説明

ジスアゾ顔料組成物及びその製造方法

【課題】 水性インキ又は水性塗料に適用した際、発泡しにくく被着色媒体への分散性が良好でありかつ高着色力の着色物が得られる、C.I.ピグメントイエロー14を含有するジスアゾ顔料組成物を提供する。
【解決手段】 質量換算で、C.I.ピグメントイエロー14の99〜95%と、水酸基を2〜5個含有する、ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの1〜5%を含有し、日本工業規格JIS K 5101−17−1に定めるpH値が8〜11である、水性インキ又は水性塗料用ジスアゾ顔料組成物、濾過以前の任意の段階において前記ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有させると共に、加熱熟成をアルカリ性にて行う前記顔料組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性インキや水性塗料へ加えた時に発泡しにくく、分散性が良好でありかつ高着色力の着色物が得られる、C.I.ピグメントイエロー14を主成分として含有するジスアゾ顔料組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
C.I.ピグメントイエロー14は、類似構造の不溶性ジスアゾ顔料であるC.I.ピグメントイエロー12やC.I.ピグメントイエロー13と異なる緑味の黄色を呈することが知られている。そして、C.I.ピグメントイエロー12に比べて耐溶剤性や耐光性に優れるため、軽包装グラビア印刷インキ等の調製により多く用いられている。
【0003】
印刷インキや塗料は、油性と水性の二種類があるが、最近では大気汚染や作業環境汚染の問題により、いずれも積極的に水性化がすすめられている。C.I.ピグメントイエロー14に代表される不溶性ジスアゾ顔料は疎水性が極めて高いため、それを水性媒体に安定的に分散させるためには、不溶性ジスアゾ顔料表面の親水性を今まで以上に向上させる必要がある。
【0004】
顔料表面を親水性にして水性媒体中における分散性を向上させる方法としては、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテルの様なHLB13を越える様なノニオン性界面活性剤で顔料の表面を被覆することが従来行われていた。しかしながら、この方法での顔料表面の親水性化は、用いられる界面活性剤が逆に水性インキの発泡の要因となってしまうためにその使用量が限定されてしまい充分に表面を親水性にすることは困難であった。この様な界面活性剤のみでは十分に顔料表面を親水性にすることは不可能であった。
【0005】
これに対して特許文献1には、ソルビタンジステアレートやソルビタントリオレエートの様なHLB2〜5のノニオン性界面活性剤を主体として、これにHLB13を越えるノニオン性界面活性剤を併用して顔料の表面を被覆することが記載されている。
しかしながら、インキ化分散時の粘度が高く、高顔料分での分散が出来ず、顔料分を下げて分散してもインキ展色物の光沢、着色力に劣る欠点があった。
【0006】
特許文献2には、エチレンジアミンのエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド付加物からなるノニオン性界面活性剤を併用して顔料の表面を被覆することが記載されている。
しかしながら、インキ化分散時の粘度が高く、高顔料分での分散が出来ず、顔料分を下げて分散してもインキ展色物の光沢、着色力に劣る欠点があった。
【0007】
特許文献3には、水性媒体中で有機溶剤の不存在下に一段階でカップリング反応を行って不溶性ジスアゾ顔料を製造する際に、遅くとも顔料を単離する直前までに水溶液状態で濁り点を持つノニオン性界面活性剤を添加することで、顔料の表面を被覆することが記載されている。
特許文献3に記載されている濁り点を持つノニオン性界面活性剤は、プロピレンオキサイド−エチレンオキサイドブロック共重合体等であるが、これらで表面被覆した顔料は、インキ化の光沢、透明性、着色力のいずれも未処理のC.I.ピグメントイエロー14と何ら変わらない品質であり、水性媒体に安定的に分散させることは困難であった。
【0008】
特許文献4には、不溶性ジスアゾ顔料の製造工程において、カップラースラリー中又はカップリング終了後の顔料スラリー中或いは乾燥顔料中に、不飽和多価脂肪酸とロジンとのディールスアルダー縮合物を加えること、さらに必要に応じてノニオン性界面活性剤を添加することで、顔料の表面を被覆することが記載されている。
しかしながら、特許文献4に記載されているノニオン性界面活性剤は、インキ化分散時の粘度が高く、高顔料分での分散が出来ず、顔料分を下げて分散してもインキ展色物の光沢、着色力に劣るという欠点があった。
【0009】
