説明

スイッチの取付枠及びその製造方法並びにスイッチ装置

【課題】歩留まりの向上を図ることのできる構造のスイッチの取付枠及びその製造方法、並びにこの取付枠を備えたスイッチ装置を提供する。
【解決手段】スイッチ装置の取付枠2は、スイッチ本体を保持する一対の第1取付体21及びスイッチボックスに取り付けられる一対の第2取付体22を組み合わせることにより構成される。そして、第1取付体21の接合部21d及び第2取付体22の接合部22dは、互いにかしめにより接合される。この構成により、取付枠2の作製段階において、予め空間S1を形成することが不要となるため、空間S1に相当する鋼板の材料を削減することができ、取付枠2の歩留まりの向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造営材に取り付けられるスイッチ装置の構成要素であって、スイッチが取り付けられる取付枠及びその製造方法並びに同取付枠を備えるスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記取付枠は、造営物の照明等の電気機器の電源のオン/オフの操作を行うスイッチ装置において、造営材に埋設されたスイッチボックスにねじによって取り付けられるとともに、スイッチのオン/オフの切換を行う操作部(押釦ハンドル)を内側に配置した空間が設けられる構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図12及び図13を参照して、従来の取付枠の構造について説明する。
図12に示すように、単一部材から構成される取付枠100は、互いに所定の距離を介して配置されて、スイッチを保持する一対の第1取付体101と、この一対の第1取付体101を互いに接続するとともにスイッチボックスに取り付けられる一対の第2取付体102とにより構成されている。そして、取付枠100において、一対の第1取付体101及び一対の第2取付体102によって囲まれることにより、押釦ハンドルを配置する空間SRが形成されている。
【特許文献1】特開2000−251579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、単一部材から構成される取付枠100の形成方法としては、一般に、鋼板をプレス加工する方法が採用されている。この鋼板をプレス加工する方法の場合には、図13に示すように、鋼板PRにおいて、空間SRを形成するために打ち抜かれた部分(図13中の斜線部分)は、廃材となってしまう。したがって、鋼板PRの体積に対して、取付枠100を形成する体積の比率(以下、単に「歩留まり」という。)が高いとは言い難く、この点において改善の余地が残されている。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、歩留まりの向上を図ることのできる構造のスイッチの取付枠及びその製造方法、並びにこの取付枠を備えたスイッチ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、スイッチの取付枠において、当該取付枠は、複数の分割された取付体を組み合わせることにより構成されるとともに、前記取付体が互いにかしめにより接合されることを要旨とする。
【0007】
この発明によれば、取付枠において、スイッチが配置される空間を複数の分割された取付体を組み合わせることにより構成するため、従来構造である取付枠を単一部材から構成される場合と比較して、上記空間の形成に伴う廃材の量を低減することができる。したがって、取付枠の歩留まりの向上を図ることができる。また、取付体をかしめにより接合されることにより、例えば、取付体をねじによる接合及び接着や圧入による接合と比較して、取付体の接合強度を向上させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、スイッチの取付枠において、当該取付枠は、複数の分割された取付体を組み合わせることにより構成されるとともに、前記取付体が互いに溶接により接合されることを要旨とする。
【0009】
この発明によれば、取付枠において、スイッチが配置される空間を複数の分割された取付体を組み合わせることにより構成するため、従来構造である取付枠を単一部材から構成される場合と比較して、上記空間の形成に伴う廃材の量を低減することができる。したがって、取付枠の歩留まりの向上を図ることができる。また、取付体を溶接により接合されることにより、例えば、取付体をねじによる接合及び接着や圧入による接合と比較して、取付体の接合強度を向上させることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、スイッチの取付枠において、当該取付枠は、複数の分割された取付体を組み合わせることにより構成され、前記各取付体は、他の取付体と互いに接合する複数の接合部をそれぞれ有するとともに、前記各取付体の前記複数の接合部の接合手段は同一であることを要旨とする。
【0011】
この発明によれば、取付枠において、スイッチが配置される空間を複数の分割された取付体を組み合わせることにより構成するため、従来構造である取付枠を単一部材から構成される場合と比較して、上記空間の形成に伴う廃材の量を低減することができる。したがって、取付枠の歩留まりの向上を図ることができる。また、複数の接合部の接合手段を同一とすることにより、接合作業を同一とすることができるため、接合作業を容易に行うことができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のスイッチの取付枠において、前記複数の取付体は、互いに接合する接合部をそれぞれ有し、前記接合部は、当該取付枠の奥行き方向において、互いに重ねられることを要旨とする。
【0013】
この発明によれば、取付枠の奥行き方向において、接合部が互いに重ねられることにより、接合部の接合作業の際、接合部の接合方向を一方向から行うことができる。したがって、接合部の接合方向を複数方向から行う場合と比較して、取付体の接合作業を容易に行うことができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のスイッチの取付枠において、前記複数の取付体は、互いに接合する接合部をそれぞれ有し、前記接合部は、当該取付枠の奥行き方向に対して直行する方向において、互いに重ねられることを要旨とする。
【0015】
