説明

シールド部材及び該シールド部材を備える電子機器

【課題】携帯電話機などに内蔵されているCPU(中央処理装置)などによる電磁波ノイズの輻射を抑制する抑えるシールド構造のシールド性と組込性との両立が可能なシールド部材を提供する。
【解決手段】カバーシールド部(組込用カバーシールド6A)では、各辺の側壁部が内側に鋭角に折り曲げられて形成され、これらの折り曲げられた4辺の側壁部が組込時に実装用シールド部(実装用シールド5)の周囲4辺に擦り付けられながら冠着され、完全に導通し、シールド性能が確保される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シールド部材及び該シールド部材を備える電子機器に係り、特に、高周波の電磁波ノイズを輻射するCPU(中央処理装置)などが実装されている回路基板を搭載する携帯電話機などに対して、同CPUをシールドする場合に用いて好適なシールド部材及び該シールド部材を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話機では、諸特性がハイスペック化され、これに伴ってCPUの動作速度が向上すると共に、同CPUから輻射される電磁波ノイズの周波数が高くなっている。このCPUによる電磁波ノイズの輻射は、各部品が高密度実装されている携帯電話機内の各アンテナを経由して、機能として備える3G(第3世代移動通信システム)に対応した860MHz〜895MHzや、ワンセグに対応した470MHz〜770MHzの受信帯域へ回り込み、受信信号と干渉して内部のアンテナの受信性能を低下させるという問題点がある。このため、CPUの電磁波ノイズの周囲に対する輻射を阻止する方法として、一般に、同CPUに板金のシールドフレームを被せるシールド構造が多用されている。
【0003】
ところが、携帯電話機では、落下による破壊防止対策として、CPUなどの各LSI(Large Scale Integrated circuit、大規模集積回路)に対して樹脂塗布補強が施されている。この場合、主にCPUと同時に自動搭載機で実装される実装用シールド部の天面に樹脂塗布用の開口部を設ける必要があるが、天面開口によりシールド効果の低下(すなわち、アンテナとのアイソレーション低下)に繋がり、電磁波ノイズの輻射を抑えることができず、機械的強度と受信感度とが両立しなくなるという課題がある。また、この課題を解決するために、シールドを二重構造とし、天面開口されている実装用シールド部の上に覆う態様でカバーシールド部を装着する構造が採用されることがあるが、実装用シールド部及びカバーシールド部には、製造上の公差が存在するため、実装用シールド部の外寸法とカバーシールド部の内寸法とが同一寸法での設計はできず、カバーシールド部が一回り大きいサイズとなるため、結局、完全なシールド構造にはならず、感度に対する影響(受信性能の低下)が発生するという課題がある。
【0004】
また、受信性能を優先して、カバーシールド部の内寸法を実装用シールド部の外寸法と同一の設定(0設定)にすると、同カバーシールド部の仕上がりの最悪の状態では、組み込みができない寸法になるものや、嵌合がきつ過ぎることによる同カバーシールド部の変形などの問題が発生する。このため、シールドを二重構造で構成する場合では、カバーシールドの組込性改善と電磁波ノイズ輻射による携帯電話機の通信時感度やワンセグ視聴感度などの劣化防止とが両立可能なカバーシールド部が要求されている。
【0005】
この種の関連技術としては、たとえば、特許文献1に記載されたシールドケースがある。
このシールドケースは、回路基板の基板面におけるシールド対象部分を覆って同基板面に導電性の接合材料(たとえば、半田)によって固定される。また、このシールドケースは、基板面に当接する下端縁から上向きに傾いて外側に伸長形成されている接合用端子を有する。この接合用端子と基板面とが、これらの間に介在する導電性の接合材料によって接合される。これにより、シールドケースは、良好な接合強度で基板面に固定されると共に、回路基板に設けられているグラウンド部に接地される。
【0006】
また、特許文献2に記載されたシールドケースでは、回路基板のシールド対策部分の周縁部に立設されるフレームと、同フレームに嵌め合ってシールド対策部分を覆うカバーとが設けられている。カバーは、シールド対策部分を覆う平板状のカバー本体部と、フレームに嵌まる周壁部とを有している。周壁部は、上方側を支点としてカバー内外方向に弾性変形可能な弾性壁部を有している。弾性壁部の先端側には、フレームを弾性押圧する弾性押圧部が設けられている。弾性壁部には、複数の開口部が周壁部の周回方向に間欠的に設けられている。開口部は、弾性押圧部よりも上側の位置からカバー本体部の端縁部に入り込んだ位置まで伸長形成されている。隣り合う開口部間の弾性壁部部分の周壁部周回方向の幅は、開口部の周壁部周回方向の幅よりも狭く設定されている。これにより、シールドケースを構成するカバーの変形が防止される。
