スイッチングノード
【課題】 複数のレイヤを統合管理することができるGMPLSは、今後も標準化が進み、実用化に向けた研究・開発が行われると思われる。しかし、分散制御装置が不測の事態に陥りパス制御ができなくなる場合など、保守・運用の観点からは、集中制御装置によるパス設定およびパス管理は不可欠である。
【解決手段】 ラベルスイッチングノード300に、分散制御用IF305と集中制御用IF310とを設け、分散制御装置200と集中制御装置100とからの制御を受け付ける。集中制御装置が優先制御を指示したとき、集中制御装置の制御を優先する。
【解決手段】 ラベルスイッチングノード300に、分散制御用IF305と集中制御用IF310とを設け、分散制御装置200と集中制御装置100とからの制御を受け付ける。集中制御装置が優先制御を指示したとき、集中制御装置の制御を優先する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスイッチングノードに係り、特に分散制御装置および集中制御装置が並存するラベル転送ネットワークに用いるスイッチングノードに関する。
【背景技術】
【0002】
光伝送ネットワークを自立的に分散制御できるプロトコルとして、GMPLS(Generalized Multi-protocol Label Switching)が注目されている。GMPLSは、既存技術であるMPLSをさらに一般化したプロトコルであり、IP、TDM(Time Division Multiplexing)、光波長などの複数のレイヤを統一的に扱うことができる。GMPLSにより複数のレイヤを統一的に制御することが可能になると、従来のレイヤ毎のネットワーク管理が不要となり、運用コストの削減などが期待できる。
【0003】
GMPLSは、複数のプロトコルから構成されるプロトコル群で、ITU−T(International Telecommunication Union - Telecommunication Standardization Sector)などの標準化団体で規格化が進められている。ITU−Tでは、従来からの管理形態である集中制御方式を取り入れた、分散制御ネットワークの規定を進めており、ITU-T G.8080(非特許文献1)でそのアーキテクチャの勧告が提示されている。
【0004】
ITU-T G.8080では、分散制御方式と集中制御方式と合わせた3種類のパス設定手法を定義している。第1のパス設定方法は、SC(Switched Connection)パスと呼ばれる。SCパスは、クライアント装置からパス設定の要求を受けて、分散制御装置が制御信号(GMPLS)を交換してパスの設定を行う方法である。第2のパス設定方法は、SPC(Soft Permanent Connection)パスと呼ばれる。SPCパスは、集中制御装置からパスの設定要求がなされ、分散制御装置が制御信号(GMPLS)を交換してパスの設定を行う方法である。そして、第3のパス設定方法は、PC(Permanent Connection)パスと呼ばれる。PCパスは、集中制御装置から個々のラベルスイッチングノードに対しクロスコネクト設定を行う方法である。
【0005】
【非特許文献1】ITU-T G.8080/Y.1304、“Architecture for the automatically switched optical network(ASON)”、2001年11月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数のレイヤを統合管理することができるGMPLSは、今後も標準化が進み、実用化に向けた研究・開発が行われると思われる。しかし、分散制御装置が不測の事態に陥りパス制御ができなくなる場合など、保守・運用の観点からは、集中制御装置によるパス設定およびパス管理は不可欠である。発明者らは、今後の光伝送ネットワークなどのシステムでは、集中管理装置と分散制御装置とが並存したネットワークが構成され、操作元の異なる複数の種類のパス(PCパス、SPCパスおよびSCパス)が設定されると予想する。
分散制御装置および集中制御装置が並存するラベル転送ネットワークを実現するためには、以下のような課題がある。
【0007】
第1の課題は、ラベルスイッチングノードは、分散制御装置および集中制御装置の複数の操作元からパス設定要求を受けるので、集中制御装置によるパス設定制御と、分散制御装置によるパス設定制御が競合した際にも、各ノードのラベル情報の整合性を保障する必要があることである。
【0008】
第2の課題は、保守・運用の観点から、分散制御装置によるパス設定より、集中制御装置によるパス設定を優先制御できることである。分散制御装置が不測の事態に陥りパス制御が不能になった場合などでも集中制御装置によってパス制御可能なように、集中制御装置によるパス設定を優先的に制御できることが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ラベル情報に基づいて受信データの転送を行う複数のラベルスイッチングノード、および個々のラベルスイッチングノードに付属してラベル情報を更新しパスを設定する分散制御装置、およびラベル情報を一括して更新しパスを設定する集中制御装置によって構成されるシステムにおいて、集中制御装置からパス設定する際に使用するラベルを事前に予約する。
【0010】
また、集中制御装置からパス設定する際に、前記分散制御装置のパス設定が既に存在していた場合は、集中制御装置からパス設定制御を優先する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、分散制御装置および集中制御装置が並存するラベル転送ネットワークにおいて、それらの装置が個々に設定したパス操作が競合することなく制御できる。
【0012】
また、本発明によれば、分散制御装置および集中制御装置が並存するラベル転送ネットワークにおいて、分散制御装置が不測の事態に陥りパス制御が不能になった場合などでも、集中制御装置によるパス設定を優先的に制御することができ、集中制御装置によってパス制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について実施例を用いて図面を参照しながら説明する。
図1は、分散制御装置および集中制御装置が並存するラベル転送ネットワークのブロック図である。ラベルスイッチングノードは、ここでは、光クロスコネクト装置(以下OXC装置)として説明する。
【0014】
図1において、3台のOXC装置300は、ラベルとして4つの入出力ポートを持ったOXC装置である。OXC装置300−1には、#101、#102、#201、#202のラベルを有する。OXC装置300において、破線矢印で示すラベルスイッチング1005は、OXC装置内で光信号が切り替えられていることを表す。例えば、ラベルスイッチング1005−1は、OXC装置3−1内で、ラベル#102からラベル#201に光信号が切り替えられていることを示す。ラベルスイッチングを組み合わせることにより、複数のOXC装置間について光信号を転送することができる。終端するOXC装置間の経路を光パスまたは単にパスと呼ぶ。
【0015】
図1では、クライアント装置400−1からOXC装置300−1のラベル#102、#201を通り、同様にOXC装置300−2のラベル#201、#301、OXC装置300−3のラベル#301、#402を経て、クライアント装置400−2に光信号が転送される。クライアント装置400は、ルータ等である。
【0016】
各OXC装置300にはノード制御回線1002により接続された分散制御装置200が対応付けられている。分散制御装置200およびクライアント装置400間では、GMPLS制御回線1001を介し、制御信号を交換することができる。集中制御装置100は、ノード制御回線1003を介して全てのOXC装置300に接続され、一括した制御を行う。なお、クライアント装置400は、スイッチであっても良い。また、集中制御装置100が分散制御装置200を制御するように、制御線を張っても良い。
