説明

ジョブフロー検証方法、検証プログラムおよびフロー制御装置

【課題】 一連のジョブを行って印刷物を生成する印刷システムにおいて、構成が複雑とならず、一連のフローを検証することができるジョブフロー検証方法、検証プログラムおよびフロー制御装置を提供する。
【解決手段】 ネットワーク8によって接続された処理部2〜6に、所定のジョブフローに従った一連のジョブを行わせて印刷物を生成する印刷システム1において、フロー制御装置7は、所定のジョブフローに基づいて処理部2〜6が有する機能に応じた検証用フローを作成し、一連のジョブに基づいて一連の検証用ジョブを作成した後、検証用フローに従った一連の検証用ジョブを処理部2〜6に検証を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前処理、印刷処理、課金処理等の一連のジョブを行って印刷物を生成する印刷システムに適用されるジョブフロー検証方法、検証プログラムおよびフロー制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント市場でのダイレクトメール、小冊子作成、小規模出版などディジタルプリント機能の普及により対象市場も多種になり、印刷に関する処理の組み合わせとして印刷の前処理、印刷処理自体、印刷後の後処理(フィニッシング)、配送、課金などをワークフローとして定義して効率的に処理するシステムが提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、コンピュータとプリンタとがプリントサーバを介して接続されたプリンタシステムにおいて、無駄な印刷物が大量に発生しないようにするため、サンプル印刷を試してから全体印刷を実行するプリンタシステムが提案されている(例えば、特許文献2参照。)
【0004】
また、擬似印刷用スレーブプロセッサの制御の下に、擬似印刷モードによる一連の架空印刷動作を行い、印刷用記録紙を消費せずに障害を検出できるようにしたプリンタが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−310746号公報
【特許文献2】特開2002−347316号公報
【特許文献3】特開平11−191054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のシステムは、複数のワークフローを効果的に処理する手法を開示したものに過ぎず、特許文献2のシステムは、印刷結果を所望の結果として得るための画質調整、確認を目的にしているに過ぎない。特許文献3のプリンタは、擬似プロセッサというものを前提にしており、構成が複雑となる。
【0007】
今後、印刷を構成する処理が複雑になることで処理全体を構成する一連のフローが自動で正しく流れることを検証する必要があるが、従来のシステムやプリンタでは、そのような検証に対応できる構成になっていない。
【0008】
従って、本発明の目的は、一連のジョブを行って印刷物を生成する印刷システムにおいて、構成が複雑とならず、一連のフローを検証することができるジョブフロー検証方法、検証プログラムおよびフロー制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するため、ネットワークによって接続された複数の処理部に、所定のジョブフローに従った一連のジョブを行わせて印刷物を生成する印刷システムにおいて、前記所定のジョブフローに対応した検証用フローに従い、前記複数の処理部が有する機能に応じた一連の検証用ジョブを前記複数の処理部に行わせる検証ステップを含むことを特徴とするジョブフロー検証方法を提供する。
【0010】
上記ジョブフロー検証方法によれば、一連の検証用ジョブを複数の処理部が有する機能に応じたものとすることにより、一連のフローの検証を実現することができる。
【0011】
処理部には、一般に装置と称せられるものも含まれ、ネットワークに接続されずに他の処理部(例えば印刷装置)に接続されたもの(例えば後処理装置)も含まれる。
【0012】
上記所定のジョブフローに基づいて検証用フローを作成し、一連のジョブに基づいて一連の検証用ジョブを作成する作成ステップを含む構成としてもよい。これにより、検証用ジョブの形成ミスが少なくなる。
【0013】