不溶性アゾ顔料は水系で合成することが多く顔料スラリー中ではフロック状態になっておりこのフロックの状態を解膠させるために、ノニオン性界面活性剤で顔料の表面を被覆すると、一方で、顔料濾過単離後の乾燥・粉末化で、水性インキや水性塗料に用いた時に、それらの品質が表面被覆する前の状態の顔料よりも悪化してしまうという欠点がある。
【0010】
従って、水性インキや水性塗料の調製に適した、発泡しにくく被着色媒体への分散性が良好でありかつ高着色力の着色物が得られるC.I.ピグメントイエロー14を主成分として含有するジスアゾ顔料組成物が望まれている。
【特許文献1】特開昭61−111365号公報
【特許文献2】特開平3−103480号公報
【特許文献3】特開平6−166826号公報
【特許文献4】特開平8−259828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、水性インキや水性塗料の調製に適し、被着色媒体への分散性が良好でありかつ高着色力の着色物が得られるC.I.ピグメントイエロー14を主成分として含有するジスアゾ顔料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、C.I.ピグメント イエロー14を主成分とする系において、被着色媒体への分散性が良好でありかつ高着色力の着色物が得られる様に鋭意検討した結果、顔料分子に対する吸着点となる親水基として水酸基を比較的多く含有する特定化学構造のノニオン性界面活性剤をC.I.ピグメント イエロー14に含有させ、かつ顔料に含まれる酸成分を充分に中和して抽出液のpH値がアルカリ性となるまでにすることで上記した課題が解決されること、またこの様な顔料組成物は、顔料製造後に行われる濾過より以前に特定化学構造のノニオン性界面活性剤を系内に含有させておき、顔料スラリーの加熱熟成をアルカリ性にて行うことで、容易に製造出来ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち本発明は、質量換算で、C.I.ピグメントイエロー14の99〜95%と、水酸基を2〜5個含有する、ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの1〜5%を含有し、日本工業規格JIS K 5101−17−1に定めるpH値が8〜11である、水性インキ又は水性塗料用ジスアゾ顔料組成物を提供する。
【0014】
また本発明は、質量換算で、C.I.ピグメントイエロー14の95〜99%と、水酸基を2〜5個含有する、ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの1〜5%とを含有する水性インキ又は水性塗料用ジスアゾ顔料組成物の製造方法であり、3,3´−ジクロロベンジジンのテトラゾニウム塩とアセト酢酸−o−トルイダイドとをカップリングさせてC.I.ピグメントイエロー14とし、加熱熟成し濾過洗浄する水性インキ又は水性塗料用ジスアゾ顔料組成物の製造方法において、濾過以前の任意の段階において、水酸基を2〜5個含有する、ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有させると共に、加熱熟成をアルカリ性にて行うことを特徴とする水性インキ又は水性塗料用ジスアゾ顔料組成物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のジスアゾ顔料組成物は、C.I.ピグメントイエロー14と特定化学構造のノニオン性界面活性剤とを含有し、従来より高いpH値を有するので、水性インキ又は水性塗料に適用した際、発泡しにくく被着色媒体への分散性が良好でありかつ高着色力の着色物が得られるという格別顕著な効果を奏する。
また本発明のジスアゾ顔料組成物の製造方法は、水性インキ又は水性塗料に適用した際、発泡しにくく被着色媒体への分散性が良好でありかつ高着色力の着色物が得られるジスアゾ顔料組成物を、より簡便に製造できるという格別顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のジスアゾ顔料組成物は、質量換算でC.I.ピグメントイエロー14と、水酸基を2〜5個含有する、ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとの合計を100%としたとき、C.I.ピグメントイエロー14の99〜95%と、水酸基を2〜5個含有する、ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの1〜5%とを含有する。
【0017】
C.I.ピグメントイエロー14は、公知慣用の不溶性ジスアゾ顔料であり、下記式にて表される物質からなる。
【0018】
【化1】

【0019】
