説明

ジエステルを製造する方法

本発明は、イミドまたはジニトリル化合物からジエステルを調製する方法に関する。より具体的に、前記発明は、ジエステル化合物を得るためにアルコールの存在下でのジニトリル化合物の蒸気相加水分解を利用することにより、ジニトリル化合物からジエステル化合物を調製する方法に関する。さらにより具体的には、前記発明は、メチルグルタロニトリルまたはブタジエンのヒドロシアノ化によるアジポニトリルの調製中に二次生成物として得られた分岐ジニトリル化合物などの分岐ジニトリル化合物からジエステルを調製する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイミドまたはジニトリル化合物からジエステルを製造する方法に関する。
【0002】
より具体的には、この方法は、ジニトリル化合物の蒸気相加水分解を利用してジニトリル化合物からジエステル化合物を製造する方法に関する。
【0003】
さらにより具体的には、この方法は、ブタジエンのヒドロシアノ化によるアジポニトリルの製造方法における副生物として得られるメチルグルタロニトリルまたは分岐したジニトリル化合物などの分岐したジニトリル化合物からジエステルを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
ジエステルを主成分とする酸素化された溶媒は、環境にとってより有害な他の炭化水素、塩素化または酸素化された溶媒の代替物として使用が増加している。
【0005】
これは、アジピン酸、グルタル酸およびコハク酸の混合物から得られる、Rhodia Solv RDPEの名で知られて販売されている溶媒などのジエステル溶媒が、毒性について非常に有利なプロファイルを有するという利点を示し、生分解性であり、および回収容易であるからである。分岐した化合物から、およびより具体的には、メチルグルタロニトリル、エチルスクシノニトリルおよびアジポニトリルの混合物から得られるジエステル化合物は、未公開の仏国特許出願第0602011号明細書においても提案されている。
【0006】
この特許において、ジニトリル化合物をアルコールと無機酸の存在下に反応させ、続いて加水分解させることによる製造方法が記載されている。この方法はPinner反応の名で知られている。
【0007】
しかしながら、この方法においては副生物としてアンモニウム塩が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】仏国特許出願第0602011号明細書(未公開)
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的の一つは、先行技術の方法の不利点を示さず、特に、ことによると環境に有害な流出物または副生物の有意な量を生じない、ジニトリル化合物からジエステルを製造する方法を提供することである。
【0010】
この目的に対して、本発明の対象は、次の一般式(I)、
【0011】
【化1】

(式中、Rは、2から12個の炭素原子を含む直鎖状のまたは分岐した2価の炭化水素基である。)
のイミド化合物と、次の一般式(II)、
【0012】
【化2】

(式中、Rは、ヘテロ原子を含んでもよい、1から20個の炭素原子を含む直鎖状のまたは分岐した脂肪族、脂環族、芳香族またはアリールアルキル炭化水素基である。)
のアルコールとの間の反応によるジエステル化合物の製造方法である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好ましい実施形態により、式(I)のイミド化合物は、次の一般式(III)のジニトリル化合物の環化加水分解により得られる。
【0014】
【化3】

(式中、Rは上記で示した意味を有する。)
この環化加水分解反応は、蒸気相で固体触媒の存在下に実施される。
【0015】
本発明の第2の実施形態により、本発明の方法は、式(III)のジニトリル化合物(単数または複数)、水および式(II)のアルコール、および固体触媒を含む反応混合物を使用する単一段階で実施される。
【0016】
このような実施形態において、ジニトリル化合物の環化加水分解反応およびイミドのエステル化反応は反応装置の中で起こる。
【0017】
反応媒質は、蒸発させた後で触媒と接触させられる。
【0018】
この第2の実施形態では、使用される水およびアルコールの量により、アルコールの分子数と水の分子数とのモル比Rが、ジニトリルから形成されたイミドをジエステルに変換するアルコール分子の化学量論数と、ジニトリル化合物をイミド化合物に加水分解するために必要な水分子の化学量論数との化学量論比Rstoichよりも少なくとも10%を超えて大であるようにすることが可能になることが利点である。
【0019】
ジニトリル化合物の環化加水分解を実施するための水分子の化学量論数は2に等しい。
【0020】
ジエステルを得るために必要なアルコール分子の化学量論数も2に等しい。
【0021】
したがって、比Rstoichは1に等しい。
【0022】
比Rは、1.1を超え、および有利には20未満および好ましくは10以下である。
【0023】
環化加水分解反応は、500℃未満の温度で、好ましくは250℃と450℃の間の温度で有利に実施される。
【0024】
さらに、水のニトリル化合物に対するモル比は、1と10の間、好ましくは2と5の間である。
【0025】
