ジェットポンプ及び原子炉
【課題】効率を更に増大できるジェットポンプを提供する。
【解決手段】ジェットポンプ10は、一体化されたベルマウス20、スロート21及びディフューザ、及びベルマウス20の上方に配置されたノズル装置12を備える。ノズル装置12は、ノズル台座15、6本のノズル13及び6枚の整流板18を有する。ノズル台座15は下方に延びる突起部16を有する。6本のノズル13は、環状にノズル台座15に取り付けられて、突起部16の周囲に配置される。各整流板18は、突出部16から各ノズル13に向かって放射状に配置され、突起部16及びノズル13に取り付けられる。噴出口14からスロート21内に噴出される噴出流28に基づいて発生した吸引力により、被駆動水29がノズル13間を通って整流板18間に形成される冷却水流路19に流入する。整流板18の作用によりノズル13の外面付近での渦の発生が抑制される。
【解決手段】ジェットポンプ10は、一体化されたベルマウス20、スロート21及びディフューザ、及びベルマウス20の上方に配置されたノズル装置12を備える。ノズル装置12は、ノズル台座15、6本のノズル13及び6枚の整流板18を有する。ノズル台座15は下方に延びる突起部16を有する。6本のノズル13は、環状にノズル台座15に取り付けられて、突起部16の周囲に配置される。各整流板18は、突出部16から各ノズル13に向かって放射状に配置され、突起部16及びノズル13に取り付けられる。噴出口14からスロート21内に噴出される噴出流28に基づいて発生した吸引力により、被駆動水29がノズル13間を通って整流板18間に形成される冷却水流路19に流入する。整流板18の作用によりノズル13の外面付近での渦の発生が抑制される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジェットポンプ及び原子炉に係り、特に、沸騰水型原子炉に適用するのに好適なジェットポンプ及び原子炉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の沸騰水型原子炉(BWR)は、再循環系配管が接続された原子炉圧力容器(以下、RPVという)内にジェットポンプを設置している。ジェットポンプは、ノズル、ベルマウス、スロート及びディフューザを備える。再循環ポンプの駆動によって昇圧された冷却水は、再循環系配管を通り、駆動水としてノズルからスロート内に噴出される。ノズルは駆動水の速度を増加させる。RPV内でノズルの周囲に存在する冷却水が、噴出された駆動水の作用によって、被駆動水としてベルマウス内に吸込まれ、スロートを経てディフューザ内に流入する。ディフューザから排出された冷却水は、RPV内の下部プレナムを通って炉心に供給される(例えば、特開昭59−188100号公報、特開平7−119700号公報及び特開2007−285165号公報参照)。
【0003】
特開昭59−188100号公報、特開平7−119700号公報及び特開2007−285165号公報に記載されたジェットポンプは、複数本のノズルを有している。噴出口の面積が同じである場合、ノズル本数を増やすことによって、駆動水と被駆動水の接触面積が増加して駆動水及び被駆動水の混合が促進され、混合損失が低減してジェットポンプ効率が向上する。
【0004】
【特許文献1】特開昭59−188100号公報
【特許文献2】特開平7−119700号公報
【特許文献3】特開2007−285165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ジェットポンプの性能は、以下に示すようなM比、N比、効率によって表される。M比は、ノズル部での駆動水(再循環水)の流量Qnに対する、スロート部に流入する被駆動水(冷却水)の流量Qsの比であり、(1)式で表される。
【0006】
M比 = Qs/Qn ……(1)
N比は、駆動水に対する被駆動水の全圧比であり、(2)式で表される。
【0007】
N比 = (Pd−Ps)/(Pn−Pd) ……(2)
ここで、Pdはディフューザ部の全圧、Psはジェットポンプ周囲の全圧、Pnはノズル部の全圧である。効率ηは、駆動水に対する被駆動水のエネルギーの比であり、(3)式に示すように、M比とN比の積で表される。
【0008】
η = M比 × N比 ……(3)
ジェットポンプとしては、M比、N比及び効率ηが大きいことが望ましい。小さい容量の再循環ポンプを用いて、ジェットポンプから吐出される冷却水流量を効率良く増加させることができれば、再循環系をコンパクト化することができ、再循環系の設置スペースを低減できる。
【0009】
例えば、既設の原子炉(例えば、BWR)で出力向上を行う場合には、炉心流量を増加して炉心の冷却能力を高めることにより、原子炉出力の増大幅を拡大することができる。また、BWRの運転中における炉心流量の制御幅を拡大することによって、炉心内のボイド率の変化幅が増大し、燃料経済性を高めることができる。このように炉心流量を増加させるためには、再循環ポンプ及びジェットポンプを改良することが考えられる。発明者らは、出力向上を目的とした既設の原子炉の改造においては、再循環ポンプなどの大型機器の改造、交換に比べて、ジェットポンプの改良の方が有効であることを見出した。ジェットポンプの性能は、駆動水と被駆動水の混合部の形状に大きく依存するため、駆動水を噴出するノズルを改良することにより、その性能を向上できる可能性がある。
【0010】
発明者らは、詳細な数値解析から複数本のノズルをノズル台座に配置した場合、ノズル表面の、ノズル台座の中心軸側に被駆動水の渦が発生しており、その渦によるエネルギー損失を低減することによって被駆動流体をより多く吸込むことができ、ジェットポンプ効率が向上することを見出した。
【0011】
本発明の目的は、効率を更に増大できるジェットポンプ及び原子炉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した目的を達成する本発明の特徴は、ノズル装置が、ノズル装置の軸心の位置に突起部を形成しているノズル台座部材、突起部の周囲に配置されてノズル台座部材に取り付けられる複数のノズル、及びノズルから前記軸心に向かって配置される整流部材を有することにある。
【0013】
この整流部材は、ノズル相互間を通ってノズル装置の軸心に向う被駆動流体の流れにおける渦の発生を抑制することができ、渦による被駆動流体のエネルギーの損失を低減することができる。このため、ジェットポンプの効率がさらに向上する。
【0014】
また、ノズル装置に設けられる複数のノズルがノズル装置の軸心側の外面に複数のディンプルを形成していることによっても、上記の目的を達成することができる。これは、ノズルの外面に形成された各ディンプルが被駆動流体の流れの剥離を下流側に移動させるので、発生する渦が小さくなり、エネルギー損失を低減させる効果を生じるからである。
【0015】
好ましくは、ノズルがノズル内に形成された駆動流体通路の流路断面積を低減させる複数の絞り部を形成していることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、被駆動流体の渦の発生を抑制することができ、ジェットポンプの効率をさらに増大させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施例である沸騰水型原子炉に設置されたジェットポンプについて、図面を用いて以下に説明する。
【実施例1】
【0018】
本発明の好適な一実施例である実施例1のジェットポンプを、以下に説明する。本実施例のジェットポンプの構造を説明する前に、このジェットポンプが適用される沸騰水型原子炉の概略の構造を、図3及び図4を用いて以下に説明する。
【0019】
沸騰水型原子炉(BWR)は、原子炉圧力容器(原子炉容器)1を有し、原子炉圧力容器1内に炉心シュラウド3を設置している。原子炉圧力容器は、以下、RPVと称する。複数の燃料集合体(図示せず)が装荷された炉心2が、炉心シュラウド3内に配置される。気水分離器4及び蒸気乾燥器5がRPV1内で炉心2の上方に配置される。ジェットポンプ10が、RPV1と炉心シュラウド3の間に形成される環状のダウンカマ6内に配置される。RPV1に設けられる再循環系は、再循環系配管7及び再循環系配管7に設置された再循環ポンプ8を有する。再循環系配管7の一端はダウンカマ6に連絡される。再循環系配管7の他端は、ダウンカマ6内に配置されたライザ管9の下端に接続される。ライザ管9の上端は分岐管26に接続され、分岐管26はジェットポンプ10のノズル装置12に接続される。給水配管17及び主蒸気配管42がRPV1に接続される。ノズル装置12は、複数の支持板26によってベルマウス20に取り付けられ、ベルマウス20と一体になっている。
【0020】
RPV1内の上部に存在する被駆動水である冷却水(被駆動流体、冷却材)23は、給水配管17からRPV1に供給された給水と混合されてダウンカマ6内を下降する。冷却水23は、再循環ポンプ8の駆動によって再循環系配管7内に吸引され、再循環ポンプ8によって昇圧される。この昇圧された冷却水24を、便宜的に、駆動水(駆動流体)という。この駆動水24は、再循環系配管7、ライザ管9及び分岐管26内を流れてジェットポンプ10のノズル装置12内に達し、ノズル装置12から噴出される。ノズル装置12の周囲に存在する被駆動水である冷却水23は、駆動水24の噴出によって、ベルマウス20からスロート21内に吸い込まれる。この冷却水23は、駆動水24と共にスロート21内を下降し、ディフューザ22の下端から吐出される。ディフューザ22から吐出された冷却水(被駆動水23及び駆動水24を含む)を、便宜的に冷却水25と称する。冷却水25は、下部プレナム7を経て炉心2に供給される。冷却水25は、炉心2を通過する際に加熱されて水及び蒸気を含む気液二相流となる。気水分離器4は気液二相流を蒸気と水に分離する。分離された蒸気は、更に蒸気乾燥器5で湿分を除去されて主蒸気配管42に排出される。この蒸気は、蒸気タービン(図示せず)に導かれ、蒸気タービンを回転させる。蒸気タービンに連結された発電機が回転し、電力が発生する。蒸気タービンから排出された蒸気は、復水器(図示せず)で凝縮されて水となる。この凝縮水は、給水として給水配管17によりRPV1内に供給される。気水分離器4及び蒸気乾燥器5で分離された水は、落下して冷却水23としてダウンカマ6内に達する。