また本発明のジスアゾ顔料組成物は、水酸基を2〜5個含有する、ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有する。これらは、C.I.ピグメントイエロー14に吸着し、凝集体(フロック)となったC.I.ピグメントイエロー14をより弱い力で解れ易くさせるために用いられる。ソルビタン脂肪酸エステルとしては、水酸基を含有しないものもあるが、本発明の効果を得るためには顔料分子への吸着点となる有力な親水基である水酸基をより多く含有していることが好ましいため、水酸基を2〜5個含有するソルビタン脂肪酸エステルを選択して用いる。水酸基を2〜5個含有するソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、下記式にて表される物質が挙げられる。式中、Rは炭素原子数10〜24の分岐を有していても良い、アルキル基又はアルケニル基である。
【0020】
【化2】

【0021】
水酸基を2〜5個含有するソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、ソルビタンモノステアレート(R=C17H35)、ソルビタンモノオレエート(R=C17H33)、ソルビタンモノパルミテート(R=C15H31)等が挙げられる。
【0022】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしても、水酸基を含有しないものもあるが、上記ソルビタン脂肪酸エステルと同様の理由で、水酸基を2〜5個含有するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを選択して用いる。水酸基を2〜5個含有するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、下記式にて表される物質が挙げられる。式中、Rは上記と同義であり、m、l及びnは、いずれもポリオキシエチレンの繰り返し単位数であり、それらの合計m+l+n=15〜30である。
【0023】
【化3】

【0024】
水酸基を2〜5個含有するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレン(6)ソルビタンモノラウレート(R=C11H23)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(R=C11H23)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(R=C15H31)、ポリオキシエチレン(6)ソルビタンモノステアレート(R=C17H35)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(R=C17H33)等が挙げられる。ここで( )内の数字は、ポリオキシエチレンの繰り返し単位数の総和m+l+nである。
【0025】
これら水酸基を2〜5個含有するソルビタン脂肪酸エステルと、水酸基を2〜5個含有するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとは、それぞれを単独で用いても良いし、両者を併用しても良い。以下、水酸基を2〜5個含有するソルビタン脂肪酸エステルと、水酸基を2〜5個含有するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルをあわせて、脂肪酸エステルと略記する。
【0026】
この脂肪酸エステルは、どの様なHLB値を持つものであっても良いが、例えば、ポリオキシエチレン(6)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート等、HLB13〜17であるものが水性インキの調製に用いた場合には、印刷時の版かぶりが起こりにくく、塗膜物性としての耐ラミネート強度もより良好となるので好ましい。
【0027】
また本発明のジスアゾ顔料組成物は、日本工業規格JIS K 5101−17−1に定めるpH値が8〜11である。この規格は、顔料の水懸濁液を煮沸し、常温まで放冷した後にpH測定装置を用いて、水懸濁液のpHを測定するための試験方法を規定する。この試験方法により、乾燥顔料等に不可避的に含まれる恐れのある酸やアルカリの存在とその量を推定出来る。
【0028】
一般的に不溶性ジスアゾ顔料は、水系で合成するために顔料スラリー中ではフロック状態になっている上、カップリング反応が弱酸性にて行われるため、この酸がフロック内部に取り込まれ易い。フロック表面に存在する酸は、後の洗浄により除去することが出来るが、フロック内部に存在する酸まで充分に洗浄除去することは難しい。常態では溶出し難いフロック内部の酸であっても、湿熱条件等に曝された結果、外部に溶出して腐食等の原因となることがある。日本工業規格JIS K 5101−17−1では、顔料水懸濁液の煮沸を行うので、常態では溶出し難いフロック内部の酸をより的確に把握することが可能となる。本発明の顔料組成物では、フロック内部に存在する酸を中和するよりも多くのアルカリを、C.I.ピグメントイエロー14に含ませることにより、日本工業規格JIS K 5101−17−1に定めるpH値を8〜11となる様にした。
【0029】