アルコールの非存在下(第1実施形態)またはアルコールの存在下(第2実施形態)において実施される環化加水分解反応は、固体触媒を固定床の形態または流動床の形態のいずれかで使用することを可能にするタイプの反応装置中で、バッチ式または連続式で実行される。反応は大気圧下または加圧下で、例えば、10バールまでの範囲をとり得る圧力下で実施することができる。
【0026】
ジエステル化合物は、縮合後、例えば、蒸留または液/液抽出などの、有機化合物を分離し精製する標準的技法により、反応媒体から抽出される。
【0027】
同様に、本発明の第1実施形態において、ジニトリル化合物の加水分解により得られるイミド化合物は、標準的技法により、反応媒質から有利に分離され精製することができる。しかしながら、加水分解段階後に得られた反応媒質を分離も精製もせずにそのまま、アルコールとの反応の段階の反応物として使用することも可能である。
【0028】
環化加水分解反応により使用される固体触媒は、アルミナまたは酸化チタンなどの金属酸化物、ヘテロポリ酸、ペンタシルおよびホージャサイト型のゼオライト、粘土、金属リン酸塩、シリカ/アルミナ混合物等からなる群から選択される。
【0029】
したがって、本発明に適した粘土は、特にこれらはこれらの天然のおよび物理化学的性質の群により分類される層状珪酸塩であり、この群の中でカオリン、蛇絞石、スメクタイトまたはモンモリロナイト、イライトまたは雲母、海緑石、緑泥石またはバーミキュライト、アタパルジャイトまたは海泡石、混合層粘土、アロフェンまたはイモゴライトおよび高アルミナ粘土を挙げることができる。
【0030】
ある粘土は、膨張可能な網状組織のある葉状構造を有する。これらの粘土は、これらを構成するシート間に種々の溶媒、特に水を吸着する顕著な特徴を示し、これが、シート間の静電気的結合の弱化の結果として、固体の膨潤を惹起する。これらの粘土は、スメクタイト群に(またはモンモリロナイト群にも)本質的に属し、これらの幾つかはバーミキュライト群に属する。
【0031】
これらの構造は、3層を含む「基礎」シートから構成される。すなわち、2つはSiO四面体の単純な層で、ケイ素の部分は、四面体位置でAl3+または場合によりFe3+などの他のカチオンにより置換可能であり、およびこれらの四面体の2層の間に、酸素八面体の層があり、この中心にAl3+、Fe3+またはMg2+などの金属カチオンが位置する。この八面体層は、前述の四面体の頂点またはヒドロキシル基OHのいずれかに由来する酸素の緻密な積重ねで構成されている。これらの酸素の緻密な六方晶系の網目構造は6つの八面体空洞を含む。
【0032】
金属カチオンがこれらの4つの空洞を占めているとき、(例えば、アルミニウムの場合のように3つの空洞のうち2つ)、層は2八面体(dioctahedral)であるといわれ;金属カチオンが全ての空洞を占めているとき(例えば、マグネシウムの場合のように、3つの空洞のうち3つ)、層は3八面体(trioctahedral)であるといわれる。
【0033】
これらの粘土の基礎シートは負電荷を帯び、これは交換可能なカチオン、すなわち、Li、NaまたはKなどのアルカリ金属カチオン、Mg2+またはCa2+などのアルカリ土類金属カチオンおよび場合によりヒドロニウムイオンHの存在により補償されている。スメクタイトは、シート上にバーミキュライト型の粘土よりも低い電荷密度を有し、バーミキュライトの単位格子当たり1ないし1.4電荷に対して、単位格子当たりおよそ0.66電荷である。
【0034】
補償カチオンは、本質的に、スメクタイト中ではナトリウムおよびカルシウム、およびバーミキュライト中ではマグネシウムおよびカルシウムである。電荷密度の観点から、スメクタイトおよびバーミキュライトは、タルクとパイロフィライトとの中間であり、一方、このシートは中性である。他方、雲母はシート上の高電荷密度により特徴付けられ(格子当たり約2)、通常Kイオンにより補償されている。
【0035】
スメクタイトおよびバーミキュライトの層間カチオンは、例えば、アンモニウムイオンまたはアルカリ土類金属イオンまたは希土類金属イオンなどの他のカチオンによるイオン交換により、非常に容易に置換され得る。
【0036】
粘土の膨潤性は、電荷密度および補償カチオンの性質を含む種々の要因に依存する。
【0037】
したがって、スメクタイトは、バーミキュライトよりも電荷密度が低く、後者に著しく優る膨潤性を示し、この結果固体の高度に有利な部類を構成する。反復距離すなわち基底間隔は、2つの隣接するシートに位置する2つの結晶学的に同一の単位を隔てる最短距離を表す。したがって、スメクタイトの基底間隔は、膨潤により、1nmからおよそ2nmを超える範囲の値に達し得る。
【0038】
スメクタイト型の「膨潤性」フィラト様ケイ酸塩の中で、次の一般式の固体を挙げることができる。
【0039】
【化4】

(式中、Mは層間カチオンであり、
は八面体位置中の金属であり、
は四面体位置中の金属であり、
xはカチオンMの寄与による電荷数である。)。
【0040】
2八面体スメクタイト
モンモリロナイト(H、Na、Ca1/2(MgAl2−xVISiIV10(OH)
ベルデライト(H、Na、Ca1/2AlVI(AlSi4−xIV10(OH)
ノントロライト(H、Na、Cal1/2...)(Fe、Al)VI(AlSi4−xIV10(OH)
3八面体スメクタイト
ヘクトライト Na(LiMg3−xVISiIV10(OH)
サポナイト NaMgVI(AlSi4−xIV10(OH)
ステベンサイト Na2xMg3−xVISiIV10(OH)