【0021】
ノズル装置12、ベルマウス20、スロート21及びディフューザ22を主要な構成要素とするジェットポンプ10は、ノズル装置12の周囲に存在する冷却水23を吸込むことにより、少ない駆動水24の流量で多くの冷却水25を炉心に供給することができる。再循環ポンプ8によって与えられた駆動水24の運動エネルギーが冷却水23に有効に作用すると、冷却水23が駆動されて冷却水25の流量が更に増加する。ジェットポンプ10は、ノズル装置12から噴出される駆動水24をスロート21内に高速で噴出させることによってスロート21内の静圧を低下させる。これにより、冷却水23をスロート21に吸い込むことができ、少ない動力で必要な炉心流量を確保することができる。ディフューザ22は流れが剥離を起こさない程度に流路断面積が下流に向かうほど徐々に拡大しており、このディフューザ22で冷却水の運動エネルギーが圧力に変換される。ディフューザ22において、被駆動水23は、ベルマウス20に吸い込まれた位置における圧力よりもその圧力が高められる。なお、ベルマウス20の流路断面積は、上流に向かって増大している。
【0022】
ベルマウス20、スロート21及びディフューザ22は、この順に接続されて一体化される。一体化されたベルマウス20、スロート21及びディフューザ22は、ジェットポンプ本体である。ノズル装置12はベルマウス20の上方に配置される。
【0023】
本実施例のジェットポンプ10におけるノズル装置12の詳細な構成を、図1及び図2を用いて以下に説明する。ノズル装置12は、ノズル台座(ノズル台座部材)15、6本のノズル13及び6枚の整流板(整流部材)18を有する。ノズル装置12のノズル台座15は、支持板26によってベルマウス20に取り付けられて一体化され、そして分岐管26に接続される。ノズル装置12はベルマウス20の上方に配置される。ノズル台座15は、軸心の位置に下方に延びる突起部16を有する。6本のノズル13は、環状にノズル台座15に取り付けられて、突起部16の周囲に配置されている。これらのノズル13はノズル台座15からベルマウス20に向かって伸びている。各整流板18は、突出部16から各ノズル13に向かって放射状に配置され、突起部16及びノズル13に取り付けられる。
【0024】
整流板18がノズル13に取り付けられた位置での、整流板18の縦断面形状を図5に示す。整流板18のノズル13側の縦断面における断面積は、ノズル13がノズル台座15に取り付けられた、ノズル13の付け根部17から、ノズル13の先端に向かって減少している。すなわち、ノズル13側における付け根部17での整流板18の板厚L1とノズル13の先端側での整流板18の板厚L2の関係は、L1>L2である。
【0025】
整流板18がノズル台座15に取り付けられた位置での、整流板18の縦断面形状を図6に示す。整流板18のノズル台座15側の縦断面における断面積は、付け根部17から突起部16の先端に向かって減少している。すなわち、ノズル台座15側における付け根部17での整流板18の板厚L3と突起部16の先端側での整流板18の板厚L4の関係は、L3>L4である。このようなノズル装置12は、隣り合う整流板18の相互間に形成される冷却水流路19の流路断面積を、上流から下流に向かって(付け根部17からノズル13の先端に向かって)徐々に拡大させることができる。このため、その流路断面積の急激な変化による圧力損失の増大を抑制することができる。
【0026】
再循環ポンプ8で昇圧された駆動水24は、分岐管26からノズル装置12のノズル台座15内に流入し、各ノズル13内に形成された噴出通路(駆動流体通路)27内に導かれる。この駆動水24は、各ノズル13に形成された噴出口14からジェットポンプ10のベルマウス20内に噴出される。噴出口14は噴出通路27の先端に形成される。噴出口14から噴射された駆動水24の噴出流28は、ベルマウス20からスロート21内に達する。この噴出流28によってスロート21内の静圧が低下し、ノズル装置12の周囲に存在する、ダウンカマ6内の冷却水23、すなわち、被駆動水29が吸引流路30を通ってスロート21内に吸込まれる。吸引通路30は各ノズル13とベルマウス20の間に形成される。吸引される被駆動水29の一部は、ノズル13相互間の間隙31(図2参照)を通って冷却水流路19内に導かれる。冷却水通路19内に流入した被駆動水29は、整流板18に沿って下降し、噴出流28の内側の領域を通ってベルマウス20内に流入する。
【0027】
発明者らは、整流板18の機能を確認するために、まず、ノズル装置12において整流板18が存在しない場合で、ノズル13周囲での被駆動水29の流動状態を検討した。すなわち、発明者らは、汎用流体解析コードを用いて、整流板18が無い場合でのノズル13の突起部16側での被駆動水29の流動状態を解析により明らかにした。この結果を図7に示す。図7は、対称性を考慮して、突起部16を中心とした、ノズル装置12の周方向における1/6領域を示している。ノズル13の外面に沿って突起部16に向かう被駆動水29の流れによって、剥離点より下流でノズル3の突起部16側の外面付近に渦が発生する(図7参照)。渦の発生は一般的に流体のエネルギーを損失させるため、ノズル3の突起部16側の外面付近に発生する渦を低減することによりジェットポンプの効率を向上させることができる。また、非定常に発生する渦により、ノズル13が振動して、BWRの構造部材の健全性に悪影響を与える可能性がある。
【0028】
発明者らは、整流板18を取り付けた、ジェットポンプ10のノズル装置12を対象に、ノズル13の外面に沿って突起部16の向かう被駆動水29の流動状態を、整流板18が存在しない場合と同様に、汎用流体解析コードを用いて解析した。この解析結果を図8に示す。図8も、図7と同様に、対称性を考慮して、突起部16を中心とした、ノズル装置12の周方向の1/6領域を示している。整流板18を取り付けたことにより、整流板18が存在しない場合に発生していた渦(図7参照)が消失する。このため、隣接するノズル13相互間を通った被駆動水29が、スムーズに、ノズル13の外面に沿って突起部16に向かって流れている(図8参照)。
【0029】
整流板18を有するノズル装置12を備えたジェットポンプ10におけるM比とジェットポンプの効率ηの関係を図9に実線で示す。この関係は解析により得た特性である。ノズル装置12から整流板18を取り除いた構成を有するノズル装置を備えた従来のジェットポンプのその関係も、破線で図9に示している。本実施例は、整流板18を有しているので、隣接するノズル13相互間を通った被駆動水29が突起部16に向って流れるとき、ノズル13の突起部16側の外面付近に、前述したように、渦が発生しない。このため、本実施例のジェットポンプ10の効率(図9の実線)は、整流板18を有していない上述の従来のジェットポンプのそれ(図9の破線)よりも向上している。この効率向上は、整流板18の設置により、被駆動水29の渦の発生が抑制され、被駆動水29のエネルギー損失が低減されたことによってもたらされる。また、本実施例は、エネルギー損失が低減し、被駆動水29がノズル13相互間を通ってベルマウス20内に吸込まれやすくなっているので、M比の高い領域でジェットポンプの効率の増大幅が大きくなっている。
【0030】
本実施例は、整流板18の設置により、上記したように、渦の発生を抑制することができるので、各ノズル13の振動を抑制することができ、BWRの構造部材の健全性を高めることができる。
【0031】
整流板18の縦断面における厚みは、ノズル13の付け根部17からノズル13の先端(下端)に向うほど薄くなっている。その厚みがノズル13の先端で薄くなっているので、この先端より下方での渦の発生を抑制することができる。したがって、ノズル13相互間を通過してベルマウス20内に到達する被駆動水29の流れの圧力損失を低減することができ、スロート21内に吸込まれる被駆動水29の流量が増大する。また、整流板18は、軸方向において段階的ではなくノズル13の先端に向って連続的に厚みが減少しているので、被駆動水29の流路断面積の急激な変化がなく圧力損失がさらに低減される。
【0032】
整流板18の厚みは、ノズル13側に比べてノズル台座15の突起部16側で薄くなっている。このため、ノズル13の、突起部16に面する外面付近での渦の発生が抑制されると共に、突起部16付近での冷却水流路19の流路断面積を増大できる。この流路面積の増大は、冷却水流路19を下降する被駆動水29の圧力損失を低減する。圧力損失の低減は、スロート21に吸引される被駆動水29の流量を増大させる。
【0033】
BWRは、再循環ポンプ8の回転速度を調節することによってノズル装置12の各ノズル13からの噴出流28の流量を変化させて炉心2に供給される冷却水25の流量(炉心流量)を制御することによって原子炉出力を制御することができる。本実施例のジェットポンプ10を備えたBWRは、ジェットポンプ10の効率向上によって炉心流量の制御幅を拡大することができ、BWRの出力向上における原子炉出力の増加幅を増大することができる。ジェットポンプ10の効率向上は、炉心2に装荷された燃料集合体の燃焼度を増大させることができ、燃料経済性が向上する。
【0034】
本実施例は、従来のジェットポンプのノズル装置を、整流板18を有するノズル装置12に交換することによって、ジェットポンプ効率が向上したジェットポンプ10を実現することができる。このため、本実施例のジェットポンプ10を用いることによって、再循環ポンプ8の容量を変えないでBWRの出力向上に対応した炉心流量を確保することができるので、再循環ポンプ8を高性能な再循環ポンプに交換することが不要になる。
【実施例2】
【0035】
