説明

スイッチングレギュレータおよびそれを備える電源装置

【課題】スイッチングレギュレータの放熱器を、そのフィンの部分で回路基板に実装すると、回路基板へ回路部品を実装できないデッドスペースが発生し、回路基板の面積が増大する。また、回路部品が発生するスイッチングノイズ対策として、回路部品間の距離を近づけることができず、回路基板の面積はさらに増大する。
【解決手段】回路基板(14)に、第1の放熱部(11a)、第2の放熱部(11b)、および第3の放熱部(11c)で構成される放熱器(11)を、第1の放熱部および第2の放熱部で実装する。放熱器の内部に形成される空間領域に、インターリーブ方式の力率改善回路を構成する2組のインダクタ(L1、L2)を配置し、回路基板に実装する。第1の放熱部の外面に、インターリーブ方式の力率改善回路を構成する2組のトランジスタ(Tr1、Tr2)、および2組のダイオード(D1、D2)を装着するとともに、回路基板に実装する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチングレギュレータおよびそれを備える電源装置に関し、特に、インターリーブPFC回路を備えたスイッチングレギュレータおよびそれを備える電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチングレギュレータの力率改善回路(以下、力率改善回路を、PFC(Power Factor Correction)回路とも記載する。)は、インダクタ、トランジスタ(例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor))、およびダイオードを主要回路部品として構成される。出力が数kW以上の高負荷機種のスイッチングレギュレータでは、回路電流の増加に起因する主要回路部品の大型化や温度抑制対策が課題となっていた。
【0003】
その解決策として、インターリーブPFC回路を備えたスイッチングレギュレータが実用化されている。インターリーブPFC回路は、上記主要回路部品を2組有している。各組の主要回路部品を交互にスイッチング動作させることにより、主要回路部品の導通電流は従来の半分となり、主要回路部品の小型化に貢献している。また、従来は設置できなかったインダクタ等が回路基板に実装可能となり、生産性向上による実装コストの低減に寄与している。
【0004】
図2を参照して、インターリーブPFC回路が備える主要回路部品について、その一般的な配置を説明する。インダクタL1、トランジスタTr1、およびダイオードD1は、インターリーブPFC回路を構成する1組目の主要回路部品である。インダクタL2、トランジスタTr2、およびダイオードD2は、2組目の主要回路部品である。これら2組の主要回路部品は、放熱器1とともに、回路基板4に実装される。放熱器1は、回路部品搭載部3とフィン2とから構成される。
【0005】
2組の主要回路部品のうち、トランジスタTr1,ダイオードD1、トランジスタTr2,およびダイオードD2は、放熱器1の回路部品搭載部3に装着される。小型化されたインダクタL1とインダクタL2は、回路基板4への実装も可能である。放熱器1は、フィン2の面で回路基板4へ実装されている。
【0006】
特開2008−306779号公報(特許文献1)には、裏面に放熱板が配置された配線基板に、インターリーブPFC回路を構成するパワーMOSFET、昇圧ダイオード、およびチョークコイルが搭載された構成が開示されている。パワーMOSFETと昇圧ダイオードは、配線基板に設けられた開口部に露出している放熱板と接着される。
【0007】
特開2010−88153号公報(特許文献2)には、スイッチング電源回路の入力側回路に含まれる入力側発熱素子(ブリッジダイオード)と出力側回路に含まれる出力側発熱素子とを、1アイテムの放熱板に取り付けた構成が開示されている。この構成は、動作温度などによる入力側発熱素子と出力側発熱素子間の温度バラツキを少なくすることを目的とする。
【0008】
特開2001−217577号公報(特許文献3)には、複数の放熱フィンを内部に有する筐体部の外部に、発熱量の大きい電気部品を配置し、筐体部の内部には、電磁ノイズ発生源となる電気部品または電磁ノイズの影響を受けやすい電気部品を配置する構成が開示されている。
【0009】
特開2003−125584号公報(特許文献4)には、力率改善回路を構成するギャップ付きチョークコイルを、トランスに対してヒートシンクでシールドし、ヒートシンクをトランスの1次側回路の安定電位となるラインに接続する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−306779号公報
【特許文献2】特開2010−88153号公報
【特許文献3】特開2001−217577号公報