【0007】
また、特許文献3に記載されたシールド部材では、主面及び側面を有する枠体と、枠体を覆う主面及び側面を有する蓋状部材とが設けられ、上記枠体と上記蓋状部材の主面とが複数箇所で接点を有する。これにより、枠体と蓋状部材との嵌合率が上がり、シールド性能が向上する。
【0008】
また、特許文献4に記載されたシールドケースでは、回路基板に実装されている電子部品を囲う側壁部を有し、天面が開放された状態で同回路基板に取り付けられる枠体と、同枠体の天面を覆うように取り付けられた蓋体とが設けられている。枠体は、側壁部の天面側縁部から延在し、側壁部の外側へ折り返された延在部を有し、蓋体は、延在部に係合する係合部を有している。これにより、別体式のシールドケースが薄型化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO2006/035542号公報
【特許文献2】特開2007−073609号公報
【特許文献3】特開2008−182082号公報
【特許文献4】特開2009−111076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記関連技術では、次のような課題があった。
すなわち、特許文献1に記載されたシールドケースでは、良好な接合強度で基板面に固定されるが、たとえば、導電性の接合材料(半田)による干渉の防止を考慮するような構成のものではなく、この発明とは構成が異なる。
【0011】
特許文献2に記載されたシールドケースでは、カバーの変形が防止されるが、弾性壁部に、複数の開口部が周壁部の周回方向に間欠的に設けられているなど、この発明とは構成が異なる。
【0012】
特許文献3に記載されたシールド部材では、枠体と蓋状部材との嵌合率が上がり、シールド性能が向上するが、枠体と蓋状部材の主面とが複数箇所で接点を有するなど、この発明とは構成が異なる。
【0013】
特許文献4に記載されたシールドケースでは、別体式のシールドケースが薄型化されるが、枠体は延在部を有し、蓋体が同延在部に係合する係合部を有するなど、この発明とは構成が異なる。
【0014】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、CPUなどによる電磁波ノイズ輻射を抑えるシールド構造のシールド性と組込性との両立が可能なシールド部材及び該シールド部材を備える電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、この発明の第1の構成は、回路基板に実装されている電子部品から輻射される電磁波ノイズをシールドするシールド部材に係り、天面側に開口部を有する矩形状に形成され、前記電子部品を囲うように前記回路基板に実装される実装用シールド部と、該実装用シールド部に対して前記天面側から冠着されるカバーシールド部とから構成され、該カバーシールド部は、各辺の側壁部が内側に鋭角に折り曲げられて形成されていることを特徴としている。
【0016】
この発明の第2の構成は、回路基板に実装されている電子部品から輻射される電磁波ノイズをシールドするシールド部材に係り、天面側に開口部を有する矩形状に形成され、前記電子部品を囲うように前記回路基板に実装される実装用シールド部と、該実装用シールド部に対して前記天面側から冠着されるカバーシールド部とから構成され、該カバーシールド部は、各辺の側壁部の4隅近辺の領域が内側に直角に折り曲げられて形成され、前記実装用シールド部に冠着されるときの位置決めに用いられる形状とされている一方、他の領域が内側に鋭角に折り曲げられて形成されている。
【発明の効果】
【0017】
この発明の構成によれば、電磁波ノイズを輻射する電子部品の強度補強後のシールド性と組込性とが両立するシールド部材を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の第1の実施形態であるシールド部材を備える電子機器の要部の構成を示す分解斜視図である。
【図2】未対策の組込用カバーシールド6を用いた場合の図1(e)のA−A線断面である。
【図3】対策済みの組込用カバーシールド6Aを用いた場合の断面図である。
【図4】図3中の組込用カバーシールド6Aの問題点を説明する図である。
【図5】この発明の第2の実施形態であるシールド部材の構成を示す断面図である。
【図6】この発明の第3の実施形態であるシールド部材の構成を示す断面図である。
【図7】この発明の第4の実施形態であるシールド部材の構成を示す図である。
