように基板10に実装される。まず、シールドケース300の第1、第2係止片340a、340bを基板10の係止孔11、12に挿入し、該シールドケース300の底板部312を基板10上に設置する。このとき、第1、第2コンタクト200a、200bのテール部230a、230bが基板10の電極13a、13b上に各々載置される。その後、第1、第2係止片340a、340bを基板10の係止孔11、12に、テール部230a、230bを基板10の電極13a、13bに半田接続する。
【0028】
以下、上述したレセプタクルにUSB2.0プラグ又はUSB3.0プラグを接続する手順について説明する。USB2.0プラグをシールドケース300の収容部310の第1挿入孔310aに挿入すると、USB2.0プラグのコンタクトがボディ100の第1凸部120aの凹部121aから露出する第1コンタクト200aの先端部220aに接触する。これにより、USB2.0プラグが本レセプタクルに接続される。USB3.0プラグをシールドケース300の収容部310の第2挿入孔310bに挿入すると、USB3.0プラグのコンタクトがボディ100の第2凸部120bの凹部121bから露出する第2コンタクト200bの先端部220bに接触する。これにより、USB3.0プラグが本レセプタクルに接続される。
【0029】
このようなレセプタクルによる場合、シールドケース300のカバー部330が収容部310の天板部311及び側壁部313、314に沿って配置されている。すなわち、収容部310の天板部311及び側壁部313、314と、カバー部330の中央補強板331及び両側補強板332とが二重構造をなしている。このため、USB2.0プラグがシールドケース300の収容部310の第1挿入孔310aに、又はUSB3.0プラグが収容部310の第2挿入孔310bに挿入された状態で、周方向にこじられたとしても、収容部310の天板部111が撓むのを抑制することができる。よって、本レセプタクルのシールドケース300のこじり強度の向上を図ることができる。また、シールドケース300が、収容部310と、この収容部310の天板部111の前端に設けられ且つ後側に折り返された折り返し部320と、この折り返し部320に設けられたカバー部330と、カバー部330の両側補強板332の下端に延設された一対の第1、第2係止片340a、340bと、収容部310の天板部311の後端に連設された第1バックカバー350a及び一対の第1、第2バックカバー350bと、収容部310の側壁部313、314に連設された一対の第3バックカバー350cとを有する構成であることから、プレス成形により簡単に作成することができる。
【0030】
また、カバー部330の両側補強板332の下端に一対の第1、第2係止片340a、340bが延設されている。このため、収容部310の底板部312を切り欠きて係止片を作成する必要がなく、該底板部312の切り欠いた箇所に孔が形成されることもない。よって、本レセプタクルを基板10上に設置し、第1、第2係止片340a、340bを基板10の係止孔11、12に半田接続する際に、半田やフラックスが収容部310内に侵入するのを抑制することができる。また、収容部310の第1、第2挿入孔310a、310bにUSB2.0プラグ、USB3.0プラグを挿入する際に、前記孔に引っ掛かることがない。
【0031】
また、ボディ100をシールドケース300の収容部310に挿入する際に、本体部110の凹部111にシールドケース300の突起311bが嵌合すると共に、本体部110の両側突脈112、中央突脈113がシールドケース300の底板部312に当接させ、その後、第1、第2、第3バックカバー350a、350b、350cの折り曲げ部351a、351b、351cを折り曲げ、カバー本体部352a、352b、352cを本体部110の後端面に当接させるだけで、本体部110がシールドケース300の突起311b及び底板部312と、カバー本体部352a、352b、352cとの間で挟持されるようになっている。このようにボディ100をシールドケース300の収容部310内で簡単に位置固定することができるので、ボディ100を収容部310に簡単に組み込むことができる。しかも、ボディ100をシールドケース300の収容部310に挿入する際に、ボディ100の本体部110の一対の両側突脈112がシールドケース300の一対のガイド片313a、314aにガイドされるようになっているので、本体部110の凹部111にシールドケース300の突起311bを容易に嵌合させることができる。
【0032】