本発明の他の実施例である実施例2のジェットポンプを、図10及び図11を用いて以下に説明する。本実施例のジェットポンプ10Aも、ジェットポンプ10と同様に、BWRに適用される。
【0036】
ジェットポンプ10Aは、ジェットポンプ10においてノズル装置12をノズル装置12Aに替えた構成を有している。ノズル装置12Aは、ノズル装置12において、整流板18の替りに、ノズル装置の半径方向の長さを短くした整流板18Aを用いている。ジェットポンプ10Aの他の構造はジェットポンプ10と同じである。整流板18Aは、上記半径方向における一方の端面がノズル13に取り付けられ、上端面がノズル台座15に取り付けられている。上記半径方向における整流板18の他方の端面(ノズル装置12Aの軸心側に位置する端面)は、突起部16から離れており、その端面と突起部16の間に間隙32が形成される。
【0037】
本実施例も、整流板18Aが設けられているので、実施例1で生じる効果を得ることができる。本実施例は、整流板18Aと突起部16の間に間隙32が形成されるので、ノズル装置12Aの軸心付近における冷却水流路19の流路断面積を実施例1よりも増大させることができる。このため、冷却水流路19の圧力損失を実施例1よりも低減することができる。
【実施例3】
【0038】
本発明の他の実施例である実施例3のジェットポンプを、図12及び図13を用いて以下に説明する。本実施例のジェットポンプ10Bも、ジェットポンプ10と同様に、BWRに適用される。
【0039】
ジェットポンプ10Bは、ジェットポンプ10においてノズル装置12をノズル装置12Bに替えた構成を有している。ノズル装置12Bは、ノズル装置12において、整流板18の替りに、各ノズル13の外面に多数のディンプル33(図13参照)を形成している。ディンプル33は小さな窪みである。これらのディンプル33は、各ノズル13の、ノズル装置12Bの軸心側に面する外面に形成されたディンプル形成領域34内に存在する。すなわち、これらのディンプル33は、ノズル装置12Bの軸心側に面する、各ノズル13の外面に形成されている。ディンプル形成領域34は、ノズル13の周方向において、その外面の半分以下を占めている。ディンプル33は、図13Aに示すように底部が球面を有する窪みであり、図13(B)に示すように千鳥配列で配置されている。ディンプルとして、図14に示すような円柱状のディンプル33Aを形成してもよい。
【0040】
ノズル13の外面に形成されたディンプル33の作用について以下に説明する。従来のジェットポンプでは、図7に示すように、ノズル13の、ノズル台座の軸心側の外面付近において、被駆動水29の渦が発生する。この渦は、ノズル13の外面に沿って流れてきた被駆動水29が6本のノズルを有するノズル装置の軸心側の外面で剥離するために発生する。本実施例では、ノズル13の外面に形成された複数のディンプル33が、ノズル13の外面に沿って流れる被駆動水29に微少な乱れを生じさせる。この微小な乱れによって被駆動水29の流れの剥離位置が下流側に移動するので、発生する渦が小さくなり、被駆動水29の流れのエネルギー損失が低減できる。したがって、ディンプル33を形成したジェットポンプ10Bは効率を向上させることができる。ディンプル33を千鳥状に配置することにより、被駆動水29の微少な乱れをノズル13の外面に均一に形成することができる。微小な流れを均一に形成することにより、非定常に発生する渦を効果的に抑制することができる。
【0041】
複数のディンプル33は、ノズル13の、ノズル装置10Bの軸心側の外面に位置するディンプル形成領域34内に形成される。このような構成にする理由について説明する。ディンプル33は被駆動水29の流れの剥離を下流側に移動させてエネルギー損失を低減させる効果を生じる。被駆動水29の流れの剥離が生じていない領域でノズル13の外面にディンプル33を形成した場合には、微少な乱れの発生により少なからずエネルギー損失が発生する。したがって、ディンプル33はその流れの剥離位置の少し上流側から下流に向ってノズル13の外面に形成することが、エネルギー損失低減の面から望ましい。
【0042】
図7に示された剥離の位置を下流側へ移動させるには、ディンプル33を、剥離点の少し上流側、すなわち、ノズル13の、ノズル装置12Bの軸心側に形成すればよい。ノズル13の突起部16に面しない外面には、ディンプル33を形成しない。このため、ノズル13の突起部16に面しない外面では、ディンプル33によるエネルギー損失が生じない。
【0043】
発明者らが行った条件を変えた複数の数値解析の結果によれば、被駆動水29の流れの剥離点は図7に示したノズル13の外面の中間点よりも下流側になることが判明している。したがって、ディンプル33は、ノズル13外面の中間点よりもノズル装置12Bの軸心側のノズル13の外面に形成すればよい。ノズル装置12Bに設けられた6本のノズル13は、それぞれの軸心がノズル装置12Bの軸心を中心とした円(図2に示す破線の円)上に配置されている。上記した中間点は、図7に示す中間点であり、上記した円(図2に示す破線の円)とノズル13の横断面におけるノズル13の外面との交点の位置である。
【0044】
以上の説明から明らかなように、本実施例のジェットポンプ10Bは、ノズル13の、ノズル装置12Bの軸心側の外面にディンプル33を形成することにより、被駆動水29の渦の発生を抑制してエネルギー損失を低減させることができる。このため、本実施例は、被駆動水29の吸い込み量が増加し、M比の大きい領域でジットポンプの効率を向上させることができる。
【実施例4】
【0045】
本発明の他の実施例である実施例4の、BWRに適用されるジェットポンプを、図15から図17を用いて以下に説明する。本実施例のジェットポンプ10Cは、ジェットポンプ10においてノズル装置12のノズル13をノズル13Aに替えた構成を有している。ノズル13Aが異なっている以外は、ジェットポンプ10Cはジェットポンプ10と同じ構成を有している。6本のノズル13は、ノズル台座15から下方に向かって伸びており、周方向において等間隔に配置されている。
【0046】
ノズル装置12Cは6本のノズル13Aを備えている。このノズル13Aの詳細な構成を、図17を用いて説明する。ノズル13Aは、内部に形成される噴出通路27Aの通路径となるノズル内径をノズル13Aの上流端から下流端にかけてD1,D2,D3と順次定義した場合、これら内径はD1>D2>D3の関係を有している。
【0047】
つまり、ジェットポンプ10Cに用いられるノズル装置12Cでは、ノズル13Aは、ノズル直管部36、ノズル絞り部37、ノズル直管部38、ノズル絞り部39及びノズル下端部40を有する。最も上流に位置するノズル直管部36は、内径がD1で一定になっている。ノズル直管部36の下流端に接続された第一段のノズル絞り部37は、内部の流路断面積が下流に向って減少し、上端の内径がD1で下端の内径がD2であり、長さがL1になっている。ノズル絞り部37の下流端に接続されるノズル直管部38は、内径がD2で一定になっている。ノズル直管部38の下端に接続される第2段のノズル絞り部39は、内部の流路断面積が下流に向って減少し、上端の内径がD2で下端の内径がD3であり、長さがL2になっている。ノズル絞り部39の下端に接続されてノズル13Aの最も下流に位置するノズル下端部40は、内径がD3で内部に噴出口14が形成される。
【0048】
ノズル13Aでは、噴出通路27Aがノズル絞り部37,39の二箇所で絞られている。ノズル絞り部37の絞り角θ1及びノズル絞り部39の絞り角θ2はそれぞれ次の(4)式、(5)式で計算できる。
【0049】
θ1=tan−1((D1−D2)/2/L1) ……(4)
θ2=tan−1((D2−D3)/2/L2) ……(5)
噴出口14に近いノズル絞り部39のノズル絞り角θ2がノズル絞り部37の絞り角θ1よりも大きくなっている(θ2>θ1)。流路断面積が大きいノズル直管部36がノズル絞り部37の上流に、流路断面積が小さいノズル直管部38がノズル絞り部37の下流にそれぞれ配置される。
【0050】
ノズル13Aの最も下流に位置する下端部には、内径D3で先端に噴出口14を形成した直管のノズル下端部40を配置することが望ましい。しかしながら、噴出口14から噴出する噴出流28の流速を向上させるために、直管のノズル下端部40に替えて流路断面積が下流端に向って緩やかに減少するノズル絞り部を用いても良い。
【0051】
ノズル下端部40に流路断面積が下流端に向って緩やかに減少するノズル絞り部を用いる場合には、ノズル下端部40の噴出口14からの噴出流28の広がりを所望の範囲内に抑えるために、このノズル絞り部の絞り角θは2度未満程度の小さな角度にすることが望ましい。
【0052】
分岐管26からノズル装置12Cのノズル台座15内に流入した駆動水24は、それぞれのノズル13A内の噴出流路27Aに導かれる。噴出通路27Aの流路断面積は、上流から下流に向って配置されたノズル直管部36、ノズル絞り部37、ノズル直管部38、ノズル絞り部39及びノズル下端部40の内径に応じて変化している。噴出通路27A内に流入した駆動水24は、ノズル直管部36、ノズル絞り部37、ノズル直管部38及びノズル絞り部39のそれぞれの部分を通り、ノズル下端部40に到達する。噴出通路27A内を下降する駆動水24は、ノズル絞り部37で徐々に加速され、ノズル絞り部39でノズル絞り部37よりも急速に加速される。加速された駆動水24は噴出口14からスロート21内に向って噴出される。
【0053】
ノズル絞り部39においてノズル13Aの中心軸に向かう速度成分が駆動水24に与えられる。しかしながら、流体は壁面に沿って流れる性質があるため、直径D3の噴出流28がノズル下端部40の先端に形成された噴出口14から直径D3で噴出される。ノズル絞り部39の絞り角θ2が大きいほどノズル中心軸に向かう運動量が存在するため、噴出口14から噴出される噴出流28の拡がりが抑えられて、噴出流28が噴出口14から下流へ距離L3だけ進んだ時点での噴出流28の直径D4を所望の範囲内に抑えて小さくすることができる。噴出流28の直径D4は噴出流28の流路幅であり、噴出流28の直径D4が小さいほど、噴出流28の速度が大きくなる。