この発明によれば、取付枠の奥行き方向に対して直行する方向において、接合部を互いに重ねられることにより、取付枠の奥行き方向において、接合部を互いに重ねた構造と比較して、取付体の撓みに対する接合部に加わる力を低減させることができる。したがって、取付体の接合の信頼性を向上させることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のスイッチの取付枠において、前記取付体は、前記スイッチが取り付けられる第1取付体と、スイッチボックスに取り付けられる第2取付体とを有することを要旨とする。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載のスイッチの取付枠において、前記取付体は、前記スイッチが取り付けられる第1取付体と、スイッチボックスに取り付けられる第2取付体とを有し、前記第1取付体と前記第2取付体とは、前記かしめが行われる接合部をそれぞれ有し、前記第1取付体及び前記第2取付体の前記接合部のうち、一方の接合部には、他方の接合部に向かい突出する突起部が設けられ、前記他方の接合部には、前記突起部を挿入する開口部が設けられ、前記かしめは、前記突起部が前記開口部に挿入された状態において、前記突起部の変形により維持されることを要旨とする。
【0018】
この発明によれば、一方の接合部に突起部を設けるとともに、他方の接合部に突起部を挿入する開口部を設ける構造であるため、かしめを行う際に、かしめのための部材、即ち、接合部同士を接合するのに用いる部材が不要となる。したがって、接合部同士を接合するのに用いる部材であるハトメやリベットを用いたかしめと比較して、部品点数を削減することができる。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のスイッチの取付枠において、前記第1取付体の前記接合部には、前記突起部が設けられ、前記第2取付体の前記接合部には、前記開口部が設けられ、前記第1取付体の前記接合部と前記第2取付体の前記接合部とは、当該取付枠の奥行き方向において、互いに重ね合わされるとともに、前記第2取付体の前記接合部が前記第1取付体の前記接合部よりも当該取付枠の表側に位置することを要旨とする。
【0020】
この発明によれば、第2取付体に突起部が設けられる構造と比較して、第1取付体に突起部が設けられることにより、接合部をかしめ後に、第2取付体をスイッチボックスに取り付ける際、第2取付体に撓みが生じた場合において、接合部に加わる力を低減することができる。したがって、第1取付体及び第2取付体の接合の信頼性を向上させることができる。
【0021】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載のスイッチの取付枠において、前記第1取付体の前記接合部には、前記開口部が設けられ、前記第2取付体の前記接合部には、前記突起部が設けられ、前記第1取付体の前記接合部と前記第2取付体の前記接合部とは、当該取付枠の奥行き方向において、互いに重ね合わされるとともに、前記第1取付体の前記接合部が前記第2取付体の前記接合部よりも当該取付枠の表側に位置することを要旨とする。
【0022】
請求項10に記載の発明は、請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載のスイッチの取付枠であって、かしめ後の前記突起部の表面は、前記他方の接合部の表面と同位置、もしくは、当該取付枠の奥行き方向において、前記他方の接合部の前記表面より裏側に配置されることを要旨とする。
【0023】
この発明によれば、突起部の表面が、他方の接合部の表面と同位置、もしくは、他方の接合部の表面より裏側に配置されることにより、ピアノハンドル等の他方の接合部の表面側に配置される部材との接触を抑制することができる。
【0024】
請求項11に記載の発明は、請求項7〜請求項10のいずれかに記載のスイッチの取付枠であって、前記開口部には、かしめ後の前記突起部の表面が収容される第1開口部と、前記第1開口部の内径より小さい内径を有する第2開口部と、前記第1開口部と前記第2開口部との間に設けられるとともに、内径が前記第2開口部から前記第1開口部に向かい拡径する拡径開口部とが設けられることを要旨とする。
【0025】
この発明によれば、第1開口部と第2開口部との間に拡径開口部が形成されることにより、取付枠の奥行き方向において、突起部と開口部との対向する面積を大きくすることができるため、接合部が互いに離れる方向に対する接合の強度を向上させることができる。
【0026】
請求項12に記載の発明は、電気機器のオンとオフとを切り換えるスイッチと、前記スイッチを保持する取付枠とを備えるスイッチ装置において、前記取付枠として、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載のスイッチの取付枠を備えることを要旨とする。
【0027】
請求項13に記載の発明は、スイッチの取付枠の製造方法において、当該取付枠は、複数の分割された取付体を備え、前記複数の取付体は、それぞれ互いに接合する複数の接合部を有し、前記複数の取付体を形成する工程と、前記複数の取付体を互いに接合し、当該取付枠を形成する工程とを備え、前記取付枠を形成する工程において、前記複数の接合部は、同一の接合方法によって接合されることを要旨とする。
【0028】
この発明によれば、取付枠において、スイッチが配置される空間を複数の分割された取付体を組み合わせることにより構成するため、従来構造である取付枠を単一部材から構成される場合と比較して、上記空間の形成に伴う廃材の量を低減することができる。したがって、取付枠の歩留まりの向上を図ることができる。また、取付体の複数の接合部を同一の接合手段によって接合することにより、複数の接合部を異なる接合方法にて接合する場合と比較して、取付枠を形成する工程を単純化できるため、容易に取付枠を製造することができる。したがって、取付枠のコストダウンを図ることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、歩留まりの向上を図ることのできる構造のスイッチの取付枠及びその製造方法、並びにこの取付枠を備えたスイッチ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(第1の実施形態)
図1〜図7を参照して、本発明にかかるスイッチの取付枠を電気機器のスイッチ装置を構成する取付枠として、具体的には、造営物に設置される照明のオンとオフとを切り換えるピアノハンドル式のスイッチ装置を構成する取付枠として具体化した第1の実施形態について説明する。
【0031】
図1に示すように、スイッチ装置Aには、押釦ハンドル11を備えるスイッチ本体1が設けられている。このスイッチ本体1には、押釦ハンドル11を覆うピアノハンドル3が取り付けられている。また、スイッチ本体1は、矩形状に形成された取付枠2に取り付けられている。即ち、取付枠2を構成する4つの辺に囲まれた矩形状の空間S1にスイッチ本体1の一部が配置された状態において、スイッチ本体1の一部が取付枠2に取り付けられている。また、取付枠2には、ピアノハンドル3を外囲する矩形状のプレート4が取り付けられている。
【0032】
