説明

ジアルキルトリスルフィドの製造方法

【課題】ジアルキルポリスルフィドとアルキルメルカプタンとを、触媒の存在下で反応させるジアルキルトリスルフィドの製造方法であって、しかも、反応終了後の触媒の除去を容易に短時間で行うことが可能な製造方法を提供すること。
【解決手段】結合硫黄原子数の平均が4以上のジアルキルポリスルフィド(A)と、アルキルメルカプタン(B)とを、環状アミン化合物(C)、好ましくは4〜7員環で窒素原子を1〜3個含有する飽和環状アミンであって、液状またはアルコール系溶媒(E)に溶解させた環状アミン化合物の存在下で反応させた後、環状アミン化合物(C)をアルコール系溶媒(D)、好ましくは沸点100℃以下のアルコール系溶媒中に抽出して除去するジアルキルトリスルフィドの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジアルキルポリスルフィドとアルキルメルカプタンの反応によるジアルキルトリスルフィドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
結合硫黄原子数の平均が4以上のジアルキルポリスルフィドと、アルキルメルカプタンとを、触媒存在下で反応させるジアルキルトリスルフィドを製造する方法としては、アルミナ系触媒、アルカリ(土類)金属変性シリカ系触媒、亜鉛系触媒等の固体触媒存在下で反応させたる方法(例えば、特許文献1参照)や、このような製造方法において触媒を分割添加する方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0003】
前記特許文献1や2に記載されている製造方法では、反応後にろ過等による触媒の除去が必須である。しかしながら、これらの製造方法で用いた触媒のろ過には、例えば、触媒使用量が10g以下の実験室内での試作の場合でも5時間以上、工業生産の場合では3日間以上という長時間のろ過時間が必要であり、生産性が低いという問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開平05−194372号公報
【特許文献2】特開2003−002876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ジアルキルポリスルフィドとアルキルメルカプタンとを、触媒の存在下で反応させるジアルキルトリスルフィドの製造方法であって、しかも、反応終了後の触媒の除去を容易に短時間で行うことが可能な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、このような実状に鑑み、鋭意検討した結果、ジアルキルポリスルフィドとアルキルメルカプタンとを反応させる際に、触媒としてアミン化合物を用いることによりアルコール系溶媒中に抽出することにより容易に短時間で除去できること、アミン化合物としてトリエチルアミン、トリブチルアミン、ピロール、ジブチルアミン、ブチルアミン等の非環状アミン化合物を用いた場合ではジアルキルトリスルフィドの収率は低いが、環状アミン化合物を用いた場合には、前記特許文献1や2に記載の固体触媒を用いた場合と同等の高い収率でジアルキルトリスルフィドが得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、結合硫黄原子数の平均が4以上のジアルキルポリスルフィド(A)と、アルキルメルカプタン(B)とを、環状アミン化合物(C)の存在下で反応させた後、環状アミン化合物(C)をアルコール系溶媒(D)中に抽出して除去することを特徴とするジアルキルトリスルフィドの製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法は、触媒として環状アミン化合物(C)を用いているため、環状アミン化合物(C)をアルコール系溶媒(D)中に抽出することにより容易に短時間で除去することが可能であり、従来の製造方法に比べて高い生産効率でアルキルトリスルフィドを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明における結合硫黄原子数の平均が4以上のジアルキルポリスルフィド(A)としては、例えばジアルキルテトラスルフィド、ジアルキルペンタスルフィド、ジアルキルヘキサスルフィド、ジアルキルヘプタスルフィド等が挙げられる。前記ジアルキルポリスルフィド(A)は、結合硫黄原子数4以上のジアルキルポリスルフィドのみから構成されていても良いが、結合硫黄原子数の平均が4以上となる様に、これに結合硫黄原子数4未満のジアルキルポリスルフィドが一部含まれている混合物でも良い。結合硫黄原子数4未満のジアルキルポリスルフィドとしては、ジアルキルトリスルフィド、ジアルキルジスルフィドが挙げられる。
【0010】
前記ジアルキルポリスルフィド(A)としては、直鎖アルキル基または分岐アルキル基を有する結合総炭素原子数3〜20であるものが挙げられる。具体的には、ジn−ブチルポリスルフィド、ジt−ブチルポリスルフィド、1,1,3,3−テトラメチルブチルポリスルフィド、ジn−オクチルポリスルフィド、ジ2−エチルヘキシルポリスルフィド、ジn−ドデシルポリスルフィド、ジt−ドデシルポリスルフィド、ジn−ステアリルポリスルフィド、ジイソステアリルポリスルフィド等が挙げられる。
【0011】
一方、アルキルメルカプタン(B)としては、直鎖アルキル基または分岐アルキル基を有する結合総炭素原子数3〜20であるものが挙げられる。具体的には、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、2−エチルヘキシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン、ジイソステアリルメルカプタン等が挙げられる。
