説明

ジオキソランおよびジオキソラノン縮合インドロベンザジアゼピンHCVNS5B阻害剤

本発明は式Iの化合物およびその塩、ならびに該化合物を用いた組成物および方法を提供する。該化合物はC型肝炎ウイルス(HCV)に対する活性を有しており、HCVに感染した者の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年3月27日に出願された米国仮特許出願第61/039967号の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
(発明の背景)
本発明は概して、C型肝炎ウイルス(HCV)に対する活性を有し、HCVに感染した者の治療に有用である、式Iの新規化合物およびその塩に関する。本発明はまた、これら化合物を用いた組成物および方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
C型肝炎ウイルス(HCV)は主要なヒト病原体であり、世界中で推定1億7千万人が感染しており-これはヒト免疫不全ウイルス1型による感染数のおよそ5倍である。これらHCV感染者のかなりの割合が、肝硬変および肝細胞癌を含む重篤な進行性肝疾患を発症する(非特許文献1)。
【0004】
HCVはプラス鎖RNAウイルスである。5'非翻訳領域における推定アミノ酸配列および広範な類似性の比較に基づいて、HCVはフラビウイルス科の独立した属として分類されている。フラビウイルス科の全てのメンバーは、単一の連続したオープンリーディングフレームの翻訳を介して全ての公知のウイルス-特異的タンパク質をコードするプラス鎖RNAゲノムを含有するエンベロープに包まれたビリオンを有する。
【0005】
HCVゲノム全体にわたって、ヌクレオチドおよびコードされたアミノ酸配列内に、かなりの多様性が見いだされる。少なくとも6つの主要な遺伝子型がキャラクタライズされており、50を超えるサブタイプが記載されている。HCVの主要な遺伝子型は世界的な分布において異なっており、病原性および治療法における遺伝子型の影響の可能性についての多くの研究にもかかわらず、HCVの遺伝的多様性の臨床的意義は依然として捉えにくい。
【0006】
一本鎖HCV RNAゲノムは約9500ヌクレオチド長であり、約3000のアミノ酸である単一の大きなポリタンパク質をコードする単一のオープンリーディングフレーム(ORF)を有する。感染細胞において、このポリタンパク質は、細胞プロテアーゼおよびウイルスプロテアーゼにより複数の部位で切断され、構造タンパク質および非構造(NS)タンパク質を生じる。HCVの場合、成熟非構造タンパク質(NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、およびNS5B)の生成は、2つのウイルスプロテアーゼによりもたらされる。1つめのものはメタロプロテアーゼであり、NS2-NS3接合部を切断すると考えられており;2つめは、NS3のN-末端領域内に含まれるセリンプロテアーゼ(NS3プロテアーゼとも言う)であり、NS3の下流、すなわちNS3-NS4A切断部位においてシスで、残りのNS4A-NS4B、NS4B-NS5A、NS5A-NS5B部位についてトランスでの両方における以降の切断の全てを仲介する。該NS4Aタンパク質は複数の機能を果たすと思われ、NS3プロテアーゼの補助因子として作用し、NS3および他のウイルスのレプリカーゼ成分の膜局在をおそらく補助している。NS3タンパク質とNS4Aとの複合体形成は、イベントの進行、全ての部位におけるタンパク質分解効率の増強に必要であると思われる。該NS3タンパク質はまた、ヌクレオシドトリホスファターゼおよびRNAヘリカーゼ活性を示す。NS5B(HCVポリメラーゼとも言う)は、HCVの複製に関与するRNA-依存性RNAポリメラーゼである。HCV NS5Bタンパク質は非特許文献1および2に記載されている。
【0007】
現在、最も有効なHCVの治療法は、α-インターフェロンとリバビリンの組み合わせを用いており、40%の患者において持続的効果をもたらしている(非特許文献4)。最近の臨床結果は、ペグα-インターフェロンが単独療法としては未修飾のα-インターフェロンよりも優れていることを示す(非特許文献5)。しかしながら、ペグα-インターフェロンとリバビリンの組み合わせを含む実験的な治療レジメンでも、かなりの割合の患者において、ウイルス量の持続的な減少が認められない。従って、HCV感染症の治療に対する有効な治療薬の開発が明確にかつ切実に必要とされている。
【0008】
本発明は技術的利点をもたらし、例えば、該化合物は新規であり、C型肝炎に対して有効である。また、該化合物は、例えば、それらの作用メカニズム、結合、阻害効果、標的選択性、溶解性、安全性プロファイルまたは生物学的利用能のうちの1つ以上に関して、医薬用途における利点をもたらす。
【0009】
HCV NS5B阻害剤は特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7,399,758号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Lauer, G. M.; Walker, B. D. N. Engl. J. Med. 2001, 345, 41-52
【非特許文献2】“Structural Analysis of the Hepatitis C Virus RNA Polymerase in Complex with Ribonucleotides” (Bressanelli; S. et al., Journal of Virology 2002, 3482-3492)
【非特許文献3】Defrancesco and Rice, Clinics in Liver Disease 2003, 7, 211-242.
【非特許文献4】Poynard, T. et al. Lancet 1998, 352, 1426-1432
【非特許文献5】Zeuzem, S. et al. N. Engl. J. Med. 2000, 343, 1666-1672
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
(発明の詳細)
本発明は、医薬的に許容される式Iの化合物およびその塩、ならびにこれらの化合物を用いた組成物および治療方法を包含する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、式I
【化1】

[式中、
R1はCO2R8またはCONR9R10であり;
R2は水素、アルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、またはジアルキルアミノアルキルであり;
R3は水素、アルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、またはジアルキルアミノアルキルであるか;あるいは
NR2R3は一緒になってアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、N-(アルキル)ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ホモピペリジニル、もしくはホモモルホリニルであって、0〜3個のアルキル置換基で置換されているか;または
NR2R3は一緒になって
【化2】

であり;
R4は水素またはアルキルであり;
R5は水素またはアルキルであるか;
あるいは、R4およびR5は一緒になってオキソであり;
R6は水素、ハロ、アルキル、アルケニル、ヒドロキシ、ベンジルオキシ、またはアルコキシであり;
R7はシクロアルキルであり;
R8は水素またはアルキルであり;
R9は水素、アルキル、アルキルSO2、シクロアルキルSO2、ハロアルキルSO2、(R11)(R12)NSO2、または(R13)SO2であり;
R10は水素またはアルキルであり;
R11は水素またはアルキルであり;
R12は水素またはアルキルであり;
R13はアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、N-(アルキル)ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ホモピペリジニル、またはホモモルホリニルであり;
R14は水素、アルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルSO2、シクロアルキルSO2、ハロアルキルSO2、アミノカルボニル、(アルキルアミノ)カルボニル、(ジアルキルアミノ)カルボニル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、またはピリジニルである]
の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩である。
【0014】
本発明の別の態様は、R1がCONR9R10であり;R2がジアルキルアミノアルキルであり;R3がアルキルであるか;あるいは、NR2R3が一緒になって2個のアルキル置換基で置換されたモルホリニルであるか、またはNR2R3は一緒になって
【化3】