【図8】図7のシールド部材の問題点及び利点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上記カバーシールド部(組込用カバーシールド)は、上記各側壁部の先端に、外側に所定角折れ曲がった反り部が形成されているシールド部材を実現する。
【0020】
また、上記実装用シールド部(実装用シールド)は、導電性接合材料(半田付け)により上記回路基板に実装される構成とされ、上記カバーシールド部の反り部は、上記導電性接合材料(半田付け)による干渉を防止する形状とされている。また、上記カバーシールド部は、上記反り部がない場合に比較して、側壁長が長く設定されている。また、上記各辺の側壁部の4隅近辺の領域は、上記カバーシールド部が上記実装用シールド部に冠着されるとき、同カバーシールド部の4辺を共に均一な接圧で上記実装用シールド部に接触させる形状とされている。
【実施形態1】
【0021】
図1は、この発明の第1の実施形態であるシールド部材を備える電子機器の要部の構成を示す分解斜視図である。
この形態の電子機器は、同図(a)に示すように、携帯電話機1であり、同図(b)に示すように、実装基板2(回路基板)に、CPU3などの電子部品が実装され、また、アンテナ4が形成されている。また、同図(c)に示すように、天面側に開口部を有する矩形状に形成された実装用シールド5が、CPU3を囲うように実装基板2に実装されている。この場合、同図(d)に示すように、実装用シールド5の天面に樹脂塗布用の開口部として樹脂塗布クリアランスCLが設けられている。さらに、同図(e)に示すように、実装用シールド5に対して天面側から組込用カバーシールド6が冠着されている。上記実装用シールド5及び組込用カバーシールド6により、CPU3から輻射される電磁波ノイズをシールドするシールド部材が構成されている。
【0022】
この携帯電話機では、実装基板2に実装されたCPU3の処理能力の高速化及び高負荷化に伴い、高周波数の電磁波ノイズが同CPU3から輻射され、通信機能用のアンテナ4に回り込み、受信性能を低下させるとしい問題点を防止するために、同CPU3と同様に自動搭載にて実装が行われる実装用シールド5によりCPU3が囲まれる。また、携帯電話機1の使用時の落下や、さば折りなどでのCPU3の即破壊防止対策として、同CPU3に対して樹脂塗布補強を行う必要があり、その樹脂塗布用として実装用シールド5の天面が大きく開口されているため、同実装用シールド5の天面開口部からの電磁波ノイズ輻射を抑制するために、同開口部を塞ぐ目的で、さらに組込用カバーシールド6が実装用シールド5に冠着される。そして、実装用シールド5と組込用カバーシールド6とが一体化されることにより、同CPU3の周囲を完全に塞ぐシールド部材が実現する。
【0023】
実際には、組込用カバーシールド6を実装用シールド5に冠着させるだけではシールド性能を確保することができないため、組込用カバーシールド6の形状を工夫し、メッキなどの導電材仕様の板金で構成された2つのシールドを完全に導通させることにより、シールド性能を確保する。また、その際には、組込用カバーシールド6の組込性に配慮した形状の工夫も同時に行い、部品への強度補強後のシールド性能と組込性の両立を実現する構造とする。
【0024】
図2は、未対策の組込用カバーシールド6を用いた場合の図1(e)のA−A線断面図、図3は、対策済みの組込用カバーシールド6Aを用いた場合の断面図、及び図4が、図3中の組込用カバーシールド6Aの問題点を説明する図である。
これらの図を参照して、この形態のシールド部材の形状について説明する。
このシールド部材では、実装用シールド5の外寸法と組込用カバーシールド6の内寸法とが同一寸法で、同組込用カバーシールド6が冠着された際に、同実装用シールド5の外側の側壁と同組込用カバーシールド6の内側の側壁とが接触して導通することで、シールド性能が確保される。ところが、実際には、それぞれのシールドには製造上の公差が存在するため、図2に示すように、部品公差の最悪の条件でも、組込用カバーシールド6が冠着可能なように、一回り大きいサイズ(すなわち、公差吸収のためのある一定のクリアランス設定)で設計されるため、結局は、完全に導通が確保されるシールド構造にはならず、電磁波ノイズの漏れによる受信性能の低下が完全には防止されない。
【0025】
この場合、たとえば、実装用シールド5の外寸は、10.0±0.2mm(MAX.仕上がりが10.2mm)、組込用カバーシールド6の内寸が、10.4±0.2mm(MAX.仕上がりが10.2mm)に設定され、通常の仕上がりでは、片側0.2mm(両側で計0.4mm)のクリアランスがあり、実装用シールド5と組込用カバーシールド6とは、接触(導通)しない。
【0026】