【0012】
本発明の製造方法における前記ジアルキルポリスルフィド(A)とアルキルメルカプタン(B)の環状アミン化合物(C)の存在下での反応を模式的に示すと、以下の従来公知の反応式(1)のようになる。
【0013】
【化1】

〔反応式(1)中、二つのRおよび一つのRは、硫黄原子に結合した、各々同一でも異なっていても良いアルキル基である。これらRおよびRの各アルキル基は、直鎖でも分岐でも良い。RとRの炭素原子合計は16〜30である。〕
【0014】
本発明では、製造されるジアルキルトリスルフィドの結合総炭素原子数が16〜30、好ましくは18〜24となる様に、原料である前記ジアルキルポリスルフィド(A)とメルカプタン(B)とを選択することが好ましい。製造されるジアルキルトリスルフィドは、二つのアルキル基を有するが、これらは、同一の炭素原子数のアルキル基であっても、各々異なる炭素原子数のアルキル基であっても良い。
【0015】
本発明の製造方法における前記ジアルキルポリスルフィド(A)とアルキルメルカプタン(B)との使用割合は、前記反応式(1)に従って選択すれば良いが、生成物中の残留アルキルメルカプタン(B)の除去が容易で、生成物の臭気も弱くなることから、前記ジアルキルポリスルフィド(A)1モル当たりアルキルメルカプタン(B)1〜2モル使用することが好ましい。
【0016】
本発明では、触媒として環状アミン化合物(C)が使用される。前記環状アミン化合物(C)としては、後記するアルコール系溶媒(D)による抽出が可能なアルコール系溶媒であればよく、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、キヌクリジン、モルホリン、N−メチルピロリジン、2−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N−メチル−4−アミノピペリジン、N−メチル−4−ヒドロキシルピペリジン、4−ヒドロキシピペリジン、2−メチルピペリジン、N−メチルピペラジン、N−エチルピペラジン、N,N−ジメチルピペラジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。これら環状アミン化合物の中でも、触媒活性が高いことから、4〜7員環で窒素原子を1〜3個含有する飽和環状アミンが好ましく、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジンがより好ましい。
【0017】
前記環状アミン化合物(C)は、前記ジアルキルポリスルフィド(A)とアルキルメルカプタン(B)の反応の際に系内に存在していればよく、その添加方法は特に限定されないが、反応に必要な環状アミン化合物(C)の総量を一括または分割した上で、ジアルキルポリスルフィド(A)とアルキルメルカプタン(B)とを含む反応系に添加する方法等が挙げられる。
【0018】
前記環状アミン化合物(C)の添加方法としては、なかでもアルキルメルカプタン(B)の転化率が格段に向上することから、環状アミン化合物(C)が液状で存在するように添加する方法が好ましい。具体的には、液状または固形の環状アミン化合物(C)をアルコール系溶媒(E)に溶解させた溶液として反応系内に添加する方法、液状または固形の環状アミン化合物(C)とアルコール系溶媒(E)をそれぞれ反応系内に添加し、反応系内で環状アミン化合物(C)をアルコール系溶媒(E)に溶解させて液状とする方法、液状の環状アミン化合物(C)を反応系内にそのまま添加する方法等が好ましい。
【0019】
前記環状アミン化合物(C)の使用量としては、反応後の除去が容易であることから、ジアルキルポリスルフィド(A)100重量部当たり、0.1〜6重量部であることが好ましく、0.5〜3.0重量部であることがより好ましい。
【0020】
前記アルコール系溶媒(E)としては、環状アミン化合物(C)を溶解するものであればよく、特に限定されないが、反応時に系外に留出して失われることがなく、反応温度を抑制する必要もないことから、前記ジアルキルポリスルフィド(A)とアルキルメルカプタン(B)の反応温度よりも高い沸点を有するアルコール系溶媒、例えば、沸点150℃以上のアルコール系溶媒、より具体的には沸点150〜250℃のアルコール系溶媒が好ましい。アルコール系溶媒(E)の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0021】
前記アルコール系溶媒(E)は、二種以上組み合わせてもよく、その使用量としては、アルキルメルカプタンの転化率向上効果を確保し、反応後の除去を容易にするから、環状アミン化合物(C)100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部である。
【0022】
本発明の製造方法における反応温度は、通常70〜140℃、好ましくは100〜40℃である。この範囲であれば、アルキルメルカプタン(B)の転化率とジアルキルトリスルフィドの収量はいずれも高く、生成物の臭気もより弱くなる。反応時間は、通常2〜24時間、好ましくは2〜10時間である。本発明の製造方法では、加圧を特段に行うことなく反応を行うことが出来るので安全性が高い。
【0023】