【0017】
図2に、集中制御装置の機能ブロック図を示す。
集中制御装置100は、制御UI(User Interface)105より保守者からの制御要求を受け付け、各種管理部および各種情報DB(Database)を用いてその制御要求を処理する。制御要求の内容がノード制御を伴う場合は、ノード制御IF 160を介して行われる。
【0018】
パス管理部110は、パスの登録/削除/変更処理を行う。パス制御に必要となるラベル情報、パス情報は、パス情報DB115に保持される。パス情報DB115に保持されたパス情報であるパス情報テーブル10と、ラベル情報であるラベル情報テーブル20を、図3に示す。
【0019】
図3(a)において、パス情報テーブル10は、パスID 11、パスType12、設定元制御装置13、起点ノード14、終点ノード15、中継点ノード16で構成される。また、図3(b)において、ラベル情報テーブル20は、装置名21、ラベルID 22、設定元制御装置23、ラベル状態24で構成される。
【0020】
図2に戻って、構成管理部120は、OXC装置の初期設定およびOXC装置の構成設定等を行う。OXC装置の構成情報は、構成情報DB125に保持される。警報管理部130では、OXC装置の警報状態の表示、警報情報の履歴管理等を行う。OXC装置の警報状態、警報履歴等は、警報情報DB135に保持される。性能管理部140は、OXC装置の光出力状態等、OXC装置の性能状態の表示や性能情報の履歴管理等を行う。OXC装置の性能状態、性能履歴等は、性能情報DB145に保持される。セキュリティ管理部150は、集中制御装置の操作権限の管理などを行う。操作権限に関するユーザ情報などは、セキュリティ情報DB155に保持される。
【0021】
制御UI 105、パス管理部110、構成管理部120、警報管理部130、性能管理部140、セキュリティ管理部150、ノード制御IF 160は、バス165により相互接続されている。
【0022】
本実施例のパス設定方式およびパス優先制御方式は、集中制御装置100およびOXC装置300に実装される。集中制御装置の実装は、パス管理部110に行われる。パス設定時における具体的な処理内容については、追って図12を用いて説明する。なお、集中制御装置100が分散制御装置200を制御するように、集中制御装置100のバス165に、分散制御装置制御IFを接続しても良い。
【0023】
図4に、OXC装置の機能ブロック図を示す。
OXC装置300−1は、制御用インターフェイスとして、分散制御用IF 305と集中制御用IF 310を持つ。分散制御用IF 305には、分散制御装置200がノード制御回線1002を介して接続され、集中制御用IF 310には、集中制御装置100がノード制御回線1003を介して接続される。
【0024】
分散制御用IF 305または集中制御用IF 310が受信した制御要求は、装置制御部320により処理される。装置制御部320は、制御要求の内容に応じて、SW機能部330のSWパッケージ335、IF機能部340のIFパッケージ345を制御し、装置情報DB325を更新する。分散制御用IF 305、集中制御用IF 310、装置制御部320、SWパッケージ335、IFパッケージ345は、バス350により相互接続されている。
【0025】
光信号の転送は、OXC装置300のSW機能部330とIF機能部340で行われる。IF機能部340のIFパッケージ345では、クライアント信号を収容し、SW機能部330へ転送する。SW機能部330のSWパッケージ335では、入力された光信号を装置制御部320からの指示に従い、指定されたポートへ切り替える。図4では、IFパッケージ345−102に入力された光信号は、SWパッケージ335の入力ポート#102に入力され、SWパッケージ335内で出力ポート#201に切り替えられる。出力ポート#201から出力された光信号は、IFパッケージ345−201を通してOXC装置から出力される。このように、OXC装置は、入力された光信号を、指定されたポートへ切り替え、出力する。なお、図4ではOXC装置300−1を説明したが、OXC装置300−2、300−3もポート番号以外の構造は同一である。
【0026】
本実施例についてのOXC装置300の実装は、装置制御部320に行われる。ラベル制御における具体的な処理内容については、追って図13を用いて説明する。また、装置情報DB325が保持するラベル情報テーブル、パス情報テーブルを、図5に示す。
【0027】
図5(a)において、ラベル情報テーブル30は、ラベルID 31、設定元制御装置32、ラベル状態33で構成される。また、図5(b)において、SW情報テーブル40は、SW−ID 41、設定元制御装置42、入力ラベル43、出力ラベル44で構成される。
【0028】
図6に、OXC装置のラベルの状態遷移図を示す。
ラベルは、「Free」51、「Resv(SC,SPC)」52、「Resv(PC)」53、「Path(SC,SPC)」54、および「Path(PC)」55の5つの状態をもち、装置管理部320により制御・管理される。「Free」51はラベルが未使用であることを示し、「Resv(SC,SPC)」52は分散制御装置によって予約された状態、「Resv(PC)」53は集中制御装置によって予約された状態であることを示す。同様に、「Path(SC,SPC)」54は分散制御装置によってクロスコネクトが設定された状態、「Path(PC)」55は集中制御装置によってクロスコネクトが設定された状態であることを示す。ラベルの初期状態は「Free」51である。
【0029】
分散制御装置および集中管理制御装置に提供されるラベルの操作は、“ラベル予約”、“ラベル予約解除”、“パス設定”、“パス解除”で、パス優先制御手法に用いる“強制予約”操作は集中管理制御装置にのみに提供される。ラベルに対する操作は、常に二つラベルに対して行われ、その対応関係は装置制御部320で管理される。
【0030】
「Free」51状態にあるラベルに対し、分散制御装置から“ラベル予約”操作を行うと「Resv(SC,SPC)」52状態に遷移する。一方、「Free」51状態にあるラベルに対し、集中制御装置から“ラベル予約”操作を行うと「Resv(PC)」53状態に遷移する。「Resv(SC,SPC)」52状態のラベルに対し、“パス設定”操作を行うと「Path(SC,SPC)」54状態に遷移する。同様に、「Resv(PC)」53状態のラベルに対し“パス設定”操作を行うと「Path(PC)」55状態に遷移する。「Path(SC,SPC)」54状態から「Free」51状態へは、“パス解除”操作を用いる。同様に、「Path(PC)」55状態から「Free」51状態へも、“パス解除”操作を用いる。
【0031】
“強制予約”操作は、分散制御装置によって設定されたラベル状態を集中制御装置によって強制的に「Resv(PC)」53状態へ遷移させる操作である。「Resv(SC,SPC)」52状態のラベルは“強制予約”操作により、「Resv(PC)」53状態へ遷移する。同様に、「Path(SC,SPC)」54状態のラベルは“強制予約”操作により「Resv(PC)」53状態へ遷移する。強制操作によりラベルの状態が遷移した際、装置制御部320は、分散制御用IF 305を介し、該当パスが削除されたことを分散制御装置に対し通知する。また、対向するラベルが強制予約された場合、「Free」51状態へ遷移し、同様に装置制御部320は分散制御装置に対し通知する。
【0032】
集中制御装置によるパス設定について図7を用いて説明する。ここで、図7は集中制御装置とOXC装置との間の通信を説明する遷移図である。
