説明

ジアミン誘導体、その製造方法およびそれらを有効成分とする植物病害防除剤

本発明はジアミン誘導体とその製造法および該化合物を有効成分として含有する植物病害防除剤を提供することを課題とする。
本発明により式(1)で表されるジアミン誘導体とその製造法および該化合物を有効成分として含有する植物病害防除剤が提供される。


[式中、R1はハロゲンで置換された炭素数1〜6の炭化水素等を表し、R2およびR7はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素等を表し、R3およびR4はそれぞれ独立して水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6の炭化水素等を表すか、あるいは結合している炭素原子を含む炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基等を表し、R8は置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規なジアミン誘導体とその製造方法、およびそれらを有効成分とする植物病害防除剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病害虫防除が水稲栽培に於いて果たす役割は大きく、特にイネいもち病は重要な病害として種々の植物病害防除剤が開発され、利用されている。しかしながら、植物病害防除活性や有用作物に対する害において必ずしも十分なものはない。また近年、植物病害防除剤の多用により薬剤に対する耐性菌が出現し、既存の薬剤では十分な活性を示さないことがある。以上から、低濃度で有害菌を防除できる新しい植物病害防除剤が求められている。また、特開2003−096046公報には本発明の化合物とは異なるジアミン誘導体及びそれらを有効成分とする植物病害防除剤が開示されている。しかしながら、ここには、ハロゲン置換された炭化水素を持つオキシカルボニル基を有するジアミン誘導体の有用性にはなんら記載されていない。
【特許文献1】特開2003−096046(WO2003008372)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、イネいもち病に対し優れた防除効果を示すジアミン誘導体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、今般、ジアミン誘導体の中でも特にハロゲン置換された炭化水素を持つオキシカルボニル基を有するジアミン誘導体が、イネいもち病に対して高い防除効果を示すことを見出した。この防除効果は、例えば特開2003−096046に開示されているような他のジアミン誘導体により得られる効果よりも顕著に優れていることを見出し、本発明を完成させた。
【0005】
すなわち本発明は、以下の通りである。
[1].式(1)
【0006】
【化1】

【0007】
[式中、R1はハロゲンで置換された炭素数1〜6の炭化水素を表し、R2およびR7はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素またはアシル基を表し、R3およびR4はそれぞれ独立して水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6の炭化水素、または置換されていてもよいヘテロアリール基を表すか、あるいは結合している炭素原子を含む炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素を表し、R8は置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基を表す。]で表されるジアミン誘導体。
[2].上記[1]に記載のジアミン誘導体を有効成分として含有することを特徴とする植物病害防除剤。
[3].式(2)
【0008】
【化2】

【0009】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は[1]と同じ意味を表す。]で表される化合物を式(3)
【0010】
【化3】

【0011】
[式中、R8は[1]と同じ意味を表し、Xは脱離基を表す。]で表される化合物と反応させることを特徴とする、[1]記載のジアミン誘導体の製造方法。
[4].式(2)で表される化合物を式(4)
【0012】
【化4】

[式中、R8は[1]と同じ意味を表す。]で表される化合物と縮合させることを特徴とする、[1]記載のジアミン誘導体の製造方法。
[5].式(5)
【0013】
【化5】

[式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は[1]と同じ意味を表す。]で表される化合物を式(6)
【0014】
【化6】

