説明

シール装置

【課題】シール装置に包装袋の開口部を差し込む際、安全に作業を行うことができるシール装置を提供する。
【解決手段】包装袋の上端部をシール機構に案内する案内機構6は、第1のベルト63aと、前記第1のベルトを駆動する複数のプーリ33a,61a,65aからなる第1のプーリ群と、第1のベルトに対向して配置され、第1のベルトとの間で前記包装袋の上端部を狭持する第2のベルト63bと、前記第2のベルトを駆動する複数のプーリ,33b,61b,65bからなる第2のプーリ群とを備え、前記第1のプーリ群のうち、包装袋の案内方向における最も上流側に配置された第1の上流側プーリ65aは、前記第2のプーリ群のうち、包装袋の案内方向における最も上流側に配置された第2の上流側プーリ65bに対して上流側に所定距離Lおいて配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール装置に関し、例えば、食品等の商品を収容した包装袋の開口部をシールする包装袋のシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット、生協等の流通小売業では、発泡スチロールやプラスチックの箱に食品等の商品を詰めて、顧客の自宅等の客先に配達する宅配サービスが行われている。
具体的には、上記宅配サービスでは、合成樹脂製の包装袋の中に商品を詰め、その包装袋の開口部の2〜3カ所をテープで簡易的に止め、その包装袋を箱に入れて客先まで配達している。
【0003】
しかし、上記の包装袋の開口部を部分的にテープ止めして配達する方法は、配達中に商品が包装袋からこぼれることがあるという課題を有していた。
また、上記の包装袋の開口部を部分的にテープ止めして配達する方法は、例えば、悪意のある悪戯として、包装袋或いは商品の中に異物を入れられたとしても、どの段階でそれが行われたのかを検証することが困難であるという課題を有していた。
【0004】
そのため、最近では、上記の課題を解決する方法として、商品を詰めた包装袋の開口部を熱溶着等により完全にシールすることも検討され始めている。
上記のように包装袋の開口部を完全にシールすれば、配達中に商品が包装袋からこぼれることを防止できると共に、配達過程における異物混入等を検証できるためである。例えば、上記のように包装袋の開口部を完全にシールすれば、包装袋に穴があれば、配達過程での異物混入の可能性を疑うことができる。
【0005】
ところで、上記のような合成樹脂製の包装袋のシールは、専用のシール装置により行われることが一般的である。例えば、特許文献1には、食品を収納した包装袋の開口部を熱溶着するシール装置(加熱封止装置)の構成が開示されている。
具体的には、特許文献1のシール装置は、架台と、この架台の前面側に配置された搬送機構と、架台の上方に配置された包装袋保持送り手段と、包装袋の開口部を熱溶着するヒートシール機構とを備えている。また、前記包装袋は、上端が開放した透明な合成樹脂により形成され、予め内部に食品が充填された状態で箱に入れられ、搬送機構によってヒートシール機構の位置まで搬送される。
そして、前記包装袋が搬送機構によってヒートシール機構の位置に搬送されると、ヒートシール機構が、前記包装袋の開口部を挟持し、所定時間経過するまで挟持した状態で包装袋を加熱し、包装袋の開口部を熱溶着するようになされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−35651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1のシール装置では、作業者は、包装袋の開口部を手(指)で保持して上方に持ち上げて左右の送り用ローラの間に差し込むことによって、包装袋を包装袋保持送り手段に保持させている。
そのため、特許文献1のシール装置にあっては、作業者は送り用ローラに手(指)が巻き込まれる虞があり、作業者は送り用ローラに手(指)を巻き込まれないように注意して作業にあたらなければならないという技術的課題を有していた。
【0008】
