説明

シール機

【課題】容器の外径より小さな径でトップシールでき、しかも設備のコンパクト化を図るシール機を提供する。
【解決手段】開孔21が設けられた盤状体にして、開孔21の周縁上側に刃部22が隆起形成されるダイカッタ2と、ダイカッタ2の上方で間欠移動する帯状フィルム3と、帯状フィルム3の上方で、盤体にして、盤体の下面43aがダイカッタ2の刃部22に対向し且つ刃部がある上面側開孔21よりも小さな通過孔43bが開設され、上下動可能にして下動させることにより、刃部22と下面43aとで帯状フィルム3を挟着カットし、帯状フィルム3からフィルム片35を切り離すことのできる切断補助体43と、帯状フィルム3の上方で開孔21に対向し、上下動可能にして下動させることにより、シーラ下部52が通過孔43bを貫通しさらに開孔21内に進入するシーラ5と、を具備することを特徴とするシール機

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品のトップ面をフィルム片で封止するシール機に関する。
【背景技術】
【0002】
物品の開口部のトップ面をシールする方法には、例えば図12のようにしてカップめん等のトップ面をシールする方法(従来技術1)や、図13のようにしてコーヒーフレッシュ等のトップ面をシールする方法(従来技術2)がある。
図12(イ)は搬送バケットbgにカップめん等の容器Pを載せて進行するが、その上方に平行してフィルムFLが走っている。フィルムFLで容器Pの開口部を覆い、次にシーラSLでヒートシールし、その後、搬送バケットbg及びヒートシールされた容器Pごとそのまま同図左方へ進行して抜き刃NKでカットする方法である。出来上がった容器Pを裏面側から見ると図12(ロ)のように容器のフランジPGにはみ出す格好でトップフィルムTFが現れている。
図13(イ)はシーラSLでコーヒーフレッシュの容器Pの上面開口部にフィルムFLを当ててヒートシールし、その後、フィルムFLに容器Pをつけたまま次の打ち抜き工程へと進んで、該打ち抜き工程で抜き型の雄型NYを雌型NXへ向けて打ち抜き、フィルムをカットする方法である。出来上がった容器Pを裏面側から見ると図13(ロ)のように容器のフランジPGの外周縁に一致するトップフィルムTFが現れている。
さらにトップシールする方法として容器をフィルム側へ持ち上げて容器開口部に蓋をしシールする方法も提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−160703公報(従来技術3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、前述のいずれの方法も容器の上面開口の全面にフィルムを被せシールする方法であって、容器の外径より小さな径でトップシールするのは不可能であった。図10,図11のごとく容器の上面中央部に開口がある場合で、容器上面の中央部にだけフィルムで覆ってシールし外周部にフィルムを被せない方法を採ることは困難であった。
また従来技術1,2ではシーラによるシール工程と抜き刃,抜き型による抜き工程とが直線上に配設されるため、設備スペースにそれなりの大きさを必要とした。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するもので、容器の外径より小さな径でトップシールできるようにし、しかも設備のコンパクト化を図るシール機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、開孔(21)が設けられた盤状体にして、該開孔(21)の周縁上側に刃部(22)隆起形成されるダイカッタ(2)と、
該ダイカッタ(2)の上方で間欠移動する帯状フィルム(3)と、該帯状フィルム(3)の上方で、盤体にして、該盤体の下面(43a)が前記ダイカッタ(2)の刃部(22)に対向し且つ該刃部がある上面側開孔(21)よりも小さな通過孔(43b)が開設され、上下動可能にして下動させることにより、前記刃部(22)と該下面(43a)とで帯状フィルム(3)を挟着カットし、該帯状フィルムからフィルム片(35)を切り離すことのできる切断補助体(43)と、
該帯状フィルム(3)の上方で前記開孔(21)に対向し、上下動可能にして下動させることにより、シーラ下部(52)が前記通過孔(43b)を貫通しさらに前記開孔(21)内に進入するシーラ(5)と、を具備することを特徴とするシール機にある。