このアルカリとしては、例えば、アンモニアや有機アミンを用いても良いが、水洗で、より容易に生成塩を除去出来る上、揮発により塩が酸に戻る心配もないことから、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を用いることが好ましい。
【0030】
本発明のジスアゾ顔料組成物には、水性インキや水性塗料の調製や皮膜特性等への妨げがない範囲において、必要であれば、そこにC.I.ピグメントイエロー14以外のその他の黄色ジスアゾ顔料、前記脂肪酸エステル以外の界面活性剤、ロジン類等を含有させても良い。
【0031】
C.I.ピグメントイエロー14以外のその他の黄色有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー83等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を併用の上、本発明のジスアゾ顔料組成物に含有させることが出来る。
【0032】
前記脂肪酸エステル以外の界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル燐酸塩等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を併用の上、本発明のジスアゾ顔料組成物に含有させることが出来る。
【0033】
本発明のジスアゾ顔料組成物に含有させることが出来るロジン類としては、公知慣用のロジン類がいずれも挙げられるが、例えばアビエチン酸を主成分とするロジン、不均化ロジン、部分水素添加ロジン、完全水素添加ロジン、マレイン酸変性ロジン、フマル酸変性ロジン、重合ロジン、或いはこれらの水不溶性塩等が挙げられる。
【0034】
本発明のジスアゾ顔料組成物は、日本工業規格JIS K 5101−17−1に定めるpH値8〜11のC.I.ピグメントイエロー14と前記脂肪酸エステルとを前記した質量割合となる様に適宜混合して調製しても良いが、3,3´−ジクロロベンジジンのテトラゾニウム塩とアセト酢酸−o−トルイダイドとをカップリングさせてC.I.ピグメントイエロー14とし、加熱熟成し濾過洗浄する水性インキ又は水性塗料用ジスアゾ顔料組成物の製造方法において、C.I.ピグメントイエロー14と前記脂肪酸エステルとが前記した質量割合となる様に、カップリング反応のための各原料の必要量を用い、濾過以前の任意の段階において、必要量の前記脂肪酸エステルを含有させると共に、加熱熟成をアルカリ性にて行うことによって、C.I.ピグメントイエロー14と前記脂肪酸エステルとの混合や被覆をより均一に行うことが可能である点で好ましい。
【0035】
この製造方法は、常法に従ってジスアゾ顔料を製造し、加熱熟成し濾過洗浄する従来のC.I.ピグメントイエロー14の製造方法において、濾過以前の任意の段階において、生成するC.I.ピグメントイエロー14と含ませる前記脂肪酸エステルとの合計を質量換算で100%としたとき前記脂肪酸エステルが1〜5%となる様に含有させると共に、加熱熟成をアルカリ性にて行うものである。
【0036】
ここで前記脂肪酸エステルを含有させる濾過以前の任意の段階としては、例えば、カップリング反応前の原料の水懸濁液や水溶液、カップリング反応中の反応液、カップリング反応終了後加熱熟成前、加熱熟成中の水懸濁液、加熱熟成後の水懸濁液等が挙げられる。
【0037】
次にC.I.ピグメントイエロー14を製造するためのカップリング反応について詳記する。このカップリング反応では、3,3´−ジクロロベンジジンのテトラゾニウム塩とアセト酢酸−o−トルイダイドとを反応させる。
3,3´−ジクロロベンジジンやアセト酢酸−o−トルイダイドとしては、公知慣用のものがいずれも使用出来るが、いずれも、極力、高純度品を用いることが好ましい。3,3´−ジクロロベンジジンは、塩酸塩として用いることも出来る。
【0038】
ジアゾ成分は、3,3´−ジクロロベンジジンのテトラゾニウム塩のみであっても良いが、必要に応じて、ジアゾ成分全体の15モル%以内であれば、このジアゾ成分に、その他の芳香族アミンのテトラゾニウム塩やジアゾニウム塩を含ませることが出来る。
【0039】
カップラー成分も、アセト酢酸−o−トルイダイドのみであっても良いが、必要に応じて、カップラー成分の15モル%以内であれば、このカップラー成分に、アセト酢酸アニリド、アセト酢酸−m−キシリダイド等を含ませることが出来る。
【0040】
3,3´−ジクロロベンジジンのテトラゾニウム塩としては、常法に従って調製された水溶液又は水懸濁液を用いることが出来る。3,3´−ジクロロベンジジンと塩酸と亜硝酸塩とを低温で反応させることで、対応するテトラゾニウム塩を含むジアゾ成分の水溶液又は水懸濁液が得られる。アセト酢酸−o−トルイダイドとしては、常法に従って調製された水溶液を用いることが出来る。アセト酢酸−o−トルイダイドを水に分散させてアルカリ性として溶解させることで、カップラー成分の水溶液が得られる。
