説明

ジアクリレート末端を有するフルオロポリマー

開示されているのは、テレケリックジアクリレートコポリマー、およびそのフルオロポリマーを製造する方法である。ジアクリレートコポリマーは、式CH2=CR’COO−(CH2n−R−(CH2n−OOCCR’=CH2であり、式中、Rは、i)フッ化ビニリデンおよびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、ii)フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンの共重合単位を含むオリゴマー、iii)テトラフルオロエチレンおよびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、ならびにiv)テトラフルオロエチレンおよび炭化水素オレフィンの共重合単位を含むオリゴマーからなる群から選択され、R’は、Hまたは−CH3、nは、1〜4であり、このオリゴマーは、1000〜25,000ダルトンの数平均分子量を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式CH2=CR’COO−(CH2n−R−(CH2n−OOCCR’=CH2のジアクリレートコポリマーに関し、式中、Rは、i)フッ化ビニリデンおよびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、ii)フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンの共重合単位を含むオリゴマー、iii)テトラフルオロエチレンおよびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、ならびにiv)テトラフルオロエチレンおよび炭化水素オレフィンの共重合単位を含むオリゴマーからなる群から選択され、R’は、Hまたは−CH3、nは、1〜4で、前記オリゴマーは、1000〜25,000ダルトンの数平均分子量を有する。
【背景技術】
【0002】
フッ化ビニリデン(VF2)と、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)の二官能性低分子量(数平均分子量1000〜25,000ダルトン)のコポリマーおよびテトラフルオロエチレン(TFE)とPMVEの二官能性コポリマーは、米国特許出願公開第20090105435A1号明細書に開示されている。官能基は、コポリマーの主鎖の各端部に位置している(「テレケリック(telechelic)」と称すことがある)。開示された官能基としては、ヨウ素、アリル、ヒドロキシル、カルボキシルおよびニトリルが挙げられる。
【0003】
ポリマー主鎖の各端部がアクリレートまたはメタクリレート基である、米国特許出願公開第20090105435A1号明細書に開示されたタイプの低分子量フルオロポリマーがあると望ましいであろう。かかるフルオロポリマーは、他のフルオロポリマーの合成において中間体として用いることができ、また、加硫すると、丈夫なコーティング、シール、o−リング、ガスケット等を形成することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、1)テレケリックジアクリレート低分子量フルオロポリマー、およびまた2)かかるコポリマーを製造する方法の両方である。
【0005】
従って、本発明の態様は、式CH2=CR’COO−(CH2n−R−(CH2n−OOCCR’=CH2(式中、R’は、Hまたは−CH3、nは、1〜4、Rは、1000〜25,000ダルトンの数平均分子量を有し、i)フッ化ビニリデンおよびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、ii)フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンの共重合単位を含むオリゴマー、iii)テトラフルオロエチレンおよびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、ならびにiv)テトラフルオロエチレンおよび炭化水素オレフィンの共重合単位を含むオリゴマーからなる群から選択されるオリゴマー)のテレケリックジアクリレートコポリマーである。
【0006】
本発明の他の態様は、
