説明

ジアミン誘導体、その製造方法およびそれらを有効成分とする殺菌剤

【課題】イネいもち病に対し優れた防除効果を示すとともに有用作物に対し何ら害を及ぼさない殺菌剤を提供する。
【解決手段】式(1)で表されるジアミン誘導体とその製造法および該化合物を有効成分として含有する殺菌剤。


[式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基等を表し、R2およびR7はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基等を表し、R3およびR4はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基等を表すか[ただしR3とR4がともに水素原子の場合は除く。]、あるいは結合している炭素原子を含む炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基等を表し、R8は置換されていてもよいアリール基等を表し、X1、X2およびX3のうち一つは硫黄原子を示しその他は全て酸素原子を表す。]で表されるジアミン誘導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規なジアミン誘導体とその製造方法、およびそれらを有効成分とする殺菌剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病害虫防除が水稲栽培に於いて果たす役割は大きく、特にイネいもち病は重要な病害として種々の殺菌剤が開発され、利用されている。しかしながら、殺菌活性や有用作物に対する害において必ずしも十分なものはない。また近年、農園芸用殺菌剤の多用により薬剤に対する耐性菌が出現し、既存の薬剤では十分な活性を示さないことがある。さらに、環境問題から安全かつ低濃度で有害菌を防除できる新しい殺菌剤が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、イネいもち病に対し優れた防除効果を示すとともに、有用作物に対し何ら害を及ぼさないジアミン誘導体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決すべく種々の新規なジアミン誘導体を合成し、それらの殺菌活性等について種々検討した。その結果、イネいもち病に対し優れた防除効果を示すとともに、有用作物に対し何ら害を及ぼさないジアミン誘導体を見出し、本発明を完成させた。
【0005】
すなわち本発明は、以下の通りである。
[1].式(1)(化1)
【0006】
【化1】

【0007】
[式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のシクロアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基を表し、R2およびR7はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のシクロアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリール基またはアシル基を表し、R3およびR4はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のシクロアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基を表すか[ただしR3とR4がともに水素原子の場合は除く。]、あるいは結合している炭素原子を含む炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のシクロアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、置換されていてもよいアリールアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表し、R8は置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基を表し、X1、X2およびX3のうち一つは硫黄原子を示しその他は全て酸素原子を表す。]で表されるジアミン誘導体。
[2].上記[1]に記載のジアミン誘導体を有効成分として含有することを特徴とする殺菌剤。
[3].式(2)(化2)
【0008】
【化2】

【0009】
[式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は[1]と同じ意味を表す。]で表される化合物を式(3)(化3)
【0010】
【化3】

【0011】
[式中、R1は[1]と同じ意味を表し、Yは脱離基を表す。]で表される化合物と反応させることを特徴とする、[1]記載の式(1)で表される(但し、X1が硫黄原子でありX2およびX3がそれぞれ酸素原子である)ジアミン誘導体の製造方法。
[4].式(2)(化4)
【0012】
【化4】

【0013】
[式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は[1]と同じ意味を表す。]で表される化合物を式(4)(化5)
【0014】
【化5】

【0015】
[式中、R1は[1]と同じ意味を表し、Yは脱離基を表す。]で表される化合物と反応させることを特徴とする、[1]記載の式(1)で表される(但し、X2が硫黄原子でありX1およびX3がそれぞれ酸素原子である)ジアミン誘導体の製造方法。
[5].式(5)(化6)
【0016】
【化6】

【0017】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は[1]と同じ意味を表す。]で表される化合物を式(6)(化7)
【0018】
【化7】