スイッチ本体1は、内蔵した接点を押釦ハンドル11の操作に伴い反転させることにより、照明のオンとオフとを切り換えている。特に、スイッチ装置Aでは、ピアノハンドル3を介して、押釦ハンドル11の操作が行われている。
【0033】
プレート4は、ねじ7により取付枠2に固定されることにより、ピアノハンドル3を外囲するプレート枠5と、プレート枠5に取り付けられることにより、ピアノハンドル3を外囲する化粧プレート6とにより構成されている。プレート枠5において、プレート枠5を構成する4つの辺に囲まれた矩形状の空間S2にピアノハンドル3の一部が配置されている。また、化粧プレート6において、化粧プレート6を構成する4つの辺に囲まれた矩形状の空間S3にピアノハンドル3の一部が配置されている。化粧プレート6の空間S3の面積は、プレート枠5の空間S2の面積よりも小さく設定されている。これにより、ピアノハンドル3の外周縁と、この外周縁と対応する化粧プレート6の内周縁との間隙が十分に小さく設定されている。
【0034】
スイッチ装置Aにおいて、化粧プレート6により、プレート枠5の表側が覆われている。また、ピアノハンドル3により、スイッチ本体1が覆われている。これにより、造営材に埋設されたスイッチボックスSBに取付枠2が取り付けられた際、スイッチ装置Aの表側からは、化粧プレート6及びピアノハンドル3のみが視認されている。
【0035】
図2及び図3に示すように、取付枠2は、複数の分割された取付体を組み合わせることにより構成されている。即ち、スイッチ本体1が取り付けられる一対の第1取付体21と、一対の第1取付体21を互いに接合するとともに、スイッチボックスSB(図1参照)に取り付けられる一対の第2取付体22とから構成されている。
【0036】
以降では、第1取付体21に沿う方向を取付枠2の「長手方向」とし、また、第2取付体22に沿う方向を取付枠2の「短手方向」とし、長手方向及び短手方向に直行する方向を「奥行き方向」とする。
【0037】
一対の第1取付体21は、短手方向において、所定の距離を介して互いに平行に配置されている。また、第1取付体21には、長手方向に延設された保持部21aと、保持部21aから短手方向の内側に向かい延設された補強部21bとが設けられている。これら保持部21a及び補強部21bにより、第1取付体21において、長手方向に沿う断面の形状は、略L字状に形成されている。また、長手方向において、保持部21aには、スイッチ本体1を取り付ける貫通孔21cが所定の距離を介して複数設けられている。
【0038】
また、長手方向において、保持部21aの両端には、第2取付体22と接合する接合部21dがそれぞれ設けられている。これら接合部21dは、短手方向において、保持部21aよりも内側に延設されている。
【0039】
一対の第2取付体22は、長手方向において、所定の距離を介して互いに平行に配置されている。そして、第2取付体22のそれぞれには、長手方向において、第2取付体22の外側に設けられるとともに、プレート枠5(図1参照)が取付枠2に取り付けられる際、ねじ7(図1参照)が螺合するねじ穴22aと、ねじによって、取付枠2がスイッチボックスSBに取り付けられる際、ねじが挿入される貫通孔22bとが設けられている。ここで、貫通孔22bは、ねじ穴22aより長手方向の内側に設けられるとともに、短手方向が長軸となる長穴形状である。また、短手方向において、ねじ穴22aの両側には、スイッチボックスSBに対して取付枠2の位置を決定する位置決め部22cが設けられている。この位置決め部22cは、第2取付体22を奥行き方向に貫通する円形の貫通孔である。
【0040】
また、短手方向において、各第2取付体22の両端には、第1取付体21と接合する接合部22dがそれぞれ設けられている。これら接合部22dは、長手方向において、貫通孔22bと略同位置に配置される。また、短手方向において、接合部22dより内側には、屈曲部22eが設けられている。屈曲部22eは、短手方向の外側に向かい奥行き方向の表側に延設される。即ち、接合部22dの表面22f(図3参照)は、ねじ穴22aが設けられる部位22g以外の第2取付体22のその他の部位の表面22hよりも奥行き方向の表側に設けられている。
【0041】
各第2取付体22において、接合部22d及び貫通孔22bは、長手方向に沿って、一列に配置されている。また、長手方向において、貫通孔22bより内側の部位22nは、奥行き方向に対して凹凸のない平面にて構成されている。
【0042】
この取付枠2は、ねじが、各第2取付体22にそれぞれ設けられた貫通孔22bに挿入されるとともに、スイッチボックスSBの一対の突出部SB1に設けられた貫通孔SB2(図1参照)に螺合されることにより、スイッチボックスSBに取り付けられる。
【0043】
図4に示すように、奥行き方向において、第1取付体21の接合部21dは、第2取付体22の接合部22dよりも表側に配置されているとともに、各接合部21d,22dは、互いに重ねられている。即ち、接合部21dの裏面21eは、接合部22dの表面22fに接触している。
【0044】
第2取付体22の接合部22dのそれぞれには、奥行き方向において、接合部22dの表面22fから表側に向かい突出する突起部22jが設けられている。突起部22jは、長手方向において、所定の距離を介して2つ設けられている。
【0045】
第1取付体21の接合部21dにおいて、第2取付体22の突起部22jと対向する位置には、開口部21fがそれぞれ設けられている。開口部21fは、長手方向において、所定の距離を介して2つ設けられるとともに、接合部21dを奥行き方向に貫通する貫通孔である。
【0046】
第1取付体21の接合部21dと第2取付体22の接合部22dとが互いに重なる際、接合部22dの突起部22jが接合部21dの開口部21fに挿入される。そして、突起部22jを開口部21fに挿入された状態において、突起部22jを押圧することにより、突起部22jが変形して各接合部21d,22dが互いに接合される、即ち、各接合部21d,22dにかしめが行われる。また、取付枠2では、第1取付体21の接合部21dと第2取付体22の接合部22dとの接合構造が4つ設けられるが、これら接合構造は、同一の手段及び構造である。
【0047】
図4に示すように、第1取付体21の接合部21dの開口部21fには、突起部22jの変形部位22k(図4(b)参照)が収容される第1開口部21gと、奥行き方向において、第1開口部21gより裏側に形成されるとともに、第1開口部21gの内径D1より小さい内径D2を有する第2開口部21hとが設けられている。また、第1開口部21gと第2開口部21hとの間には、第1開口部21gに向かい拡径する、即ち、奥行き方向において、表側に向かい拡径する拡径開口部21jが設けられている。また、図4(a)に示すように、第2開口部21hの内径D2は、第2取付体22の接合部22dの突起部22jの外径D3と略同一となるように形成される。
【0048】
