説明

シールド機

【課題】シールド機のチャンバー内の土砂の流動化を維持する。
【解決手段】シールド機において、カッターヘッド2背面のチャンバー4内に突出して回転駆動されるスクリュー11装置を備える。具体的には、チャンバー4背面のバルクヘッド5にスクリュー11装置が複数台取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カッターヘッド背面にチャンバーを備えるシールド機に関する。
【背景技術】
【0002】
土圧シールド・泥土圧シールド・複合型シールドなどのシールド機は、カッターヘッド背面のチャンバー内に土砂を溜めて一定の土圧を保持しながら掘進するため、シールド掘進中に土砂でチャンバー内が閉塞する、または閉塞ぎみになることは頻繁に生じる。特に、粘性の高い粘土層等を掘進する際はその傾向が顕著になることは知られるところである。
これに対し、土砂による閉塞を機械的に解消する方法として、チャンバー内に撹拌翼や固定翼を付けたり(例えば特許文献1、2参照)、アジテータを付けたり(例えば特許文献3参照)する方法がとられてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−213790号公報
【特許文献2】特開2002−213181号公報
【特許文献3】特開平10−339091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした撹拌翼や固定翼やアジテータ等の閉塞防止のための装備をした場合においても閉塞することがある。
すなわち、従来の機械的な装置は、翼が円周方向にのみ作用するものであったため、チャンバー内の土砂が閉塞によりカッター背面に全体的に付着した場合、撹拌翼と一緒に動くために、その効果が失われたり、アジテータのようなものは、回転している羽根周りが空洞になるだけで、確実に閉塞を抑えるほど効果的なものではなかった。
【0005】
本発明の課題は、シールド機のチャンバー内の土砂の流動化を維持することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、カッターヘッド背面のチャンバー内に突出して回転駆動されるスクリュー装置を備えるシールド機を特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシールド機であって、前記チャンバー背面のバルクヘッドに前記スクリュー装置が複数台取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のシールド機であって、前記スクリュー装置の回転軸に角度を付けたスクリュー軸が装着可能となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シールド機のチャンバー内のスクリュー装置によって土砂の流動化を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用したシールド機の実施形態1の構成を示す縦断側面図である。
【図2】図1の矢印A−A線に沿った図である。
【図3】実施形態2として回転軸に装着した角度を付けたスクリュー軸による作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
図1及び図2は本発明を適用したシールド機の一実施形態の構成を示すもので、図中、1は前胴部、2はカッターヘッド、3はカッター、4はチャンバー、5はバルクヘッド、6はカッターモーター、7はスクリューコンベア、8はシールドジャッキ、9は中折れジャッキ、11は閉塞防止スクリュー、12はスクリュー軸、13は羽根、15はスクリューモーター、16は回転軸、17はピンである。
【0012】
図示のように、前胴部1の前部にカッターヘッド2が備えられて、このカッターヘッド2の前面に多数のカッター3が設けられている。また、カッターヘッド2の背面側にチャンバー4が形成されて、チャンバー4の背面側はバルクヘッド5で閉じられている。
【0013】
バルクヘッド5には、カッターヘッド2を回転駆動するカッターモーター6が上下左右に4台取り付けられるとともに、下部に開口する排泥用のスクリューコンベア7が接続されている。また、前胴部1の後部内に、推進駆動用のシールドジャッキ8と、図示しない後胴部との間に架設する中折れジャッキ9とが設置されている。
【0014】
そして、チャンバー4の内部には、閉塞防止スクリュー11が複数台(図示例では上下2台)設けられている。この閉塞防止スクリュー11は、スクリューコンベア7と同様、図示のように、スクリュー軸12に沿ってスパイラル形状をなす羽根13を有するもので、バルクヘッド5に取り付けたスクリューモーター15により回転軸16を介して回転駆動される。
【0015】
すなわち、閉塞防止スクリュー11のスクリュー軸12は、スクリューモーター15に連結した回転軸16にピン17を介して接続されている。
【0016】
以上のシールド機は、カッターヘッド2の回転駆動を伴った推進により、カッター3で掘削された土砂がチャンバー4内に取り込まれ、そのチャンバー4内において、スクリューモーター15による閉塞防止スクリュー11の回転駆動で、その複数台のスパイラル形状の羽根13により土砂が強制的に掻き回される。
【0017】
すなわち、チャンバー4内に溜まった土砂を、回転する閉塞防止スクリュー11のスパイラル形状の羽根13により、その軸方向の前後に土砂を動かすことが可能になり、チャンバー4内の土砂が回転することで、その動きが円周方向に連続することで、チャンバー4内の土砂全体の流動化を維持させることが可能となる。
【0018】
従って、チャンバー4内の土砂を、複数台の閉塞防止スクリュー11のスパイラル形状の羽根13で強制的に絶えず動かすことにより、チャンバー4内の土砂の閉塞をなくすことができる。
このように、チャンバー4内の土砂の流動化を維持し、結果的に閉塞することが無いので、掘進速度も落ちずに掘進できることとなる。
【0019】
また、この閉塞防止スクリュー11のスパイラル形状の羽根13は固定翼の効果も備わっており、カッターヘッド2裏側に付着した土砂は、この閉塞防止スクリュー11のスパイラル形状の羽根13の回転により掻き落とされることになる。
【0020】
ここで、閉塞防止スクリュー11の動作としては、土砂の圧密を起こさないためにも、通常正逆回転を一定時間で繰り返す制御が最もよいが、スイッチの選択により正回転または逆回転の一定方向の回転も選択できるようにスイッチを装備してもよい。さらに、回転数・トルク設定も可変とする制御やスイッチを装備してもよい。
【0021】
(実施形態2)
図3は実施形態2として回転軸16に装着した角度を付けた閉塞防止スクリュー21による作用を示すもので、前述した実施形態1と同様、図中、1は前胴部、2はカッターヘッド、3はカッター、4はチャンバー、5はバルクヘッド、6はカッターモーター、7はスクリューコンベア、8はシールドジャッキ、9は中折れジャッキ、11は閉塞防止スクリュー、12はスクリュー軸、13は羽根、15はスクリューモーター、16は回転軸、17はピンであって、21は閉塞防止スクリュー、22はスクリュー軸、23は羽根である。
【0022】
図示のように、実施形態1と同様の閉塞防止スクリュー11を用いる他、「へ」の字状に角度を付けたスクリュー軸22に沿ってスパイラル形状をなす羽根23を有する閉塞防止スクリュー21を用い、その角度を付けたスクリュー軸22を、別のスクリューモーター15に連結した回転軸16にピン17で接続している。
【0023】
このように、スクリューモーター15に連結した回転軸16に角度を付けたスクリュー軸22を装着することで、影響範囲を拡大することが可能となる。
【0024】
以上の実施形態のシールド機の他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0025】
1 前胴部
2 カッターヘッド
3 カッター
4 チャンバー
5 バルクヘッド
6 カッターモーター
7 スクリューコンベア
8 シールドジャッキ
9 中折れジャッキ
11 閉塞防止スクリュー
12 スクリュー軸
13 羽根
15 スクリューモーター
16 回転軸
17 ピン
21 閉塞防止スクリュー
22 スクリュー軸
23 羽根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カッターヘッド背面のチャンバー内に突出して回転駆動されるスクリュー装置を備えることを特徴とするシールド機。
【請求項2】
前記チャンバー背面のバルクヘッドに前記スクリュー装置が複数台取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のシールド機。
【請求項3】
前記スクリュー装置の回転軸に角度を付けたスクリュー軸が装着可能となっていることを特徴とする請求項1または2に記載のシールド機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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