【0019】
[式中、R1は[1]と同じ意味を表し、Yは脱離基を表す。]で表される化合物と反応させることを特徴とする、[1]記載の式(1)で表される(但し、X1およびX2がそれぞれ酸素原子でありX3が硫黄原子である)ジアミン誘導体の製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るジアミン誘導体は、イネいもち病に対して優れた防除効果を示すことから、農芸用殺菌剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に本発明を詳細に説明する。
式(1)で表されるジアミン誘導体およびその製造方法において、炭素数1〜6のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、アリル基、メタリル基、プロパルギル基、クロロメチル基、2−クロロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、3−クロロ−1−プロピル基、4−クロロ−1−ブチル基等の塩素置換アルキル基、2−フルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基、1,3−ジフルオロ−2−プロピル基、5−フルオロ−1−ペンチル基、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロ−1−ヘキシル基、1−エトキシ−2,2,2−トリフルオロエチル基等のフッ素置換アルキル基、2−ブロモエチル基、1,3−ジブロモ−2−プロピル基等の臭素置換アルキル基、2−ヨードエチル基等のヨウ素置換アルキル基、3−ブロモ−1,1,1−トリフルオロ−2−プロピル基等の2種以上のハロゲンを含むアルキル基等を、炭素数3〜6のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、クロロシクロプロピル基、2−クロロシクロブチル基、2−クロロシクロペンチル基、2−クロロシクロヘキシル基、3−クロロシクロヘキシル基、4−クロロシクロヘキシル基等の塩素置換シクロアルキル基、2−フルオロシクロヘキシル基、2,2,3,3−テトラフルオロシクロプロピル基等のフッ素置換シクロアルキル基、2−ブロモシクロヘキシル基等の臭素置換シクロアルキル基、2−ヨードシクロヘキシル基等のヨウ素置換シクロアルキル基等を、炭素数2〜6のアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、2−クロロ−2−プロペニル基、5−クロロ−4−ペンテニル基等の塩素置換アルケニル基、4,4,4−トリフルオロ−2−ブテニル基、6,6,6−トリフルオロ−5−ヘキセニル基等のフッ素置換アルケニル基等を、炭素数3〜6のシクロアルケニル基としては、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、2−クロロ−2−シクロプロペニル基、3−クロロ−3−シクロペンテニル基、2−クロロ−2−シクロヘキセニル基等の塩素置換シクロアルケニル基、2−フルオロ−2−シクロブテニル基等のフッ素置換シクロアルケニル基等を、炭素数2〜6のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等を、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等を、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、ピリミジル基、チエニル基、フラニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、イソチアゾリル基、イソキサゾリル基、インドリル基、キノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基等を、アシル基としては、アセチル基等のアルキルカルボニル基またはベンゾイル基等のアリールカルボニル基等を、アリール基およびヘテロアリール基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等のアルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基またはシクロヘキシル基等のシクロアルキル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ブロモジフルオロメチル基またはトリフルオロエチル基等のハロゲン置換アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基等のアルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基またはトリフルオロエトキシ基等のハロゲン置換アルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基またはブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基またはジメチルアミノ基等のアルキルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、シクロブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロプロピルアミノ基等のシクロアルキルアミノ基、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基またはジメチルカルバモイル基等のアルキルカルバモイル基、シクロプロピルカルバモイル基、シクロブチルカルバモイル基、シクロペンチルカルバモイル基、シクロヘキシルカルバモイル基、ジシクロプロピルカルバモイル基等のシクロアルキルカルバモイル基、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ブチルカルボニルアミノ基等のアルキルカルボニルアミノ基、シクロプロピルカルボニルアミノ基、シクロブチルカルボニルアミノ基、シクロペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基等のシクロアルキルカルボニルアミノ基、メチルオキシカルボニルアミノ基、エチルオキシカルボニルアミノ基、プロピルオキシカルボニルアミノ基、ブチルオキシカルボニルアミノ基等のアルキルオキシカルボニルアミノ基、シクロプロピルオキシカルボニルアミノ基、シクロブチルオキシカルボニルアミノ基、シクロペンチルオキシカルボニルアミノ基、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ基等のシクロアルキルオキシカルボニルアミノ基、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基またはブチルチオ基等のアルキルチオ基、トリフルオロメチルチオ基、ジフルオロメチルチオ基またはトリフルオロエチルチオ基等のハロゲン置換アルキルチオ基、メタンスルフィニル基、エタンスルフィニル基、プロパンスルフィニル基またはブタンスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基、トリフルオロメタンスルフィニル基、ジフルオロメタンスルフィニル基またはトリフルオロエタンスルフィニル基等のハロゲン置換アルキルスルフィニル基、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基またはブタンスルホニル基等のアルキルスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、ジフルオロメタンスルホニル基またはトリフルオロエタンスルホニル基等のハロゲン置換アルキルスルホニル基、メタンスルホンアミド基、エタンスルホンアミド基、プロパンスルホンアミド基またはブタンスルホンアミド基等のアルキルスルホンアミド基、トリフルオロメタンスルホンアミド基、ジフルオロメタンスルホンアミド基またはトリフルオロエタンスルホンアミド基等のハロゲン置換アルキルスルホンアミド基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子のハロゲン原子、アセチル基またはベンゾイル基等のアシル基をそれぞれ例示することができる。
【0022】
式(3)、式(4)および式(6)で表される化合物において、脱離基としては、塩素原子に代表されるハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基に代表されるアルコキシ基、フェノキシ基、p−ニトロフェノキシ基に代表されるアリールオキシ基、メチルチオ基に代表されるアルキルチオ基ならびにイミダゾール基等をそれぞれ例示することができる。
【0023】
式(1)で表される本発明の化合物は新規化合物である。式(1)で表される化合物においてX1が硫黄原子でありX2およびX3がそれぞれ酸素原子である場合は反応式(1)(化8)記載の方法により製造することができる。
【0024】
【化8】