本発明では、ジアルキルトリスルフィドの生成に伴って生じるHS(硫化水素)を反応系から解き放つことが好ましい。同一の環状アミン化合物を同量用いて、同一の反応条件で前記ジアルキルポリスルフィド(A)とアルキルメルカプタン(B)を反応させた場合では、不活性ガスを反応系に通気してHS(硫化水素)を反応系から解き放ちながら反応させると、通気しない場合より、同等転化率で同等ジアルキルトリスルフィド収量での比較では、環状アミン化合物(C)の使用量をより低減することができるので好ましい。この際の不活性ガスとしては、例えば、窒素、ヘリウム等が挙げられる。
【0024】
同一アルキルメルカプタン(B)の転化率での比較では、不活性ガスを通気した場合の環状アミン化合物(C)の使用量は、通気しない場合に対して2/3〜3/4とすることができる。アルキルメルカプタン(B)の転化率が高い範囲としては、不活性ガスを通気する際にはジアルキルポリスルフィド(A)100重量部当たり、環状アミン化合物(C)の使用量が1〜3重量部となるの範囲であり、不活性ガスを通気しない際にはポリスルフィド100重量部当たり、環状アミン化合物(C)の使用量が2〜4重量部となる範囲である。
【0025】
本発明の製造方法で得られる生成物は、一般的に、対応するジスルフィド、同トリスルフィド、同テトラスルフィドを主成分として含む。
【0026】
本発明で得られるジアルキルトリスルフィドとしては、直鎖アルキル基または分岐アルキル基を有する結合総炭素原子数16〜30であるものが好ましい。勿論、二つのアルキル基は炭素原子数が同じの対称型ジアルキルトリスルフィドであっても良いが、二つのアルキル基の炭素原子数が相異なる非対称型ジアルキルトリスルフィドであっても良い。具体的には例えば、ジn−オクチルトリスルフィド、ジn−ドデシルトリスルフィド、ジt−ドデシルトリスルフィド、ジn−ステアリルトリスルフィド、ジイソステアリルトリスルフィド、1,1,3,3−テトラメチルブチル−t−ドデシルトリスルフィド等が挙げられる。金属腐食性の低い不活性さが要求される用途においては、結合総炭素原子数が18〜24のジアルキルトリスルフィドが好ましい。
【0027】
本発明の製造方法では、前記ジアルキルポリスルフィド(A)と、アルキルメルカプタン(B)とを、環状アミン化合物(C)の存在下で反応させた後、環状アミン化合物(C)をアルコール系溶媒(D)中に抽出して除去する。
【0028】
この際に用いるアルコール系溶媒(D)としては、ジアルキルトリスルフィドを溶解できるものであればよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ドデシルアルコール、オレイルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。これらの中でも、蒸留により容易に除去できることから、沸点100℃以下のアルコール系溶媒が好ましく、メタノールが最も好ましい。
【0029】
本発明の製造方法における前記ジアルキルポリスルフィド(A)、アルキルメルカプタン(B)および生成物たるジアルキルトリスルフィドは、予め質量分析(マススペクトル;MS)や核磁気共鳴スペクトル(NMR)で同定することができる。
【0030】
本発明では、反応の任意の段階で、前記ジアルキルポリスルフィド(A)、アルキルメルカプタン(B)およびジアルキルトリスルフィドを含む反応混合物をサンプリングし、これを各種クロマトグラフ分析や滴定分析することで、アルキルメルカプタン(B)の転化率(重量%)やジアルキルトリスルフィドの収量(モル%)を求めることができる。アルキルメルカプタン(B)の転化率は、JIS K2276に定められるメルカプタン硫黄分分析方法(電位差滴定方法)により、一方、ジアルキルトリスルフィドの収量は、予め作成した検量線に基づいて、そのピーク強度または軌跡から求められる面積から求めることができる。これらの手法により反応混合物中の前記ジアルキルポリスルフィド(A)、アルキルメルカプタン(B)およびジアルキルトリスルフィドを含む生成物の個々の成分の含有率の経時変化を追跡することができ、前記ジアルキルポリスルフィド(A)、アルキルメルカプタン(B)およびジアルキルトリスルフィドの含有率が変化しなくなった点を、反応の終点と定めることができる。
【0031】
反応後、反応系内に含有されている環状アミン化合物(C)を除去する方法としては、環状アミン化合物(C)をアルコール系溶媒(D)中に抽出して除去する方法であればよく、例えば、前記ジアルキルポリスルフィド(A)と、アルキルメルカプタン(B)とを、環状アミン化合物(C)の存在下で反応させてジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物を得た後、アルコール系溶媒(D)と混合して環状アミン化合物(C)をアルコール系溶媒(D)中に抽出し、次いで静置して環状アミン化合物(C)を含むアルコール系溶媒(D)層とジアルキルトリスルフィドを含む生成物層に二層分離させた後、環状アミン化合物(C)を含むアルコール系溶媒(D)層を分離する方法等が挙げられる。このようにして得られるジアルキルトリスルフィドを含む生成物には、少量のアルコール系溶媒(D)が含有されているため、必要により蒸留等の方法でアルコール系溶媒(D)を除去することが好ましい。このような環状アミン化合物(C)の除去方法を採用することにより、効率よく短時間で環状アミン化合物(C)の除去を行うことができる。この際には、未反応のアルキルメルカプタン(B)とアルコール系溶媒(E)も同時に除去される。
【0032】
前記したアルコール系溶媒(D)中への抽出による環状アミン化合物(C)の除去方法に要する時間は、通常30分〜8時間、好ましくは60分〜6時間であり、この除去方法中におけるジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物とアルコール系溶媒(D)の混合に要する時間は、通常15〜90分間、好ましくは30〜60分間である。