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、シール装置に包装袋の開口部を差し込む際、安全に作業を行うことができるシール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記技術的課題を解決するためになされた本発明にかかるシール装置は、包装袋の開口部を上側にして、該包装袋を内部に収容した箱体を搬送しながら、該包装袋の上端部の近傍をシールするシール機構と、前記シール機構の上流側に配置され、前記包装袋の上端部を前記シール機構に案内する案内機構を備えた包装袋のシール装置において、前記案内機構は、第1のベルトと、前記第1のベルトを駆動する複数のプーリからなる第1のプーリ群と、第1のベルトに対向して配置され、第1のベルトとの間で前記包装袋の上端部を狭持する第2のベルトと、前記第2のベルトを駆動する複数のプーリからなる第2のプーリ群とを備え、前記第1のプーリ群のうち、包装袋の案内方向における最も上流側に配置された第1の上流側プーリは、前記第2のプーリ群のうち、包装袋の案内方向における最も上流側に配置された第2の上流側プーリに対して上流側に所定距離おいて配置され、かつ、前記第1のベルトおよび第2のベルトとの間で前記包装袋の上端部を狭持し、第1のベルトおよび第2のベルトとを同一速度で移動することによって、前記包装袋の上端部を前記シール機構に案内することを特徴としている。
【0010】
このように構成されているため、作業者は、包装袋の上端部を手(指)で保持して上方に持ち上げて第1のベルトおよび第2のベルトの間に差し込むことによって、包装袋の上端部をシール機構に案内することができる。
【0011】
しかも、第1のベルトが巻回された第1のプーリ群のうち、包装袋の案内方向における最も上流側に配置された第1の上流側プーリが、第2のベルトが巻回された第2のプーリ群のうち、包装袋の案内方向における最も上流側に配置された第2の上流側プーリに対して上流側にオフセットして配置されている(所定距離おいて配置されている)。
即ち、第1の上流側プーリと第2の上流側プーリとの間には、間隔(隙間)が形成されるため、作業者の手(指)が第1の上流側プーリと第2の上流側プーリとの間に挟まれるのを防止でき、安全に作業を行うことができる。
【0012】
ここで、前記案内機構は、前記第1の上流側プーリが下面側に設けられた第1のベース部材と、前記第2の上流側プーリが下面側に設けられた第2のベース部材とを備え、前記第1のベース部材における第2のベース部材との対向面側には凹部が形成され、前記凹部が、第1の上流側プーリと前記第2の上流側プーリの間に設定された位置から前記第2の上流側プーリの下流側の設定された位置まで形成されていることが望ましい。
【0013】
前記包装袋を第1のベルトと第2のベルトの間に差し込む際、作業者の手(指)は、第1,2のベース部材の上面側を通過する。
したがって、上記したように、第1の上流側プーリ、第2の上流側プーリが第1,2のベース部材の下面側に設けられている場合には、作業者の手(指)が、前記第1の上流側プーリおよび第2の上流側プーリに接触することがなく、安全に作業を行うことができる。
また、第1のベース部材には凹部が形成されているため、第1のベース部材と第2のベース部材との間には隙間が形成される。そのため、作業者は包装袋の上端部を第1のベルトと第2のベルトの間に差し込む際に、第1のベース部材と第2のベース部材との間に手(指)を挟むことなく、安全に作業をすることができる。
【0014】
また、前記第2のベース部材における第1のベース部材との対向面側であって、前記第2の上流側プーリの下流側に、凹部が形成されていることが望ましい。
このように凹部が形成されているため、第1のベース部材と第2のベース部材との間に形成された隙間を更に大きくすることができる。
【0015】
また、前記凹部の下流側に、前記第1のベース部材と前記第2のベース部材との間に跨って設けられたストッパを備えていることが望ましい。
このようにストッパを備えている場合には、凹部が形成されている範囲を超えて作業者の手(指)が下流側に挟み込まれるのを防止することができ、シール装置の安全性を更に向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シール装置に包装袋の開口部を差し込む際、作業者の手(指)が挟み込まれることなく、安全に作業を行うことができるシール装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施形態の包装袋のシール装置の側面図である。
