シール装置
【課題】直動式ソレノイドを用いて2段階の挟持動作を可能とするシール装置を提供する。
【解決手段】直動式ソレノイドを駆動させる場合において、ノズルを待機位置から停止位置に移動させた後に、当該直動式ソレノイドを構成する可動部の移動を始点から終点までの間の所定の途中位置で停止させ、かつノズル部を停止位置から待機位置に復帰させた後に、可動部の移動停止を解除し可動部を終点に移動再開させるための停止機構部を備える。
【解決手段】直動式ソレノイドを駆動させる場合において、ノズルを待機位置から停止位置に移動させた後に、当該直動式ソレノイドを構成する可動部の移動を始点から終点までの間の所定の途中位置で停止させ、かつノズル部を停止位置から待機位置に復帰させた後に、可動部の移動停止を解除し可動部を終点に移動再開させるための停止機構部を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被シール物のシール部を圧着する圧着部を有する圧着体と、前記シール部を加熱する加熱部を有する加熱体と、前記シール部の開口部から前記被シール物の内部に挿入可能に配置され、当該被シール物内部から気体を吸引または供給するためのノズル部と、前記ノズル部を待機位置と停止位置との間で移動可能にするノズル駆動部と、前記圧着体と前記加熱体とで前記シール部を挟み込むように、前記圧着体を駆動するための直動式ソレノイドとを有するシール装置およびそのシール装置を用いたシール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被シール物内部から気体を吸引または供給可能にして、被シール物をシールするシール装置として、特許文献1が知られている。特許文献1は、ノズルを被シール物の開口部からその内部に挿入させた状態で、開口部及びノズルを一対の挟持体で挟持させ(第1挟持位置)、その内部空気を吸引またはその内部へ気体を供給し、その後、ノズルを開口部から引き抜いて、開口部を挟持体でさらに挟持させ(第2挟持位置)、ヒートシールする。この挟持体の挟持動作は、1個または2個のエアシリンダーの駆動によって行われる。
【0003】
また、直動式ソレノイドを用いたシール装置として特許文献2が知られている。特許文献2は、直動ソレノイドの駆動に連動して上下動作する圧着レバーの圧着部と加熱部とで被シール物を挟持することを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−335521号公報
【特許文献2】特開2011−51284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のようにエアシリンダーを用いた駆動方式では、シリンダーに2系統のエア供給が必要である。また、エア供給の開始・停止を切り替えるための電磁弁を2系統それぞれに設置する必要があり、エア供給のためのコンプレッサーも必要である。
【0006】
一方、特許文献2の直動式ソレノイドの場合、駆動時における可動鉄心のストロークは一定長であり、可動鉄心を移動途中で停止できない構造である。すなわち、特許文献1における上記第1挟持位置で可動鉄心を停止させ、次いで第2挟持位置まで可動鉄心を再び移動させるという2段階の挟持動作を行えない。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、直動式ソレノイドを用いて2段階の挟持動作を可能とするシール装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明に係るシール装置は、
被シール物のシール部を圧着する圧着部を有する圧着体と、
前記シール部を加熱する加熱部を有する加熱体と、
前記シール部の開口部から前記被シール物の内部に挿入可能に配置され、当該被シール物内部から気体を吸引または供給するためのノズル部と、
前記ノズル部を待機位置と停止位置との間で移動可能にするノズル駆動部と、
前記圧着体と前記加熱体とで前記シール部を挟み込むように、前記圧着体を駆動するための第1の直動式ソレノイドと、
前記第1の直動式ソレノイドを駆動させる場合において、前記ノズル部を前記待機位置から前記停止位置に移動させた後に、当該第1の直動式ソレノイドを構成する第1可動部の移動を始点から終点までの間の所定の途中位置で停止させ、かつ前記ノズル部を前記停止位置から前記待機位置に復帰させた後に、前記第1可動部の移動停止を解除し当該第1可動部を前記終点に移動再開させるための停止機構部とを備える。
【0009】
この構成によって、第1の直動式ソレノイドの第1可動部(例えば可動鉄心)の移動を任意の途中位置(途中位置)で停止させることが可能となり、2段階の挟持動作を簡単に行える。直動式ソレノイドをそのまま使用できるため、低コストで実現できると共に、エアシリンダーを用いるよりもそれに付随する装置(コンプレッサーや電磁弁等)が少なくなり、また駆動制御も簡単となる。
【0010】
図2A〜2Cを用いて第1の直動式ソレノイドの2段階動作(途中位置で停止する動作)の一例について説明する。シール装置は、圧着体7と加熱体31とノズル部41とノズル駆動部(不図示)と、第1の直動式ソレノイド12と、停止機構部70と、ノズル駆動部と第1の直動式ソレノイド12と停止機構部70の駆動(第2の直動式ソレノイド73の駆動)とを制御するための制御部5とを備える。なお、制御部5はその他の各種駆動部や他構成部も制御してもよい。ここでは、停止機構部70は、ピン部71とバネ部72と第2の直動式ソレノイド73とを有する。ここで、ピン部71が第2の直動式ソレノイド73の第2可動部を構成している。第1の直動式ソレノイド12の第1可動部14を駆動させる場合に、ノズル部41を図2Aの待機(原)位置から図2Bの停止(突出)位置に移動させた後に、第1可動部14の下先端部が初期位置201から移動し途中(中段)位置202で停止させる(図2B参照)。被シール物を圧着体7と加熱体31との挟持部で挟み固定できる位置で、第1可動部14が停止する。このとき第1可動部14の下先端部がピン部71の一方端部に当って第1可動部14が停止することになる。次いで、図2Cに示すように、ノズル部41を停止位置から待機位置に復帰させた後に、第1可動部14の移動停止が解除され、第1可動部14が終点203に移動する。第2の直動式ソレノイド73のピン部71が図面上下方に移動することで、第1可動部14が下方に移動できるようになる。すなわち、第1可動部14は移動停止している状態でも下方に移動する力が作用しており、ピン部71によって移動できないようになっている。このとき、制御部5は、ノズル部41の移動動作、第1の直動式ソレノイド12の電源ON・OFF制御(励磁制御)、停止機構部70の第2の直動式ソレノイド73の電源ON・OFF制御(励磁制御)を行う。なお、本発明は図2A〜2Cの構成例に限定されず、他の構成もでき、具体的な構成は後述する。
【0011】
また、本発明において、前記圧着体は、前記シール部近傍を押圧する弾性押圧部を有し、前記加熱体は、前記押圧部とともに前記シール部近傍を挟持する弾性受部を有することが好ましい。弾性押圧部と弾性受部とでノズル部および被シール物を挟むことで、圧着部と加熱部とが直接にノズル部と接触することを避けることができ、圧着部および加熱部の損傷や変形、あるいはノズル部の損傷や変形を防止できる。
【0012】
また、本発明の一実施形態として、前記停止機構部は、
前記第1の直動式ソレノイドの前記第1可動部の先端部に接触するピン部と、
前記第1可動部の移動に応じて前記ピン部を移動可能とし、かつ前記途中位置で前記第1可動部の移動を停止させるように前記ピン部の移動を停止可能とするピン移動機構部とを有する。簡単なピン移動機構部によって、ピン部の移動を自在に停止したり再開したりできるため、前記第1可動部の移動を簡単に途中位置で停止させることができる。
【0013】
また、本発明の一実施形態として、前記ピン移動機構部は、前記第1可動部の先端部と接触する前記ピン部の端部とは異なる端部方向側に配置されるばね部を有することが好ましい。これによって、第1可動部の移動によって移動したピン部をその原点位置に自動復帰させることが可能となる。
【0014】
また、上記実施形態として、前記ピン移動機構部は、前記ピン部を可動部とする第2の直動式ソレノイドを有することが好ましい。これによって、ソレノイドのON/OFF切り替えでピン部(可動部)の停止および移動を自在に制御できるため、簡単な機構で2段階移動の直動式ソレノイドを実現できる。
【0015】
また、上記実施形態として、前記ピン部は、第1径部と、当該第1径部より小さい径の第2径部とを有し、前記ピン移動機構部は、前記ピン部の前記2径部に係止する係止部をさらに有する。例えば、第1径部よりも大きい径の第1開口部と、第1径部よりも小さくかつ第2径部よりも大きい径の第2開口部(係止部)とを有し、ピン部の移動を可能にするときに第1開口部内で前記ピン部の移動を行わせ、ピン部の移動を停止させるときに前記第2開口部内に前記第2径部を配置させて、ピン部の移動を停止させる。また、別例として、第2径部にはめ込まれるフック部(係止部)を有し、ピン部の移動を可能にするときにフック部を前記第2径部から遠ざけておき、ピン部の移動を停止させるときに前記フック部を前記第2径部にはめ込んでピン部の移動を停止させる。上記の係止部の駆動に、直動式ソレノイド、回転式ソレノイド、ステッピングモーター等を用い、原点復帰にばねを用いることができる。
【0016】
また、上記実施形態として、前記停止機構部は、前記第1可動部のプランジャーに当接して、当該第1可動部の移動を停止させるスライド部を有する。このスライド部は、第1可動部の外径より大きく、プランジャーよりも小さい開口サイズの開口部を有し、第1可動部の移動を停止させるときに、当該開口部を可動部に移動させて、プランジャーと当接させることで第1可動部の移動を途中位置で停止させ、スライド部を可動部から離すことで可動部の移動を再開させることができる。
【0017】
また、上記実施形態として、前記停止機構部は、
前記第1の直動式ソレノイドと隣り合って配置された第2の直動式ソレノイドと、
前記第1の直動式ソレノイドの第1可動部と一方端部が固定され、かつ前記第2の直動式ソレノイドの第2可動部を貫通する第1貫通部の内部を相対的に移動するピン部と、
前記第2の直動式ソレノイドの第2可動部から前記第1の直動式ソレノイドの第1可動部側へ延設され、かつ前記第1貫通部と連接した第2貫通部が形成された途中位置決め部と、
前記途中位置決め部の先端部に前記第1の直動式ソレノイドの第1可動部の先端部を当接させて、当該第1の直動式ソレノイドの第1の可動部の移動を前記途中位置で停止させた場合に、前記ピン部の前記一方端部とは異なる他方端部に形成された凹部をロックして当該ピン部の移動を停止させるロック部と、
前記第1の直動式ソレノイドの第1可動部を前記終点まで移動させると共に前記第2の直動式ソレノイドの第2可動部を移動させた場合に、前記ロック部と前記ピン部との間に割り込むように挿入されて前記凹部のロックを解除するロック解除部と、をさらに有する。
【0018】
この構成によれば、途中位置で移動を停止したピン部をロックさせることで、第1の直動式ソレノイド部に電源供給する必要がなくなるため、電気コストを低減できる。また、第1の直動式ソレノイドにかかる負荷を軽減でき、安定した動作が可能となる。
【0019】
また、上記実施形態として、
前記途中位置で前記第1可動部の移動を停止する場合に、前記第1可動部が前記始点から前記途中位置まで移動するように前記第1の直動式ソレノイドを駆動制御し、かつ前記第2可動部を停止させるように前記第2の直動式ソレノイドを駆動制御し、