保守者によりパスの経路および使用するラベルが選択され、集中制御装置は図2の制御UI 105よりパス設定要求を受ける。ここでは「−OXC装置300−1(#102−#201)−OXC装置300−2(#201−#301)−OXC装置300−3(#301−#402)−」の経路を指定されたとする。経路情報をもってパス設定要求を受けた集中制御装置100は、パス管理部110で処理を行う。集中制御装置100は、はじめに、各OXC装置300に対し、ラベルの予約を行う(T61〜T63)。図7の101−1〜101−6は、各OXC装置300のラベルの状態を表す。なお、ここでFはFree、”_(アンダーバー)”の前のRはResv、同じくPはPath、”_”の後ろPはPC、同じくSはSC,SPCを意味する。OXC装置300−1のラベル#102、#201の状態が「Resv(PC)」状態に設定されたことを意味する。ここで、ラベルの予約の際に、一つでも予約済みまたはPath設定済みのラベルが存在した場合は、後述の集中制御装置によるパス設定の優先制御に移る。
【0033】
全てのOXC装置300でラベルの予約が行えたら、次に集中制御装置100は、各OXC装置にパス設定を行う(T64〜T66)。全てのパス設定制御が終わり、パス管理部110がパス情報DB115を更新した時点で、集中制御装置100によるパスが確立される。
【0034】
分散制御装置によるパス設定について図8を用いて説明する。ここで、図8は分散制御装置とOXC装置との間の通信を説明する遷移図である。
保守者によりパスの経路および使用するラベルが選択される。ここでは、「−OXC装置300−1(#102−#201)−OXC装置300−2(#201−#301)−OXC装置300−3(#301−#402)−」の経路を指定されたとする。分散制御装置200−1は、OXC装置300−1のラベルの予約を行い(T71)、GMPLSシグナリングを用いて分散制御装置200−2にパス設定要求を伝達する(T72)。分散制御装置200−3までパス設定要求が伝達され(T74)、ラベル予約が正常に終了した場合(T75)は、分散制御装置200−3はパス設定を行い(T76)、GMPLSシグナリングを用いて分散制御装置200−2にパス設定要求を折り返す(T77)。分散制御装置200−1までGMPLSシグナリングのパス設定要求が戻り(T79)パス設定を行った段階(T80)で、分散制御装置によるパスが確立される。
【0035】
図9および図10を用いて、集中制御装置によるパス設定制御と、分散制御装置によるパス設定制御との競合を説明する。ここで、図9および図10は集中制御装置と分散制御装置とOXC装置との間の通信を説明する遷移図である。
【0036】
図9では、既に分散制御装置200によるラベル予約がされている(T81〜T85)状態で、集中制御装置100がラベル予約を開始している。OXC装置300−1に対するラベル予約は、空き(Free)ラベルを対象としているため成功した(T401)。しかし、OXC装置300−2に対するラベル予約(#202−#301)は、既に#301が予約されているため失敗し(T402)、集中制御装置によるパス設定制御が排他される。その後、分散制御装置200はパス設定をする(T86〜T90)。つまり、先にラベル予約した分散制御装置が優先されている。
【0037】
図10は、図9の逆のケースで、既に集中制御装置100によるラベル予約がOXC装置300−1および300−2にされている(T411、T412)状態で、分散制御装置200がラベル予約を開始している。OXC装置300−1に対するラベル予約は、空き(Free)ラベルを対象としているため成功した(T91)。しかし、OXC装置300−2に対するラベル予約(#202−#301)は、既に#301が予約されているため失敗し(T93)、この失敗はGMPLSシグナリングで、分散制御装置200−1に伝達される(T94)。分散制御装置200−1は、これを受けてOXC装置300−1に対するラベル予約を解除する(T95)。その後集中制御装置100は、OXC装置300−3に対するラベル予約(T413)と、パス設定を実施する(T414〜T416)。つまり、先にラベル予約した集中制御装置が優先されている。
なお、図10において、T411とT412との間にT91〜T93の遷移が入った場合は、T412が失敗となり、分散制御装置が優先されることになる。集中制御装置の制御も一旦予約をするので、このようなことが起こる。
【0038】
図11を用いて集中制御装置によるパス設定の優先制御を説明する。ここで、図11は集中制御装置と分散制御装置とOXC装置との間の通信を説明する遷移図である。図11では、既に分散制御装置によるパス設定がされているために、集中制御装置によるラベル予約が失敗するが、集中制御装置によりラベルの強制予約がおこなわれ、集中制御装置によるパス設定が優先制御される。
【0039】
まず、OXC装置300のラベルの状態を105-1〜105−3とする。集中制御装置100は、ラベル予約を開始し、OXC装置300−2のラベル#202、#301を予約しようとするが、既にラベル#301がパス設定されていたため、ラベルの予約に失敗する(T422)。OXC装置300−2でのラベルの予約に失敗を検出したパス制御部110は、保守者にラベルが使用済みであることを通知し、強制パス設定を行うか指示を待つ。この場合、保守者が強制パス設定を要求したとする。集中制御装置100はOXC装置300−2に対しラベルの強制予約を行う(T423)。ラベルの強制制御要求を受けたOXC装置300−2の装置制御部320は、ラベル#201を「Free」状態、ラベル#301を「Resv(PC)」状態、そしてラベル#302を「Resv(PC)」状態に設定変更する。また、ラベル#201、#301間のクロスコネクト設定が削除されたことを分散制御装置200−2へ分散制御用IF 305を介し通知する(T424)。通知を受けた分散制御装置200−2は、分散制御装置200−1および分散制御装置200−3にGMPLSシグナリングによりパス削除を転送する(T425、T426)。分散制御装置200−1および分散制御装置200−3は、OXC装置300−1または300−3に設定したパスを解除する(T427、T428)。
【0040】
強制予約を行った集中制御装置100は、引き続きOXC装置300−3のラベル予約を行い(T429)、全てのラベル予約を完了する。その後、集中制御装置100は、各OXC装置300に対しパス設定操作を行う(T430〜T433)。この結果、分散制御装置で設定されていたパス設定が存在した場合でも、集中制御装置によるパス設定操作を優先しパス設定することができる。なお、保守者がパス設定の中止要求をした場合、集中制御装置100はOXC装置300−1で予約したラベルの予約を解除し処理を終了する。
【0041】
図12を用いて集中制御装置の動作を説明する。ここで、図12は集中制御装置のパス管理部の動作を説明するフロー図である。
保守者によるパス設定コマンドを集中制御装置100のパス管理部110が受け付けると、まずコマンド構文が正しいか確認する(S501)。また、指定されたOXC装置が全て存在するか確認する(S502)。さらに、指定されたラベルが全て存在するか確認する(S503)。ステップ501〜503のどれか一つでもNoならパス設定失敗通知を表示し(S504)、処理を終了する。
【0042】
コマンドの健全性がOKの場合、ラベルがFree状態であるかパス管理DB115を検索して確認する(S505)。Noの場合、強制的にパス設定するか保守者に問い合わせる(S506)。「行わない」との回答なら、パス設定失敗通知を表示し(S507)、処理を終える。ステップ506で「行う」との回答なら、強制予約フラグをonして(S508)、(1)に遷移する。また、ステップ505がYesなら全てのラベルおよびOXC装置について完了したか確認し(S509)、NoならばラベルまたはOXC装置のカウンタをインクリメントした後、ステップ505に戻る。
