説明

シールドボックスとそれを有する画像形成装置

【課題】装置を大型化することなく,シールドボックスの内部に配置されている発熱部品を含む電子部品を適切に冷却することのできるシールドボックスとそれを有する画像形成装置を提供すること。
【解決手段】本発明のシールドボックス20は,複数の発熱部品25,28等が内部に配置されているものであって,複数の発熱部品に対応して複数の吸気口35,38等が設けられている主壁面20bと,内部の空気を排出する排気ファン31とを有し,複数の発熱部品の主壁面20bからの距離が発熱部品により異なり,複数の吸気口は,対応する発熱部品の直上位置,または,排気ファン31から見て直上位置より遠方にずれた位置に形成されており,吸気口の位置と対応する発熱部品の直上位置との間の距離は,対応する発熱部品の主壁面20bからの距離が大きいほど大きいものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,プリンター,FAX等の画像形成装置および,その筐体内に配置されるシールドボックスに関する。さらに詳細には,発熱の大きい部品を収容するシールドボックスとそれを有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より,画像形成装置等の電子機器では,プリント基板等の複数の電子部品を箱体にまとめて収容して,箱ごと画像形成装置の筐体内に収めることが行われている。この箱は,電子部品が発生する電磁ノイズの外部への放出を抑えるためのものであり,シールドボックスとよばれる。シールドボックス内に収容される電子部品には,熱を発するものが含まれるため,通常,シールドボックス内に通風することによって冷却している。例えば,シールドボックスの一端側に吸気口を,他端側に排気ファンを設けることによって,シールドボックス内部全体にエアーを流すことが行われていた。
【0003】
このような発熱部品の冷却を効率的に行うために,従来より,ファンやダクトの配置を工夫した技術が開示されている(例えば,特許文献1参照。)。例えば,特許文献1には,機器筐体内に配置された送風ダクトに,各発熱部品に向かって開口する通気孔を設けた冷却装置が開示されている。本文献によれば,通気孔から吹き出す空気によって,ダクトに分岐を形成するより効率よく発熱部品を冷却できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−252675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,上記の特許文献1に記載されているようなダクトをシールドボックスの外に設けても,シールドボックス内の発熱部品を効率よく冷却することはできない。また,画像形成装置のシールドボックスでは,特に大きく発熱する部品が基板上の複数箇所に点在するように配置される上に,その他の部品についてもある程度冷却することが必要である。そのため,上記の特許文献1に記載されているようなダクトによって必要な風量を確保できるようにダクトをシールドボックス内に設けることは,シールドボックスが大きいものとなり,また,構造が複雑なものとなるため好ましくない。
【0006】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,装置を大型化することなく,シールドボックスの内部に配置されている発熱部品を含む電子部品を適切に冷却することのできるシールドボックスとそれを有する画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた本発明のシールドボックスは,複数の発熱部品が内部に配置されているシールドボックスであって,複数の発熱部品に対応して複数の吸気口が設けられている主壁面と,内部の空気を排出する排気ファンとを有し,複数の発熱部品の主壁面からの距離が発熱部品により異なり,複数の吸気口は,対応する発熱部品の直上位置,または,排気ファンから見て直上位置より遠方にずれた位置に形成されており,吸気口の位置と対応する発熱部品の直上位置との間の距離は,対応する発熱部品の主壁面からの距離が大きいほど大きいものである。
【0008】
本発明のシールドボックスによれば,外気が複数の吸気口から吸気され,シールドボックス内の各部を冷却して排気ファンによって排気される。シールドボックスの内部に配置される複数の発熱部品に対応して複数の吸気口が設けられているので,各発熱部品には,吸気口から入力された直後の比較的低温の空気が当たる。しかも,吸気口が設けられている主壁面と発熱部品との距離に応じて,吸気口の位置が決定されている。発熱部品が主壁面から遠い場合には,吸気口は,発熱部品の直上位置より排気ファンから見て遠い側にずれて,つまり,空気流について上流側に配置されている。従って,吸気口から吸気された空気は,排気ファンによる空気流によって発熱部品に確実に当たるので,発熱部品を適切に冷却することができる。従って本発明によれば,装置を大型化することなく,シールドボックスの内部に配置されている発熱部品を含む電子部品を適切に冷却することができる。