であり;R4が水素またはアルキルであり;R5が水素またはアルキルであるか;あるいはR4およびR5が一緒になってオキソであり;R6がアルコキシであり;R7がシクロアルキルであり;R9 が(R11)(R12)NSO2であり;R11がアルキルであり;R12がアルキルであり;およびR14がアルキルである、式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩である。
【0015】
本発明の別の態様は、R1がCONHSO2NMe2であり;R2がジメチルアミノエチルであり;R3がメチルであるか;あるいは、NR2R3が一緒になって3,5-ジメチルモルホリニルであるか、またはNR2R3は一緒になって3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イルであり;R4が水素またはメチルであり;R5が水素またはメチルであるか;あるいはR4およびR5は一緒になってオキソであり;R6がメトキシであり;R7がシクロヘキシルである、式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩である。
【0016】
本発明の別の態様は、R1がCONR9R10であり;R9がアルキルSO2、シクロアルキルSO2、ハロアルキルSO2、(R11)(R12)NSO2、または(R13)SO2であり;およびR10が水素である、式Iの化合物である。
【0017】
本発明の別の態様は、R6が水素である式Iの化合物である。
【0018】
本発明の別の態様は、R6がメトキシである式Iの化合物である。
【0019】
本発明の別の態様は、R7がシクロヘキシルである式Iの化合物である。
【0020】
本発明の別の態様は、R9が(R11)(R12)NSO2または(R13)SO2である、式Iの化合物である。
【0021】
式Iの化合物に関して、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、およびR14を含む可変置換基のいずれの場合の範囲も、可変置換基のいずれの他の場合の範囲と独立して用いることができる。そのようなものとして、本発明は異なる態様の組み合わせを含む。
【発明を実施するための形態】
【0022】
他に特別の定めのない限り、これらの用語は以下の意味を有する。「アルキル」は、1〜6個の炭素から成る直鎖もしくは分枝鎖アルキル基を意味する。「アルケニル」は、少なくとも1個の二重結合を有する、2〜6個の炭素から成る直鎖または分枝鎖アルキル基を意味する。「アルキニル」は、少なくとも1個の三重結合を有する、2〜6個の炭素から成る直鎖または分枝鎖アルキル基を意味する。「シクロアルキル」は、3〜7個の炭素から成る単環系を意味する。「ハロアルキル」および「ハロアルコキシ」は、モノハロからペルハロまでの全てのハロゲン化異性体を含む。炭化水素部分(例えば、アルコキシ)を有する用語は、炭化水素部分についての直鎖および分枝鎖異性体を含む。括弧(Parenthetic)および複数の括弧(multiparenthetic)でくくられた用語は、当業者に対して結合関係を明確にすることを目的としている。例えば、((R)アルキル)のような用語は、置換基Rでさらに置換されたアルキル置換基を意味する。
【0023】
本発明には、該化合物の医薬的に許容される塩形態の全てが含まれる。医薬的に許容される塩は、その対イオンが化合物の生理学的活性または毒性、および薬理学的な同等物としての機能にほとんど寄与しないものである。これらの塩は、市販の試薬を用いた一般的な有機化学技術に従って製造することができる。いくつかのアニオン塩形態としては、酢酸塩、アシストレート、ベシル酸塩、臭化物塩、塩化物塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコウロン酸塩(glucouronate)、臭化水素塩、塩化水素塩、ヨウ化水素塩、ヨウ化物塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシレート、およびキシノホエート(xinofoate)が挙げられる。いくつかのカチオン塩形態としては、アンモニウム塩、アルミニウム塩、ベンザチン塩、ビスマス塩、カルシウム塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、リチウム塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、4-フェニルシクロヘキシルアミン塩、ピペラジン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、トロメタミン塩、および亜鉛塩が挙げられる。
【0024】
いくつかの本発明の化合物は、不斉炭素原子を有している(例えば、以下の化合物を参照)。本発明には、エナンチオマーおよびジアステレオマー並びに立体異性体の混合(例えばラセミ体)を含む、全ての立体異性体が含まれる。いくつかの立体異性体は、当分野で公知の方法を用いて製造することができる。該化合物の立体異性体の混合物および関連する中間体は、当分野で公知の方法に従って、個々の異性体に分離することができる。
【化4】

【0025】
(合成方法)
該化合物は、以下に記載のものおよび当分野の技術内における改変を含む、当分野で公知の方法によって製造されうる。いくつかの試薬および中間体が当分野においては公知である。他の試薬および中間体を、容易に入手可能な物質を用いて当分野で公知の方法により製造することができる。該化合物の合成を説明するために用いる変数(例えば、番号が付けられた「R」置換基)は、製造方法を例示することのみを意図し、特許請求の範囲または本明細書の他の項で用いられる変数と混同されない。以下の方法は例示目的であり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0026】
スキーム内で用いる略語は、通常、当分野で用いられる慣習に従う。本明細書および実施例で用いる化学的な略語は以下のとおり定義される:「NaHMDS」はナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドであり;「DMF」はN,N-ジメチルホルムアミドであり;「MeOH」はメタノールであり;「NBS」はN-ブロモスクシンイミドであり;「Ar」はアリールであり;「TFA」:はトリフルオロ酢酸であり;「LAH」は水素化リチウムアルミニウムであり;「BOC」、「DMSO」はジメチルスルホキシドであり;「h」は時間であり;「rt」は室温または保持時間であり(文脈によって決定される);「min」は分であり;「EtOAc」は酢酸エチルであり;「THF」はテトラヒドロフランであり;「EDTA」はエチレンジアミン四酢酸であり;「Et2O」はジエチルエーテルであり;「DMAP」は4-ジメチルアミノピリジンであり;「DCE」は1,2-ジクロロエタンであり;「ACN」はアセトニトリルであり;「DME」は1,2-ジメトキシエタンであり;「HOBt」は1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物であり;「DIEA」はジイソプロピルエチルアミン、「Nf」はCF3(CF2)3SO2-であり;「TMOF」はオルトぎ酸トリメチルである。
【0027】
化合物のいくつかはスキーム1に記載の方法により合成することができる。求核性水酸化物を用いて公知の5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピンエステルを加水分解することにより、対応するカルボン酸を得ることができ、次いでそれを、多くの公知の標準的なアミド化条件のうちの1つを用いて様々な第一級もしくは第二級アミンとカップリングさせて、対応するアミドを得ることができる。得られた不飽和アミドを、ジヒドロキシル化(dihyroxylation)条件、典型的には、触媒の四酸化オスミウムもしくは塩化ルテニウム(III)を化学量論量の共酸化剤とともに用いることによって、シス-ジオール化合物を得ることができる。その後、酸性条件下において、反応物としてケトン、アルデヒドもしくはエノールエーテルを用いて、該シス-ジオールを環化させて1,3-ジオキソラン化合物を得ることができる。別法として、塩基性条件下において、求核攻撃に感受性をもつ、同一の炭素上に2つの脱離基を有する反応物を用いて、1,3 ジオキソラン(もしくはジオキソラノン)化合物を得ることができる。
スキーム1
【化5】

【0028】
別法として、工程の順序を変更して、スキーム2および3に示されるものと同じ分子を得ることができる。スキーム2は、公知の5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピンエステル, カルボン酸から開始して、アミド形成、ジヒドロキシル化、およびジオキソラン(ジオキソラノン)形成の後、アシルスルホンアミド/スルファミド部分を導入することができることを示す。該アシルスルホンアミド/スルファミドを、エステルの加水分解により導入した後、適当なカップリング試薬(例えばCDIもしくはEDC)およびスルホンアミド/スルファミドを用いてカップリングさせることができる。スキーム3に示される経路は、TFAを用いた5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピンジエステルの選択的加水分解から開始し、それによりアリールカルボン酸を得ることができる。この酸をスルホンアミド/スルファミドにカップリングさせ、得られたアシルスルホンアミド/スルファミドを上記の通りジヒドロキシル化および環化してジオキソラン(もしくはジオキソラノン)化合物を得ることができる。エステルの加水分解によりカルボン酸を得ることができ、最終工程でアミドカップリングがなされ得る。
スキーム2
【化6】