図4(b)に示すように、突起部22jが変形した状態において、突起部22j(変形部位22k)と拡径開口部21jとは互いに接触する。また、変形部位22kと、第1開口部21gを構成する内周面と第2開口部21hを構成する内周面とを連結する連結面とは互いに接触する。
【0049】
また、奥行き方向において、突起部22jの変形部位22kの表面22mは、第1取付体21の接合部21dの表面21pよりも裏側となるように配置される。なお、スイッチ本体1(図1参照)に取り付けられたピアノハンドル3(図1参照)の裏面、即ち、ピアノハンドル3の奥行き方向の裏側の面は、第1取付体21の接合部21dの表面21pと近接して配置されている。
【0050】
次に、図1及び図5を参照して、スイッチ装置Aの製造方法について説明する。
まず、ステップS1において、取付枠2を作製する。具体的には、一対の第1取付体21及び一対の第2取付体22を形成した後、一対の第1取付体21及び一対の第2取付体22を互いにかしめにより接合することによって、取付枠2を作製する。ここで、ステップS1の取付枠2を作製した状態において、スイッチ本体1は取り付けられていない状態である。
【0051】
次に、ステップS2において、取付枠2にスイッチ本体1を取り付ける。具体的には、スイッチ本体1の筐体12の短手方向の側面に設けられた爪部と第1取付体21の保持部21aの貫通孔21cとを係合する。
【0052】
次に、ステップS3において、スイッチ本体1が取り付けられた状態の取付枠2をスイッチボックスSBに取り付ける。具体的には、第2取付体22の位置決め部22cをスイッチボックスSBに対する取付枠2の位置決めとしてスイッチボックスSBに取付枠2を配置する。そして、ねじを取付枠2の第2取付体22の貫通孔22bに挿入するとともに、スイッチボックスSBの突出部SB1の貫通孔SB2に螺合する。
【0053】
次に、ステップS4において、ピアノハンドル3及びプレート枠5をスイッチ本体1及び取付枠2にそれぞれ取り付ける。具体的には、ピアノハンドル3に設けられた爪部31をスイッチ本体1に設けられた開口部に挿入する。そして、ねじ7を第2取付体22のねじ穴aに螺合することにより、プレート枠5を取付枠2に取り付ける。最後に、ステップS5において、化粧プレート6をプレート枠5に取り付ける。以上により、スイッチ装置Aは、組み立てられる。
【0054】
次に、図4、図6、及び図7を参照して、取付枠2の作製について説明する。
まず、ステップS11において、平板状の鋼板から第1取付体21及び第2取付体22をプレス加工により形成する。具体的には、図7に示すように、第1鋼板P1から第1取付体21をプレス加工により形成し、第2鋼板P2から第2取付体22をプレス加工により形成する。ここで、第1取付体21及び第2取付体22は、プレス機によって、打ち抜き及び曲げ加工を複数の工程に分けて行われる。即ち、上述した第1取付体21及び第2取付体22の形状は、プレス加工によって形成される。
【0055】
次に、ステップS12において、第1取付体21及び第2取付体22を接合することにより、取付枠2を形成する。具体的には、第1取付体21の2つの接合部21d及び第2取付体22の2つの接合部22dをそれぞれかしめにより接合する。即ち、4つの接合部21d,22dの接合構造をそれぞれ同一の接合手段により接合する。より詳細には、接合部22dの突起部22jを接合部21dの開口部21fに挿入した状態において、プレス機に備えられたかしめピンによって、突起部22jを押圧する。そして、図5に示すように、突起部22jに形成された変形部位22kと開口部21fの第1開口部21g及び拡径開口部21jとが接合されることにより、かしめが行われる。なお、本実施形態では、かしめピンによって、全ての突起部22jを同時に押圧する。また、第1取付体21と第2取付体22とのかしめを行う際、第2取付体22の位置決め部22cをかしめピンに対する位置基準とする。より詳細には、第2取付体22の位置決め部22cに基づいて、第2取付体22の突起部22jに第1取付体21の開口部21fを挿入する。そして、第2取付体22の位置決め部22cに基づいて、かしめピンと各突起部22jとの位置合わせを行う。以上により、取付枠2が作製される。
【0056】
本実施形態のスイッチ装置の取付枠2によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態の取付枠2では、取付枠2が、複数の分割された取付体である第1取付体21及び第2取付体22から構成されるとともに、第1取付体21及び第2取付体22は、かしめによって接合される構成とする。この構成によれば、図9に示す取付枠100を単一部材にて構成した場合と比較して、取付枠の歩留まりを大幅に向上することができる。即ち、取付枠100を単一部材にて構成した場合、取付枠100の空間SRを形成するため、空間SRに相当する部分の材料は廃材となってしまう。一方、取付枠2では、第1取付体21及び第2取付体22を接合することにより、取付枠2の空間S1を形成するため、第1取付体21及び第2取付体22を形成する際に、空間S1を形成しないため、空間S1に相当する部分には、材料(鋼板)が使用されず、廃材とならない。したがって、図13に示す取付枠100を単一構造にて構成した場合と比較して、取付枠2では、取付枠2を形成するための廃材の量を低減することができるため、取付枠の歩留まりを大幅に向上することができる。
【0057】
(2)また、第1取付体21の接合部21d及び第2取付体22の接合部22dをかしめによって接合するため、接合部21d,22dをねじによる接合及び圧入並びに接着による接合と比較して、第1取付体21及び第2取付体22の接合強度を向上させることができる。また、接合部21d,22dを溶接により接合した場合と比較して、接合部21d,22dのような接合する部分が小さい場合の接合では、かしめの方が接合強度を高くすることができる。
【0058】
(3)本実施形態の取付枠2では、第1取付体21の2つの接合部21d及び第2取付体22の2つの接合部22dの接合手段がそれぞれ同一である構成とする。この構成によれば、取付枠2では、接合部21d,22dが接合する接合構造が4つ設けられるが、これら4つの接合構造の接合手段が同一であることにより、第1取付体21及び第2取付体22の接合作業を同一にすることができる。したがって、第1取付体21及び第2取付体22の接合作業を容易に行うことができる。
【0059】
(4)特に、本実施形態の取付枠2では、4つの接合構造の接合手段がかしめにより行われるため、例えば、かしめによる接合とねじによる接合とを併用した場合等の接合手段を異ならせた場合と比較して、第1取付体21及び第2取付体22の接合作業を容易に行うことができる。
【0060】