【0043】
(1)に遷移した場合、ラベルの予約要求をOXC装置に送信し(S511)、この予約が成功したか確認する(S512)。Noの場合、強制予約フラグを確認する(S513)。offの場合、強制的にパス設定するか保守者に問い合わせる(S514)。「行わない」との回答なら、ラベル予約した全てのラベルについてラベル解除要求をOXC装置送信し(S515)、パス設定失敗通知を表示し(S516)、処理を終える。ステップ513で「行う」との回答なら、強制予約フラグをonして(S517)、ラベル強制予約要求をOXC装置に送信し(S518)、パス情報DB115を更新するステップ519に遷移する。一方、ステップ513でonの場合、ラベル強制予約要求をOXC装置に送信し(S518)、パス情報DB115を更新するステップ519に遷移する。
【0044】
また、ステップ512がYesの場合、パス情報DB115を更新する(S519)。全てのラベルおよびOXC装置について完了したか確認し(S520)、NoならばラベルまたはOXC装置のカウンタをインクリメントした後、ステップ511に戻る。YesならばOXC装置にパス設定要求を送信した後(S521)、パス情報DB115のラベル情報テーブル20を更新する(S522)。全てのラベルおよびOXC装置について完了したか確認し(S523)、NoならばラベルまたはOXC装置のカウンタをインクリメントした後、ステップ521に戻る。Yesならばパス情報DB115のパス情報テーブル10を更新した後(S524)、パス完了通知を表示して(S525)、終了する。
【0045】
図13を用いてOXC装置の動作を説明する。ここで、図13はOXC装置の装置制御部の動作を説明するフロー図である。
制御装置からのコマンドをOXC装置300の装置制御部320が受け付けると、まずコマンド構文が正しいか確認する(S551)。また、指定されたラベルが全て存在するか確認する(S552)。ステップ551または552がNoならパス設定失敗通知を返信し(S553)、処理を終了する。
【0046】
コマンドの健全性がOKの場合、コマンドの制御内容を確認する(S554)。制御内容が「ラベル強制予約」なら、(2)に遷移する。「ラベル予約」なら、ラベル状態がFreeか確認する(S555)。Noならばエラー応答を制御装置に送信した後(S556)、処理を終了する。Yesならば装置情報DB325を更新し(S557)、制御装置に完了応答を送信した後(S558)、終了する。ステップ554で「パス設定」なら、当該ラベルが予約済みであるか確認し(S561)、Noならエラー応答を制御装置に送信した後(S562)、終了する。Yesならラベル情報テーブル30を参照して予約設定元制御装置とパス設定要求元制御装置が同じか確認する(S563)。確認結果がNoならエラー応答を制御装置に送信した後(S564)、終了する。Yesならパス設定変更および装置情報DB325更新を実施し(S565)、完了応答を送信した後(S566)、終了する。
【0047】
一方、(2)に遷移した場合、まず要求元制御装置が集中制御装置であるか確認する(S571)。Noならエラー応答を分散制御装置に送信した後(S572)、終了する。YesならラベルがPath(PC)でないことを確認する(S573)。Noならエラー応答を集中制御装置に送信した後(S574)、終了する。Yesならラベルの強制予約および装置情報DB325更新を実施し(S575)、遷移前のラベル状態がResv(SPC,SC)またはPath(SPC,SC)であったか確認し(S576)、Yesならば分散制御装置200にラベル解除通知を送信した後(S577)、完了応答を集中制御装置に送信して(S578)、終了する。
【0048】
以上述べた実施例では、ラベルスイッチングノードとしてOXC装置で説明したが、電気信号のクロスコネクト装置であっても良く、これらに限られない。電気信号のクロスコネクト装置の場合、図4のIFパッケージ345は、O/E変換およびE/O変換を実施して、SW機能部330には電気SWを設ける構成である。
【0049】
本実施例に拠れば、分散制御装置および集中制御装置が並存するラベル転送ネットワークにおいて、それらの装置が個々に設定したパス操作が競合することなく制御できる。また、分散制御装置および集中制御装置が並存するラベル転送ネットワークにおいて、分散制御装置が不測の事態に陥りパス制御が不能になった場合などでも、集中制御装置によるパス設定を優先的に制御することができ、集中制御装置によってパス制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】分散制御装置および集中制御装置が並存するラベル転送ネットワークのブロック図である。
【図2】集中制御装置の機能ブロック図である。
【図3】パス情報DBに保持されたパス情報テーブルとラベル情報テーブルを説明する図である。
【図4】OXC装置の機能ブロック図である。
【図5】装置情報DBが保持するラベル情報テーブルとパス情報テーブルを説明する図である。
【図6】OXC装置のラベルの状態遷移図である。
【図7】集中制御装置とOXC装置との間の通信を説明する遷移図である。
【図8】分散制御装置とOXC装置との間の通信を説明する遷移図である。
【図9】集中制御装置と分散制御装置とOXC装置との間の通信を説明する遷移図である。
【図10】集中制御装置と分散制御装置とOXC装置との間の通信を説明する第2の遷移図である。
【図11】集中制御装置によるパス設定の優先制御を説明する集中制御装置と分散制御装置とOXC装置との間の通信を説明する遷移図である。
【図12A】集中制御装置のパス管理部の動作を説明するフロー図(その1)である。
【図12B】集中制御装置のパス管理部の動作を説明するフロー図(その2)である。
【図13A】OXC装置の装置制御部の動作を説明するフロー図(その1)である。
【図13B】OXC装置の装置制御部の動作を説明するフロー図(その2)である。
【符号の説明】
【0051】
10…パス情報テーブル、20…ラベル情報テーブル、30…ラベル情報テーブル、40…SW情報テーブル、100…集中制御装置、105…制御UI、110…パス管理部、120…構成管理部、130…警報管理部、140…性能管理部、150…セキュリティ管理部、160…ノード制御IF、165…バス、200…分散制御装置、300…OXC装置、305…分散制御用IF、310…集中制御用IF、320…装置制御部、335…光SW、345…IFパッケージ、350…バス、400…クライアント装置、1001…GMPLS制御回線、1002…ノード制御回線、1003…ノード制御回線、1004…データ転送回線、1005…ラベルスイッチング。
【技術分野】
【0001】
本発明はスイッチングノードに係り、特に分散制御装置および集中制御装置が並存するラベル転送ネットワークに用いるスイッチングノードに関する。
【背景技術】
【0002】
光伝送ネットワークを自立的に分散制御できるプロトコルとして、GMPLS(Generalized Multi-protocol Label Switching)が注目されている。GMPLSは、既存技術であるMPLSをさらに一般化したプロトコルであり、IP、TDM(Time Division Multiplexing)、光波長などの複数のレイヤを統一的に扱うことができる。GMPLSにより複数のレイヤを統一的に制御することが可能になると、従来のレイヤ毎のネットワーク管理が不要となり、運用コストの削減などが期待できる。
【0003】