【図2】図2は、図1の矢印Y2方向から見た、シール装置の本体部および案内機構の概略構成図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態の包装袋のシール装置がシールする対象の包装袋を示した模式図である。
【図4】図4は、図2に示した案内機構の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態のシール装置について図面に基づいて説明する。
先ず、本発明のシール装置の全体構成について図1〜図4に基づいて説明する。尚、図1は、本発明の実施形態の包装袋のシール装置の側面図、図2は、図1の矢印Y2方向から見た、シール装置の本体部および案内機構の概略構成図、図3は、本発明の実施形態の包装袋のシール装置がシールする対象の包装袋を示した模式図、図4は、図2に示した案内機構の要部拡大図である。
【0019】
具体的には、図1に示すように、包装袋のシール装置A(以下、単に「シール装置」という)は、床面に支持・固定されている架台1と、架台1の上に支持され、食品等の商品W(図3参照)を収容した包装袋3を入れた箱体2を搬送するコンベア(搬送手段)4と、架台1に取り付けられコンベア4の上方に配置された枠体15とを備えている。
また、前記シール装置Aには、前記枠体15によってコンベア4の上方に取り付けられた本体部(シール機構)5を備え、コンベア4により搬送される箱体2に入れられた包装袋3をシールするように構成されている。
【0020】
また、このシール装置Aには、前記コンベア4の上方であって、シールする本体部(シール機構)5より上流側(図2におけるX2側)には、包装袋3の上端部を案内する案内機構6が配置されている。
更に、このシール装置Aの上部には、シール装置Aの全体の動作を制御する制御装置(制御盤)7が設けられている。尚、前記本体部(シール機構)5、案内機構6及び制御装置7は、枠体15に取り付けられている。
【0021】
また、図3に示すように、箱体2は、底部2aを有すると共に、上端2bが開口している。また、箱体2は発泡スチロール等の合成樹脂により形成されている。
また、包装袋3は上端が開放した透明な薄い合成樹脂シートにより形成され、箱体2の内部に、開口部3aを上側に向けて収納されている。この包装袋3の中には、食品等の商品Wが収容されている。
【0022】
また、箱体2をコンベア4の上に載置する際、包装袋3の上端部分が箱体2の上端2bから突出した状態になされる。そして、本実施形態のシール装置Aは、箱体2の内部に入れられた包装袋3の上端の開口部3a近傍のシール部3bを熱溶着によりシールする。
【0023】
以下、本実施形態の各構成を順次に説明する。
図1に示すように、コンベア4は、搬送方向(X1方向)に、商品Wを収容した包装袋3が入れられた箱体2を搬送する。また、コンベア4の右端(図1に示す右端)には、図示しないコンベアが接続されており、シールされる前の包装袋3が入れられた箱体2がコンベア4に搬送されるようになされている。
また、コンベア4の左端(図1に示す左端)には、図示しないコンベアが接続されており、シールされた後の包装袋3が入れられた箱体2を搬出するようになされている。
なお、コンベア4には、例えば、ベルトコンベア等の既存の技術のものが用いられる。
【0024】
また、図1に示すように、本体部(シール機構)5は、箱体2に収納された包装袋3の開口部近傍を挟持して移動させる送り機構部30と、包装袋3のシール部3bを熱溶着によりシールするヒータ機構部40とを備えている。
なお、送り機構部30およびヒータ機構部40は、架台1に取り付けられた枠体15により、コンベア4の上方に配置された状態で支持されている。
【0025】
前記送り機構部30は、図2に示すように、一対の送りモータ31(図1参照)と、前記一対の送りモータ31に駆動伝達機構を介して夫々連結された一対の駆動プーリ32a、32bと、複数の従動プーリ33a、33bと、案内プーリ35a、35bと、無端ベルト34a、34bとを備えている。
即ち、前記駆動プーリ32a、複数の従動プーリ33a、案内プーリ35aに、無端ベルト34aが巻回され、更に、前記駆動プーリ32b、複数の従動プーリ33b、案内プーリ35aに、無端ベルト34bが巻回されることによって、前記送り機構部30が構成されている。