【0054】
噴出流28の拡がりを抑えて速度を維持したまま、ノズル13Aから噴出流28がスロート21内に噴出されると、スロート21内の静圧がより低下するため、ノズル装置12Cの周囲に存在するより多くの被駆動水29が吸引流路30を通してベルマウス20ないに吸込まれる。
【0055】
ノズル下端部40がノズル絞り部39の下流に配置されていない場合を想定する。この場合には、ノズル絞り部39で与えられたノズル13Aの中心軸に向かう駆動水24の運動量により噴出流28の直径が噴出後も小さくなる。すなわち、ノズル下端部40の直管部が存在しないので、ノズル部39の下端に形成された噴出口40から噴出される噴出流28は、ノズル絞り部39の影響を受ける。このため、噴出口14からの距離L3での噴出流28の直径D4が、噴出口14の内径D3よりも小さくなり、噴流速度が上昇して加速損失が増大するので、駆動水24の流量が減少する。
【0056】
このため、ノズル絞り部39の下流側に直管部であるノズル下端部40を設置することにより、噴出口14から噴出する噴出流28の直径が、直管であるノズル下端部40の内径D3よりも小さくならないようにして、加速損失増大による駆動水24の流量減少を防いでいる。
【0057】
また、ノズル絞り部をノズル13Aに2箇所以上設けることにより、ノズル13A内の圧力損失を低減しつつ、ノズル13A相互間における被駆動水29の流路を広くすることができる。
【0058】
次に、噴出口14の内径をD3で固定してノズル絞り部37を直管とし、ノズル直管36及び直管にしたノズル絞り部37のそれぞれの内径をD2とし、ノズル13Aに形成したノズル絞り部をノズル絞り部39の一箇所にした場合を考える。ノズル絞り部39の長さL2を変更しない場合、ノズル直管部36及び直管にしたノズル絞り部37の流路断面積が狭くなって内部を流れる駆動水24の流速が増加するため、摩擦損失が増大して駆動水24の流量が減少する。また、ノズル絞り部39の長さL2を長くしてノズル絞り部39における上流側の流路断面積を大きくした場合は、ノズル13Aの外径が大きくなり、複数のノズル13A相互間に形成される被駆動水29の流路断面積(冷却水流路19の流路断面積)が狭くなるので、被駆動水29のベルマウス20内への吸い込み量が減少してしまう。
【0059】
したがって、二箇所以上のノズル絞り部をノズル13Aに設けることによって、ノズル13A内の噴出通路27Aの流路断面積が噴出口14側で狭くなり、噴出通路27A内を流れる駆動水24の流速が増加する。これによって、噴出通路27A内で摩擦損失が増大する領域を小さくすることができる。さらに、ノズル13Aにおいてノズル絞り部37より下方で外径を小さくすることができるので、ノズル13A相互間に形成される間隙31の幅を実施例1におけるそれよりも広くすることができ、冷却水流路19に吸い込まれる被駆動水29の流量を増大できる。結果として、スロート21内に吸込まれる被駆動水29の流量が増大する。
【0060】
前述したように噴出通路27A内に流入した駆動水24は、ノズル絞り部37,39により噴出通路27A内で加速され、噴出口14から噴出流28となってスロート21内に噴出される。本実施例では、噴出流28の拡がりを抑えることができるため、スロート21内に到達した噴出流28の速度は大きくなってスロート21内の静圧がより低下する。この結果、被駆動水29をスロート21内により多く吸込むことができる。
【0061】
本実施例は、実施例1と同様に、整流板18を設けているので、ノズル13Aの、ノズル装置12Cの軸心側に面する外面付近に、この外面に沿ってノズル装置12Cの軸心側に向う被駆動水29の流れによって渦が発生するのを抑えることができる。このため、本実施例は、実施例1で生じる効果を得ることができる。さらに、本実施例は、2つのノズル絞り部37,39を有するノズル13Aを備えているので、上記したノズル13Aの作用によって、実施例1よりもスロート21内に吸込まれる被駆動水29の流量を増大することができる。このため、ジェットポンプ10Cから排出される冷却水25の流量がジェットポンプ10よりも増大する。M比が高い領域でのジェットポンプ10Cの効率が、ジェットポンプ10のそれよりも向上する。
【0062】
本実施例のジェットポンプ10Cは、整流板18が設置されていない状態であっても、特開昭59−188100号公報に記載された、1段階で絞られた絞り部と直管部を有する5本のノズルを備えた従来のジェットポンプに比べて、ジェットポンプ効率が向上する。
【0063】
本実施例は、ノズル絞り部39の絞り角θ2をノズル絞り部37の絞り角θ1よりも大きくしているので、噴出流28の拡がりを抑えてスロート21の入口での駆動水24の速度低下を抑制するとともに、噴出口14を形成するノズル下端部40を設けて、絞りによって過度に駆動水29の速度が上昇してノズル13Aの圧力損失が大きく上昇するのを防いでいる。
【0064】
スロート21での駆動水24の速度が噴出口14の位置での速度からあまり低下しないため、スロート21内の静圧がより低下して被駆動水29のスロート21内への吸い込み量が多くなり、ジェットポンプのM比と効率を向上させることができる。
【0065】
実施例3のジェットポンプ10Bにおいて、ノズル13をノズル13Aに替え、ノズル装置12Bの軸心側に面する、各ノズル13Aの外面にディンプル形成領域34を形成してもよい。このディンプル形成領域34には、複数のディンプル33が千鳥状に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の好適な一実施例である、BWRに適用される実施例1のジェットポンプのノズル装置付近の縦断面図である。
【図2】図1のI−I断面図である。
【図3】図1に示すノズル装置が適用される実施例1のジェットポンプの斜視図である。
【図4】図3に示す実施例1のジェットポンプが適用される沸騰水型原子炉の縦断面図である。
【図5】図1に示す整流板のノズル側での縦断面図である。
【図6】図1に示す整流板のノズル台座の突起部側での縦断面図である。
【図7】従来のジェットポンプのノズル付近における被駆動水の流動状態を示す説明図である。
【図8】実施例1のジェットポンプのノズル付近における被駆動水の流動状態を示す説明図である。
【図9】実施例1のジェットポンプ及び従来のジェットポンプにおけるM比とジェットポンプ効率の関係を示す特性図である。
【図10】本発明の他の実施例である、BWRに適用される実施例2のジェットポンプのノズル装置付近の縦断面図である。
【図11】図10のXI−XI断面図である。
【図12】本発明の他の実施例である、BWRに適用される実施例3のジェットポンプのノズル装置の部分側面図である。
【図13】図12に示すノズルの外面に形成されたディンプルを示す説明図であり、(A)はディンプルが形成された部分でのノズルの局部断面図であり、(B)はディンプルの配列を示す説明図である。
【図14】他の形状のディンプルが形成された部分でのノズルの局部断面図である。
【図15】本発明の他の実施例である、BWRに適用される実施例4のジェットポンプのノズル装置付近の縦断面図である。
【図16】図15のXVI−XVI断面図である。
【図17】図15に示すノズルの拡大縦断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1…原子炉圧力容器、2…炉心、3…炉心シュラウド、6…ダウンカマ、10,10A,10B,10C…ジェットポンプ、12,12A,12B,12C…ノズル装置、13,13A…ノズル、14…噴出口、15…ノズル台座、16…突起部、18,18A…整流板、19…冷却水流路、20…ベルマウス、21…スロート、22…ディフューザ、24…駆動水(駆動流体)、27…噴出通路、29…被駆動水(被駆動流体)、30…吸引通路、33,33A…ディンプル、34…ディンプル形成領域、36,38…ノズル直管部、37,39…ノズル絞り部、40…ノズル下端部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジェットポンプ及び原子炉に係り、特に、沸騰水型原子炉に適用するのに好適なジェットポンプ及び原子炉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の沸騰水型原子炉(BWR)は、再循環系配管が接続された原子炉圧力容器(以下、RPVという)内にジェットポンプを設置している。ジェットポンプは、ノズル、ベルマウス、スロート及びディフューザを備える。再循環ポンプの駆動によって昇圧された冷却水は、再循環系配管を通り、駆動水としてノズルからスロート内に噴出される。ノズルは駆動水の速度を増加させる。RPV内でノズルの周囲に存在する冷却水が、噴出された駆動水の作用によって、被駆動水としてベルマウス内に吸込まれ、スロートを経てディフューザ内に流入する。ディフューザから排出された冷却水は、RPV内の下部プレナムを通って炉心に供給される(例えば、特開昭59−188100号公報、特開平7−119700号公報及び特開2007−285165号公報参照)。
【0003】
特開昭59−188100号公報、特開平7−119700号公報及び特開2007−285165号公報に記載されたジェットポンプは、複数本のノズルを有している。噴出口の面積が同じである場合、ノズル本数を増やすことによって、駆動水と被駆動水の接触面積が増加して駆動水及び被駆動水の混合が促進され、混合損失が低減してジェットポンプ効率が向上する。
【0004】
【特許文献1】特開昭59−188100号公報
【特許文献2】特開平7−119700号公報
【特許文献3】特開2007−285165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ジェットポンプの性能は、以下に示すようなM比、N比、効率によって表される。M比は、ノズル部での駆動水(再循環水)の流量Qnに対する、スロート部に流入する被駆動水(冷却水)の流量Qsの比であり、(1)式で表される。