【0009】
さらに本発明では,主壁面の一端に,主壁面と交差して設けられた側端面を有し,排気ファンは,側端面に,側端面と交差する方向に空気を排出する向きに取り付けられていることが望ましい。
このようになっていれば,排気ファンによる排気方向は,主壁面に略平行な方向となる。従って,吸気口から入った空気は直線的に進行するのではなく,入力方向とは異なる向きに方向を変えて進行することとなる。従って,対応する発熱部品だけでなく,シールドボックス内の広い範囲を冷却することができる。
【0010】
さらに本発明では,シールドボックス内に主壁面と対向して配置され,複数の発熱部品を主壁面側に搭載している基板を有し,複数の発熱部品の頂部の基板からの距離が発熱部品により異なり,基板は,その主壁面側の板面を側端面側へ延長した仮想的な面が排気ファンの開口範囲を横切るように配置されていることが望ましい。
このようになっていれば,排気ファンによる排気は,基板の板面に沿った向きに流れる。従って,発熱部品以外の部品を含んで,基板上の部品等を適切に冷却することができる。発熱部品は基板の主壁面側に搭載されているので,主壁面に設けられた吸気口に直接対向する配置となっている。従って,吸気口から入力した空気は,発熱部品を適切に冷却することができる。
【0011】
さらに本発明では,複数の吸気口の開口面積は,対応する発熱部品の発熱量が大きいほど大きいことが望ましい。
このようになっていれば,発熱量の大きい発熱部品には,より多くの風量が供給される。従って,発熱量の大きい発熱部品をも確実に冷却することができる。
【0012】
さらに本発明は,上記のいずれかのシールドボックスと,画像形成部とを筐体に収納してなる画像形成装置であって,シールドボックスは,その主壁面が筐体の外板の内側に対向するように筐体内に配置されており,筐体の外板のうち,主壁面の吸気口に対向する領域に,通気口が形成されている画像形成装置にも及ぶ。
画像形成装置の画像形成部をコントロールするための電子部品にも,発熱量の大きい発熱部品が含まれている。そのような電子部品を本発明のシールドボックスに収め,筐体内に収納すれば,電磁ノイズの放出を抑えて,かつ,発熱による悪影響も確実に抑止することができる。特に,筐体の外板のうち,シールドボックスの吸気口に対向する領域に通気口が形成されていれば,シールドボックス内に吸気される空気は筐体の外から供給されるので,より好ましい。
【0013】
さらに本発明の画像形成装置では,筐体の外板における通気口と異なる位置に排気口が形成されており,筐体の内部であってシールドボックスの外部には,排気ファンにより排出された空気を排気口へ導くダクトが設けられていることが望ましい。
このようになっていれば,シールドボックスから排出される排気は,他の部材に影響を与えないように,適切に排出される。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシールドボックスとそれを有する画像形成装置によれば,装置を大型化することなく,シールドボックスの内部に配置されている発熱部品を含む電子部品を適切に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本形態に係る画像形成装置を示す側面断面図である。
【図2】本形態に係る画像形成装置を示す背面断面図である。
【図3】コントローラー基板への部品の取り付け状態を示す説明図である。
【図4】吸気口の開口面積の差異を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下,本発明を具体化した最良の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,電子写真方式の画像形成装置に本発明を適用したものである。
【0017】
本形態の画像形成装置10は,図1に示すように,筐体11の内部に画像形成部12を有しているものである。画像形成部12の構成は,既知のどのようなものでもよい。さらに,本形態の画像形成装置10は,図中右側に,ユーザーの指示入力を受ける操作パネル14,筐体11に対して着脱可能な用紙カセット15等を有している。すなわち,この図で右側が筐体11の前面11aであり,ユーザーの立つ操作位置である。図中で左側は,装置の背面11bである。