A)式OH−(CH2n−R−(CH2n−OH(式中、nは、1〜4、Rは、1000〜25,000ダルトンの数平均分子量を有し、i)フッ化ビニリデンおよびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、ii)フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンの共重合単位を含むオリゴマー、iii)テトラフルオロエチレンおよびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、ならびにiv)テトラフルオロエチレンおよび炭化水素オレフィンの共重合単位を含むオリゴマーからなる群から選択されるオリゴマー)のジオールを提供し、かつ
B)前記ジオールを、CH2=CR’COX(式中、Xは、ハロゲン化物、R’は、Hまたは−CH3)と反応させて、式CH2=CR’COO−(CH2n−R−(CH2n−OOCCR’=CH2のジアクリレートコポリマーを形成すること
を含む、テレケリックジアクリレートコポリマーの製造方法である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、低分子量テレケリックジアクリレートフルオロポリマー、および前記ポリマーの製造方法に関する。「ジアクリレート」という用語は、フルオロポリマーが、ポリマー鎖毎に2つのアクリレート基か、2つのメタクリレート基のいずれかを含有することを意味する。アクリレートまたはメタクリレート基は、ポリマー主鎖の両端に位置する。「主鎖」とは、共重合モノマー単位の最長鎖を意味し、すなわち、側鎖や分岐ではない。
【0008】
本発明のジアクリレートフルオロポリマーは、式CH2=CR’COO−(CH2n−R−(CH2n−OOCCR’=CH2を有し、式中、R’は、Hまたは−CH3、nは、1〜4(好ましくは、2または3)、Rは、1000〜25,000ダルトン、好ましくは、1200〜12,000ダルトン、最も好ましくは、1500〜5000ダルトンの数平均分子量を有するオリゴマーである。オリゴマーRは、i)フッ化ビニリデンおよびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、ii)フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンの共重合単位を含むオリゴマー、iii)テトラフルオロエチレンおよびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、ならびにiv)テトラフルオロエチレンおよび炭化水素オレフィンの共重合単位を含むオリゴマーからなる群から選択される。炭化水素オレフィンとしては、エチレン(E)およびプロピレン(P)が挙げられる。任意で、オリゴマーRは、他の2つのコモノマーとは異なる少なくとも1つの追加のコモノマーをさらに含んでいてよい。かかる追加のコモノマーとしては、これらに限られるものではないが、フッ化ビニリデン(VF2)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)およびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)が例示される。
【0009】
本発明のフルオロポリマー(およびそれらを製造するのに用いられるジオール)に用いてよいオリゴマーの具体例としては、これらに限られるものではないが、TFE/PMVE、VF2/PMVE、VF2/TFE/PMVE、TFE/PMVE/E、VF2/HFP、VF2/HFP/TFE、TFE/PおよびTFE/P/VF2が挙げられる。
【0010】
本発明のジアクリレートフルオロポリマーは、A)式HO−(CH2n−R−(CH2n−OH(式中、nおよびRは、上記に定義したとおり)のジオールを提供し、かつB)前記ジオールを、CH2=CR’COX(式中、XおよびR’は、上記に定義したとおり)と反応させて、式CH2=CR’COO−(CH2n−R−(CH2n−OOCCR’=CH2のテレケリックジアクリレートコポリマーを形成することを含む方法により製造してよい。
【0011】
式HO−(CH2n−R−(CH2n−OHのジオールは、米国特許出願公開第20090105435A1号明細書に一般的に記載されているようにして調製される式I−R−Iの対応のα,ω−ジヨードオリゴマーで始まる多工程プロセスから製造してもよい。ジヨードオリゴマーは、ラジカル開始剤を存在させたエチレン(またはアリルアルコール、続いてヨウ素原子の選択的還元)との反応により、エチレン化(またはアリル化)してもよい。その後、得られるオリゴマーを加水分解してジオールを形成してよい。
【0012】