【0026】
そして、前記送り機構部30は、無端ベルト34aと、無端ベルト34bとに間に包装袋3の開口部近傍を挟み込んで移動させるように構成されている。なお、送り機構部30の無端ベルト34a、34bは、コンベア4と同じ速度に同期して駆動するようになされている。
【0027】
また、ヒータ機構部40は、シール部41と、シール部41を回転駆動させる駆動機構部45とを有する。
前記シール部41は、コンベア4の上方であって、無端ベルト34a、34bの下方近傍に配置されている。このシール部41は、無端ベルト34a、34bにより保持、移動、案内される包装袋3のシール部3bを挟持・加熱してシールする。
【0028】
具体的には、図2に示すように、シール部41は、相対向して設けられた一対の予熱ローラ41a1、41a2と、一対の一次ローラ41b1、41b2と、一対の二次ローラ41c1、41c2とを備えている。
予熱ローラ41a1、41a2、一次ローラ41b1、41b2および二次ローラ41c1、41c2は、いずれもヒータが内蔵されている。また、前記の各ヒータには、制御装置7から電力が供給されるようになされている。
そして、予熱ローラ41a1、41a2、一次ローラ41b1、41b2および二次ローラ41c1、41c2は、それぞれ、制御装置7からの制御にしたがい所定温度に発熱するようになされている。
【0029】
また、駆動機構部45は、駆動モータ45a(図1参照)と、駆動モータ45aに駆動伝達機構を介して連結された駆動プーリ45b(図2参照)と、予熱ローラ41a1、41a2の回転軸に連結されたプーリ45c1、45c2と、一次ローラ41b1、41b2の回転軸に連結されたプーリ45d1、45d2と、二次ローラ41c1、41c2の回転軸に連結されたプーリ45e1、45e2と、プーリ45fとを備えている。
ここで、前記予熱ローラ41a1とプーリ45c1とは一体になされ、一体に回転するように構成されている。また前記予熱ローラ41a2とプーリ45c2とは一体になされ、一体に回転するように構成されている。
また同様に、前記一次ローラ41b1とプーリ45d1とは一体になされ、一体に回転するように構成されている。また前記一次ローラ41b2とプーリ45d2とは一体になされ、一体に回転するように構成されている。
【0030】
また、前記二次ローラ41c1とプーリ45e1とは一体になされ、一体に回転するように構成されている。また前記二次ローラ41c2とプーリ45e2とは一体になされ、一体に回転するように構成されている。
更に、前記駆動プーリ45b、プーリ45c1、45c2、45d1、45d2、45e1、45e2、プーリ45fには、タイミングベルト45gが巻回されている。
【0031】
また、前記タイミングベルト45gは、図2に示す状態(図1の矢印Y2方向から見た状態)において、予熱ローラ41a1、一次ローラ41b1、および二次ローラ41c1は反時計方向に回転させる。一方、前記タイミングベルト45gは、予熱ローラ41a2、一次ローラ41b2、および二次ローラ41c2を時計方向に回転させる。
そして、予熱ローラ41a1、41a2は、前記タイミングベルト45gにより回転しながら、包装袋3のシール部3bを挟持しながら加熱して、コンベア4の下流側に包装袋3を送り出す。更に、前記一次ローラ41b1、41b2(および二次ローラ41c1、41c2)は、前記タイミングベルト45gにより回転しながら、包装袋3のシール部3bを挟持しながら加熱してコンベア4の下流側に包装袋3を送り出す。
【0032】
このように送り機構部30は、無端ベルト34aと無端ベルト34bとに間に包装袋3の開口部近傍を挟み込んで、コンベア4の速度に同期して包装袋3を移動させる。そして、前記包装袋3は、先ず予熱ローラ41a1、41a2によりシール部3bが挟持・加熱されて一次ローラ41b1、41b2に送られる。次に、一次ローラ41b1、41b2により、前記シール部3bが挟持・加熱されて二次ローラ41c1、41c2に送られる。最後に二次ローラ41c1、41c2により、前記シール部3bが挟持・加熱され、前記シール部3bが熱溶着によりシールされるようになされている。