検証用ジョブの作成は、基となるジョブのうち動作検証に必要な最小限情報を修正して行われる。例えば、検証に必要な最小限の少量印刷量、面付けが必要ならば必要最小ページ数、綴じ処理が必要であれば1冊などを設定する。このとき、課金対象にならないようにするために、検証用ジョブ属性値としてダミーの顧客IDを割り当てる。結果通知は本来の宛先ではなく検証用の宛先に通知される。
【0014】
上記検証ステップは、検証ステップで変化した状態を元の状態へ戻す復元ステップを含む構成としてもよい。これにより、検証ステップの終了後直ちに実フローを実行することができる。
【0015】
上記複数の処理部は、検証ジョブを行って変化した状態を元の状態へ戻す検証機能を有していない処理部を含んでもよい。これにより、目的の印刷物に応じて様々なシステムを構成することができ、構成の自由度が高くなる。
【0016】
処理部には、検証機能を有するものと有しないものとがあり、検証機能を有していない処理部には、検証を行っても不都合が生じないもの、検証を行うと不都合が生じるもの、ジョブ属性値を変更すれば、不都合が生じないものなどがある。
【0017】
従って、上記検証ステップは、上記検証機能を有していない処理部に対しては、不都合が生じない場合は対応する検証用ジョブを行わせてもよく、スキップして検証を行わせなくてもよく、対応する検証用ジョブの属性を変更して検証を行わせてもよい。
【0018】
検証機構を有する処理部としては、サンプル印刷機能、ドラフト印刷機能、試し印刷機能といった装置自体で専用の検証機能を有するものや、検証用のモードもしくは取り消し機能を有するデータベースやレポジトリなどがある。
【0019】
検証機能を有していない処理部としては、メールサービスを行う通知処理部、ファックス(送信)を行うファックス部、一般的なプリンタ、フィニッシャー、取り消すことができないジョブ情報を格納するデータベース、印刷データを格納するレポジトリなどがある。
【0020】
本発明は、上記目的を達成するため、上記ジョブフロー検証方法をコンピュータに実行させるための検証プログラムを提供する。この検証プログラムによれば、一連のフローの検証が自動化される。
【0021】
本発明は、上記目的を達成するため、複数の処理部とともにネットワークに接続され、所定のジョブフローに従った一連のジョブを複数の処理部に行わせて印刷物を生成させるフロー制御装置において、前記所定のジョブフローに対応した検証用フローに従い、前記複数の処理部が有する機能に応じた一連の検証用ジョブを前記複数の処理部に行わせる制御手段を備えたことを特徴とするフロー制御装置を提供する。
【0022】
上記フロー制御装置によれば、一連の検証用ジョブを複数の処理部が有する機能に応じたものとすることにより、一連のフローの検証を実現することができる。
【0023】
本発明は、上記目的を達成するため、複数の処理部とともにネットワークに接続され、所定のジョブフローに従った一連のジョブを複数の処理部に行わせて印刷物を生成させるフロー制御装置において、前記所定のジョブフローに基づいて前記検証用フローを作成し、前記一連のジョブに基づいて前記複数の処理部が有する機能に応じた前記一連の検証用ジョブを作成する作成手段と、前記検証用フローに従った前記一連の検証用ジョブを前記複数の処理部に行わせる制御手段とを備えたことを特徴とするフロー制御装置を提供する。
【0024】
上記フロー制御装置によれば、一連のフローの検証を実現することができ、検証用ジョブを作成するための時間の短縮と検証用ジョブの形成ミスを低減することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、一連のジョブを行って印刷物を生成する印刷システムにおいて、構成が複雑とならず、一連のフローを検証することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るジョブフロー検証方法が適用された印刷システムを示す。この印刷システム1は、一連の処理の結果として印刷物を得ることを目的として、前処理実行部2、印刷部3、課金処理部4、通知処理部5、アーカイブ処理部6およびフロー制御装置7をネットワーク8によって接続したものである。
【0027】
前処理実行部2は、検証ジョブを行って変化した状態を元の状態へ戻す機能(以下「検証機能」という。)を有するものであり、通常モードでは、印刷データに対し色調整,画像合成,フォント展開等の事前処理、最適化処理等の前処理(以下「処理A」という。)を行い、検証モードでは、処理Aを簡略化した処理、あるいは部分的に実行する処理(以下「処理B」という。)を行い、検証後は、処理Bを無効化して元の印刷データに復元する処理(以下「処理C」という。)を行うように構成されている。
