説明

シール剤供給装置

【課題】ランニングコストの低下を図ることができるシール剤供給装置を提供する。
【解決手段】流体が流通する導管1内に補修用のシール剤を供給するシール剤供給装置であって、導管1におけるシール剤供給箇所Zよりも上流側箇所の流体の一部を主設定圧に減圧してシール剤供給箇所を流通させるための主整圧手段5と、導管1におけるシール剤供給箇所Zよりも上流側箇所の流体の残部を主設定圧よりも高い制御設定圧に減圧する制御整圧手段6と、制御整圧手段6にて減圧された流体の通流によりシール剤を混合した流体を生成しかつ生成したシール剤混合流体をシール剤供給箇所Zに供給するシール剤生成手段Dとが備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体が流通する導管内に補修用のシール剤を供給するシール剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
都市ガス等の流体が流通する導管には、継手部が存在するものであり、そして、その継手部のシール剤が体積減少や剥離等を起こして、継手部に漏れを起こす虞がある。
そこで、導管内に、継手部に残存するシール剤に対して吸収性を有する補修用のシール剤を供給して、導管内を流通する流体とともに補修用のシール剤を流動させることによって、継手部のシール性を保持することが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記特許文献1には、供給ガスを減圧して流通するためのガバナ又はガバナよりも下流の適当な場所に、補修用のシール剤を供給することが記載されているが、補修用のシール剤を導管内に供給する具体的な構成は開示されていない。
【0004】
導管内に補修用のシール剤を供給する従来例として、導管のシール剤供給箇所よりも上手側箇所から流体を導いて圧力を上昇させて供給する流体供給手段(防爆型ブースター)と、シール剤を貯留する密閉タンクの底部側から上部側に向けて流体供給手段から供給される流体を通流させてシール剤混合流体を生成しかつ生成したシール剤混合流体を導管におけるシール剤供給箇所に供給するシール剤供給手段とを設けて、シール剤混合流体を導管におけるシール剤供給箇所に供給するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−342337号公報
【特許文献1】特開2009−281474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来では、補修用のシール剤を導管内に供給するにあたり、導管におけるシール剤供給箇所よりも上手側箇所から導いた流体の圧力を上昇させて供給する流体供給手段(防爆型ブースター)を用いるものであるため、補修用のシール剤を導管内に供給するためのランニングコストが高くなるものであり、改善が望まれていた。
【0007】
つまり、流体供給手段(防爆型ブースター)は、導管から導入した流体の圧力を上昇させる必要上、圧力上昇用ポンプ等の圧力上昇機器を備えることになり、この圧力上昇機器は、一般には電気エネルギーにて作動されることになるが、圧力上昇機器を作動させるのに必要な単位時間当たりの電気エネルギー量はかなり大きな量となるものである。
このように、従来では、電気エネルギーを多量に消費しながら、補修用のシール剤を導管内に供給することになるため、補修用のシール剤を導管内に供給するためのランニングコストが高くなるものであった。
【0008】
ちなみに、補修用のシール剤の導管内への供給は、12時間〜6ヶ月間は補修用のシール剤の供給を行い、その後、12時間〜6ヶ月間は供給を停止し、その停止期間が経過すると、再び、補修用のシール剤の供給を12時間〜6ヶ月間行う等、補修用シール剤を間欠的に行うことになるが、一年間において、補修用のシール剤を供給する時間はかなりの長時間になるものであり、補修用のシール剤を導管内に供給するためのランニングコストの低下が望まれるものである。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、ランニングコストの低下を図ることができるシール剤供給装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のシール剤供給装置は、流体が流通する導管内に補修用のシール剤を供給するものであって、その第1特徴構成は、