前記第1可動部の移動停止を解除し当該第1可動部を前記終点に移動再開する場合に、前記第1可動部が前記途中位置から前記終点位置まで移動するように前記第1の直動式ソレノイドを駆動制御し、かつ前記第1可動部の移動方向に前記第2可動部を移動させるように前記第2の直動式ソレノイドを駆動制御する、ソレノイド制御部を備える。
【0020】
また、上記実施形態として、前記ソレノイド制御部は、前記第1可動部が前記途中位置で移動を停止している時に、前記第1および第2の直動式ソレノイドへの電源供給を停止する。
【0021】
また、他の発明は、被シール物のシール部を圧着する圧着部を有する圧着体と、前記シール部を加熱する加熱部を有する加熱体と、前記シール部の開口部から前記被シール物の内部に挿入可能に配置され、当該被シール物内部から気体を吸引または供給するためのノズル部と、前記ノズル部を待機位置と停止位置との間で移動可能にするノズル駆動部と、前記圧着体と前記加熱体とで前記シール部を挟み込むように、前記圧着体を駆動するための直動式ソレノイドとを有するシール装置を用いたシール方法であって、
前記ノズル部を前記待機位置から前記停止位置に移動させ、前記シール部の開口部から前記被シール物の内部に挿入し、
次いで、前記第1の直動式ソレノイドの第1可動部を始点から終点までの間の所定の途中位置で停止させ(第1段階目の挟持動作)、
次いで、前記ノズル部によって前記被シール物内部から気体を吸引または供給し、
次いで、前記ノズル部を前記停止位置から前記待機位置に復帰させ、
次いで、前記第1可動部を前記途中位置から前記終点に移動させ(第2段階目の挟持動作)、
次いで、前記圧着体と前記加熱体とで前記シール部を加熱して溶着し、
次いで、前記第1可動部を前記終点から前記始点に復帰させる、工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態1のヒートシーラーの構成を示す側断面図
【図2A】実施形態1の2段階動作を説明するための図
【図2B】実施形態1の2段階動作を説明するための図
【図2C】実施形態1の2段階動作を説明するための図
【図3】実施形態1の別例1の停止機構部の一例を示す図
【図4A】実施形態1の別例1の停止機構部の一例を示す図
【図4B】実施形態1の別例1の停止機構部の一例を示す図
【図5A】実施形態1の別例2の停止機構部の一例を示す図
【図5B】実施形態1の別例2の停止機構部の一例を示す図
【図6】実施形態2のヒートシーラーの構成を示す側断面図
【図7A】停止機構部の一例(始点)を示す図
【図7B】停止機構部の一例(途中位置で停止した状態)を示す図
【図7C】停止機構部の一例(終点)を示す図
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係るシール装置の一例として、インパルス式ヒートシーラー(以下、単に「ヒートシーラー」という。)を用いて説明する。なお、本発明においてシール装置は、インパルス式ヒートシーラーに限定されず、例えば、超音波式シール装置、高周波式シール装置等が挙げられる。図1は、ヒートシーラーの構成を示す側断面図である。図2A〜2Cは、停止機構を詳細に説明するための図である。
【0024】
<ヒートシーラーの全体構成>
ヒートシーラーの本体1は、一体的に結合された上部枠体2と下部枠体3とから構成される。上部枠体2には、トランス4、制御ボックス5(制御部を内臓している)、マイクロスイッチ6、圧着レバー7(圧着体に相当する。)が設けられている。圧着レバー7は、左右一対のアーム8が軸9に対して回転自在となるように取付けられている。圧着レバー7の先端部にはシリコンゴムが設けられており、被シール物のシール部を圧着する圧着部10として機能する。
【0025】
下部枠体3には、冷却ファン11と第1の直動式ソレノイド12が設けられている。第1の直動式ソレノイド12は、可動鉄心14(第1可動部に相当する。)と、電磁コイル15と、ボビン16とを備えている。下部枠体3の下面部には脚部17が設けられている。第1の直動式ソレノイド12は、上下一対のカバー部材(不図示)によりカバーされ、支持台板20を介して下部枠体3に対して取付けられている。
【0026】
可動鉄心14は、ボビン16の内径部に沿って摺動可能に構成されおり、先端面14aが後述するピン部71の先端部71aに当接可能に構成されている。また、下部枠体3の上面部には、ダイヤフラム21が固定部22(図ではボルト−ナット固定)により取付けられ、このダイヤフラム21が可動鉄心14のフランジ部14bに連結されている。また、固定部22は、支持台板20を下部枠体3に対して連結させる機能も有している。
【0027】
圧着レバー7の横幅方向の中央位置に第1の直動式ソレノイド12が設けられている。また、同じく圧着レバー7の中央位置には、作動ロッド23が摺動可能なように嵌挿されている。作動ロッド23に外嵌した弾性部材24が、同じく作動ロッド23に外嵌した押え部25と圧着レバー7とで挟持されている。作動ロッド23の上端部に螺合されている圧着力調整つまみ26の回転操作により、弾性部材24に対する作動ロッド23の上下位置を細密に変更できるようになっている。圧着レバー7は、不図示の機構により、図1の初期位置よりも上方向に移動しないようになっている。
【0028】
作動ロッド23と可動鉄心14とは、2箇所のリンクピン28,29により、リンクレバー27を介して連結されている。これにより、可動鉄心14の直線運動がスムーズに圧着レバー7の回転運動に変換されるようになっている。また、作動ロッド23とリンクレバー27の周りに、圧着レバー7の復帰用の圧縮コイルスプリング30が、上部枠体2と圧着レバー7との間に配置されている。
【0029】
さらに、下部枠体3には、加熱体31が取付けられている。加熱体31は、シリコンゴムの圧着部10に対向配置される加熱部31aを備えており、そのために加熱体31にはヒーターとして機能するニクロム線等が備えられている。
【0030】
また、圧着レバー7には、圧着部10よりも前方側に、被シール物のシール部近傍(シール部より袋中心方向の位置)を押圧するための弾性押圧部51が備えられている。この弾性押圧部51と対になって、被シール物のシール部近傍を挟むために、下部枠体3には加熱部31aよりも前方側に弾性受部52が備えられている。弾性押圧部51と弾性受部52とによって、被シール物のシール部近傍が挟持される。なお、弾性押圧部51と弾性受部52とが、圧着部10と加熱部31aよりも前方側に配置している形態に限定されず、圧着部10と加熱部31aよりも後方側(装置本体内側)に配置していてもよい。
【0031】
また、被シール物のシール部の開口部から被シール物の内部に挿入可能に配置され、被シール物内部から気体を吸引または供給するためのノズル部41を備える。図1において、ノズル部41の先端は待機位置41aに配置され、シール部の開口部から被シール物の内部に挿入する場合にノズル部41の先端が停止位置41bに突出する。このようにノズル部41を待機位置41aと停止位置41bとの間で移動可能にするためにノズル駆動部42が備えられている。ノズル駆動部42は、例えば、ロータリーソレノイド、ステッピングモーター、油圧シリンダー、エアシリンダー等の駆動源とノズル部41を直線移動させるための機構、例えばラックアンドピニオン、歯車機構、直動アクチュエータ等を有して構成できる。
【0032】
また、第1の直動式ソレノイド12の可動鉄心14を途中(中段)位置で停止させて、シール部の挟み込み動作を2段階で行わせるために、停止機構部70を備える。停止機構部70は、第1の直動式ソレノイド12を駆動させる場合において、ノズル部41を待機位置41aから停止位置41bに移動させた後に、第1の直動式ソレノイド12を構成する可動鉄心14の移動を、その下先端部が位置する始点201から終点203までの間の所定の途中位置202で停止させ、かつノズル部41を停止位置41bから待機位置41aに復帰させた後に、可動鉄心14の移動停止を解除し可動鉄心14を終点203に移動再開させる。
【0033】
図1、2A、2B、2Cにおける停止機構部70は、第1の直動式ソレノイド12の可動鉄心14の先端面14aに接触可能なピン部71と、可動鉄心14の移動に応じてピン部71を移動可能とし、かつ途中位置202で可動鉄心14の移動を停止させるようにピン部71の移動を停止可能とするピン移動機構部(72、73)を備える。このピン移動機構部は、ピン部71が可動鉄心14の先端面14aと接触するピン部軸方向側と異なるピン部軸方向側に配置されるばね部72と、ピン部71を可動部(可動鉄心)とする第2の直動式ソレノイド73を有する。ばね部72は、圧縮コイルスプリングで構成してもよく、板ばねで構成してもよい。ばね部72の周囲にはピン部71の移動方向を規制し、収納するためのガイド部74が設けられている。
【0034】
図2Aは、可動鉄心14が初期位置201に位置していることを示す。図2Bは、第2の直動式ソレノイド73をON状態(電磁コイルに通電した状態)としてピン部71がスライドしないように固定している状態を示す。このときに第1の直動式ソレノイド12をON状態(電磁コイル15に通電した状態)にすると、可動鉄心14の下方への移動が、その先端面14aがピン部71の先端部71aに当接して途中位置202で停止することになる。図2Cは、第2の直動式ソレノイド73をOFF状態としてピン部71が下方に自由にスライドできる状態を示す。第2の直動式ソレノイド73をON状態からOFF状態に切り替えたとき、第1の直動式ソレノイド12がON状態(通電状態)のままであるので、可動鉄心14の移動が再開され、その先端面14aでピン部71の先端部71aを当接したまま、先端面14aが終点203まで移動することになる。
【0035】
<2段階の挟持動作を含むシール処理工程の説明>
まず、被シール物のシール部を開口させた状態で、圧着レバー7の圧着部10と加熱体31の加熱部31aとの間に配置させる(ステップS1)。次いで、ノズル部41を待機位置41aから停止位置41bに移動させ、ノズル部41を被シール部の内部へ挿入する(ステップS2)。なお、ノズル部41を停止位置41bに移動させた後に、被シール物をセットしてもよい。
【0036】
次いで、第1段階目の挟持動作を行う(ステップS3)。ノズル部41が停止位置41bに移動した後(またはその前あるいは同時に)、直動式ソレノイド73をON状態(電磁コイルに通電した状態)にし、ピン部71がスライドしないように固定する。次いで、第1の直動式ソレノイド12をON状態(電磁コイル15に通電した状態)にする。この通電のタイミングは、手動(またはフット)スイッチまたはシール部がセットされたことを検出するセンサーからの検出信号に基づいて自動的に行うことができる。
【0037】
この第1の直動式ソレノイド12をON状態にしたことで、可動鉄心14が下方へ移動し、これに連動して圧着レバー7が下方に移動する。そして、可動鉄心14の先端面14aがピン部71の先端部71aに当接して、可動鉄心14が途中位置202で停止し、かつ圧着レバー7が停止する。このとき、被シール物のシール部近傍(シール部より袋中心方向の位置)が、弾性押圧部51および弾性受部52によって挟まれた状態となる(第1挟持状態)。ノズル部41も同時に挟まれるが、弾性押圧部51および弾性受部52が弾性部材で構成されているため、ノズル部41やシール装置本体の損傷等は生じない。次いで、被シール物の内部の空気をノズル部41から吸引(または気体を供給)する(ステップS4)。ノズル部41は不図示の吸引機(バキューマー)、供給装置(コンプレッサー)等に接続されている。
【0038】
