説明

ジベンジルブチロラクトニックリグナンを得るための方法;抗−シャーガスの化学的予防活性及び治療的活性を有する、リグナンからの合成誘導体を得る方法

【課題】シャーガス病の治療のために有効な薬物の提供。
【解決手段】クベビンおよびその半合成誘導体を含む、シャーガス病の治療のための薬物。化合物は、例えば、クベビン、メチルプルビアトリド、o-アセチルクベビン、o-メチルクベビン、o-ジメチルエチルアミンクベビン、ヒノキニン、6,6´-ジニトロヒノキニン。これらは、サントキシラム・ナランジロ又はピペル・クベバの葉から抽出・精製することによって得られ、血液処理及びシャーガス病の予防のために従来使用されているゲンチアナバイオレット及び他の化合物によって認められるよりも少なくとも5倍高い活性を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リグナンを得るための方法に関し、特に、サントキシラム・ナランジロ(Zanthoxylum naranjillo)又はピペル・クベバ(Piper cubeba)の葉からクベビン(cubebin)及びメチルプルビアトリド(methylpluviatolide)を得るための方法に関する。また、クベビンの半合成誘導体、特に、ジベンジルブチロラクトニックリグナン:例えば、ヒノキニン、o-アセチルクベビン、o-メチルクベビン、6,6´-ジニトロヒノキニン及びo-ジメチルエチルアミンクベビン、並びに、メチルプルビアトリド誘導体を得るのと同様に得られる他の誘導体を得るための方法に関し、これは、血液処理及びシャーガス病の予防のために従来使用されているゲンチアナバイオレット及び他の化合物によって認められるよりも少なくとも5倍高い活性を与える薬物を製造するために用いられる。
【背景技術】
【0002】
治療目的のための薬草の使用は文明の初めまで遡り、人はそれが必要である事を発見し、そして取扱い、適応、そして、天然資源をそれら独特の利点のために改変する、長い過程を始めた。今日でも、人口の大部分、特に低所得者は、この古い技術をメンテナンスと疾病緩和の主な方策として使用している。
【0003】
この状況において、植物界の分子多様性は科学の進歩にも関わらず未だに際限がないように思われるために、エトノファルマコロジー(etnopharmacology)は植物起源の新薬の調査と研究のための非常に重要なツールとして作用する。さらに、それらの生物からの生成物が哺乳類の代謝と非常に類似しているために、天然生成物はしばしば、哺乳類生物内のレシピエントでのあり得る作用の結果の様々な生物学的性質を示す。
【0004】
科学技術の発展と共により深い調査が、研究者と天然の生成物をそれらの原材料とする生物活性物質を合成する必要がある製薬工業に示された。多数の分類の、異なる天然の生成物が、新しい薬物を合成するために用いられている。例えば、アルテミシンの合成のための原材料としてテルペン誘導体が用いられ、セスキテルペン誘導体は重要な抗マラリア活性を有する。クベビンが含まれるリグナンの分類は、すでに言及されている活性の他に、それらが抗腫瘍及び抗ウイルス活性を有するために、非常に興味深く考えられている。ヤングによって記された調査(1996)において、トラケロスペルマム・グラシリペス(Trachelospermum gracilipes)(アポシナキア(Apocynacea))種から単離されたリグナンが、インビトロでそれらの抗HIV活性を評価され、その結果、感染したH9細胞においてウイルスの複製が阻害されることが示された。
【0005】