前記導管におけるシール剤供給箇所よりも上流側箇所の流体の一部を主設定圧に減圧して前記シール剤供給箇所を流通させるための主整圧手段と、
前記導管におけるシール剤供給箇所よりも上流側箇所の流体の残部を前記主設定圧よりも高い制御設定圧に減圧する制御整圧手段と、
前記制御整圧手段にて減圧された流体の通流により前記シール剤を混合した流体を生成しかつ生成したシール剤混合流体を前記シール剤供給箇所に供給するシール剤生成手段とが備えられている点にある。
【0011】
すなわち、導管におけるシール剤供給箇所よりも上流側箇所の流体の一部が、主整圧手段にて主設定圧に減圧されて、導管のシール剤供給箇所を流通されることになる。
また、導管におけるシール剤供給箇所よりも上流側箇所の流体の残部が、制御整圧手段にて、主設定圧よりも高い制御設定圧に減圧されて、シール剤生成手段に供給されることになり、そして、シール剤生成手段は、制御整圧手段にて減圧された流体の通流により補修のシール剤を混合した流体を生成しかつ生成したシール剤混合流体を前記導管におけるシール剤供給箇所に供給することになる。
【0012】
つまり、制御整圧手段にて制御設定圧に減圧された流体は、シール剤生成手段にてシール剤混合流体を生成するために圧力が低下することになるものの、その後、シール剤混合流体としてシール剤供給箇所に供給されるときには、主整圧手段にて減圧されて導管のシール剤供給箇所を流通する流体よりも高い圧力であることが必要であるが、このような圧力条件を満たすように、主整圧手段及び制御整圧手段にて流体の圧力を調整することによって、主整圧手段にて減圧されて導管のシール剤供給箇所を流通する流体に、シール剤生成手段にて生成されたシール剤混合流体を供給できることになる。
【0013】
そして、主整圧手段や制御整圧手段は、パイロット圧式の機械式のガバナを用いて構成することができ、このように主整圧手段や制御整圧手段を構成する場合には、流体の圧力を調整するために特別なエネルギーを必要とすることがなくなる。
また、主整圧手段や制御整圧手段を、圧力検出センサと圧力調整用の電動式弁にて構成することができ、このように主整圧手段や制御整圧手段を構成する場合には、電動式弁を駆動する電力や、圧力検出センサの検出情報に基づいて電動式弁を制御する制御部の駆動電力を必要とするが、これらのために消費する電力は、流体の圧力を上昇させるポンプ等の圧力上昇機器を駆動するのに消費する電力よりも小さいものとなる。
【0014】
つまり、主整圧手段及び制御整圧手段を用いて、シール剤混合流体の圧力を導管におけるシール剤供給箇所を流通する流体の圧力よりも高くなるように調整する場合には、流体の圧力を上昇させるポンプ等の圧力上昇機器を用いて、シール剤混合流体の圧力を導管におけるシール剤供給箇所を流通する流体の圧力よりも高くなるように調整する場合に較べて、消費電力量が少なくなるのである。
【0015】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、補修用のシール剤を導管内に供給するためのランニングコストの低下を図ることができるシール剤供給装置を提供するに至った。
【0016】
本発明の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記導管が、都市ガスを供給する管であり、
前記シール剤供給箇所が、中圧の都市ガスを低圧の都市ガスに整圧する整圧箇所の直後の箇所である点を特徴とする。
【0017】
すなわち、シール剤供給箇所が、中圧の都市ガスを低圧の都市ガスに整圧する整圧箇所の直後の箇所であるから、中圧から低圧に整圧された都市ガスが流通する導管における多数の継手部を補修することができる。
【0018】