次いで、吸引(または供給)が所定の期間実行されて終了した後、第2段階目の挟持動作を行う(ステップS5)。ノズル部41を停止位置41bから待機位置41aへ移動する。このとき、ノズル部41が移動した後の隙間を弾性押圧部51、弾性受部52が素早く埋める。その後、第2の直動式ソレノイド73をON状態からOFF状態に切り替える。このとき、第1の直動式ソレノイド12がON状態(通電状態)のままであるので、可動鉄心14の移動が再開され、その先端面14aでピン部71の先端部71aを下方に押しこみ、先端面14aが終点203まで移動して停止する。このとき、ばね部72がピン部71の底面で押されて圧縮する。
【0039】
可動鉄心14の下方移動に連動して圧着レバー7が下方に移動し、弾性押圧部51、弾性受部52が互いに圧縮し、被シール物のシール部が圧着部10と加熱部31aとで挟まれる。このように、圧着レバー7が作動して圧着部10が加熱部31aに到達すると、不図示のスイッチ操作機構によりマイクロスイッチ6をオンにし、ニクロム線に通電を行う。これにより、圧着部10と加熱部31aとで挟持された被シール物のシール部を溶融しシールする(ステップS6)。制御ボックス5に対応した位置には、電源スイッチ32とサイクルタイム調整つまみ33が設けられている。制御ボックス5には、ニクロム線への通電時間や、電磁コイル15への励磁時間の調整機構も設けられている。
【0040】
次いで、シール工程が終了すると、電磁コイル15への通電がOFFとなり、可動鉄心14がフリー状態となるため圧縮コイルスプリング30の作用によって上方に移動し、先端面14aが終点203から始点201に戻る。それに連動して圧着レバー7も上方の初期位置に復帰する(ステップS7)。また、ピン部71もばね部72の戻り力によって初期位置に復帰する。そして、シール部が適切にシールされた被シール物を取り出す。
【0041】
<実施形態1の別例1>
図3、4A、4Bは、他例の停止機構部である。停止機構部は、ピン部671と、可動鉄心14と接触するピン部671の軸方向端面と異なる軸方向端面側に配置されるばね部672と、ばね部672を収納するガイド部674とを有する。ピン部671は、第1径部671aと、第1径部671aより小さい径の第2径部671bとを有する。ピン部671の移動を停止するために、停止機構部は、スライドプレート675と、スライドプレート675をスライドさせるためのソレノイド673を有する(ピン移動機構部に相当する)。スライドプレート675は、第1径部671aよりも大きい開口サイズの第1開口部675aと、第1径部671aよりも小さくかつ第2径部671bよりも大きい開口サイズの第2開口部675b(係止部に相当する。)とを有する。ピン部671の移動を可能にするとき、第1開口部内でピン部671の移動を行わせ、ピン部671の移動を停止させるとき、第2開口部内に第2径部671bを配置させて、ピン部671の移動を停止させる。図4Aはソレノイド673をOFF状態とし、ピン部671を紙面で垂直に移動可能としている。図4Bは、ソレノイド673をON状態(電磁コイルに通電した状態)とし、スライドプレート675をばね677の引っ張り力に抗して紙面上左にスライドさせ、第2開口部内に第2径部671bを配置させる。このとき、第1径部671aがスライドプレート675に当接するためピン部671が下方に移動しない。ソレノイド673をON状態からOFF状態にしたとき、ばね677の戻り力でスライドプレート675が初期位置に復帰し、ピン部671の移動が可能になって可動鉄心14が終点まで移動する。可動鉄心14が復帰するとき、ばね部672の戻り力によって自動的にピン部671が初期位置に復帰する。
【0042】
<実施形態1の別例2>
図5A、5Bは、他例の停止機構部である。停止機構部は、上記のピン部を有さない構成である。停止機構部は、可動鉄心14のプランジャー141に当接して、可動鉄心14の移動を停止させるために一方がU字状に開口したスライド部1475と、このスライド部1475を移動させるためのソレノイド1473を有する。スライド部1475のU字状開口部1475aのサイズは、プランジャー141よりも小さくかつ可動鉄心14の外径よりも大きい開口サイズである。U字状開口部1475aが係止部に相当する。図5Bで動作を説明する。ソレノイド1473のOFF状態には、スライド部1475が可動鉄心14から離れた場所に待機している。ソレノイド1473をON状態(電磁コイルに通電した状態)にしたとき、スライド部1475を紙面上で左側に移動させて、U字状開口部1475aを可動鉄心14にはめ込む。このとき、プランジャー141がスライド部1475に当接するため可動鉄心14が下方に移動しない。ソレノイド1473をON状態からOFF状態にしたとき、スライド部1475が初期位置に復帰し、可動鉄心14の移動が可能になって、終点まで移動する。
【0043】
<実施形態2のシール装置>
上記実施形態のシール装置は、第1の直動式ソレノイドが略上下方向に配置された構成であったが、本実施形態のシール装置は、第1の直動式ソレノイドが横方向に配置された構成である。図6にシール装置側面断面図を示す。
【0044】
<ヒートシーラーの全体構成>
ヒートシーラーの本体1000は、圧着レバー7(圧着体に相当する)、第1制御部771、第2制御部772、真空ポンプP、トランス(不図示)を備える。圧着レバー7は、左右一対のアーム8が回転軸9に対して回転自在となるように取付けられている。圧着レバー7の先端部にはシリコンゴムが設けられており、被シール物のシール部を圧着する圧着部10として機能する。
【0045】
第1の直動式ソレノイド710の第1可動鉄心714(第1可動部に相当する)の先端には、プランジャー7143が連結され、このプランジャー7143には作動ロッド7141の一方端部が連結され、この作動ロッド7141の他方端部は装置筐体に、作動ロッドが左右に移動可能なように取り付けられている。この作動ロッド7141に、断面矩形の棒状の連結部7142が固定されている。
【0046】
装置を正面視して左右一対のアーム8は、その軸9よりさらに図面下方に延設されており、連結部7142の両端部にアーム8の下端部802(左右の下端部)がそれぞれ固定されている。また、アーム8の回転軸9から図面左側の筐体壁に向かって伸びる支持部801に連結されたスプリング(不図示)が筐体と固定されていてアーム8を引っ張っている。
【0047】
第1の直動式ソレノイド12は、第1可動鉄心714と、電磁コイル715と、ボビン716とを備えている。第1の直動式ソレノイド710は、後述する第2の直動式ソレノイド720と共に支持部材(20、20a、20b、20c)で支持され、筐体下部301に対して取付けられている。
【0048】
第1可動鉄心714は、ボビン716の内径部に沿って摺動可能に構成されている。第1可動鉄心714の一方先端面714aが後述するピン部7241の先端面7241aに当接可能に構成されている。第1可動鉄心714の左右の直線運動は、第1可動鉄心714と順次連結されたプランジャー714a、作動ロッド7141および連結部7142を介してスムーズに圧着レバー7の回転運動に変換される。
【0049】
圧着レバー7の圧着部10に対向配置されるように、加熱体31が設けられている。加熱体31は、シリコンゴムの圧着部10に対向配置される加熱部31aを備えており、そのために加熱体31にはヒーターとして機能するニクロム線等が備えられている。
【0050】
また、圧着レバー7には、圧着部10よりも前方側に、被シール物のシール部近傍(シール部より袋中心方向の位置)を押圧するための弾性押圧部51が備えられている。この弾性押圧部51と対になって、被シール物のシール部近傍を挟むために、加熱部31aよりも前方側に弾性受部52が備えられている。弾性押圧部51と弾性受部52とによって、被シール物のシール部近傍が挟持される。なお、弾性押圧部51と弾性受部52とが、圧着部10と加熱部31aよりも前方側に配置している形態に限定されず、圧着部10と加熱部31aよりも後方側(装置本体内側)に配置していてもよい。
【0051】
また、被シール物のシール部の開口部から被シール物の内部に挿入可能に配置され、被シール物内部から気体を吸引または供給するためのノズル部41を備える。図6において、ノズル部41の先端は待機位置41aに配置され、シール部の開口部から被シール物の内部に挿入する場合にノズル部41の先端が停止位置41bに突出する。このようにノズル部41を待機位置41aと停止位置41bとの間で移動可能にするためにノズル駆動部42が備えられている。ノズル駆動部42は、例えば、ロータリーソレノイド、ステッピングモーター、油圧シリンダー、エアシリンダー等の駆動源とノズル部41を直線移動させるための機構、例えばラックアンドピニオン、歯車機構、直動アクチュエータ等を有して構成できる。
【0052】
また、第1の直動式ソレノイド710の第1可動鉄心714を途中位置で停止させて、シール部の挟み込み動作を2段階で行わせるために、停止機構部70を備える。停止機構部70は、第1の直動式ソレノイド710を駆動させる場合において、ノズル部41を待機位置41aから停止位置41bに移動させた後に、第1可動鉄心714の移動を始点201から終点203までの間の所定の途中位置202で停止させ、かつノズル部41を停止位置41bから待機位置41aに復帰させた後に、第1可動鉄心714の移動停止を解除し第1可動鉄心714を終点203に移動再開させる。
【0053】
図7A〜7Cにおける停止機構部70は、第1の直動式ソレノイド710と隣り合って配置された第2の直動式ソレノイド720を備える。第1支持部材20は、第1の直動式ソレノイド710側の一方側を支持し、第2支持部材20aは、第2の直動式ソレノイド720の一方側を支持し、第3支持部材20bは、第1支持部材20と第2支持部材20aを固定支持し、第3支持部材20cは、第1の第1の直動式ソレノイド710と第2の直動式ソレノイド720との間に介在してお互いを支持する(図7A参照)。
【0054】
ピン部730は、第1の直動式ソレノイド710の第1可動鉄心714と一方端部が固定され、かつ第2の直動式ソレノイド720の第2可動鉄心724を貫通する第1貫通部724aの内部を相対的に移動する。
【0055】
途中位置決め部7241は、第2の直動式ソレノイド720の第2可動鉄心724から第1可動鉄心724側へ延設され、かつ第1貫通部724aと連接した第2貫通部724bが形成されている。停止している状態の途中位置決め部7241の先端7241aに第1可動鉄心714の先端部714aが当ることで、第1可動鉄心714が途中位置202で移動を停止する(図7B参照)。
【0056】
第1可動鉄心714が途中位置202で停止したとき、ロック部740は、ピン部730の、第1可動鉄心714と固定された一方端部とは異なる他方端部731に形成された凹部732をロックして当該ピン部730の自由移動を停止させる(図7B参照)。本実施形態においてロック部740は、ピン部730が戻る方向へ移動することを防止する。ロック部740は、ラチェット機構741を有して構成されている。本実施形態においてロック部740は、第2支持部材20aに取り付けられているがこれに制限されず、装置筐体に取り付けられていてもよい。
【0057】
ロック解除部724dは、第2可動鉄心724の一方端部側に筒状に突設して形成され、その内部をピン部730が移動する。第1可動鉄心714が終点203まで移動すると共に第2可動鉄心724も移動する時に、ロック解除部724dは、ロック部740のラチェット機構741とピン部730との間に割り込むように挿入されて、凹部732のロックを解除する(図7C参照)。
【0058】
また、第1制御部771(ソレノイド制御部に相当する)は、途中位置202で第1可動鉄心714の移動を停止する場合に、第1可動鉄心714が始点201から途中位置202まで移動するように、第1の直動式ソレノイド710を駆動制御し(電磁コイル715に通電したON状態)、かつ第2可動鉄心720をスライドしないように第2の直動式ソレノイド720を駆動制御する(電磁コイル725に通電したON状態)。なお、第1制御部771、後述する第2制御部772の回路、各要素との配線等は不図示であるが、当業者であれば当然に理解できる。