シャーガス病は1909年にアメリカ大陸で明らかにされた。その病気を引き起こす病原体は、トリパノソーマ・クルージー(Trypanosoma cruzi)であり、該大陸で1800万人以上が冒され、毎年約400,000人の死亡を引き起す。ブラジルにおいて、1995年のロンドリナ(Londrina)(パラナ)の都市における影響の調査は、834×7から14歳の子供がシャーガス病に陽性の血清学を示したという統計学的情勢を提示した。それ故、殺トリパノソーマ活性を示す薬剤の研究が未だに要求されている。アメリカ大陸では、T.cruziのヒトへの感染の発生は、1600〜1800万事例と見積もられている。しかしながら、さらに9000万人、即ち大陸人口の25%が感染の危険に曝されている。アメリカ大陸の南端の2億1100万人の住人の中で、1100万人の人々が感染しており、そして約5400万人が感染の危険にあり、これは人口の31%を表す。世界保健機構によれば、毎年50,000人以上がシャーガス病で死亡している。
【0006】
サンパウロの州のリベイラオプレト(Ribeirao Preto)の地域における74歳以上の老人についての調査によって、心臓疾患の13%が「シャーガス病」の結果であることが明らかにされた。
【0007】
該疾患を回避するための主な解決策は、未だにサシガメ属(triatomine)と闘うことであり、一方で、輸血による汚染は、ドナーの血清学的試験によって、又は感染した血液にゲンチアナバイオレットを添加することによって避けられ得る。
【0008】
殺トリパノソーマ活性を有する天然活性成分の重要な概説が1996年に公開された。様々な分類の二次代謝産物が文献概説に含まれるが、しかしリグナンに含まれる代謝産物は含まれていない。しかしながら、近年、我々が公開した文書は、種々のジベンジルブチロラクトニックリグナンが著しい殺トリパノソーマ活性を示すことを認めており、従って、シャーガス病に対するクベビン誘導体を評価することは有望である。
【0009】
影響研究中、我々は、メチルプルビアトリド(methylpluviatolide)及びクベビンのようなサントキシラム・ナランジロの単離されたリグナン、及び半合成誘導体ヒノキニン、o-アセチルクベビン、o-メチルクベビン、6,6´-ジニトロイノキニン及びo-ジメチルエチルアミンクベビンが同様に、抗シャーガス活性を有することを発見した。
【0010】
クベビンに関しては、腎臓病における予防的及び治療的活性に関する特許が一つだけある(1989年7月18日出願のJP 01180824-A;国際分類:A61K-031/36;C07D-407/14)。
【発明の概要】
【0011】
上記開示のために、ここで提案される本発明の目的は、サントキシラム・ナランジロ又はピペル・クベバの葉からクベビン及びメチルプルビアトリドを得ること、及び半合成クベビン誘導体、ジベンジルブチロラクトニックリグナン:ヒノキニン、o-アセチルクベビン、o-メチルクベビン、6,6´-ジニトロヒノキニン及びo-ジメチルエチルアミンクベビン及び、ここで開示される方法の手段によって、メチルプルビアトリド誘導体と同様に得られる他の誘導体を得ることであり、血液処理及びシャーガス病の予防のために従来使用されているゲンチアナバイオレット及び他の化合物によって認められるよりも少なくとも5倍高い活性を与える薬物を製造するために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のより良い理解のために、サントキシラム・ナランジロ及びピペル・クベバからリグナンを得る方法のフルクソグラム(fluxogram)を示す。
【発明の詳細な説明】
【0013】
図1から分かるように、構造式:
【化1】