この送り機構部30の構成により、コンベア4上に、複数の包装袋3が連続して流されたとしても、コンベア4を停止させることなく、連続して、複数の包装袋3の上端部をシールすることができ、複数の包装袋3のシール処理を効率的に行うことができる。
【0033】
つぎに、包装袋3の上端部を、前記送り機構部30に案内する案内機構6について説明する。
案内機構6は、図4に示すように、包装袋3の上端部を中心線Sに沿ってX1側に案内(本体部5に案内)するものであり、コンベア4の上方(図1のY1側)であって、且つ本体部5より上流側(X2側)に配置されている(図2参照)。
この案内機構6は、前述した一対の駆動プーリ32a、32bと、従動プーリ33a、33bと、複数の案内用従動プーリ61a、61bと、を備えている。
また、この案内機構6は、案内用従動プーリ61a、61bを下面側に設け、回転可能に支持するベース部材62a、62bと、駆動プーリ32a、32b、従動プーリ33a、33b、案内用従動プーリ61a、61bに巻回された無端ベルト63a、63bと、を備えている。
【0034】
更に、この案内機構6には、図1、図4に示すように、ベース部材62aとベース部材62bにおける、前記案内用従動プーリ61a、61bに取付け面(下面)とは反対面(上面)には、ベース部材62aとベース部材62bを跨ぐストッパ64が設けられている。
【0035】
前記従動プーリ33aと、前記案内用従動プーリ61aのうち最も中心線S側に位置する案内用従動プーリ65aとは、無端ベルト63aの一部が中心線Sに沿って配置されるように、取り付けられている。
また同様に、従動プーリ33bと、案内用従動プーリ61bのうち最も中心線S側に位置する案内用従動プーリ65bとは、無端ベルト63bの一部が中心線Sに沿って配置されるように、取り付けられている。
更に、前記案内用従動プーリ65aは、案内用従動プーリ65bに対して、包装袋の案内方向において(矢印B方向)おける上流側に位置し、両プーリ65a、65bの間には所定の距離Lが設けられている。即ち、両プーリ65a、65bは、いわゆるオフセットして配置されている。
【0036】
前記無端ベルト63aは、駆動プーリ32aおよび従動プーリ33a、案内用従動プーリ61aに巻回されている。すなわち、駆動プーリ32aには、無端ベルト34a、63aが巻き回されている。
また、前記無端ベルト63bは、駆動プーリ32bおよび従動プーリ33b、案内用従動プーリ61bに巻回されている。すなわち、駆動プーリ32bには、無端ベルト34b、63bが巻き回されている。
【0037】
無端ベルト63aと無端ベルト63bとは、相対向して配置され、互いに同一速度で包装袋3の上端部を狭持した状態で移動することによって、包装袋3の上端部を本体部5に案内する。即ち、従動プーリ33a、案内用従動65aによって、中心線Sに沿って配置された第1のベルトとしての無端ベルト63aの一部は、包装袋3の上端部を狭持する狭持部として機能する。
尚、従動プーリ33a、案内用従動プーリ61aで、第1のプーリ群が構成される。
また案内用従動プーリ65aが、案内用従動プーリ61aのうち、包装袋の案内方向(B方向)における最も上流側に配置された第1の上流側プーリに相当する。
【0038】
また、案内用従動プーリ33b、65bによって、中心線Sに沿って配置された第2のベルトとしての無端ベルト63bの一部は、包装袋3の上端部を狭持する狭持部として機能する。尚、従動プーリ33b、案内用従動プーリ61bで、第2のプーリ群が構成される。また案内用従動プーリ65bが、案内用従動61bのうち、包装袋の案内方向(B方向)における最も上流側に配置された第2の上流側プーリに相当する。
【0039】
このように、案内用従動プーリ65aは、案内用従動プーリ65bに対して上流側に所定も距離Lをおいて配置されている(オフセットして配置される)ため、案内用従動プーリ65aと案内用従動プーリ65bとの間には、隙間が形成されている。
この隙間(プーリ65a、65bの間に所定の距離L)が設けられることによって、作業者が包装袋3の上端部を無端ベルト63aおよび無端ベルト63bの間に差し込む際に、案内用従動プーリ65aと案内用従動プーリ65bとの間に手(指)が挟み込まれるのを防止できる。
【0040】
また案内機構6において、案内用従動プーリ61a、65aはベース部材62aの下面側に配置され、また案内用従動プーリ61b、65bがベース部材62bの下面側に配置されている。