(5)本実施形態の取付枠2では、第2取付体22に突起部22jが設けられるとともに、第1取付体21に開口部21fが設けられる構成とする。この構成によれば、突起部22jを開口部21fに挿入した状態において、突起部22jを押圧することにより変形部位22kを形成してかしめを行うため、かしめの際、かしめのための部材、即ち、接合部同士を接合するのに用いる部材が不要となる。したがって、接合部同士を接合するのに用いる部材であるハトメやリベットを用いたかしめと比較して、部品点数を削減することができる。
【0061】
(6)本実施形態の取付枠2では、奥行き方向において、第1取付体21の接合部21dが第2取付体22の接合部22dより表側に配置されるとともに、接合部21d,22dは、奥行き方向において、互いに重ねられる構成とする。この構成によれば、奥行き方向において、接合部21d,22dが互いに重ねられる構成であるため、接合方向を一方向にて行うことができる。したがって、第1取付体21及び第2取付体22の接合作業を容易に行うことができる。
【0062】
(7)本実施形態の取付枠2では、第1取付体21及び第2取付体22の接合を全てかしめにより行うため、例えば、プレス機によって、4つの接合構造を同時に行うことができる。即ち、4つの接合構造に設けられた8つの突起部22jを同時に変形させることができる。したがって、第1取付体21及び第2取付体22の各接合構造を個別に接合しなければならない接合手段である、ねじ、接着及び溶接による接合と比較して、第1取付体21及び第2取付体22の接合作業の容易化を図るとともに、接合作業の時間の短縮を達成することができる。なお、4つの接合構造のうち、2つの接合構造を同時にかしめを行った場合においても、ねじ、接着及び溶接による接合と比較して、第1取付体21及び第2取付体22の接合作業の容易化を図るとともに、接合作業の時間の短縮を達成することができる。
【0063】
(8)本実施形態の取付枠2では、奥行き方向において、第2取付体22の接合部22dの突起部22jの変形部位22kの表面22mは、第1取付体21の表面21pよりも裏側に配置される構成とする。この構成によれば、第1取付体21の表面21pに対して近接して配置されるピアノハンドル3と突起部22jとの接触を抑制することができる。ここで、ピアノハンドルと突起部とが接触した場合、ピアノハンドルがスイッチ本体の押釦ハンドルに対して離れてしまう。その結果、ピアノハンドルの押圧が、押釦ハンドルに伝達されにくい場合があった。一方、本実施形態の取付枠2では、突起部22jとピアノハンドル3との接触が抑制されることにより、奥行き方向において、スイッチ本体1に対してピアノハンドル3の位置を高精度に決めることができるため、ピアノハンドル3が押釦ハンドル11を確実に押圧することができる。
【0064】
(9)本実施形態の取付枠2では、第1取付体21の開口部21fの第2開口部21hには、第1開口部21gに向かい拡径する拡径開口部21jが設けられる構成とする。この構成によれば、第2開口部に拡径開口部が設けられない場合と比較して、突起部22jと開口部21fを構成する内周面との奥行き方向において対向する面積が大きくなることにより、接合部21d,22dが互いに離れる方向に対する強度を向上させることができる。
【0065】
(10)本実施形態の取付枠2では、長手方向において、第2取付体22の貫通孔22bより内側の部位22nが平面にて構成される。この構成によれば、取付枠2をスイッチボックスSBに取り付ける際、即ち、第2取付体22の貫通孔22bにねじが挿入される際、第2取付体22の中央部、即ち、短手方向において、第2取付体22の内側を奥行き方向の裏側に向かい変形する量を大きくすることができる。したがって、第2取付体22の中央部の変形量を大きくすることにより、第2取付体22の撓みに起因する第1取付体21の接合部21d及び第2取付体22の接合部22dに加わる力を低減することができる。したがって、第1取付体21及び第2取付体22の接合の信頼性を向上させることができる。
【0066】
(11)本実施形態の取付枠2では、かしめを行う際、第2取付体22のスイッチボックスSBを取り付ける際の位置決め部22cを、突起部22jを開口部21fに挿入する基準及びかしめピンに対する基準とする構成とする。この構成によれば、スイッチボックスSBを取り付ける際の位置決め部22cを用いることにより、別個、突起部22jを開口部21fに挿入する基準及びかしめピンに対する基準を設けることが不要となる。したがって、第2取付体22の形状を単純化することができる。また、かしめを行う際、第2取付体22を位置決め部22cによって位置決めするため、突起部22jとかしめピンとの位置精度を向上させることができる。したがって、第1取付体21と第2取付体22とのかしめの精度を向上させるとともに、取付枠2のコストダウンを図ることができる。
【0067】
(第2の実施形態)
図8及び図9を参照して、本発明にかかるスイッチの取付枠を電気機器のスイッチ装置を構成する取付枠として、具体的には、造営物に設置される照明のオンとオフとを切り換えるピアノハンドル式のスイッチ装置を構成する取付枠として具体化した具体化した第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態のスイッチ装置と第1の実施形態のスイッチ装置とでは、取付枠の第1取付体と第2取付体との接合構造が異なるのみであるため、第1取付体と第2取付体との接合構造のみを説明する。また、同一構成要素には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0068】
図8に示すように、第1取付体21には、長手方向に延設された保持部21aと、保持部21aから短手方向の内側に向かい延設された補強部21bとが設けられている。これにより、第1取付体21において、長手方向に沿う断面は、略L字形状に形成されている。また、長手方向において、保持部21aには、スイッチ本体1を取り付ける貫通孔21cが所定の距離を介して複数設けられている。
【0069】
また、長手方向において、保持部21aの補強部21bより外側には、即ち、長手方向において、保持部21aの両端には、第2取付体22と接合する接合部21d1(図9参照)がそれぞれ設けられている。接合部21d1には、長手方向において、所定の距離を介して、開口部21fが設けられている。ここで、開口部21fの形状は、第1の実施形態の取付枠2と同様であるため、その説明を省略する。
【0070】
第2取付体22には、長手方向において、第2取付体22の外側に設けられるとともに、プレート枠5(図1参照)を取付枠2に取り付ける際、ねじ7(図1参照)が螺合されるねじ穴22aと、取付枠2をスイッチボックスSBに取り付ける際、ねじが挿入される貫通孔22bとが設けられている。ここで、貫通孔22bは、ねじ穴22aより長手方向の内側に設けられるとともに、短手方向が長軸となる楕円形状である。また、短手方向において、ねじ穴22aの両側には、スイッチボックスSBに対して取付枠2の位置を決定する位置決め部22cが設けられている。また、位置決め部22cは、第2取付体22を奥行き方向に貫通する円形の貫通孔である。