【0028】
印刷部3は、検証機能を有していないものであり、通常モードでは、印刷データを用紙に印刷する処理(以下「処理D」という。)を行い、検証モードでは、通常モードと同一の処理Dを行うように構成されているが、検証モードで行った処理Dを無効化する機能を有していない。なお、印刷部3に仕分け等の後処理を行う後処理部を接続してもよい。
【0029】
課金処理部4は、通常モードでは、印刷枚数やデータ量等に応じた課金処理(以下「処理E」という。)を行うものであるが、検証機能を有していない。
【0030】
通知処理部5は、検証機能を有していないものであり、通常モードでは、印刷物の発注者のメールアドレスにメールにより印刷状況を通知する処理(以下「処理F」という。)を行い、検証モードでは、通常モードと同一の処理Fを行うが、通知は無効化できないため、通知先が通常モードとは異なり、テスト用通知先に置換える。
【0031】
アーカイブ処理部6は、検証機能を有するものであり、通常モードでは、課金処理後の不要になった印刷データのアーカイブ処理(以下「処理G」という。)を行い、検証モードでは、通常モードと同一の処理Gを行い、検証後は、処理Gによって得られたアーカイブデータを削除する処理(以下「処理H」という。)を行うように構成されている。
【0032】
フロー制御装置7は、検証用フロー、検証用ジョブ(検証用ジョブ属性値を含む)を作成するとともに、前処理実行部2、印刷部3、課金処理部4、通知処理部5、アーカイブ処理部6(以下「各部2〜6」ともいう。)が一連の処理を行うように制御するものである。
【0033】
フロー制御装置7は、検証対象として、前処理(データ加工)、印刷処理、フィニッシング、課金処理、通知処理、印刷データのアーカイブ、配送処理(準備)が可能に構成されているが、本システム1では、前処理(データ加工)、印刷処理、課金処理、通知処理、印刷データのアーカイブを検証対象とする。
【0034】
(フロー制御装置の構成)
図2は、フロー制御装置7の構成を示すブロック図である。フロー制御装置7は、動作モード指示部70、フロー登録部71、フロー登録テーブル格納部72、ジョブ登録部73、ジョブテーブル格納部74、処理結果格納部75、検証機能管理テーブル格納部76および実行用ジョブデータ生成部77を備える。
【0035】
動作モード指示部70は、図示しないスイッチによって選択された通常モードあるいは検証モードを実行用ジョブデータ生成部77に指示するものである。ここでスイッチとは物理的な切り替え装置には限定されず、画面上でモードを選択する操作も含まれる。
【0036】
フロー登録テーブル格納部72には、フロー登録テーブルが格納されており、フロー登録部71は、そのフロー登録テーブルに定義された1つ又は複数のフローを登録する。
【0037】
ジョブテーブル格納部74には、ジョブテーブルが格納されており、ジョブ登録部73は、そのジョブテーブルにジョブ(ジョブ属性値を含む)を登録する。
【0038】
処理結果格納部75は、前処理実行部2の処理結果を印刷部3へ転送する場合に、処理結果をフロー制御装置7へ戻す必要がある場合に格納するための部分である。なお、前処理実行部2から印刷部3へ前処理実行部2の処理結果を直接転送もしくは印刷部3が前処理実行部2から直接取得することが可能な場合は処理結果格納部75を省略した構成とすることも可能である。
【0039】
検証機能管理テーブル格納部76には、本システム1を構成するユニットの検証機能に関する管理情報を登録するための検証機能管理テーブルが格納されている。
【0040】
実行用ジョブデータ生成部77は、ジョブフローに基づいて一連の処理に対応した検証用フローを作成し、一連のジョブに基づいて各部2〜6が有する機能に応じた検証用ジョブ(検証用ジョブ属性値を含む)を作成し、検証用フローに従い、検証用ジョブ(ジョブ属性値を含む)を各部2〜6に渡して検証処理、および検証によって変化した状態を元の状態に戻す復元処理を行わせるものである。
【0041】