【0025】
[式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は式(2)(化2)と同じ意味を表し、R1およびYは式(3)(化3)と同じ意味を表す。]
反応式(1)において、式(2)で表されるジアミン誘導体およびその塩を式(3)で表される化合物と無溶媒もしくは溶媒中、無塩基もしくは塩基の存在下で反応させることにより、式(7)で表されるジアミン誘導体を製造できる。
【0026】
反応式(1)で表される反応に用いられる塩基としては、特に式(2)、式(3)および式(7)と反応しない限り、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属類、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化アルカリ土類金属類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコラート類、酸化ナトリウム等のアルカリ金属酸化物類、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の炭酸塩類、燐酸三カリウム、燐酸三ナトリウム、燐酸一水素二カリウム、燐酸一水素二ナトリウム等の燐酸塩類、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の酢酸塩類、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等の有機塩基類等を挙げることができる。
【0027】
これらの塩基の使用量は特に制限されるものではなく、上記有機塩基類を用いた場合には溶媒として使用することもできる。
【0028】
反応式(1)で表される反応に用いられる溶媒としては、特に式(2)、式(3)および式(7)と反応しない限り、水、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の非プロトン性極性溶媒、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類等を挙げることができる。
【0029】
式(3)で表される化合物の当量は式(2)で表される化合物に対し、1〜4当量が好ましく、より好ましくは1〜2当量である。
【0030】
上記反応の反応温度および反応時間は広範囲に変化させることができる。一般的には、反応温度は−20〜200℃が好ましく、より好ましくは0〜100℃、反応時間は0.01〜50時間が好ましく、より好ましくは0.1〜15時間である。
【0031】
反応式(1)の式(2)で表されるアミン誘導体およびその塩は、市販されているもの以外は、例えば、ガブリエル法、デルピン法、シアノ基やアミド、イミン、オキシム等の還元のような公知のアミン合成法やテトラヘドロン・アシンメトリー(Tetrahedron Asymmetry),第11巻,第1907頁(2000年)に記載の方法により、容易に製造できる。
【0032】
反応式(1)の式(3)で表される化合物は、市販されているもの以外は、式(8)(化9)
【0033】
【化9】