【0071】
また、短手方向において、第2取付体22の両端には、第1取付体21と接合する接合部22d1がそれぞれ設けられている。これら接合部22d1は、長手方向において、貫通孔22bと略同位置に配置されるとともに、短手方向において、第1取付体21の接合部21d1と対向する。また、短手方向において、接合部22d1より内側には、断面U字形状の屈曲部22eが設けられている。即ち、第2取付体22の接合部22d1は、屈曲部22eから奥行き方向に沿って延設される。
【0072】
ここで、第1取付体21の接合部21d1と第2取付体22の接合部22d1とは、奥行き方向に対して直交する方向、即ち、短手方向において、互いに重ねられる構成となる。そして、接合部21d1,22d1が互いに重ねられた状態において、かしめが行われる。より詳細には、接合部21d1に設けられた開口部21fに接合部22d1に設けられた突起部22jを挿入した状態において、例えば、プレス機により突起部22jを押圧して変形部位22kを形成する。
【0073】
本実施形態のスイッチ装置の取付枠によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(5)及び(8)〜(11)に加え、以下の効果を奏することができる。
(12)本実施形態の取付枠2では、第1取付体21の接合部21d1と第2取付体22の接合部22d1とは、奥行き方向に対して直交する方向において、互いに重ねられる構成とする。この構成によれば、奥行き方向において、第1取付体の接合部と第2取付体の接合部とを重ねた構成と比較して、第2取付体22をスイッチボックスSBにねじによって取り付けることによって発生する第2取付体22の撓みに起因する第1取付体21の撓みに対する接合部21d1,22d1の接合の信頼性を向上させることができる。即ち、奥行き方向において、第1取付体の接合部と第2取付体の接合部とを重ねた構成における第1取付体の奥行き方向の裏側への撓みによって接合部の突起部に加わる引張力(即ち、第1取付体の接合部と第2取付体の接合部とを引き離そうとする力)と比較して、本実施形態の接合部21d1,22d1の構造における第1取付体21の奥行き方向の裏側への撓みによって接合部21d1,22d1の突起部22jに加わる引張力を低減することができる。したがって、第1取付体の接合部と第2取付体の接合部とを重ねた構成における第1取付体の奥行き方向の裏側への撓みによって接合部に加わる力と比較して、本実施形態の接合部21d1,22d1の構造における第1取付体21の奥行き方向の裏側への撓みによって接合部21d1,22d1に加わる力が小さくなるため、接合部21d1,22d1の信頼性を向上させることができる。
【0074】
(13)また、奥行き方向において、接合部21d1,22d1が、第1取付体21の表面21pより裏側に配置されることにより、第1取付体21の表面21pに対して近接して配置されるピアノハンドル3と接合部21d1,22d1(特に突起部22j)との接触を抑制することができる。したがって、スイッチ本体1に対してピアノハンドル3の位置を高精度に決めることができるため、ピアノハンドル3が押釦ハンドル11を確実に押圧することができる。
【0075】
(第3の実施形態)
図10及び図11を参照して、本発明にかかるスイッチの取付枠を電気機器のスイッチ装置を構成する取付枠として、具体的には、造営物に設置される照明のオンとオフとを切り換えるピアノハンドル式のスイッチ装置を構成する取付枠として具体化した具体化した第3の実施形態について説明する。なお、本実施形態のスイッチ装置と第2の実施形態のスイッチ装置とでは、取付枠の第1取付体と第2取付体との接合構造が異なるのみであるため、第1取付体と第2取付体との接合構造のみを説明する。また、同一構成要素には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0076】
図10及び図11に示すように、第1取付体21には、長手方向に延設された保持部21aと、保持部21aから短手方向の内側に向かい延設された補強部21bとが設けられている。これにより、第1取付体21において、長手方向に沿う断面は、略L字形状に形成されている。また、長手方向において、保持部21aには、スイッチ本体1を取り付ける貫通孔21cが所定の距離を介して複数設けられている。
【0077】
また、長手方向において、保持部21aの補強部21bより外側には、即ち、長手方向において、保持部21aの両端には、第2取付体22と接合する接合部21d2がそれぞれ設けられている。接合部21d2には、長手方向において、所定の距離を介して、突起部22j1が設けられている。ここで、突起部22j1の形状は、第1の実施形態の取付枠2の第2取付体22の突起部22jと同様であるため、その説明を省略する。
【0078】
第2取付体22には、長手方向において、第2取付体22の外側に設けられるとともに、プレート枠5(図1参照)を取付枠2に取り付ける際、ねじ7(図1参照)が螺合されるねじ穴22aと、取付枠2をスイッチボックスSBに取り付ける際、ねじが挿入される貫通孔22bとが設けられている。ここで、貫通孔22bは、ねじ穴22aより長手方向の内側に設けられるとともに、短手方向が長軸となる楕円形状である。また、短手方向において、ねじ穴22aの両側には、スイッチボックスSBに対して取付枠2の位置を決定する位置決め部22cが設けられている。また、位置決め部22cは、第2取付体22を奥行き方向に貫通する円形の貫通孔である。
【0079】
また、短手方向において、第2取付体22の両端には、第1取付体21と接合する接合部22d2がそれぞれ設けられている。これら接合部22d2は、長手方向において、貫通孔22bと略同位置に配置されるとともに、短手方向において、第1取付体21の接合部21d2と対向する。接合部22d2には、接合部21d1の突起部22j1と対向する位置において、それぞれ開口部21f1が設けられている。また、短手方向において、接合部22d2より内側には、屈曲部22eが設けられている。
【0080】
ここで、取付枠2は、奥行き方向において、第2取付体22の接合部22d2の裏側に第1取付体21の接合部21d2が配置されることにより互いに重ねられる構成となる。そして、接合部21d2,22d2が互いに重ねられた状態において、かしめを行うことにより第1取付体21及び第2取付体22は互いに接合される。より詳細には、接合部22d2に設けられた開口部21f1に接合部21d2に設けられた突起部22j1を挿入した状態において、例えば、プレス機により突起部22j1を押圧して変形部位を形成する。
【0081】