【0006】
M比 = Qs/Qn ……(1)
N比は、駆動水に対する被駆動水の全圧比であり、(2)式で表される。
【0007】
N比 = (Pd−Ps)/(Pn−Pd) ……(2)
ここで、Pdはディフューザ部の全圧、Psはジェットポンプ周囲の全圧、Pnはノズル部の全圧である。効率ηは、駆動水に対する被駆動水のエネルギーの比であり、(3)式に示すように、M比とN比の積で表される。
【0008】
η = M比 × N比 ……(3)
ジェットポンプとしては、M比、N比及び効率ηが大きいことが望ましい。小さい容量の再循環ポンプを用いて、ジェットポンプから吐出される冷却水流量を効率良く増加させることができれば、再循環系をコンパクト化することができ、再循環系の設置スペースを低減できる。
【0009】
例えば、既設の原子炉(例えば、BWR)で出力向上を行う場合には、炉心流量を増加して炉心の冷却能力を高めることにより、原子炉出力の増大幅を拡大することができる。また、BWRの運転中における炉心流量の制御幅を拡大することによって、炉心内のボイド率の変化幅が増大し、燃料経済性を高めることができる。このように炉心流量を増加させるためには、再循環ポンプ及びジェットポンプを改良することが考えられる。発明者らは、出力向上を目的とした既設の原子炉の改造においては、再循環ポンプなどの大型機器の改造、交換に比べて、ジェットポンプの改良の方が有効であることを見出した。ジェットポンプの性能は、駆動水と被駆動水の混合部の形状に大きく依存するため、駆動水を噴出するノズルを改良することにより、その性能を向上できる可能性がある。
【0010】
発明者らは、詳細な数値解析から複数本のノズルをノズル台座に配置した場合、ノズル表面の、ノズル台座の中心軸側に被駆動水の渦が発生しており、その渦によるエネルギー損失を低減することによって被駆動流体をより多く吸込むことができ、ジェットポンプ効率が向上することを見出した。
【0011】
本発明の目的は、効率を更に増大できるジェットポンプ及び原子炉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した目的を達成する本発明の特徴は、ノズル装置が、ノズル装置の軸心の位置に突起部を形成しているノズル台座部材、突起部の周囲に配置されてノズル台座部材に取り付けられる複数のノズル、及びノズルから前記軸心に向かって配置される整流部材を有することにある。
【0013】
この整流部材は、ノズル相互間を通ってノズル装置の軸心に向う被駆動流体の流れにおける渦の発生を抑制することができ、渦による被駆動流体のエネルギーの損失を低減することができる。このため、ジェットポンプの効率がさらに向上する。
【0014】
また、ノズル装置に設けられる複数のノズルがノズル装置の軸心側の外面に複数のディンプルを形成していることによっても、上記の目的を達成することができる。これは、ノズルの外面に形成された各ディンプルが被駆動流体の流れの剥離を下流側に移動させるので、発生する渦が小さくなり、エネルギー損失を低減させる効果を生じるからである。
【0015】
好ましくは、ノズルがノズル内に形成された駆動流体通路の流路断面積を低減させる複数の絞り部を形成していることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、被駆動流体の渦の発生を抑制することができ、ジェットポンプの効率をさらに増大させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施例である沸騰水型原子炉に設置されたジェットポンプについて、図面を用いて以下に説明する。
【実施例1】
【0018】
本発明の好適な一実施例である実施例1のジェットポンプを、以下に説明する。本実施例のジェットポンプの構造を説明する前に、このジェットポンプが適用される沸騰水型原子炉の概略の構造を、図3及び図4を用いて以下に説明する。
【0019】
沸騰水型原子炉(BWR)は、原子炉圧力容器(原子炉容器)1を有し、原子炉圧力容器1内に炉心シュラウド3を設置している。原子炉圧力容器は、以下、RPVと称する。複数の燃料集合体(図示せず)が装荷された炉心2が、炉心シュラウド3内に配置される。気水分離器4及び蒸気乾燥器5がRPV1内で炉心2の上方に配置される。ジェットポンプ10が、RPV1と炉心シュラウド3の間に形成される環状のダウンカマ6内に配置される。RPV1に設けられる再循環系は、再循環系配管7及び再循環系配管7に設置された再循環ポンプ8を有する。再循環系配管7の一端はダウンカマ6に連絡される。再循環系配管7の他端は、ダウンカマ6内に配置されたライザ管9の下端に接続される。ライザ管9の上端は分岐管26に接続され、分岐管26はジェットポンプ10のノズル装置12に接続される。給水配管17及び主蒸気配管42がRPV1に接続される。ノズル装置12は、複数の支持板26によってベルマウス20に取り付けられ、ベルマウス20と一体になっている。
【0020】
RPV1内の上部に存在する被駆動水である冷却水(被駆動流体、冷却材)23は、給水配管17からRPV1に供給された給水と混合されてダウンカマ6内を下降する。冷却水23は、再循環ポンプ8の駆動によって再循環系配管7内に吸引され、再循環ポンプ8によって昇圧される。この昇圧された冷却水24を、便宜的に、駆動水(駆動流体)という。この駆動水24は、再循環系配管7、ライザ管9及び分岐管26内を流れてジェットポンプ10のノズル装置12内に達し、ノズル装置12から噴出される。ノズル装置12の周囲に存在する被駆動水である冷却水23は、駆動水24の噴出によって、ベルマウス20からスロート21内に吸い込まれる。この冷却水23は、駆動水24と共にスロート21内を下降し、ディフューザ22の下端から吐出される。ディフューザ22から吐出された冷却水(被駆動水23及び駆動水24を含む)を、便宜的に冷却水25と称する。冷却水25は、下部プレナム7を経て炉心2に供給される。冷却水25は、炉心2を通過する際に加熱されて水及び蒸気を含む気液二相流となる。気水分離器4は気液二相流を蒸気と水に分離する。分離された蒸気は、更に蒸気乾燥器5で湿分を除去されて主蒸気配管42に排出される。この蒸気は、蒸気タービン(図示せず)に導かれ、蒸気タービンを回転させる。蒸気タービンに連結された発電機が回転し、電力が発生する。蒸気タービンから排出された蒸気は、復水器(図示せず)で凝縮されて水となる。この凝縮水は、給水として給水配管17によりRPV1内に供給される。気水分離器4及び蒸気乾燥器5で分離された水は、落下して冷却水23としてダウンカマ6内に達する。
【0021】
ノズル装置12、ベルマウス20、スロート21及びディフューザ22を主要な構成要素とするジェットポンプ10は、ノズル装置12の周囲に存在する冷却水23を吸込むことにより、少ない駆動水24の流量で多くの冷却水25を炉心に供給することができる。再循環ポンプ8によって与えられた駆動水24の運動エネルギーが冷却水23に有効に作用すると、冷却水23が駆動されて冷却水25の流量が更に増加する。ジェットポンプ10は、ノズル装置12から噴出される駆動水24をスロート21内に高速で噴出させることによってスロート21内の静圧を低下させる。これにより、冷却水23をスロート21に吸い込むことができ、少ない動力で必要な炉心流量を確保することができる。ディフューザ22は流れが剥離を起こさない程度に流路断面積が下流に向かうほど徐々に拡大しており、このディフューザ22で冷却水の運動エネルギーが圧力に変換される。ディフューザ22において、被駆動水23は、ベルマウス20に吸い込まれた位置における圧力よりもその圧力が高められる。なお、ベルマウス20の流路断面積は、上流に向かって増大している。
【0022】
ベルマウス20、スロート21及びディフューザ22は、この順に接続されて一体化される。一体化されたベルマウス20、スロート21及びディフューザ22は、ジェットポンプ本体である。ノズル装置12はベルマウス20の上方に配置される。
【0023】
本実施例のジェットポンプ10におけるノズル装置12の詳細な構成を、図1及び図2を用いて以下に説明する。ノズル装置12は、ノズル台座(ノズル台座部材)15、6本のノズル13及び6枚の整流板(整流部材)18を有する。ノズル装置12のノズル台座15は、支持板26によってベルマウス20に取り付けられて一体化され、そして分岐管26に接続される。ノズル装置12はベルマウス20の上方に配置される。ノズル台座15は、軸心の位置に下方に延びる突起部16を有する。6本のノズル13は、環状にノズル台座15に取り付けられて、突起部16の周囲に配置されている。これらのノズル13はノズル台座15からベルマウス20に向かって伸びている。各整流板18は、突出部16から各ノズル13に向かって放射状に配置され、突起部16及びノズル13に取り付けられる。
【0024】
整流板18がノズル13に取り付けられた位置での、整流板18の縦断面形状を図5に示す。整流板18のノズル13側の縦断面における断面積は、ノズル13がノズル台座15に取り付けられた、ノズル13の付け根部17から、ノズル13の先端に向かって減少している。すなわち、ノズル13側における付け根部17での整流板18の板厚L1とノズル13の先端側での整流板18の板厚L2の関係は、L1>L2である。
【0025】
整流板18がノズル台座15に取り付けられた位置での、整流板18の縦断面形状を図6に示す。整流板18のノズル台座15側の縦断面における断面積は、付け根部17から突起部16の先端に向かって減少している。すなわち、ノズル台座15側における付け根部17での整流板18の板厚L3と突起部16の先端側での整流板18の板厚L4の関係は、L3>L4である。このようなノズル装置12は、隣り合う整流板18の相互間に形成される冷却水流路19の流路断面積を、上流から下流に向かって(付け根部17からノズル13の先端に向かって)徐々に拡大させることができる。このため、その流路断面積の急激な変化による圧力損失の増大を抑制することができる。