【0041】
こうして得られたジアゾ成分とカップラー成分とを、前記脂肪酸エステルの存在下で、常法に従ってカップリングすることでC.I.ピグメントイエロー14の水懸濁液を調製することが出来る。この際、カップラー成分をジアゾ成分に加える様にしても良いし、カップラー成分にジアゾ成分を加える様にしても良いが、水に対してカップラー成分とジアゾ成分とを加えても良い。
【0042】
前記脂肪酸エステルの存在下で、3,3´−ジクロロベンジジンのテトラゾニウム塩とアセト酢酸−o−トルイダイドとをカップリングさせてC.I.ピグメントイエロー14を製造すると、顔料分子の生成時に前記脂肪酸エステルが存在する結果、フロック外部の顔料分子のみならず、フロック内部の顔料分子にも前記脂肪酸エステルが充分に吸着される結果、水性インキや水性塗料の調製時の分散において、微細な粒子径となった際にも、優れた分散性、分散安定性を発揮することが出来る。
【0043】
前記脂肪酸エステルの存在下で、3,3´−ジクロロベンジジンのテトラゾニウム塩とアセト酢酸−o−トルイダイドとをカップリングさせる方法としては、例えば、カップリング反応を行う原料自身である、3,3´−ジクロロベンジジンのテトラゾニウム塩、アセト酢酸−o−トルイダイド又はこれら両方に含有させておき、いずれか一方を他方と混合し反応させる方法もあるが、前記脂肪酸エステルを含有する水中に、3,3´−ジクロロベンジジンのテトラゾニウム塩とアセト酢酸−o−トルイダイドとを加えてカップリングさせる方法が、一次粒子が出来る傍からジスアゾ顔料の表面を被覆することが出来、より優れた分散性、分散安定性を達成することが出来るので好ましい。
【0044】
尚、カップリング反応を行うために併用することが出来る緩衝剤は、例えば酢酸ナトリウム等の系内合成により、調製出来る。緩衝剤は、pH4〜6に調整されたものであることが好ましい。水に対してカップラー成分とジアゾ成分とを加えてカップリング反応を行う場合には、緩衝剤が好適には併用される。
【0045】
カップリング反応によりジスアゾ顔料を得るための反応条件は、公知慣用の条件に従えばよく、特に制限されるものではないが、通常、温度0〜30℃で時間は30分〜3時間にて行うことが出来る。
【0046】
C.I.ピグメントイエロー14と前記脂肪酸エステルとを必須成分として含有するジスアゾ顔料水懸濁液は、必要に応じてpH調整を行った上で、常法に従って、例えば50℃以上沸点未満好ましくは70℃〜沸点未満で所定時間加熱して熟成等を行うことで、顔料粒子の粒子径や分布等の調整を行うことが出来る。加熱時間は特に制限されるものではないが、例えば、30分〜5時間好ましくは45分〜3時間である。この様な加熱熟成は、pH9〜12に調整したジスアゾ顔料水懸濁液に対して行うことが好ましい。この際、アルカリ性での熟成を行うことで、フロック外部の酸のみならず、フロック内部の酸をも中和して塩の形とすることが出来、さらにアルカリ性とすることで、後記する特にカルボキシル基を含有する皮膜形成性樹脂と塩基性化合物とを組み合わせて用いた水性インキや水性塗料の保存安定性等を高めることが出来るので、好ましい。
【0047】
尚、このアルカリ性での加熱熟成は、後記する濾過洗浄と相俟って、得られるジスアゾ顔料組成物を日本工業規格JIS K 5101−17−1に定めるpH値8〜11とする最も有力な手段である。
【0048】
熟成を経たジスアゾ顔料水懸濁液は、濾過や水洗することで、ウエットケーキやスラリー等の湿潤状態のジスアゾ顔料組成物とすることが出来る。濾過と水洗を繰り返すことで熟成時よりもpHを下げ、中性寄りのアルカリ性とすることが出来、精製をも行うことも出来る。これら水洗に当たっては、湯を用いても良いし、必要ならアルカリの希薄水溶液を用いても良い。顔料粒子内外に含まれる酸は、確実に中和して塩の形としておくことが、後記する水性インキや水性塗料中における顔料粒子の分散安定性等をより高める上では好ましい。
【0049】
湿潤状態のジスアゾ顔料組成物を乾燥することで、パウダーやグラニュール等の乾燥状態のジスアゾ顔料組成物とすることが出来る。ランプ状となった乾燥状態のジスアゾ顔料組成物は、解砕により解すことも出来る。また乾燥状態のジスアゾ顔料組成物は、分級を行うことでより粒度分布を狭くすることも出来る。
【0050】
本発明のジスアゾ顔料組成物は、公知慣用の各種用途、例えば、平版印刷インキ、グラビア印刷インキ、フレキソ印刷インキの様な印刷インキ、塗料、着色プラスチック成形品等の汎用用途、静電荷像現像用トナー、カラーフィルター、インクジェット記録用水性インク等のハイテク用途に適用することが出来る。
【0051】
本発明のジスアゾ顔料組成物は、C.I.ピグメントイエロー14を主成分としてより親水性に優れる前記脂肪酸エステルを含有しているので、なかでも特に水性インキ又は水性塗料の調製に適している。
【0052】