【0034】
[式中、R1は式(3)(化3)と同じ意味を表す。]で表される化合物を、ホスゲンあるいはクロロ蟻酸p−ニトロフェニル等のクロロ蟻酸エステル類と反応させるという方法により製造できる。
【0035】
式(1)で表される化合物においてX2が硫黄原子でありX1およびX3がそれぞれ酸素原子である場合は反応式(2)(化10)記載の方法によって製造することができる。
【0036】
【化10】

【0037】
[式中、R2 、R3 、R4 、R5、R6、R7、およびR8は式(2)(化2)と同じ意味を表し、R1およびYは式(4)(化5)と同じ意味を表す。]
反応式(2)において、式(2)で表されるジアミン誘導体およびその塩を式(4)で表される化合物と無溶媒もしくは溶媒中、無塩基もしくは塩基の存在下で反応させることにより、式(9)で表されるジアミン誘導体を製造できる。
【0038】
また、この場合の塩基としては、特に式(2)、式(4)および式(9)と反応しない限り、反応式(1)で示される方法で使用されるものと同様のものが使用できる。
【0039】
これらの塩基の使用量は特に制限されるものではなく、上記有機塩基類を用いた場合には溶媒として使用することもできる。
【0040】
また、この場合の有機溶媒としては、特に式(2)、式(4)および式(9)と反応しない限り、反応式(1)で示される方法で使用されるものと同様のものが使用できる。
【0041】
式(4)で表される化合物の使用量は式(2)で表されるジアミン誘導体に対して1〜4当量、好ましくは1〜2当量である。
【0042】
上記反応の反応温度および反応時間は広範囲に変化させることができる。一般的には、反応温度は−20〜200℃であり、好ましくは0〜100℃である。反応時間は0.01〜50時間であり、好ましくは0.1〜15時間である。
反応式(2)の式(4)で表される化合物は、式(10)(化11)
【0043】
【化11】

【0044】
[式中、R1は式(4)(化5)と同じ意味を表す。]で表される化合物を、チオホスゲンと反応させるという方法により製造できる。
【0045】
反応式(2)の式(4)で表される化合物は、式(9)で表される化合物を、溶媒中塩基存在下において二硫化炭素と反応させた後、ハロゲン化アルキルと反応させるという方法により製造できる。
【0046】
式(1)で表される化合物においてX3が硫黄原子でありX1およびX2がそれぞれ酸素原子である場合は反応式(3)(化12)記載の方法によって製造することができる。
【0047】
【化12】