【0026】
再循環ポンプ8で昇圧された駆動水24は、分岐管26からノズル装置12のノズル台座15内に流入し、各ノズル13内に形成された噴出通路(駆動流体通路)27内に導かれる。この駆動水24は、各ノズル13に形成された噴出口14からジェットポンプ10のベルマウス20内に噴出される。噴出口14は噴出通路27の先端に形成される。噴出口14から噴射された駆動水24の噴出流28は、ベルマウス20からスロート21内に達する。この噴出流28によってスロート21内の静圧が低下し、ノズル装置12の周囲に存在する、ダウンカマ6内の冷却水23、すなわち、被駆動水29が吸引流路30を通ってスロート21内に吸込まれる。吸引通路30は各ノズル13とベルマウス20の間に形成される。吸引される被駆動水29の一部は、ノズル13相互間の間隙31(図2参照)を通って冷却水流路19内に導かれる。冷却水通路19内に流入した被駆動水29は、整流板18に沿って下降し、噴出流28の内側の領域を通ってベルマウス20内に流入する。
【0027】
発明者らは、整流板18の機能を確認するために、まず、ノズル装置12において整流板18が存在しない場合で、ノズル13周囲での被駆動水29の流動状態を検討した。すなわち、発明者らは、汎用流体解析コードを用いて、整流板18が無い場合でのノズル13の突起部16側での被駆動水29の流動状態を解析により明らかにした。この結果を図7に示す。図7は、対称性を考慮して、突起部16を中心とした、ノズル装置12の周方向における1/6領域を示している。ノズル13の外面に沿って突起部16に向かう被駆動水29の流れによって、剥離点より下流でノズル3の突起部16側の外面付近に渦が発生する(図7参照)。渦の発生は一般的に流体のエネルギーを損失させるため、ノズル3の突起部16側の外面付近に発生する渦を低減することによりジェットポンプの効率を向上させることができる。また、非定常に発生する渦により、ノズル13が振動して、BWRの構造部材の健全性に悪影響を与える可能性がある。
【0028】
発明者らは、整流板18を取り付けた、ジェットポンプ10のノズル装置12を対象に、ノズル13の外面に沿って突起部16の向かう被駆動水29の流動状態を、整流板18が存在しない場合と同様に、汎用流体解析コードを用いて解析した。この解析結果を図8に示す。図8も、図7と同様に、対称性を考慮して、突起部16を中心とした、ノズル装置12の周方向の1/6領域を示している。整流板18を取り付けたことにより、整流板18が存在しない場合に発生していた渦(図7参照)が消失する。このため、隣接するノズル13相互間を通った被駆動水29が、スムーズに、ノズル13の外面に沿って突起部16に向かって流れている(図8参照)。
【0029】
整流板18を有するノズル装置12を備えたジェットポンプ10におけるM比とジェットポンプの効率ηの関係を図9に実線で示す。この関係は解析により得た特性である。ノズル装置12から整流板18を取り除いた構成を有するノズル装置を備えた従来のジェットポンプのその関係も、破線で図9に示している。本実施例は、整流板18を有しているので、隣接するノズル13相互間を通った被駆動水29が突起部16に向って流れるとき、ノズル13の突起部16側の外面付近に、前述したように、渦が発生しない。このため、本実施例のジェットポンプ10の効率(図9の実線)は、整流板18を有していない上述の従来のジェットポンプのそれ(図9の破線)よりも向上している。この効率向上は、整流板18の設置により、被駆動水29の渦の発生が抑制され、被駆動水29のエネルギー損失が低減されたことによってもたらされる。また、本実施例は、エネルギー損失が低減し、被駆動水29がノズル13相互間を通ってベルマウス20内に吸込まれやすくなっているので、M比の高い領域でジェットポンプの効率の増大幅が大きくなっている。
【0030】
本実施例は、整流板18の設置により、上記したように、渦の発生を抑制することができるので、各ノズル13の振動を抑制することができ、BWRの構造部材の健全性を高めることができる。
【0031】
整流板18の縦断面における厚みは、ノズル13の付け根部17からノズル13の先端(下端)に向うほど薄くなっている。その厚みがノズル13の先端で薄くなっているので、この先端より下方での渦の発生を抑制することができる。したがって、ノズル13相互間を通過してベルマウス20内に到達する被駆動水29の流れの圧力損失を低減することができ、スロート21内に吸込まれる被駆動水29の流量が増大する。また、整流板18は、軸方向において段階的ではなくノズル13の先端に向って連続的に厚みが減少しているので、被駆動水29の流路断面積の急激な変化がなく圧力損失がさらに低減される。
【0032】
整流板18の厚みは、ノズル13側に比べてノズル台座15の突起部16側で薄くなっている。このため、ノズル13の、突起部16に面する外面付近での渦の発生が抑制されると共に、突起部16付近での冷却水流路19の流路断面積を増大できる。この流路面積の増大は、冷却水流路19を下降する被駆動水29の圧力損失を低減する。圧力損失の低減は、スロート21に吸引される被駆動水29の流量を増大させる。
【0033】
BWRは、再循環ポンプ8の回転速度を調節することによってノズル装置12の各ノズル13からの噴出流28の流量を変化させて炉心2に供給される冷却水25の流量(炉心流量)を制御することによって原子炉出力を制御することができる。本実施例のジェットポンプ10を備えたBWRは、ジェットポンプ10の効率向上によって炉心流量の制御幅を拡大することができ、BWRの出力向上における原子炉出力の増加幅を増大することができる。ジェットポンプ10の効率向上は、炉心2に装荷された燃料集合体の燃焼度を増大させることができ、燃料経済性が向上する。
【0034】
本実施例は、従来のジェットポンプのノズル装置を、整流板18を有するノズル装置12に交換することによって、ジェットポンプ効率が向上したジェットポンプ10を実現することができる。このため、本実施例のジェットポンプ10を用いることによって、再循環ポンプ8の容量を変えないでBWRの出力向上に対応した炉心流量を確保することができるので、再循環ポンプ8を高性能な再循環ポンプに交換することが不要になる。
【実施例2】
【0035】
本発明の他の実施例である実施例2のジェットポンプを、図10及び図11を用いて以下に説明する。本実施例のジェットポンプ10Aも、ジェットポンプ10と同様に、BWRに適用される。
【0036】
ジェットポンプ10Aは、ジェットポンプ10においてノズル装置12をノズル装置12Aに替えた構成を有している。ノズル装置12Aは、ノズル装置12において、整流板18の替りに、ノズル装置の半径方向の長さを短くした整流板18Aを用いている。ジェットポンプ10Aの他の構造はジェットポンプ10と同じである。整流板18Aは、上記半径方向における一方の端面がノズル13に取り付けられ、上端面がノズル台座15に取り付けられている。上記半径方向における整流板18の他方の端面(ノズル装置12Aの軸心側に位置する端面)は、突起部16から離れており、その端面と突起部16の間に間隙32が形成される。
【0037】
本実施例も、整流板18Aが設けられているので、実施例1で生じる効果を得ることができる。本実施例は、整流板18Aと突起部16の間に間隙32が形成されるので、ノズル装置12Aの軸心付近における冷却水流路19の流路断面積を実施例1よりも増大させることができる。このため、冷却水流路19の圧力損失を実施例1よりも低減することができる。
【実施例3】
【0038】
本発明の他の実施例である実施例3のジェットポンプを、図12及び図13を用いて以下に説明する。本実施例のジェットポンプ10Bも、ジェットポンプ10と同様に、BWRに適用される。
【0039】
ジェットポンプ10Bは、ジェットポンプ10においてノズル装置12をノズル装置12Bに替えた構成を有している。ノズル装置12Bは、ノズル装置12において、整流板18の替りに、各ノズル13の外面に多数のディンプル33(図13参照)を形成している。ディンプル33は小さな窪みである。これらのディンプル33は、各ノズル13の、ノズル装置12Bの軸心側に面する外面に形成されたディンプル形成領域34内に存在する。すなわち、これらのディンプル33は、ノズル装置12Bの軸心側に面する、各ノズル13の外面に形成されている。ディンプル形成領域34は、ノズル13の周方向において、その外面の半分以下を占めている。ディンプル33は、図13Aに示すように底部が球面を有する窪みであり、図13(B)に示すように千鳥配列で配置されている。ディンプルとして、図14に示すような円柱状のディンプル33Aを形成してもよい。
【0040】
ノズル13の外面に形成されたディンプル33の作用について以下に説明する。従来のジェットポンプでは、図7に示すように、ノズル13の、ノズル台座の軸心側の外面付近において、被駆動水29の渦が発生する。この渦は、ノズル13の外面に沿って流れてきた被駆動水29が6本のノズルを有するノズル装置の軸心側の外面で剥離するために発生する。本実施例では、ノズル13の外面に形成された複数のディンプル33が、ノズル13の外面に沿って流れる被駆動水29に微少な乱れを生じさせる。この微小な乱れによって被駆動水29の流れの剥離位置が下流側に移動するので、発生する渦が小さくなり、被駆動水29の流れのエネルギー損失が低減できる。したがって、ディンプル33を形成したジェットポンプ10Bは効率を向上させることができる。ディンプル33を千鳥状に配置することにより、被駆動水29の微少な乱れをノズル13の外面に均一に形成することができる。微小な流れを均一に形成することにより、非定常に発生する渦を効果的に抑制することができる。
【0041】
複数のディンプル33は、ノズル13の、ノズル装置10Bの軸心側の外面に位置するディンプル形成領域34内に形成される。このような構成にする理由について説明する。ディンプル33は被駆動水29の流れの剥離を下流側に移動させてエネルギー損失を低減させる効果を生じる。被駆動水29の流れの剥離が生じていない領域でノズル13の外面にディンプル33を形成した場合には、微少な乱れの発生により少なからずエネルギー損失が発生する。したがって、ディンプル33はその流れの剥離位置の少し上流側から下流に向ってノズル13の外面に形成することが、エネルギー損失低減の面から望ましい。