水または極性有機溶媒のスメクタイト中の吸着が飽和した後では、層間空隙(2枚のシート間の)は最大である。この空隙は1nm付近の値に達し得る。したがって、これらの固体は、これらの可能な比表面積および可能な酸性度が高いので、触媒作用において有利な可能性がある。
【0041】
本発明の好ましい形態により、6−アミノカプロン酸のエステルまたはアミドのラクタムへの環化触媒を構成する粘土は、スメクタイトである。より好ましくは、この粘土はモンモリロナイトである。
【0042】
ある粘土は、残念ながら、100℃に加熱すると膨張した性質を失い、この理由で、膨張の結果である比表面積の増加を維持しないという不利点を有する。これは特にスメクタイトの場合に当てはまる。
【0043】
熱処理にかけられた後で高い層間空隙を保持する架橋されたスメクタイトを得るために、スメクタイトのシートの間に、支柱またはブリッジを導入する種々の方法が、先行技術に記載されている。
【0044】
金属水酸化物、特に水酸化アルミニウムのオリゴマーで構成される橋を導入することによる1つの方法が、Lahav、Shami and Shabtaiにより、Clays and Clay Minerals,vol.26(No.2),pp.107−115(1978)およびフランス特許第2 394 324号に記載されている。ケイ素およびホウ素の混合水酸化物のオリゴマーで構成されるブリッジの形成は、特許US 4 248 739に記載されている。アルミニウム、クロム、ジルコニウムおよびチタン等の水酸化物を使用して透析によりスメクタイトを架橋する技法は、特許EP 0 073 718号で請求されている。
【0045】
これらの方法の原理は、ヒドロキシアルミニウム型の多かれ少なかれオリゴマー化したイオン性実体を含む溶液と粘土を接触させることによる(アルミニウムの場合)。この操作は、通常、比較的低濃度の溶液中80℃未満の温度で、および可能ならば金属水酸化物の沈殿開始による混濁なしに実施される。金属イオンおよび粘土の濃度は、固体支柱が十分形成され、および粘土の多孔性が過剰量の金属酸化物の挿入により、大きく低下しないように、最適化されなければならない。
【0046】
層間アルカリ金属またはアルカリ土類金属イオンが非常に希薄な溶液を直接使用する、または好ましくは、アンモニウム塩で交換し、続いて300℃と700℃の間で焼成するかのいずれかにより、プロトンにより置換されると、架橋されたスメクタイトは、例えば従来のゼオライトYまたはモルデナイト型よりも全体として低いが、高い酸性度を得る。
【0047】
本発明の特別の別の形態によれば、触媒は粘土に加えて、例えば、クロム、チタン、モリブデン、タングステン、鉄または亜鉛化合物などの1つ以上のしばしばドープ剤と称される他の金属化合物を含み得る。これらのドープ剤の中で、クロムおよび/または鉄および/またはチタン化合物が、最も有利と見なされる。これらのドープ剤は、通常、粘土の重量当たりの重量で、0%から10%、好ましくは0%から5%を占める。
【0048】
用語「金属化合物」は、金属元素と金属イオンの両方または金属元素を含む任意の組合せを意味すると理解される。
【0049】
他の部類の本発明の好ましい触媒は、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、タングステン、モリブデン、鉄または希土類金属からなる群から選択される少なくとも1種の元素の少なくとも1つの単独または混合無機酸化物を成形することにより得られる粒状触媒からなる。これらの酸化物は非晶質または結晶形で存在し得る。
【0050】
本発明によれば、粒状触媒は、500Åを超える直径の孔に対応する、5ml/100g以上の孔容積に特徴付けられる少なくとも1つのマクロ多孔性を含む。
【0051】
このマクロ多孔性は、下記に記載する、または例えば、孔形成剤の添加などの技法により粒子を成形する工程中有利に形成される。触媒は、ビーズ、破砕材料、中空または中実の円筒形顆粒の形態の押出し物、ハニカムまたはペレットなどの種々の形態で使用することができ、成形は、場合により、結合剤を使用して実施することが可能である。
【0052】
触媒は、第一に、油滴成形操作(または液滴凝結)で生ずる無機酸化物のビーズの形態であってよい。このタイプのビーズは、例えば、特許EP−A−O 015 801号またはEP−A−O 097 539号における、アルミナビーズ形成のために記載された同様の工程により調製することができる。多孔性は、特に、特許EP−A−O 097 539号に記載されたプロセスにしたがって、無機酸化物の水性懸濁液または分散液の滴として凝結により制御することができる。
【0053】
ビーズは、造粒機または回転ドラム中で凝集により得ることもできる。触媒は無機酸化物の押出し物の形態であってもよい。後者は、無機酸化物を主成分とする材料を混練して次に押し出すことにより得ることができる。これらの押出し物の多孔性は使用される酸化物の選択により、およびこの酸化物を調製する条件により、またはこの酸化物を押し出す前の混練条件により、制御することができる。したがって、無機酸化物は、混練中に、孔形成剤と混合することができる。例として、押出し物は、特許US 3 856 708に記載された方法により調製することができる。
【0054】
同様に、制御された多孔性のビーズは、回転皿もしくは造粒機中での孔形成剤の添加および凝結により、または油滴プロセスにより得ることができる。
【0055】