[式中、R1は[1]と同じ意味を表し、Xは脱離基を表す。]で表される化合物と反応させることを特徴とする、[1]記載のジアミン誘導体の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るジアミン誘導体は、ハロゲン置換された炭化水素を持つオキシカルボニル基を有することでイネいもち病に対して優れた防除効果を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明を詳細に説明する。
式(1)で表されるジアミン誘導体およびその製造方法において、下記に限定されるものではないが代表的な置換基の例として以下のものが挙げられる。ハロゲンで置換された炭素数1〜6の炭化水素の例としてクロロメチル基、2−クロロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、3−クロロ−1−プロピル基、4−クロロ−1−ブチル基等の塩素置換アルキル基、2−フルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基、1,3−ジフルオロ−2−プロピル基、5−フルオロ−1−ペンチル基、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロ−1−ヘキシル基、1−エトキシ−2,2,2−トリフルオロエチル基等のフッ素置換アルキル基、2−ブロモエチル基、1,3−ジブロモ−2−プロピル基等の臭素置換アルキル基、2−ヨードエチル基等のヨウ素置換アルキル基、3−ブロモ−1,1,1−トリフルオロ−2−プロピル基等の2種以上のハロゲンを含むアルキル基、クロロシクロプロピル基、2−クロロシクロブチル基、2−クロロシクロペンチル基、2−クロロシクロヘキシル基、3−クロロシクロヘキシル基、4−クロロシクロヘキシル基等の塩素置換シクロアルキル基、2−フルオロシクロヘキシル基、2,2,3,3−テトラフルオロシクロプロピル基等のフッ素置換シクロアルキル基、2−ブロモシクロヘキシル基等の臭素置換シクロアルキル基、2−ヨードシクロヘキシル基等のヨウ素置換シクロアルキル基、2−クロロ−2−プロペニル基、5−クロロ−4−ペンテニル基等の塩素置換アルケニル基、4,4,4−トリフルオロ−2−ブテニル基、6,6,6−トリフルオロ−5−ヘキセニル基等のフッ素置換アルケニル基、2−クロロ−2−シクロプロペニル基、3−クロロ−3−シクロペンテニル基、2−クロロ−2−シクロヘキセニル基等の塩素置換シクロアルケニル基、2−フルオロ−2−シクロブテニル基等のフッ素置換シクロアルケニル基等が挙げられる。
【0017】
炭素数1〜6の炭化水素としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、フェニル基、ナフチル基等を、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、ピリミジル基、チエニル基、フラニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、イソチアゾリル基、イソキサゾリル基、インドリル基、キノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基等を、アシル基としては、アセチル基等のアルキルカルボニル基またはベンゾイル基等のアリールカルボニル基等を、アリール基およびヘテロアリール基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等のアルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基またはシクロヘキシル基等のシクロアルキル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ブロモジフルオロメチル基またはトリフルオロエチル基等のハロゲン置換アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基等のアルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基またはトリフルオロエトキシ基等のハロゲン置換アルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基またはブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基またはジメチルアミノ基等のアルキルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、シクロブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロプロピルアミノ基等のシクロアルキルアミノ基、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基またはジメチルカルバモイル基等のアルキルカルバモイル基、シクロプロピルカルバモイル基、シクロブチルカルバモイル基、シクロペンチルカルバモイル基、シクロヘキシルカルバモイル基、ジシクロプロピルカルバモイル基等のシクロアルキルカルバモイル基、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ブチルカルボニルアミノ基等のアルキルカルボニルアミノ基、シクロプロピルカルボニルアミノ基、シクロブチルカルボニルアミノ基、シクロペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基等のシクロアルキルカルボニルアミノ基、メチルオキシカルボニルアミノ基、エチルオキシカルボニルアミノ基、プロピルオキシカルボニルアミノ基、ブチルオキシカルボニルアミノ基等のアルキルオキシカルボニルアミノ基、シクロプロピルオキシカルボニルアミノ基、シクロブチルオキシカルボニルアミノ基、シクロペンチルオキシカルボニルアミノ基、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ基等のシクロアルキルオキシカルボニルアミノ基、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基またはブチルチオ基等のアルキルチオ基、トリフルオロメチルチオ基、ジフルオロメチルチオ基またはトリフルオロエチルチオ基等のハロゲン置換アルキルチオ基、メタンスルフィニル基、エタンスルフィニル基、プロパンスルフィニル基またはブタンスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基、トリフルオロメタンスルフィニル基、ジフルオロメタンスルフィニル基またはトリフルオロエタンスルフィニル基等のハロゲン置換アルキルスルフィニル基、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基またはブタンスルホニル基等のアルキルスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、ジフルオロメタンスルホニル基またはトリフルオロエタンスルホニル基等のハロゲン置換アルキルスルホニル基、メタンスルホンアミド基、エタンスルホンアミド基、プロパンスルホンアミド基またはブタンスルホンアミド基等のアルキルスルホンアミド基、トリフルオロメタンスルホンアミド基、ジフルオロメタンスルホンアミド基またはトリフルオロエタンスルホンアミド基等のハロゲン置換アルキルスルホンアミド基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子のハロゲン原子、アセチル基またはベンゾイル基等のアシル基をそれぞれ例示することができる。
【0018】
式(3)および式(6)で表される化合物において、Xで表される脱離基としては、塩素原子に代表されるハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基に代表されるアルコキシ基、フェノキシ基および4−ニトロフェニル基に代表されるアリールオキシ基、アセチルオキシ基およびベンゾイルオキシ基に代表されるアシルオキシ基、メトキシカルボニルオキシ基に代表されるアルコキシカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基に代表されるアリールカルボニルオキシ基、メチルチオ基に代表されるアルキルチオ基、2,5−ジオキソピロリジニルオキシ基、ベンゾトリアゾリルオキシ基ならびにイミダゾリル基等をそれぞれ例示することができる。
【0019】
式(1)で表される本発明の化合物は新規化合物であり、式(1)で表される化合物は下記反応式(1)に記載の方法により製造することができる。
反応式(1)
【0020】
【化7】