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、中圧から低圧に整圧された都市ガスが流通する導管における多数の継手部を補修することができるシール剤供給装置を提供できる。
【0019】
本発明の第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、
前記主整圧手段が、中圧の都市ガスを低圧の都市ガスに整圧するように構成されている点を特徴とする。
【0020】
すなわち、主整圧手段が、中圧の都市ガスを低圧の都市ガスに整圧するように構成されているから、本来、中圧の都市ガスを低圧の都市ガスに整圧する箇所にて、主整圧手段が、中圧の都市ガスを主設定圧としての低圧に減圧し、そして、制御整圧手段が、中圧の都市ガスを主設定圧よりも高い制御設定圧に減圧することになる。
【0021】
つまり、主整圧手段及び制御整圧手段にて都市ガスを減圧することが、このように都市ガスを減圧することが、本来、中圧の都市ガスを低圧の都市ガスに整圧することに対応することになるから、補修用のシール剤の供給のために都市ガスを不必要に減圧することを回避して、都市ガスの供給を適切に行えるものとなる。
【0022】
しかも、中圧の都市ガスを低圧の都市ガスに整圧する際の減圧幅は、大きな幅であるから、主整圧手段及び制御整圧手段による整圧を十分な減圧幅を持たせて的確に行わせ易いものとなり、補修用のシール剤の供給を良好に行えるものとなる。
【0023】
要するに、本発明の第3特徴構成によれば、上記第2特徴構成による作用効果に加えて、補修用のシール剤の供給のために都市ガスを不必要に減圧することを回避して、都市ガスの供給を適切に行え、しかも、補修用のシール剤の供給を良好に行えるシール剤供給装置を提供できる。
【0024】
本発明の第4特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成のいずれかに加えて、
前記シール剤生成手段が、前記シール剤を貯留する密閉タンクの底部側から上部側に向けて前記制御整圧手段にて整圧された流体を通流させて前記シール剤混合流体を生成するように構成され、
前記主整圧手段にて整圧されて通流する流体の流量を検出する主流量検出手段、及び、前記主整圧手段にて整圧されて通流する流体に対して設定比率の前記シール剤混合流体を供給すべく、前記主流量検出手段の検出情報に基づいて、前記制御整圧手段にて減圧された流体の通流量を自動的に調整する流量調整手段が設けられている点を特徴とする。
【0025】
すなわち、主流量検出手段にて主整圧手段にて整圧された流体の流量が検出され、流量調整手段が、主流量検出手段の検出情報に基づいて、主整圧手段にて整圧されて通流する流体に対して設定比率の前記シール剤混合流体を供給すべく、制御整圧手段にて減圧された流体の通流量を調整することになり、そして、制御整圧手段にて整圧され、且つ、流量調整手段にて調整された流体が、シール剤生成手段における密閉タンクを通流することにより、シール剤混合流体が生成されて、そのシール剤混合流体がシール剤供給箇所に供給される。
【0026】
このように、主整圧手段にて整圧されて通流する流体に対して設定比率のシール剤混合流体が供給されるため、主整圧手段にて整圧されて通流する流体に対するシール剤混合流体シール剤混合流体の比率が少なすぎて、継手部のシール剤を適正に補修できなくなることや、主整圧手段にて整圧されて通流する流体に対するシール剤混合流体シール剤混合流体の比率が多すぎて、補修用のシール剤が継手部のシール剤以外の箇所に不必要に付着するトラブルを生じることを回避しながら、継手部のシール剤を適正に補修できることになる。
【0027】
要するに、本発明の第4特徴構成によれば、上記第1〜第3特徴構成のいずれかによる作用効果に加えて、主整圧手段にて整圧されて通流する流体に対して設定比率のシール剤混合流体を供給することにより、継手部のシール剤を適正に補修できるシール剤供給装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】シール剤供給装置の概略図
【図2】流量調整手段を示す概略図