スキーム3
【化7】

【0029】
(生物学的方法)
該化合物は、以下のHCV RdRpアッセイにおいて決定されるように、HCV NS5Bに対する活性を示した。
【0030】
HCV NS5B RdRpクローニング、発現、および精製
HCVのNS5Bタンパク質、遺伝子型1bをコードするcDNAをpET21a発現ベクターにクローニングした。該タンパク質を18個のアミノ酸のC-末端トランケーションで発現させ、溶解性を高めた。大腸菌コンピテント細胞株BL21(DE3)を、該タンパク質の発現に用いた。培養物が600 nmで吸光度2.0になるまで、37℃で〜4時間培養した。該培養物を20℃に冷却し、1 mM IPTGで誘導した。新たに調製したアンピシリンを最終濃度50 μg/mlに添加し、該細胞を終夜20℃で増殖させた。
【0031】
細胞ペレット(3L)を溶解して精製し、15〜24 mgの精製NS5Bを得た。該溶解バッファーは、20 mM Tris-HCl、pH 7.4、500 mM NaCl、0.5% トリトンX-100、1 mM DTT、1mM EDTA、20% グリセロール、0.5 mg/ml リゾチーム、10 mM MgCl2、15 μg/ml デオキシリボヌクレアーゼI、およびComplete TM protease inhibitor tablets (Roche)から成る。該溶解バッファーの添加後、凍結させた細胞ペレットを、組織ホモジナイザーを用いて再懸濁した。サンプルの粘稠性を減少させるために、溶解物のアリコートを、ブランソン超音波処理器に接続したマイクロチップを用いて氷上で超音波処理した。超音波処理した溶解物を4℃で1時間、100,000 x gで遠心し、0.2 μm フィルターユニット(Corning)を通して濾過した。
【0032】
該タンパク質を、3つの連続したクロマトグラフィー工程: Heparin sepharose CL-6B、polyU sepharose 4B、およびHitrap SP sepharose(Pharmacia)を用いて精製した。該クロマトグラフィーバッファーは溶解バッファーと同じであるが、リゾチーム、デオキシリボヌクレアーゼI、MgCl2またはプロテアーゼインヒビターを含まず、バッファーのNaCl濃度はカラムへのタンパク質の充填要件に従って調節した。カラムの種類に応じて5〜50のカラム容積の様々な長さの各カラムを、NaCl勾配で溶出した。最終クロマトグラフィー工程の後、得られた酵素の純度はSDS-PAGE分析に基づき>90%である。該酵素をアリコートにして-80℃で保存した。
【0033】
標準的HCV NS5B RdRp酵素アッセイ
HCV RdRp 遺伝子型1bアッセイを、96ウェルプレート(Costar 3912)において、最終量60 mlで行った。該アッセイバッファーは、20 mM Hepes、pH 7.5、2.5 mM KCl、2.5 mM MgCl2、1 mM DTT、1.6 U RNAseインヒビター(Promega N2515)、0.1 mg/ml BSA(Promega R3961)、および2%グリセロールから成る。全ての化合物をDMSO中に連続的に希釈(3倍)し、アッセイにおけるDMSOの最終濃度が2%であるように、水にさらに希釈した。HCV RdRp 遺伝子型1b酵素は最終濃度28 nMで用いた。ポリA鋳型は6 nMで用い、ビオチン標識オリゴ-dT12プライマーは180 nM最終濃度で用いた。鋳型は商業的に入手した(Amersham 27-4110)。ビオチン標識プライマーはSigma Genosysにより調製された。3H-UTPは0.6 mCi(0.29 mM 総UTP)で用いた。反応は、酵素の添加により開始し、30℃で60分間インキュベートし、SPAビーズ(4 mg/ml, Amersham RPNQ 0007)を含有する50 mM EDTAを25 ml添加することにより停止させた。室温で>1時間インキュベートした後、プレートをPackard Top Count NXTで測定した。
【0034】
修飾HCV NS5B RdRp酵素アッセイ
修飾酵素アッセイを、以下の点を除いて、原則的に標準的な酵素アッセイの記載の通り実施した。ビオチン標識オリゴdT12プライマーを、アッセイバッファー中でプライマーとビーズを混合し、室温で1時間インキュベートすることにより、ストレプトアビジンでコーティングしたSPAビーズ上に予め結合させた。未結合のプライマーを遠心して除去した。該プライマー-結合ビーズを20 mM Hepesバッファー、pH 7.5に再懸濁し、最終濃度20 nMのプライマーおよび0.67 μg/mlのビーズでアッセイに用いた。アッセイにおける添加順序:酵素(14 nM)を希釈した化合物に添加し、続いて、鋳型の混合物(0.2 nM)、3H-UTP(0.6 μCi, 0.29 μM)、およびプライマー結合ビーズを添加して反応を開始し;濃縮して最終物を得た。反応は、30℃で4時間行った。
【0035】
化合物のIC50値を、7つの異なる[I]を用いて決定した。IC50値を、式 y = A+((B-A)/(1+((C/x)^D)))を用いて、阻害から算出した。
【0036】
FRETアッセイの準備
HCV FRETスクリーニングアッセイを、96-ウェル細胞培養プレートを用いて実施した。該FRETペプチド(Anaspec, Inc.) (Taliani et al., Anal. Biochem. 1996, 240, 60-67)は、ペプチドの一方の端付近に蛍光ドナー、EDANSを有し、もう一方の端付近にアクセプター、DABCYLを有する。ペプチドの蛍光発光はドナーおよびアクセプター間の分子間共鳴エネルギー移動(RET)によりクエンチされるが、NS3プロテアーゼがペプチドを開裂すると、該生成物がRETクエンチから解除され、ドナーの蛍光発光が明らかになる。該アッセイ試薬は以下のとおり調製した:5X細胞ルシフェラーゼ細胞培養溶解試薬(cell Luciferase cell culture lysis reagent)(Promega製)(#E153A)をdH2Oで1Xに希釈し、NaClを150 mM 最終に添加し、該FRETペプチドを2 mM 原液から20 μM 最終に希釈した。
【0037】
プレートの調製のため、ウミシイタケルシフェラーゼレポーター遺伝子(Renilla luciferase reporter gene)の有無にかかわらず、HCVレプリコン細胞をトリプシン処理し、96-ウェルプレートの各ウェルに入れ、列3から12に滴定した試験化合物を添加し;列1および2はコントロール化合物(HCVプロテアーゼインヒビター)を含み、一番下の列は化合物を有しない細胞である。次いで、該プレートを、37℃のCO2インキュベーターに設置した。
【0038】
アッセイ
上記(FRETアッセイの準備)の試験化合物の添加後、様々な時点で、該プレートを取り出し、細胞毒性の測定としてアラマーブルー溶液(Alamar blue solution)(Trek Diagnostics, #00-100)をウェルごとに添加した。Cytoflour 4000装置(PE Biosystems)における測定後、プレートをPBSですすぎ、次いで、30 μlの上記(FRETアッセイの準備)のFRETペプチドアッセイ試薬をウェルごとに添加することにより、FRETアッセイに用いた。その後、該プレートを、340励起/490発光、20サイクルの自動モードにセットされたCytoflour 4000装置に設置し、キネティックモード(kinetic mode)で測定した。通常、測定後のエンドポイント分析によるシグナル対ノイズは、少なくとも3倍であった。別法として、アラマーブルー測定後に、プレートをPBSですすぎ、フェノールレッドを含まない50 μlのDMEM(高グルコース)を添加した後、プレートをPromega Dual-Glo Luciferase Assay Systemを用いたルシフェラーゼアッセイに用いた。
【0039】
化合物分析は、相対的HCVレプリコン阻害および相対的細胞毒性値の定量化により決定した。細胞毒性値(cytoxicity value)の算出のため、コントロールウェルからの平均アラマーブルー蛍光シグナルを100%無毒とした。次いで、化合物試験ウェルのそれぞれにおける個々のシグナルを平均コントロールシグナルで割り、100%をかけて細胞毒性率を決定した。HCVレプリコン阻害値の算出のため、平均バックグラウンド値を、アッセイの最終時点で最高量のHCVプロテアーゼインヒビターを含有する2つのウェルから得た。これらの数値は、未処理Huh-7細胞から得られたものと類似していた。
【0040】
次いで、コントロールウェルから得た平均シグナルから該バックグラウンド値を引き、この値を100%活性として用いた。その後、各化合物試験ウェルにおける個々のシグナルを、バックグラウンド値を引いた後の平均コントロール値で割り、100%をかけて活性率を決定した。プロテアーゼインヒビター滴定のEC50値は、FRETまたはルシフェラーゼ活性の50%低下を引き起こす濃度として算出した。化合物プレートにおいて得られた2つの値、細胞毒性(cytoxicity)率および活性率を用いてさらなる分析に関心が持たれる化合物を決定した。
【0041】
化合物の代表的なデータを表1に報告する。
表1
【表1】