【0048】
[式中、R2 、R3 、R4 、R5、R6、R7、およびR8は式(5)(化6)と同じ意味を表し、R1およびYは式(6)(化7)と同じ意味を表す。]
反応式(3)において、式(5)で表されるジアミン誘導体およびその塩を式(6)で表される化合物と無溶媒もしくは溶媒中、無塩基もしくは塩基の存在下で反応させることにより、式(11)で表されるジアミン誘導体を製造できる。
【0049】
また、この場合の塩基としては、特に式(5)、式(6)および式(11)と反応しない限り、反応式(1)で示される方法で使用されるものと同様のものが使用できる。
【0050】
これらの塩基の使用量は特に制限されるものではなく、上記有機塩基類を用いた場合には溶媒として使用することもできる。
【0051】
また、この場合の有機溶媒としては、特に式(5)、式(6)および式(11)と反応しない限り、反応式(1)で示される方法で使用されるものと同様のものが使用できる。
【0052】
式(6)で表される化合物の使用量は式(5)で表されるジアミン誘導体に対して1〜4当量、好ましくは1〜2当量である。
【0053】
上記反応の反応温度および反応時間は広範囲に変化させることができる。一般的には、反応温度は−20〜200℃であり、好ましくは0〜100℃である。反応時間は0.01〜50時間であり、好ましくは0.1〜15時間である。
【0054】
式(1)で表されるジアミン誘導体は、置換基の種類によっては不斉炭素が存在し、光学異性体、ジアステレオ異性体、ラセミ体および任意の割合の混合物として存在し得る。この種の全ての異性体ならびにその混合物も本発明に包含される。
【0055】
本発明化合物である式(1)で表されるジアミン誘導体を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤は、イネのいもち病(Pyricularia oryzae)等に対し、優れた防除効果を示す。
【0056】
本発明化合物の使用形態としては、例えば、植物体の地上部に対しての薬剤処理、台木および種子に対しての薬剤処理、土壌処理等による適用が可能である。
【0057】
本発明化合物の使用形態としては、例えば、植物体自体への適用(茎葉散布)、育苗箱への適用(育苗箱施用)、土壌への適用(土壌潅注、土壌混和、側条施用、土壌散布もしくは土壌撒布等の土壌処理)、田面水への適用(水面施用もしくは本田施用)、及び種子への適用(種子処理)等が挙げられる。 本発明化合物である式(1)で表されるジアミン誘導体は、他の殺菌剤や殺虫剤、除草剤植物成長調節剤等の農薬、土壌改良剤または肥効性物質との混合使用は勿論のこと、これらとの混合製剤も可能である。
【0058】
本発明の化合物はそのまま使用しても良いが、固体または液体の希釈剤を包含する担体と混合した組成物の形で施用するのが好ましい。ここで言う担体とは処理すべき部位への有効成分の到達を助け、また有効成分化合物の貯蔵、輸送および取り扱いを容易にするために配合される合成または天然の無機または有機物質を意味する。
【0059】
適当な固体担体としては、モンモリロナイト、カオリナイトおよびベントナイト等の粘土類、珪藻土、白土、タルク、バーミュキュライト、石膏、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、硫安等の無機物質、大豆粉、小麦粉等の植物性有機物質および尿素等があげられる。
【0060】
適当な液体担体としては、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族炭化水素類、ケロシン、鉱油などのパラフィン系炭化水素類、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリドン等の非プロトン性極性溶媒および水等があげられる。
【0061】
さらに本発明の有害生物防除組成物の効力を増強することや、製剤の剤型、適用場面等を考慮してそれぞれ単独に、または組み合わせて次のような補助剤を使用する
こともできる。
【0062】
補助剤としては、乳化、分散、拡展、湿潤、結合および安定化などの目的ではリグニンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸塩およびポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミド、ポリオキシアルキレンアルキルチオエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシプロピレンポリオキシエチレンブロックポリマー等の非イオン性界面活性剤、ステアリン酸カルシウム、ワックス等の滑剤、イソプロピルヒドロジエンホスフェート等の安定剤、その他メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カゼイン、アラビアゴム等があげられる。しかし、これらの成分は以上のものに限定されるものではない。
【0063】
本発明の有害生物防除組成物の有効成分量は、通常粉剤では0.5〜20重量%、乳剤では0.5〜50重量%、水和剤では0.5〜90重量%、粒剤では0.1〜20重量%およびフロアブル製剤では0.5〜90重量%であるが、これらに限定されるものではない。一方それぞれの剤型における担体の量は、通常粉剤では60〜99重量%、乳剤では40〜95重量%、水和剤では10〜90重量%、粒剤では80〜99重量%およびフロアブル製剤では10〜90重量%である。また補助剤の量は、通常粉剤では0.1〜20重量%、乳剤では1〜20重量%、水和剤では0.1〜20重量%、粒剤では0.1〜20重量%およびフロアブル製剤では0.1〜20重量%である。尚、これら担体の量、補助剤の量は限定されるものではなく、製剤の物理化学性、適用場面などを考慮して適宜調節することができる。
【実施例】
【0064】
以下に実施例および試験例で本説明をさらに詳しく説明する。
実施例1 {2−メチル−1−[(4−メチル−ベンゾイルアミノ)−メチル]−プロピル}−チオカルバミン酸 S−エチルエステル(化合物番号1)の合成法