【0033】
前記のように環状アミン化合物(C)を除去して得られるジアルキルトリスルフィドを含む生成物は、少量のアルコール系溶媒(D)や水分を含有するため、必要に応じて、蒸留等の方法でこれらを除去することができる。
【0034】
こうして得られるジアルキルトリスルフィドを含む生成物は、極圧添加剤として、公知慣用の用途、例えば研削液、切削液の調製に使用することができる。
【実施例】
【0035】
以下に実施例を用いて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、アルキルメルカプタン転化率およびジアルキルトリスルフィド収率は、以下の通りに測定した。
【0036】
・アルキルメルカプタン転化率:JIS K2276のメルカプタン硫黄分分析方法(電位差滴定方法)に準拠してS:メルカプタン硫黄分より算出した後、下記計算式により、アルキルメルカプタン転化率(重量%)を算出した。
アルキルメルカプタン転化率(重量%)=〔1−(T/仕込量)〕×100
T(生成物中のアルキルメルカプタン残存量)
=S×(アルキルメルカプタン分子量)/32(硫黄分子量)
【0037】
・ジアルキルトリスルフィド収率(モル%):FD−MSスペクトルにより、生成するジアルキルポリスルフィドの硫黄鎖長分布を測定し、各ジスルフィド、トリスルフィド、テトラスルフィドの面積百分率から求めた。測定機器は、イオン化法:FD法(電界脱離イオン化法)、検出器:二重収束型である。
【0038】
実施例1
1リットルのフラスコに、ジ−t−ドデシルポリスルフィド(平均硫黄鎖長=4.0、ジ−t−ドデシルトリスルフィド含有率=30.1モル%、以下、TDPSと略す。)200g、t−ドデシルメルカプタン152g(以下、TDMと略す。TDPS1モルに対するモル数=1.74モル)、ピペラジン4gおよびジエチレングリコールモノブチルエーテル4gを仕込み、吹き込み管から窒素ガスを吹き込みながら、反応温度120℃で6時間反応させた後、さらにピペラジン2gを添加して120℃で6時間反応させた。40℃に冷却後、吹き込み管から空気を吹き込み、残留硫化水素を除去して、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物350gを得た。
【0039】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物350gに対してメタノール100gを追加し、30分間攪拌してピペラジンをメタノール中に抽出した後、15分間静置して、ピペラジンを含むメタノール層とジアルキルトリスルフィドを含む生成物層に二層分離させた後、15分間を要してメタノール層を分離し、次いで、得られたジアルキルトリスルフィドを含む生成物層中に残留しているメタノールを減圧留去することで、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物329gを得た。メタノールの減圧留去に要した時間は30分間であり、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物からジアルキルトリスルフィドを含む生成物を得るのに要した時間の合計は90分間であった。また、TDMの転化率は95.0重量%、生成物中のトリスルフィド収率は75モル%であった。
【0040】
実施例2
TDPS200gおよびTDM152gの代わりに、ジ−t−ノニルポリスルフィド(以下、TNPSと略す。)200gおよびTDM185g(TNPS1モルに対するモル数=1.76モル)を用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物376gを得た。
【0041】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物376gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物350gを得た。TDMの転化率は90.0重量%であった。
【0042】
実施例3
TDM152gの代わりに、t−ノニルメルカプタン120g(以下、TNMと略す。TDPS1モルに対するモル数=1.44モル)を用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物315gを得た。
【0043】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物315gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物296gを得た。TNMメルカプタンの転化率は97.0重量%であった。
【0044】
実施例4
TDPS200gおよびTDM152gの代わりに、ジ−t−オクチルポリスルフィド(平均硫黄鎖長=4.4、ジ−t−オクチルトリスルフィド含有率=1.1モル%、以下、TOPSと略す。)200gおよびTDM152g(TOPS1モルに対するモル数=1.44モル)を用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物357gを得た。
【0045】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物357gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物338gを得た。TDMの転化率は98.0重量%であった。