【0042】
図7に示された剥離の位置を下流側へ移動させるには、ディンプル33を、剥離点の少し上流側、すなわち、ノズル13の、ノズル装置12Bの軸心側に形成すればよい。ノズル13の突起部16に面しない外面には、ディンプル33を形成しない。このため、ノズル13の突起部16に面しない外面では、ディンプル33によるエネルギー損失が生じない。
【0043】
発明者らが行った条件を変えた複数の数値解析の結果によれば、被駆動水29の流れの剥離点は図7に示したノズル13の外面の中間点よりも下流側になることが判明している。したがって、ディンプル33は、ノズル13外面の中間点よりもノズル装置12Bの軸心側のノズル13の外面に形成すればよい。ノズル装置12Bに設けられた6本のノズル13は、それぞれの軸心がノズル装置12Bの軸心を中心とした円(図2に示す破線の円)上に配置されている。上記した中間点は、図7に示す中間点であり、上記した円(図2に示す破線の円)とノズル13の横断面におけるノズル13の外面との交点の位置である。
【0044】
以上の説明から明らかなように、本実施例のジェットポンプ10Bは、ノズル13の、ノズル装置12Bの軸心側の外面にディンプル33を形成することにより、被駆動水29の渦の発生を抑制してエネルギー損失を低減させることができる。このため、本実施例は、被駆動水29の吸い込み量が増加し、M比の大きい領域でジットポンプの効率を向上させることができる。
【実施例4】
【0045】
本発明の他の実施例である実施例4の、BWRに適用されるジェットポンプを、図15から図17を用いて以下に説明する。本実施例のジェットポンプ10Cは、ジェットポンプ10においてノズル装置12のノズル13をノズル13Aに替えた構成を有している。ノズル13Aが異なっている以外は、ジェットポンプ10Cはジェットポンプ10と同じ構成を有している。6本のノズル13は、ノズル台座15から下方に向かって伸びており、周方向において等間隔に配置されている。
【0046】
ノズル装置12Cは6本のノズル13Aを備えている。このノズル13Aの詳細な構成を、図17を用いて説明する。ノズル13Aは、内部に形成される噴出通路27Aの通路径となるノズル内径をノズル13Aの上流端から下流端にかけてD1,D2,D3と順次定義した場合、これら内径はD1>D2>D3の関係を有している。
【0047】
つまり、ジェットポンプ10Cに用いられるノズル装置12Cでは、ノズル13Aは、ノズル直管部36、ノズル絞り部37、ノズル直管部38、ノズル絞り部39及びノズル下端部40を有する。最も上流に位置するノズル直管部36は、内径がD1で一定になっている。ノズル直管部36の下流端に接続された第一段のノズル絞り部37は、内部の流路断面積が下流に向って減少し、上端の内径がD1で下端の内径がD2であり、長さがL1になっている。ノズル絞り部37の下流端に接続されるノズル直管部38は、内径がD2で一定になっている。ノズル直管部38の下端に接続される第2段のノズル絞り部39は、内部の流路断面積が下流に向って減少し、上端の内径がD2で下端の内径がD3であり、長さがL2になっている。ノズル絞り部39の下端に接続されてノズル13Aの最も下流に位置するノズル下端部40は、内径がD3で内部に噴出口14が形成される。
【0048】
ノズル13Aでは、噴出通路27Aがノズル絞り部37,39の二箇所で絞られている。ノズル絞り部37の絞り角θ1及びノズル絞り部39の絞り角θ2はそれぞれ次の(4)式、(5)式で計算できる。
【0049】
θ1=tan−1((D1−D2)/2/L1) ……(4)
θ2=tan−1((D2−D3)/2/L2) ……(5)
噴出口14に近いノズル絞り部39のノズル絞り角θ2がノズル絞り部37の絞り角θ1よりも大きくなっている(θ2>θ1)。流路断面積が大きいノズル直管部36がノズル絞り部37の上流に、流路断面積が小さいノズル直管部38がノズル絞り部37の下流にそれぞれ配置される。
【0050】
ノズル13Aの最も下流に位置する下端部には、内径D3で先端に噴出口14を形成した直管のノズル下端部40を配置することが望ましい。しかしながら、噴出口14から噴出する噴出流28の流速を向上させるために、直管のノズル下端部40に替えて流路断面積が下流端に向って緩やかに減少するノズル絞り部を用いても良い。
【0051】
ノズル下端部40に流路断面積が下流端に向って緩やかに減少するノズル絞り部を用いる場合には、ノズル下端部40の噴出口14からの噴出流28の広がりを所望の範囲内に抑えるために、このノズル絞り部の絞り角θは2度未満程度の小さな角度にすることが望ましい。
【0052】
分岐管26からノズル装置12Cのノズル台座15内に流入した駆動水24は、それぞれのノズル13A内の噴出流路27Aに導かれる。噴出通路27Aの流路断面積は、上流から下流に向って配置されたノズル直管部36、ノズル絞り部37、ノズル直管部38、ノズル絞り部39及びノズル下端部40の内径に応じて変化している。噴出通路27A内に流入した駆動水24は、ノズル直管部36、ノズル絞り部37、ノズル直管部38及びノズル絞り部39のそれぞれの部分を通り、ノズル下端部40に到達する。噴出通路27A内を下降する駆動水24は、ノズル絞り部37で徐々に加速され、ノズル絞り部39でノズル絞り部37よりも急速に加速される。加速された駆動水24は噴出口14からスロート21内に向って噴出される。
【0053】
ノズル絞り部39においてノズル13Aの中心軸に向かう速度成分が駆動水24に与えられる。しかしながら、流体は壁面に沿って流れる性質があるため、直径D3の噴出流28がノズル下端部40の先端に形成された噴出口14から直径D3で噴出される。ノズル絞り部39の絞り角θ2が大きいほどノズル中心軸に向かう運動量が存在するため、噴出口14から噴出される噴出流28の拡がりが抑えられて、噴出流28が噴出口14から下流へ距離L3だけ進んだ時点での噴出流28の直径D4を所望の範囲内に抑えて小さくすることができる。噴出流28の直径D4は噴出流28の流路幅であり、噴出流28の直径D4が小さいほど、噴出流28の速度が大きくなる。
【0054】
噴出流28の拡がりを抑えて速度を維持したまま、ノズル13Aから噴出流28がスロート21内に噴出されると、スロート21内の静圧がより低下するため、ノズル装置12Cの周囲に存在するより多くの被駆動水29が吸引流路30を通してベルマウス20ないに吸込まれる。
【0055】
ノズル下端部40がノズル絞り部39の下流に配置されていない場合を想定する。この場合には、ノズル絞り部39で与えられたノズル13Aの中心軸に向かう駆動水24の運動量により噴出流28の直径が噴出後も小さくなる。すなわち、ノズル下端部40の直管部が存在しないので、ノズル部39の下端に形成された噴出口40から噴出される噴出流28は、ノズル絞り部39の影響を受ける。このため、噴出口14からの距離L3での噴出流28の直径D4が、噴出口14の内径D3よりも小さくなり、噴流速度が上昇して加速損失が増大するので、駆動水24の流量が減少する。
【0056】
このため、ノズル絞り部39の下流側に直管部であるノズル下端部40を設置することにより、噴出口14から噴出する噴出流28の直径が、直管であるノズル下端部40の内径D3よりも小さくならないようにして、加速損失増大による駆動水24の流量減少を防いでいる。
【0057】
また、ノズル絞り部をノズル13Aに2箇所以上設けることにより、ノズル13A内の圧力損失を低減しつつ、ノズル13A相互間における被駆動水29の流路を広くすることができる。
【0058】
次に、噴出口14の内径をD3で固定してノズル絞り部37を直管とし、ノズル直管36及び直管にしたノズル絞り部37のそれぞれの内径をD2とし、ノズル13Aに形成したノズル絞り部をノズル絞り部39の一箇所にした場合を考える。ノズル絞り部39の長さL2を変更しない場合、ノズル直管部36及び直管にしたノズル絞り部37の流路断面積が狭くなって内部を流れる駆動水24の流速が増加するため、摩擦損失が増大して駆動水24の流量が減少する。また、ノズル絞り部39の長さL2を長くしてノズル絞り部39における上流側の流路断面積を大きくした場合は、ノズル13Aの外径が大きくなり、複数のノズル13A相互間に形成される被駆動水29の流路断面積(冷却水流路19の流路断面積)が狭くなるので、被駆動水29のベルマウス20内への吸い込み量が減少してしまう。
【0059】
したがって、二箇所以上のノズル絞り部をノズル13Aに設けることによって、ノズル13A内の噴出通路27Aの流路断面積が噴出口14側で狭くなり、噴出通路27A内を流れる駆動水24の流速が増加する。これによって、噴出通路27A内で摩擦損失が増大する領域を小さくすることができる。さらに、ノズル13Aにおいてノズル絞り部37より下方で外径を小さくすることができるので、ノズル13A相互間に形成される間隙31の幅を実施例1におけるそれよりも広くすることができ、冷却水流路19に吸い込まれる被駆動水29の流量を増大できる。結果として、スロート21内に吸込まれる被駆動水29の流量が増大する。
【0060】
前述したように噴出通路27A内に流入した駆動水24は、ノズル絞り部37,39により噴出通路27A内で加速され、噴出口14から噴出流28となってスロート21内に噴出される。本実施例では、噴出流28の拡がりを抑えることができるため、スロート21内に到達した噴出流28の速度は大きくなってスロート21内の静圧がより低下する。この結果、被駆動水29をスロート21内により多く吸込むことができる。
【0061】