そして、包装袋3の上端部を把持する作業者の手(指)は、前記ベース部材62a、ベース部材62bの上側(図1に示すC側)を通過するため、案内用従動プーリ65a、案内用従動プーリ65bに作業者の手(指)が接触する虞がなく、安全に作業を進めることができる。
【0041】
また、このベース部材62aには凹部62a1が形成されている。前記凹部62a1は、前記中心線Sに沿って配置された無端ベルト63aが内側(無端ベルトの内側)に向かって凹むように(変形可能)形成されている。
即ち、ベース部材62aにおける第2のベース部材62bとの対向面側には凹部62a1が形成されている。しかも、前記凹部62a1は、案内用従動プーリ65aと案内用従動プーリ65b間の設定された位置から、案内用従動プーリ65bの下流側の設定された位置まで形成されている。好ましくは、前記凹部62a1は案内用従動プーリ65aから案内用従動プーリ65bの下流側の設定された位置まで形成されているのが良い。
【0042】
また、このベース部材62bには、凹部62b1が形成されている。前記凹部62b1は、前記中心線Sに沿って配置された無端ベルト63bが内側(無端ベルトの内側)に向かって凹むように(変形可能)形成されている。即ち、ベース部材62bにおけるベース部材62aとの対向面側に、凹部62b1が形成されている。
しかも、前記凹部62b1は、案内用従動プーリ65bの下流側の設定された位置まで形成されている。また、前記凹部62b1と凹部62a1の終端が一致しているのが好ましく、また案内用従動プーリ65bから少なくとも指幅長さ寸法をもって下流側の位置まで形成されているのが好ましい。
【0043】
このように、前記凹部62a1、凹部62b1が設けられるため、包装袋3の上端部を無端ベルト63aおよび無端ベルト63bの間に差し込む際に、仮に無端ベルト63a、無端ベルト63bの間に手(指)を挟まれても、無端ベルト63a、無端ベルト63bが変形し、前記凹部62a1、凹部62b1に指が逃げるため、無端ベルト63aと無端ベルト63bの間に、またベース部材62aとベース部材62bとの間に指が挟み込まれるのが防止される。
尚、前記ストッパ64が凹部62a1および凹部62b1の下流側に設けられており、前記凹部62a1、凹部62b1に指が入った場合にも、前記指が前記凹部62a1、凹部62b1よりも更に下流側に入り込まないようになされている。
【0044】
つぎに、本実施形態のシール装置Aを用いた包装袋3のシール処理について説明する。
まず、図3に示すように、作業者が箱体2の内側に合成樹脂製の包装袋3を挿入して、その包装袋3の中に商品Wを詰める。
次に、図1に示すように、作業者がシール装置Aのコンベア4の上に載置すると、コンベア4に載置された包装袋3が入れられた箱体2が、本体部5に向かって、コンベア4の上を進行方向(X1方向)に移動する。
【0045】
この際、作業者は、図4に示すように、包装袋3の上端部を手で保持して上方に持ち上げて、矢印B方向から無端ベルト63aおよび無端ベルト63bの間に差し込むことによって、包装袋3の上端部を本体部5に案内する。尚、無端ベルト63aおよび無端ベルト63bの間に差し込む作業において、案内用従動プーリ65a、案内用従動プーリ65bとの間等に手、指を挟むことなく、安全に作業が行われる。
本体部5に案内された後、包装袋3は、送り機構部30に挟持されてシール処理が行われ、包装袋の開口部を熱溶着によりシールする。
【0046】
なお、本実施形態は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内のおいて種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態の本体部5(送り機構部30およびヒータ機構部40)の構成は、あくまでも一例である。本体部5は、コンベア4により搬送される箱体2に入れられた包装袋3の上端を挟持して、熱溶着によりシールすることができるものであれば、どのようなものでもかまわない。
また、上述した実施形態では、凹部62a1と凹部62b1を設けた場合について説明したが、必ずしも凹部62b1を設ける必要はなく、凹部62a1のみを設けても良い。一方、凹部62a1と凹部62b1を設けた場合には、案内用従動プーリ65bの下流側において凹部の幅が拡がるため、挟まれた指を容易に取外すことができる。