【図3】別実施形態を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔第1実施形態〕
以下、本発明のシール剤供給装置の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、流体としての都市ガスを流通する導管1の内部に、補修用のシール剤を供給するシール剤供給装置Aが設けられている。
【0030】
導管1が、中圧の都市ガスを流通する中圧用導管1Aと、中圧の都市ガスを低圧に整圧する整圧部Bを備える整圧用導管1Bと、整圧部Bにて低圧に整圧された都市ガスを流通する低圧用導管1Cと、整圧部Bをバイパスするバイパス管1Dからなり、シール剤供給装置Aが、中圧の都市ガスを低圧の都市ガスに整圧する整圧箇所の直後の箇所をシール剤供給箇所Zとして、補修用シール剤を供給するように構成されている。
【0031】
整圧部Bには、中圧の都市ガスを低圧に整圧する整圧用の機械式ガバナ2、及び、整圧用導管1Bを開閉する整圧用開閉弁3が設けられている。
整圧用の機械式ガバナ2は、詳述はしないが、それよりも下流側の都市ガスの圧力をパイロット圧として導いて、都市ガスの流量を調整する弁体を開閉操作するように構成されている。
【0032】
バイパス管1Dには、それを開閉するバイパス用開閉弁4、及び、整圧用導管1Bに設けた整圧用の機械式ガバナ2と同じ仕様の整圧用の機械式ガバナ2Aが設けられており、整圧用機械式のガバナ2の点検調整時等においては、整圧用開閉弁3を閉じて、バイパス用開閉弁4を開くことにより、バイパス管1Dを通して整圧した都市ガスを流通させることができるようになっている。
【0033】
シール剤供給装置Aは、導管1におけるシール剤供給箇所Zよりも上流側箇所の都市ガスの一部を主設定圧に減圧してシール剤供給箇所を流通させるための主整圧手段としての主整圧用の機械式ガバナ5と、導管1におけるシール剤供給箇所Zよりも上流側箇所の都市ガスの残部を主設定圧よりも高い制御設定圧に減圧する制御整圧手段としての制御整圧用の機械式ガバナ6と、その制御整圧用の機械式ガバナ6にて減圧された都市ガスの通流によりシール剤を混合した流体を生成しかつ生成したシール剤混合流体を導管1におけるシール剤供給箇所Zに供給するシール剤生成手段Dを備えている。
【0034】
主整圧用の機械式ガバナ5及び制御整圧用の機械式ガバナ6は、詳述はしないが、整圧用の機械式ガバナ2と同様に、それよりも下流側の都市ガスの圧力をパイロット圧として導いて、都市ガスの流量を調整する弁体を開閉操作するように構成されている。
尚、本実施形態では、主整圧用の機械式ガバナ5が整圧する主設定圧が、上記した整圧用の機械式ガバナ2が整圧する設定圧と同じ圧力に設定されている。
【0035】
シール剤生成手段Dは、補修用のシール剤を貯留する密閉タンク7の底部側から上部側に向けて制御整圧用の機械式ガバナ6にて整圧された流体を通流させてシール剤混合流体を生成するように構成され、そして、例示はしないが、シール剤の温度が設定温度(例えば、20℃)になるように、密閉タンク7をヒータによって加熱するように構成されている。
【0036】
密閉タンク7に貯留される補修用のシール剤は、例えば、シクロへキセンオキサイドである。
【0037】
主整圧用の機械式ガバナ5及び制御整圧用の機械式ガバナ6の設置構成について説明を加えると、本実施形態においては、バイパス管1Dにおけるバイパス用開閉弁4の上手側管路部分に接続される第1管路8と、バイパス管1Dにおけるバイパス用開閉弁4の下手側管路部分に接続される第2管路9が設けられ、主整圧用の機械式ガバナ5が配設される主整圧用の管路部分10が、第1管路8と第2管路9との間に配設され、制御整圧用の機械式ガバナ6及び密閉タンク7が配設される制御整圧用の管路部分11が、主整圧用の管路部分10と並列状態で、第1管路8と第2管路9との間に配設されている。
【0038】