A>0.5 μM; B 0.02 μM - 0.5 μM; C<0.02 μM(しかし、正確な値は決定しなかった);IC50値は、プレインキュベーション方法を用いて決定した。EC50値は、FRETアッセイを用いて決定した。
【0042】
(医薬組成物および治療方法)
該化合物は、HCV NS5Bに対する活性を示し、HCVおよびHCV感染症の治療に有用であり得る。従って、本発明の別の態様は、式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩、および医薬的に許容される担体を含む組成物である。
【0043】
本発明の別の態様は、C型肝炎の治療のための医薬の製造における式Iの化合物の使用である。
【0044】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する化合物をさらに含有する組成物である。
【0045】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する化合物がインターフェロンである組成物である。本発明の別の態様は、該インターフェロンがインターフェロンα2B、ペグインターフェロンα、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンα2A、もしくはリンパ芽球様インターフェロンタウから選択される。
【0046】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する化合物がシクロスポリンである組成物である。本発明の別の態様は、該シクロスポリンがシクロスポリンAである。
【0047】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する化合物が、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド(Imiqimod)、リバビリン、イノシン5'-一リン酸脱水素酵素インヒビター、アマンタジン、およびリマンタジンからなる群から選択される組成物である。
【0048】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する化合物が、HCV感染症の治療のために、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCVエントリー、HCVアセンブリ、HCVイグレス、HCV NS5Aタンパク質、IMPDH、およびヌクレオシドアナログから選択される標的の機能を阻害するのに有効である、組成物である。
【0049】
本発明の別の態様は、式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩、医薬的に許容される担体、インターフェロンおよびリバビリンを含む組成物である。
【0050】
本発明の別の態様は、HCVレプリコンに式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩を接触させることを含む、HCVレプリコンの機能を阻害する方法である。
【0051】
本発明の別の態様は、HCV NS5Bタンパク質に式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩を接触させることを含む、HCV NS5Bタンパク質の機能を阻害する方法である。
【0052】
本発明の別の態様は、患者に治療上有効な量の式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩を投与することを含む、患者におけるHCV感染症の治療方法である。別の実施態様において、該化合物はHCVレプリコンの機能を阻害するのに有効である。別の実施態様において、該化合物はHCV NS5Bタンパク質の機能を阻害するのに有効である。
【0053】
本発明の別の態様は、患者に治療上有効な量の式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩を、抗HCV活性を有する別の化合物とともに(前、後、もしくは同時に)投与することを含む、患者におけるHCV感染症の治療方法である。
【0054】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する他の化合物がインターフェロンである、該方法である。
【0055】
本発明の別の態様は、該インターフェロンがインターフェロンα2B、ペグインターフェロンα、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンα2A、またはリンパ芽球様インターフェロンタウから選択される、該方法である。
【0056】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する他の化合物がシクロスポリンである、該方法である。
【0057】
本発明の別の態様は、該シクロスポリンがシクロスポリンAである、該方法である。
【0058】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する他の化合物が、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド、リバビリン、イノシン5'-一リン酸脱水素酵素インヒビター、アマンタジン、またはリマンタジンから選択される、該方法である。
【0059】
本発明の別の態様は、HCV感染症の治療のために、抗HCV活性を有する他の化合物が、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCVエントリー、HCVアセンブリ、HCVイグレス、HCV NS5Aタンパク質、IMPDH、およびヌクレオシドアナログからなる群から選択される標的の機能を阻害するのに有効である、組成物である。
【0060】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する他の化合物がHCV NS5Bタンパク質以外のHCVの生活環における標的の機能を阻害するのに有効である、該方法である。
【0061】
「治療上有効な」とは、肝炎およびHCV感染症の分野の医師には明らかであるように、有意義な患者利益をもたらすのに必要な薬剤の量を意味する。
【0062】
「患者」とは、肝炎およびHCV感染症の分野の医師には明らかであるように、HCVウイルスに感染しており、療法に適した患者を意味する。
【0063】
「治療」、「療法」、「レジメン」、「HCV感染症」および関連する用語が、肝炎およびHCV感染症の分野の医師には明らかであるように、用いられる。
【0064】
本発明の化合物は、通常、治療上有効な量の化合物またはその医薬的に許容される塩および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物として提供され、通常の賦形剤を有してもよい。治療上有効な量は、有意義な患者利益をもたらすのに必要とされるものである。医薬的に許容される担体は、許容される安全性プロファイルを有する従来既知の担体である。組成物は、カプセル剤、錠剤、トローチ剤(losenge)、および散剤ならびに液体懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤(elixer)、および液剤を含む、全ての一般的な固形および液状形態を包含する。組成物は一般的な製剤技術を用いて製造され、通常の賦形剤(例えば結合剤および湿潤剤)およびベヒクル(例えば水およびアルコール)が組成物に一般的に用いられる。
【0065】
固体組成物は通常、用量当たり約1〜1000 mgの活性成分を提供するように、用量単位および組成物中に製剤化することが好ましい。投与量のいくつかの例は、1 mg、10 mg、100 mg、250 mg、500 mg、および1000 mgである。通常、他の薬剤は、臨床的に用いられる種類の薬剤と同様の単位範囲で存在するであろう。典型的には、これは0.25〜1000 mg/単位である。
【0066】
液体組成物は通常、用量単位内である。通常、液体組成物は1〜100 mg/mLの単位用量内であろう。投与量のいくつかの例は、1 mg/mL、10 mg/mL、25 mg/mL、50 mg/mL、および100 mg/mLである。通常、他の薬剤は、臨床的に用いられる種類の薬剤と同様の単位範囲で存在するであろう。典型的には、これは1〜100 mg/mLである。
【0067】
本発明は全ての一般的な投与様式を包含し;経口および非経口方法が好ましい。通常、投与レジメンは臨床的に用いられる他の薬剤と同様であろう。典型的には、1日用量は、体重1kg当たり1〜100 mg/日であろう。通常、より多くの化合物が経口で必要とされ、非経口ではあまり必要とされない。しかしながら、具体的な投与レジメンは正確な医学的判断を用いて医師により決定されるであろう。
【0068】
本発明はまた、該化合物を併用療法で投与する方法も包含する。すなわち、該化合物を、肝炎およびHCV感染症の治療において有用な他の薬剤と同時だが別個に用いることができる。これらの併用方法において、該化合物は通常、体重1kg当たり1〜100 mg/日の1日用量で、他の薬剤と同時に投与され得る。他の薬剤は通常、治療に用いられる量で投与され得る。しかしながら、具体的な投与レジメンは正確な医学的判断を用いて医師により決定されるであろう。
【0069】
表2に、組成物および方法に適切な化合物のいくつかの例を記載する。
表2
【表2】

【表3】

【表4】

【0070】
(具体的実施態様の説明)
LCMSデータ:
停止時間: グラジエント時間 + 1 分
開始濃度: 他に記載のない限り、0% B
溶出A: 10mM NH4OAc含有5% CH3CN / 95% H2O(カラムA、D、EおよびFについて)
0.1% TFA含有10% MeOH / 90% H2O(カラムBおよびCについて)
溶出B: 10mM NH4OAc含有95% CH3CN / 5% H2O(カラムA、D、EおよびFについて)
0.1% TFA含有90% MeOH / 10% H2O(カラムBおよびCについて)
カラムA: Phenomenex 10μ 4.6 x 50 mm C18
カラムB: Phenomenex C18 10μ 3.0 x 50 mm
カラムC: Phenomenex 4.6 x 50 mm C18 10μ
カラムD: Phenomenex Lina C18 5μ 3.0 x 50 mm
カラムE: Phenomenex 5μ 4.6 x 50 mm C18
カラムF: Phenomenex 10μ C18 4.6 x 30 mm
プレパラティブHPLCデータ:
グラジエント: 他に記載のない限り、20分にわたる直線
開始濃度: 他に記載のない限り、15% B
終了濃度: 100% B
溶出A: 10mM NH4OAc含有5% CH3CN / 95% H2O
溶出B: 10mM NH4OAc含有95% CH3CN / 5% H2O
カラム: Sunfire Prep C18 OBD 5μ 30 x 100 mm
【0071】
以下の出発物質の製造はUS 2007060565に記載されている。
1) 10-(1,1-ジメチルエチル)-6-メチル-13-シクロヘキシル-3-(メチルオキシ)-5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6,10-ジカルボキシレート
2) 7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6-カルボン酸, 13-シクロヘキシル-10-[[[(ジメチルアミノ)スルホニル]アミノ]カルボニル]-3-メトキシ-, メチルエステル
以下の出発物質の製造はWO 2007033175に記載されている。
3) 7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6-カルボン酸, 13-シクロヘキシル-10-[[[(ジメチルアミノ)スルホニル]アミノ]カルボニル]-3-メトキシ-, カルボン酸
以下の出発物質の製造はUS 2006166964に記載されている。
4) 13-シクロヘキシル-N-((ジメチルアミノ)スルホニル)-6-(((2S,6R)-2,6-ジメチル-4-モルホリニル)カルボニル)-3-(メチルオキシ)-6,7-ジヒドロ-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド
【実施例】
【0072】
【化8】

中間体1
10-(1,1-ジメチルエチル) 6-メチル rac-(5R,6S)-13-シクロヘキシル-5,6-ジヒドロキシ-3-(メチルオキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6,10-ジカルボキシレート
THF(5 mL)中の10-(1,1-ジメチルエチル)-6-メチル-13-シクロヘキシル-3-(メチルオキシ)-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6,10-ジカルボキシレート(400 mg, 0.80 mmol)および4-メチルモルホリンN-オキシド(234 mg, 2.0 mmol)のスラリーに、H2O(0.20 mL)およびOsO4(0.20 mLの、OsO4/t-BuOHの2.5% w/w溶液)を加えた。該反応液を、室温で2時間撹拌し、飽和Na2S2O3(水溶液)(〜5 mL)でクエンチし、1時間撹拌した。層を分離し、水層をTHF(2 x 5 mL)で抽出した。有機部分を合わせて濃縮し、該残渣をDMF(2 mL)に溶解させ、H2O(〜4 mL)で処理した。固形物を濾過により集め、10-(1,1-ジメチルエチル) 6-メチル rac-(5R,6S)-13-シクロヘキシル-5,6-ジヒドロキシ-3-(メチルオキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6,10-ジカルボキシレート(413 mg, 0.77 mmol, 96%)を黄色の固形物として得て、それをさらなる精製は行わずに用いた。 1HNMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.22 - 2.19 (m, 10H), 1.65 (s, 9H), 2.87 - 3.12 (m, 2H), 3.53 (d, J = 15.0 Hz, 1H), 3.68 (s, 3H), 3.93 (s, 3H), 4.63 (d, J = 15.0 Hz, 1H), 7.05 (dd, J = 8.4, 2.9 Hz, 1H), 7.36 - 7.43 (m, 2H), 7.65 (dd, J = 8.4, 1.1 Hz, 1H), 7.84 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.91 (ブロードのs, 1H). LCMS: m/e 536 (M+H)+, 保持時間 3.11 分, カラム D, 4 分グラジエント.
【0073】
【化9】