【符号の説明】
【0047】
A シール装置
W 商品(物品)
1 架台
2 箱体
2a 底部(箱体)
2b 上端(箱体)
3 包装袋
3a 開口部(包装袋)
3b シール部(包装袋)
4 コンベア
5 本体部(シール機構)
30 送り機構部(本体部)
31 送りモータ(送り機構部(本体部))
32a、32b 駆動プーリ(送り機構部(本体部))
33a、33b 従動プーリ(送り機構部(本体部))
34a、34b 無端ベルト(送り機構部(本体部))
40 ヒータ機構部(本体部)
41 シール部(ヒータ機構部(本体部))
41a1、41a2 予熱ローラ(ヒータ機構部(本体部))
41b1、41b2 一次ローラ(ヒータ機構部(本体部))
41c1、41c2 二次ローラ(ヒータ機構部(本体部))
45 駆動機構部(ヒータ機構部(本体部))
45b 駆動プーリ(ヒータ機構部(本体部))
45c1、45c2 プーリ(ヒータ機構部(本体部))
45d1、45d2 プーリ(ヒータ機構部(本体部))
45e1、45e2 プーリ(ヒータ機構部(本体部))
45f 従動プーリ(ヒータ機構部(本体部))
6 案内機構
61a 案内用従動プーリ(案内機構)
61b 案内用従動プーリ(案内機構)
62a ベース部材(案内機構)
62a1 凹部(ベース部材(案内機構))
62b ベース部材(案内機構)
62b1 凹部(ベース部材(案内機構))
63a 無端ベルト(案内機構)
63b 無端ベルト(案内機構)
64 ストッパ(案内機構)
65a 案内用従動プーリ(第1の上流側プーリ(案内機構))
65b 案内用従動プーリ(第2の上流側プーリ(案内機構))
7 制御装置(制御盤)
15 枠体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装袋の開口部を上側にして、該包装袋を内部に収容した箱体を搬送しながら、該包装袋の上端部の近傍をシールするシール機構と、前記シール機構の上流側に配置され、前記包装袋の上端部を前記シール機構に案内する案内機構を備えた包装袋のシール装置において、
前記案内機構は、第1のベルトと、前記第1のベルトを駆動する複数のプーリからなる第1のプーリ群と、第1のベルトに対向して配置され、第1のベルトとの間で前記包装袋の上端部を狭持する第2のベルトと、前記第2のベルトを駆動する複数のプーリからなる第2のプーリ群とを備え、
前記第1のプーリ群のうち、包装袋の案内方向における最も上流側に配置された第1の上流側プーリは、前記第2のプーリ群のうち、包装袋の案内方向における最も上流側に配置された第2の上流側プーリに対して上流側に所定距離おいて配置され、
かつ、前記第1のベルトおよび第2のベルトとの間で前記包装袋の上端部を狭持し、第1のベルトおよび第2のベルトとを同一速度で移動することによって、前記包装袋の上端部を前記シール機構に案内することを特徴とする包装袋のシール装置。
【請求項2】
前記案内機構は、前記第1の上流側プーリが下面側に設けられた第1のベース部材と、前記第2の上流側プーリが下面側に設けられた第2のベース部材とを備え、
前記第1のベース部材における第2のベース部材との対向面側には凹部が形成され、前記凹部が、第1の上流側プーリと前記第2の上流側プーリの間に設定された位置から前記第2の上流側プーリの下流側の設定された位置まで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装袋のシール装置。
【請求項3】
前記第2のベース部材における第1のベース部材との対向面側であって、前記第2の上流側プーリの下流側に、凹部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の包装袋のシール装置。
【請求項4】
前記凹部の下流側に、前記第1のベース部材と前記第2のベース部材との間に跨って設けられたストッパを備えていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の包装袋のシール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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