【0014】
のクベビン(1)、リグナン、
及び構造式:
【化2】

【0015】
のリグナンメチルプルビアトリド(2)を、サントキシラム・ナランジロから得る方法は、次の工程:
a)サントキシラム・ナランジロの葉の収集、及び、35〜55℃の温度でのオーブン乾燥;
b)サントキシラム・ナランジロの葉のナイフグリンダー(knife grinder)での粉砕;
c)サントキシラム・ナランジロの葉から得られた粉末の液浸軟化、及び25℃のヘキサンによる約5日間の徹底的な抽出;
d)前記液浸軟化産物のフィルタリングからの粗製抽出物の調製、及び、減圧下、温度30℃での、溶媒が完全に除去されるまでのその濃縮;
e)サントキシラム・ナランジロの葉から得られた粗製抽出物の、シリカゲルのクロマトグラフィーカラム、及び、ヘキサンによる開始、割合が上昇するAcOEt(AcOEt)及びエタノール、210のクロマトグラフィーの部分に各500mlの供給の溶媒系における反復精製;
f)結晶化(ヘキサン/アセトン(Me2CO, 4:1)又は薄層による分取クロマトグラフィー(ヘキサン/Me2CO, 4:1)による、クロマトグラフィーの一部からのクベビン(1)及びメチルプルビアトリド(2)の取得と単離;
g)1H及び13C 核磁気共鳴(NMR)データ分析 [α]D、質量、IVによる同定;
を含む。
【0016】
この方法は、クベビン(1)及びメチルプルビアトリド(2)を得ることを可能にする。
【0017】
同様に、ピペル・クベバからクベビンを得る方法は、そのフルクソグラム(fluxogram)も図1に示されているが、次の工程:
a)ナイフグリンダーでのピペル・クベバの種の粉砕;
b)ピペル・クベバの種から得られた前記粉末の液浸軟化、及び90%エタノールによる72時間サイクルの徹底的な抽出;
c)前記液浸軟化産物のフィルタリングからの粗製抽出物の調製、及び、減圧下、温度40℃での、溶媒が完全に除去されるまでのその濃縮;
d)前記粗製エタノール抽出物の、9:1のメタノールの水アルコール溶液への可溶化、及び、n-ヘキサンによる、テルペン油部分を除去するための分配(partition);
e)水アルコール部分の分離、及び、完全な溶媒除去までの後濃縮、
f)次の溶媒系:100%ヘキサン、50%ヘキサン:ジクロロメタン;100%ジクロロメタン;50%ジクロロメタン:エチルアセテート、及び100%酢酸エチルを用いた、前記粗製水アルコール部分の、シリカゲルによる吸引下の液体クロマトグラフィーの実現(realization);
g)前記100%ジクロロメタンの部分からの、吸引下での溶媒の除去、及び続いて、4:1のヘキサン:アセトン中のクベビン(1)の精製のためのその再結晶化;
h)結晶化されたクベビンの、薄層クロマトグラフィー及び高効率液体クロマトグラフィーでの純度分析;
を含む。
【0018】
<クベビン誘導体の取得>
I) O-アセチルクベビン
A)クベビンと無水酢酸との、ピリジン中(マイクロスケールにおいて、50mgのクベビンを3mlの無水物と、0.3mlのピリジン[容量の10%]中で、室温で24時間、振盪下)での反応;
B)前記反応に続くクロマトグラフィー分析;
C)トルエン添加で溶剤からピリジンを完全に除去することによる、o-アセチルクベビンの単離;
D)ジクロロメタンの添加及び続く減圧下での蒸発でトルエンの除去;
E)それによって、前記有機相の収集フラスコへの移転、続いて、分取環状クロマトグラフィー(preparative circular chromatography)[CCP](CROMATOTRON)での精製;
F)この手順の後に、前記生成物(3)を高効率液体クロマトグラフィー(CLAE)、純度指標>95%による純度測定に提示する;前記生成物(アセチルクベビン)は1H及び13C NMR分析及び[α]26に供される;
【化3】

【0019】
II) O−メチルクベビン
G)クベビンとメチルヨードとの、乾燥THF及びNaH中での反応(マイクロスケールにおいて、乾燥THF中のクベビン、NaH(1g)の添加、及び室温で1/2時間の振盪;その後、メチルヨードを添加し、N2雰囲気下で一晩反応させる);
H)前記反応に続くクロマトグラフィー分析;
I)1)水中メタノール(1:1)の添加による過剰のNaHの分解、続いて希HClの添加及びエチルアセテートによる抽出;2)5%NaHCO3溶液、NaCl生理食塩水溶液(10%)及び5%NaHCO3溶液による、得られた有機相の中和;3)無水MgSO4による溶媒の乾燥:により行われるo-メチルクベビン(4)の単離;
J)溶出剤として4:1のヘキサン:酢酸エチルを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィー;
K)それによる前記有機相の収集フラスコへ移送、続いて、分取環状クロマトグラフィー[CCP](CROMATOTRON)での精製;
L)この手順の後、前記生成物(4)は、高効率液体クロマトグラフィー(CLAE)、純度指標>95%による純度測定に提示される。前記生成物(メチルクベビン)は1H及び13C NMR分析及び[α]26に供される;
【化4】