本発明の他の特性によれば、触媒粒子は、10m/gを超える比表面積および10ml/100g以上の孔容積を示し、500Åを超える直径の孔に対応する孔容積は10ml/100g以上である。
【0056】
本発明の他の特性によれば、触媒粒子は、50m/gを超える比表面積を示す。
【0057】
有利なことに、これらは、15ml/100g以上の合計孔容積を示し、孔容積は200Åを超える直径の孔に対応して、15ml/100g以上、好ましくは20ml/100g以上である。
【0058】
これらの粒状触媒は、ケイ素、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、タングステン、モリブデン、鉄および希土類金属からなるリストから選択される少なくとも1つの元素を含むこともできる、または元素周期表(新表)の1族から16族に属する元素からなる群であって、このリストが希土類金属も含む群から選択される少なくとも1つの元素の少なくとも1つの酸素化合物を担体上へ析出および/または吸着させることにより得ることもできる。これらの元素または化合物は、粒状触媒上に析出または吸着される。
【0059】
元素の酸素化合物を担持する多孔性粒状触媒を含む手順において、これらの元素は、ケイ素、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、タングステン、モリブデン、リン、ホウ素、鉄、アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類金属からなるリストから有利に選択される。酸素化合物は、有利に1種以上の上記の元素の単独または混合酸化物である。
【0060】
この実施形態において、多孔性触媒は、好ましくは酸化アルミニウムである。このアルミナは、有利には上記で規定した比表面積および孔分布特性を示す。
【0061】
多孔性担体に担持された酸素化合物の重量濃度は、触媒の合計重量に対して酸素化合物の元素の重量として表して、1000ppmと30%の間であることが有利である。この濃度は、より好ましくは、重量で0.5%と15%の間である。
【0062】
多孔性担体が本発明に記載のアルミナに対応するとき、アルミナは、通常、ギブサイト、バイエライト、ノルドストランダイトまたはこれらの種々の混合物の脱水により得られる。アルミナを調製する種々のプロセスが、Kirk−Othmer encyclopaedia,volume 2,pages 291−297に記載されている。
【0063】
本発明のプロセスで使用されるアルミナは、微細化した形態の水和したアルミナを、400℃と1000℃の間の温度で熱ガス流と接触させ、次にこの水和物とガスの間の接触を1秒未満から10秒までの範囲の時間だけ保ち、最後に部分的に脱水されたアルミナと熱ガスを分離することにより調製することができる。特に米国特許US 2 915 365に記載されたプロセスを参照することができる。
【0064】
上記で得られたアルミナの凝結塊を、水性媒質中で、場合により酸の存在下で、100℃を超える温度において、および好ましくは、150℃と250℃の間の温度において、好ましくは1時間と20時間の間の時間オートクレーブにかけ、次にこれらを乾燥して焼成することが可能である。
【0065】
焼成温度は、上記に示した特定の範囲内の値にある比表面積および孔容積が得られるように調整する。
【0066】
本発明の触媒は、有利に50m/gを超える比表面積を有する。これに加えて、これらは、有利に0.1μmを超える直径の孔を示し、これらの孔により与えられる孔容積は5m1/100g以上、好ましくは10ml/100g以上である。
【0067】
本発明の好ましい実施形態において、これらの触媒は、0.5μm以上の直径の孔も含み、対応する孔容積は、5ml/100g以上、好ましくは10ml/100g以上である。
【0068】
500Åを超える、好ましくは0.1μmを超える、有利には0.5μmを超える直径を有する孔により生じたこの孔容積は、6−アミノカプロン酸のエステルまたはアミドを環化させてラクタムを生ずる反応の触媒として高いサイクル時間を有する触媒を得ることを可能にする。したがって、このような触媒はラクタム製造の工業的プロセスにおいて使用することができる。
【0069】
本発明によれば、多孔性触媒により担持された酸素化合物を含む触媒は、通常、触媒、特にアルミナに、上記の元素の塩または化合物の溶液を含浸することにより得られ、次に、乾燥され、場合によりおよび有利に、前記塩または化合物を酸素化合物、好ましくは酸化物に変換させるために、400℃以上の温度で焼成される。
【0070】
酸化物は多孔性触媒の孔の表面に析出させられる。
【0071】
他の実施形態において、元素の化合物は、成形される前または成形プロセス中に多孔性触媒を構成する材料に添加することができる。
【0072】
これらの含浸された触媒は、好ましくは空気などの酸化雰囲気下で焼成される。
【0073】
本発明の他の実施形態によれば、触媒は、一般式、
【0074】
【化5】

(式中、
Mは元素周期表の2a、3b、4b、5b、6b、7b、8、2b、3a、4aおよび5a族から選択される2価、3価、4価もしくは5価の元素、またはこれらの元素の数種の混合物を表すかまたはM=Oであり、
Impは、電気的中性を提供するために対イオンと組み合わせた、アルカリ金属またはアルカリ土類金属またはこれらの金属の数種類の混合物で構成される塩基性含浸化合物を表し、