更に、第1、第2、第3バックカバー350a、350b、350cのカバー本体部352a、352b、352cを本体部110の後端面が覆われているので、本レセプタクルのインピーダンス整合及びEMI特性の向上を図ることができる。
【0033】
なお、上述したレセプタクルコネクタは、上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく述べる。
【0034】
上記実施の形態では、シールドケース300の収容部310の第1、第2挿入孔310a、310bには、Micro USB2.0プラグコネクタ、Micro USB3.0プラグコネクタが挿入可能になっているとしたが、これに限定されるものではない。第1、第2挿入孔310a、310bには、Micro USB2.0プラグコネクタ、Micro USB3.0プラグコネクタ以外のプラグコネクタを挿入可能な構成とすることができる。また、上記実施の形態では、収容部310の内部は、底板部312の仕切り部312aにより、第1、第2挿入孔310a、310bに区画されているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、収容部310は、仕切り部312aにより区画されておらず、プラグコネクタが挿入可能な一つの挿入孔を有する構成とすることが可能である。上述した収容部の挿入孔には、プラグコネクタだけでなく、レセプタクルコネクタが挿入可能な構成とすることが可能である。すなわち、本発明は、レセプタクルコネクタだけでなく、プラグコネクタに適応可能である。なお、仕切り部312aは、収容部310の底板部312を折り曲げて作成するだけでなく、収容部310の底板部312の一部を切り起こしたり、別体の仕切り部を底板部312上に設けたりすることも可能である。
【0035】
また、上記実施の形態では、折り返し部320は、収容部310の天板部311の前端に設けられ、後側に向けて折り返されているとしたが、天板部311の後端に設けられ、前側に向けて折り返された構成とすることも可能である。また、折り返し部320は、収容部310の天板部311ではなく、側壁部313、314の前端又は後端に設けることも可能である。この場合、折り返し部320は、側壁部313、314の前端又は後端と両側補強板332の前端又は後端との間を繋ぐ平面視略U字状とすれば良い。折り返し部320を天板部311、側壁部313、314の後端に設ける場合には、第1、第2、第3バックカバー350a、350b、350cは省略すれば良い。
【0036】
上記実施の形態では、収容部310の天板部311に突起311bがボディ100の本体部110の嵌合凹部111に嵌合するとしたが、これに限定されるものではない。突起311bは、少なくとも一つあれば良く、また、省略することが可能である。また、突起311bを本体部110の前面に当接させるようにすることも可能である。同様に、収容部310の底板部312の後端が本体部110の両側突脈112、中央突脈113に各々当接する形状であるとしたが、両側突脈112及び中央突脈113の一方が収容部310の底板部312に当接する構成とすることも可能であるし、両側突脈112及び中央突脈113が底板部312に当接しない構成とすることも可能である。上記実施の形態では、底板部312は、中央部が後方に張り出しているとしたが、中央部と両端部とがフラットな形状とすることが可能である。
【0037】
上記実施の形態では、シールドケース300は、第1、第2、第3バックカバー350a、350b、350cを有するとしたが、これに限定されるものではない。例えば、シールドケース300が第1、第2、第3バックカバー350a、350b、350cの少なくとも一つを有する構成とすることが可能であるし、第1、第2、第3バックカバー350a、350b、350cを省略した構成とすることも可能である。また、第1、第2、第3バックカバー350a、350b、350cは、収容部310の後端ではなく、カバー部330の後端に設けることも可能である。
【0038】
また、上記実施の形態では、第1、第2係止片340a、340bは、カバー部330の両側補強板332の下端に延設されているとしたが、これに限定されるものではない。例えば、第1、第2係止片340a、340bを両側補強板332の一部を切り欠いて作成することも可能である。また、第1、第2係止片340a、340bを収容部310の底板部312に設けることも可能である。第1、第2係止片340a、340bは少なくとも一組あれば良い。また、本コネクタがプラグコネクタに適応される場合には、第1、第2係止片340a、340bは省略することが可能である。