【0018】
本形態の画像形成装置10の筐体11内には,図1と図2に示すように,背面11bに沿って扁平な箱状のシールドボックス20が配置されている。本形態のシールドボックス20は,その内部にコントローラー基板21等の電子部品が収納されているものである。このコントローラー基板21等は,画像形成部12の各部を制御するためのものである。すなわち,画像形成部12は,シールドボックス20内の各電子部品と電気信号をやりとりしながら画像形成を行うものである。ここでの電気信号のやりとりには,制御指令信号や検知信号等の信号のみでなく,電力供給も含まれる。
【0019】
本形態のシールドボックス20は,例えば金属製の箱状の部材であり,内部の電子部品からの電磁ノイズの放出を抑えるためのものである。図2は,図1の左方すなわち画像形成装置10の背面側から見た配置を示す図である。ただし,図1には,シールドボックス内に配置されている部品(図2中の25〜28)のうちの一部のもののみを示している。なお,筐体11の外板のうち背面11bには,少なくともシールドボックス20に対向する範囲内の各所に,通気口11cが設けられている。
【0020】
本形態のシールドボックス20は,扁平な直方体の箱状である。シールドボックス20は,その外面のうち,ほぼ正方形の大面積の面が,筐体11の背面11bに平行になるように配置されている。そして,筐体11の背面11bに平行で遠い側の面(以下,主底面20aと呼ぶ。)に,コントローラー基板21が固定されている。そして,図1と図2に示すように,コントローラー基板21は,主底面20aのほぼ全体を占める大きさであり,主底面20aにほぼ平行に配置されている。コントローラー基板21は,互いに接触しない程度に主底面20aに近づけて取り付けられている。
【0021】
また,シールドボックス20のうち,主底面20aに対向する面(以下,主壁面20bと呼ぶ。)は,図1に示すように,筐体11の背面11bに平行で,ごく近くに配置されている。主壁面20bと背面11bとの間には,空気の流れを遮るものはない。
【0022】
さらに,コントローラー基板21の表面21a(シールドボックス20の主壁面20bに対向する面)側には,各種の部品が取り付けられている。コントローラー基板21上に直接取り付けられる部品もあるが,支柱等を用いてコントローラー基板21からやや離して取り付けられるものもある(図3参照)。このように離して取り付けられる部品の例としては,サブ基板またはオプション基板,あるいはHDD等がある。コントローラー基板21の裏面にも,部品が取り付けられていても良い。
【0023】
そして,コントローラー基板21等に取り付けられて,シールドボックス20内に配置されている電子部品のなかには,発熱の大きいものが含まれている。ただし,発熱の大きい部品が,コントローラー基板21の半分以上の面積を占めることはめったにない。また,発熱の大きい部品が複数個ある場合,それらが互いに近接して配置されることは少なく,各所に分散して配置されることが多い。また,発熱の大きい部品はすべて,コントローラー基板21の表面21aに配置されている。
【0024】
なお,シールドボックス20内に配置される電子部品のうち,発熱の大きい部品としては,例えば,CPU,ASIC(Application Specific Integrated Circuit),コントロールチップ,電源回路中のコイルやトランジスタ等がある。また,サブ基板またはオプション基板,あるいはHDD等のうちにも発熱の大きい部品が含まれている場合がある。
【0025】
図1と図2には,シールドボックス20内に,発熱の比較的大きい発熱部品25〜28が取り付けられていることが示されている。これらのうち,発熱部品25〜27は,コントローラー基板21に直に取り付けられているものであり,発熱部品28は,コントローラー基板21からやや離れて取り付けられているものである。
【0026】
コントローラー基板21への部品の取り付け構成の例を図3に示す。この図は,図1や図2とは異なる部品配置の例である。図3中の部品41,42は,コントローラー基板21に直接取り付けられている例である。HDD43は,コントローラー基板21をベースとして,支柱44によって,コントローラー基板21からやや離れた位置に取り付けられている。
【0027】
つまり,コントローラー基板21に配置される各部品の,シールドボックス20の主壁面20bからの距離は,一律ではない。例えば,図3のHDD43は,部品41,42に比較すると,主底面20aから遠い位置に配置されている。つまり,HDD43は主壁面20bに近く,部品41,42は主壁面20bから遠い。図1と図2に示す本形態の例では,発熱部品28は主壁面20bに近く,発熱部品25〜27は主壁面20bから遠い位置に配置されている。