【特許文献4】特開2003−125584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図2のインターリーブPFC回路において、通常のPFC回路に対し、放熱板1の回路部品搭載部3に搭載する回路部品数が2倍に増加するため、回路部品搭載部3に取り付けられているフィン2の面積も増加する。上記の通り、放熱器1は、フィン2により回路基板4へ実装されている。この結果、回路基板4において、フィン2の実装領域は回路部品を実装することが出来ないデッドスペースとなり、回路基板4の形状が大きくなるという問題があった。
【0012】
また、インターリーブPFC回路は、従来のPFC回路に比べて2倍の周波数で動作しているため、2組の主要回路部品が発生するスイッチングノイズによる他の回路や他機器への悪影響が問題となる。スイッチングレギュレータの他の回路へのノイズの影響を軽減するには、2組の主要回路部品をできるだけ近傍に実装させなければならない。しかしながら、このような近接実装は各回路部品の放熱性を低下させ、最悪の場合、回路部品の温度破壊に至るという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、回路基板と、所定の間隔および所定の長さに亘り対向する、矩形形状の第1の放熱部および第2の放熱部と、第1の放熱部および第2の放熱部の間に、回路基板と対向して、所定の間隔に亘り設けられた第3の放熱部とを有する放熱器と、インターリーブ方式の力率改善回路を構成する2組のインダクタ、トランジスタ、およびダイオード、とを備え、放熱器は、第1の放熱部および第2の放熱部で回路基板と実装され、2組のインダクタは、回路基板に実装されるとともに、第1の放熱部、第2の放熱部、および第3の放熱部の内面で形成される空間領域に配置され、2組のトランジスタおよびダイオードは、回路基板に実装されるとともに、第1の放熱部の外面に装着される、スイッチングレギュレータである。
【0014】
本発明のスイッチングレギュレータにおいて、放熱器は、その長さ方向の端部において、第1の放熱部、第2の放熱部、第3の放熱部、および回路基板で形成される第1の開口部および第2の開口部を有することが望ましい。
【0015】
本発明のスイッチングレギュレータにおいて、スイッチングレギュレータは、さらに放熱器に接続されたアース接続線を有し、アース接続線は、放熱器にアース電位を供給することが望ましい。
【0016】
本発明のスイッチングレギュレータにおいて、放熱器は、第3の放熱部に放熱穴を有することが望ましい。
【0017】
本発明のスイッチングレギュレータにおいて、2組のうちの一方のトランジスタおよびダイオードは、第1の放熱部を挟んで、2組のうちの一方のインダクタと対向して配置され、2組のうちの他方のトランジスタおよびダイオードは、第1の放熱部を挟んで、2組のうちの他方のインダクタと対向して配置されることが望ましい。
【0018】
本発明のスイッチングレギュレータにおいて、2組のうちの一方のトランジスタおよびダイオードの配置順と、2組のうちの他方のトランジスタおよびダイオードの配置順とは、第1の放熱部が延在する方向において同一であることが望ましい。
【0019】
本発明は、上記スイッチングレギュレータを備える電源装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、回路基板に実装される電気部品の放熱能力を損なうことなく、回路基板における電気部品の実装領域を有効に活用可能な放熱器を有するスイッチングレギュレータが提供可能となる。さらに、インダクタが発生する輻射ノイズは放熱器によりシールドされるため、インダクタと他の電気部品とを隣接して回路基板に配置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係るインターリーブPFC回路を備えるスイッチングレギュレータの、回路図である。
【図2】一般的な例に係るインターリーブPFC回路を備えるスイッチングレギュレータの、主要回路部品の配置を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るインターリーブPFC回路を備えるスイッチングレギュレータの、主要回路部品の配置を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態の変形例1に係るインターリーブPFC回路を備えるスイッチングレギュレータの、主要回路部品の配置を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態の変形例2に係るインターリーブPFC回路を備えるスイッチングレギュレータの、主要回路部品の配置を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態の変形例3に係るインターリーブPFC回路を備えるスイッチングレギュレータの、主要回路部品の配置を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態およびその各変形例に係るインターリーブPFC回路を備えるスイッチングレギュレータの、主要回路部品の配置と接続を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。