GMPLSは、複数のプロトコルから構成されるプロトコル群で、ITU−T(International Telecommunication Union - Telecommunication Standardization Sector)などの標準化団体で規格化が進められている。ITU−Tでは、従来からの管理形態である集中制御方式を取り入れた、分散制御ネットワークの規定を進めており、ITU-T G.8080(非特許文献1)でそのアーキテクチャの勧告が提示されている。
【0004】
ITU-T G.8080では、分散制御方式と集中制御方式と合わせた3種類のパス設定手法を定義している。第1のパス設定方法は、SC(Switched Connection)パスと呼ばれる。SCパスは、クライアント装置からパス設定の要求を受けて、分散制御装置が制御信号(GMPLS)を交換してパスの設定を行う方法である。第2のパス設定方法は、SPC(Soft Permanent Connection)パスと呼ばれる。SPCパスは、集中制御装置からパスの設定要求がなされ、分散制御装置が制御信号(GMPLS)を交換してパスの設定を行う方法である。そして、第3のパス設定方法は、PC(Permanent Connection)パスと呼ばれる。PCパスは、集中制御装置から個々のラベルスイッチングノードに対しクロスコネクト設定を行う方法である。
【0005】
【非特許文献1】ITU-T G.8080/Y.1304、“Architecture for the automatically switched optical network(ASON)”、2001年11月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数のレイヤを統合管理することができるGMPLSは、今後も標準化が進み、実用化に向けた研究・開発が行われると思われる。しかし、分散制御装置が不測の事態に陥りパス制御ができなくなる場合など、保守・運用の観点からは、集中制御装置によるパス設定およびパス管理は不可欠である。発明者らは、今後の光伝送ネットワークなどのシステムでは、集中管理装置と分散制御装置とが並存したネットワークが構成され、操作元の異なる複数の種類のパス(PCパス、SPCパスおよびSCパス)が設定されると予想する。
分散制御装置および集中制御装置が並存するラベル転送ネットワークを実現するためには、以下のような課題がある。
【0007】
第1の課題は、ラベルスイッチングノードは、分散制御装置および集中制御装置の複数の操作元からパス設定要求を受けるので、集中制御装置によるパス設定制御と、分散制御装置によるパス設定制御が競合した際にも、各ノードのラベル情報の整合性を保障する必要があることである。
【0008】
第2の課題は、保守・運用の観点から、分散制御装置によるパス設定より、集中制御装置によるパス設定を優先制御できることである。分散制御装置が不測の事態に陥りパス制御が不能になった場合などでも集中制御装置によってパス制御可能なように、集中制御装置によるパス設定を優先的に制御できることが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ラベル情報に基づいて受信データの転送を行う複数のラベルスイッチングノード、および個々のラベルスイッチングノードに付属してラベル情報を更新しパスを設定する分散制御装置、およびラベル情報を一括して更新しパスを設定する集中制御装置によって構成されるシステムにおいて、集中制御装置からパス設定する際に使用するラベルを事前に予約する。
【0010】
また、集中制御装置からパス設定する際に、前記分散制御装置のパス設定が既に存在していた場合は、集中制御装置からパス設定制御を優先する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、分散制御装置および集中制御装置が並存するラベル転送ネットワークにおいて、それらの装置が個々に設定したパス操作が競合することなく制御できる。
【0012】
また、本発明によれば、分散制御装置および集中制御装置が並存するラベル転送ネットワークにおいて、分散制御装置が不測の事態に陥りパス制御が不能になった場合などでも、集中制御装置によるパス設定を優先的に制御することができ、集中制御装置によってパス制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について実施例を用いて図面を参照しながら説明する。
図1は、分散制御装置および集中制御装置が並存するラベル転送ネットワークのブロック図である。ラベルスイッチングノードは、ここでは、光クロスコネクト装置(以下OXC装置)として説明する。
【0014】
図1において、3台のOXC装置300は、ラベルとして4つの入出力ポートを持ったOXC装置である。OXC装置300−1には、#101、#102、#201、#202のラベルを有する。OXC装置300において、破線矢印で示すラベルスイッチング1005は、OXC装置内で光信号が切り替えられていることを表す。例えば、ラベルスイッチング1005−1は、OXC装置3−1内で、ラベル#102からラベル#201に光信号が切り替えられていることを示す。ラベルスイッチングを組み合わせることにより、複数のOXC装置間について光信号を転送することができる。終端するOXC装置間の経路を光パスまたは単にパスと呼ぶ。
【0015】
図1では、クライアント装置400−1からOXC装置300−1のラベル#102、#201を通り、同様にOXC装置300−2のラベル#201、#301、OXC装置300−3のラベル#301、#402を経て、クライアント装置400−2に光信号が転送される。クライアント装置400は、ルータ等である。
【0016】
各OXC装置300にはノード制御回線1002により接続された分散制御装置200が対応付けられている。分散制御装置200およびクライアント装置400間では、GMPLS制御回線1001を介し、制御信号を交換することができる。集中制御装置100は、ノード制御回線1003を介して全てのOXC装置300に接続され、一括した制御を行う。なお、クライアント装置400は、スイッチであっても良い。また、集中制御装置100が分散制御装置200を制御するように、制御線を張っても良い。
【0017】
図2に、集中制御装置の機能ブロック図を示す。
集中制御装置100は、制御UI(User Interface)105より保守者からの制御要求を受け付け、各種管理部および各種情報DB(Database)を用いてその制御要求を処理する。制御要求の内容がノード制御を伴う場合は、ノード制御IF 160を介して行われる。
【0018】
パス管理部110は、パスの登録/削除/変更処理を行う。パス制御に必要となるラベル情報、パス情報は、パス情報DB115に保持される。パス情報DB115に保持されたパス情報であるパス情報テーブル10と、ラベル情報であるラベル情報テーブル20を、図3に示す。
【0019】
図3(a)において、パス情報テーブル10は、パスID 11、パスType12、設定元制御装置13、起点ノード14、終点ノード15、中継点ノード16で構成される。また、図3(b)において、ラベル情報テーブル20は、装置名21、ラベルID 22、設定元制御装置23、ラベル状態24で構成される。
【0020】
図2に戻って、構成管理部120は、OXC装置の初期設定およびOXC装置の構成設定等を行う。OXC装置の構成情報は、構成情報DB125に保持される。警報管理部130では、OXC装置の警報状態の表示、警報情報の履歴管理等を行う。OXC装置の警報状態、警報履歴等は、警報情報DB135に保持される。性能管理部140は、OXC装置の光出力状態等、OXC装置の性能状態の表示や性能情報の履歴管理等を行う。OXC装置の性能状態、性能履歴等は、性能情報DB145に保持される。セキュリティ管理部150は、集中制御装置の操作権限の管理などを行う。操作権限に関するユーザ情報などは、セキュリティ情報DB155に保持される。