【0021】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は式(2)と同じ意味を表し、R8およびXは式(3)と同じ意味を表す。]
反応式(1)において、式(2)で表されるジアミン誘導体またはその塩を式(3)で表される公知のカルボニル化合物と無溶媒もしくは溶媒中、無塩基もしくは塩基の存在下で反応させることにより、式(1)で表されるジアミン誘導体を製造できる。
【0022】
反応式(1)で表される反応に用いられる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属類、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化アルカリ土類金属類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコラート類、酸化ナトリウム等のアルカリ金属酸化物類、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の炭酸塩類、燐酸三カリウム、燐酸三ナトリウム、燐酸一水素二カリウム、燐酸一水素二ナトリウム等の燐酸塩類、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の酢酸塩類、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデセ−7−エン(DBU)等の有機塩基類等を挙げることができる。
これらの塩基の使用量は特に制限されるものではなく、上記有機塩基類を用いた場合には溶媒として使用することもできる。
【0023】
反応式(1)で表される反応に用いられる溶媒としては、特に式(1)、式(2)および式(3)と反応しない限り、水、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の非プロトン性極性溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類等を挙げることができる。
【0024】
式(3)で表されるカルボニル化合物の当量は式(2)で表される化合物に対し、1〜2当量が好ましく、より好ましくは1〜1.2当量である。
【0025】
上記反応の反応温度および反応時間は広範囲に変化させることができる。一般的には、反応温度は−20〜200℃が好ましく、より好ましくは0〜100℃、反応時間は0.01〜50時間が好ましく、より好ましくは0.1〜15時間である。
【0026】
反応式(1)の式(2)で表されるアミン誘導体およびその塩は、市販されているもの以外は、例えば、ガブリエル法、デルピン法、シアノ基やアミド、イミン、オキシム等の還元のような公知のアミン合成法やテトラヘドロン・アシンメトリー(Tetrahedron Asymmetry),第11巻,第1907頁(2000年)に記載の方法により、容易に製造できる。
【0027】
反応式(1)の式(3)で表される化合物は、式(4)で表される公知のカルボン酸誘導体を塩化チオニル、オキザリルクロライド、ホスゲン、オキシ塩化リン、三塩化リン、五塩化リン、臭化チオニル、三臭化リン、ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド、1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾール等と反応させるという常法により製造できる。
【0028】
反応式(1)の式(3)で表される化合物は、式(4)で表される公知のカルボン酸誘導体をメチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類やフェノール、ニトロフェノール等のフェノール類と反応させるという常法によっても製造できる。
【0029】
反応式(1)の式(3)で表される化合物は、式(4)で表される公知のカルボン酸誘導体をクロロ蟻酸メチル、クロロ蟻酸フェニル等のクロロ蟻酸エステル類と反応させるという常法によっても製造できる。
【0030】
反応式(1)の式(3)で表される化合物は、式(4)で表される公知のカルボン酸誘導体をN−ヒドロキシコハク酸イミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等と反応させるという常法によっても製造できる。
【0031】
式(1)で表される本発明の化合物は、反応式(2)に記載の方法によっても製造することができる。
反応式(2)
【0032】
【化8】