本実施形態のスイッチ装置の取付枠によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(4)及び(7)〜(10)に加え、以下の効果を奏することができる。
(14)本実施形態の取付枠2では、奥行き方向に互いに重ねられる第1取付体21の接合部21d2と第2取付体22の接合部22d2において、接合部22d2より裏側に配置されている接合部21d2には、突起部22j1が設けられ、接合部22d2に開口部21f1が設けられる構成とする。この構成によれば、第1取付体21を第2取付体22にて受けるため、即ち、第1取付体21の接合部21d2の裏面、即ち、奥行き方向において、接合部21d2の裏側の面と、第2取付体22の接合部22d2の表面、即ち、奥行き方向において、接合部22d2の表側の面とが接触するため、第1取付体21をスイッチボックスSBにねじによって取り付ける際の第1取付体21の撓みを第2取付体22の接合部22d2により抑制することとなる。したがって、第1取付体21の撓みに起因して接合部21d2,22d2に加わる力を低減することができる。その結果、第1取付体21及び第2取付体22の接合の信頼性を向上させることができる。
【0082】
(15)また、突起部22j1を開口部21f1に挿入した状態において、突起部22j1を押圧することにより変形部位22kを形成してかしめを行うため、かしめの際、かしめのための部材、即ち、接合部同士を接合するのに用いる部材が不要となる。したがって、接合部同士を接合するのに用いる部材であるハトメやリベットを用いたかしめと比較して、部品点数を削減することができる。
【0083】
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は、上記各実施形態にて例示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下のように変更することもできる。
【0084】
・第1の実施形態〜第3の実施形態において、取付枠2の第1取付体21及び第2取付体22には、開口部21f,21f1に、第1開口部21g及び第2開口部21hが設けられたが、本発明は、これに限定されることはない。突起部22j,22j1及び開口部21f,21f1がかしめを行うことができる形状であればよいため、例えば、開口部21f,21f1は、第2開口部21hのみから構成されてもよい。この場合、突起部22j,22j1が押圧されることにより、突起部22j,22j1は、第2開口部21hを押圧するように変形するとともに、第2開口部21hに接合される。
【0085】
・第1の実施形態〜第3の実施形態において、取付枠2の第1取付体21及び第2取付体22には、突起部22j,22j1に表面が形成されたが、本発明は、これに限定されることない。突起部22j,22j1の形状は、開口部21f,21f1に対してかしめが行うことができる形状であればよいため、例えば、突起部は、中空の円筒形状、即ち、貫通孔が設けられた円筒形状であってもよい。
【0086】
・第1の実施形態及び第3の実施形態において、奥行き方向において、かしめが行われた後の突起部22j,22j1は、接合部21d,22d2の表面より裏側に配置されていたが、本発明はこれに限定されることはない。例えば、突起部22j,22j1と接合部21d,22d2の表面とは略同一であってもよい。
【0087】
・第1の実施形態〜第3の実施形態において、1つの接合構造において、突起部22j,22j1を2つ設け、開口部21f,21f1を2つ設けたが、本発明は、これに限定されることはない。例えば、突起部22j,22j1及び開口部21f,21f1の個数は、1つでも、3個以上であってもよい。
【0088】
・第1の実施形態〜第3の実施形態において、スイッチ装置Aは、スイッチ本体1及びピアノハンドル3がそれぞれ1個であったが、本発明は、これに限定されることはない。例えば、スイッチ本体1及びピアノハンドル3が、2個及び3個であってもよい。
【0089】
・第1の実施形態〜第3の実施形態において、取付枠2は、一つの空間S1が形成されたが、本発明は、これに限定されることはない。例えば、取付枠に複数の空間が形成されてもよい。即ち、取付枠の第1取付体及び第2取付体の他に、複数の空間を形成するための部材が配置される構造であっても本発明の技術的思想を適用することができる。
【0090】
・本発明のスイッチ装置Aの第1の実施形態〜第3の実施形態において、取付枠2の第1取付体21及び第2取付体22は、かしめにより接合されたが、本発明は、これに限定されることなく、例えば、第1取付体及び第2取付体は、溶接により接合されてもよい。第1取付体及び第2取付体を溶接により接合することにより、第1取付体の接合部及び第2取付体の接合部に、突起部及び開口部を設けることが不要となるため、第1取付体及び第2取付体の形状を簡素化することができる。したがって、第1取付体及び第2取付体の形成を容易とするとともに、第1取付体及び第2取付体の製造コストを低減することができる。
【0091】
・第1の実施形態〜第3の実施形態において、取付枠2に保持されるスイッチは、照明等の電気機器をオン及びオフを行うスイッチであったが、本発明は、これに限定されることはない。例えば、スイッチは、光学式のセンサも含む。
【0092】
・第1の実施形態〜第3の実施形態において、取付枠2は、一対の第1取付体21及び一対の第2取付体22との4個の分割された取付体によって構成されたが、本発明は、これに限定されることはない。取付枠2が、複数の取付体にて構成されるとともに、取付枠を単一部材にて構成された場合と比較して、取付枠の歩留まりが向上する構成であればよいため、例えば、取付枠を1つの第1取付体と1つの第2取付体とが単一部材となる構成、即ち、2つの取付体にて構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明のスイッチの取付枠を具体化した第1の実施形態について、同取付枠を一構成要素として備えるスイッチ装置の分解斜視構造を示す斜視図。
【図2】同実施形態のスイッチの取付枠について、同取付枠の斜視構造を示す斜視図。
【図3】同実施形態のスイッチの取付枠について、同取付枠の分解斜視構造を示す斜視図。
【図4】(a)同実施形態のスイッチの取付枠の接合部について、接合部にかしめが行われる前の状態の断面構造を示す断面図。(b)同実施形態のスイッチの取付枠の接合部について、かしめが行われた後の状態の断面構造を示す断面図。
【図5】同実施形態のスイッチの取付枠の製造過程を示すフローチャート。
【図6】同実施形態のスイッチの取付枠の製造過程を示すフローチャート。
【図7】(a)同実施形態のスイッチの取付枠について、第1取付体と鋼板との関係を示す平面図。(b)同実施形態のスイッチの取付枠について、第2取付体と鋼板との関係を示す平面図。
【図8】本発明のスイッチの取付枠を具体化した第2の実施形態について、同取付枠の斜視構造を示す斜視図。
