説明

スイッチの照明構造

【課題】スイッチノブと導光部材との位置ズレが起こりにくく、スイッチノブのがたつきを少なくすることができるスイッチの照明構造を提供する。
【解決手段】マップランプ装置1において、インナーハウジング5に固定された導光棒4にスイッチノブ30、31をスライド自在に保持するガイド部43が設けられ、スイッチノブ30、31にガイド部43が挿入されるガイド受け部34が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチノブの視認性を高めるために背面から照明されるスイッチの照明構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両の車内において、マップランプなどの照明や空調機器およびカーオーディオなどの操作用に照明付きのスイッチが用いられている。この種のスイッチは、光源がスイッチノブの裏側から照明して、夜間などにスイッチノブを発光させることができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、スイッチノブの中央に押圧バーを設け、発光ダイオードの光を押圧バーを介してスイッチノブを照明するように構成した操作スイッチが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、光源の数を減少させるために光源からの光を照明部に導く導光体(導光部材)を配置した車両用室内照明装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−192407号公報
【特許文献2】特開2009−143409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された操作スイッチは、操作スイッチごとに光源が必要となってしまいコストがかかってしまうという問題があった。
【0007】
特許文献2に記載された車両用室内照明装置は、導光体によって光源の数を減少させることができるが、このような導光体を特許文献1に記載された操作スイッチに単に適用しただけでは、スイッチノブと導光体との間の位置ズレが起こり易くなり、照明ムラやスイッチノブのがたつきなどの問題が発生してしまう。
【0008】
そこで、本発明は、スイッチノブと導光部材との位置ズレが起こりにくく、スイッチノブのがたつきを少なくすることができるスイッチの照明構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、ハウジングと、前記ハウジングに取り付けられた光源と、前記光源の前面に設けられるとともに前記光源からの光によって照明されるスイッチノブと、前記ハウジングに固定され前記光源からの光を前記スイッチノブ背面に導く導光部材と、を備えたスイッチの照明構造において、前記導光部材に、前記スイッチノブがスライドする方向にガイドするガイド部が設けられているとともに、前記スイッチノブに前記ガイド部が挿入されるガイド受け部が設けられていることを特徴とするスイッチの照明構造である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ガイド部に、前記スイッチノブの背面に向かって光を出射する出射部が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、ハウジングに固定された導光部材にガイド部が設けられ、スイッチノブにガイド受け部が設けられているので、スイッチノブが導光部材にスライド自在に保持されるためにスイッチノブと導光部材との位置ズレが起こりにくくなり、また、光源からの光をスイッチノブへ均等に当てることができる。さらに、スイッチノブのがたつきを少なくすることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、ガイド部に、スイッチノブの背面に向かって光を出射する出射部が設けられているので、ガイド部と出射部とを兼ねることができ、導光部材の構成を単純にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態にかかるスイッチの照明構造を備えたマップランプ装置の分解斜視図である。
【図2】図1に示されたマップランプ装置の正面図とA−A線に沿う断面図である。
【図3】図2のB部分の拡大図である。
【図4】図1に示されたスイッチノブと導光棒との関係を示す斜視図である。
【図5】図1に示されたインナーハウジングに、導光棒とスイッチ照明用光源を組み付けた状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の他の実施形態にかかるスイッチの照明構造の拡大断面図である。