ダイカッタと帯状フィルムと切断補助体とシーラが請求項1の構成にあると、ダイカッタと切断補助体で帯状フィルムからフィルム片を切取り、さらに開孔に対向するシーラ下部が下動し開孔内に進入して該フィルム片を物品の上面へ押圧すると共に熱シールするので、同一場所でフィルム片の抜取り工程,シール工程を達成できる。そして、物品の上面外径より小さなフィルム片をその上面に押圧シールできる。
請求項2の発明たるシール機は、請求項1で、ダイカッタ(2)に係るダイ本体(20)の上面に、前記刃部(22)よりも低い状態で隆起する隆出部(23)が設けられることを特徴とする。
請求項3に記載の発明の要旨は、開孔(21)が設けられた盤状体のダイカッタ(2)と、該ダイカッタ(2)の上方で間欠移動する帯状フィルム(3)と、該帯状フィルム(3)の上方で、下面が前記ダイカッタに対向し且つ前記開孔に対向する部位に通過孔(43b)が開設された盤体にして、その通過孔(43b)の周縁下面側に刃部を設け、さらに該刃部の大きさよりも前記ダイカッタ(2)の開孔(21)の大きさが小さくなるよう設定して、上下動可能にして下動させることにより、該刃部と前記ダイカッタ(2)の上面とで帯状フィルム(3)を挟着カットし、該帯状フィルムからフィルム片(35)を切り離すことのできる切断補助体(43)と、該帯状フィルム(3)の上方で前記開孔(21)に対向し、上下動可能にして下動させることにより、シーラ下部(52)が前記通過孔(43b)を貫通しさらに前記開孔(21)内に進入するシーラ(5)と、を具備することを特徴とするシール機にある。
請求項のごとく、請求項1の切断補助体にフィルム片をカットする刃部を設け、ダイカッタ側の刃部をなくしても、切断補助体とダイカッタとで帯状フィルムからフィルム片を切取り、さらに開孔に対向するシーラ下部が下動し開孔内に進入して該フィルム片を物品の上面へ押圧すると共に熱シール可能であり、同一場所でフィルム片の抜取り工程,シール工程を達成できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のシール機及びこれを用いた物品の開口部のシール方法は、容器の外径より小さな径でトップシールでき、しかもシール工程と抜き工程を同じ箇所で行えるようにして設備のコンパクト化を可能にするなど優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のシール機の一形態で、その概略正面断面図である。
【図2】図1の要部側面図である。
【図3】基台,受け具装置,ダイカッタ,切断補助装置,シーラ周りの拡大図である。
【図4】(イ)が帯状フィルムの部分平面図で(ロ)がロール状体の斜視図である。
【図5】図1の要部拡大図で、シール方法の一工程の説明図である。
【図6】図1の要部拡大図で、シール方法の一工程の説明図である。
【図7】図1の要部拡大図で、シール方法の一工程の説明図である。
【図8】ダイカッタ,基台周りの部分平面図である。
【図9】物品とシール片の分解斜視図である。
【図10】図9のシール片で物品の開口部を被ってシールした平面図である。
【図11】(イ)が図10のI-I線矢視図で、(ロ)が図10のII-II線矢視図である。
【図12】従来技術の説明斜視図である。
【図13】従来技術の説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るシール機及びこれを用いた物品の開口部のシール方法の一実施形態について詳述する。
【0010】
図1〜図11は本発明のシール機の一形態で、図1はその概略正面断面図、図2は図1の要部側面図、図3は基台,受け具装置,ダイカッタ,切断補助装置,シーラ周りの拡大図、図4は(イ)が帯状フィルムの部分平面図で(ロ)がそのロール状体の斜視図、図5〜図7は図1の部分拡大断面図で、シール方法の各工程図を示す。図8はダイカッタ,基台周りの部分平面図、図9は物品とシール片の分解斜視図、図10は図9のシール片で物品の開口部を被ってシールした平面図、図11は(イ)が図10のI-I線矢視図で、(ロ)が図10のII-II線矢視図である。各図で、図面を判り易くするため断面表示のハッチング図示を一部省略する。
【0011】
本発明のシール機は図9〜図11に示すような上面82の中央に開口部83を設けたキャップ形状の物品8の該開口部83を図10,図11ごとくのフィルム片35で被ってシールするシール機で、該シール機は受け具装置1とダイカッタ2と帯状フィルム3と切断補助装置4とシーラ5とを具備する。
【0012】