【0028】
さらに,図1と図2に示すように,シールドボックス20の下側の側端面20cには,排気ファン31が取り付けられている。ここでいう下とは,画像形成装置10の筐体11を使用可能な向きにセットした場合に下側になる箇所という意味である。本形態のシールドボックス20は扁平な箱であるため,この側端面20cは,主壁面20bや主底面20aの端部においてこれらと交差する面である。つまり,排気ファン31が取り付けられている面は,シールドボックス20の厚さをなす細長い形状の面である。排気ファン31は,シールドボックス20の側端面20cと交差する方向に空気を排出する向きに取り付けられている。
【0029】
特に本形態では排気ファン31は,側端面20cのうち,主底面20a側であって,かつ,角部付近に設けられている。つまり,図1の向きに見れば右手前側であり,図2の向きに見れば右奥側である。このようにすると,コントローラー基板21の表面21aを側端面20c側へ延長した仮想的な面が,排気ファン31の開口範囲を横切るように配置される。なお,排気ファン31の配置はこの図の位置に限らず,図2の向きに見て左奥側の角部付近としてもよい。
【0030】
すなわち,排気ファン31は,シールドボックス20の主底面20aや主壁面20bに対して直角で下向きに配置されており,その吸排気の向きはコントローラー基板21と平行である。従って,排気ファン31は,シールドボックス20内部の空気を,コントローラー基板21の面に沿って下向きに吸い込み,シールドボックス20の外部へ排出することができる。なお,図1と図2には,各所における空気の流れの向きを矢印によって示した。
【0031】
さらに,図2に示すように,排気ファン31の外側にはダクト33が設けられている。また,筐体11には,シールドボックス20に対向する通気口11cとは異なる位置に排気口34が形成されている。そして,ダクト33は,排気ファン31から排気口34に向かう通気経路となっている。従って,排気ファン31によってシールドボックス20から排出された空気は,ダクト33を通って排気口34に導かれ,筐体11の外部へ排出されるようになっている。
【0032】
そして,本形態のシールドボックス20のうち,主壁面20bには,図2に示すように,吸気口35〜38が設けられている。これらの吸気口35〜38は,背面11bの通気口11cに対向して配置され,外気の流通が可能となっている。そして,シールドボックス20には,これらの吸気口35〜38と排気ファン31以外には,空気の出入りできる箇所はない。そのため,排気ファン31を駆動してシールドボックス20内の空気を外部へ排気すると,吸気口35〜38から外気がシールドボックス20内へ流入してくることになる。これにより,シールドボックス20の内部に空気の流れができ,シールドボックス20の中に配置された部品などが冷却される。
【0033】
排気ファン31は,吸気口35〜38が形成されている主壁面20bではなく,主底面20aの近くに配置されている。そして,排気ファン31は,シールドボックス20内の空気を,コントローラー基板21の面に沿って下向きに吸い込む。つまり,吸気口35〜38の開口面と排気ファン31によってシールドボックス20内から吸い出される吸気方向とは,およそ平行になっている。そのため,排気ファン31を駆動することによって,吸気口35〜38から流れ込んだ外気は,主壁面20b側から主底面20a側へ,かつ,コントローラー基板21に沿って下向きに進行する。さらに,排気ファン31が側端面20cの角部に設けられているので,空気は,図2中で右向きに流れる。
【0034】
そして本形態では,吸気口35〜38は,各発熱部品25〜28の配置に対応して,それぞれ設けられている。つまり,発熱部品1個につき,1つの吸気口が設けられている。さらに,本形態のシールドボックス20は,吸気口35〜38の位置と大きさに特徴を有するものである。
【0035】
まず,各吸気口35〜38の位置について説明する。上記したように,発熱部品のコントローラー基板21からの距離は,一律ではない。そこで,吸気口35〜38は,各発熱部品25〜28に適切に気流が当たるような位置にそれぞれ配置されている。吸気口の設けられている面である主壁面20bに近い位置に配置される発熱部品に対応する吸気口は,発熱部品にほぼ対向する位置に設けられている。一方,主壁面20bから遠く,主底面20a側に配置される発熱部品に対応する吸気口は,発熱部品に対向する位置より排気ファン31から遠い側(気流について上流側)にずれた位置に配置されている。そして,部品の直上位置と吸気口の位置との間の距離は,部品の主壁面20bからの距離が大きいほど大きい。