【0059】
次いで、第1制御部771は、第1可動鉄心714が途中位置202で移動を停止している時に、第1の直動式ソレノイド710への電源供給を停止する。
【0060】
次いで、第1制御部771は、第1可動鉄心724の移動停止を解除し当該第1可動鉄心724を終点203に移動させる場合に、第1可動鉄心714が途中位置202から終点位置203まで移動するように第1の直動式ソレノイドを駆動制御し(電磁コイル715に通電したON状態)、かつ第1可動鉄心714の移動方向に第2可動鉄心724を移動させるように第2の直動式ソレノイドを駆動制御する(電磁コイル725に通電しないOFF状態)。
【0061】
また、第2制御部772は、ヒートシールの基本動作、ノズル部41の駆動、真空ポンプPの駆動制御を行う。
【0062】
<2段階の挟持動作を含むシール処理工程の説明>
まず、被シール物のシール部を開口させた状態で、圧着レバー7の圧着部10と加熱体31の加熱部31aとの間に配置させる(ステップS11)。次いで、ノズル部41を待機位置41aから停止位置41bに移動させ、ノズル部41を被シール部の内部へ挿入する(ステップS12)。なお、ノズル部41を停止位置41bに移動させた後に、被シール物をセットしてもよい。
【0063】
次いで、第1段階目の挟持動作を行う(ステップS13)。ノズル部41が停止位置41bに移動した後(またはその前あるいは同時に)、第2の直動式ソレノイド720をON状態(電磁コイル725に通電した状態)にし第2可動鉄心724がスライドしないようにする。次いで、第1の直動式ソレノイド710をON状態(電磁コイルに通電した状態)にし、第1の直動式ソレノイド710をON状態(電磁コイル715に通電した状態)にする。この通電のタイミングは、手動(またはフット)スイッチまたはシール部がセットされたことを検出するセンサーからの検出信号に基づいて自動的に行うことができる。
【0064】
この第1の直動式ソレノイド710をON状態にしたことで、第1可動鉄心714が図面上右側へ移動し、これに連動して圧着レバー7が下方に移動する。そして、第1可動鉄心714の先端面714aが途中位置決め部7241の先端7241aに当り、第1可動鉄心714が終点203に至る途中の途中位置202で停止し、かつ圧着レバー7が停止する。このとき、被シール物のシール部近傍(シール部より袋中心方向の位置)が、弾性押圧部51および弾性受部52によって挟まれた状態となる(第1挟持状態、図7B)。
【0065】
また、ピン部730の先端部731がラチェット機構741より突出し、凹部732がラチェット機構741でロックされる。そして、第1制御部721は、第1可動鉄心714が途中位置202で移動を停止している時に(ロックされている状態で)、第1の直動式ソレノイド710への電源供給を停止する。ピン部730がロックされているため、第1可動鉄心714は動けない状態であり、始点201へ戻ることはない。
【0066】
次いで、被シール物の内部の空気をノズル部41から吸引(または気体を供給)する(ステップS14)。ノズル部41は真空ポンプPに接続されている。
【0067】
次いで、吸引(または供給)が所定の期間実行されて終了した後、第2段階目の挟持動作を行う(ステップS15)。ノズル部41を停止位置41bから待機位置41aへ移動する。このとき、ノズル部41が移動した後の隙間を弾性押圧部51、弾性受部52が素早く埋める。
【0068】
次いで、第2の直動式ソレノイド720をON状態からOFF状態に切り替え、かつ、第1の直動式ソレノイド710をON状態(通電状態)に切り替える。これにより、第1可動鉄心714の移動が再開され、その先端面714aで途中位置決め部7241の先端部7241aを右方向へ押しこみ、先端面714aが終点203まで移動して停止する。
【0069】
このとき、第2可動鉄心742に形成されたロック解除部724dが、ラチェット機構741とピン部730との間に割り込むように挿入され、凹部732のロックを解除する(図7C参照)。
【0070】
第1可動鉄心714の移動再開に連動して圧着レバー7が下方に移動し、弾性押圧部51、弾性受部52が互いに圧縮し、被シール物のシール部が圧着部10と加熱部31aとで挟まれる。このように、圧着レバー7が作動して圧着部10が加熱部31aに到達すると、不図示のスイッチ操作機構によりマイクロスイッチをオンにし、ニクロム線に通電を行う。これにより、圧着部10と加熱部31aとで挟持された被シール物のシール部を溶融しシールする(ステップS6)。第2制御部722に対応した位置には、電源スイッチとサイクルタイム調整つまみが設けられている。
【0071】
次いで、第1可動鉄心714を終点203から始点201へ戻る時には、第1の直動式ソレノイド710をOFF状態(通電しない状態)に切り替え、第1可動鉄心714がフリー状態となる。不図示のスプリングの作用によって、ロック解除されたピン部430と共に、第1可動鉄心714が左側へ移動し、先端部714aが終点203から始点201へ戻る。それに連動して圧着レバー7も上方の初期位置に復帰する(ステップS7)。一方、第2可動鉄心742は、その一方端部724aに連結されたスプリング724bによる引っ張り力が作用して、左側へ移動し初期位置に復帰する。そして、シール部が適切にシールされた被シール物を取り出す。
【0072】
上記実施形態では、第1の直動式ソレノイドの第1可動鉄心714のプランジャー714aおよび作動ロッド7141が図面上左側に配置され、右から左へ移動することで、アーム8の下端部802を図面上左から右へ押して圧着レバー7を原位置から下方へ移動させる動作、動作機構の配置であったが、特にこれに制限されない。例えば、第1の直動式ソレノイドおよび第2の直動式ソレノイドの配置を左右反転させて配置し、第1の直動式ソレノイドの第1可動鉄心714のプランジャー714aおよび作動ロッド7141が図面上右側へ配置が替わり、プランジャー714aおよび作動ロッド7141が図面上右から左へ移動させるようにしてもよい。この作動ロッド7141の移動に連動してアーム8が回転軸9で回転して圧着レバー7が下方に移動する。
【0073】
<その他の実施形態>
また、上記各実施形態において、被シール物としては特定の形態のものに限定されるものではない。また、シール装置を構成する圧着体、加熱体、ノズル部、ノズル駆動部、直動式ソレノイドは、上記の構成に限定されない。また、シール装置1台につき、上記直動式ソレノイドおよび停止機構部が複数個設置されていてもよい。
【0074】
また、上記各実施形態の直動式ソレノイドおよび停止機構部は、上記シール装置に限定されず、他タイプのシール装置の駆動用に用いることができる。かかる場合に、シール装置1台につき、上記直動式ソレノイドおよび停止機構部が複数個設置されていてもよい。
【符号の説明】
【0075】
7 圧着レバー(圧着体)
10 圧着部
12、710 第1の直動式ソレノイド
14 可動鉄心(可動部)
31 加熱体
31a 加熱部
41 ノズル部
42 ノズル駆動部
51 弾性押圧部
52 弾性受部
70 停止機構部
71、730 ピン部
72 ばね部
73、720 第2の直動式ソレノイド
【技術分野】
【0001】
本発明は、被シール物のシール部を圧着する圧着部を有する圧着体と、前記シール部を加熱する加熱部を有する加熱体と、前記シール部の開口部から前記被シール物の内部に挿入可能に配置され、当該被シール物内部から気体を吸引または供給するためのノズル部と、前記ノズル部を待機位置と停止位置との間で移動可能にするノズル駆動部と、前記圧着体と前記加熱体とで前記シール部を挟み込むように、前記圧着体を駆動するための直動式ソレノイドとを有するシール装置およびそのシール装置を用いたシール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被シール物内部から気体を吸引または供給可能にして、被シール物をシールするシール装置として、特許文献1が知られている。特許文献1は、ノズルを被シール物の開口部からその内部に挿入させた状態で、開口部及びノズルを一対の挟持体で挟持させ(第1挟持位置)、その内部空気を吸引またはその内部へ気体を供給し、その後、ノズルを開口部から引き抜いて、開口部を挟持体でさらに挟持させ(第2挟持位置)、ヒートシールする。この挟持体の挟持動作は、1個または2個のエアシリンダーの駆動によって行われる。
【0003】
また、直動式ソレノイドを用いたシール装置として特許文献2が知られている。特許文献2は、直動ソレノイドの駆動に連動して上下動作する圧着レバーの圧着部と加熱部とで被シール物を挟持することを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−335521号公報
【特許文献2】特開2011−51284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のようにエアシリンダーを用いた駆動方式では、シリンダーに2系統のエア供給が必要である。また、エア供給の開始・停止を切り替えるための電磁弁を2系統それぞれに設置する必要があり、エア供給のためのコンプレッサーも必要である。
【0006】
一方、特許文献2の直動式ソレノイドの場合、駆動時における可動鉄心のストロークは一定長であり、可動鉄心を移動途中で停止できない構造である。すなわち、特許文献1における上記第1挟持位置で可動鉄心を停止させ、次いで第2挟持位置まで可動鉄心を再び移動させるという2段階の挟持動作を行えない。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、直動式ソレノイドを用いて2段階の挟持動作を可能とするシール装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明に係るシール装置は、
被シール物のシール部を圧着する圧着部を有する圧着体と、
前記シール部を加熱する加熱部を有する加熱体と、
前記シール部の開口部から前記被シール物の内部に挿入可能に配置され、当該被シール物内部から気体を吸引または供給するためのノズル部と、
前記ノズル部を待機位置と停止位置との間で移動可能にするノズル駆動部と、
前記圧着体と前記加熱体とで前記シール部を挟み込むように、前記圧着体を駆動するための第1の直動式ソレノイドと、
前記第1の直動式ソレノイドを駆動させる場合において、前記ノズル部を前記待機位置から前記停止位置に移動させた後に、当該第1の直動式ソレノイドを構成する第1可動部の移動を始点から終点までの間の所定の途中位置で停止させ、かつ前記ノズル部を前記停止位置から前記待機位置に復帰させた後に、前記第1可動部の移動停止を解除し当該第1可動部を前記終点に移動再開させるための停止機構部とを備える。
【0009】
この構成によって、第1の直動式ソレノイドの第1可動部(例えば可動鉄心)の移動を任意の途中位置(途中位置)で停止させることが可能となり、2段階の挟持動作を簡単に行える。直動式ソレノイドをそのまま使用できるため、低コストで実現できると共に、エアシリンダーを用いるよりもそれに付随する装置(コンプレッサーや電磁弁等)が少なくなり、また駆動制御も簡単となる。
【0010】