【0021】
制御UI 105、パス管理部110、構成管理部120、警報管理部130、性能管理部140、セキュリティ管理部150、ノード制御IF 160は、バス165により相互接続されている。
【0022】
本実施例のパス設定方式およびパス優先制御方式は、集中制御装置100およびOXC装置300に実装される。集中制御装置の実装は、パス管理部110に行われる。パス設定時における具体的な処理内容については、追って図12を用いて説明する。なお、集中制御装置100が分散制御装置200を制御するように、集中制御装置100のバス165に、分散制御装置制御IFを接続しても良い。
【0023】
図4に、OXC装置の機能ブロック図を示す。
OXC装置300−1は、制御用インターフェイスとして、分散制御用IF 305と集中制御用IF 310を持つ。分散制御用IF 305には、分散制御装置200がノード制御回線1002を介して接続され、集中制御用IF 310には、集中制御装置100がノード制御回線1003を介して接続される。
【0024】
分散制御用IF 305または集中制御用IF 310が受信した制御要求は、装置制御部320により処理される。装置制御部320は、制御要求の内容に応じて、SW機能部330のSWパッケージ335、IF機能部340のIFパッケージ345を制御し、装置情報DB325を更新する。分散制御用IF 305、集中制御用IF 310、装置制御部320、SWパッケージ335、IFパッケージ345は、バス350により相互接続されている。
【0025】
光信号の転送は、OXC装置300のSW機能部330とIF機能部340で行われる。IF機能部340のIFパッケージ345では、クライアント信号を収容し、SW機能部330へ転送する。SW機能部330のSWパッケージ335では、入力された光信号を装置制御部320からの指示に従い、指定されたポートへ切り替える。図4では、IFパッケージ345−102に入力された光信号は、SWパッケージ335の入力ポート#102に入力され、SWパッケージ335内で出力ポート#201に切り替えられる。出力ポート#201から出力された光信号は、IFパッケージ345−201を通してOXC装置から出力される。このように、OXC装置は、入力された光信号を、指定されたポートへ切り替え、出力する。なお、図4ではOXC装置300−1を説明したが、OXC装置300−2、300−3もポート番号以外の構造は同一である。
【0026】
本実施例についてのOXC装置300の実装は、装置制御部320に行われる。ラベル制御における具体的な処理内容については、追って図13を用いて説明する。また、装置情報DB325が保持するラベル情報テーブル、パス情報テーブルを、図5に示す。
【0027】
図5(a)において、ラベル情報テーブル30は、ラベルID 31、設定元制御装置32、ラベル状態33で構成される。また、図5(b)において、SW情報テーブル40は、SW−ID 41、設定元制御装置42、入力ラベル43、出力ラベル44で構成される。
【0028】
図6に、OXC装置のラベルの状態遷移図を示す。
ラベルは、「Free」51、「Resv(SC,SPC)」52、「Resv(PC)」53、「Path(SC,SPC)」54、および「Path(PC)」55の5つの状態をもち、装置管理部320により制御・管理される。「Free」51はラベルが未使用であることを示し、「Resv(SC,SPC)」52は分散制御装置によって予約された状態、「Resv(PC)」53は集中制御装置によって予約された状態であることを示す。同様に、「Path(SC,SPC)」54は分散制御装置によってクロスコネクトが設定された状態、「Path(PC)」55は集中制御装置によってクロスコネクトが設定された状態であることを示す。ラベルの初期状態は「Free」51である。
【0029】
分散制御装置および集中管理制御装置に提供されるラベルの操作は、“ラベル予約”、“ラベル予約解除”、“パス設定”、“パス解除”で、パス優先制御手法に用いる“強制予約”操作は集中管理制御装置にのみに提供される。ラベルに対する操作は、常に二つラベルに対して行われ、その対応関係は装置制御部320で管理される。
【0030】
「Free」51状態にあるラベルに対し、分散制御装置から“ラベル予約”操作を行うと「Resv(SC,SPC)」52状態に遷移する。一方、「Free」51状態にあるラベルに対し、集中制御装置から“ラベル予約”操作を行うと「Resv(PC)」53状態に遷移する。「Resv(SC,SPC)」52状態のラベルに対し、“パス設定”操作を行うと「Path(SC,SPC)」54状態に遷移する。同様に、「Resv(PC)」53状態のラベルに対し“パス設定”操作を行うと「Path(PC)」55状態に遷移する。「Path(SC,SPC)」54状態から「Free」51状態へは、“パス解除”操作を用いる。同様に、「Path(PC)」55状態から「Free」51状態へも、“パス解除”操作を用いる。
【0031】
“強制予約”操作は、分散制御装置によって設定されたラベル状態を集中制御装置によって強制的に「Resv(PC)」53状態へ遷移させる操作である。「Resv(SC,SPC)」52状態のラベルは“強制予約”操作により、「Resv(PC)」53状態へ遷移する。同様に、「Path(SC,SPC)」54状態のラベルは“強制予約”操作により「Resv(PC)」53状態へ遷移する。強制操作によりラベルの状態が遷移した際、装置制御部320は、分散制御用IF 305を介し、該当パスが削除されたことを分散制御装置に対し通知する。また、対向するラベルが強制予約された場合、「Free」51状態へ遷移し、同様に装置制御部320は分散制御装置に対し通知する。
【0032】
集中制御装置によるパス設定について図7を用いて説明する。ここで、図7は集中制御装置とOXC装置との間の通信を説明する遷移図である。
保守者によりパスの経路および使用するラベルが選択され、集中制御装置は図2の制御UI 105よりパス設定要求を受ける。ここでは「−OXC装置300−1(#102−#201)−OXC装置300−2(#201−#301)−OXC装置300−3(#301−#402)−」の経路を指定されたとする。経路情報をもってパス設定要求を受けた集中制御装置100は、パス管理部110で処理を行う。集中制御装置100は、はじめに、各OXC装置300に対し、ラベルの予約を行う(T61〜T63)。図7の101−1〜101−6は、各OXC装置300のラベルの状態を表す。なお、ここでFはFree、”_(アンダーバー)”の前のRはResv、同じくPはPath、”_”の後ろPはPC、同じくSはSC,SPCを意味する。OXC装置300−1のラベル#102、#201の状態が「Resv(PC)」状態に設定されたことを意味する。ここで、ラベルの予約の際に、一つでも予約済みまたはPath設定済みのラベルが存在した場合は、後述の集中制御装置によるパス設定の優先制御に移る。
【0033】
全てのOXC装置300でラベルの予約が行えたら、次に集中制御装置100は、各OXC装置にパス設定を行う(T64〜T66)。全てのパス設定制御が終わり、パス管理部110がパス情報DB115を更新した時点で、集中制御装置100によるパスが確立される。
【0034】
分散制御装置によるパス設定について図8を用いて説明する。ここで、図8は分散制御装置とOXC装置との間の通信を説明する遷移図である。