【0046】
実施例5
TDPS200gおよびTDM152gの代わりに、TOPS200gおよびTDM194g(TOPS1モルに対するモル数=1.85モル)を用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物378gを得た。
【0047】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物378gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物368gを得た。TDMの転化率は92.1重量%であった。
【0048】
実施例6
TDPS200gおよびTDM152gの代わりに、TOPS200gおよびTDM200g(TOPS1モルに対するモル数=1.91モル)を用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物382gを得た。
【0049】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物382gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物368gを得た。TDMの転化率は88.5重量%、生成物中のトリスルフィド収率は76モル%であった。
【0050】
実施例7
TDPS200gおよびTDM152gの代わりに、TOPS200gおよびTDM210g(TOPS1モルに対するモル数=2.00モル)を用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物395gを得た。
【0051】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物395gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物372gを得た。TDMの転化率は87.5重量%であった。
【0052】
実施例8
TDPS200gおよびTDM152gの代わりに、TOPS200gおよびTDM200g(TOPS1モルに対するモル数=1.91モル)を用い、かつ、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの使用を省略した以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物381gを得た。
【0053】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物381gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物242gを得た。TDMの転化率は40.1重量%であった。なお、本実施例は、触媒として添加したピペラジンをジエチレングリコールモノブチルエーテルの溶解させずに固体状態のままで用いた実施例である。
【0054】
実施例9
TDPS200gおよびTDM152gの代わりにTOPS200gおよびTDM200g(TOPS1モルに対するモル数=1.91モル)を用い、また、ピペラジン6g(ピペラジン4gとピペラジン2gに分割して添加)の代わりにピロリジン6g(ピロリジン4gとピロリジン2gに分割して添加)を用い、かつ、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの使用を省略した以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物379gを得た。
【0055】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物379gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物342gを得た。TDMの転化率は73.1重量%であった。なお、本実施例は、触媒として添加したピロリジンが液状であるため、ジエチレングリコールモノブチルエーテルに溶解させずに用いた実施例である。
【0056】
実施例10
TDPS200gおよびTDM152gの代わりにTOPS200gおよびTDM200g(TOPS1モルに対するモル数=1.91モル)を用い、また、ピペラジン6g(ピペラジン4gとピペラジン2gに分割して添加)の代わりにピペリジン6g(ピペリジン4gとピペリジン2gに分割して添加)を用い、かつ、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの使用を省略した以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物373gを得た。
【0057】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物373gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物302gを得た。TDMの転化率は59.3重量%であった。なお、本実施例は、触媒として添加したピペリジンが液状であるため、ジエチレングリコールモノブチルエーテルに溶解させずに用いた実施例である。
【0058】
実施例11