nは1、2または3を表し、
hは0、1または2を表し、
Pは、0と1/3の間の数を表し、含浸する材料Impと含浸された材料(POMとのモル比に相当する。)
の金属リン酸塩であってよい。
【0075】
元素周期表の2a、3b、4b、5b、6b、7b、8、2b、3a、4aおよび5a族の金属の中で、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、ホウ素、ガリウム、インジウム、イットリウム、ランタニド例えば、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ヨーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテチウムなど、ジルコニウム、チタン、バナジウム、ニオブ、鉄、ゲルマニウム、錫、またはビスマスを特に参照することができる。
【0076】
ランタニドのリン酸塩の中で、セリウム系希土類金属としても知られ、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウムおよびヨーロピウムを含む軽希土類金属のオルトリン酸塩をまとめる第1ファミリーを区別することは可能である。これらのオルトリン酸塩は二形性である。これらは六方晶系構造を示し、600℃から800℃の温度において加熱されたとき単斜晶構造に変化する。
【0077】
ランタニドのリン酸塩の第2ファミリーは、ガドリニウムの、テルビウムの、およびジスプロシウムのオルトリン酸塩をまとめるものである。これらのオルトリン酸塩は、セリウム系希土類金属のオルトリン酸塩と同じ構造を示すが、これに加えて、高温で(約1700℃)二次構造の第3の結晶相を示す。
【0078】
ランタニドのリン酸塩の第3ファミリーは、イットリウム系希土類金属としても知られ、イットリウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムおよびルテチウムを含む重希土類金属のオルトリン酸塩をまとめるものである。これらの化合物は、単独で二次形に結晶化する。
【0079】
希土類金属のオルトリン酸塩の種々の上記のファミリーの中で、好ましくは、セリウム系希土類金属のオルトリン酸塩が使用される。
【0080】
上に示した数種の金属のリン酸塩の混合物または上に示した数種の金属の混合リン酸塩または上に示した金属の1つ以上とアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属などの1つ以上の他の金属とを含む混合リン酸塩である、上式の金属リン酸塩について使用が可能である。
【0081】
含浸化合物Impの式中に入っている対アニオンは塩基性である。水酸化物イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、塩化物イオン、フッ化物イオン、硝酸イオン、安息香酸イオン、またはシュウ酸イオンが特に使用され得るが、このリストに限定されることはない。
【0082】
モル比は、好ましくは0.02と0.2の間である。
【0083】
リン酸塩調製の一般的技法(特に、Pascal P.「Nouveau traite de chimie minerale」[新無機化学概論]、volume X(1956),pages 821−823、およびGmelins 「Handbuch der anorganischen Chemie」[無機化学ハンドブック](8th edition),volume 16(C),pages 202−206(1965)などに記載されている。)を参照すれば、リン酸塩を得る2つの主要なルートを見分けることが可能である。一方、可溶性の金属塩(塩酸塩、硝酸塩)のリン酸水素アンモニウムまたはリン酸による沈殿。他方、通常、温条件での金属の酸化物または炭酸塩(不溶性である。)のリン酸による溶解とこれに続く沈殿。
【0084】
示されたルートの1つにより得られた沈殿リン酸塩は、乾燥し、有機塩基(アンモニアなど)または無機塩基(アルカリ金属水酸化物など)で処理して焼成にかけることができるが、これら3つの操作は、示した順序で、または異なる順序で実施することができる。
【0085】
上式で記号pが0を超える金属リン酸塩は、記載した技法の1つにより調製された化合物(POMに、揮発性溶媒、好ましくは水などの中のImpの溶液または懸濁液を含浸させることにより調製することができる。
【0086】
結果として、Impが増加するほど溶解性が上昇し、より最近、化合物(POMが製造された。
【0087】
したがって、これらのリン酸塩の調製に有利なプロセスは、
a)化合物(POMを合成し、次に、好ましくは、反応媒質から(POMを分離せずに;
b)含浸材料Impを反応媒質中に導入し;
c)残存する液体があれば反応した固体から分離し;
d)乾燥し、および場合により焼成する
ことにある。
【0088】
これらの触媒の性能および特にこれらの不活性化に対する抵抗性は、焼成によりさらに改良される。焼成温度は、300℃と1000℃の間、好ましくは400℃と900℃の間であることが有利である。焼成の持続時間は広い限度内で変化させることができる。例を示せば、通常、これは1時間と24時間の間にある。
【0089】