したがって、本実施形態においては、主整圧用の機械式ガバナ5にて減圧された都市ガスが、第2管路部分9及びバイパス管1Dを通して、シール剤供給箇所Zに供給されることになり、そして、シール剤生成手段Dにて生成されたシール剤混合流体が、主整圧用の機械式ガバナ5にて減圧された都市ガスに混合された状態で、第2管路部分9及びバイパス管1Dを通して、シール剤供給箇所Zに供給されることになる。
【0039】
また、第1管路8には、補修用の開閉弁13が設けられており、補修用のシール剤を供給するときには、整圧用開閉弁3及びバイパス用開閉弁4を閉じて、補修用の開閉弁13を開くことになり、補修用のシール剤の供給を停止するときには、この補修用の開閉弁13を閉じることになる。
【0040】
主整圧用の管路部分10に、主整圧用の機械式ガバナ5にて整圧されて通流する都市ガスの流量を検出する主流量検出手段としての流量センサ12が設けられている。
また、主整圧用の機械式ガバナ5にて整圧されて通流する都市ガスに対して設定比率のシール剤混合流体を供給すべく、流量センサ12の検出情報に基づいて、制御整圧用の機械式ガバナ6にて減圧された流体の通流量を自動的に調整する流量調整手段Eが、制御整圧用の管路部分11における制御整圧用の機械式ガバナ6の下流側箇所に設けられている。
【0041】
図2に示すように、流量調整手段Eは、詳述はしないが、制御整圧用の管路部分11を流通する都市ガスの流量を変更調整する電動式の流量調整弁14、制御整圧用の管路部分11を流通する都市ガスの流量を検出する流量センサ15、及び、その流量センサ15にて検出される流量が流量センサ12にて検出される流量に対して設定比率になるように、流量調整弁14を開閉制御するコントローラ16にて構成されている。
つまり、コントローラ16が、主整圧用の機械式ガバナ5にて整圧されて通流する都市ガスの流量を検出する流量センサ12の検出情報、及び、制御整圧用の管路部分11を流通する都市ガスの流量を検出する流量センサ15の検出情報に基づいて、主整圧用の機械式ガバナ5にて整圧されて通流する都市ガスに対して設定比率のシール剤混合流体を供給すべく、流量調整弁14を開閉制御することになる。
【0042】
したがって、この第1実施形態においては、補修用のシール剤を供給するときには、整圧用開閉弁3及びバイパス用開閉弁4を閉じて、補修用の開閉弁13を開いて、流量調整手段Eを作動させることにより、主整圧用の機械式ガバナ5にて整圧されて通流する都市ガスに対して、設定比率のシール剤混合流体を供給できることになる。
【0043】
また、補修用のシール剤の供給を停止するときには、整圧用開閉弁3又はバイパス用開閉弁4を開いて、補修用の開閉弁13を閉じることは勿論である。
【0044】
この第1実施形態の構成において、下記の2種の実験を行ったところ、2.000ppmの適正な濃度で補修用のシール剤を供給できた。
第1の実験は、主整圧用の機械式ガバナ5にて、圧力が150Kpaの都市ガスを2.5Kpaに減圧し、制御整圧用の機械式ガバナ6にて、圧力が150Kpaの都市ガスを9Kpaに減圧する状態において、流量センサ12にて検出される主整圧用の機械式ガバナ5にて整圧された都市ガスの流量が80L/minであるので、制御整圧用の機械式ガバナ6にて整圧された都市ガスの流量を16L/minに調整した。
【0045】
第2の実験は、主整圧用の機械式ガバナ5にて、圧力が150Kpaの都市ガスを2.5Kpaに減圧し、制御整圧用の機械式ガバナ6にて、圧力が150Kpaの都市ガスを9Kpaに減圧する状態において、流量センサ12にて検出される主整圧用の機械式ガバナ5にて整圧された都市ガスの流量が10L/minであるので、制御整圧用の機械式ガバナ6にて整圧された都市ガスの流量を2L/minに調整した。
【0046】
〔第2実施形態〕
次に、本発明のシール剤供給装置の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
この第2実施形態は、図3に示すように、上記の第1実施形態と較べて、第1管路8及び第2管路9が導管1に接続される箇所が異なり、その他の構成は、第1実施形態と同様です。
【0047】
すなわち、第1管路8が、中圧の都市ガスを流通する中圧用導管1Aに接続され、第2管路9が、整圧部Bにて低圧に整圧された都市ガスを流通する低圧用導管1Cに接続されている。