【0020】
III) O−ジメチルエチルアミノクベビン
M)ナトリウムエトキシド中での塩化クベビンジメチルエチルアミンの反応(マイクロスケールにおいて、ナトリウムエトキシド中に50mgのクベビン(2時間の還流);続いて、5時間以上の還流を維持して塩化ジメチルエチルアミンの添加);
N)前記反応に続くクロマトグラフィー分析;
O)クベビンo-ジメチルエチルアミンの単離は、反応溶媒に30ml以上の水を注ぎ、溶媒がアルカリ化(pH=9〜10)されるまで粉末化NaHCO3を添加し、酢酸エチルによる抽出することによって行われる;
P)それによる前記有機相の収集フラスコへの移送、続いて、分取環状クロマトグラフィー[CCP](CROMATOTRON)で精製;
Q)この手順の後、前記生成物(4)は、高効率液体クロマトグラフィー(CLAE)、純度指標>95%による純度測定に提示される。前記生成物(ジメチルエチルアミンクベビン)は1H及び13C NMR分析及び[α]26に供される;
【化5】

【0021】
IV) ヒノキニン
R)クベビンとPCCとの、乾燥ジクロロメタン中での反応(マイクロスケールにおいて、乾燥ジクロロメタンを含みフラスコ中に50mgのクベビン、及び不活性雰囲気(N2)を封入。3つのビーカー風船で、不活性雰囲気下、乾燥ジクロロメタン中1モル当量のpccを添加した;該DCM中クベビン溶液は皮下注射器によって添加され、常に不活性雰囲気下で、温度-6℃、及び一定の振盪下で24時間維持される);
S)前記反応に続くクロマトグラフィー分析;
T)1)反応溶媒を、もしあれば吸引ろ過により、MgSO4一水和物を含む焼結された(sinterized)プラーク n°2のクロマトグラフィーカラム(吸引下)に注入する、2)前記サンプル、及び次の溶媒勾配系を、シリカゲル60のクロマトグラフィーカラムに提示する:100%ヘキサン、8:2 ヘキサン:酢酸エチル、7:3 ヘキサン:酢酸エチル、6:4 ヘキサン:酢酸エチル、100%酢酸エチル及び100%メタノール;により行われるヒノキニン(6)の単離;
U)それによる前記有機相の収集フラスコへの移送、続いて、分取環状クロマトグラフィー[CCP](CROMATOTRON)での精製;
V)この手順の後、前記生成物(6)は、高効率液体クロマトグラフィー(CLAE)、純度指標>95%による純度測定に提示される。前記生成物(ヒノキニン)は1H及び13C NMR分析及び[α]26に供される;
【化6】

【0022】
W) 6,6´-ジニトロイノキニン
X)ヒノキニンと硝酸の、クロロホルム中での反応(マイクロスケールにおいて、クロロホルム中50mgのヒノキニンを反応溶媒-6℃で維持し、6モル当量の硝酸をゆっくり滴下し、該反応を同様の条件、一定の振盪下、2時間維持し、その後、飽和Na2CO3溶液を添加し終了させる);
Y)前記反応に続くクロマトグラフィー分析;
Z)1)反応溶媒のクロロホルムによる抽出、続いて減圧下で蒸発、2)メタノールで再結晶化、により行われる6,6´-ジニトロヒノキニンの単離;
AA)それによる前記有機相の収集フラスコへの移送、続いて、分取環状クロマトグラフィー[CCP](CROMATOTRON)での精製;
BB)この手順の後、前記生成物(7)は、高効率液体クロマトグラフィー(CLAE)、純度指標>95%による純度測定に提示される。前記生成物(6,6´-ジニトロイノキニン)は1H及び13C NMR分析及び[α]26に供される;
【化7】