中間体2
7-(1,1-ジメチルエチル) 3a-メチル rac-(3aR,14bS)-10-シクロヘキシル-2,2-ジメチル-13-(メチルオキシ)-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-d]インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-3a,7(14bH)-ジカルボキシレート
10-(1,1-ジメチルエチル) 6-メチル rac-(5R,6S)-13-シクロヘキシル-5,6-ジヒドロキシ-3-(メチルオキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6,10-ジカルボキシレート(30 mg, 0.056 mmol)/THF(1 mL)溶液に、2-メトキシプロペン(0.2 mL)、次いでTsOH一水和物(5 mg)を加えた。該反応混合液を終夜撹拌した後、乾固するまで濃縮した。該残渣をDMSO/MeOHに溶解させ、プレパラティブHPLCにより精製して、7-(1,1-ジメチルエチル) 3a-メチル rac-(3aR,14bS)-10-シクロヘキシル-2,2-ジメチル-13-(メチルオキシ)-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-d]インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-3a,7(14bH)-ジカルボキシレート(17 mg, 0.030 mmol, 53%)を黄色の固形物として得た。 1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.32 (s, 3H), 0.80 - 2.16 (m, 10H), 1.33 (s, 3H), 1.60 (s, 9H), 2.83 - 2.95 (m, 1H), 3.85 (s, 3H), 3.87 (s, 3H), 4.00 (d, J = 14.8 Hz, 1H), 4.46 (d, J = 14.8 Hz, 1H), 5.21 (s, 1H), 7.00 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.04 (dd, J = 8.4, 2.6 Hz, 1H), 7.40 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.67 (dd, J = 8.4, 1.1 Hz, 1H), 7.77 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.98 (ブロードのs, 1H). LCMS: m/e 576 (M+H)+, 保持時間 4.28 分, カラム A, 4 分グラジエント.
【0074】
【化10】

中間体3
rac-(5R,6S)-13-シクロヘキシル-10-((((ジメチルアミノ)スルホニル)アミノ)カルボニル)-5,6-ジヒドロキシ-3-(メチルオキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6-カルボン酸メチル
THF(1 mL)中の7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6-カルボン酸, 13-シクロヘキシル-10-[[[(ジメチルアミノ)スルホニル]アミノ]カルボニル]-3-メトキシ-, メチルエステル(70 mg, 0.13 mmol)および4-メチルモルホリンN-オキシド(37 mg, 0.32 mmol)の溶液に、H2O(0.10 mL)およびOsO4(0.10 mLの、OsO4/t-BuOHの2.5% w/w 溶液)を加えた。該反応液を室温で2時間撹拌し、飽和Na2S2O3(水溶液)(〜1.5 mL)でクエンチし、1時間撹拌した。層を分離し、水層をTHF(2 x 2 mL)で抽出した。有機部分を合わせて濃縮し、残渣をDMF/MeOH(1:2, 3 mL)に溶解させ、濾過し、プレパラティブHPLCにより精製して、rac-(5R,6S)-13-シクロヘキシル-10-((((ジメチルアミノ)スルホニル)アミノ)カルボニル)-5,6-ジヒドロキシ-3-(メチルオキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6-カルボン酸メチル(62 mg, 0.11 mmol, 83%)を淡黄色の固形物として得た。 1HNMR (300 MHz, d6-DMSO) δ 1.07 - 2.10 (m, 10H), 2.80 - 2.92 (m, 1H), 2.90 (s, 6H), 3.31 - 3.39 (m, 1H), 3.57 (s, 3H), 3.86 (s, 3H), 4.65 - 4.74 (m, 2H), 5.56 - 5.60 (m, 1H), 5.74 - 5.80 (m, 1H), 7.07 (dd, J = 8.4, 2.9 Hz, 1H), 7.26 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.63 (dd, J = 8.4, 1.3 Hz, 1H), 7.87 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.36 (ブロードのs, 1H), 11.38 (s, 1H). LCMS: m/e 584 (M-H)-, 保持時間 1.86 分, カラム A, 4 分グラジエント.
【0075】
【化11】

中間体4
rac-(5R,6S)-13-シクロヘキシル-10-((((ジメチルアミノ)スルホニル)アミノ)カルボニル)-5,6-ジヒドロキシ-3-(メチルオキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6-カルボン酸
MeOH/THF(1:1, 2 mL)中のrac-(5R,6S)-13-シクロヘキシル-10-((((ジメチルアミノ)スルホニル)アミノ)カルボニル)-5,6-ジヒドロキシ-3-(メチルオキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6-カルボン酸メチル(57 mg, 0.10 mmol)の溶液に、1M NaOH水溶液(0.5 mL)を加えた。該反応液を密封し、マイクロ波照射を用いて80℃で20分加熱した。該反応液を1N HCl水溶液(0.5 mL)でクエンチし、H2Oで希釈し、濃縮して、有機溶媒を除去した。得られた沈殿物を濾過により集め、減圧下で乾燥させて、rac-(5R,6S)-13-シクロヘキシル-10-((((ジメチルアミノ)スルホニル)アミノ)カルボニル)-5,6-ジヒドロキシ-3-(メチルオキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6-カルボン酸(42 mg, 0.074 mmol, 73%)を黄色の固形物として得た。 1HNMR (300 MHz, CD3OD) δ 0.73 - 2.20 (m, 10H), 2.92 - 3.05 (m, 1H), 3.02 (s, 6H), 3.54 (d, J = 14.8 Hz, 1H), 3.93 (s, 3H), 4.71 (d, J = 14.8 Hz, 1H), 4.94 (s, 1H), 7.05 (dd, J = 8.4, 2.6 Hz, 1H), 7.40 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.40 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.59 (dd, J = 8.4, 1.5 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.05 (d, J = 1.5 Hz, 1H). LCMS: m/e 572 (M+H)+, 保持時間 3.34 分, カラム B, 4 分グラジエント.
【0076】
【化12】

中間体5
rac-(5R,6S)-13-シクロヘキシル-N-((ジメチルアミノ)スルホニル)-6-(((2S,6R)-2,6-ジメチル-4-モルホリニル)カルボニル)-5,6-ジヒドロキシ-3-(メチルオキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド
THF/H2O(10:1, 5.5 mL)中の13-シクロヘキシル-N-((ジメチルアミノ)スルホニル)-6-(((2S,6R)-2,6-ジメチル-4-モルホリニル)カルボニル)-3-(メチルオキシ)-6,7-ジヒドロ-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド(500 mg, 0.79 mmol)および4-メチルモルホリンN-オキシド(231 mg, 1.97 mmol)の溶液に、OsO4(0.50 mLの、OsO4/t-BuOHの2.5% w/w 溶液, 0.04 mmol)を加えた。該反応液を室温で18時間撹拌し、飽和Na2S2O3(水溶液)(〜10 mL)でクエンチし、6時間撹拌した。層を分離し、水層をTHF(2 x 20 mL)で抽出した。有機部分を合わせて、飽和Na2S2O3(水溶液)(〜30 mL)および食塩水(30 mL)で洗浄し、濃縮した。残渣をDMF/MeOH(1:2, 15 mL)に溶解させ、濾過し、プレパラティブHPLCにより精製して、rac-(5R,6S)-13-シクロヘキシル-N-((ジメチルアミノ)スルホニル)-6-(((2S,6R)-2,6-ジメチル-4-モルホリニル)カルボニル)-5,6-ジヒドロキシ-3-(メチルオキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド(230 mg, 0.34 mmol, 44%)をオレンジ-黄色の固形物として得た。 1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.99 - 2.02 (m, 20H), 2.83 - 2.96 (m, 1H), 3.02 (s, 6H), 3.63 - 3.73 (m, 2H), 3.89 (s, 3H), 4.20 - 4.38 (m, 1H), 4.60 - 4.71 (m, 1H), 5.14 - 5.26 (m, 1H), 7.04 (dd, J = 8.4, 2.6 Hz, 1H), 7.38 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.45 (ブロードのs, 1H), 7.55 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.79 - 7.97 (m, 2H). LCMS: m/e 667 (M-H)-, 保持時間 1.98 分, カラム A, 4 分グラジエント.
【0077】
【化13】