受け具装置1は方形体のフレーム架台fの上面に水平に載置した矩形の敷板91上に設けられる。受け具装置1は被シール用開口部83を形成する物品8の該開口部83を上面側にして、該物品8を受け治具10に装着し得る装置になっている。図2のごとく敷板91の略中央にフレーム枠fを起立しその上面にダイカッタ2等を組付ける基台6を配設するが、基台6の下方の敷板91上にその一側から中央に向けて一対のガイドレール11を配設し、該ガイドレール11に対向する敷板91上の他側にエアシリンダ15を設ける。該ガイドレール11に水平板12を載せ、該水平板12に固着したガイド部材13に案内させて水平板12がガイドレール11に沿って滑動できるようにする。そして、水平板12に固着した止片14に前記エアシリンダ15のロッド15bの先端を連結する。
前記水平板12の中央上面には前記物品8を装着できる受け治具10が立設する。水平板12にエアシリンダ本体10aが起立し、該シリンダ本体上端からロッド10bが進退動自在に延びる。ロッド10bの先端には物品8を保持できる受け治具10の保持体10cが固着される。ここで、本実施形態の物品8は上面82の中央に開口部83を設けたキャップ形状の有蓋円筒体にして、大型ビン容器のキャップ等に用いられるものである。開口部83の部分は図9のごとく有底円筒形で凹状に窪んで穴底83aが設けられるが、ビン容器の使用時は該穴底83aを取り除いて使用に供される。ちなみに、本シール機を用いて開口部83にフィルム片35で熱シール(ヒートシール)するのはフィルム片35にバージンシールを担わせるためである。フィルム片35はビン容器が未開封であることを知
らしめるシールになっている。
【0013】
保持体10cは図5のような略円柱形で、前述のごとく被シール用開口部83を形成する物品8の該開口部83を上面側にして、すなわちキャップ状の物品8の下開穴84を下にして該物品8が被着され得る大きさになっている。物品8に係るキャップ上部の丸み85に合わせて保持体10cの上面部分には曲面部が形成され、また開口部83の穴底83aに合わせて保持体上面10cに凹穴10cが設けられて、保持体10cに物品8を被着(装着)したときに物品8が安定保持される。
保持体10cは前記エアシリンダ15のロッド15bの伸長状態で操作盤Gの押しボタンスイッチGがある水平板12の一側寄りに位置し、エアシリンダ15を作動させロッド15bが収縮すると、基台6の中央真下に配されるようにする。さらに物品8を装着した保持体10cを前記基台6の中央真下に配して、ロッド10bが伸長すると物品8の上部が基台6の通孔61a,貫通孔62aをくぐり抜け、基台6に固着したダイカッタ2の開孔21内に収まる構成である。
【0014】
ダイカッタ2は前記基台6上に固着される。基台6は基板61と盤状のベース台62とからなり、平板状の基板61はフレーム枠fの上面を覆うようにして水平配設される。ベース台62は該基板61上にダイカッタ2を微調整して精度確保し安定保持させるべく、基板61の中央部のみに設けられる。基板61の中央部には通孔61aが、またベース台62の中央部には貫通孔62aが穿設されている。該通孔61a及び貫通孔62aの両孔径は、物品上部を円滑に上昇通過させ得るよう、物品8の本体の外径よりも少し大きめとする。
ダイカッタ2は中央に開孔21が設けられた盤状体にして、受け治具10に装着した前記物品8の上面部を開孔21内に配設し得る大きさとし、且つ該開孔縁の上側に刃部22が設けられるよう設定する。開孔21は前記通孔61a及び貫通孔62aを縦通する軸心にその軸心を一致させる。該開孔21の下半部21bは図5のごとく物品本体80の曲面部85のある上部部分が嵌合する孔径にする一方、開孔21の上半部21aは下半部21bの孔径よりも少し小さくし且つ上半部21aの形状を円形からフィルム片35の形状と同形の図8のごとくの形状とする。フィルム片35は図4,図9のように円形部分の主要部の一部に突出部35aが延設する形状であるが、このフィルム片35の外形に沿う開孔21がダイカッタ2の上半部21aに設けられ、さらに該開孔21の周縁上側に刃部22が隆起形成される。物品8の上面82が下半部21bに収まり(図6)、平面視で見れば、図8のごとく物品8の上面82の大きさよりも小さなフィルム片35用の刃部22が形成されている。該刃部22と切断補助装置4によって前記フィルム片35が帯状フィルム3から切り取られる。符号23はダイ本体20の上面両側部で刃部22よりも僅かに低い状態で隆起する隆出部を示し、刃部22と切断補助装置4とでフィルム片35を切り取る際に切断補助体43の不必要な下降を阻止し刃部22を保護している。
【0015】