【0023】
以下のスキーム1において、獲得反応は、ピペル・クベバの種から単離されたクベビン(1)の半合成誘導体の構造に対応するように示され、これは次の工程i;ii;iii;iv;及びvから成る。
【化8】

【0024】
殺トリパノソーマ活性の評価は、寄生虫血症のピークにあるマウスの筋肉から単離された、異なる株のトリパノソーマ・クルージーの血中トリポマスティゴート形状(forms)の溶解パーセントを調べることによって行った。生物学的試験は、用いた血液のミリリットル毎に約10形状の寄生虫を含む、200μlの滴定の微小プラークで行われた。評価に用いられる実体の濃度は、10、25、及び50μg/mlで、これは5%のジメチルスルホキシドを含むPBSバッファーで溶解した。物質を添加した後、感染した血液は一定の振盪下、4℃で24時間の間インキュベートした。この期間の後、物質の作用に生き残った寄生虫の量を光学顕微鏡で数え、陰性対照群(感染された血液、物質の溶解に用いた溶液を添加)と比較し、溶解パーセントの決定に関する計算を行った。陽性対照として、化学的予防の指標として、ゲンチアナバイオレットを250μg/mlの濃度で用いた。全ての試験は三重に行った。
【0025】
上気したような生物学的活性方法は、当該科学分野ですでに完全に公開され、用いられており、それ故、殺トリパノソーマ活性に関して標準化されたものである(化学予防法及び寄生虫の感染しやすさの評価)。
【0026】
本方法で用いられる種々の科学的作業は、クベビンの生物学的活性のためのオリジナルの評価作業であり、Bastos及び寄与者によって1999年に公開されている。
【0027】
表1に表された結果は、幾つかのクベビン誘導体の活性を示し、それらの化学予防的及び治療的有効性をも示す。
【表1】

【0028】
それらの化学的予防能力を検証する目的で、100%の活性を有する物質を処理された血液を健康なマウスへ接種した。このアッセイに含まれる全ての物質は、化学的予防能力を示した。
【0029】
それらの他に、中でも種々の置換基を有する主鎖の両者の芳香環において異なる置換規格を有する、スルホン化(8)、ハロゲン化(9)、アミン(10)、アミド(11)及びグリコシル化(12)誘導体もまた本願発明の目的である。
【化9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジベンジルブチロラクトニックリグナン、特に、構造式
【化1】