中間体6
13-シクロヘキシル-N6-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-N10-((ジメチルアミノ)スルホニル)-N6-メチル-3-(メチルオキシ)-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6,10-ジカルボキサミド
7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6-カルボン酸, 13-シクロヘキシル-10-[[[(ジメチルアミノ)スルホニル]アミノ]カルボニル]-3-メトキシ-, メチルエステル(700 mg, 1.27 mmol)をMeOH//THF(1:1, 14 mL)に溶解し、1M NaOH水溶液(3 mL)で処理した。該反応混合液を撹拌し、マイクロ波照射を用いて80℃で15分間加熱し、室温に冷却した。該澄明な溶液を1M HCl水溶液で中和し(3 mL)、濃縮して有機溶媒を除去した。残渣をH2O(10 mL)とともに1時間撹拌し、得られた固形物を濾過により集め、H2Oで洗浄し、減圧下で乾燥させた。DMF(5 mL)中の、これらの固形物、N1,N1,N2-トリメチルエタン-1,2-ジアミン(191 mg, 1.88 mmol)およびトリエチルアミン(0.700 mL)の溶液に、HATU(620 mg, 1.63 mmol)を加えた。該反応混合液を室温で1時間撹拌し、H2O(25 mL)および1M HCl(水溶液)(5 mL)で希釈し、20分撹拌した。沈殿物を濾過により集め、H2Oですすぎ、乾燥させて、純粋でない生成物(960 mg)を黄色の粉末として得た。純粋でない生成物の粗試料(100 mg)をMeOH/DMF(3:1, 4 mL)に溶解させ、濾過し、プレパラティブHPLC(10mM NH4OAc含有H2O/CH3CNバッファー)により精製して、13-シクロヘキシル-N6-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-N10-((ジメチルアミノ)スルホニル)-3-メトキシ-N6-メチル-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6,10-ジカルボキサミド(78 mg, 0.13 mmol, 95%)を黄色の固形物として得た。 1HNMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.11 - 3.07 (m, 24H), 2.99 (s, 6H), 3.50 - 3.76 (m, 2H), 3.93 (s, 3H), 4.27 - 4.44 (m, 1H), 5.05 - 5.25 (m, 1H), 7.05 (s, 1H) 7.08 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.16 (dd, J = 8.8, 2.6 Hz, 1H), 7.56 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.64 (dd, J = 8.8, 1.5 Hz, 1H), 7.88 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.16 (ブロードのs, 1H). LCMS: m/e 620 (M-H)-, 保持時間 2.32 分, カラム A, 4 分グラジエント.
【0078】
【化14】

中間体7
ジオール, スルファミド, アミド中間体
rac-(5R,6S)-13-シクロヘキシル-N6-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-N10-((ジメチルアミノ)スルホニル)-5,6-ジヒドロキシ-N6-メチル-3-(メチルオキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6,10-ジカルボキサミド
THF/H2O(10:1, 3.3 mL)中の13-シクロヘキシル-N6-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-N10-((ジメチルアミノ)スルホニル)-3-メトキシ-N6-メチル-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6,10-ジカルボキサミド(200 mg, 0.32 mmol)および4-メチルモルホリンN-オキシド(94 mg, 0.81 mmol)の溶液に、OsO4(0.15 mLの、OsO4/t-BuOHの2.5% w/w溶液, 0.014 mmol)を加えた。該反応液を室温で2時間撹拌し、さらなるOsO4(0.15 mLの、OsO4/t-BuOHの2.5% w/w 溶液, 0.014 mmol)を加えて、該反応液を室温で終夜撹拌した。該反応混合液を飽和Na2S2O3(水溶液)(〜5 mL)でクエンチし、1時間撹拌した。層を分離し、水層をTHF(2 x 4 mL)で抽出した。有機部分を合わせて濃縮し、水でスラリーにし、固形物を濾過により集めてrac-(5R,6S)-13-シクロヘキシル-N6-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-N10-((ジメチルアミノ)スルホニル)-5,6-ジヒドロキシ-N6-メチル-3-(メチルオキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6,10-ジカルボキサミド(60 mg, 0.091 mmol, 28%)を黄色の固形物として得て、それをさらなる精製は行わずに用いた。 LCMS: m/e 654 (M-H)-, 保持時間 2.09 分, カラム A, 4 分グラジエント.
【0079】
【化15】

中間体8
7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド, 13-シクロヘキシル-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-3-メトキシ-6-[(3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル]
撹拌したDMF(1.0 mL)中の13-シクロヘキシル-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-3-メトキシ-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド-6-カルボン酸(51 mg, 0.095 mmol)、3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン二塩酸塩(34 mg, 0.17 mmol)およびトリエチルアミン(0.06 mL)の溶液に、HATU(50 mg, 0.13 mmol)を加えた。該反応混合液を室温で2時間撹拌し、MeOH(〜1mL)で希釈し、濾過し、プレパラティブHPLC(10mM NH4OAc含有CH3CN/H2O)により精製して、7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド, 13-シクロヘキシル-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-3-メトキシ-6-[(3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル](52 mg, 0.08 mmol, 85%)を黄色の固形物として得た。 1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.31 (s, 1H), 7.83 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.59 (ブロードのd, J = 8.4 Hz, 1H), 7.45 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.02 (dd, J = 8.8, 2.6 Hz, 1H), 6.91 - 6.86 (m, 2H), 5.35 - 5.16 (m, 1H), 4.34 - 4.16 (m, 1H), 3.87 (s, 3H), 3.01 (s, 6H), 2.85 - 1.03 (m, 24H). LCMS: m/e 644 (M-H)-, 保持時間 2.89 分, カラム A, 4 分グラジエント.
【0080】
【化16】

中間体9
rac-(5R,6S)-13-シクロヘキシル-N-((ジメチルアミノ)スルホニル)-6-((3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル)-5,6-ジヒドロキシ-3-(メチルオキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド
THF/H2O(10:1, 4.4 mL)中の7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド, 13-シクロヘキシル-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-3-メトキシ-6-[(3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル](303 mg, 0.47 mmol)および4-メチルモルホリンN-オキシド(138 mg, 1.2 mmol)の溶液に、OsO4(0.45 mLの、OsO4/t-BuOHの2.5% w/w溶液, 0.04 mmol)を加えた。該反応液を室温で2日間撹拌し、1M Na2S2O3(水溶液)(5 mL)でクエンチし、2時間撹拌した。該溶液をEtOAc(10 mL、次いで5 mL)で抽出した。有機部分を合わせて、1M Na2S2O3(水溶液)で洗浄し、濃縮し、プレパラティブHPLC(10mM NH4OAc含有CH3CN/H2O)により精製して、rac-(5R,6S)-13-シクロヘキシル-N-((ジメチルアミノ)スルホニル)-6-((3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル)-5,6-ジヒドロキシ-3-(メチルオキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド(57 mg, 0.08 mmol, 18%)を黄色の固形物として得て、それをさらなる精製は行わずに用いた。 LCMS: m/e 680 (M+H)+, 保持時間 1.66 分, カラム C, 2 分グラジエント.
【0081】
【化17】

実施例 1
rac-(3aR,14bS)-10-シクロヘキシル-N3a-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-N7-((ジメチルアミノ)スルホニル)-N3a,2,2-トリメチル-13-(メチルオキシ)-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-d]インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-3a,7(14bH)-ジカルボキサミド
2-メトキシプロペン(0.1 mL, 1.0 mmol)を、DCE(1 mL)中のrac-(5R,6S)-13-シクロヘキシル-N6-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-N10-((ジメチルアミノ)スルホニル)-5,6-ジヒドロキシ-N6-メチル-3-(メチルオキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6,10-ジカルボキサミド(30 mg, 0.045 mmol)のスラリーに加えた。p-TsOH一水和物(1 mg, 0.005 mmol)を加えて、該反応液を室温で終夜撹拌した。塩化メチレン(1 mL)およびさらなるp-TsOH一水和物(10 mg, 0.05 mmol)を加えて、該反応液を2時間撹拌した。該反応液を1N NaOH(水溶液)(1 mL)で中和し、層を分離した。有機層を食塩水で洗浄し、濃縮し、プレパラティブHPLC(10 nM NH4OAc含有CH3CN/H2O)により精製して、rac-(3aR,14bS)-10-シクロヘキシル-N3a-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-N7-((ジメチルアミノ)スルホニル)-N3a,2,2-トリメチル-13-(メチルオキシ)-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-d]インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-3a,7(14bH)-ジカルボキサミド(16.7 mg, 0.024 mmol, 50%)をオフホワイト色の固形物として得た。 1HNMR (300 MHz, CD3OD) δ 0.31 (s, 3H), 1.20 - 2.20 (m, 13H), 2.54 (s, 3H), 2.58 (s, 3H), 2.97 (s, 6H), 2.72 - 3.11 (m, 5H), 3.50 - 3.89 (m, 4H), 3.94 (s, 3H), 4.40 - 4.63 (m, 1H), 5.47 - 5.52 (m, 1H), 7.10 - 7.17 (m, 1H), 7.21 - 7.27 (m, 1H), 7.33 - 7.47 (m, H), 7.61 - 7.67 (m, 1H), 7.76 - 7.86 (m, 1H), 8.03 - 8.09 (m, 1H). LCMS: m/e 696 (M+H)+, 保持時間 3.19 分, カラム B, 4 分グラジエント.
【0082】
【化18】