保守者によりパスの経路および使用するラベルが選択される。ここでは、「−OXC装置300−1(#102−#201)−OXC装置300−2(#201−#301)−OXC装置300−3(#301−#402)−」の経路を指定されたとする。分散制御装置200−1は、OXC装置300−1のラベルの予約を行い(T71)、GMPLSシグナリングを用いて分散制御装置200−2にパス設定要求を伝達する(T72)。分散制御装置200−3までパス設定要求が伝達され(T74)、ラベル予約が正常に終了した場合(T75)は、分散制御装置200−3はパス設定を行い(T76)、GMPLSシグナリングを用いて分散制御装置200−2にパス設定要求を折り返す(T77)。分散制御装置200−1までGMPLSシグナリングのパス設定要求が戻り(T79)パス設定を行った段階(T80)で、分散制御装置によるパスが確立される。
【0035】
図9および図10を用いて、集中制御装置によるパス設定制御と、分散制御装置によるパス設定制御との競合を説明する。ここで、図9および図10は集中制御装置と分散制御装置とOXC装置との間の通信を説明する遷移図である。
【0036】
図9では、既に分散制御装置200によるラベル予約がされている(T81〜T85)状態で、集中制御装置100がラベル予約を開始している。OXC装置300−1に対するラベル予約は、空き(Free)ラベルを対象としているため成功した(T401)。しかし、OXC装置300−2に対するラベル予約(#202−#301)は、既に#301が予約されているため失敗し(T402)、集中制御装置によるパス設定制御が排他される。その後、分散制御装置200はパス設定をする(T86〜T90)。つまり、先にラベル予約した分散制御装置が優先されている。
【0037】
図10は、図9の逆のケースで、既に集中制御装置100によるラベル予約がOXC装置300−1および300−2にされている(T411、T412)状態で、分散制御装置200がラベル予約を開始している。OXC装置300−1に対するラベル予約は、空き(Free)ラベルを対象としているため成功した(T91)。しかし、OXC装置300−2に対するラベル予約(#202−#301)は、既に#301が予約されているため失敗し(T93)、この失敗はGMPLSシグナリングで、分散制御装置200−1に伝達される(T94)。分散制御装置200−1は、これを受けてOXC装置300−1に対するラベル予約を解除する(T95)。その後集中制御装置100は、OXC装置300−3に対するラベル予約(T413)と、パス設定を実施する(T414〜T416)。つまり、先にラベル予約した集中制御装置が優先されている。
なお、図10において、T411とT412との間にT91〜T93の遷移が入った場合は、T412が失敗となり、分散制御装置が優先されることになる。集中制御装置の制御も一旦予約をするので、このようなことが起こる。
【0038】
図11を用いて集中制御装置によるパス設定の優先制御を説明する。ここで、図11は集中制御装置と分散制御装置とOXC装置との間の通信を説明する遷移図である。図11では、既に分散制御装置によるパス設定がされているために、集中制御装置によるラベル予約が失敗するが、集中制御装置によりラベルの強制予約がおこなわれ、集中制御装置によるパス設定が優先制御される。
【0039】
まず、OXC装置300のラベルの状態を105-1〜105−3とする。集中制御装置100は、ラベル予約を開始し、OXC装置300−2のラベル#202、#301を予約しようとするが、既にラベル#301がパス設定されていたため、ラベルの予約に失敗する(T422)。OXC装置300−2でのラベルの予約に失敗を検出したパス制御部110は、保守者にラベルが使用済みであることを通知し、強制パス設定を行うか指示を待つ。この場合、保守者が強制パス設定を要求したとする。集中制御装置100はOXC装置300−2に対しラベルの強制予約を行う(T423)。ラベルの強制制御要求を受けたOXC装置300−2の装置制御部320は、ラベル#201を「Free」状態、ラベル#301を「Resv(PC)」状態、そしてラベル#302を「Resv(PC)」状態に設定変更する。また、ラベル#201、#301間のクロスコネクト設定が削除されたことを分散制御装置200−2へ分散制御用IF 305を介し通知する(T424)。通知を受けた分散制御装置200−2は、分散制御装置200−1および分散制御装置200−3にGMPLSシグナリングによりパス削除を転送する(T425、T426)。分散制御装置200−1および分散制御装置200−3は、OXC装置300−1または300−3に設定したパスを解除する(T427、T428)。
【0040】
強制予約を行った集中制御装置100は、引き続きOXC装置300−3のラベル予約を行い(T429)、全てのラベル予約を完了する。その後、集中制御装置100は、各OXC装置300に対しパス設定操作を行う(T430〜T433)。この結果、分散制御装置で設定されていたパス設定が存在した場合でも、集中制御装置によるパス設定操作を優先しパス設定することができる。なお、保守者がパス設定の中止要求をした場合、集中制御装置100はOXC装置300−1で予約したラベルの予約を解除し処理を終了する。
【0041】
図12を用いて集中制御装置の動作を説明する。ここで、図12は集中制御装置のパス管理部の動作を説明するフロー図である。
保守者によるパス設定コマンドを集中制御装置100のパス管理部110が受け付けると、まずコマンド構文が正しいか確認する(S501)。また、指定されたOXC装置が全て存在するか確認する(S502)。さらに、指定されたラベルが全て存在するか確認する(S503)。ステップ501〜503のどれか一つでもNoならパス設定失敗通知を表示し(S504)、処理を終了する。
【0042】
コマンドの健全性がOKの場合、ラベルがFree状態であるかパス管理DB115を検索して確認する(S505)。Noの場合、強制的にパス設定するか保守者に問い合わせる(S506)。「行わない」との回答なら、パス設定失敗通知を表示し(S507)、処理を終える。ステップ506で「行う」との回答なら、強制予約フラグをonして(S508)、(1)に遷移する。また、ステップ505がYesなら全てのラベルおよびOXC装置について完了したか確認し(S509)、NoならばラベルまたはOXC装置のカウンタをインクリメントした後、ステップ505に戻る。
【0043】
(1)に遷移した場合、ラベルの予約要求をOXC装置に送信し(S511)、この予約が成功したか確認する(S512)。Noの場合、強制予約フラグを確認する(S513)。offの場合、強制的にパス設定するか保守者に問い合わせる(S514)。「行わない」との回答なら、ラベル予約した全てのラベルについてラベル解除要求をOXC装置送信し(S515)、パス設定失敗通知を表示し(S516)、処理を終える。ステップ513で「行う」との回答なら、強制予約フラグをonして(S517)、ラベル強制予約要求をOXC装置に送信し(S518)、パス情報DB115を更新するステップ519に遷移する。一方、ステップ513でonの場合、ラベル強制予約要求をOXC装置に送信し(S518)、パス情報DB115を更新するステップ519に遷移する。
【0044】
また、ステップ512がYesの場合、パス情報DB115を更新する(S519)。全てのラベルおよびOXC装置について完了したか確認し(S520)、NoならばラベルまたはOXC装置のカウンタをインクリメントした後、ステップ511に戻る。YesならばOXC装置にパス設定要求を送信した後(S521)、パス情報DB115のラベル情報テーブル20を更新する(S522)。全てのラベルおよびOXC装置について完了したか確認し(S523)、NoならばラベルまたはOXC装置のカウンタをインクリメントした後、ステップ521に戻る。Yesならばパス情報DB115のパス情報テーブル10を更新した後(S524)、パス完了通知を表示して(S525)、終了する。
【0045】
図13を用いてOXC装置の動作を説明する。ここで、図13はOXC装置の装置制御部の動作を説明するフロー図である。