本発明のフルオロポリマーは、良好な可撓性、耐化学性および熱特性を有する架橋フルオロポリマー網目構造を形成するのに有用である。
【実施例】
【0013】
試験方法
数平均分子量(Mn)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により求めた。試料をTHFに溶解した。Polymer Laboratories製の2つのPLgel 5μm Mixed−Cカラムを備えたSpectra−PhysicsクロマトグラフおよびSpectra Physics SP8430屈折率(RI)およびUV検出器で分析を行った。テトラヒドロフラン(THF)を、溶離剤として、0.8mL分-1の流速で用いた。基準は、Polymer Laboratoriesまたは他の供給業者から購入した単分散ポリ(スチレン)(PS)またはポリ(メチルメタクリレート)であった。
【0014】
フルオロポリマーおよびオリゴマー組成および微細構造を、F19および1H NMRにより求めた。NMRスペクトルは、重水素化アセトンを溶媒として、テトラメチルシラン(TMS)(またはCFCl3)を1H(または19F)核のリファレンスとして用いて、Bruker AC200、AC250、およびAC400(200、250、および400MHz)機器で記録した。結合定数および化学シフトを、それぞれ、Hzとppmで示す。1H(または19F)NMRスペクトルの実験条件は次のとおりであった。フリップ角90°(または30°)、収集時間4.5秒(または0.7秒)、パルス遅延2秒(または5秒)、スキャン回数16(または64)および19F NMRについてパルス幅5μs。
【0015】
実施例1
本実施例においては、本発明のフルオロポリマーCH2=CHCOO−(CH22−R−(CH22−OOCCH=CH2(式中、Rは、ポリ(フッ化ビニリデン−コ−パーフルオロ(メチルビニルエーテル)[すなわち、ポリ(VF2−コ−PMVE)]を、本発明の方法により製造した。
【0016】
フルオロポリマー製造方法で用いたジオールオリゴマーは、式I−(VF2−コ−PMVE)−Iのテレケリックジヨードオリゴマーで始まる多工程プロセスから製造した。後者は、米国特許出願公開第20090105435A1号明細書に開示されたプロセスにより製造された。このジヨードオリゴマーは、73.2モル%のVF2および26.8モル%のPMVEを含有し、2450ダルトンの数平均分子量を有していた。
【0017】
ジヨードオリゴマーのエチレン化:
入口および出口バルブ、マノメータおよび大気放出板を備えた160mLのHastelloy(HC−276)オートクレーブを脱気し、30バールの窒素で加圧して、漏れを確認した。次に、0.5mmHgの真空で、5分間操作した後、アルゴン雰囲気を適用した。オートクレーブ脱気のかかる手順を5回繰り返した。真空下、5.0g(2.87×10-2モル)のt−ブチルパーオキシピバレート(TBPPi)、50mLのt−ブタノールおよび100.0g(0.077モル)の上述したテレケリックジヨードオリゴマーをオートクレーブに移した。6.0gのエチレン(0.214モル)をオートクレーブに入れた。次に、オートクレーブを75℃まで徐々に加熱した。発熱を、約10℃、15バールから18バールへの圧力上昇、続いて、14バールまでの16時間にわたる圧力降下で観察した。反応後、オートクレーブを氷浴に、約60分間入れ、0.5gの未反応のエチレンを徐々に放出した。オートクレーブを開いた後、反応混合物を100mlのブタノンに溶解し、それぞれ分液漏斗において蒸留水(2×100ml)、Na225溶液(100ml)および塩水(100ml)で洗った。次に、有機相を、MgSO4で乾燥し、焼結ガラス(G4)を通してろ過した。有機溶媒を、ロータリ真空エバポレータにより、40℃で、10mmHgまで圧力を減じて除去した。得られた淡黄色の粘性液体を40℃で、0.01ミリバールの真空で一定重量になるまで乾燥した。反応収率は91%であった。生成物を、1H NMRおよび19F NMRスペクトル分析により分析した。末端−CF2I(約−39ppm)に対応するシグナルがないということは、エチレン化オリゴマーへの定量的変換を示していた。
【0018】
エチレン化コポリマーのテレケリックジオールへの加水分解:
還流冷却器およびマグネチックスターラーを備えた250mlの2口丸底フラスコに、61.6g(0.044モル)の上記したとおりに合成したエチレン化生成物および80.4g(1.1モル)のDMFを入れた。次に、混合物を窒素で20分間パージし、4.0gの水を、隔壁を通して加えた。反応物を120℃まで加熱し、一晩攪拌した。14時間後、粗生成物(反応混合物)を室温まで冷やし、メタノール(70g)中H2SO4(25g)の混合物を滴下して加えた。反応物を室温で24時間保った。次に、反応混合物を、蒸留水(3×100ml)および酢酸エチル(200ml)で分液漏斗において洗った。有機相を、MgSO4で乾燥し、焼結ガラス(G4)を通してろ過した。酢酸エチルおよび微量のDMFを、ロータリ真空エバポレータ(40℃/20mmHg)により除去した。得られた褐色の粘性液体を40℃で、0.01ミリバールで一定重量になるまで乾燥した。生成物(収率74%)を、1H NMRおよび19F NMRスペクトル分析により分析した。
【0019】
エチレン化コポリマーの加水分解の代替的な方法:
還流冷却器およびマグネチックスターラーを備えた50mlの2口丸底フラスコに、3.1g(0.0021モル)のエチレン化コポリマーおよび16g(0.22モル)のDMFを入れた。この混合物を、窒素雰囲気下、30分攪拌した。次に、1gの水を、隔壁を通して滴下して加えた。反応物を100℃まで加熱し、36時間攪拌し続けた。室温まで冷やした後、50mlのブタノンを添加し、得られた混合物を水(3×50ml)で洗った。有機層をMgSO4で乾燥し、焼結ガラス(G4)を通してろ過した。溶媒を、ロータリ真空エバポレータ(40℃/20mmHg)を用いて除去した。得られた褐色の粘性液体を40℃、0.01ミリバールで一定重量になるまで乾燥した。生成物(収率54wt%)を、1H NMR、19F NMRにより分析したところ、ジオールと二ギ酸の両方の存在が明らかとなった。
【0020】
二ギ酸の鹸化:
クライゼン冷却器およびマグネチックスターラーを備えた100mlの2口丸底フラスコに、1.39gの加水分解二付加物(上述したとおりに調製したもの)、0.05g(0.29ミリモル)のp−トルエンスルホン酸および50mlのCH3OHを入れた。メタノールが蒸留し始めるまで、反応物を加熱した。次に、反応混合物を、水(2×50ml)、CH2Cl2(3×30ml)で洗い、塩水(50ml)を加えて、分離を促した。有機層をMgSO4で乾燥し、焼結ガラス(G4)を通してろ過した。CH2Cl2および微量のMeOHを、ロータリ真空エバポレータ(40℃/20mmHg)を用いて除去した。得られた褐色の粘性液体を40℃、0.01ミリバールで一定重量になるまで乾燥した。生成物(収率81wt%)を、1H NMRおよび19F NMRにより分析したところ、ジオールの存在が明らかとなった。
【0021】
ジアクリレートへの変換:
還流冷却器およびマグネチックスターラーを備えた250mlの2口丸底フラスコに、100mlのTHF(乾燥)に溶解した25.0g(19.2ミリモル)の上記したとおりに合成したジオールおよび12gのポリ(ビニルピリジン)を入れた。反応混合物を窒素雰囲気下、0℃まで冷却し、20mg(0.18ミリモル)のヒドロキノンを加えた。塩化アクリロイルを、隔壁を通して、シリンジにより、6時間の間隔で、次の4回の投与量(それぞれ4g、4g、2g、4g)で加えた。追加の10gのポリ(ビニルピリジン)を反応混合物に添加した。1回目の投与量で塩化アクリロイルを添加後、反応温度を40℃で48時間の間にわたって保った。ポリ(ビニルピリジン)を、焼結ガラスG4を通してろ過することによって除去した。次に、ブタノン/水(1/1)混合物を加えてから、水で洗った。有機層を、MgSO4で乾燥してから、焼結ガラス(G4)を通してろ過した。溶媒および過剰の塩化アクリロイルを、ロータリ真空エバポレータ(40℃/20mmHg)を用いて除去した。得られた褐色の粘性液体を40℃で、0.01ミリバールの真空で一定重量になるまで乾燥した。生成物(収率81%)を、1Hおよび19F NMRスペクトル分析により分析した。
【0022】
実施例2
本実施例においては、本発明のフルオロポリマーCH2=CHCOO−(CH23−R−(CH23−OOCCH=CH2(式中、Rは、ポリ(フッ化ビニリデン−コ−パーフルオロ(メチルビニルエーテル)[すなわち、ポリ(VF2−コ−PMVE)]を、本発明の方法により製造した。テレケリックI−(VF2−コ−PMVE)−Iオリゴマー出発材料は、実施例1で用いたのと同じであった。
【0023】
ジヨードヒドリンへの変換:
還流冷却器およびマグネチックスターラーを備えた100mlの2口丸底フラスコに、10.5g(6ミリモル)のI−(VF2−コ−PMVE)−I、2.05g(34.4ミリモル)のアリルアルコールおよび50mlのCH3CNを入れた。次に、フラスコを80℃まで加熱した。AIBN(2,2’アゾビスイソブチロニトリル)を、30分の添加間隔で、10回の投与量(それぞれ20mg)で加えた。窒素雰囲気下、80℃で21時間、反応を行った。室温まで冷やした後、反応混合物を、綿を通してろ過してから、溶媒および過剰のアリルアルコールを、ロータリ真空エバポレータ(40℃/20mmHg)で除去した。得られた黄みがかった粘性液体を一定重量になるまで乾燥した(40℃/0.01ミリバール)。生成物(収率93%)を、1Hおよび19F NMR、ならびにFT−IRスペクトル分析により分析した。
【0024】
ジヨードヒドリンのビス(プロピルアルコール)への還元:
還流冷却器およびマグネチックスターラーを備えた250mlの3口丸底フラスコに、11.5g(6.6ミリモル)の上記したとおりに調製したジヨードヒドリン、4.8g(16.5ミリモル)のBu3SnHおよび50mlのCH3CNを入れた。次に、フラスコを70℃まで加熱した。AIBNを、60分の添加間隔で、10回の投与量(それぞれ55mg)で加えた。窒素雰囲気下、70℃で12時間、反応を行った。室温まで冷やした後、0.6gのKFを50mlのEt2Oと共に加えた。次に、反応物を約25℃で24時間攪拌した。反応混合物を、焼結ガラス(G5)を通してろ過し、Bu3SnK、Bu3SnFまたはBu3SnI等の白色固体を除去した。溶媒を、ロータリ真空エバポレータ(40℃/20mmHg)で除去した。粗生成物を50mlのブタノンに溶解し、水(2×50ml)で洗った。有機層をMgSO4で乾燥し、焼結ガラス(G4)を通してろ過した。ブタノンがロータリ真空エバポレータにより部分的に除去され、残渣はペンタンから沈殿した。12時間4℃で冷却した後、沈殿した生成物から、ペンタンをデカンテーションにより慎重に除去した。残渣溶媒を、ロータリ真空蒸発装置(40℃/20mmHg)により除去した。得られた淡黄色の粘性液体を一定重量になるまで乾燥した(40℃/0.01ミリバール)。生成物(全体収率91%)を、1Hおよび19F NMR、ならびにFT−IRスペクトル分析により分析した。デカンテーションしたペンタンもまた蒸発させて、低分子量分画の所望のジオールを得た。
【0025】
ジオールのアクリル化:
還流冷却器およびマグネチックスターラーを備えた100mlの3口丸底フラスコに、5.03g(3.33ミリモル)の上記したとおりに調製したビス(プロピルアルコール)、25mlのTHF、4.5gのポリ(ビニルポリピロリドン)、5mg(0.045ミリモル)のヒドロキノンを入れ、0℃まで冷却した。次に、塩化アクリロイル(4.456g、4ml、50ミリモル)を、3回の投与量(2ml、1mlおよび1ml)で滴下して加えた。塩化アクリロイルの1回目の添加後、反応温度を40℃まで上げ、2回の続く添加は、5および22時間の経過時間後に完了した。次に、添加量のポリ(ビニルポリピロリドン)(4.5g)を反応混合物に加えた。窒素雰囲気下、40℃で48時間、反応を行った。室温まで冷やした後、反応混合物を、焼結ガラス(G4)を通してろ過し、ポリ(ビニルポリピロリドン)を除去した。ろ過したポリ(ビニルポリピロリドン)をTHFで洗った。溶媒がロータリ蒸発装置で部分的に除去され、ペンタンから残渣が沈殿した。4℃で12時間後、ペンタンを慎重にデカンテーションしたところ、沈殿生成物が残った。残渣溶媒を、ロータリ真空蒸発装置(40℃/20mmHg)により除去した。得られた淡黄色の粘性液体を一定重量になるまで乾燥した(40℃/0.01ミリバール)。生成物(全体収率91%)を、1Hおよび19F NMRにより分析した。デカンテーションしたペンタンもまた蒸発したところ、低収率(7%)の低分子量分画の所望のポリマーが戻った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式CH2=CR’COO−(CH2n−R−(CH2n−OOCCR’=CH2(式中、R’は、Hまたは−CH3、nは、1〜4、Rは、1000〜25,000ダルトンの数平均分子量を有し、i)フッ化ビニリデンおよびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、ii)フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンの共重合単位を含むオリゴマー、iii)テトラフルオロエチレンおよびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、ならびにiv)テトラフルオロエチレンおよび炭化水素オレフィンの共重合単位を含むオリゴマーからなる群から選択されるオリゴマー)のテレケリックジアクリレートコポリマー。