図2A〜2Cを用いて第1の直動式ソレノイドの2段階動作(途中位置で停止する動作)の一例について説明する。シール装置は、圧着体7と加熱体31とノズル部41とノズル駆動部(不図示)と、第1の直動式ソレノイド12と、停止機構部70と、ノズル駆動部と第1の直動式ソレノイド12と停止機構部70の駆動(第2の直動式ソレノイド73の駆動)とを制御するための制御部5とを備える。なお、制御部5はその他の各種駆動部や他構成部も制御してもよい。ここでは、停止機構部70は、ピン部71とバネ部72と第2の直動式ソレノイド73とを有する。ここで、ピン部71が第2の直動式ソレノイド73の第2可動部を構成している。第1の直動式ソレノイド12の第1可動部14を駆動させる場合に、ノズル部41を図2Aの待機(原)位置から図2Bの停止(突出)位置に移動させた後に、第1可動部14の下先端部が初期位置201から移動し途中(中段)位置202で停止させる(図2B参照)。被シール物を圧着体7と加熱体31との挟持部で挟み固定できる位置で、第1可動部14が停止する。このとき第1可動部14の下先端部がピン部71の一方端部に当って第1可動部14が停止することになる。次いで、図2Cに示すように、ノズル部41を停止位置から待機位置に復帰させた後に、第1可動部14の移動停止が解除され、第1可動部14が終点203に移動する。第2の直動式ソレノイド73のピン部71が図面上下方に移動することで、第1可動部14が下方に移動できるようになる。すなわち、第1可動部14は移動停止している状態でも下方に移動する力が作用しており、ピン部71によって移動できないようになっている。このとき、制御部5は、ノズル部41の移動動作、第1の直動式ソレノイド12の電源ON・OFF制御(励磁制御)、停止機構部70の第2の直動式ソレノイド73の電源ON・OFF制御(励磁制御)を行う。なお、本発明は図2A〜2Cの構成例に限定されず、他の構成もでき、具体的な構成は後述する。
【0011】
また、本発明において、前記圧着体は、前記シール部近傍を押圧する弾性押圧部を有し、前記加熱体は、前記押圧部とともに前記シール部近傍を挟持する弾性受部を有することが好ましい。弾性押圧部と弾性受部とでノズル部および被シール物を挟むことで、圧着部と加熱部とが直接にノズル部と接触することを避けることができ、圧着部および加熱部の損傷や変形、あるいはノズル部の損傷や変形を防止できる。
【0012】
また、本発明の一実施形態として、前記停止機構部は、
前記第1の直動式ソレノイドの前記第1可動部の先端部に接触するピン部と、
前記第1可動部の移動に応じて前記ピン部を移動可能とし、かつ前記途中位置で前記第1可動部の移動を停止させるように前記ピン部の移動を停止可能とするピン移動機構部とを有する。簡単なピン移動機構部によって、ピン部の移動を自在に停止したり再開したりできるため、前記第1可動部の移動を簡単に途中位置で停止させることができる。
【0013】
また、本発明の一実施形態として、前記ピン移動機構部は、前記第1可動部の先端部と接触する前記ピン部の端部とは異なる端部方向側に配置されるばね部を有することが好ましい。これによって、第1可動部の移動によって移動したピン部をその原点位置に自動復帰させることが可能となる。
【0014】
また、上記実施形態として、前記ピン移動機構部は、前記ピン部を可動部とする第2の直動式ソレノイドを有することが好ましい。これによって、ソレノイドのON/OFF切り替えでピン部(可動部)の停止および移動を自在に制御できるため、簡単な機構で2段階移動の直動式ソレノイドを実現できる。
【0015】
また、上記実施形態として、前記ピン部は、第1径部と、当該第1径部より小さい径の第2径部とを有し、前記ピン移動機構部は、前記ピン部の前記2径部に係止する係止部をさらに有する。例えば、第1径部よりも大きい径の第1開口部と、第1径部よりも小さくかつ第2径部よりも大きい径の第2開口部(係止部)とを有し、ピン部の移動を可能にするときに第1開口部内で前記ピン部の移動を行わせ、ピン部の移動を停止させるときに前記第2開口部内に前記第2径部を配置させて、ピン部の移動を停止させる。また、別例として、第2径部にはめ込まれるフック部(係止部)を有し、ピン部の移動を可能にするときにフック部を前記第2径部から遠ざけておき、ピン部の移動を停止させるときに前記フック部を前記第2径部にはめ込んでピン部の移動を停止させる。上記の係止部の駆動に、直動式ソレノイド、回転式ソレノイド、ステッピングモーター等を用い、原点復帰にばねを用いることができる。
【0016】
また、上記実施形態として、前記停止機構部は、前記第1可動部のプランジャーに当接して、当該第1可動部の移動を停止させるスライド部を有する。このスライド部は、第1可動部の外径より大きく、プランジャーよりも小さい開口サイズの開口部を有し、第1可動部の移動を停止させるときに、当該開口部を可動部に移動させて、プランジャーと当接させることで第1可動部の移動を途中位置で停止させ、スライド部を可動部から離すことで可動部の移動を再開させることができる。
【0017】
また、上記実施形態として、前記停止機構部は、
前記第1の直動式ソレノイドと隣り合って配置された第2の直動式ソレノイドと、
前記第1の直動式ソレノイドの第1可動部と一方端部が固定され、かつ前記第2の直動式ソレノイドの第2可動部を貫通する第1貫通部の内部を相対的に移動するピン部と、
前記第2の直動式ソレノイドの第2可動部から前記第1の直動式ソレノイドの第1可動部側へ延設され、かつ前記第1貫通部と連接した第2貫通部が形成された途中位置決め部と、
前記途中位置決め部の先端部に前記第1の直動式ソレノイドの第1可動部の先端部を当接させて、当該第1の直動式ソレノイドの第1の可動部の移動を前記途中位置で停止させた場合に、前記ピン部の前記一方端部とは異なる他方端部に形成された凹部をロックして当該ピン部の移動を停止させるロック部と、
前記第1の直動式ソレノイドの第1可動部を前記終点まで移動させると共に前記第2の直動式ソレノイドの第2可動部を移動させた場合に、前記ロック部と前記ピン部との間に割り込むように挿入されて前記凹部のロックを解除するロック解除部と、をさらに有する。
【0018】
この構成によれば、途中位置で移動を停止したピン部をロックさせることで、第1の直動式ソレノイド部に電源供給する必要がなくなるため、電気コストを低減できる。また、第1の直動式ソレノイドにかかる負荷を軽減でき、安定した動作が可能となる。
【0019】
また、上記実施形態として、
前記途中位置で前記第1可動部の移動を停止する場合に、前記第1可動部が前記始点から前記途中位置まで移動するように前記第1の直動式ソレノイドを駆動制御し、かつ前記第2可動部を停止させるように前記第2の直動式ソレノイドを駆動制御し、
前記第1可動部の移動停止を解除し当該第1可動部を前記終点に移動再開する場合に、前記第1可動部が前記途中位置から前記終点位置まで移動するように前記第1の直動式ソレノイドを駆動制御し、かつ前記第1可動部の移動方向に前記第2可動部を移動させるように前記第2の直動式ソレノイドを駆動制御する、ソレノイド制御部を備える。
【0020】
また、上記実施形態として、前記ソレノイド制御部は、前記第1可動部が前記途中位置で移動を停止している時に、前記第1および第2の直動式ソレノイドへの電源供給を停止する。
【0021】
また、他の発明は、被シール物のシール部を圧着する圧着部を有する圧着体と、前記シール部を加熱する加熱部を有する加熱体と、前記シール部の開口部から前記被シール物の内部に挿入可能に配置され、当該被シール物内部から気体を吸引または供給するためのノズル部と、前記ノズル部を待機位置と停止位置との間で移動可能にするノズル駆動部と、前記圧着体と前記加熱体とで前記シール部を挟み込むように、前記圧着体を駆動するための直動式ソレノイドとを有するシール装置を用いたシール方法であって、
前記ノズル部を前記待機位置から前記停止位置に移動させ、前記シール部の開口部から前記被シール物の内部に挿入し、
次いで、前記第1の直動式ソレノイドの第1可動部を始点から終点までの間の所定の途中位置で停止させ(第1段階目の挟持動作)、
次いで、前記ノズル部によって前記被シール物内部から気体を吸引または供給し、
次いで、前記ノズル部を前記停止位置から前記待機位置に復帰させ、
次いで、前記第1可動部を前記途中位置から前記終点に移動させ(第2段階目の挟持動作)、
次いで、前記圧着体と前記加熱体とで前記シール部を加熱して溶着し、
次いで、前記第1可動部を前記終点から前記始点に復帰させる、工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態1のヒートシーラーの構成を示す側断面図
【図2A】実施形態1の2段階動作を説明するための図
【図2B】実施形態1の2段階動作を説明するための図
【図2C】実施形態1の2段階動作を説明するための図
【図3】実施形態1の別例1の停止機構部の一例を示す図
【図4A】実施形態1の別例1の停止機構部の一例を示す図
【図4B】実施形態1の別例1の停止機構部の一例を示す図
【図5A】実施形態1の別例2の停止機構部の一例を示す図
【図5B】実施形態1の別例2の停止機構部の一例を示す図
【図6】実施形態2のヒートシーラーの構成を示す側断面図
【図7A】停止機構部の一例(始点)を示す図
【図7B】停止機構部の一例(途中位置で停止した状態)を示す図
【図7C】停止機構部の一例(終点)を示す図
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係るシール装置の一例として、インパルス式ヒートシーラー(以下、単に「ヒートシーラー」という。)を用いて説明する。なお、本発明においてシール装置は、インパルス式ヒートシーラーに限定されず、例えば、超音波式シール装置、高周波式シール装置等が挙げられる。図1は、ヒートシーラーの構成を示す側断面図である。図2A〜2Cは、停止機構を詳細に説明するための図である。
【0024】
<ヒートシーラーの全体構成>
ヒートシーラーの本体1は、一体的に結合された上部枠体2と下部枠体3とから構成される。上部枠体2には、トランス4、制御ボックス5(制御部を内臓している)、マイクロスイッチ6、圧着レバー7(圧着体に相当する。)が設けられている。圧着レバー7は、左右一対のアーム8が軸9に対して回転自在となるように取付けられている。圧着レバー7の先端部にはシリコンゴムが設けられており、被シール物のシール部を圧着する圧着部10として機能する。
【0025】
下部枠体3には、冷却ファン11と第1の直動式ソレノイド12が設けられている。第1の直動式ソレノイド12は、可動鉄心14(第1可動部に相当する。)と、電磁コイル15と、ボビン16とを備えている。下部枠体3の下面部には脚部17が設けられている。第1の直動式ソレノイド12は、上下一対のカバー部材(不図示)によりカバーされ、支持台板20を介して下部枠体3に対して取付けられている。
【0026】
可動鉄心14は、ボビン16の内径部に沿って摺動可能に構成されおり、先端面14aが後述するピン部71の先端部71aに当接可能に構成されている。また、下部枠体3の上面部には、ダイヤフラム21が固定部22(図ではボルト−ナット固定)により取付けられ、このダイヤフラム21が可動鉄心14のフランジ部14bに連結されている。また、固定部22は、支持台板20を下部枠体3に対して連結させる機能も有している。
【0027】
圧着レバー7の横幅方向の中央位置に第1の直動式ソレノイド12が設けられている。また、同じく圧着レバー7の中央位置には、作動ロッド23が摺動可能なように嵌挿されている。作動ロッド23に外嵌した弾性部材24が、同じく作動ロッド23に外嵌した押え部25と圧着レバー7とで挟持されている。作動ロッド23の上端部に螺合されている圧着力調整つまみ26の回転操作により、弾性部材24に対する作動ロッド23の上下位置を細密に変更できるようになっている。圧着レバー7は、不図示の機構により、図1の初期位置よりも上方向に移動しないようになっている。
【0028】