実施の形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載ある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。実施の形態の図面において、同一の参照符号や参照番号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。また、実施の形態の説明において、同一の参照符号等を付した部分等に対しては、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0023】
<実施の形態>
図1を参照して、本発明の実施の形態に係るインターリーブPFC回路を備えるスイッチングレギュレータの、回路構成を説明する。
【0024】
本実施例の形態に係るイッチングレギュレータは、インターリーブPFC回路を備えるコンバータ回路で構成される。入力ノードN11と入力ノードN12との間に印加された入力直流電圧は、昇圧および平滑化されて、出力ノードN21と出力ノードN22との間に出力される。入力直流電圧の昇圧動作は、インターリーブPFC回路が備えるインターリーブPFC主要回路IMで行われ、平滑化は電解コンデンサCで行われる。入力ノードN12および出力ノードN22は、ともにアース配線GNDで接続される。
【0025】
インターリーブPFC主要回路IMは、2組の主要回路部品で構成される。1組目の主要回路部品は、インダクタL1、ダイオードD1、およびトランジスタTr1であり、2組目の主要回路部品は、インダクタL2、ダイオードD2、およびトランジスタTr2である。
【0026】
1組目の主要回路部品のうち、インダクタL1とダイオードD1は、この順序で入力ノードN11と出力ノードN21間に直列接続され、ダイオードD1のカソードK1は出力ノードN21と接続される。ダイオードD1のアノードA1とインダクタL1の一端を接続する配線とアース配線GNDには、各々、トランジスタTr1のコレクタC1とエミッタE1が接続される。トランジスタTr1はIGBTであり、そのゲートG1の電位は図示しない制御回路により制御される。
【0027】
2組目の主要回路部品のうち、インダクタL2とダイオードD2は、この順序で入力ノードN11と出力ノードN21間に直列接続され、ダイオードD2のカソードK2は出力ノードN21と接続される。ダイオードD2のアノードA2とインダクタL2の一端を接続する配線とアース配線GNDには、各々、トランジスタTr2のコレクタC2とエミッタE2が接続される。トランジスタTr2はIGBTであり、そのゲートG2の電位は図示しない制御回路により制御される。
【0028】
本実施例の形態に係るスイッチングレギュレータには、上記インターリーブ主要回路IMの出力電圧を平滑化する電解コンデンサCが、出力ノードN21とN22との間に接続される。なお、インターリーブPFC回路を備えるスイッチングレギュレータの回路動作は周知であり、本明細書での説明は省略する。
【0029】
図3を参照して、本発明の実施の形態に係るインターリーブPFC回路を備えるスイッチングレギュレータの、主要回路部品の配置を示す斜視図について説明する。
【0030】
回路基板14には、インターリーブPFC主要回路IMが発生する熱を空気中へ放熱する放熱器11が実装されている。放熱器11は、面方向が回路基板14の面と垂直であるとともに、所定の間隔で、所定の長さに亘り対向して配置される第1の放熱部11aおよび第2の放熱部11bを有する。放熱器11は、第1の放熱部11aおよび第2の放熱部11bが回路基板14と接する部分で、回路基板14に実装される。
【0031】
放熱器11は、さらに、その面方向が回路基板15と平行な第3の放熱部11cを有する。第3の放熱部11cは、第1の放熱部11aおよび第2の放熱部11bで挟まれる空間を上部から覆う。第3の放熱部11cの回路基板14と対向する面には、フィン11dが設けられている。放熱器11の長さ方向に垂直な断面は、片仮名の”コ”の字の形状を有している。第1の放熱部11a、第2の放熱部11b、および第3の放熱部11cは、矩形形状を有している。
【0032】
第1の放熱部11a、第2の放熱部11b、第3の放熱部11c、および回路基板14は、放熱器11の空間領域(以下、単に、”空間領域”と記載する場合もある。)を形成する。空間領域は、第1の放熱部11a、第2の放熱部11b、第3の放熱部11c、および回路基板11で密閉された空間ではなく、放熱器11の長さ方向の端部において、開口部15aおよび開口部15bを有する。開口部15aおよび開口部15bは、空間領域の通気性を確保するために設けられる。