クロロチオ蟻酸エチルエステル0.22gとN−(4−メチルベンゾイル)−3−メチル−1,2−ブタンジアミン塩酸塩0.40gをジクロロメタン10mlに混合させ、室温中でトリエチルアミン0.40gを滴下した。反応液を9時間攪拌させ酢酸エチル150mlを入れた後、水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥し減圧濃縮して、イソプロピルエーテルを加えた後に固体を濾過して表記化合物0.39gを得た。
【0065】
実施例2 {2−メチル−1−[(4−メチル−ベンゾイルアミノ)−メチル]−プロピル}−チオカルバミン酸 S−イソプロピルエステル(化合物番号4)の合成法
トリエチルアミン13.28gをジクロロメタン50mlに溶解させ、氷冷下にてイソプロピルメルカプタン5.00gとクロロ蟻酸p−ニトロフェニル26.46gのジクロロメタン溶液70mlを滴下した。ジクロロメタン50mlを追加し氷冷下で0.5時間攪拌した。反応液を水洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。減圧濃縮して得られた残渣にヘキサンを加え減圧濾過した後、濾液を減圧濃縮してS−イソプロピル−O−(4−ニトロフェニル)−チオカーボネートの粗生成物17.45gを青緑色油状物として得た。
【0066】
S−イソプロピル−O−(4−ニトロフェニル)−チオカーボネートの粗生成物0.93gをテトラヒドロフラン10mlに溶解させ、氷冷下にてN−(4−メチルベンゾイル)−3−メチル−1,2−ブタンジアミン塩酸塩1.00gとトリエチルアミン0.39gを滴下した。氷冷下にて0.5時間、室温で2.5時間攪拌した後、1晩放置した。溶液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物0.43gを白色結晶として得た。
【0067】
実施例3 {2−メチル−1−[(4−メチル−ベンゾイルアミノ)−メチル]−プロピル}−チオカルバミン酸 O−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)エステル(化合物番号14)の合成法
2,2,2−トリフルオロエタノール5.00gをN,N−ジメチルホルムアミド10mlに溶解させ、氷冷下にて60%水素化ナトリウム1.99gをゆっくりと加えた。氷冷下にて0.5時間攪拌させ二硫化炭素3.80gを滴下後1時間攪拌した。氷冷下にてヨウ化メチル7.09gを滴下し1.5時間攪拌させた後、1晩放置した。氷冷下にて水100mlを加え3時間攪拌した後酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄後無水硫酸マグネシウムにて乾燥し減圧濃縮してジチオ炭酸 S−メチルエステル O−(2,2,2−トリフルオロエチル)エステルの粗生成物3.91gを黄色油状物として得た。
【0068】
S−メチルエステル O−(2,2,2−トリフルオロエチル)エステルの粗生成物0.74gをエタノール20mlに溶解させた後、N−(4−メチルベンゾイル)−3−メチル−1,2−ブタンジアミン塩酸塩1.00gとトリエチルアミン0.39gを加え3時間加熱還流し1晩放置した。反応液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標記化合物0.46gを無色油状物として得た。
【0069】
実施例4
{2−メチル―1−[(4−メチル−チオベンゾイルアミノ)−メチル]−ブチル}−カルバミン酸 2,2,2−トリフルオロエチルエステル(化合物番号17)の合成法
{2−メチル―1−[(4−メチル−ベンゾイルアミノ)−メチル]−ブチル}−カルバミン酸 t−ブチルエステル4.00gをトルエン50mlに溶解させローソン試薬2.67gを加え80〜90℃で7時間攪拌した。室温に戻した後、ローソン試薬2.67gを加え80〜90℃で8時間攪拌した。反応液に酢酸エチル200mlを加え水で洗浄後、有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥し減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、{2−メチル―1−[(4−メチル−チオベンゾイルアミノ)−メチル]−ブチル}−カルバミン酸 t−ブチルエステル0.67gを黄色固体として得た。
【0070】
{2−メチル―1−[(4−メチル−チオベンゾイルアミノ)−メチル]−ブチル}−カルバミン酸 t−ブチルエステル0.60gに4N塩化水素酢酸エチル溶液5mlを加え室温で5時間攪拌した。析出した固体を減圧濾過しN−(2−アミノ−3−メチル−ペンチル)−4−メチル−チオベンズアミド塩酸塩0.40gを白色固体として得た。
【0071】
クロロ蟻酸2,2,2−トリフルオロエチル0.06gとN−(2−アミノ−3−メチル−ペンチル)−4−メチル−チオベンズアミド塩酸塩0.10gをジクロロメタン10mlに混合し、室温にてトリエチルアミン0.08gのジクロロメタン溶液5mlを滴下した。室温で9時間攪拌した後、反応液に酢酸エチル150mlを入れて水洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥し減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、{2−メチル―1−[(4−メチル−チオベンゾイルアミノ)−メチル]−ブチル}−カルバミン酸 2,2,2−トリフルオロエチルエステル0.08gを黄色固体として得た。
【0072】
以下に実施例1〜4と同様にして製造できる式(1)で表される化合物を第1表に示す。また物性値を第2表に示す。なお、第1表中に記載のMeはメチル基を、Etはエチル基を、i−Prはイソプロピル基を、i−Buはイソブチル基を、s−Buはセカンダリーブチル基を、t−Buはターシャリーブチル基を、Bnはベンジル基を、c−Hexはシクロヘキシル基を、benzohuran−2−ylはベンゾフラン−2−イル基を表すものとする。
【0073】
【表1−1】