作動ロッド23と可動鉄心14とは、2箇所のリンクピン28,29により、リンクレバー27を介して連結されている。これにより、可動鉄心14の直線運動がスムーズに圧着レバー7の回転運動に変換されるようになっている。また、作動ロッド23とリンクレバー27の周りに、圧着レバー7の復帰用の圧縮コイルスプリング30が、上部枠体2と圧着レバー7との間に配置されている。
【0029】
さらに、下部枠体3には、加熱体31が取付けられている。加熱体31は、シリコンゴムの圧着部10に対向配置される加熱部31aを備えており、そのために加熱体31にはヒーターとして機能するニクロム線等が備えられている。
【0030】
また、圧着レバー7には、圧着部10よりも前方側に、被シール物のシール部近傍(シール部より袋中心方向の位置)を押圧するための弾性押圧部51が備えられている。この弾性押圧部51と対になって、被シール物のシール部近傍を挟むために、下部枠体3には加熱部31aよりも前方側に弾性受部52が備えられている。弾性押圧部51と弾性受部52とによって、被シール物のシール部近傍が挟持される。なお、弾性押圧部51と弾性受部52とが、圧着部10と加熱部31aよりも前方側に配置している形態に限定されず、圧着部10と加熱部31aよりも後方側(装置本体内側)に配置していてもよい。
【0031】
また、被シール物のシール部の開口部から被シール物の内部に挿入可能に配置され、被シール物内部から気体を吸引または供給するためのノズル部41を備える。図1において、ノズル部41の先端は待機位置41aに配置され、シール部の開口部から被シール物の内部に挿入する場合にノズル部41の先端が停止位置41bに突出する。このようにノズル部41を待機位置41aと停止位置41bとの間で移動可能にするためにノズル駆動部42が備えられている。ノズル駆動部42は、例えば、ロータリーソレノイド、ステッピングモーター、油圧シリンダー、エアシリンダー等の駆動源とノズル部41を直線移動させるための機構、例えばラックアンドピニオン、歯車機構、直動アクチュエータ等を有して構成できる。
【0032】
また、第1の直動式ソレノイド12の可動鉄心14を途中(中段)位置で停止させて、シール部の挟み込み動作を2段階で行わせるために、停止機構部70を備える。停止機構部70は、第1の直動式ソレノイド12を駆動させる場合において、ノズル部41を待機位置41aから停止位置41bに移動させた後に、第1の直動式ソレノイド12を構成する可動鉄心14の移動を、その下先端部が位置する始点201から終点203までの間の所定の途中位置202で停止させ、かつノズル部41を停止位置41bから待機位置41aに復帰させた後に、可動鉄心14の移動停止を解除し可動鉄心14を終点203に移動再開させる。
【0033】
図1、2A、2B、2Cにおける停止機構部70は、第1の直動式ソレノイド12の可動鉄心14の先端面14aに接触可能なピン部71と、可動鉄心14の移動に応じてピン部71を移動可能とし、かつ途中位置202で可動鉄心14の移動を停止させるようにピン部71の移動を停止可能とするピン移動機構部(72、73)を備える。このピン移動機構部は、ピン部71が可動鉄心14の先端面14aと接触するピン部軸方向側と異なるピン部軸方向側に配置されるばね部72と、ピン部71を可動部(可動鉄心)とする第2の直動式ソレノイド73を有する。ばね部72は、圧縮コイルスプリングで構成してもよく、板ばねで構成してもよい。ばね部72の周囲にはピン部71の移動方向を規制し、収納するためのガイド部74が設けられている。
【0034】
図2Aは、可動鉄心14が初期位置201に位置していることを示す。図2Bは、第2の直動式ソレノイド73をON状態(電磁コイルに通電した状態)としてピン部71がスライドしないように固定している状態を示す。このときに第1の直動式ソレノイド12をON状態(電磁コイル15に通電した状態)にすると、可動鉄心14の下方への移動が、その先端面14aがピン部71の先端部71aに当接して途中位置202で停止することになる。図2Cは、第2の直動式ソレノイド73をOFF状態としてピン部71が下方に自由にスライドできる状態を示す。第2の直動式ソレノイド73をON状態からOFF状態に切り替えたとき、第1の直動式ソレノイド12がON状態(通電状態)のままであるので、可動鉄心14の移動が再開され、その先端面14aでピン部71の先端部71aを当接したまま、先端面14aが終点203まで移動することになる。
【0035】
<2段階の挟持動作を含むシール処理工程の説明>
まず、被シール物のシール部を開口させた状態で、圧着レバー7の圧着部10と加熱体31の加熱部31aとの間に配置させる(ステップS1)。次いで、ノズル部41を待機位置41aから停止位置41bに移動させ、ノズル部41を被シール部の内部へ挿入する(ステップS2)。なお、ノズル部41を停止位置41bに移動させた後に、被シール物をセットしてもよい。
【0036】
次いで、第1段階目の挟持動作を行う(ステップS3)。ノズル部41が停止位置41bに移動した後(またはその前あるいは同時に)、直動式ソレノイド73をON状態(電磁コイルに通電した状態)にし、ピン部71がスライドしないように固定する。次いで、第1の直動式ソレノイド12をON状態(電磁コイル15に通電した状態)にする。この通電のタイミングは、手動(またはフット)スイッチまたはシール部がセットされたことを検出するセンサーからの検出信号に基づいて自動的に行うことができる。
【0037】
この第1の直動式ソレノイド12をON状態にしたことで、可動鉄心14が下方へ移動し、これに連動して圧着レバー7が下方に移動する。そして、可動鉄心14の先端面14aがピン部71の先端部71aに当接して、可動鉄心14が途中位置202で停止し、かつ圧着レバー7が停止する。このとき、被シール物のシール部近傍(シール部より袋中心方向の位置)が、弾性押圧部51および弾性受部52によって挟まれた状態となる(第1挟持状態)。ノズル部41も同時に挟まれるが、弾性押圧部51および弾性受部52が弾性部材で構成されているため、ノズル部41やシール装置本体の損傷等は生じない。次いで、被シール物の内部の空気をノズル部41から吸引(または気体を供給)する(ステップS4)。ノズル部41は不図示の吸引機(バキューマー)、供給装置(コンプレッサー)等に接続されている。
【0038】
次いで、吸引(または供給)が所定の期間実行されて終了した後、第2段階目の挟持動作を行う(ステップS5)。ノズル部41を停止位置41bから待機位置41aへ移動する。このとき、ノズル部41が移動した後の隙間を弾性押圧部51、弾性受部52が素早く埋める。その後、第2の直動式ソレノイド73をON状態からOFF状態に切り替える。このとき、第1の直動式ソレノイド12がON状態(通電状態)のままであるので、可動鉄心14の移動が再開され、その先端面14aでピン部71の先端部71aを下方に押しこみ、先端面14aが終点203まで移動して停止する。このとき、ばね部72がピン部71の底面で押されて圧縮する。
【0039】
可動鉄心14の下方移動に連動して圧着レバー7が下方に移動し、弾性押圧部51、弾性受部52が互いに圧縮し、被シール物のシール部が圧着部10と加熱部31aとで挟まれる。このように、圧着レバー7が作動して圧着部10が加熱部31aに到達すると、不図示のスイッチ操作機構によりマイクロスイッチ6をオンにし、ニクロム線に通電を行う。これにより、圧着部10と加熱部31aとで挟持された被シール物のシール部を溶融しシールする(ステップS6)。制御ボックス5に対応した位置には、電源スイッチ32とサイクルタイム調整つまみ33が設けられている。制御ボックス5には、ニクロム線への通電時間や、電磁コイル15への励磁時間の調整機構も設けられている。
【0040】
次いで、シール工程が終了すると、電磁コイル15への通電がOFFとなり、可動鉄心14がフリー状態となるため圧縮コイルスプリング30の作用によって上方に移動し、先端面14aが終点203から始点201に戻る。それに連動して圧着レバー7も上方の初期位置に復帰する(ステップS7)。また、ピン部71もばね部72の戻り力によって初期位置に復帰する。そして、シール部が適切にシールされた被シール物を取り出す。
【0041】
<実施形態1の別例1>
図3、4A、4Bは、他例の停止機構部である。停止機構部は、ピン部671と、可動鉄心14と接触するピン部671の軸方向端面と異なる軸方向端面側に配置されるばね部672と、ばね部672を収納するガイド部674とを有する。ピン部671は、第1径部671aと、第1径部671aより小さい径の第2径部671bとを有する。ピン部671の移動を停止するために、停止機構部は、スライドプレート675と、スライドプレート675をスライドさせるためのソレノイド673を有する(ピン移動機構部に相当する)。スライドプレート675は、第1径部671aよりも大きい開口サイズの第1開口部675aと、第1径部671aよりも小さくかつ第2径部671bよりも大きい開口サイズの第2開口部675b(係止部に相当する。)とを有する。ピン部671の移動を可能にするとき、第1開口部内でピン部671の移動を行わせ、ピン部671の移動を停止させるとき、第2開口部内に第2径部671bを配置させて、ピン部671の移動を停止させる。図4Aはソレノイド673をOFF状態とし、ピン部671を紙面で垂直に移動可能としている。図4Bは、ソレノイド673をON状態(電磁コイルに通電した状態)とし、スライドプレート675をばね677の引っ張り力に抗して紙面上左にスライドさせ、第2開口部内に第2径部671bを配置させる。このとき、第1径部671aがスライドプレート675に当接するためピン部671が下方に移動しない。ソレノイド673をON状態からOFF状態にしたとき、ばね677の戻り力でスライドプレート675が初期位置に復帰し、ピン部671の移動が可能になって可動鉄心14が終点まで移動する。可動鉄心14が復帰するとき、ばね部672の戻り力によって自動的にピン部671が初期位置に復帰する。
【0042】
<実施形態1の別例2>
図5A、5Bは、他例の停止機構部である。停止機構部は、上記のピン部を有さない構成である。停止機構部は、可動鉄心14のプランジャー141に当接して、可動鉄心14の移動を停止させるために一方がU字状に開口したスライド部1475と、このスライド部1475を移動させるためのソレノイド1473を有する。スライド部1475のU字状開口部1475aのサイズは、プランジャー141よりも小さくかつ可動鉄心14の外径よりも大きい開口サイズである。U字状開口部1475aが係止部に相当する。図5Bで動作を説明する。ソレノイド1473のOFF状態には、スライド部1475が可動鉄心14から離れた場所に待機している。ソレノイド1473をON状態(電磁コイルに通電した状態)にしたとき、スライド部1475を紙面上で左側に移動させて、U字状開口部1475aを可動鉄心14にはめ込む。このとき、プランジャー141がスライド部1475に当接するため可動鉄心14が下方に移動しない。ソレノイド1473をON状態からOFF状態にしたとき、スライド部1475が初期位置に復帰し、可動鉄心14の移動が可能になって、終点まで移動する。
【0043】
<実施形態2のシール装置>
上記実施形態のシール装置は、第1の直動式ソレノイドが略上下方向に配置された構成であったが、本実施形態のシール装置は、第1の直動式ソレノイドが横方向に配置された構成である。図6にシール装置側面断面図を示す。
【0044】
<ヒートシーラーの全体構成>
ヒートシーラーの本体1000は、圧着レバー7(圧着体に相当する)、第1制御部771、第2制御部772、真空ポンプP、トランス(不図示)を備える。圧着レバー7は、左右一対のアーム8が回転軸9に対して回転自在となるように取付けられている。圧着レバー7の先端部にはシリコンゴムが設けられており、被シール物のシール部を圧着する圧着部10として機能する。