本発明のジスアゾ顔料組成物と水性ビヒクルとからは、水性インキや水性塗料を好適に調製することが出来る。この水性ビヒクルは、溶媒が揮散した際に、顔料を基材上に定着固着させるための皮膜形成性樹脂と、溶媒としての水とを、主として含有する。尚、水性とは液媒体が水のみか水を質量換算で60%以上含有する液媒体を言う。
【0053】
水性インキを調製するための皮膜形成性樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、スチレン樹脂、マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の水溶性か水分散性の樹脂一種又はこれら二種以上の混合物が挙げられる。
【0054】
カルボキシル基を含有する皮膜形成性樹脂と塩基性化合物とを組み合わせて用いると、水に対して皮膜形成性樹脂が安定的に溶解又は分散した水性ビヒクルが出来る。塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアの様な無機塩基、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン等の有機塩基が挙げられる。水性インキを調製するための好適な水性ビヒクルは、塩基性化合物と、皮膜形成性樹脂としてスチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体を含有する。
【0055】
水性インキは、本発明のジスアゾ顔料組成物と水性ビヒクルと水、更に、その他の親水性有機溶剤、体質顔料、補助剤等とを混合することにより調製することが出来る。
【0056】
親水性有機溶剤としては、例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノール(IPA)、アセトン、酢酸エチル、乳酸エチル、セロソルブ、ジアセトンアルコール等が挙げられる。体質顔料としては、例えば、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、沈降性炭酸マグネシウム等が挙げられる。その他の補助剤としては、例えば、ワックス、界面活性剤、消泡剤、可塑剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤等が挙げられる。
【0057】
水性塗料も概ね水性インキと同様にして調製することが出来る。
水性塗料を調製するための皮膜形成性樹脂としては、前記した樹脂の他、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。塗膜強度を増すために、皮膜形成性樹脂に硬化剤を併用することが出来る。この様な硬化剤としては、例えば、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリイソシアネート等が挙げられる。また補助剤として用いる増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0058】
水性インキや水性塗料は、質量換算で、例えば、皮膜形成性樹脂10〜50部、水を含む液媒体30〜80部、本発明のジスアゾ顔料組成物1〜25部を用いて、必要に応じて補助剤を含めて全体が100部となる様に、そして印刷や塗装に適した低粘度となる様に調製することが出来る。
【0059】
こうして得られた黄色の水性インキは、公知慣用の紅色や藍色の水性インキと組み合わせて、減法混色により中間色やフルカラーの画像を印刷することが出来る。
【0060】
以下に実施例、比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これにより限定されるものではない。尚、例中の部及び%は、質量基準である。
【実施例1】
【0061】
3,3′−ジクロロベンジジン二塩酸塩(固形分100%)300部1.186モルを水1000部中に撹拌下投入し、同時に35%塩酸371部を仕込む。氷と水で、液量と温度を調整する。30%亜硝酸ソーダ559部を投入し、テトラゾ化する。過剰の亜硝酸をスルファミン酸で消去し、濾過後の液をテトラゾニウム塩を含有する溶液とする(ジアゾ成分の水溶液)。
別にカップラーとしてアセト酢酸−o−トルイダイド476部を2500部の水中に分散させ、20%苛性ソーダで溶解し、カップラー成分の水溶液とする。
別途準備したカップリング反応用の容器に水10,000部を入れ、80%酢酸の53部とレオドールTW−O120V(花王株式会社ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート。HLB=15.0 ポリオキシエチレンの繰り返し単位の合計は、15〜30。)23部を加え、撹拌混合する。次に、カップラー成分の水溶液の投入を開始し、酢酸ナトリウム緩衝液を作成後、pH5、温度20℃の管理下で、前記各成分の水溶液を同時に滴下し、カップリング反応を行い、顔料組成物を合成した。
顔料合成後、20%苛性ソーダ投入で、顔料スラリーのpHをpH10に調整した。昇温し、90℃で60分間の保温を行い、アルカリ熟成を行った。