のリグナンクベビン(1)、及び構造式
【化2】

を有するリグナンメチルプルビアトリド(2)を得るための方法であって、
サントキシラム・ナランジロを原材料とし、次の工程:
a)サントキシラム・ナランジロの収集、及び、35〜55℃の温度でのオーブン乾燥;
b)サントキシラム・ナランジロの葉のナイフグリンダー(knife grinder)での粉砕;
c)サントキシラム・ナランジロの葉から得られた粉末の液浸軟化、及び25℃のヘキサンによる約5日間の徹底的な抽出;
d)前記液浸軟化産物のフィルタリングからの粗製抽出物の調製、及び、減圧下、温度30℃での、溶媒が完全に除去されるまでのその濃縮;
e)サントキシラム・ナランジロの葉から得られた粗製抽出物の、シリカゲルのクロマトグラフィーカラム、及び、ヘキサンによる開始、割合が上昇するAcOEt(AcOEt)及びエタノール、210のクロマトグラフィーの部分に各500mlの供給の溶媒系における反復精製;
f)結晶化(ヘキサン/アセトン(Me2CO, 4:1)又は薄層による分取クロマトグラフィー(ヘキサン/Me2CO, 4:1)による、クロマトグラフィーの一部からのクベビン(1)及びメチルプルビアトリド(2)の取得と単離;
g)1H及び13C 核磁気共鳴(NMR)データ分析 [α]D、質量、IVによる同定;
から成る方法。
【請求項2】
ジベンジルブチロラクトニックリグナン、特にリグナンクベビン(1)を得るための方法であって、ピペル・クベバを原材料とし、次の工程:
a)ナイフグリンダーでのピペル・クベバの種の粉砕;
b)ピペル・クベバの種から得られた前記粉末の液浸軟化、及び90%エタノールによる72時間サイクルの徹底的な抽出;
c)前記液浸軟化産物のフィルタリングからの粗製抽出物の調製、及び、減圧下、温度40℃での、溶媒が完全に除去されるまでのその濃縮;
d)前記粗製エタノール抽出物の、9:1のメタノールの水アルコール溶液への可溶化、及び、n-ヘキサンによる、テルペン油部分を除去するための分配;
e)水アルコール部分の分離、及び、完全な溶媒除去までの後濃縮、
f)次の溶媒系:100%ヘキサン、50%ヘキサン:ジクロロメタン;100%ジクロロメタン;50%ジクロロメタン:エチルアセテート、及び100%酢酸エチルを用いた、前記粗製水アルコール部分の、シリカゲルによる吸引下の液体クロマトグラフィーの実現;
g)前記100%ジクロロメタンの部分からの、吸引下での溶媒の除去、及び続いて、4:1のヘキサン:アセトン中のクベビン(1)の精製のためのその再結晶化;
h)結晶化されたクベビンの、薄層クロマトグラフィー及び高効率液体クロマトグラフィーでの純度分析;
を含む方法。
【請求項3】
合成リグナン誘導体、特にクベビン誘導体を得るための、請求項1及び2に記載の方法であって、次の工程:
a)クベビンと無水酢酸との、ピリジン中、室温で約24時間の振盪下での反応;
b)前記反応に続くクロマトグラフィー分析;
c)トルエン添加で溶剤からピリジンを完全に除去することによる、o-アセチルクベビン(3)の単離;
d)ジクロロメタンの添加及び続く減圧下での蒸発でトルエンの除去;
d)前記有機相の収集フラスコへの移転、続いて、分取環状クロマトグラフィー(preparative circular chromatography)[CCP](CROMATOTRON);
e)高効率液体クロマトグラフィー(CLAE)、純度指標>95%でO-アセチルクベビン(3)の純度の測定;生成物(アセチルクベビン)は1H及び13C NMR分析及び[α]26に供される;
【化3】

を含む方法
【請求項4】
合成リグナン誘導体、特にグベビン誘導体を得るための、請求項2に記載の方法であって、次の工程:
a)クベビンとメチルヨードとの、乾燥THF及びNaH中での、室温、1/2時間の振盪下での反応、続いて、メチルヨードの添加、該反応をN2雰囲気下で一晩放置;
b)前記反応に続くクロマトグラフィー分析;
c)1)水中メタノール(1:1)の添加による過剰のNaHの分解、続いて希HClの添加及びエチルアセテートによる抽出;2)5%NaHCO3溶液、NaCl生理食塩水溶液(10%)及び5%NaHCO3溶液による、得られた有機相の中和;3)無水MgSO4による溶媒の乾燥:により行われるo-メチルクベビン(4)の単離;
d)溶出剤として4:1のヘキサン:酢酸エチルを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィー;
e)前記有機相の収集フラスコへ移送、続いて、分取環状クロマトグラフィー[CCP](CROMATOTRON)での精製;
f)高効率液体クロマトグラフィー(CLAE)、純度指標>95%でo-メチルクベビン(4)の純度の測定;生成物(メチルクベビン)は1H及び13C NMR分析及び[α]26に供される;
【化4】

を含む方法。
【請求項5】
合成リグナン誘導体、特にクベビン誘導体を得るための、請求項2に記載の方法であって、次の工程:
a)ナトリウムエトキシド中での塩化クベビンジメチルエチルアミンの反応、続いて塩化ジメチルエチルアミンの添加、還流下で約2〜7時間保持;
b)前記反応に続くクロマトグラフィー分析;
c)クベビンo-ジメチルエチルアミン(5)の水による単離、及び溶媒がアルカリ化(pH=9〜10)されるまで粉末化NaHCO3の添加、及び酢酸エチルによる抽出;
d)前記有機相の収集フラスコへの移送、続いて、分取環状クロマトグラフィー[CCP](CROMATOTRON)で精製;
e)高効率液体クロマトグラフィー、純度指標>95%でo-ジメチルエチルアミンクベビン(5)の純度の測定;生成物(ジメチルエチルアミンクベビン)は1H及び13C NMR分析及び[α]D26に供される;
【化5】