【0074】
【表1−2】

【0075】
【表2−1】

【0076】
【表2−2】

【0077】
製剤例および試験例
次に本発明に係わる殺菌剤の製剤例及び殺菌活性試験例を示す。以下の説明において「部」とあるのは「重量部」または「重量%」を意味する。
【0078】
製剤例1 粒剤
本発明化合物(1)30部、ベントナイト22部、タルク45部、ソルポール5060(界面活性剤:東邦化学(株)商品名)3部及び少量の消泡剤を均一に混錬し、バスケット造粒機にて造粒した後乾燥させて粒剤100部を得た。
【0079】
製剤例2 粒剤
本発明化合物(2)15部、ベントナイト60部、タルク21部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1部、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル1部及びリグニンスルホン酸ソーダ2部を混合した後、適量の水を加えて均一に混錬し、バスケット造粒機にて造粒した後乾燥させて粒剤100部を得た。
【0080】
製剤例3 水和剤
本発明化合物(3)50部、炭酸カルシウム40部、ソルポール5039(アニオン性界面活性剤とホワイトカーボンの混合物:東邦化学(株)商品名)5部及びホワイトカーボン5部を均一に混合粉砕して水和剤とした。
【0081】
製剤例4 水和剤
本発明化合物(4)30部、カオリナイト63部、ソルポール5039(アニオン性界面活性剤とホワイトカーボンの混合物:東邦化学(株)商品名)5部及びホワイトカーボン2部を均一に混合粉砕して水和剤とした。
【0082】
製剤例5 乳剤
本発明化合物(5)20部、キシレン55部、N,N−ジメチルホルムアミド20部、ソルポール2680(界面活性剤)5部を均一に混合して乳剤とした。
【0083】
製剤例6 フロアブル剤
本発明化合物(6)40部、ソルポール3353(非イオン性界面活性剤:東邦化学(株)商品名)5部、ザンサンガムの1%水溶液5部、水40部、エチレングリコール10部のうち有効成分以外の成分を均一に溶解し、ついで本発明化合物を加え、よく攪拌した後、サンドミルにて湿式粉砕し、フロアブル剤を得た。
【0084】
製剤例7 粉剤
本発明化合物(7)5部、クレー95部を均一に混和し、粉剤を得た。
【0085】
試験例1 イネいもち病防除効果試験(散布試験)
1/5000aのイネポット(品種:コシヒカリ;4葉期)3ポットに有効成分濃度200ppmに調製した薬液を散布した。散布1日後に人工気象室(設定条件:25℃、12時間明暗サイクル)に入れ、いもち病菌胞子懸濁液を噴霧接種した。気象室内を高湿に保ち、7日後にいもち病病斑数を調査し、下記の計算式にて防除価を算出し(3連制)、以下の基準(表3)で表示した。結果を第3表(表4)に示す。
防除価=(1−処理区の病斑数/無処理区の病斑数)×100
【0086】
【表3】