TDPS200gおよびTDM152gの代わりにTOPS200gおよびTDM200g(TOPS1モルに対するモル数=1.91モル)を用い、また、ピペラジン6g(ピペラジン4gとピペラジン2gに分割して添加)の代わりにN−エチルピペラジン6g(N−エチルピペラジン4gとN−エチルピペラジン2gに分割して添加)を用い、かつ、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの使用を省略した以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物380gを得た。
【0059】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物380gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物282gを得た。TDMの転化率は49.3重量%であった。なお、本実施例は、触媒として添加したN−エチルピペラジンが液状であるため、ジエチレングリコールモノブチルエーテルに溶解させずに用いた実施例である。
【0060】
実施例12
TDPS200gおよびTDM152gの代わりにTOPS200gおよびTDM200g(TOPS1モルに対するモル数=1.91モル)を用い、また、ピペラジン6g(ピペラジン4gとピペラジン2gに分割して添加)の代わりにN−メチルピペリジン6g(N−メチルピペリジン4gとN−メチルピペリジン2gに分割して添加)を用い、かつ、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの使用を省略した以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物368gを得た。
【0061】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物368gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物266gを得た。TDMの転化率は44.3重量%であった。なお、本実施例は、触媒として添加したN−メチルピペリジンが液状であるため、ジエチレングリコールモノブチルエーテルに溶解させずに用いた実施例である。
【0062】
実施例13
TDPS200gおよびTDM152gの代わりに、TOPS200gおよびTDM200g(TOPS1モルに対するモル数=1.91モル)を用い、かつ、ジエチレングリコールモノブチルエーテル4gの代わりにエチレングリコール4gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物382gを得た。
【0063】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物382gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物346gを得た。TDMの転化率は73.4重量%であった。
【0064】
実施例14
TDPS200gおよびTDM152gの代わりに、TOPS200gおよびTDM200g(TOPS1モルに対するモル数=1.91モル)を用い、かつ、ジエチレングリコールモノブチルエーテル4gの代わりにエチレングリコールモノブチルエーテル4gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物377gを得た。
【0065】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物377gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物354gを得た。TDMの転化率は79.8重量%であった。
【0066】
実施例15
TDPS200gおよびTDM152gの代わりに、TOPS200gおよびTDM200g(TOPS1モルに対するモル数=1.91モル)を用い、かつ、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの使用量を1gに変更した以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物373gを得た。
【0067】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物373gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物334gを得た。TDMの転化率は68.5重量%であった。
【0068】
実施例16
TDPS200gおよびTDM152gの代わりに、TOPS200gおよびTDM200g(TOPS1モルに対するモル数=1.91モル)を用い、かつ、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの使用量を20gに変更した以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物400gを得た。
【0069】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物400gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物364gを得た。TDMの転化率は89.0重量%であった。
【0070】
実施例17
TDPS200gおよびTDM152gの代わりに、TOPS200gおよびTDM200g(TOPS1モルに対するモル数=1.91モル)を用い、かつ、ジエチレングリコールモノブチルエーテル4gの代わりにジエチレングリコールモノメチルエーテル4gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物379gを得た。