本発明のプロセスで好ましい触媒の中で、リン酸ランタン、焼成リン酸ランタン、セシウム、ルビジウムまたはカリウム誘導体と組み合わせたリン酸ランタン、焼成リン酸セリウム、セシウム、ルビジウムまたはカリウム化合物と組み合わせたリン酸セリウム、セシウム、ルビジウムまたはカリウム化合物と組み合わせたリン酸サマリウム、リン酸アルミニウム、セシウム、ルビジウムまたはカリウム化合物と組み合わせたリン酸アルミニウム、焼成リン酸ニオブ、セシウム、ルビジウムまたはカリウム化合物と組み合わせたリン酸ニオブ、焼成リン酸水素ジルコニウムまたはセシウム、ルビジウムまたはカリウム化合物と組み合わせたリン酸水素ジルコニウムを、より具体的に挙げることができる。
【0090】
上記のオルトリン酸塩は、リン酸(HPO)との混合物として使用することができる。
【0091】
希土類金属、特にランタンのピロリン酸塩は、単独でまたは上記のオルトリン酸塩との混合物として、触媒として使用することもできる。このような触媒は、欧州特許EP1066255号に記載されている。
【0092】
本発明の好ましいジニトリル化合物は、ブタジエンのヒドロシアノ化により得られる化合物、およびさらにより具体的には、ブタジエンの二重ヒドロシアノ化により製造される、メチルグルタロニトリルまたはエチルスクシノニトリルなどの分岐ジニトリル化合物である。
【0093】
有利には本発明の方法では、メチルグルタロニトリル、エチルスクシノニトリル、およびアジポニトリルを含むジニトリル化合物の混合物を使用する。
【0094】
この混合物は、ブタジエンの二重ヒドロシアノ化によるアジポニトリルの製造プロセスにおいて、ペンテンニトリルのヒドロシアノ化後に得られた反応媒質から、特に、分離により、例えば蒸留により得られる。
【0095】
本発明に適したアルコールは、例えば、分岐したまたは分岐していない、および芳香核を含んでよい、および1から20個の炭素原子を含んでよい環式または非脂環族アルコールである。好ましい例として、次のアルコール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エタノール、n−ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、シクロヘキサノール、ヘキサノール、イソオクタノールまたは2−エチルヘキサノールを挙げることができる。
【0096】
本発明の方法により得られた組成物またはジエステルは、単独でまたは他の溶媒もしくは水との混合物として、溶液または乳剤の形態で使用することができる。特に、これらは、上記の直鎖状二酸のジエステルとの混合物として使用することができる(RPDE)。
【0097】
これらのジエステル化合物は、塗料、ワニスおよびラッカー、表面もしくはケーブルなどの他の物品をコートする産業、例えば、インク工業、織物用の潤滑剤、鋳造の芯と鋳型のための結合材および樹脂、洗浄剤製品、化粧品製剤、ある種の化学反応を実施するため、土壌および植物処理組成物において、ならびにもっと一般的に、単独でまたは任意の工業的もしくは家庭内活動における洗浄、酸洗いもしくは脱脂溶媒など製剤としての使用、などの溶媒として多くの分野に応用がある。
【0098】
これらのジエステル化合物は、幾つかのプラスチック用の可塑剤としてまたはポリマー製造用のモノマーとしても使用することができる。
【0099】
本発明の他の利点または特徴は、純粋に例示として下記に示す実施例に照らして、より詳細に説明され、より良く例示される。
【0100】
1段階でのジエステル合成
水、メタノールおよびジニトリル化合物の混合物を重量で、次の組成で含む媒質、
メチルグルタロニトリル86重量%
エチルスクシノニトリル11重量%
アジポニトリル3重量%
を注射器駆動装置を使用して、1ml/hの流量で、温度を300℃にして1l/hの窒素気流を流しているオーブン中に立てたパイレックス(登録商標)チューブに導入する。触媒4mlを容積5mlのガラス粉末2層の間に置く。注入はガラスの上層の上に直接行い、窒素気流が生成物を触媒床を通して輸送する。ガスはオーブンの出口で、氷浴中に置いたチューブ中で凝縮させてから、ガスクロマトグラフィにより分析する。
【0101】
導入される媒質は次のモル組成を有する。
ジニトリル化合物1mol
水2mol
メタノール8mol
【0102】
触媒として、ProcatalyseからSCM139XLの名で市販されているマクロ多孔性アルミナを使用して、試験を実施した。ジニトリル化合物の転化率は25%である。ジエステルの収率は0.3%である。反応媒質はジエステルに転化され得る中間生成物に相当するシアノエステルを含むことが見出された。シアノエステルの収率は2.4%である。
【0103】
2番目の試験は、触媒として、オルトリン酸ランタン2molおよびオルトリン酸1molの混合物を使用して実施した。ジニトリル化合物の転化率は62%である。ジエステルの収率は3%である。反応媒質はジエステルに転化可能な中間生成物に相当するシアノエステルを含むことが見出された。ジアノエステルの収率は2%である。
【0104】
3番目の試験は、触媒として(アナターゼ)酸化チタンを使用して実施した。ジニトリル化合物の転化率は78%である。ジエステルの収率は3%である。反応媒質は、これに加えてシアノエステル15%およびイミド類混合物20%を含む。
【0105】
2段階でのジエステル合成
【0106】
(実施例3)