【0087】
また、対照薬剤は以下のものを使用した。
式(12):(化13)
式(13):(化14)
【0088】
【化13】

【0089】
【化14】

【0090】
【表4】

【0091】
試験例2 イネいもち病防除効果試験(水面施用)
1/5000aのイネポット(品種:コシヒカリ;3葉期)3ポットに10アール当たり有効成分1kgになるように水面施用した。処理14日後に人工気象室(設定条件:25℃、12時間明暗サイクル)に入れ、いもち病菌胞子懸濁液を噴霧接種した。気象室内を高湿に保ち、7日後にいもち病病斑数を調査し、下記の計算式にて防除価を算出し(3連制)、以下の基準(表5)で表示した。結果を第4表(表6)に示す。また対照薬剤は試験例1と同様のものを使用した。
防除価=(1−処理区の病斑数/無処理区の病斑数)×100
【0092】
【表5】

【0093】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)(化1)
【化1】

[式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のシクロアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基を表し、R2およびR7はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のシクロアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリール基またはアシル基を表し、R3およびR4はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のシクロアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基を表すか[ただしR3とR4がともに水素原子の場合は除く。]、あるいは結合している炭素原子を含む炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のシクロアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、置換されていてもよいアリールアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表し、R8は置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基を表し、X1、X2およびX3のうち一つは硫黄原子を示しその他は全て酸素原子を表す。]で表されるジアミン誘導体。
【請求項2】
R1は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基を表し、R2およびR7はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいアリール基またはアシル基を表し、R3およびR4はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、置換されていてもよいアリールアルキル基、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基を表し[ただしR3とR4がともに水素原子の場合は除く。]、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基または置換されていてもよいアリールアルキル基である上記請求項1記載のジアミン誘導体。
【請求項3】
R1は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基または置換されていてもよいアリールアルキル基を表し、R2およびR7はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基またはアシル基を表し、R3およびR4はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、置換されていてもよいアリールアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表し[ただしR3とR4がともに水素原子の場合は除く。]、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である上記請求項2記載のジアミン誘導体。
【請求項4】
R2およびR7が水素原子である上記請求項3記載のジアミン誘導体。
【請求項5】
上記請求項1〜請求項4の何れか一項に記載のジアミン誘導体を有効成分として含有することを特徴とする殺菌剤。
【請求項6】
式(2)(化2)
【化2】

[式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は請求項1と同じ意味を表す。]で表される化合物を式(3)(化3)
【化3】

[式中、R1は請求項1と同じ意味を表し、Yは脱離基を表す。]で表される化合物と反応させることを特徴とする、請求項1記載の式(1)で表される(但し、X1が硫黄原子でありX2およびX3がそれぞれ酸素原子である)ジアミン誘導体の製造方法。
【請求項7】
式(2)(化4)
【化4】

[式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は請求項1と同じ意味を表す。]で表される化合物を式(4)(化5)
【化5】

[式中、R1は請求項1と同じ意味を表し、Yは脱離基を表す。]で表される化合物と反応させることを特徴とする、請求項1記載の式(1)で表される(但し、X2が硫黄原子でありX1およびX3がそれぞれ酸素原子である)ジアミン誘導体の製造方法。
【請求項8】
式(5)(化6)
【化6】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は請求項1と同じ意味を表す。]で表される化合物を式(6)(化7)
【化7】

[式中、R1は請求項1と同じ意味を表し、Yは脱離基を表す。]で表される化合物と反応させることを特徴とする、請求項1記載の式(1)で表される(但し、X1およびX2がそれぞれ酸素原子でありX3が硫黄原子である)ジアミン誘導体の製造方法。

【公開番号】特開2008−37796(P2008−37796A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−214199(P2006−214199)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】