【0071】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物379gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物372gを得た。TDMの転化率は93.0重量%であった。
【0072】
実施例18
TDPS200gおよびTDM152gの代わりに、TOPS200gおよびTDM200g(TOPS1モルに対するモル数=1.91モル)を用い、かつ、ピペラジンの使用量を1gに変更した以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物371gを得た。
【0073】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物371gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物306gを得た。TDMの転化率は61.7重量%であった。
【0074】
実施例19
TDPS200gおよびTDM152gの代わりに、TOPS200gおよびTDM200g(TOPS1モルに対するモル数=1.91モル)を用い、かつ、ピペラジンの使用量を12gに変更した以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物395gを得た。
【0075】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物395gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物374gを得た。TDMの転化率は92.0重量%であった。
【0076】
比較例1
1リットルのフラスコに、TDPS200g、TDM152g(TDPS1モルに対するモル数=1.74モル)、酸化マグネシウム4gを仕込み、吹き混み管から窒素ガスを吹き込みながら、反応温度70℃で6時間反応させた後、酸化マグネシウム4gを追加して3時間反応させ、更に酸化マグネシウム4gを追加して3時間反応させた。次いで、40℃に冷却し、吹き込み管から空気を吹き混み、残留硫化水素を除去して、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物338gを得た。
【0077】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物338gを、5Bのろ紙を用いて吸引ろ過して酸化マグネシウムを分離し、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物311gを得た。ろ過に要した時間は6時間であった。また、TDMの転化率は96.0重量%、生成物中のトリスルフィド収率は76モル%であった。
【0078】
比較例2
酸化マグネシウム12g(酸化マグネシウムを4gづつ3分割して添加)の代わりに、
γ−アルミナ(γ−Al)12g(γ−アルミナを4gづつ3分割して添加)を用いた以外は比較例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物331gを得た。
【0079】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物331gを、5Bのろ紙を用いて吸引ろ過してγ−アルミナを分離し、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物291gを得た。ろ過に要した時間は6時間であった。また、TDMの転化率は69.0重量%、生成物中のトリスルフィド収率は57モル%であった。
【0080】
比較例3
ピペラジン6g(ピペラジン4gとピペラジン2gに分割して添加)の代わりに、トリエチルアミン6g(トリエチルアミン4gとトリエチルアミン2gに分割して添加)を用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物322gを得た。
【0081】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物322gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物212gを得た。TDMの転化率は10.0重量%、生成物中のトリスルフィド収率は35モル%であった。
【0082】
比較例4
TDPS200gおよびTDM152gの代わりにTOPS200gおよびTDM200g(TOPS1モルに対するモル数=1.91モル)を用い、かつ、ピペラジン6g(ピペラジン4gとピペラジン2gに分割して添加)の代わりにトリブチルアミン6g(トリブチルアミン4gとトリブチルアミン2gに分割して添加)を用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物351gを得た。
【0083】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物351gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物206gを得た。TDMの転化率は1.0重量%であった。
【0084】
比較例5