【0048】
したがって、本実施形態においては、主整圧用の機械式ガバナ5にて減圧された都市ガスが、第2管路部分9を通して、シール剤供給箇所Zに供給されることになり、そして、シール剤生成手段Dにて生成されたシール剤混合流体が、主整圧用の機械式ガバナ5にて減圧された都市ガスに混合された状態で、第2管路部分9を通して、シール剤供給箇所Zに供給されることになる。
【0049】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ)上記実施形態では、主整圧手段及び制御整圧手段を、パイロット圧式の機械式ガバナを用いて構成する場合を例示したが、圧力検出センサ、圧力調整用の電動弁、及び、圧力検出センサの情報に基づいて電動弁を制御する制御部にて構成される電動式の整圧手段を用いて構成してよい。
【0050】
(ロ)上記実施形態では、中圧の都市ガスを低圧の都市ガスに整圧する整圧箇所の直後のシール剤供給箇所にシール剤を供給する場合を例示したが、本願発明は、都市ガスを流通する導管における種々の箇所にシール剤を供給するのに用いることができ、また、都市ガス以外の流体を流通する導管にシール剤を供給するのに用いることができる。
【0051】
(ハ)上記実施形態では、中圧の都市ガスを低圧の都市ガスに整圧する整圧箇所の直後のシール剤供給箇所にシール剤を供給するにあたり、主整圧手段を、中圧の都市ガスを低圧に整圧する整圧用の機械式ガバナとは別個に設けるようにしたが、その整圧用の機械式ガバナを、主整圧手段として用いることができ、この場合には、制御整圧手段を別途設けることになるものの、構成の簡素化を図れるものとなる。
【符号の説明】
【0052】
1 導管
5 主整圧手段
6 制御整圧手段
7 密閉タンク
12 主流量検出手段
D シール剤生成手段
E 流量調整手段
Z シール剤供給箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流通する導管内に補修用のシール剤を供給するシール剤供給装置であって、
前記導管におけるシール剤供給箇所よりも上流側箇所の流体の一部を主設定圧に減圧して前記シール剤供給箇所を流通させるための主整圧手段と、
前記導管におけるシール剤供給箇所よりも上流側箇所の流体の残部を前記主設定圧よりも高い制御設定圧に減圧する制御整圧手段と、
前記制御整圧手段にて減圧された流体の通流により前記シール剤を混合した流体を生成しかつ生成したシール剤混合流体を前記シール剤供給箇所に供給するシール剤生成手段とが備えられているシール剤供給装置。
【請求項2】
前記導管が、都市ガスを供給する管であり、
前記シール剤供給箇所が、中圧の都市ガスを低圧の都市ガスに整圧する整圧箇所の直後の箇所である請求項1記載のシール剤供給装置。
【請求項3】
前記主整圧手段が、中圧の都市ガスを低圧の都市ガスに整圧するように構成されている請求項2記載のシール剤供給装置。
【請求項4】
前記シール剤生成手段が、前記シール剤を貯留する密閉タンクの底部側から上部側に向けて前記制御整圧手段にて整圧された流体を通流させて前記シール剤混合流体を生成するように構成され、
前記主整圧手段にて整圧されて通流する流体の流量を検出する主流量検出手段、及び、前記主整圧手段にて整圧されて通流する流体に対して設定比率の前記シール剤混合流体を供給すべく、前記主流量検出手段の検出情報に基づいて、前記制御整圧手段にて減圧された流体の通流量を自動的に調整する流量調整手段が設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載のシール剤供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−168669(P2011−168669A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32721(P2010−32721)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】