【図7】図7に示された導光棒とスイッチノブの構成を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の一実施形態を図1ないし図5を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかるスイッチの照明構造を備えたマップランプ装置の分解斜視図である。図2は、図1に示されたマップランプ装置の正面図とA−A線に沿う断面図である。図3は、図2のB部分の拡大図である。図4は、図1に示されたスイッチノブと導光棒との関係を示す斜視図である。図5は、図1に示されたインナーハウジングに、導光棒とスイッチ照明用光源を組み付けた状態を示す斜視図である。
【0015】
本発明の一実施形態にかかるスイッチの照明構造を備えたマップランプ装置1は図1に示したように、意匠部2と、スイッチノブ30、31と、導光棒4と、インナーハウジング5と、スイッチ照明用光源6と、スイッチ70、71と、を備えている。
【0016】
意匠部2は、図1や図2などに示すように、板状に形成され、マップランプ装置1が、例えば車両の車室内に設置された際に車室内に露出する面となる。また、意匠部2は、その略中央にスイッチノブ30が通される通孔20およびスイッチノブ31が通される通孔21が開口している。また、意匠部2には、その両端に後述するマップランプ用光源73からの光が出射する出射口22、23が設けられている。
【0017】
意匠部2は、図1に示すように、通孔20、21の周囲からインナーハウジング5側に立設した周壁部24が形成され、その周壁部24には、後述するスイッチノブ30、31に設けられたガイド溝36に遊嵌されるガイドレール25が設けられている。即ち、ガイドレール25は、スイッチノブ30、31のスライドする方向と平行な方向に延在している。通孔21も同様である。
【0018】
スイッチノブ30は、図1などに示すように、押圧されることで、スライドして後述するスイッチ70のONまたはOFFの切り替えを行う。スイッチノブ31は、押圧されることで、インナーハウジング5に対して近づく方向にスライドして後述するスイッチ71のONまたはOFFの切り替えを行う。
【0019】
スイッチノブ30は、図1や図4に示すように、ユーザ等によって押圧操作される面である矩形の板状の表面部32と、表面部32の裏面から立設した周壁部33と、表面部32の裏面に設けられた後述する導光棒4のガイド部43が遊嵌されるガイド受け部34と、表面部32の裏面に設けられた後述するスイッチ70を押圧する押圧部35と、を備えている。
【0020】
表面部32の略中央部分には、このスイッチノブ30を操作した場合の作動を示す表示画像32aが形成されている。表示画像32aは、表面部32の裏側の光を表側に透光して、表示画像32aを発光させることが可能に形成されており、例えば、表面部32を透光性の樹脂で形成し、表示画像32aを除いて、遮光性を有した塗料で着色することで表示画像32aに透光性を与えることができる。
【0021】
周壁部33は、意匠部2のガイドレール25が遊嵌されるガイド溝36が形成されている。即ち、ガイド溝36は、スイッチノブ30、31のスライドする方向と平行な方向に延在している。ガイド受け部24は、導光棒4のガイド部43が挿入されて、スイッチノブ30が導光棒4に対してスライド自在に保持される。押圧部35は、略四角筒状に形成され、当該四角筒の先端でスイッチ70を押圧する。なお、スイッチノブ31も、スイッチノブ30と同様の構成である。
【0022】
導光部材としての導光棒4は、図1ないし図5に示すように、スイッチ照明用光源6からの光が入射する入射部41と、入射部41に入射した光を分岐させてスイッチノブ30、31の背面(裏側)に導くアーム部42と、を備えている。
【0023】
入射部41は、図1や図4に示すように、円筒状に形成され、円筒の一端部からスイッチ照明用光源6からの光が入射する。アーム部42は、入射部41の他端から光を2方向に分岐させてスイッチノブ30、31の背面に導く。アーム部42は、その端部にスイッチノブ30、31のガイド受け部24に挿入されて遊嵌されるガイド部43が形成されている。また、ガイド部43の先端、つまり、アーム部42の先端には入射部41から入射した光が出射する出射部44が形成されている。即ち、ガイド部43に、スイッチノブ30の背面に向かって光を出射する出射部44が設けられている。また、アーム部42は、後述するインナーハウジング5の固定部材51の係合孔53と係合する係合爪45が形成されている。
【0024】
ハウジングとしてのインナーハウジング5は、図1や図5に示すように、意匠部2の裏側に取り付けられ、導光棒4を固定する固定部50を備えているとともに、スイッチ70、71のマップランプ用光源73からの光を意匠部2の出射口22、23から出射するために設けられた孔52が開口している。
【0025】
固定部50は、インナーハウジング5の表側(意匠部2側)から立設した4つの帯板状の固定部材51で構成されており、固定部材51には、導光棒4の係号爪45と係合する係合孔53が形成されている。
【0026】