TDPS200gおよびTDM152gの代わりにTOPS200gおよびTDM200g(TOPS1モルに対するモル数=1.91モル)を用い、かつ、ピペラジン6g(ピペラジン4gとピペラジン2gに分割して添加)の代わりにピロール6g(ピロール4gとピロール2gに分割して添加)を用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物360gを得た。
【0085】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物360gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物234gを得た。TDMの転化率は24.6重量%であった。
【0086】
比較例6
TDPS200gおよびTDM152gの代わりにTOPS200gおよびTDM200g(TOPS1モルに対するモル数=1.91モル)を用い、かつ、ピペラジン6g(ピペラジン4gとピペラジン2gに分割して添加)の代わりにジブチルアミン6g(ジブチルアミン4gとジブチルアミン2gに分割して添加)を用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物363gを得た。
【0087】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物363gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物241gを得た。TDMの転化率は34.7重量%であった。
【0088】
比較例7
TDPS200gおよびTDM152gの代わりにTOPS200gおよびTDM200g(TOPS1モルに対するモル数=1.91モル)を用い、かつ、ピペラジン6g(ピペラジン4gとピペラジン2gに分割して添加)の代わりにブチルアミン6g(ブチルアミン4gとブチルアミン2gに分割して添加)を用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物359gを得た。
【0089】
得られたジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物359gを用いた以外は実施例1と同様にして、ジアルキルトリスルフィドを含む生成物250gを得た。TDMの転化率は36.9重量%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合硫黄原子数の平均が4以上のジアルキルポリスルフィド(A)と、アルキルメルカプタン(B)とを、環状アミン化合物(C)の存在下で反応させた後、環状アミン化合物(C)をアルコール系溶媒(D)中に抽出して除去することを特徴とするジアルキルトリスルフィドの製造方法。
【請求項2】
環状アミン化合物(C)が、4〜7員環で窒素原子を1〜3個含有する飽和環状アミンである請求項1に記載のジアルキルトリスルフィドの製造方法。
【請求項3】
環状アミン化合物(C)が、ピペラジン、ピロリジンおよびピペリジンからなる群から選ばれる1種以上の化合物である請求項1に記載のジアルキルトリスルフィドの製造方法。
【請求項4】
結合硫黄原子数の平均が4以上のジアルキルポリスルフィド(A)100重量部に対する環状アミン化合物(C)の使用量が0.5〜6重量部である請求項1、2または3に記載のジアルキルトリスルフィドの製造方法。
【請求項5】
環状アミン化合物(C)が、液状環状アミン化合物またはアルコール系溶媒(E)に溶解させた環状アミン化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載のジアルキルリスルフィドの製造方法。
【請求項6】
アルコール系溶媒(D)が、沸点100℃以下のアルコール系溶媒である請求項5に記載のジアルキルリスルフィドの製造方法。
【請求項7】
アルコール系溶媒(D)が、メタノールである請求項5に記載のジアルキルリスルフィドの製造方法。
【請求項8】
アルコール系溶媒(E)が、結合硫黄原子数の平均が4以上のジアルキルポリスルフィド(A)とアルキルメルカプタン(B)の反応温度より高い沸点を有するアルコール系溶媒である請求項5、6または7に記載のジアルキルリスルフィドの製造方法。
【請求項9】
アルコール系溶媒(E)が、沸点150℃以上のアルコール系溶媒である請求項8に記載のジアルキルリスルフィドの製造方法。
【請求項10】
沸点150℃以上のアルコール系溶媒(E)が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルおよびジエチレングリコールモノブチルエーテルからなる群から選ばれる1種以上のアルコール系溶媒である請求項9に記載のジアルキルトリスルフィドの製造方法。
【請求項11】
結合硫黄原子数の平均が4以上のジアルキルポリスルフィド(A)と、アルキルメルカプタン(B)とを、環状アミン化合物(C)の存在下で反応させてジアルキルトリスルフィドを含む粗生成物を得た後、アルコール系溶媒(D)と混合して環状アミン化合物(C)をアルコール系溶媒(D)中に抽出し、次いで静置して環状アミン化合物(C)を含むアルコール系溶媒(D)層とジアルキルトリスルフィドを含む生成物層に二層分離させた後、環状アミン化合物(C)を含むアルコール系溶媒(D)層を分離する請求項1〜10のいずれか1項に記載のジアルキルトリスルフィドの製造方法。

【公開番号】特開2009−263244(P2009−263244A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111265(P2008−111265)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】