【0039】
また、上記実施の形態では、シールドケース300は、金属板がプレス成形されたものであるとしたが、絶縁樹脂製のケースの内面に金属を蒸着したものであっても良い。
【0040】
ボディ100の形状は、収容部の挿入孔に挿入される接続対象の形状に応じて適宜変更することが可能である。コンタクト200a、200bの形状及び配列についても、前記接続対象の形状に応じて適宜変更することが可能である。
【0041】
なお、上記実施の形態におけるレセプタクルコネクタの各部を構成する素材、形状、個数や寸法等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
10・・・・・基板
11・・・・係止孔
12・・・・係止孔
13a・・・電極
13b・・・電極
100・・・・ボディ
110・・・本体部
111・・嵌合凹部
112・・両側突脈
113・・中央突脈
120a・・第1凸部
120b・・第2凸部
200a・・・第1コンタクト
200b・・・第2コンタクト
300・・・・シールドケース
310・・・収容部
311・・天板部
311a・切り上げ片
311b・突起
312・・底板部
313・・側壁部
314・・側壁部
320・・・折り返し部
330・・・カバー部
340a・・第1係止片
340b・・第2係止片
350a・・第1バックカバー
350b・・第2バックカバー
350c・・第3バックカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトが配列されたボディを収容可能な略角筒状の収容部と、
この収容部の前端又は後端に設けられており且つ後側又は前側に折り返された折り返し部と、
この折り返し部に設けられており且つ前記収容部の天板部及び両側壁部に沿って配置された略下向きU字状のカバー部とを備えていることを特徴とするシールドケース。
【請求項2】
請求項1記載のシールドケースにおいて、
前記カバー部の両端部には少なくとも一対の係止片が設けられていることを特徴とするシールドケース。
【請求項3】
前記折り返し部が前記収容部の天板部の前端に設けられている場合の請求項1又は2記載のシールドケースにおいて、
前記収容部の後端に設けられており且つ前記ボディの後端面の一部を覆うバックカバーを更に備えていることを特徴とするシールドケース。
【請求項4】
前記折り返し部が前記収容部の天板部の前端に設けられている場合の請求項1又は2記載のシールドケースにおいて、
前記カバー部の後端に設けられており且つ前記ボディの後端面の一部を覆うことが可能なバックカバーを更に備えていることを特徴とするシールドケース。
【請求項5】
請求項3又は4記載のシールドケースにおいて、
前記収容部の天板部には、該収容部の底板部に向けて凸の突起が設けられており、
前記突起はボディの前面に当接可能になっており、
前記バックカバーは、前記突起に当接した状態のボディの後面に当接するようになっていることを特徴とするシールドケース。
【請求項6】
請求項5記載のシールドケースにおいて、
前記突起は、ボディの前面に設けられた嵌合凹部に嵌合可能になっていることを特徴とするシールドケース。
【請求項7】
請求項3又は4記載のシールドケースにおいて、
前記収容部の底板部の後端がボディの前面に当接可能になっており、
前記バックカバーは、前記底板部に当接した状態のボディの後面に当接するようになっていることを特徴とするシールドケース。
【請求項8】
前記収容部に少なくとも第1、第2プラグコネクタが挿入可能になっている場合の請求項1乃至7の何れか一つに記載のシールドケースにおいて、
前記収容部の底板部には、仕切り部が前記天板部に向けて設けられており、
前記仕切り部が前記収容部内を前記第1、第2プラグコネクタが挿入可能な第1、第2挿入孔に区画していることを特徴とするシールドケース。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一つに記載のシールドケースと、
このシールドケースの収容部に収容されたボディと、
このボディに幅方向に沿って配列されたコンタクトとを備えていることを特徴とするコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−96381(P2011−96381A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246385(P2009−246385)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】