図3は、検証機能管理テーブルの一例を示す。前処理(データ加工)、印刷処理、フィニッシング、印刷データのアーカイブ、課金処理、通知処理、配送処理(準備)の7つの処理のうち5つの処理についてテーブルにエントリを登録した例である。なお、同図中、N/Aは登録する内容が存在していないことを意味する。また、処理A〜Hは、それぞれ異なる処理を表わしているものとする。
【0042】
この検証機能管理テーブル9には、「処理」、「検証機能」、「通常処理」、「検証処理」、「検証用ジョブ属性」、「検証後処理」の項目に対応してその内容が登録されている。
【0043】
「検証機能」の項目の欄には、検証機能を有しているか否かの情報が登録されており、「有り」は検証機能を有している場合を示し、「なし」は検証機能を有していない場合を示す。「通常処理」の項目の欄には、通常モードで実行される処理の内容が登録され、「検証処理」の項目には、検証モードで実行される処理の内容が登録されている。「検証用ジョブ属性」の項目の欄には、検証モード時に置き換えられるジョブ属性の値が登録されている。
「検証後処理」の項目の欄には、検証処理を実行した後に行われるべき検証後処理が登録されている。
【0044】
検証処理が存在しない場合(N/A)は、検証処理を行うと元に戻せない処理のため検証モード時にはスキップされることを意味している。
【0045】
なお、検証処理にレベルを設ける場合にはレベルに対応する行を用意することで拡張可能である。例えば、選択的に一部の動作を実際の処理と同じにすることが可能である。
【0046】
(システムの動作)
次に、本システム1の動作を、検証用情報の作成、検証処理、検証後処理、通常処理に分けて説明する。
【0047】
(1)検証用情報の作成
検証用情報の作成を図4および図5を参照して説明する。図4(a),(b),(c)は、それぞれ通常モードにおけるフロー、ジョブ、ジョブ属性値を示し、図5(a),(b),(c)は、それぞれ検証モードにおける検証用情報としての検証用フロー、検証用ジョブ、検証用ジョブ属性値を示す。なお、検証用フローおよび検証用ジョブには、検証して変化した状態を元に戻すフローおよびジョブも含まれる。
【0048】
システム管理者が図示しないスイッチを操作して検証モードを選択すると、フロー制御装置7の動作モード指示部70は、図示しないスイッチにより検証モードが選択されていることを検出し、その検出信号を実行用ジョブデータ生成部77に送信する。その検出信号を受信した実行用ジョブデータ生成部77は、フロー登録テーブル格納部72内のフロー登録テーブルに登録されている図4(a)に示すフロー10aに基づき、図3に示す検証機能管理テーブル9を参照して図5(a)に示す検証用フロー11aを作成する。また、実行用ジョブデータ生成部77は、ジョブテーブル格納部74内のジョブテーブルに登録されている図4(b),(c)に示すジョブ10bおよびジョブ属性値10cに基づき、検証機能管理テーブル9を参照して図5(b),(c)に示す検証用ジョブ11bおよび検証用ジョブ属性値11cを作成する。
【0049】
検証用フロー11aは、図5(a)に示すように、処理B,D,スキップログの書き込み,処理F,G,C,Hを実行するように作成される。なお、処理Fの実行時に通知先に仮の値(検証用ジョブ属性値)が設定される。検証用フローに従い、検証用ジョブを各部2〜6に渡す。なお、検証動作中は、特定の処理に対してはジョブ属性値を一部書き換えた値が渡される。
【0050】
(2)検証処理
前処理実行部2は、通常処理とは異なる処理B、例えば、外部データベースから印刷イメージを作成し、ある顧客グループaの中の少量の部分だけに対して前処理を実行し、顧客グループaの作成済みの記録を行い、印刷部3は、通常処理と同一の処理Dを行い、課金処理部4は、検証処理を行わず、通知処理部5は、通常処理と同一の処理(但し、通知先はテスト用通知先)Fを行い、アーカイブ処理部6は、通常処理と同一の処理G、すなわち印刷に使用した印刷データのアーカイブ保存を行う。このようにして検証処理が終了する。なお、前処理実行部2に検証ジョブを渡すと、前処理実行部2から処理結果がフロー制御装置7に渡され、その処理結果は、処理結果格納部75に一旦格納された後、検証用ジョブとともに印刷部3に渡される。
【0051】
(3)検証後処理
前処理実行部2は、処理Bを無効化する処理C、例えば、処理Bで記録した顧客フループ作成済み記録の消去を行い、印刷部3、課金処理部4および通知処理部5は、検証後処理を行わず、アーカイブ処理部6は、処理Gを無効化する処理H、すなわちアーカイブデータの削除を行う。このようにして検証後処理が終了する。