本実施例は、実施例1と同様に、整流板18を設けているので、ノズル13Aの、ノズル装置12Cの軸心側に面する外面付近に、この外面に沿ってノズル装置12Cの軸心側に向う被駆動水29の流れによって渦が発生するのを抑えることができる。このため、本実施例は、実施例1で生じる効果を得ることができる。さらに、本実施例は、2つのノズル絞り部37,39を有するノズル13Aを備えているので、上記したノズル13Aの作用によって、実施例1よりもスロート21内に吸込まれる被駆動水29の流量を増大することができる。このため、ジェットポンプ10Cから排出される冷却水25の流量がジェットポンプ10よりも増大する。M比が高い領域でのジェットポンプ10Cの効率が、ジェットポンプ10のそれよりも向上する。
【0062】
本実施例のジェットポンプ10Cは、整流板18が設置されていない状態であっても、特開昭59−188100号公報に記載された、1段階で絞られた絞り部と直管部を有する5本のノズルを備えた従来のジェットポンプに比べて、ジェットポンプ効率が向上する。
【0063】
本実施例は、ノズル絞り部39の絞り角θ2をノズル絞り部37の絞り角θ1よりも大きくしているので、噴出流28の拡がりを抑えてスロート21の入口での駆動水24の速度低下を抑制するとともに、噴出口14を形成するノズル下端部40を設けて、絞りによって過度に駆動水29の速度が上昇してノズル13Aの圧力損失が大きく上昇するのを防いでいる。
【0064】
スロート21での駆動水24の速度が噴出口14の位置での速度からあまり低下しないため、スロート21内の静圧がより低下して被駆動水29のスロート21内への吸い込み量が多くなり、ジェットポンプのM比と効率を向上させることができる。
【0065】
実施例3のジェットポンプ10Bにおいて、ノズル13をノズル13Aに替え、ノズル装置12Bの軸心側に面する、各ノズル13Aの外面にディンプル形成領域34を形成してもよい。このディンプル形成領域34には、複数のディンプル33が千鳥状に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の好適な一実施例である、BWRに適用される実施例1のジェットポンプのノズル装置付近の縦断面図である。
【図2】図1のI−I断面図である。
【図3】図1に示すノズル装置が適用される実施例1のジェットポンプの斜視図である。
【図4】図3に示す実施例1のジェットポンプが適用される沸騰水型原子炉の縦断面図である。
【図5】図1に示す整流板のノズル側での縦断面図である。
【図6】図1に示す整流板のノズル台座の突起部側での縦断面図である。
【図7】従来のジェットポンプのノズル付近における被駆動水の流動状態を示す説明図である。
【図8】実施例1のジェットポンプのノズル付近における被駆動水の流動状態を示す説明図である。
【図9】実施例1のジェットポンプ及び従来のジェットポンプにおけるM比とジェットポンプ効率の関係を示す特性図である。
【図10】本発明の他の実施例である、BWRに適用される実施例2のジェットポンプのノズル装置付近の縦断面図である。
【図11】図10のXI−XI断面図である。
【図12】本発明の他の実施例である、BWRに適用される実施例3のジェットポンプのノズル装置の部分側面図である。
【図13】図12に示すノズルの外面に形成されたディンプルを示す説明図であり、(A)はディンプルが形成された部分でのノズルの局部断面図であり、(B)はディンプルの配列を示す説明図である。
【図14】他の形状のディンプルが形成された部分でのノズルの局部断面図である。
【図15】本発明の他の実施例である、BWRに適用される実施例4のジェットポンプのノズル装置付近の縦断面図である。
【図16】図15のXVI−XVI断面図である。
【図17】図15に示すノズルの拡大縦断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1…原子炉圧力容器、2…炉心、3…炉心シュラウド、6…ダウンカマ、10,10A,10B,10C…ジェットポンプ、12,12A,12B,12C…ノズル装置、13,13A…ノズル、14…噴出口、15…ノズル台座、16…突起部、18,18A…整流板、19…冷却水流路、20…ベルマウス、21…スロート、22…ディフューザ、24…駆動水(駆動流体)、27…噴出通路、29…被駆動水(被駆動流体)、30…吸引通路、33,33A…ディンプル、34…ディンプル形成領域、36,38…ノズル直管部、37,39…ノズル絞り部、40…ノズル下端部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動流体を噴出するノズル装置と、前記駆動流体の噴出によって吸い込まれる、前記ノズル装置の周囲に存在する被駆動流体、及び前記駆動流体を混合し、混合された流体を排出する排出口を有するジェットポンプ本体とを備え、
前記ノズル装置が、前記ノズル装置の軸心の位置に突起部を形成しているノズル台座部材、前記突起部の周囲に配置されて前記ノズル台座部材に取り付けられる複数のノズル、及び前記ノズルから前記軸心に向かって配置される整流部材を有することを特徴とするジェットポンプ。
【請求項2】
前記ノズルが、ノズル内に形成された駆動流体通路の流路断面積を低減させる複数の絞り部を形成している請求項1に記載のジェットポンプ。
【請求項3】
前記整流部材は前記ノズル及び前記ノズル台座部材に取り付けられている請求項1または2に記載のジェットポンプ。
【請求項4】
前記整流部材と前記突起部との間に間隙が形成される請求項3に記載のジェットポンプ。
【請求項5】
前記整流部材の厚みが、前記ノズルの前記ノズル台座部材への取り付け部側よりも前記ノズルの先端側で薄くなっている請求項1ないし4のいずれか1項に記載のジェットポンプ。
【請求項6】
前記整流部材の厚みが、前記ノズル側よりも前記軸心側で薄くなっている請求項1ないし5のいずれか1項に記載のジェットポンプ。
【請求項7】
駆動流体を噴出するノズル装置と、前記駆動流体の噴出によって吸い込まれる、前記ノズル装置の周囲に存在する被駆動流体、及び前記駆動流体を混合し、混合した流体を排出する排出口を有するジェットポンプ本体とを備え、
前記ノズル装置が、前記ノズル装置の軸心の位置に突起部を形成しているノズル台座部材、及び前記突起部の周囲に配置されて前記ノズル台座部材に取り付けられる複数のノズルを有し、
前記ノズルが前記軸心側の外面に複数のディンプルを形成していることを特徴とするジェットポンプ。
【請求項8】
前記ノズルが、ノズル内に形成された駆動流体通路の流路断面積を低減させる複数の絞り部を形成している請求項7に記載のジェットポンプ。
【請求項9】
前記複数のディンプルが千鳥配列で前記外面に形成されている請求項7または8に記載のジェットポンプ。
【請求項10】
原子炉容器と、前記原子炉容器内に設置され、前記原子炉容器内に形成される炉心に冷却材を供給する複数のジェットポンプとを備え、
前記ジェットポンプが、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載されたジェットポンプであることを特徴とする原子炉。
【請求項1】
駆動流体を噴出するノズル装置と、前記駆動流体の噴出によって吸い込まれる、前記ノズル装置の周囲に存在する被駆動流体、及び前記駆動流体を混合し、混合された流体を排出する排出口を有するジェットポンプ本体とを備え、
前記ノズル装置が、前記ノズル装置の軸心の位置に突起部を形成しているノズル台座部材、前記突起部の周囲に配置されて前記ノズル台座部材に取り付けられる複数のノズル、及び前記ノズルから前記軸心に向かって配置される整流部材を有することを特徴とするジェットポンプ。
【請求項2】
前記ノズルが、ノズル内に形成された駆動流体通路の流路断面積を低減させる複数の絞り部を形成している請求項1に記載のジェットポンプ。
【請求項3】
前記整流部材は前記ノズル及び前記ノズル台座部材に取り付けられている請求項1または2に記載のジェットポンプ。
【請求項4】
前記整流部材と前記突起部との間に間隙が形成される請求項3に記載のジェットポンプ。
【請求項5】
前記整流部材の厚みが、前記ノズルの前記ノズル台座部材への取り付け部側よりも前記ノズルの先端側で薄くなっている請求項1ないし4のいずれか1項に記載のジェットポンプ。
【請求項6】
前記整流部材の厚みが、前記ノズル側よりも前記軸心側で薄くなっている請求項1ないし5のいずれか1項に記載のジェットポンプ。
【請求項7】
駆動流体を噴出するノズル装置と、前記駆動流体の噴出によって吸い込まれる、前記ノズル装置の周囲に存在する被駆動流体、及び前記駆動流体を混合し、混合した流体を排出する排出口を有するジェットポンプ本体とを備え、
前記ノズル装置が、前記ノズル装置の軸心の位置に突起部を形成しているノズル台座部材、及び前記突起部の周囲に配置されて前記ノズル台座部材に取り付けられる複数のノズルを有し、
前記ノズルが前記軸心側の外面に複数のディンプルを形成していることを特徴とするジェットポンプ。
【請求項8】
前記ノズルが、ノズル内に形成された駆動流体通路の流路断面積を低減させる複数の絞り部を形成している請求項7に記載のジェットポンプ。
【請求項9】
前記複数のディンプルが千鳥配列で前記外面に形成されている請求項7または8に記載のジェットポンプ。
【請求項10】
原子炉容器と、前記原子炉容器内に設置され、前記原子炉容器内に形成される炉心に冷却材を供給する複数のジェットポンプとを備え、
前記ジェットポンプが、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載されたジェットポンプであることを特徴とする原子炉。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−275661(P2009−275661A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129712(P2008−129712)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【Fターム(参考)】
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