【0045】
第1の直動式ソレノイド710の第1可動鉄心714(第1可動部に相当する)の先端には、プランジャー7143が連結され、このプランジャー7143には作動ロッド7141の一方端部が連結され、この作動ロッド7141の他方端部は装置筐体に、作動ロッドが左右に移動可能なように取り付けられている。この作動ロッド7141に、断面矩形の棒状の連結部7142が固定されている。
【0046】
装置を正面視して左右一対のアーム8は、その軸9よりさらに図面下方に延設されており、連結部7142の両端部にアーム8の下端部802(左右の下端部)がそれぞれ固定されている。また、アーム8の回転軸9から図面左側の筐体壁に向かって伸びる支持部801に連結されたスプリング(不図示)が筐体と固定されていてアーム8を引っ張っている。
【0047】
第1の直動式ソレノイド12は、第1可動鉄心714と、電磁コイル715と、ボビン716とを備えている。第1の直動式ソレノイド710は、後述する第2の直動式ソレノイド720と共に支持部材(20、20a、20b、20c)で支持され、筐体下部301に対して取付けられている。
【0048】
第1可動鉄心714は、ボビン716の内径部に沿って摺動可能に構成されている。第1可動鉄心714の一方先端面714aが後述するピン部7241の先端面7241aに当接可能に構成されている。第1可動鉄心714の左右の直線運動は、第1可動鉄心714と順次連結されたプランジャー714a、作動ロッド7141および連結部7142を介してスムーズに圧着レバー7の回転運動に変換される。
【0049】
圧着レバー7の圧着部10に対向配置されるように、加熱体31が設けられている。加熱体31は、シリコンゴムの圧着部10に対向配置される加熱部31aを備えており、そのために加熱体31にはヒーターとして機能するニクロム線等が備えられている。
【0050】
また、圧着レバー7には、圧着部10よりも前方側に、被シール物のシール部近傍(シール部より袋中心方向の位置)を押圧するための弾性押圧部51が備えられている。この弾性押圧部51と対になって、被シール物のシール部近傍を挟むために、加熱部31aよりも前方側に弾性受部52が備えられている。弾性押圧部51と弾性受部52とによって、被シール物のシール部近傍が挟持される。なお、弾性押圧部51と弾性受部52とが、圧着部10と加熱部31aよりも前方側に配置している形態に限定されず、圧着部10と加熱部31aよりも後方側(装置本体内側)に配置していてもよい。
【0051】
また、被シール物のシール部の開口部から被シール物の内部に挿入可能に配置され、被シール物内部から気体を吸引または供給するためのノズル部41を備える。図6において、ノズル部41の先端は待機位置41aに配置され、シール部の開口部から被シール物の内部に挿入する場合にノズル部41の先端が停止位置41bに突出する。このようにノズル部41を待機位置41aと停止位置41bとの間で移動可能にするためにノズル駆動部42が備えられている。ノズル駆動部42は、例えば、ロータリーソレノイド、ステッピングモーター、油圧シリンダー、エアシリンダー等の駆動源とノズル部41を直線移動させるための機構、例えばラックアンドピニオン、歯車機構、直動アクチュエータ等を有して構成できる。
【0052】
また、第1の直動式ソレノイド710の第1可動鉄心714を途中位置で停止させて、シール部の挟み込み動作を2段階で行わせるために、停止機構部70を備える。停止機構部70は、第1の直動式ソレノイド710を駆動させる場合において、ノズル部41を待機位置41aから停止位置41bに移動させた後に、第1可動鉄心714の移動を始点201から終点203までの間の所定の途中位置202で停止させ、かつノズル部41を停止位置41bから待機位置41aに復帰させた後に、第1可動鉄心714の移動停止を解除し第1可動鉄心714を終点203に移動再開させる。
【0053】
図7A〜7Cにおける停止機構部70は、第1の直動式ソレノイド710と隣り合って配置された第2の直動式ソレノイド720を備える。第1支持部材20は、第1の直動式ソレノイド710側の一方側を支持し、第2支持部材20aは、第2の直動式ソレノイド720の一方側を支持し、第3支持部材20bは、第1支持部材20と第2支持部材20aを固定支持し、第3支持部材20cは、第1の第1の直動式ソレノイド710と第2の直動式ソレノイド720との間に介在してお互いを支持する(図7A参照)。
【0054】
ピン部730は、第1の直動式ソレノイド710の第1可動鉄心714と一方端部が固定され、かつ第2の直動式ソレノイド720の第2可動鉄心724を貫通する第1貫通部724aの内部を相対的に移動する。
【0055】
途中位置決め部7241は、第2の直動式ソレノイド720の第2可動鉄心724から第1可動鉄心724側へ延設され、かつ第1貫通部724aと連接した第2貫通部724bが形成されている。停止している状態の途中位置決め部7241の先端7241aに第1可動鉄心714の先端部714aが当ることで、第1可動鉄心714が途中位置202で移動を停止する(図7B参照)。
【0056】
第1可動鉄心714が途中位置202で停止したとき、ロック部740は、ピン部730の、第1可動鉄心714と固定された一方端部とは異なる他方端部731に形成された凹部732をロックして当該ピン部730の自由移動を停止させる(図7B参照)。本実施形態においてロック部740は、ピン部730が戻る方向へ移動することを防止する。ロック部740は、ラチェット機構741を有して構成されている。本実施形態においてロック部740は、第2支持部材20aに取り付けられているがこれに制限されず、装置筐体に取り付けられていてもよい。
【0057】
ロック解除部724dは、第2可動鉄心724の一方端部側に筒状に突設して形成され、その内部をピン部730が移動する。第1可動鉄心714が終点203まで移動すると共に第2可動鉄心724も移動する時に、ロック解除部724dは、ロック部740のラチェット機構741とピン部730との間に割り込むように挿入されて、凹部732のロックを解除する(図7C参照)。
【0058】
また、第1制御部771(ソレノイド制御部に相当する)は、途中位置202で第1可動鉄心714の移動を停止する場合に、第1可動鉄心714が始点201から途中位置202まで移動するように、第1の直動式ソレノイド710を駆動制御し(電磁コイル715に通電したON状態)、かつ第2可動鉄心720をスライドしないように第2の直動式ソレノイド720を駆動制御する(電磁コイル725に通電したON状態)。なお、第1制御部771、後述する第2制御部772の回路、各要素との配線等は不図示であるが、当業者であれば当然に理解できる。
【0059】
次いで、第1制御部771は、第1可動鉄心714が途中位置202で移動を停止している時に、第1の直動式ソレノイド710への電源供給を停止する。
【0060】
次いで、第1制御部771は、第1可動鉄心724の移動停止を解除し当該第1可動鉄心724を終点203に移動させる場合に、第1可動鉄心714が途中位置202から終点位置203まで移動するように第1の直動式ソレノイドを駆動制御し(電磁コイル715に通電したON状態)、かつ第1可動鉄心714の移動方向に第2可動鉄心724を移動させるように第2の直動式ソレノイドを駆動制御する(電磁コイル725に通電しないOFF状態)。
【0061】
また、第2制御部772は、ヒートシールの基本動作、ノズル部41の駆動、真空ポンプPの駆動制御を行う。
【0062】
<2段階の挟持動作を含むシール処理工程の説明>
まず、被シール物のシール部を開口させた状態で、圧着レバー7の圧着部10と加熱体31の加熱部31aとの間に配置させる(ステップS11)。次いで、ノズル部41を待機位置41aから停止位置41bに移動させ、ノズル部41を被シール部の内部へ挿入する(ステップS12)。なお、ノズル部41を停止位置41bに移動させた後に、被シール物をセットしてもよい。
【0063】
次いで、第1段階目の挟持動作を行う(ステップS13)。ノズル部41が停止位置41bに移動した後(またはその前あるいは同時に)、第2の直動式ソレノイド720をON状態(電磁コイル725に通電した状態)にし第2可動鉄心724がスライドしないようにする。次いで、第1の直動式ソレノイド710をON状態(電磁コイルに通電した状態)にし、第1の直動式ソレノイド710をON状態(電磁コイル715に通電した状態)にする。この通電のタイミングは、手動(またはフット)スイッチまたはシール部がセットされたことを検出するセンサーからの検出信号に基づいて自動的に行うことができる。
【0064】
この第1の直動式ソレノイド710をON状態にしたことで、第1可動鉄心714が図面上右側へ移動し、これに連動して圧着レバー7が下方に移動する。そして、第1可動鉄心714の先端面714aが途中位置決め部7241の先端7241aに当り、第1可動鉄心714が終点203に至る途中の途中位置202で停止し、かつ圧着レバー7が停止する。このとき、被シール物のシール部近傍(シール部より袋中心方向の位置)が、弾性押圧部51および弾性受部52によって挟まれた状態となる(第1挟持状態、図7B)。
【0065】
また、ピン部730の先端部731がラチェット機構741より突出し、凹部732がラチェット機構741でロックされる。そして、第1制御部721は、第1可動鉄心714が途中位置202で移動を停止している時に(ロックされている状態で)、第1の直動式ソレノイド710への電源供給を停止する。ピン部730がロックされているため、第1可動鉄心714は動けない状態であり、始点201へ戻ることはない。
【0066】
次いで、被シール物の内部の空気をノズル部41から吸引(または気体を供給)する(ステップS14)。ノズル部41は真空ポンプPに接続されている。
【0067】
次いで、吸引(または供給)が所定の期間実行されて終了した後、第2段階目の挟持動作を行う(ステップS15)。ノズル部41を停止位置41bから待機位置41aへ移動する。このとき、ノズル部41が移動した後の隙間を弾性押圧部51、弾性受部52が素早く埋める。
【0068】
次いで、第2の直動式ソレノイド720をON状態からOFF状態に切り替え、かつ、第1の直動式ソレノイド710をON状態(通電状態)に切り替える。これにより、第1可動鉄心714の移動が再開され、その先端面714aで途中位置決め部7241の先端部7241aを右方向へ押しこみ、先端面714aが終点203まで移動して停止する。
【0069】
このとき、第2可動鉄心742に形成されたロック解除部724dが、ラチェット機構741とピン部730との間に割り込むように挿入され、凹部732のロックを解除する(図7C参照)。
【0070】
第1可動鉄心714の移動再開に連動して圧着レバー7が下方に移動し、弾性押圧部51、弾性受部52が互いに圧縮し、被シール物のシール部が圧着部10と加熱部31aとで挟まれる。このように、圧着レバー7が作動して圧着部10が加熱部31aに到達すると、不図示のスイッチ操作機構によりマイクロスイッチをオンにし、ニクロム線に通電を行う。これにより、圧着部10と加熱部31aとで挟持された被シール物のシール部を溶融しシールする(ステップS6)。第2制御部722に対応した位置には、電源スイッチとサイクルタイム調整つまみが設けられている。
【0071】