【0052】
(4)通常処理
システム管理者は、上記検証処理、上記検証後処理によってシステム1に問題が無いと判断すると、図示しないスイッチを操作して通常モードを選択し、フロー制御装置7の動作モード指示部70は、図示しないスイッチにより通常モードが選択されていることを検出し、その検出信号を実行用ジョブデータ生成部77に送信する。その検出信号を受信した実行用ジョブデータ生成部77は、フロー登録テーブル格納部72内のフロー登録テーブルに登録されている図4(a)に示すフロー10aに従って、ジョブテーブル格納部74内のジョブテーブルに登録されている図4(b),(c)に示すジョブ10bおよびジョブ属性値10cを前処理実行部2、印刷部3、課金処理部4、通知処理部5およびアーカイブ処理部6に渡して一連の処理を行わせる。
【0053】
前処理実行部2は、前処理として処理A、例えば、外部データベースから特定顧客グループ毎の情報を引き出して印刷イメージ作成処理を行い、外部データべースにイメージ作成済みを記憶する。印刷部3は、印刷処理として処理Dを行い、課金処理部4が課金処理として処理Eを行い、通知処理部5がメール通知として処理Fを行い、アーカイブ処理部6がデータアーカイブ処理として処理Gを行う。これにより、目的の印刷物が生成される。
【0054】
(第1の実施の形態の効果)
この第1の実施の形態によれば、以下の効果が得られる。
(イ)フロー全体で共通の検証用ジョブを使うため、検証用情報の作成が単純となる。
(ロ)検証用フローを実フローからコピー作成することで個々に検証用フローを用意する必要がなくなる。また検証フロー自体の設計ミスなどを防ぐことができる。元のフローを修正した場合に検証用フローの整合性を意識しなくて済む。ジョブ実行時のフロー検証も元のジョブから検証用ジョブを作成することで、検証用ジョブをシステム管理者が作成しなくてもよい。
(ハ)システムとして検証用機構を持っているものはその機能を使うことでフロー検証としては可能な限り実動作に近い検証を行うことができる。検証用機構がないものでもレベルに応じたフロー実行の検証ができる。
【0055】
なお、上記実施の形態では、ジョブを実行する直前に検証動作を行って、問題がない場合にシステム管理者が通常モードに切り替えて実行する場合について説明したが、検証後に通常モードに自動的に切り替えてもよく、ユーザーの指定によって切り替えてもよい。
これにより、ユーザの目的に応じたレベルでのフローの検証ができる。例えば、実際のデータ処理結果を知りたいレベルから、フローがとりあえず動くといったレベルまでフローの検証ができる。
【0056】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る印刷システムを説明する。この第2の実施の形態は、フロー内の処理毎に検証用のジョブ情報を作成するようにしたものである。
【0057】
フロー制御装置7は、前処理実行部2、印刷部3、課金処理部4およびアーカイブ処理部6用の第1の検証用ジョブおよび第1の検証用ジョブ属性値を作成し、そのジョブおよびジョブ属性値を前処理実行部2、印刷部3、課金処理部4およびアーカイブ処理部6に渡す。続いてフロー制御装置7は、通知処理部5用の第2の検証用ジョブおよび第2の検証用ジョブ属性値を作成し、そのジョブおよびジョブ属性値を通知処理部5に渡す。
【0058】
図6(a),(b)は、それぞれ第1および第2の検証用ジョブ属性値12a,12bを示す。通知を検証する処理Fの実行時にのみ通常の通知先のアドレス(n@xx.yy.jp)をテスト用通知先のアドレス(test@xx.yy.jp)と置き換える。通知処理部5は、検証時に処理Fを行い、メールをテスト用通知先のアドレス(test@xx.yy.jp)に送信する。
【0059】
この第2の実施の形態によれば、処理によって動的に特定の属性を書き換えて渡すため、第1の実施の形態と比較して動作が複雑になるが、より実際に近い検証を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るジョブフロー検証方法が適用された印刷システムを示すブロック図である。
【図2】フロー制御装置のブロック図である。
【図3】検証機能管理テーブルの一例を示す図である。
【図4】(a),(b),(c)は、それぞれ通常モードにおけるフロー、ジョブ、ジョブ属性値を示す図である。