制御装置からのコマンドをOXC装置300の装置制御部320が受け付けると、まずコマンド構文が正しいか確認する(S551)。また、指定されたラベルが全て存在するか確認する(S552)。ステップ551または552がNoならパス設定失敗通知を返信し(S553)、処理を終了する。
【0046】
コマンドの健全性がOKの場合、コマンドの制御内容を確認する(S554)。制御内容が「ラベル強制予約」なら、(2)に遷移する。「ラベル予約」なら、ラベル状態がFreeか確認する(S555)。Noならばエラー応答を制御装置に送信した後(S556)、処理を終了する。Yesならば装置情報DB325を更新し(S557)、制御装置に完了応答を送信した後(S558)、終了する。ステップ554で「パス設定」なら、当該ラベルが予約済みであるか確認し(S561)、Noならエラー応答を制御装置に送信した後(S562)、終了する。Yesならラベル情報テーブル30を参照して予約設定元制御装置とパス設定要求元制御装置が同じか確認する(S563)。確認結果がNoならエラー応答を制御装置に送信した後(S564)、終了する。Yesならパス設定変更および装置情報DB325更新を実施し(S565)、完了応答を送信した後(S566)、終了する。
【0047】
一方、(2)に遷移した場合、まず要求元制御装置が集中制御装置であるか確認する(S571)。Noならエラー応答を分散制御装置に送信した後(S572)、終了する。YesならラベルがPath(PC)でないことを確認する(S573)。Noならエラー応答を集中制御装置に送信した後(S574)、終了する。Yesならラベルの強制予約および装置情報DB325更新を実施し(S575)、遷移前のラベル状態がResv(SPC,SC)またはPath(SPC,SC)であったか確認し(S576)、Yesならば分散制御装置200にラベル解除通知を送信した後(S577)、完了応答を集中制御装置に送信して(S578)、終了する。
【0048】
以上述べた実施例では、ラベルスイッチングノードとしてOXC装置で説明したが、電気信号のクロスコネクト装置であっても良く、これらに限られない。電気信号のクロスコネクト装置の場合、図4のIFパッケージ345は、O/E変換およびE/O変換を実施して、SW機能部330には電気SWを設ける構成である。
【0049】
本実施例に拠れば、分散制御装置および集中制御装置が並存するラベル転送ネットワークにおいて、それらの装置が個々に設定したパス操作が競合することなく制御できる。また、分散制御装置および集中制御装置が並存するラベル転送ネットワークにおいて、分散制御装置が不測の事態に陥りパス制御が不能になった場合などでも、集中制御装置によるパス設定を優先的に制御することができ、集中制御装置によってパス制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】分散制御装置および集中制御装置が並存するラベル転送ネットワークのブロック図である。
【図2】集中制御装置の機能ブロック図である。
【図3】パス情報DBに保持されたパス情報テーブルとラベル情報テーブルを説明する図である。
【図4】OXC装置の機能ブロック図である。
【図5】装置情報DBが保持するラベル情報テーブルとパス情報テーブルを説明する図である。
【図6】OXC装置のラベルの状態遷移図である。
【図7】集中制御装置とOXC装置との間の通信を説明する遷移図である。
【図8】分散制御装置とOXC装置との間の通信を説明する遷移図である。
【図9】集中制御装置と分散制御装置とOXC装置との間の通信を説明する遷移図である。
【図10】集中制御装置と分散制御装置とOXC装置との間の通信を説明する第2の遷移図である。
【図11】集中制御装置によるパス設定の優先制御を説明する集中制御装置と分散制御装置とOXC装置との間の通信を説明する遷移図である。
【図12A】集中制御装置のパス管理部の動作を説明するフロー図(その1)である。
【図12B】集中制御装置のパス管理部の動作を説明するフロー図(その2)である。
【図13A】OXC装置の装置制御部の動作を説明するフロー図(その1)である。
【図13B】OXC装置の装置制御部の動作を説明するフロー図(その2)である。
【符号の説明】
【0051】
10…パス情報テーブル、20…ラベル情報テーブル、30…ラベル情報テーブル、40…SW情報テーブル、100…集中制御装置、105…制御UI、110…パス管理部、120…構成管理部、130…警報管理部、140…性能管理部、150…セキュリティ管理部、160…ノード制御IF、165…バス、200…分散制御装置、300…OXC装置、305…分散制御用IF、310…集中制御用IF、320…装置制御部、335…光SW、345…IFパッケージ、350…バス、400…クライアント装置、1001…GMPLS制御回線、1002…ノード制御回線、1003…ノード制御回線、1004…データ転送回線、1005…ラベルスイッチング。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散制御装置を接続する分散制御用IFと、集中制御装置を接続する集中制御用IFと、複数の信号入力IFと、複数の信号出力IFと、複数の前記信号入力IFと複数の前記信号出力IFとを接続するスイッチと、前記分散制御装置または前記集中制御装置の制御に基づいて前記スイッチを制御する制御部とからなるスイッチングノード。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチングノードであって、
前記集中制御装置の制御に基づいて前記スイッチを制御するとき、一旦予約状態とすることを特徴とするスイッチングノード。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のスイッチングノードであって、
前記分散制御装置の制御によってFree以外の状態にあるラベルを、前記集中制御装置の制御によって設定変更可能であることを特徴とするスイッチングノード。
【請求項1】
分散制御装置を接続する分散制御用IFと、集中制御装置を接続する集中制御用IFと、複数の信号入力IFと、複数の信号出力IFと、複数の前記信号入力IFと複数の前記信号出力IFとを接続するスイッチと、前記分散制御装置または前記集中制御装置の制御に基づいて前記スイッチを制御する制御部とからなるスイッチングノード。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチングノードであって、
前記集中制御装置の制御に基づいて前記スイッチを制御するとき、一旦予約状態とすることを特徴とするスイッチングノード。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のスイッチングノードであって、
前記分散制御装置の制御によってFree以外の状態にあるラベルを、前記集中制御装置の制御によって設定変更可能であることを特徴とするスイッチングノード。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【公開番号】特開2006−352297(P2006−352297A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−173291(P2005−173291)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(000153465)株式会社日立コミュニケーションテクノロジー (770)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(000153465)株式会社日立コミュニケーションテクノロジー (770)
【Fターム(参考)】
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