【0036】
図3の例で説明すると,排気ファン31は,主底面20a側に寄せて,図中で右側の面に図中で右向きに配置されている。従って,排気ファン31を駆動すると,図中に矢印で示すように,左から右向きかつ上から下向きに空気の流れができる。そして,主壁面20bに近い位置のHDD43に対応する吸気口46は,HDD43のほぼ直上に設けられている。また,主壁面20bから遠い位置の部品41に対応する吸気口47は,部品41より空気の流れについて上流側(直上より図中で左側)に設けられている。
【0037】
このようにすることにより,吸気口46からシールドボックス20内に流入した空気はまず,すぐ近くにあるHDD43に当たって,HDD43を冷却する。それから排気ファン31のある図中で右方向へ流れて,途中の部品を冷却する。また,吸気口47から流入した空気は,排気ファン31に引かれて斜め下向きに進み,部品41に当たる。そして,まず部品41を冷却する。それから図中で右向きに流れる。従って,いずれの空気も,その温度が上昇していないうちにまず発熱部品を冷却し,その後の流れで他の部品を冷却することができる。
【0038】
図2に示した例でも同様に,発熱部品25〜28と排気ファン31との位置関係が面内で考慮され,吸気口35〜38の位置が決定されている。これらの発熱部品のうち,発熱部品25〜27は,コントローラー基板21に直接取り付けられている。そのため,これらに対応する吸気口35〜37は,部品の直上よりも空気の流通方向について上流側へずれて,排気ファン31から遠い側に配置されている。
【0039】
一方,発熱部品28は,シールドボックス20内で,コントローラー基板21からやや離れ,主壁面20bに比較的近い位置に取り付けられている。そのため,発熱部品28に対応する吸気口38は,発熱部品28にほぼ対向する位置に配置されている。吸気口38の配置は,発熱部品28の直上よりは,排気ファン31から遠い側であっても良いが,吸気口35〜37と発熱部品25〜27との関係ほど離れた位置ではない。
【0040】
なお,ここでいう部品の主壁面20bに対する距離とは,主壁面20bと各部品の頂部との間の距離とのことである。そのため,コントローラー基板21に直に取り付けられている部品の間でも,主壁面20bとの距離は,異なる場合がある。
【0041】
このように,吸気口35〜38が発熱部品25〜28にそれぞれ対応させた位置に設けられているので,吸気口35〜38から流入した空気はそれぞれ,発熱部品25〜28に確実に当たる。従って,発熱部品25〜28は,流入直後の比較的低温の空気によって確実に冷却される。さらに,吸気口35〜38から流入した空気は,シールドボックス20内の空気を巻き込んで,排気ファン31から流出されるので,シールドボックス20内の他の箇所も冷却される。
【0042】
次に,吸気口35〜38の開口面積について説明する。発熱部品25〜28の発熱量は,部品ごとにそれぞれ異なる。例えば,本形態では,発熱部品25の発熱量は大きく,発熱部品27の発熱量が小さい。発熱部品26と28の発熱量はこれらの中間である。そして,発熱部品25〜28の発熱量と,対応する吸気口35〜38の開口面積とは,一定の関係のものとされている。すなわち,吸気口の開口面積は,対応する発熱部品の発熱量が大きいものほど大きい。吸気口の開口面積は,対応する発熱部品の発熱量の大きさに比例する大きさに決定されている。
【0043】
本形態の吸気口35〜38の開口面積A35〜A38は,各発熱部品25〜28の発熱量Q25〜Q28に基づいて,以下の式1〜4で求められる。
ただし,A = A35+A36+A37+A38
Q = Q25+Q26+Q27+Q28
A35 = A × Q25 / Q … (式1)
A36 = A × Q26 / Q … (式2)
A37 = A × Q27 / Q … (式3)
A38 = A × Q28 / Q … (式4)
【0044】
例えば,本形態では,発熱部品25〜28の発熱量Q25〜Q28が全発熱量Qに対してそれぞれ,40%,25%,10%,25%である場合の例を示している。そのため,吸気口35〜38の開口面積A35〜A35は,総面積Aに対して,40%,25%,10%,25%の割合にされている。このようになっているので,それぞれの発熱部品の発熱量に応じた風量の冷却風が,各発熱部品に確実に当たる。
【0045】