帯状フィルム3は熱シール可能なポリエチレン,ポリプロピレン等の合成樹脂製フィルムの帯状体で、前記ダイカッタ2の上方でフィルム面30を前記刃部22の刃先が形成する面PLと平行にして間欠移動するものである(図5)。本実施形態は、図1で示すように前記ダイカッタ2の四方を取り囲むようにして基板61の中央寄り上面に4本の支柱94を立設し、その上面に上板93を固着して矢倉状体Yを形成するが、該矢倉状体の右側にフレーム枠fから上方へ延びる立板Kを固設し、また矢倉状体Yの左側にフレーム枠fから上方へ延びる立板Kを固設する。そして立板Kに取着したリールRに巻回された定幅帯状フィルム3が、ここから送りローラ95,96を介してダイカッタ刃部22の刃先が形成する水平面PLより少し高い位置を図1の矢印方向(紙面右方向)にフィルム面30を水平にして通り過ぎ、その後、立板Kに取付けられた巻取器Rに至り、巻き取られる。フィルム片35はこのダイカッタ刃部22の箇所で帯状フィルム3から切り取られる。帯状フィルム3のフィルム幅は図4のごとく図柄マーク31の横幅よりも大きいため、図柄マーク31(フィルム片35)が抜き取られた後も帯状体を保つ。フィルム片35が切り取られた後の帯状フィルム3は巻取器Rに巻き取られていく。
帯状フィルム3には図4に示すごとく上面30に一定間隔Lごとにフィルム片35の図柄マーク31が印刷され、また帯状フィルム3の側縁には一定間隔L毎にレジマーク32が印刷されている。レジマーク32はダイカッタ2の手前上流側に位置するマークセンサSで検知されて、送りローラ96の送り量を調整し図柄マーク31が開孔位置に常に一致するよう自動修正するためのものである。クラッチ付きモータMの駆動により送りローラ96及び巻取器Rが間欠連動回転し、帯状フィルを間欠移動させて図柄マーク31をダイカッタ2の開孔21の上方位置に合わせた後、刃部22と切断補助装置4によって帯状フィルム3の図柄マーク31を順次切り取ってフィルム片35にできる。なお、巻取器Rの帯状フィルム3の巻取り量を送りローラ96による帯状フィルム3の送出し量より若干大きく設定し、刃部22の上方の帯状フィルム3を張設状態としている。
【0016】
切断補助装置4は前記ダイカッタ2の刃部22とで帯状フィルム3をカットし該帯状フィルム3から所定大きさのフィルム片35を切り離すことのできる切断補助体43を備える装置である。切断補助装置4は水平盤40と軸部材41と伸縮手段たるエアシリンダ42と切断補助体43とを具備する。
前記矢倉状体の上板93の2箇所に小孔93aを設け、上板93の上面に2つのエアシリンダ本体42aを立設すると共にそれぞれのロッド部分を該小孔93aに挿入する。両ロッド42bが同期をとって上板93から下方へ向けて進退動自在に突出する。ロッド42bの下端で、軸部材41が垂下するようにしてロッド42bと連結し、該軸部材41の下端に水平盤40が水平に固着される。水平盤40は平面視で前記ベース台62の大きさに等しい盤体で、その盤面には開孔21の円径部分より一回り大きな円孔40aが開設されている。前記貫通孔62a,基板61の通孔61a,ダイカッタ2の開孔21に縦通する軸心と円孔40aの軸心とが一致する。
そして、該水平盤40の下面に切断補助体43が固着される。切断補助体43は平面視大きさがダイカッタ2と略同じくする平盤体にして、平盤体中央にダイカッタ2の刃部22がある上面側開孔21(フィルム片35の形状をしている。)より僅かに小さな相似形の通過孔43bを設ける。切断補助体43の下面43aは平滑面にして、エアシリンダ42の作動でロッド42bが進出したとき、図6のごとく帯状フィルム3を刃部22とで挟んでその図柄マーク31を挟着,カットし、刃部22の形状と同形にして、物品8の開口部83を塞ぐ大きさのフィルム片35に切り離すことができる。なお、エアシリンダ42の作動でロッド42bが退動すると、切断補助体43は図3のごとく帯状フィルム3からダイカッタ2までの距離に略等しい距離だけ上昇したところまで上動して止まる。
【0017】
シーラ5は、前記切断補助装置4と前記ダイカッタ2とで帯状フィルム3から切り離したフィルム片35を、上から押してそのまま下降させ、該フィルム片35で物品8の開口部83を塞いで物品上面82に熱シールする押圧シール部材である。