【0033】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は式(2)と同じ意味を表し、R8は式(4)と同じ意味を表す。]
反応式(2)において、式(2)で表されるジアミン誘導体またはその塩を式(4)で表される公知のカルボン酸誘導体と無溶媒もしくは溶媒中、縮合させることにより、式(1)で表されるジアミン誘導体を製造できる。
【0034】
この場合の縮合剤としては、N,N‘−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾール、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩、2−クロロー1,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド等が使用できる。
【0035】
縮合剤の使用量は式(4)で表される化合物に対し、1〜2当量であり、好ましくは1〜1.2当量である。
【0036】
またこの場合の有機溶媒としては、特に式(1)、式(2)および式(4)と反応しない限り、反応式(1)で示される方法で使用されるものと同様のものが使用できる。
【0037】
式(4)で表されるカルボン酸誘導体の使用量は式(2)で表されるジアミン誘導体に対して1〜2当量、好ましくは1〜1.2当量である。
【0038】
上記反応の反応温度および反応時間は広範囲に変化させることができる。一般的には、反応温度は−20〜200℃であり、好ましくは0〜100℃である。反応時間は0.01〜50時間であり、好ましくは0.1〜15時間である。
【0039】
式(1)で表される本発明の化合物は、反応式(3)に記載の方法によっても製造することができる。
反応式(3)
【0040】
【化9】