を含む方法。
【請求項6】
合成リグナン誘導体、特にクベビン誘導体を得るための、請求項2に記載の方法であって、次の工程:
a)クベビンとPCCとの、乾燥ジクロロメタン中での、不活性雰囲気下(N2)で24時間、温度約-6℃、一定の振盪下での反応;
b)前記反応に続くクロマトグラフィー分析;
c)1)反応溶媒を、もしあれば吸引ろ過により、MgSO4一水和物を含む焼結されたプラーク n°2のクロマトグラフィーカラム(吸引下)に注入する、2)前記サンプル、及び次の溶媒勾配系を、シリカゲル60のクロマトグラフィーカラムに提示する::100%ヘキサン、8:2 ヘキサン:酢酸エチル、7:3 ヘキサン:酢酸エチル、6:4 ヘキサン:酢酸エチル、100%酢酸エチル及び100%メタノール;により行われるヒノキニン(6)の単離;
d)前記有機相の収集フラスコへの移送、続いて、分取環状クロマトグラフィー[CCP](CROMATOTRON)での精製;
e)高効率液体クロマトグラフィー(CLAE)、純度指標>95%でヒノキニン(6)の純度の測定;生成物(ヒノキニン)は1H及び13C NMR分析及び[α]D26に供される;
【化6】

を含む方法。
【請求項7】
合成リグナン誘導体、特にクベビン誘導体を得るための、請求項2に記載の方法であって、次の工程:
a)ヒノキニンと硝酸の、クロロホルム中、一定の振盪下で2時間の反応、続いて、飽和Na2CO3溶液の添加;
b)前記反応に続くクロマトグラフィー分析;
c)1)反応溶媒のクロロホルムによる抽出、続いて減圧下で蒸発、2)メタノールで再結晶化、により行われる6,6´-ジニトロヒノキニン(7)の単離;
d)前記有機相の収集フラスコへの移送、続いて、分取環状クロマトグラフィー[CCP](CROMATOTRON)での精製;
e)高効率液体クロマトグラフィー(CLAE)、純度指標>95%で、6,6´-ジニトロイノキニン(7)の純度の測定;生成物(6,6´-ジニトロイノキニン)は1H及び13C NMR分析及び[α]D26に供される;
【化7】

を含む方法。
【請求項8】
合成リグナン誘導体、特にクベビン誘導体を得るための、請求項2に記載の方法であって、スルホン化(8)、ハロゲン化(9)、アミン(10)、アミド(11)誘導体の構造式が
【化8】

であり、ここで、RはSO3H;Cl及びF;-NH2又は-NHO-であり、中でも種々の置換基による、主鎖の両者の芳香環において異なる置換規格を有する方法。
【請求項9】
合成リグナン誘導体、特にクベビン誘導体を得るための、請求項2に記載の方法であって、構造式
【化9】

のグリコシル化(12)誘導体が、中でも種々の置換基による、主鎖の両者の芳香環において異なる置換規格を有する方法
【請求項10】
シャーガス病の予防のための、クベビン及びメチルプルビアトリド誘導体から得られる上記請求項の何れかの薬物。
【請求項11】
請求項10に記載の薬物であって、血液処理及びシャーガス病の予防のために用いられるゲンチアナバイオレット及び他の化合物で認められるよりも少なくとも5倍高い活性を有することを特徴とする薬物。

【図1】
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【公開番号】特開2011−98968(P2011−98968A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−275582(P2010−275582)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【分割の表示】特願2003−578354(P2003−578354)の分割
【原出願日】平成15年3月25日(2003.3.25)
【出願人】(504362008)
【Fターム(参考)】