【0033】
トランジスタTr1、ダイオードD1、トランジスタTr2、およびダイオードD2は、いずれも、第1の放熱部11aの外面に装着されるとともに、回路基板14に実装される。第1の放熱部11aの外面とは、空間領域に接する面と対向する面を意味する。インダクタL1およびインダクタL2は、放熱器11の空間領域内に配置されるとともに、回路基板14に実装される。
【0034】
放熱器11の第1の放熱部11aに装着された上記2組のトランジスタおよびダイオードが発生する熱は、放熱器11の第1の放熱部11a、第2の放熱部11b、および第3の放熱部11cから空気中へ放出される。一方、インダクタL1およびインダクタL2が発生する熱は、開口部15aおよび開口部15bから外部の空気中へ放出される。
【0035】
図2に示す回路基板4において、フィン2の実装領域は、回路部品を実装することが出来ないデッドスペースである。これに対し、図3に示す放熱器11は、対向して配置される第1の放熱部11aおよび第2の放熱部11bの各辺で回路基板14に実装される。各辺の面積の合計は、フィン2の面積に対して小さい。その結果、放熱器11を回路基板4に実装しても、第1の放熱部11aと第2の放熱部11bとの間に存在する回路基板14の領域に、インダクタL1およびインダクタL2を実装することが可能となる。
【0036】
インターリーブPFC主要回路IMを構成する回路部品の発熱量に応じて、第3の放熱部11cの回路基板14と対向する面にフィン11dを設けている。これにより、第1の放熱部11a、第2の放熱部11b、および第3の放熱部11cからの空気中への放熱に加え、インダクタL1およびインダクタL2で発生する熱が、フィン11dから放熱器11の開口部15aおよび開口部15bを経由して、空間領域から外部への放熱が促進される。
【0037】
第1の放熱部11aおよび第2の放熱部11bの間隔および高さは、インダクタL1およびインダクタL2の大きさや発熱量に応じて適宜設定する。フィン11dの垂直方向の長さは、第1の放熱部11a、第2の放熱部11b、および第3の放熱部11cで形成される放熱器11の空間領域にインダクタL1およびインダクタL2を配置するのに差し障りのない範囲で選択される。インターリーブPFC主要回路IMが発生する熱量によっては、フィン11dを設けなくともよい。
【0038】
本実施の形態では、放熱器11の内側に、インダクタL1とインダクタL2を配置しているので、高周波スイッチングによりインダクタから発生する輻射ノイズは、金属材料からなる放熱器11によりシールドされる。その結果、スイッチングレギュレータを構成する他の回路や、外部機器への輻射ノイズを大幅に低減することが可能となる。
【0039】
<実施の形態の変形例1>
図4を参照して、本発明の実施の形態の変形例1に係るインターリーブPFC回路を備えるスイッチングレギュレータの、インターリーブPFC回路が備える主要回路部品の配置を示す斜視図について説明する。
【0040】
実施の形態の変形例1に係るインターリーブPFC回路の構成は、図1に示す実施の形態と同一である。また、図4と図3において、同一の符号を付した回路部品や放熱器等の構成は同一であり、説明を省略する。
【0041】
本変形例1では、放熱器11にアース電位を供給するためのアース接続線13が接続されている。具体的には、放熱器11の第1の放熱部11aにネジ穴を設け、アース接続線13の一端をネジで固定する。アース接続線13の他端も同様に、図示しないスイッチングレギュレータのGND電位が供給されている部分とネジや半田等で、電気的に接続される。なお、アース接続線13の一端は放熱器11の第1の放熱部11aに接続されているが、この接続点として、放熱器11の他の部分を適宜選択しても良い。放熱器11にアース電位(GND)を供給することにより、放熱器11のシールド効果がより一層強化される。
【0042】
<実施の形態の変形例2>
図5を参照して、本発明の実施の形態の変形例2に係るインターリーブPFC回路を備えるスイッチングレギュレータの、主要回路部品の配置を示す斜視図について説明する。
【0043】
本発明の実施の形態の変形例2に係るインターリーブPFC回路を備えるスイッチングレギュレータの、主要回路部品の配置を示す斜視図について説明する。
【0044】
実施の形態の変形例2に係るインターリーブPFC回路の構成は、図1に示す実施の形態と同一である。また、図5と図3において、同一の符号を付した回路部品や放熱器等の構成は同一であり、説明を省略する。
【0045】
本変形例2では、放熱器11の第3の放熱部11cに放熱穴15を複数設けている。インダクタL1およびL2が配置される放熱器11の空間領域には、開口部15aおよび開口部15bを設けて空間領域の通気性を確保している。インダクタL1およびインダクタL2の発熱量が大きい場合、それらの開口部15aおよび開口部15bからの放熱では不十分であることが懸念される。