光源としてのスイッチ照明用光源6は、LED(発光ダイオード)などの光源6aを備え、図5に示すように、インナーハウジング5の裏側に取り付けられる。スイッチ照明用光源6と導光棒4とは、図3に示すように、光源6aと、入射部41とが、略同一軸線上に位置付けられるように取り付けられる。スイッチ照明用光源6は、インナーハウジング5に取り付けられた状態で、光源6aからの光が導光棒4に入射するように、インナーハウジング5の当該位置には通孔が形成されている。
【0027】
スイッチ70は、図1に示すように、スイッチ部72と、マップランプ用光源73と、を備えている。スイッチ部72は、スイッチノブ30の押圧部35から押圧されることでONまたはOFFが切り替えられるスイッチである。マップランプ用光源73は、スイッチ部72がON状態で点灯、OFF状態で消灯となる光源である。なお、スイッチ71も、スイッチ70と同様の構成である。
【0028】
上述したスイッチノブ30、31と、導光棒4と、インナーハウジング5と、スイッチ照明用光源6と、で本発明の第1の実施形態にかかるスイッチの照明構造10を構成する。
【0029】
上述したように構成されたマップランプ装置1(スイッチの照明構造10)は、図3や図4に示すように、インナーハウジング5の固定部50に固定された導光棒4のガイド部43が、スイッチノブ30、31のガイド受け部34に挿入されることで、導光棒4のガイド部43がスイッチノブ30、31を押圧方向とその逆方向(図4の矢印Rの方向)にスライド自在にガイドしている。なお、ガイド受け部34の幅は、スイッチノブ30、31のがたつきを少なくできる程度に保持するとともに、スイッチノブ30、31のスライド(押圧操作)を阻害しない程度に、ガイド部43の幅よりも広く形成されている。
【0030】
また、ガイド棒4は、図3に示すように、入射部41から入射したスイッチ照明用光源6からの光を分岐して2つのスイッチノブ30、31の背面を照明している。
【0031】
本実施形態によれば、マップランプ装置1において、インナーハウジング5に固定された導光棒4にスイッチノブ30、31をスライド自在に保持するガイド部43が設けられ、スイッチノブ30、31にガイド部43が挿入されるガイド受け部34が設けられているので、スイッチノブ30、31が導光部4にスライド自在に保持されるためにスイッチノブ30、31と導光棒4との位置ズレが起こりにくくなり、また、スイッチ照明用光源6からの光をスイッチノブ30、31へ均等に当てることができる。また、スイッチノブ30、31のがたつきを少なくすることができる。
【0032】
また、ガイド部43に、導光棒4からスイッチノブ30、31の背面に向かって出射する出射部44が設けられているので、ガイド部43と出射部44とを兼ねることができ、導光部棒4の構成を単純にすることができる。
【0033】
なお、導光棒4のガイド部43は、アーム部42の先端部(出射部44)に形成されていたが、図6や図7に示すように、アーム部42とは別に設けてもよい。図6および図7において、ガイド部43´は、アーム部42の先端部よりも、入射部41寄りに2つ形成されている。また、この際には、スイッチノブ30、31のガイド受け部34´もガイド部43´に合わせた位置、形状で形成する。
【0034】
また、上述した実施形態では、マップランプ装置1で説明したが、それに限らず、導光部材で光源の光をスイッチノブの背面に導いて照明するスイッチの照明構造を持つ機器に適用可能である。
【0035】
なお、上述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 マップランプ装置
30 スイッチノブ
31 スイッチノブ
34 ガイド受け部
4 導光棒(導光部材)
43 ガイド部
5 インナーハウジング(ハウジング)
6 スイッチ照明用光源(光源)
10 スイッチの照明構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジングに取り付けられた光源と、前記光源の前面に設けられるとともに前記光源からの光によって照明されるスイッチノブと、前記ハウジングに固定され前記光源からの光を前記スイッチノブ背面に導く導光部材と、を備えたスイッチの照明構造において、
前記導光部材に、前記スイッチノブがスライドする方向にガイドするガイド部が設けられているとともに、
前記スイッチノブに前記ガイド部が挿入されるガイド受け部が設けられている
ことを特徴とするスイッチの照明構造。
【請求項2】
前記ガイド部に、前記スイッチノブの背面に向かって光を出射する出射部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチの照明構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−30311(P2013−30311A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164226(P2011−164226)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】