エアシリンダ50が前記上板93の下面側にシリンダ本体50aを下方に向けて取付けられる。そのロッド50bは貫通孔62a,基板61の通孔61a,ダイカッタ2の開孔21の軸心と一致するように進退動自在に下降する。該ロッド50bの下端にシーラ本体51が垂下状態に固着され、シーラ5は帯状フィルム3の上方で前記開孔21に対向し、ロッド50bの進退動により上下動可能にして、ロッド50bを伸長させ下動させると、シーラ下部52が前記円孔40a,通過孔43bを貫通しさらに前記開孔21内に進入してフィルム片35を物品8の上面82へ押圧する。そして、シーラ本体51の下部52は図示しない加熱手段によって加熱できる構成にあり、下部52が加熱されることによって物品上面82に押圧された前記フィルム片35で開口部83を塞いで熱シールできるようになっている。ここでは、図5のようにシーラ下部52の下面外周部に面圧を出す凸部521をリング状に隆起形成し、図10のごとくフィルム片35の円形部分の外周縁寄りのリング状体域HSが熱シールされる。突出部35aは熱シールされず、また突出部35aが物品8の曲面部85の上方に配されるため、曲面部85と突出部35aとの間に隙間εができる(図11のb)。開封するため物品8からフィルム片35を剥ぎ取るときは、この隙間εを利用して突出部35aを手で掴み容易に剥ぎ取ることができる。
【0018】
そして、受け治具10に作業者が物品8を装着して手元の押しボタンスイッチを押すと、制御盤Gに組み込まれたシーケンス制御又はコンピュータ制御による以下の一連の動作工程を順次遂行し、物品8の開口部83を封止するシール方法を実現する。すなわち、押しボタンスイッチが入ると、先ずエアシリンダ15が作動し、そのロッド15bが収縮して物品8が被着された受け治具10が開孔21の真下へ移動してこの位置で停止する(図2の鎖線)。その後、ロッド10bが上昇し、受け治具10の保持体10cに装着した物品8の上面部が通孔61a,貫通孔62aを貫通しダイカッタ2の開孔21内に配設される(図5)。次に、エアシリンダ42が作動しそのロッド42bが伸び、図6のごとく切断補助体43が下降して帯状フィルム3の図柄マーク31を挟着カットしフィルム片35として切り離す(抜き工程)。続いて、エアシリンダ50が作動しそのロッド50bが伸びることによって、図7のごとくシーラ5の下部52が円孔40a,通過孔43bを通って開孔21内に進入しフィルム片35で開口部83を塞ぐようにして物品8の上面82に押圧し、加熱手段により下部52が加熱されてさらに熱シールする(シール工程)。シール片による物品8の開口部83への熱シールが完了する。この熱シールの完了後、前記各エアシリンダが作動して受け治具10,切断補助体43,シーラ本体下部52はそれぞれ当初位置に戻る。受け治具10に装着された物品8は、その開口部83がフィルム片35で封された所望の製品となって押しボタンスイッチGのある水平板12の一側寄りへ戻る。またモータが作動してリールRから帯状フィルム3の所定長さ分を送り出し、且つ巻取器Rが帯状フィルム3を所定長さ分を巻き取って、新たな図柄マーク31を開孔21の真上に配設する。
前記製品を受け治具10から取外した後、新たな物品8を受け治具10に装着し、また押しボタンスイッチを押せば上述と同じ動作を繰返し、製品が順次製造されていく。
尚、図8の符号621はベース台62に起立するガイド用支柱、符号40bは水平盤に設けられた案内孔で、前記ガイド用支柱621を挿通して水平盤40の上下動を円滑にするものである。符号b,nは支柱94を基板61,上板93に螺着固定するボルト,ナット、符号bはベース台62を基板61に固定するボルト示す。
【0019】
本実施形態は刃部22をダイカッタ2に設け、切断補助体43の下面43aを平坦にして、刃部22と切断補助体43の下面43aとで帯状フィルム3を挟着カットし、フィルム片35を切り離したが、次の構成を採ることもできる。すなわちダイカッタ2の開孔21の周縁に刃部を設けず、代わって切断補助体43の下面43aで通過孔43bの周縁下面側にフィルム片35を切取るための刃部を設けるのである。斯る場合は、開孔21及び刃部の形状はフィルム片35の形になるが、ダイカッタ2の上半部21aの開孔21の大きさが切断補助体43に設けた刃部の大きさより僅かに小さくなる。そのため、シーラ下部52を開孔21内に進入させてフィルム片35で開口部83を塞ぐ際に若干抵抗があるので本実施形態の方が好ましいが、特に支障になるものでない。
【0020】
このように構成したシール機及びこれを用いた物品の開口部のシール方法によれば、従来技術1〜3等と異なり、物品8の上面82の大きさよりも小さなフィルム片35であっても、その物品8の上面82に該フィルム片35を熱シールできる。物品8(容器)の外径よりも小さな径のフィルム片35であってもトップシール可能で、物品8の上面中央に設けられた開口部83を塞いで熱シールできる。
しかも、ダイカッタ2と切断補助装置4を用いた帯状フィルム3からのフィルム片35の抜取り工程と、シーラ5を用いたシール工程を同じ箇所で行うことができる。図12,図13のごとく従来技術1,2ではシール工程と抜取り工程は別の場所になりそのための大きな設備スペースを要したが、本シール機によれば同一箇所で賄えるので設備のコンパクト化が図れる。