次いで、第1可動鉄心714を終点203から始点201へ戻る時には、第1の直動式ソレノイド710をOFF状態(通電しない状態)に切り替え、第1可動鉄心714がフリー状態となる。不図示のスプリングの作用によって、ロック解除されたピン部430と共に、第1可動鉄心714が左側へ移動し、先端部714aが終点203から始点201へ戻る。それに連動して圧着レバー7も上方の初期位置に復帰する(ステップS7)。一方、第2可動鉄心742は、その一方端部724aに連結されたスプリング724bによる引っ張り力が作用して、左側へ移動し初期位置に復帰する。そして、シール部が適切にシールされた被シール物を取り出す。
【0072】
上記実施形態では、第1の直動式ソレノイドの第1可動鉄心714のプランジャー714aおよび作動ロッド7141が図面上左側に配置され、右から左へ移動することで、アーム8の下端部802を図面上左から右へ押して圧着レバー7を原位置から下方へ移動させる動作、動作機構の配置であったが、特にこれに制限されない。例えば、第1の直動式ソレノイドおよび第2の直動式ソレノイドの配置を左右反転させて配置し、第1の直動式ソレノイドの第1可動鉄心714のプランジャー714aおよび作動ロッド7141が図面上右側へ配置が替わり、プランジャー714aおよび作動ロッド7141が図面上右から左へ移動させるようにしてもよい。この作動ロッド7141の移動に連動してアーム8が回転軸9で回転して圧着レバー7が下方に移動する。
【0073】
<その他の実施形態>
また、上記各実施形態において、被シール物としては特定の形態のものに限定されるものではない。また、シール装置を構成する圧着体、加熱体、ノズル部、ノズル駆動部、直動式ソレノイドは、上記の構成に限定されない。また、シール装置1台につき、上記直動式ソレノイドおよび停止機構部が複数個設置されていてもよい。
【0074】
また、上記各実施形態の直動式ソレノイドおよび停止機構部は、上記シール装置に限定されず、他タイプのシール装置の駆動用に用いることができる。かかる場合に、シール装置1台につき、上記直動式ソレノイドおよび停止機構部が複数個設置されていてもよい。
【符号の説明】
【0075】
7 圧着レバー(圧着体)
10 圧着部
12、710 第1の直動式ソレノイド
14 可動鉄心(可動部)
31 加熱体
31a 加熱部
41 ノズル部
42 ノズル駆動部
51 弾性押圧部
52 弾性受部
70 停止機構部
71、730 ピン部
72 ばね部
73、720 第2の直動式ソレノイド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被シール物のシール部を圧着する圧着部を有する圧着体と、
前記シール部を加熱する加熱部を有する加熱体と、
前記シール部の開口部から前記被シール物の内部に挿入可能に配置され、当該被シール物内部から気体を吸引または供給するためのノズル部と、
前記ノズル部を待機位置と停止位置との間で移動可能にするノズル駆動部と、
前記圧着体と前記加熱体とで前記シール部を挟み込むように、前記圧着体を駆動するための第1の直動式ソレノイドと、
前記第1の直動式ソレノイドを駆動させる場合において、前記ノズル部を前記待機位置から前記停止位置に移動させた後に、当該第1の直動式ソレノイドを構成する第1可動部の移動を始点から終点までの間の所定の途中位置で停止させ、かつ前記ノズル部を前記停止位置から前記待機位置に復帰させた後に、前記第1可動部の移動停止を解除し当該第1可動部を前記終点に移動再開させるための停止機構部と、を備えるシール装置。
【請求項2】
前記圧着体は、前記シール部近傍を押圧する弾性押圧部を有し、
前記加熱体は、前記弾性押圧部とともに前記シール部近傍を挟持する弾性受部を有する、請求項1に記載のシール装置。
【請求項3】
前記停止機構部は、
前記第1の直動式ソレノイドの前記第1可動部の先端部に接触するピン部と、
前記第1可動部の移動に応じて前記ピン部を移動可能とし、かつ前記途中位置で前記第1可動部の移動を停止させるように前記ピン部の移動を停止可能とするピン移動機構部と、を有する請求項1または2に記載のシール装置。
【請求項4】
前記ピン移動機構部は、
前記第1可動部の先端部と接触する前記ピン部の端部とは異なる端部方向側に配置されるばね部を有する請求項3に記載のシール装置。
【請求項5】
前記ピン移動機構部は、
前記ピン部を可動部とする第3の直動式ソレノイドを有する請求項3または4に記載のシール装置。
【請求項6】
前記ピン部は、第1径部と、当該第1径部より小さい径の第2径部とを有し、
前記ピン移動機構部は、前記ピン部の前記2径部に係止する係止部をさらに有する請求項3に記載のシール装置。
【請求項7】
前記停止機構部は、前記第1可動部のプランジャーに当接して、当該第1可動部の移動を停止させるスライド部を有する請求項1または2に記載のシール装置。
【請求項8】
前記停止機構部は、
前記第1の直動式ソレノイドと隣り合って配置された第2の直動式ソレノイドと、
前記第1の直動式ソレノイドの第1可動部と一方端部が固定され、かつ前記第2の直動式ソレノイドの第2可動部を貫通する第1貫通部の内部を相対的に移動するピン部と、
前記第2の直動式ソレノイドの第2可動部から前記第1の直動式ソレノイドの第1可動部側へ延設され、かつ前記第1貫通部と連接した第2貫通部が形成された途中位置決め部と、
前記途中位置決め部の先端部に前記第1の直動式ソレノイドの第1可動部の先端部を当接させて、当該第1の直動式ソレノイドの第1の可動部の移動を前記途中位置で停止させた場合に、前記ピン部の前記一方端部とは異なる他方端部に形成された凹部をロックして当該ピン部の移動を停止させるロック部と、
前記第1の直動式ソレノイドの第1可動部を前記終点まで移動させると共に前記第2の直動式ソレノイドの第2可動部を移動させた場合に、前記ロック部と前記ピン部との間に割り込むように挿入されて前記凹部のロックを解除するロック解除部と、をさらに有する請求項1または2に記載のシール装置。
【請求項9】
前記途中位置で前記第1可動部の移動を停止する場合に、前記第1可動部が前記始点から前記途中位置まで移動するように前記第1の直動式ソレノイドを駆動制御し、かつ前記第2可動部を停止させるように前記第2の直動式ソレノイドを駆動制御し、
前記第1可動部の移動停止を解除し当該第1可動部を前記終点に移動再開する場合に、前記第1可動部が前記途中位置から前記終点位置まで移動するように前記第1の直動式ソレノイドを駆動制御し、かつ前記第1可動部の移動方向に前記第2可動部を移動させるように前記第2の直動式ソレノイドを駆動制御する、ソレノイド制御部を備える請求項8に記載のシール装置。
【請求項10】
前記ソレノイド制御部は、
前記第1可動部が前記途中位置で移動を停止している時に、前記第1および第2の直動式ソレノイドへの電源供給を停止する請求項9に記載のシール装置。
【請求項1】
被シール物のシール部を圧着する圧着部を有する圧着体と、
前記シール部を加熱する加熱部を有する加熱体と、
前記シール部の開口部から前記被シール物の内部に挿入可能に配置され、当該被シール物内部から気体を吸引または供給するためのノズル部と、
前記ノズル部を待機位置と停止位置との間で移動可能にするノズル駆動部と、
前記圧着体と前記加熱体とで前記シール部を挟み込むように、前記圧着体を駆動するための第1の直動式ソレノイドと、
前記第1の直動式ソレノイドを駆動させる場合において、前記ノズル部を前記待機位置から前記停止位置に移動させた後に、当該第1の直動式ソレノイドを構成する第1可動部の移動を始点から終点までの間の所定の途中位置で停止させ、かつ前記ノズル部を前記停止位置から前記待機位置に復帰させた後に、前記第1可動部の移動停止を解除し当該第1可動部を前記終点に移動再開させるための停止機構部と、を備えるシール装置。
【請求項2】
前記圧着体は、前記シール部近傍を押圧する弾性押圧部を有し、
前記加熱体は、前記弾性押圧部とともに前記シール部近傍を挟持する弾性受部を有する、請求項1に記載のシール装置。
【請求項3】
前記停止機構部は、
前記第1の直動式ソレノイドの前記第1可動部の先端部に接触するピン部と、
前記第1可動部の移動に応じて前記ピン部を移動可能とし、かつ前記途中位置で前記第1可動部の移動を停止させるように前記ピン部の移動を停止可能とするピン移動機構部と、を有する請求項1または2に記載のシール装置。
【請求項4】
前記ピン移動機構部は、
前記第1可動部の先端部と接触する前記ピン部の端部とは異なる端部方向側に配置されるばね部を有する請求項3に記載のシール装置。
【請求項5】
前記ピン移動機構部は、
前記ピン部を可動部とする第3の直動式ソレノイドを有する請求項3または4に記載のシール装置。
【請求項6】
前記ピン部は、第1径部と、当該第1径部より小さい径の第2径部とを有し、
前記ピン移動機構部は、前記ピン部の前記2径部に係止する係止部をさらに有する請求項3に記載のシール装置。
【請求項7】
前記停止機構部は、前記第1可動部のプランジャーに当接して、当該第1可動部の移動を停止させるスライド部を有する請求項1または2に記載のシール装置。
【請求項8】
前記停止機構部は、
前記第1の直動式ソレノイドと隣り合って配置された第2の直動式ソレノイドと、
前記第1の直動式ソレノイドの第1可動部と一方端部が固定され、かつ前記第2の直動式ソレノイドの第2可動部を貫通する第1貫通部の内部を相対的に移動するピン部と、
前記第2の直動式ソレノイドの第2可動部から前記第1の直動式ソレノイドの第1可動部側へ延設され、かつ前記第1貫通部と連接した第2貫通部が形成された途中位置決め部と、
前記途中位置決め部の先端部に前記第1の直動式ソレノイドの第1可動部の先端部を当接させて、当該第1の直動式ソレノイドの第1の可動部の移動を前記途中位置で停止させた場合に、前記ピン部の前記一方端部とは異なる他方端部に形成された凹部をロックして当該ピン部の移動を停止させるロック部と、
前記第1の直動式ソレノイドの第1可動部を前記終点まで移動させると共に前記第2の直動式ソレノイドの第2可動部を移動させた場合に、前記ロック部と前記ピン部との間に割り込むように挿入されて前記凹部のロックを解除するロック解除部と、をさらに有する請求項1または2に記載のシール装置。
【請求項9】
前記途中位置で前記第1可動部の移動を停止する場合に、前記第1可動部が前記始点から前記途中位置まで移動するように前記第1の直動式ソレノイドを駆動制御し、かつ前記第2可動部を停止させるように前記第2の直動式ソレノイドを駆動制御し、
前記第1可動部の移動停止を解除し当該第1可動部を前記終点に移動再開する場合に、前記第1可動部が前記途中位置から前記終点位置まで移動するように前記第1の直動式ソレノイドを駆動制御し、かつ前記第1可動部の移動方向に前記第2可動部を移動させるように前記第2の直動式ソレノイドを駆動制御する、ソレノイド制御部を備える請求項8に記載のシール装置。
【請求項10】
前記ソレノイド制御部は、
前記第1可動部が前記途中位置で移動を停止している時に、前記第1および第2の直動式ソレノイドへの電源供給を停止する請求項9に記載のシール装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【公開番号】特開2013−39975(P2013−39975A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−124676(P2012−124676)
【出願日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【出願人】(000236964)富士インパルス株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【出願人】(000236964)富士インパルス株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
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