出来上がった顔料スラリーを濾過操作し、水洗浄した顔料ウエットケーキを分離した。単離した顔料ウエットケーキを110℃で乾燥し、乾燥したランプをジューサーで粉砕し、黄色の顔料組成物の粉末を得た。
尚、この顔料組成物について、日本工業規格JIS K5101−17−1により、抽出液のpHを測定したところ、pH8.8であった。
【実施例2】
【0062】
上記実施例1と同様に、ジアゾ化液とカップラー溶液と各々を別個に作製した。
カップリング反応容器中には、実施例1のレオドールTW−O120V(花王株式会社)に代えて、レオドールスーパーSP−L10(花王株式会社ソルビタンモノラウレート。HLB=8.6)の同量を用い、それ以外の操作は、全て実施例1と同様に実施し、黄色の顔料組成物の粉末を得た。
尚、この顔料組成物について、JIS K5101−17−1により、抽出液のpHを測定したところ、pH9.0であった。
【0063】
[比較例1]
上記実施例1と同様に、ジアゾ化液とカップラー溶液と各々を別個に作製した。
カップリング反応用の容器には、水10,000部と80%酢酸53部だけを用意し、それ以降の操作は、全て実施例1と同様に実施し、黄色のC.I.ピグメントイエロー14顔料を得た。
尚、この顔料組成物について、日本工業規格JIS K5101−17−1により、抽出液のpHを測定したところ、pH8.5であった。
【0064】
[比較例2]
上記実施例2と同様の操作をカップリング反応後の顔料スラリー合成まで実施する。
pH10への調整は行わず、pH5で、昇温を開始し、90℃で60分間の保温を行い、濾過以降の操作は、実施例1と同様に実施し、黄色の顔料組成物を得た。
尚、この顔料組成物について、日本工業規格JIS K5101−17−1により、抽出液のpHを測定したところ、pH5.5であった。
【0065】
[比較例3]
上記実施例2と同様に、顔料スラリーの合成まで実施し、pH10への調整は行わず、pH5の顔料スラリーにレオドールスーパーSP−L10の23部を添加し、昇温を開始する。以降の操作は、全て実施例2と同様に実施し、黄色の顔料組成物を得た。
尚、この顔料組成物について、日本工業規格JIS K5101−17−1により、抽出液のPHを測定したところ、pH6.0であった。
【0066】
[比較例4]
上記実施例1と同様に、ジアゾ化液とカップラー溶液と各々を別個に作製した。
カップリング反応容器中には、実施例1のレオドールTW−O120V(花王株式会社)に代えて、ノイゲンET−102(第一工業製薬株式会社ポリオキシエチレンラウリルエーテル)の同量を用い、それ以外の操作は、全て実施例1と同様に実施し、黄色の顔料組成物の粉末を得た。
尚、この顔料組成物について、日本工業規格JIS K5101−17−1により、抽出液のpHを測定したところ、pH9.1であった。
【0067】
[比較例5]
上記実施例2と同様に、顔料スラリーの合成まで実施し、pH10への調整は行わず、pH5の顔料スラリーにエマノーンCH−80(花王株式会社ポリオキシエチレン硬化ひまし油)の23部を添加し、昇温を開始する。以降の操作は、全て実施例1と同様に実施し、黄色の顔料組成物を得た。
尚、この顔料組成物について、日本工業規格JIS K5101−17−1により、抽出液のpHを測定したところ、pH5.6であった。
【0068】
水性グラビア印刷インキの作製方法
実施例1〜2及び比較例1〜5で得られた各粉末顔料組成物16部と練肉ニス〔ジョンソンポリマー(株)製ジョンクリル(登録商標)61J/蒸留水/IPA=30/30/5(質量比)混合品〕38部と3mmガラスビーズ160部とを250mlポリビンに秤量し、東洋精機(株)製ペイントコンディショナーで、60分間分散する。ジョンソンポリマー(株)製ジョンクリル(登録商標)74Jの84部を追加し、5分間分散し、水性グラビア印刷インキ(以下、原色インキと称す。)を得た。実施例のインキは、いずれも発泡が少なく調製がしやすかった。
一方、100mlポリビンに、ダイフレックス アスティア(登録商標)D250〔大日本インキ化学工業(株)製白インキ〕白20部と上記の原色インキ4部を秤量し、30分間上記ペイントコンディショナーで混合インキ(以下、淡色インキと称す。)を得た。
【0069】
評価方法(光沢、透明性、着色力)
黒地付アート紙に、No.6バーコーターで、原色インキを展色し、自然乾燥後、グレタグ社製グレタグ濃度計SPL50とデータカラー社製分光光度計マイクロフラッシュ200dとBYK−Chemie Japan社製の光沢計(60°光沢)で展色表面を測定する。同様に、淡色インキも展色し、分光光度計で着色力を測定した。その結果を表1に示した。
尚、着色力については、比較例1の顔料組成物から調製したインキにおける印刷画像の着色力を100%とした場合の各インキの着色力を表示した。透明性は、アート紙の黒地展色面を測定し、B値が大きいと透明性が大である。
【0070】
【表1】

【0071】