ジニトリル混合物1ml/hおよび水1ml/hを、2個の注射器駆動装置を使用して、275℃に加熱され、および3l/hの窒素気流を流している、ガラス粉末5mlの2層の間に置いた(アナターゼ)酸化チタン4mlで構成される触媒固定床の上に共注入する。ガスを反応装置の出口で氷浴中に置いた受器中で凝縮する。6時間反応させた後、得られた生成物をガスクロマトグラフィにより分析する。このとき、97%のジニトリル転化率に対して、94%の混合イミドの収率が得られる。
【0107】
(実施例4)
混合イミド1gおよびメタノール10mlを反応装置中に導入して、アナターゼ酸化チタン0.2gを加える。反応混合物を自生圧下250℃で5時間加熱する。触媒を冷却して濾別した後、媒質をガスクロマトグラフィにより分析する。90%のイミド類転化率に対して、60%のジメチルエステルの収率である。
【0108】
(実施例5)
イミド類の混合物1gおよび1−プロパノール10mlを反応装置に導入してアナターゼ酸化チタン0.2gを加える。反応混合物を自生圧下250℃で5時間加熱する。触媒を冷却して濾別した後、反応媒質をガスクロマトグラフィにより分析する。55%イミド類転化率に対して、40%のジプロピルエステルの収率が得られる。
【0109】
(実施例6)
イミド類の混合物1gおよび1−ブタノール10mlを反応装置に導入してアナターゼ酸化チタン0.2gを加える。反応混合物を自生圧下250℃で5時間加熱する。触媒を冷却して濾別した後、反応媒質をガスクロマトグラフィにより分析する。50%のイミド類転化率に対して、38%のジブチルエステルの収率が得られる。
【0110】
(実施例7)
イミド類の混合物1gおよびイソブチルアルコール10mlを反応装置に導入してアナターゼ酸化チタン0.2gを加える。反応混合物を自生圧下250℃で5時間加熱する。触媒を冷却して濾別した後、反応媒質をガスクロマトグラフィにより分析する。52%のイミド類転化率に対して、40%のジイソブチルエステルの収率が得られる。
【0111】
(実施例8)
気相中
メタノール8mlに溶解したイミド類混合物1gからなる溶液を、流量5ml/hにおいて、ガラス粉末5mlの2層間に置かれた(アナターゼ)酸化チタン4mlからなり、275℃に加熱されおよび3l/hの窒素気流を流している触媒床上に注入する。ガスを反応装置の出口で氷浴中に置いた受器中で凝縮する。6時間反応させた後、得られた生成物をGCにより分析する。62%のイミド類の転化率に対して、30%のジメチルエステルの収率が得られる。
【0112】
(実施例9)
1−ペンタノール8mlに溶解したイミド類混合物1gからなる溶液を、流量5ml/hにおいて、ガラス粉末5mlの2層間に置かれた(アナターゼ)酸化チタン4mlからなり、275℃に加熱されおよび3l/hの窒素気流を流している触媒床上に注入する。ガスを反応装置の出口で氷浴中に置いた受器中で凝縮する。6時間反応させた後、得られた生成物をGCにより分析する。70%のイミド類の転化率に対して、45%のジペンチルエステルの収率が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(I)、
【化6】

(式中、Rは、2から12個の炭素原子を含む直鎖状のまたは分岐した2価の炭化水素基を表す。)
のイミド化合物と、次の一般式(II)、
【化7】

(式中、Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよい、1から20個の炭素原子を含む直鎖状のまたは分岐した脂肪族、脂環族、芳香族またはアリールアルキル炭化水素基を表す。)
のアルコールとの間の反応によりジエステル化合物を製造する方法。
【請求項2】
一般式(I)のイミド化合物が、次の一般式(III)、
【化8】

のジニトリル化合物の加水分解により得られることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ジニトリル化合物の加水分解が、固体触媒の存在下に蒸気相で実施されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
加水分解およびアルコールとイミドとの間の反応の2段階が単一の反応装置内で同時に実施されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
使用されるアルコールROHおよび水の量が、ジニトリルから生成したイミドをジエステルに転化させるためのアルコール分子の化学量論数とジニトリル化合物をイミド化合物に加水分解するために必要な水分子の化学量論数との化学量論比Rstoichよりも少なくとも10%を超えて大きい、アルコールの分子数と水の分子数とのモル比Rを有するように決定されることを特徴とする、請求項1から3の一項に記載の方法。
【請求項6】
比Rが1.1を超え、有利には20未満であり、および好ましくは10以下であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ジニトリル化合物が、メチルグルタロニトリル、エチルスクシノニトリル、アジポニトリルおよびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項2から7の一項に記載の方法。
【請求項8】
アルコールが、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エタノール、n−ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、シクロヘキサノール、ヘキサノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から7の一項に記載の方法。