【0041】
[式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は式(5)と同じ意味を表し、R1およびXは式(6)と同じ意味を表す。]
反応式(3)において、式(5)で表されるジアミン誘導体またはその塩を式(6)で表される公知の化合物と無溶媒もしくは溶媒中、無塩基もしくは塩基の存在下で反応させることにより、式(1)で表されるジアミン誘導体を製造できる。
【0042】
反応式(3)の式(6)で表される化合物は、対応するアルコール類をホスゲン、トリホスゲン等のホスゲン類、フェニルクロロホルメート等のクロロ蟻酸エステル類等と反応させるという常法により製造できる。
【0043】
また、この場合の塩基としては、反応式(1)で示される方法で使用されるものと同様のものが使用できる。
これらの塩基の使用量は特に制限されるものではなく、上記有機塩基類を用いた場合には溶媒として使用することもできる。
【0044】
また、この場合の有機溶媒としては、特に式(1)、式(5)および式(6)と反応しない限り、反応式(1)で示される方法で使用されるものと同様のものが使用できる。
【0045】
式(6)で表される化合物の使用量は式(5)で表されるジアミン誘導体に対して1〜4当量、好ましくは1〜2当量である。
【0046】
上記反応の反応温度および反応時間は広範囲に変化させることができる。一般的には、反応温度は−20〜200℃であり、好ましくは0〜100℃である。反応時間は0.01〜50時間であり、好ましくは0.1〜15時間である。
【0047】
式(1)で表されるジアミン誘導体は、置換基の種類によっては不斉炭素が存在し、光学異性体、ジアステレオ異性体、ラセミ体および任意の割合の混合物として存在し得る。そして、この種の全ての異性体ならびにその混合物も本発明に包含される。
【0048】
本発明化合物である式(1)で表されるジアミン誘導体を有効成分として含有する植物病害防除剤は、イネのいもち病(Pyricularia oryzae)等に対し、優れた防除効果を示す。
【0049】
本発明化合物である式(1)で表されるジアミン誘導体は、他の植物病害防除剤や殺虫剤、除草剤植物成長調節剤等の農薬、土壌改良剤または肥効性物質との混合使用は勿論のこと、これらとの混合製剤も可能である。
【0050】
本発明の化合物はそのまま使用しても良いが、固体または液体の希釈剤を包含する担体と混合した組成物の形で施用するのが好ましい。ここで言う担体とは処理すべき部位への有効成分の到達を助け、または有効成分化合物の貯蔵、輸送および取り扱いを容易にするために配合される合成または天然の無機または有機物質を意味する。
【0051】
適当な固体担体としては、モンモリロナイト、カオリナイトおよびベントナイト等の粘土類、珪藻土、白土、タルク、バーミュキュライト、石膏、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、硫安等の無機物質、大豆粉、小麦粉等の植物性有機物質および尿素等があげられる。
【0052】
適当な液体担体としては、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族炭化水素類、ケロシン、鉱油などのパラフィン系炭化水素類、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリドン等の非プロトン性極性溶媒および水等があげられる。
【0053】
さらに本発明化合物の効力を増強するために、製剤の剤型、適用場面等を考慮して目的に応じてそれぞれ単独に、または組み合わせて次のような補助剤を使用することもできる。
【0054】
補助剤としては、乳化、分散、拡展、湿潤、結合および安定化などの目的ではリグニンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸塩およびポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミド、ポリオキシアルキレンアルキルチオエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシプロピレンポリオキシエチレンブロックポリマー等の非イオン性界面活性剤、ステアリン酸カルシウム、ワックス等の滑剤、イソプロピルヒドロジエンホスフェート等の安定剤、その他メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カゼイン、アラビアゴム等があげられる。しかし、これらの成分は以上のものに限定されるものではない。
【0055】
本発明化合物の有効成分量は、通常粉剤では0.5〜20重量%、乳剤では5〜50重量%、水和剤では10〜90重量%、粒剤では0.1〜20重量%およびフロアブル製剤では10〜90重量%である。一方それぞれの剤型における担体の量は、通常粉剤では60〜99重量%、乳剤では40〜95重量%、水和剤では10〜90重量%、粒剤では80〜99重量%およびフロアブル製剤では10〜90重量%である。また補助剤の量は、通常粉剤では0.1〜20重量%、乳剤では1〜20重量%、水和剤では0.1〜20重量%、粒剤では0.1〜20重量%およびフロアブル製剤では0.1〜20重量%である。
以下に実施例および試験例で本説明をさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0056】
N−(クロロメチルオキシカルボニル)−N‘−(4−メチルベンゾイル)−3−メチル−1,2−ブタンジアミン(化合物番号1)の合成法
N−(4−メチルベンゾイル)−3−メチル−1,2−ブタンジアミン塩酸塩0.50gのジクロロメタン溶液6mlにトリエチルアミン0.39gを氷冷下で加えた後、クロロギ酸クロロメチル0.25gのジクロロメタン溶液2mlを氷冷下で加え室温で4時間撹拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標記化合物0.43gを白色結晶として得た。
【実施例2】
【0057】
N−(2,2,2−トリフルオロエチルオキシカルボニル)−N‘−(4−メチルベンゾイル)−3−メチル−1,2−ブタンジアミン(化合物番号6)の合成法
2,2,2−トリフルオロエタノール0.42gとトリエチルアミン0.43gの混合液にクロロギ酸4−ニトロフェニル0.78gのジクロロメタン溶液6mlを氷冷下で加えた。反応液を氷冷下で1時間攪拌した後、N−(4−メチルベンゾイル)−3−メチル−1,2−ブタンジアミン塩酸塩0.50gを氷冷下で加えた。トリエチルアミン0.21gを氷冷下で加えた後、反応液を氷冷下で1時間、室温で2時間攪拌した。反応液を室温で1晩放置した後に減圧濃縮し、得られた残渣に酢酸エチル50mlを加え水にて洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、減圧濃縮して固体を得た。得られた固体をジイソプロピルエーテルで洗浄した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標記化合物0.34gを白色結晶として得た。
【実施例3】
【0058】
N−(2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル)−N‘−(4−メチルベンゾイル)−3−メチル−1,2−ブタンジアミン(化合物番号7)の合成法
N−(4−メチルベンゾイル)−3−メチル−1,2−ブタンジアミン塩酸塩0.50gのジクロロメタン溶液5mlにトリエチルアミン0.43gを氷冷下で加えた後、クロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル0.41gを氷冷下で加え室温で4時間撹拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標記化合物0.52gを白色結晶として得た。
【実施例4】
【0059】
N−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピルオキシカルボニル)−N‘−(4−メチルベンゾイル)−3−メチル−1,2−ブタンジアミン(化合物番号8)の合成法
クロロギ酸4−ニトロフェニル0.78gのジクロロメタン溶液6mlに、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール0.65gとトリエチルアミン0.43gの混合液を氷冷下で加えた。反応液を氷冷下で1時間攪拌した後、N−(4−メチルベンゾイル)−3−メチル−1,2−ブタンジアミン塩酸塩0.50gを氷冷下で加えた。反応液を氷冷下で15分攪拌した後、トリエチルアミン0.21gを氷冷下で加えた。反応液を氷冷下で1時間、室温で1時間攪拌した後1晩放置した。反応液にジクロロメタン50mlを加え水にて洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、減圧濃縮して得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標記化合物0.38gを白色結晶として得た。
【実施例5】
【0060】
N−(2−クロロシクロヘキシルオキシカルボニル)−N‘−(4−メチルベンゾイル)−3−メチル−1,2−ブタンジアミン(化合物番号17)の合成法
2−クロロシクロヘキサノール3.33gとピリジン1.96gのジクロロメタン溶液50mlにクロロギ酸4−ニトロフェニル5.00gのジクロロメタン溶液25mlを氷冷下で加えた。反応液を室温で3.5時間攪拌した後、ジクロロメタン100mlを加え飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、減圧濃縮して得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/ヘキサン)で精製し、(2−クロロシクロヘキシル)−(4−ニトロフェニル)カーボネート4.43gを黄色油状物として得た。
【0061】
(2−クロロシクロヘキシル)−(4−ニトロフェニル)カーボネート4.43gのテトラヒドロフラン溶液50mlにN−(4−メチルベンゾイル)−3−メチル−1,2−ブタンジアミン塩酸塩2.00gを氷冷下で加えた。トリエチルアミン0.78gを氷冷下で加えた後、反応液を氷冷下で1時間、室温で2時間攪拌した。反応液を室温で1晩放置した後に減圧濃縮し、得られた残渣に酢酸エチル200mlを加え水にて洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、減圧濃縮して得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標記化合物1.38gを白色結晶として得た。
【0062】
以下に実施例1〜5と同様にして製造できる式(1)で表される化合物を第1表(第1−1表〜第1−3表)に示す。またそのうちのいくつかの物性値を第2表(第2−1表〜第2−9表)に示す。なお、第1表中に記載のMeはメチル基を、Etはエチル基を、n−Prはノルマルプロピル基を、i−Prはイソプロピル基を、cyclohexylはシクロヘキシル基を表すものとする。
【0063】
【化10】