尚、実施例1及び2の顔料組成物を用いて水性グラビア印刷インキを調製しようとしたところ、比較例2〜5の顔料組成物を用いて水性グラビア印刷インキを調製しようとした場合に比べて、発泡は抑制されていた。実施例1の顔料組成物を用いて調製された水性グラビア印刷インキで、実印刷を行ったところ、実施例2の顔料組成物を用いて調製された水性グラビア印刷インキよりも、版かぶり適性とラミネート強度は、著しく優れていた。
【0072】
本発明の実施例1の顔料組成物を用いて調製された水性グラビア印刷インキは、界面活性剤を用いずに製造された比較例1の顔料組成物やポリオキシエチレンラウリルエーテルを用いて製造された比較例4の顔料組成物から各々調製された水性グラビア印刷インキに比べて、光沢は勿論のこと、透明性及び着色力のいずれにも格段に優れていることが明らかである。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを用いて製造された実施例1の顔料組成物から調製された水性グラビア印刷インキは、ソルビタン脂肪酸エステルを同様に用いて製造された実施例2の顔料組成物から調製された水性グラビア印刷インキに比べて、光沢は勿論のこと、透明性及び着色力のいずれにおいてもより優れていることが明らかである。
加熱熟成をアルカリ性にて行ったJIS K5101−17−1におけるpHがより高い領域にある実施例2の顔料組成物から調製された水性グラビア印刷インキは、pH調整を行わずに通常通りに加熱熟成したJIS K5101−17−1におけるpHがより低い比較例2、比較例3及び比較例同5の顔料組成物から調製された水性グラビア印刷インキに比べて、着色力においてより優れていることが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量換算で、C.I.ピグメントイエロー14の95〜99%と、水酸基を2〜5個含有する、ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの1〜5%を含有し、JIS K 5101−17−1に定めるpH値が8〜11である、水性インキ又は水性塗料用ジスアゾ顔料組成物。
【請求項2】
水酸基を2〜5個含有する、ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが、HLB13〜17のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである請求項1記載の水性インキ又は水性塗料用ジスアゾ顔料組成物。
【請求項3】
質量換算で、C.I.ピグメントイエロー14の95〜99%と、水酸基を2〜5個含有する、ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの1〜5%とを含有する水性インキ又は水性塗料用ジスアゾ顔料組成物の製造方法であり、3,3´−ジクロロベンジジンのテトラゾニウム塩とアセト酢酸−o−トルイダイドとをカップリングさせてC.I.ピグメントイエロー14とし、加熱熟成し濾過洗浄する水性インキ又は水性塗料用ジスアゾ顔料組成物の製造方法において、濾過以前の任意の段階において、水酸基を2〜5個含有する、ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有させると共に、加熱熟成をアルカリ性にて行うことを特徴とする水性インキ又は水性塗料用ジスアゾ顔料組成物の製造方法。
【請求項4】
水酸基を2〜5個含有する、ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが、HLB13〜17のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである請求項3記載の水性インキ又は水性塗料用ジスアゾ顔料組成物の製造方法。
【請求項5】
水酸基を2〜5個含有する、ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの存在下で、3,3´−ジクロロベンジジンのテトラゾニウム塩とアセト酢酸−o−トルイダイドとをカップリングさせる請求項3又4記載の水性インキ又は水性塗料用ジスアゾ顔料組成物の製造方法。
【請求項6】
水酸基を2〜5個含有する、ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有する水中に、3,3´−ジクロロベンジジンのテトラゾニウム塩とアセト酢酸−o−トルイダイドとを加えてカップリングさせる請求項5記載の水性インキ又は水性塗料用ジスアゾ顔料組成物の製造方法。



【公開番号】特開2006−183016(P2006−183016A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−48770(P2005−48770)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】