【図5】(a),(b),(c)は、それぞれ検証モードにおける検証用フロー、検証用ジョブ、検証用ジョブ属性値を示す図である。
【図6】(a),(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る検証用ジョブ属性値を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1 印刷システム
2 前処理実行部
3 印刷部
4 課金処理部
5 通知処理部
6 アーカイブ処理部
7 フロー制御装置
8 ネットワーク
9 検証機能管理テーブル
10a ジョブフロー
10b ジョブ
10c ジョブ属性値
11a 検証用ジョブフロー
11b 検証用ジョブ
11c 検証用ジョブ属性値
12a 第1の検証用ジョブ属性値
12b 第2の検証用ジョブ属性値
70 動作モード指示部
71 フロー登録部
72 フロー登録テーブル格納部
73 ジョブ登録部
74 ジョブテーブル格納部
75 処理結果格納部
76 検証機能管理テーブル格納部
77 実行用ジョブデータ生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークによって接続された複数の処理部に、所定のジョブフローに従った一連のジョブを行わせて印刷物を生成する印刷システムにおいて、
前記所定のジョブフローに対応した検証用フローに従い、前記複数の処理部が有する機能に応じた一連の検証用ジョブを前記複数の処理部に行わせる検証ステップを含むことを特徴とするジョブフロー検証方法。
【請求項2】
前記所定のジョブフローに基づいて前記検証用フローを作成し、前記一連のジョブに基づいて前記一連の検証用ジョブを作成する作成ステップを含むことを特徴とする請求項1に記載のジョブフロー検証方法。
【請求項3】
前記検証ステップは、前記検証ステップで変化した状態を元の状態へ戻す復元ステップを含むことを特徴とする請求項1に記載のジョブフロー検証方法。
【請求項4】
前記複数の処理部は、前記検証ジョブを行って変化した状態を元の状態へ戻す検証機能を有していない処理部を含むことを特徴とする請求項1に記載のジョブフロー検証方法。
【請求項5】
前記検証ステップは、前記検証機能を有していない処理部に対しては、不都合が生じない場合は対応する前記検証用ジョブを行わせることを特徴とする請求項4に記載のジョブフロー検証方法。
【請求項6】
前記検証ステップは、前記検証機能を有していない処理部に対しては、スキップして検証を行わせないことを特徴とする請求項4に記載のジョブフロー検証方法。
【請求項7】
前記検証ステップは、前記検証機能を有していない処理部に対しては、対応する前記検証用ジョブの属性を変更して検証を行わせることを特徴とする請求項1に記載のジョブフロー検証方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のジョブフロー検証方法をコンピュータに実行させるための検証プログラム。
【請求項9】
複数の処理部とともにネットワークに接続され、所定のジョブフローに従った一連のジョブを複数の処理部に行わせて印刷物を生成させるフロー制御装置において、
前記所定のジョブフローに対応した検証用フローに従い、前記複数の処理部が有する機能に応じた一連の検証用ジョブを前記複数の処理部に行わせる制御手段を備えたことを特徴とするフロー制御装置。
【請求項10】
複数の処理部とともにネットワークに接続され、所定のジョブフローに従った一連のジョブを複数の処理部に行わせて印刷物を生成させるフロー制御装置において、
前記所定のジョブフローに基づいて前記検証用フローを作成し、前記一連のジョブに基づいて前記複数の処理部が有する機能に応じた前記一連の検証用ジョブを作成する作成手段と、
前記検証用フローに従った前記一連の検証用ジョブを前記複数の処理部に行わせる制御手段とを備えたことを特徴とするフロー制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−268338(P2006−268338A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−84411(P2005−84411)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】