実施例 2
rac-(3aR,14bS)-10-シクロヘキシル-N-((ジメチルアミノ)スルホニル)-3a-(((2R,6S)-2,6-ジメチル-4-モルホリニル)カルボニル)-13-(メチルオキシ)-2-オキソ-3a,14b-ジヒドロ-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-d]インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-7-カルボキサミド
THF(2 mL)中のrac-(5R,6S)-13-シクロヘキシル-N-((ジメチルアミノ)スルホニル)-6-(((2S,6R)-2,6-ジメチル-4-モルホリニル)カルボニル)-5,6-ジヒドロキシ-3-(メチルオキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド(35 mg, 0.052 mmol)および1,1'-カルボニルジイミダゾール(58 mg, 0.36 mmol)の溶液を反応容器中に密封し、マイクロ波照射を用いて75℃で20分間加熱した(〜50% 変換)。加熱を、80℃で40分間続けた(〜80% 変換)。該反応液を室温に冷却し、乾固するまで濃縮し、MeOH(〜2 mL)に溶解させ、濾過し、プレパラティブHPLC(10mM NH4OAc含有CH3CN/H2O)により精製して、rac-(3aR,14bS)-10-シクロヘキシル-N-((ジメチルアミノ)スルホニル)-3a-(((2R,6S)-2,6-ジメチル-4-モルホリニル)カルボニル)-13-(メチルオキシ)-2-オキソ-3a,14b-ジヒドロ-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-d]インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-7-カルボキサミド(20.6 mg, 0.030, 57%)を白色の粉末として得た。 1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.04 - 2.11 (m, 16H), 2.41 - 2.55 (m, 1H), 2.80 - 2.95 (m, 1H), 3.02 (s, 6H), 3.02 - 3.13 (m, 1H), 3.48 - 3.82 (m, 2H), 3.90 (s, 3H), 4.05 - 4.26 (m, 1H), 4.32 - 4.59 (m, 3H), 5.94 (d, J = 14.3 Hz, 1H), 7.11 (ブロードのd, J = 8.4 Hz, 1H), 7.20 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.30 - 7.39 (m, 1H), 7.43 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.78 - 7.91 (m, 2H). LCMS: m/e 693 (M-H)-, 保持時間 2.77 分, カラム A, 4 分グラジエント.
【0083】
【化19】

実施例 3
rac-(3aR,14bS)-10-シクロヘキシル-N-((ジメチルアミノ)スルホニル)-3a-(((2R,6S)-2,6-ジメチル-4-モルホリニル)カルボニル)-2,2-ジメチル-13-(メチルオキシ)-3a,14b-ジヒドロ-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-d]インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-7-カルボキサミド
rac-(5R,6S)-13-シクロヘキシル-N-((ジメチルアミノ)スルホニル)-6-(((2S,6R)-2,6-ジメチル-4-モルホリニル)カルボニル)-5,6-ジヒドロキシ-3-(メチルオキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド(60 mg, 0.090 mmol)/CH2Cl2(3 mL)溶液に、2-メトキシプロペン(0.5 mL, 5.2 mmol)およびTsOH.H2O(50 mg. 0.26 mmol)を加えた。該反応溶液を室温で2時間撹拌し、乾固するまで濃縮し、MeOHに溶解させ、SPEカラム(C18, 500 mg, MeOH)を通して濾過し、濃縮し、プレパラティブHPLC(10mM NH4OAc含有CH3CN/H2O)により精製して、rac-(3aR,14bS)-10-シクロヘキシル-N-((ジメチルアミノ)スルホニル)-3a-(((2R,6S)-2,6-ジメチル-4-モルホリニル)カルボニル)-2,2-ジメチル-13-(メチルオキシ)-3a,14b-ジヒドロ-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-d]インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-7-カルボキサミド(15.5 mg, 0.022, 24%)を淡黄色の固形物として得た。 1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.28 (s, 3H), 0.88 - 2.12 (m, 19H), 2.36 - 2.49 (m, 1H), 2.85 - 3.01 (m, 2H), 3.03 (s, 6H), 3.48 - 3.80 (m, 2H), 3.88 (s, 3H), 3.89 - 4.04 (m, 1H), 4.22 - 4.50 (m, 2H), 4.76 - 4.96 (m, 1H), 5.52 - 5.59 (m, 1H), 7.01 (dd, J = 8.4, 2.6 Hz, 1H), 7.20 - 7.33 (m, 2H), 7.37 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.78 - 7.91 (m, 2H). LCMS: m/e 707 (M-H)-, 保持時間 3.26 分, カラム A, 4 分グラジエント.
【0084】
【化20】

実施例 4
rac-(3aR,14bS)-10-シクロヘキシル-N-((ジメチルアミノ)スルホニル)-3a-((3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル)-13-(メチルオキシ)-2-オキソ-3a,14b-ジヒドロ-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-d]インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-7-カルボキサミド
TEA(0.1 mL)およびTHF(1 mL)中のrac-(5R,6S)-13-シクロヘキシル-N-((ジメチルアミノ)スルホニル)-6-((3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル)-5,6-ジヒドロキシ-3-(メチルオキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド(31 mg, 0.045 mmol)および1,1'-カルボニルジイミダゾール(120 mg, 0.74 mmol)の溶液を反応容器中に密封し、マイクロ波照射を用いて90℃で2時間加熱した。該反応液を室温に冷却し、乾固するまで濃縮し、MeOHに溶解させ、濾過し、プレパラティブHPLC(10mM NH4OAc含有CH3CN/H2O)により精製した。目的の生成物を含む物質をプレパラティブHPLC(10mM TFA含有MeOH/H2O)により再精製して、rac-(3aR,14bS)-10-シクロヘキシル-N-((ジメチルアミノ)スルホニル)-3a-((3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル)-13-(メチルオキシ)-2-オキソ-3a,14b-ジヒドロ-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-d]インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-7-カルボキサミド(9.5 mg, 0.013 mmol, 30%)を白色の固形物として得た。 1HNMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.20 - 2.33 (m, 14H), 2.87 - 3.02 (m, 5H), 3.04 (s, 6H), 3.35 - 4.52 (m, 3H), 3.96 (s, 3H), 4.23 (ブロードのd, J = 14.6, 1H), 4.75 (ブロードのd, J = 14.6, 1H), 4.95 (ブロードのs, 1H), 5.16 (ブロードのs, 1H), 6.11 (ブロードのs, 1H), 7.26 - 7.32 (m, 2H), 7.55 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.63 (dd, J = 8.4, 1.5 Hz, 1H), 7.94 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.99 (ブロードのs, 1H). LCMS: m/e 706 (M+H)+, 保持時間 1.56 分, カラム C, 2 分グラジエント.
【0085】
【化21】