【請求項2】
nが、2または3である請求項1に記載のテレケリックジアクリレートコポリマー。
【請求項3】
前記オリゴマーが、1200〜12,000ダルトンの数平均分子量を有する請求項1に記載のテレケリックジアクリレートコポリマー。
【請求項4】
前記オリゴマーが、1500〜5000ダルトンの数平均分子量を有する請求項3に記載のテレケリックジアクリレートコポリマー。
【請求項5】
前記オリゴマーが、i)フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンおよびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)、ii)テトラフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)およびエチレン、iii)フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレン、ならびにiv)テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデンおよびプロピレンからなる群から選択される共重合単位を含む請求項1に記載のテレケリックジアクリレートコポリマー。
【請求項6】
A)式HO−(CH2n−R−(CH2n−OH(式中、nは、1〜4、Rは、1000〜25,000ダルトンの数平均分子量を有し、i)フッ化ビニリデンおよびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、ii)フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンの共重合単位を含むオリゴマー、iii)テトラフルオロエチレンおよびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、ならびにiv)テトラフルオロエチレンおよび炭化水素オレフィンの共重合単位を含むオリゴマーからなる群から選択されるオリゴマー)のジオールを提供し、かつ
B)前記ジオールを、CH2=CR’COX(式中、Xは、ハロゲン化物、R’は、Hまたは−CH3)と反応させて、式CH2=CR’COO−(CH2n−R−(CH2n−OOCCR’=CH2のジアクリレートコポリマーを形成すること
を含む、テレケリックジアクリレートコポリマーを製造する方法。
【請求項7】
nが、2または3である請求項6に記載のテレケリックジアクリレートコポリマーを製造する方法。
【請求項8】
前記オリゴマーが、1200〜12,000ダルトンの数平均分子量を有する請求項6に記載のテレケリックジアクリレートコポリマーを製造する方法。
【請求項9】
前記オリゴマーが、1500〜5000ダルトンの数平均分子量を有する請求項8に記載のテレケリックジアクリレートコポリマーを製造する方法。
【請求項10】
前記オリゴマーが、i)フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンおよびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)、ii)テトラフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)およびエチレン、iii)フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレン、ならびにiv)テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデンおよびプロピレンからなる群から選択される共重合単位を含む請求項6に記載のテレケリックジアクリレートコポリマーを製造する方法。

【公表番号】特表2012−533646(P2012−533646A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520643(P2012−520643)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/038102
【国際公開番号】WO2011/008381
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【出願人】(511304822)ル ソントル ナショナル ドゥ ラ リシェルシュ シアンティフィーク (5)
【Fターム(参考)】