以上詳細に説明したように,本形態の画像形成装置10は,シールドボックス20内に発熱の大きい発熱部品25〜28が分散して配置されており,それぞれに対応して主壁面20bに吸気口35〜38が形成されている。吸気口35〜38は,主壁面20bからの距離に応じて,直上位置より排気ファン31から遠い側に離して配置されている。さらにとともに,発熱部品の発熱量に応じて吸気口35〜38の開口面積が決定されている。従って,排気ファン31の容量を大きくすることなく,まず各発熱部品25〜28にそれぞれ確実に冷却風を当てることができるとともに,適切な風量でシールドボックス20の内部を確実に冷却することができる。これにより,装置を大型化することなく,シールドボックスの内部に配置されている発熱部品を適切に冷却することのできる画像形成装置となっている。
【0046】
なお,本形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。
例えば,シールドボックス20の形状は,扁平な箱状に限らず,適切にコントローラー基板21が収納できるものであればよい。排気ファン31は,シールドボックス20の下側の面に限らず,主底面20aと主壁面20bとに交差する面のいずれの面に設けても良いが,コントローラー基板21にほぼ平行な向きに排気するように配置することが好ましい。また,ホコリ等を排出しやすいためには下面の方が好ましい。また,シールドボックスは,電磁ノイズの浸入を防ぐためのものであっても良い。
【符号の説明】
【0047】
10 画像形成装置
11 筐体
11c 通気口
12 画像形成部
20 シールドボックス
20a 主底面
20b 主壁面
20c 側端面
21 コントローラー基板
25〜28 発熱部品
31 排気ファン
33 ダクト
34 排気口
35〜38 吸気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発熱部品が内部に配置されているシールドボックスにおいて,
前記複数の発熱部品に対応して複数の吸気口が設けられている主壁面と,
内部の空気を排出する排気ファンとを有し,
前記複数の発熱部品の前記主壁面からの距離が発熱部品により異なり,
前記複数の吸気口は,対応する発熱部品の直上位置,または,前記排気ファンから見て前記直上位置より遠方にずれた位置に形成されており,
前記吸気口の位置と対応する発熱部品の直上位置との間の距離は,対応する発熱部品の前記主壁面からの距離が大きいほど大きいことを特徴とするシールドボックス。
【請求項2】
請求項1に記載のシールドボックスにおいて,
前記主壁面の一端に,前記主壁面と交差して設けられた側端面を有し,
前記排気ファンは,前記側端面に,前記側端面と交差する方向に空気を排出する向きに取り付けられていることを特徴とするシールドボックス。
【請求項3】
請求項2に記載のシールドボックスにおいて,
前記シールドボックス内に前記主壁面と対向して配置され,前記複数の発熱部品を前記主壁面側に搭載している基板を有し,
前記複数の発熱部品の頂部の前記基板からの距離が発熱部品により異なり,
前記基板は,その前記主壁面側の板面を前記側端面側へ延長した仮想的な面が前記排気ファンの開口範囲を横切るように配置されていることを特徴とするシールドボックス。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1つに記載のシールドボックスにおいて,
前記複数の吸気口の開口面積は,対応する発熱部品の発熱量が大きいほど大きいことを特徴とするシールドボックス。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載のシールドボックスと,画像形成部とを筐体に収納してなる画像形成装置において,
前記シールドボックスは,その前記主壁面が前記筐体の外板の内側に対向するように前記筐体内に配置されており,
前記筐体の外板のうち,前記主壁面の吸気口に対向する領域に,通気口が形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において,
前記筐体の外板における前記通気口と異なる位置に排気口が形成されており,
前記筐体の内部であって前記シールドボックスの外部には,前記排気ファンにより排出された空気を前記排気口へ導くダクトが設けられていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−74083(P2013−74083A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211743(P2011−211743)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】