さらに、従来技術1等においては搬送用バケット治具bgの大きさや、シール工程,抜取り工程の設備の規制を受けてバケット容器(物品)Pのバケットピッチが大きくなる傾向にあり、従来は帯状フィルムの図柄マーク31のピッチが大きくなっていた。しかるに、本シール機においてはシール工程と抜取り工程が同一箇所で行われることから、図柄マーク31のピッチLを小さくできる。従来技術1,2のようにバケット治具や設備の規制がないので、フィルム片35用図柄マーク31を最小限に詰めてピッチ配列できる。帯状フィルム3の有効利用率を最大限高めることができ、帯状フィルム3のムダを省き低コスト化,省資源化に貢献する。
加えて、帯状フィルム3のライン方向(進行方向)と、物品8のライン方向がそれぞれ独立しているので、シール機の両ライン構成が自在で、直線流れや回転テーブル流れ等の組込み可能で設計自由度を高める。
【0021】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限らず、目的,用途に応じて本発明の範囲内で種々変更できる。受け具装置1,ダイカッタ2,帯状フィルム3,切断補助装置4,シーラ5,基台6,物品8等の形状,大きさ,個数,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。
【符号の説明】
【0022】
1 受け具装置
10 受け治具
2 ダイカッタ
21 開孔
22 刃部
3 帯状フィルム
30 フィルム面
43 切断補助体
43b 通過孔
5 シーラ
52 下部(シーラ下部)
6 基台
8 物品
82 上面
83 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開孔(21)が設けられた盤状体にして、該開孔(21)の周縁上側に刃部(22)隆起形成されるダイカッタ(2)と、
該ダイカッタ(2)の上方で間欠移動する帯状フィルム(3)と、
該帯状フィルム(3)の上方で、盤体にして、該盤体の下面(43a)が前記ダイカッタ(2)の刃部(22)に対向し且つ該刃部がある上面側開孔(21)よりも小さな通過孔(43b)が開設され、上下動可能にして下動させることにより、前記刃部(22)と該下面(43a)とで帯状フィルム(3)を挟着カットし、該帯状フィルムからフィルム片(35)を切り離すことのできる切断補助体(43)と、
該帯状フィルム(3)の上方で前記開孔(21)に対向し、上下動可能にして下動させることにより、シーラ下部(52)が前記通過孔(43b)を貫通しさらに前記開孔(21)内に進入するシーラ(5)と、を具備することを特徴とするシール機。
【請求項2】
前記ダイカッタ(2)に係るダイ本体(20)の上面に、前記刃部(22)よりも低い状態で隆起する隆出部(23)が設けられる請求項1記載のシール機。
【請求項3】
開孔(21)が設けられた盤状体のダイカッタ(2)と、
該ダイカッタ(2)の上方で間欠移動する帯状フィルム(3)と、
該帯状フィルム(3)の上方で、下面が前記ダイカッタに対向し且つ前記開孔に対向する部位に通過孔(43b)が開設された盤体にして、その通過孔(43b)の周縁下面側に刃部を設け、さらに該刃部の大きさよりも前記ダイカッタ(2)の開孔(21)の大きさが小さくなるよう設定して、上下動可能にして下動させることにより、該刃部と前記ダイカッタ(2)の上面とで帯状フィルム(3)を挟着カットし、該帯状フィルムからフィルム片(35)を切り離すことのできる切断補助体(43)と、
該帯状フィルム(3)の上方で前記開孔(21)に対向し、上下動可能にして下動させることにより、シーラ下部(52)が前記通過孔(43b)を貫通しさらに前記開孔(21)内に進入するシーラ(5)と、を具備することを特徴とするシール機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−132357(P2010−132357A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57375(P2010−57375)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【分割の表示】特願2004−338233(P2004−338233)の分割
【原出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(393008511)小倉工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】