【0064】
【表1−1】

【0065】
【表1−2】

【0066】
【表1−3】

【0067】
【表2−1】

【0068】
【表2−2】

【0069】
【表2−3】

【0070】
【表2−4】

【0071】
【表2−5】

【0072】
【表2−6】

【0073】
【表2−7】

【0074】
【表2−8】

【0075】
【表2−9】

【0076】
製剤例および試験例
次に本発明に係わる植物病害防除剤の製剤例及び植物病害防除活性試験例を示す。以下の説明において「部」とあるのは「重量部」を意味する。
【実施例6】
【0077】
粒剤
本発明化合物(1)30部、ベントナイト22部、タルク45部及びソルポール5060(界面活性剤:東邦化学(株)商品名)3部を均一に混錬し、バスケット造粒機にて造粒した後乾燥させて粒剤100部を得た。
【実施例7】
【0078】
粒剤
本発明化合物(2)15部、ベントナイト60部、タルク21部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1部、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル1部及びリグニンスルホン酸ソーダ2部を混合した後、適量の水を加えて均一に混錬し、バスケット造粒機にて造粒した後乾燥させて粒剤100部を得た。
【実施例8】
【0079】
水和剤
本発明化合物(3)50部、炭酸カルシウム40部、ソルポール5039(アニオン性界面活性剤とホワイトカーボンの混合物:東邦化学(株)商品名)5部及びホワイトカーボン5部を均一に混合粉砕して水和剤とした。
【実施例9】
【0080】
水和剤
本発明化合物(4)30部、カオリナイト63部、ソルポール5039(アニオン性界面活性剤とホワイトカーボンの混合物:東邦化学(株)商品名)5部及びホワイトカーボン2部を均一に混合粉砕して水和剤とした。
【実施例10】
【0081】
乳剤
本発明化合物(5)20部、キシレン55部、N,N−ジメチルホルムアミド20部、ソルポール2680(界面活性剤)5部を均一に混合して乳剤とした。
【実施例11】
【0082】
フロアブル剤
本発明化合物(6)40部、ソルポール3353(非イオン性界面活性剤:東邦化学(株)商品名)5部、ザンサンガムの1%水溶液5部、水40部、エチレングリコール10部のうち有効成分以外の成分を均一に溶解し、ついで本発明化合物を加え、よく攪拌した後、サンドミルにて湿式粉砕し、フロアブル剤を得た。
【実施例12】
【0083】
粉剤
本発明化合物(7)5部、クレー95部を均一に混和し、粉剤を得た。
【実施例13】
【0084】
イネいもち病防除効果試験(散布試験)
イネポット(品種:コシヒカリ;2葉期)に実施例9に準じて、200ppmに調製した水和剤の希釈液で散布し風乾させた。人工気象室(設定条件:22℃、12時間暗光サイクル)に植物を入れ、いもち病胞子懸濁液を噴霧接種した。気象室内を高湿に保ち、7日後に調査を行った。防除価を次式により算出し、以下の表3に示した基準で表示した。結果を第4−1表、第4−2表に示す。
【0085】
【表3】