このため、図3に示すように、組込用カバーシールド6Aでは、各辺の側壁部が内側に鋭角に折り曲げられて形成され、これらの折り曲げられた4辺の側壁部が組込時に実装用シールド5の周囲4辺に擦り付けられながら冠着されることで、部品の公差範囲内での仕上がり寸法に左右されることなく、完全に導通し、シールド性能が確保される。
【0027】
以上のように、この第1の実施形態では、実装用シールド5と組込用カバーシールド6とが完全に導通し、シールド性能が確保される。ただし、組込用カバーシールド6の側壁4辺を内曲げすることで、実装用シールド5の幅より狭くなり、図4に示すように、実装用シールド5の天面への乗り上げや変形するという問題点が発生し、組込用カバーシールド6の組込性に課題がある。
【実施形態2】
【0028】
図5は、この発明の第2の実施形態であるシールド部材の構成を示す断面図である。
この形態のシールド部材では、同図5に示すように、図3中の組込用カバーシールド6Aに代えて、異なる形状の組込用カバーシールド6Bが設けられている。組込用カバーシールド6Bでは、各辺の各側壁部の先端に、外側に所定角折れ曲がった反り部(カエリ部)6a,…,6aが形成されている。
【0029】
この組込用カバーシールド6Bでは、反り部6aが設けられていることにより、組込み開始時の実装用シールド5との干渉が回避され、その後、上部から押し込むことで、組込みが容易となる。また、実装基板2に実装用シールド5が半田付け実装された際に、同実装用シールド5の側面に半田群が若干吸い上がることがあるが、この組込用カバーシールド6Bでは、半田群と側壁先端との干渉も回避される。
【実施形態3】
【0030】
図6は、この発明の第3の実施形態であるシールド部材の構成を示す断面図である。
この形態のシールド部材では、同図6(a)に示すように、図3中の組込用カバーシールド6Aに代えて、異なる形状の組込用カバーシールド6Cが設けられ、また、同図6(b)に示すように、図3中の組込用カバーシールド6Aに代えて、異なる形状の組込用カバーシールド6Dが設けられている。組込用カバーシールド6Cでは、実装用シールド5が半田付け実装された際に同実装用シールド5の側面に発生する半田群Sとの干渉を防止するために、側壁の長さが短く設定されている。ところが、側壁の長さを短く設定すると、製造時での内曲げ加工が困難になる。このため、組込用カバーシールド6Dでは、反り部6b,…,6bが設けられて、半田付けで発生した半田群Sによる干渉が防止される形状とされ、また、反り部6bがない組込用カバーシールド6Cに比較して、側壁長が長く設定されている。これにより、側壁長を長く設定でき、側壁の曲げ加工が容易になり、携帯電話機内の低背のシールドでも採用しやすくなる。
【実施形態4】
【0031】
図7は、この発明の第4の実施形態であるシールド部材の構成を示す図である。
この形態のシールド部材では、同図7(a)に示すように、図3中の組込用カバーシールド6Aに代えて、異なる形状の組込用カバーシールド6Eが設けられ、また、同図7(b)に示すように、図3中の組込用カバーシールド6Aに代えて、異なる形状の組込用カバーシールド6Fが設けられている。組込用カバーシールド6Eは、上記第3の実施形態の組込用カバーシールド6Dと同様の形状に形成されているが、この形状では、上部から同組込用カバーシールド6Eを見た際に、実装用シールド5に対する冠着位置を定めることはできず、ずれた状態で冠着されたとき、同組込用カバーシールド6Eが変形するなどの問題がある。一方、組込用カバーシールド6Fでは、各辺の側壁部の4隅近辺の領域が内側に直角に折り曲げられて形成された直角折り曲げ部6m,…,6mを有し、実装用シールド5に冠着されるときの位置決めに用いられる形状とされている。これにより、組込用カバーシールド6Fは、実装用シールド5に冠着されるときでも、組立性が向上する共に、変形するなどの問題が回避される。
【0032】
また、直角折り曲げ部6mは、組込用カバーシールド6の側壁の内曲げ部のそれぞれの曲げ嵌合量のばらつきを吸収し、4辺を共に均一な接圧で実装用シールド5に接触させる働きもある。すなわち、組込用カバーシールド6Fが実装用シールド5に正常に冠着されれば、図8(a)に示す状態となるが、4隅に直角折り曲げ部6mがない場合には、組込み時の位置や作業者の加重により、図8(b)に示すように、左右それぞれの側壁位置が不均一になる場合がある。このため、組込用カバーシールド6Fと実装用シールド5との間の接圧低下による導通不良が発生し、シールド性能が劣化することがある。
【0033】
一方、組込用カバーシールド6Fでは、4隅に直角折り曲げ部6mが設けられているので、図8(c)に示すように、対辺の側壁に押し込まれたとしても、ストッパとして働き、4辺の曲げ嵌合量のばらつきが吸収される。