実施例 5
rac-(3aR,14bS)-10-シクロヘキシル-N-((ジメチルアミノ)スルホニル)-2,2-ジメチル-3a-((3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル)-13-(メチルオキシ)-3a,14b-ジヒドロ-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-d]インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-7-カルボキサミド
CH2Cl2(0.5 mL)中のrac-(5R,6S)-13-シクロヘキシル-N-((ジメチルアミノ)スルホニル)-6-((3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル)-5,6-ジヒドロキシ-3-(メチルオキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド (42 mg, 0.062 mmol)および2-メトキシプロペン(0.5 mL, 5.2 mmol)の溶液に、TsOH.H2O(5 mg. 0.026 mmol)を加えた。該反応溶液を室温で終夜撹拌し、乾固するまで濃縮して、MeOHに溶解させ、濾過し、プレパラティブHPLC(10mM NH4OAc含有CH3CN/H2O)により精製して、rac-(3aR,14bS)-10-シクロヘキシル-N-((ジメチルアミノ)スルホニル)-2,2-ジメチル-3a-((3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル)-13-(メチルオキシ)-3a,14b-ジヒドロ-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-d]インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-7-カルボキサミド(6.7 mg, 0.1 mmol, 15%)をオフホワイト色の固形物として得た。 1HNMR (300 MHz, CD3OD) δ 0.33 (s, 3H), 1.19 - 2.54 (m, 22H), 2.65 - 2.78 (m, 0.5H), 2.90 - 3.02 (m, 2H), 3.03 (s, 6H), 3.16 - 3.28 (m, 0.5H), 3.91 (d, J = 15.0 Hz, 0.5H), 3.94 (s, 3H), 4.05 (d, J = 15.0 Hz, 0.5H), 4.34 (d, J = 15.0 Hz, 0.5H), 4.58 (d, J = 15.0 Hz, 0.5H), 4.66 - 4.74 (m, 1H), 5.15 - 5.22 (m, 0.5H), 5.45 - 5.59 (m, 1.5H), 7.15 (dd, J = 8.4, 2.6 Hz, 1H), 7.22 - 7.29 (m, 1H), 7.45 (dd, J = 8.4 Hz, 1H), 7.59 (dd, J = 8.4, 1.8 Hz, 1H), 7.86 - 7.93 (m, 2H). LCMS: m/e 718 (M-H)-, 保持時間 1.60 分, カラム F, 2 分グラジエント.
【0086】
【化22】

実施例 6
rac-(3aR,14bS)-10-シクロヘキシル-N-((ジメチルアミノ)スルホニル)-3a-((3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル)-13-(メチルオキシ)-3a,14b-ジヒドロ-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-d]インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-7-カルボキサミド
CH2Cl2(1 mL)およびCH2Br2(1 mL)中のrac-(5R,6S)-13-シクロヘキシル-N-((ジメチルアミノ)スルホニル)-6-((3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル)-5,6-ジヒドロキシ-3-(メチルオキシ)-6,7-ジヒドロ-5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド (47 mg, 0.069 mmol)の溶液に、nBu4N+I-(16 mg. 0.043 mmol)および5.5N NaOH(水溶液)(0.6 mL)を加えた。該反応溶液を室温で終夜撹拌し、濃縮して、CH2Cl2を除去し、CH2Br2(1 mL)で希釈し、密閉した容器中において50℃で終夜撹拌した。該粗反応混合液を乾固するまで濃縮し、プレパラティブHPLC(10mM TFA含有MeOH/H2O)により精製して、rac-(3aR,14bS)-10-シクロヘキシル-N-((ジメチルアミノ)スルホニル)-3a-((3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル)-13-(メチルオキシ)-3a,14b-ジヒドロ-4H-[1,3]ジオキソロ[4,5-d]インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-7-カルボキサミド(14.5 mg, 0.21 mmol, 30%)を明黄色の固形物として得た。 1HNMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.21 - 2.39 (m, 16H), 2.74, (s, 3H), 2.84 - 2.97 (m, 2H), 3.02 (s, 6H), 3.44 - 3.54 (m, 1H), 3.87 (d, J = 15.0, 1H), 3.95 (s, 3H), 4.08 - 4.27 (m, 2H), 5.23 - 5.29 (m, 2H), 5.43 - 5.46 (m, 1H), 5.93 ( d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.11 - 7.19 (m, 2H), 7.47 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.58 (dd, J = 8.4, 1.5 Hz, 1H), 7.94 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.99 (ブロードのs, 1H). LCMS: m/e 692 (M+H)+, 保持時間 1.89 分, カラム C, 2 分グラジエント.
【0087】
本発明は前述の例示的な実施例に限定されず、そしてその本質的特性から逸脱することなく他の特定の形態において具体化することができることが当業者には明白であろう。従って該実施例は、あらゆる点で、制限するものではなく例示的なものとしてみなされ、そして、前述の実施例に対してよりはむしろ特許請求の範囲を参照すべきであり、従って、特許請求の範囲と同等の意味および範囲内となる全ての変更を包含すると意図することが望ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、
R1はCO2R8またはCONR9R10であり;
R2は水素、アルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、またはジアルキルアミノアルキルであって;
R3は水素、アルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、またはジアルキルアミノアルキルであるか;あるいは、
NR2R3は一緒になってアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、N-(アルキル)ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ホモピペリジニル、もしくはホモモルホリニルであって、0〜3個のアルキル置換基で置換されているか;または、
NR2R3は一緒になって
【化2】

であり;
R4は水素またはアルキルであり;
R5は水素またはアルキルであるか;あるいは、
R4およびR5は一緒になってオキソであり;
R6は水素、ハロ、アルキル、アルケニル、ヒドロキシ、ベンジルオキシ、またはアルコキシであり;
R7はシクロアルキルであり;
R8は水素またはアルキルであり;
R9は水素、アルキル、アルキルSO2、シクロアルキルSO2、ハロアルキルSO2、(R11)(R12)NSO2、または(R13)SO2であり;
R10は水素またはアルキルであり;
R11は水素またはアルキルであり;
R12は水素またはアルキルであり;
R13はアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、N-(アルキル)ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ホモピペリジニル、またはホモモルホリニルであり;および、
R14は水素、アルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルSO2、シクロアルキルSO2、ハロアルキルSO2、アミノカルボニル、(アルキルアミノ)カルボニル、(ジアルキルアミノ)カルボニル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、またはピリジニルである]
の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩。
【請求項2】
R1がCONR9R10であり;R2がジアルキルアミノアルキルであり;R3がアルキルであるか;あるいはNR2R3は一緒になって2個のアルキル置換基で置換されたモルホリニルであるかまたはNR2R3は一緒になって
【化3】

であり;R4が水素またはアルキルであり;R5が水素またはアルキルであるか;あるいはR4およびR5は一緒になってオキソであり;R6がアルコキシであり;R7がシクロアルキルであり;R9が(R11)(R12)NSO2であり;R11がアルキルであり;R12がアルキルであり;およびR14がアルキルである、請求項1に記載の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩。
【請求項3】
R1がCONHSO2NMe2であり;R2がジメチルアミノエチルであり;R3がメチルであるか;あるいはNR2R3は一緒になって3,5-ジメチルモルホリニルであるかまたはNR2R3は一緒になって3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イルであり;R4が水素またはメチルであり;R5が水素またはメチルであるか;あるいはR4およびR5は一緒になってオキソであり;R6がメトキシであり;R7がシクロヘキシルである、請求項2に記載の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩。
【請求項4】
R1がCONR9R10であり;R9がアルキルSO2、シクロアルキルSO2、ハロアルキルSO2、(R11)(R12)NSO2、または(R13)SO2であり;およびR10が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R6が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R6がメトキシである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R7がシクロヘキシルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
R9が(R11)(R12)NSO2または(R13)SO2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
以下の立体化学
【化4】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】

【化5】

からなる群から選択される請求項1に記載の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩、および医薬的に許容される担体を含む、組成物。
【請求項12】
HCVに対する治療上の有用性を有する少なくとも1つのさらなる化合物をさらに含む請求項11に記載の組成物であって、該化合物がインターフェロン、シクロスポリン、インターロイキン、HCVメタロプロテアーゼ阻害剤、HCVセリンプロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤、HCV NS4Bタンパク質阻害剤、HCVエントリー阻害剤、HCVアセンブリ阻害剤、HCVイグレス阻害剤、HCV NS5Aタンパク質阻害剤、HCV NS5Bタンパク質阻害剤、およびHCVレプリコン阻害剤からなる群から選択される、該組成物。
【請求項13】
治療上有効な量の請求項1の化合物を患者に投与することを含む、C型肝炎感染症の治療方法。
【請求項14】
HCVに対する治療上の有用性を有する少なくとも1つのさらなる化合物を投与することをさらに含む請求項13に記載の方法であって、該化合物がインターフェロン、シクロスポリン、インターロイキン、HCVメタロプロテアーゼ阻害剤、HCVセリンプロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤、HCV NS4Bタンパク質阻害剤、HCVエントリー阻害剤、HCVアセンブリ阻害剤、HCVイグレス阻害剤、HCV NS5Aタンパク質阻害剤、HCV NS5Bタンパク質阻害剤、およびHCVレプリコン阻害剤からなる群から選択される、該方法。

【公表番号】特表2011−515496(P2011−515496A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502068(P2011−502068)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/038441
【国際公開番号】WO2009/120890
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】