【請求項9】
加水分解反応が、500℃未満の温度で、好ましくは250℃と450℃の間の温度で実施されることを特徴とする、請求項2から8の一項に記載の方法。
【請求項10】
水とニトリル化合物とのモル比が、1と10の間および好ましくは2と5の間であることを特徴とする、請求項2から9の一項に記載の方法。
【請求項11】
固体触媒が、アルミナなどの金属酸化物、ヘテロポリ酸、ペンタシルおよびホージャサイト型のゼオライト、粘土、金属リン酸塩、酸化チタン、シリカ/アルミナ混合物等から選択されることを特徴とする、請求項2から10の一項に記載の方法。
【請求項12】
粘土が、カオリン、蛇紋石、スメクタイトまたはモンモリロナイト、イライトまたは雲母、海緑石、緑泥石またはバーミキュライト、アタパルジャイトまたは海泡石、混合層粘土、アロフェンまたはイモゴライトおよび高アルミナ粘土から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
粘土がモンモリロナイトであることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
粘土が架橋されていることを特徴とする、請求項12および13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
触媒が、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、タングステン、モリブデン、鉄、および希土類金属からなる群から選択される、少なくとも1つの元素の少なくとも1つの単独または混合無機酸化物を成形することにより得られる粒状触媒であること、ならびに触媒は、500Åを超える直径の孔に対応する、5ml/100g以上の孔容積により特徴づけられる少なくとも1つのマクロ多孔性を含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
粒状触媒は、10m/gを超える比表面積および10ml/100g以上の合計孔容積を示し、500Åを超える直径の孔に対応する孔容積は10ml/100g以上であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
触媒が、50m/gを超える比表面積を示すことを特徴とする、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
触媒が、70Åを超える直径の孔に対応する20ml/100g以上の孔容積と一致する、20ml/100g以上の合計孔容積を示すことを特徴とする、請求15から17の一項に記載の方法。
【請求項19】
粒状触媒が酸化アルミニウムであることを特徴とする、請求15から18の一項に記載の方法。
【請求項20】
粒状触媒が、ケイ素、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、タングステン、モリブデン、鉄、および希土類金属からなるリストから選択される少なくとも1つの元素、または単独または混合無機酸化物で形成された粒状触媒上に析出もしくは吸着された、元素周期表(新表)の1族から16族に属する元素からなり、このリストが希土類金属も含む群から選択される少なくとも1つの元素の少なくとも1つの酸素化合物を含むことを特徴とする、請求15から19の一項に記載の方法。
【請求項21】
触媒が、一般式、
【化9】

(式中、
Mは元素周期表の2a、3b、4b、5b、6b、7b、8、2b、3a、4aおよび5a族から選択される2価、3価、4価もしくは5価の元素、もしくはこれらの元素の数種の混合物を表すかまたはM=Oであり、
Impは、電気的中性を提供するために対イオンと組み合わせた、アルカリ金属またはアルカリ土類金属またはこれらの金属の数種類の混合物で構成される塩基性含浸化合物を表し、
nは1、2または3を表し、
hは0、1または2を表し、
Pは、0と1/3の間の数を表し、含浸する材料Impと含浸される材料(POMとのモル比に相当する。)
の金属リン酸塩であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
触媒が希土類金属のピロリン酸塩であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項23】
触媒が、希土類金属のピロリン酸塩と希土類金属のオルトリン酸塩との混合物であることを特徴とする、請求項11、21または22に記載の方法。
【請求項24】
触媒が、希土類金属のオルトリン酸塩とリン酸との混合物であることを特徴とする、請求項11および21のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2009−543853(P2009−543853A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520004(P2009−520004)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際出願番号】PCT/FR2007/001140
【国際公開番号】WO2008/009792
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(508361575)
【Fターム(参考)】