【0034】
以上のように、この第4の実施形態では、シールド部材を上記の形状とすることで、電磁波ノイズが輻射するCPU3などの電子部品の強度補強後のシールド性と組込性との両立が可能となる。
【0035】
以上、この発明の実施形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成は同実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても、この発明に含まれる。
たとえば、上記各実施形態では、電磁波ノイズを輻射する電子部品はCPU3であるが、同CPUに限定されず、たとえばEPROM(Erasable and Programmable Read Only Memory)やDDR−SDRAM(Double Data Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory )など、高速処理による高周波数の電磁波ノイズを輻射する電子部品であれば、上記実施形態とほぼ同様の作用、効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
この発明は、携帯電話機に限らず、回路基板に実装されている電子部品から輻射される電磁波ノイズをシールドする場合全般に適用でき、特に、電子部品が高密度実装され、かつ無線機やアンテナを有する通信機器について、部品強度、受信性能及び生産性を確保する場合に有効である。
【符号の説明】
【0037】
1 携帯電話機(電子機器)
2 実装基板(回路基板)
3 CPU(中央処理装置)(電子部品)
4 アンテナ
5 実装用シールド(シールド部材の一部、実装用シールド部)
6,6A,6B,6C,6D,6E,6F 組込用カバーシールド(シールド部材の一部、カバーシールド部)
6a,…,6a 反り部
6b,…,6b 反り部
6m,…,6m 直角折り曲げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に実装されている電子部品から輻射される電磁波ノイズをシールドするシールド部材であって、
天面側に開口部を有する矩形状に形成され、前記電子部品を囲うように前記回路基板に実装される実装用シールド部と、
該実装用シールド部に対して前記天面側から冠着されるカバーシールド部とから構成され、
該カバーシールド部は、
各辺の側壁部が内側に鋭角に折り曲げられて形成されていることを特徴とするシールド部材。
【請求項2】
前記カバーシールド部は、
前記各側壁部の先端に、外側に所定角折れ曲がった反り部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のシールド部材。
【請求項3】
前記実装用シールド部は、
導電性接合材料により前記回路基板に実装される構成とされ、
前記カバーシールド部の反り部は、
前記導電性接合材料による干渉を防止する形状とされていることを特徴とする請求項2記載のシールド部材。
【請求項4】
前記カバーシールド部は、
前記反り部がない場合に比較して、側壁長が長く設定されていることを特徴とする請求項2又は3記載のシールド部材。
【請求項5】
回路基板に実装されている電子部品から輻射される電磁波ノイズをシールドするシールド部材であって、
天面側に開口部を有する矩形状に形成され、前記電子部品を囲うように前記回路基板に実装される実装用シールド部と、
該実装用シールド部に対して前記天面側から冠着されるカバーシールド部とから構成され、
該カバーシールド部は、
各辺の側壁部の4隅近辺の領域が内側に直角に折り曲げられて形成され、前記実装用シールド部に冠着されるときの位置決めに用いられる形状とされている一方、他の領域が内側に鋭角に折り曲げられて形成されていることを特徴とするシールド部材。
【請求項6】
前記各辺の側壁部の4隅近辺の領域は、
前記カバーシールド部が前記実装用シールド部に冠着されるとき、該カバーシールド部の4辺を共に均一な接圧で前記実装用シールド部に接触させる形状とされていることを特徴とする請求項5記載のシールド部材。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一に記載のシールド部材を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−100891(P2011−100891A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255216(P2009−255216)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】