【0086】
また、対照薬剤はWO2003008372に含まれる以下の式(7)と式(8)のものを使用した。
【0087】
【化11】

【0088】
【化12】

【0089】
【表4−1】

【0090】
【表4−2】

【実施例14】
【0091】
イネいもち病防除効果試験(水面施用)
5000分の1のワグネルポットにイネ(品種:コシヒカリ;3葉期)を移植し、温室内で1週間生育した後、実施例7に準じて調製した粒剤を10アール当たり1.5kgになるように水面施用した。薬剤処理30日後、イネいもち病菌の胞子懸濁液を噴霧接種し、温度25℃で高湿度の条件下に1週間置き病斑数を調査した。防除価は次式により算出し、以下の第5表に示した基準で表示した。結果を第6表(表6)に示す。また対照薬剤は実施例13と同様のものを使用した。
【0092】
【表5】

【0093】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明に係るジアミン誘導体は、イネいもち病に対して優れた防除効果を示すことから、植物病害防除剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】

[式中、R1はハロゲンで置換された炭素数1〜6の炭化水素を表し、R2およびR7はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素またはアシル基を表し、R3およびR4はそれぞれ独立して水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6の炭化水素または置換されていてもよいヘテロアリール基を表すか、あるいは結合している炭素原子を含む炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素を表し、R8は置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基を表す。]で表されるジアミン誘導体。
【請求項2】
R1はハロゲンで置換された炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲンで置換された炭素数3〜6のシクロアルキル基、ハロゲンで置換された炭素数2〜6のアルケニル基またはハロゲンで置換された炭素数3〜6のシクロアルケニル基を表し、R2およびR7はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のシクロアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリール基またはアシル基を表し、R3およびR4はそれぞれ独立して水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のシクロアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基を表すか、あるいは結合している炭素原子を含む炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のシクロアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、置換されていてもよいアリールアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表し、R8は置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基である上記請求項1記載のジアミン誘導体。
【請求項3】
R2およびR7はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリール基またはアシル基を表し、R3およびR4はそれぞれ独立して水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基を表すか、あるいは結合している炭素原子を含む炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されていてもよいアリールアルキル基または置換されていてもよいアリール基である上記請求項2記載のジアミン誘導体。
【請求項4】
R2およびR7はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基またはアシル基を表し、R3およびR4はそれぞれ独立して水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されていてもよいアリールアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表すか、あるいは結合している炭素原子を含む炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である上記請求項3記載のジアミン誘導体。
【請求項5】
R2、R5、R6およびR7が水素原子である上記請求項4記載のジアミン誘導体。
【請求項6】
上記請求項1〜請求項5の何れか一項に記載のジアミン誘導体を有効成分として含有することを特徴とする植物病害防除剤。
【請求項7】
式(2)
【化2】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は請求項1と同じ意味を表す。]で表される化合物を式(3)
【化3】

[式中、R8は請求項1と同じ意味を表し、Xは脱離基を表す。]で表される化合物と反応させることを特徴とする、請求項1記載のジアミン誘導体の製造方法。
【請求項8】
式(2)で表される化合物を式(4)
【化4】

[式中、R8は請求項1と同じ意味を表す。]で表される化合物と縮合させることを特徴とする、請求項1記載のジアミン誘導体の製造方法。
【請求項9】
式(5)
【化5】

[式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は請求項1と同じ意味を表す。]で表される化合物を式(6)
【化6】

[式中、R1は請求項1と同じ意味を表し、Xは脱離基を表す。]で表される化合物と反応させることを特徴とする、請求項1記載のジアミン誘導体の製造方法。

【国際公開番号】WO2005/042474
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【発行日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515112(P2005−515112)
【国際出願番号】PCT/JP2004/015471
【国際出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】