【図9】同実施形態のスイッチの取付枠について、同取付枠の分解斜視構造を示す斜視図。
【図10】本発明のスイッチの取付枠を具体化した第3の実施形態について、同取付枠の斜視構造を示す斜視図。
【図11】同実施形態のスイッチの取付枠について、同取付枠の分解斜視構造を示す斜視図。
【図12】従来のスイッチ装置の取付枠について、同取付枠の斜視構造を示す斜視図。
【図13】従来のスイッチ装置の取付枠について、同取付枠と鋼板との関係を示す平面図。
【符号の説明】
【0094】
A…スイッチ装置、P1,P2…鋼板、SB…スイッチボックス、SB1…突出部、SB2…貫通孔、1…スイッチ本体、2…取付枠、3…ピアノハンドル、4…プレート、5…プレート枠、6…化粧プレート、7…ねじ、11…押釦ハンドル、12…筐体、21…第1取付体、21a…保持部、21b…補強部、21c…貫通孔、21d,21d1,21d2…接合部、21e…裏面、21f,21f1…開口部、21g…第1開口部、21h…第2開口部、21j…拡径開口部、21p…表面、22…第2取付体、22a…ねじ穴、22b…貫通孔、22c…位置決め部、22d,22d1,22d2…接合部、22e…屈曲部、22f…表面、22g…部位、22h…表面、22j,22j1…突起部、22k…変形部位、22m…表面、22n…部位、31…爪部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチの取付枠において、
当該取付枠は、複数の分割された取付体を組み合わせることにより構成されるとともに、前記取付体が互いにかしめにより接合されること
を特徴とするスイッチの取付枠。
【請求項2】
スイッチの取付枠において、
当該取付枠は、複数の分割された取付体を組み合わせることにより構成されるとともに、前記取付体が互いに溶接により接合されること
を特徴とするスイッチの取付枠。
【請求項3】
スイッチの取付枠において、
当該取付枠は、複数の分割された取付体を組み合わせることにより構成され、
前記各取付体は、他の取付体と互いに接合する複数の接合部をそれぞれ有するとともに、前記各取付体の前記複数の接合部の接合手段は同一であること
を特徴とするスイッチの取付枠。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のスイッチの取付枠において、
前記複数の取付体は、互いに接合する接合部をそれぞれ有し、
前記接合部は、当該取付枠の奥行き方向において、互いに重ねられること
を特徴とするスイッチの取付枠。
【請求項5】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のスイッチの取付枠において、
前記複数の取付体は、互いに接合する接合部をそれぞれ有し、
前記接合部は、当該取付枠の奥行き方向に対して直行する方向において、互いに重ねられること
を特徴とするスイッチの取付枠。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のスイッチの取付枠において、
前記取付体は、前記スイッチが取り付けられる第1取付体と、スイッチボックスに取り付けられる第2取付体とを有すること
を特徴とするスイッチの取付枠。
【請求項7】
請求項1に記載のスイッチの取付枠において、
前記取付体は、前記スイッチが取り付けられる第1取付体と、スイッチボックスに取り付けられる第2取付体とを有し、
前記第1取付体と前記第2取付体とは、前記かしめが行われる接合部をそれぞれ有し、
前記第1取付体及び前記第2取付体の前記接合部のうち、一方の接合部には、他方の接合部に向かい突出する突起部が設けられ、前記他方の接合部には、前記突起部を挿入する開口部が設けられ、
前記かしめは、前記突起部が前記開口部に挿入された状態において、前記突起部の変形により維持されること
を特徴とするスイッチの取付枠。
【請求項8】
請求項7に記載のスイッチの取付枠において、
前記第1取付体の前記接合部には、前記突起部が設けられ、前記第2取付体の前記接合部には、前記開口部が設けられ、
前記第1取付体の前記接合部と前記第2取付体の前記接合部とは、当該取付枠の奥行き方向において、互いに重ね合わされるとともに、前記第2取付体の前記接合部が前記第1取付体の前記接合部よりも当該取付枠の表側に位置すること
を特徴とするスイッチの取付枠。
【請求項9】
請求項7に記載のスイッチの取付枠において、
前記第1取付体の前記接合部には、前記開口部が設けられ、前記第2取付体の前記接合部には、前記突起部が設けられ、
前記第1取付体の前記接合部と前記第2取付体の前記接合部とは、当該取付枠の奥行き方向において、互いに重ね合わされるとともに、前記第1取付体の前記接合部が前記第2取付体の前記接合部よりも当該取付枠の表側に位置すること
を特徴とするスイッチの取付枠。
【請求項10】
請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載のスイッチの取付枠であって、
かしめ後の前記突起部の表面は、前記他方の接合部の表面と同位置、もしくは、当該取付枠の奥行き方向において、前記他方の接合部の前記表面より裏側に配置されること
を特徴とするスイッチの取付枠。
【請求項11】
請求項7〜請求項10のいずれかに記載のスイッチの取付枠であって、
前記開口部には、かしめ後の前記突起部の表面が収容される第1開口部と、前記第1開口部の内径より小さい内径を有する第2開口部と、前記第1開口部と前記第2開口部との間に設けられるとともに、内径が前記第2開口部から前記第1開口部に向かい拡径する拡径開口部とが設けられること
を特徴とするスイッチの取付枠。
【請求項12】
電気機器のオンとオフとを切り換えるスイッチと、前記スイッチを保持する取付枠とを備えるスイッチ装置において、
前記取付枠として、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載のスイッチの取付枠を備えること
を特徴とするスイッチ装置。
【請求項13】
スイッチの取付枠の製造方法において、
当該取付枠は、複数の分割された取付体を備え、
前記複数の取付体は、それぞれ互いに接合する複数の接合部を有し、
前記複数の取付体を形成する工程と、
前記複数の取付体を互いに接合し、当該取付枠を形成する工程と
を備え、
前記取付枠を形成する工程において、前記複数の接合部は、同一の接合方法によって接合されること
を特徴とするスイッチの取付枠の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−50065(P2010−50065A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215938(P2008−215938)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】