【0046】
そこで、放熱器11の第3の放熱部11cに複数の放熱穴15を配置し、インダクタL1およびインダクタL2が発生する熱を放熱器11の外部へ放出させ、放熱効果を高めることが可能となる。放熱器11に配置する放熱穴15の形状、数、および位置は、必要となる放熱能力と、放熱器11による輻射ノイズのシールド効果を総合的に判断して決定される。
【0047】
<実施の形態の変形例3>
図6を参照して、本発明の実施の形態の変形例3に係るインターリーブPFC回路を備えるスイッチングレギュレータの、主要回路部品の配置を示す斜視図について説明する。
【0048】
実施の形態の変形例3に係るインターリーブPFC回路の構成は、図1に示す実施の形態と同一である。また、図6と図3、図4、および図5において、同一の符号を付した回路部品や放熱器等の構成は同一であり、説明を省略する。
【0049】
本変形例3に係るインターリーブPFC回路を備えるスイッチングレギュレータは、図4の変形例1が有するアース接続線13と、図5の変形例2が有する放熱穴15とをともに有している。放熱器11のシールド効果が、アース接続線13によるアース電位の供給により高められるとともに、放熱器11の放熱効果が、放熱穴15により高められる。
【0050】
<実施の形態およびその各変形例に係る主要回路部品の配置と接続>
図7を参照して、本発明の実施の形態およびその各変形例に係るインターリーブPFC回路を備えるスイッチングレギュレータの、主要回路部品の配置と接続を示す平面図について説明する。
【0051】
図7(a)は、回路基板14に実装されている2組のインダクタL1とL2、2組のトランジスタTr1とTr2、および2組のダイオードD1とD2の配置を示す平面図である。回路基板14には、さらに、放熱器11と電解コンデンサCも実装される。
【0052】
放熱器11の第1の放熱部11aには、トランジスタTr1、ダイオードD1、トランジスタTr2、およびダイオードD2が装着される。インダクタL1は、放熱器11の空間領域において回路基板14に実装され、第1の放熱部11aを間に挟んで、トランジスタTr1およびダイオードD1の近傍に配置される。インダクタL2は、放熱器11の空間領域において回路基板14に実装され、第1の放熱部11aを間に挟んで、トランジスタTr2およびダイオードD2の近傍に配置される。電解コンデンサCは、第2の放熱部11bの近傍で回路基板14に実装される。
【0053】
図7(b)は、回路基板14の表面および裏面に形成されている配線パタンを示す。表面の配線パタンは実線で、裏面の配線パタンは破線で各々示されている。なお、回路基板14の表面とは、回路部品が実装される面を意味する。入力ノードN11と出力ノードN21間には、インダクタL1とダイオードD1が直列に接続される。インダクタL1とダイオードD1の接続ノードにはトランジスタTr1のコレクタC1が接続され、トランジスタTr1は、そのゲートG1に印加される制御信号に応答してインダクタL1に流れる電流を制御する。
【0054】
同様に、入力ノードN11と出力ノードN21間には、インダクタL2とダイオードD2が直列に接続される。インダクタL2とダイオードD2の接続ノードにはトランジスタTr2のコレクタC2が接続され、トランジスタTr2は、そのゲートG2に印加される制御信号に応答してインダクタL2に流れる電流を制御する。電解コンデンサCは、出力ノードN21とGND配線(図1の出力ノードN22に対応)間に接続され、出力電圧を平滑化する。
【0055】
放熱器11は、第1の放熱部11aおよび第2の放熱部11bが回路基板14と接する部分で、回路基板14に実装されている。この結果、対向して配置される第1の放熱部11aと11bの間に存在する回路基板14にインダクタL1およびインダクタL2を実装することが可能となっている。つまり、放熱器11の実装に伴う回路基板14における電気部品の実装領域減少を大幅に抑制できる。これに対し、図2に示す一般的なスイッチングレギュレータでは、フィン2の面を介して回路基板4へ実装されているため、回路部品を配置できないデッドスペースが存在していた。
【0056】
図7(b)に示される通り、放熱器11は、インダクタL1やインダクタL2から発生する輻射ノイズをシールドする。輻射ノイズがシールドされるため、インダクタL1やインダクタL2を他の主要回路部品に隣接して配置することが可能となる。その結果、インターリーブPFC主要回路IMを構成する2組の主要回路部品(L1/Tr1/D1、およびL2/Tr2/D2)は、それぞれの回路部品間の距離を最短にして配置することが可能となる。
【0057】
主要回路部品間の距離が短くなり、また、放熱器11による配線パタンの配置制限が解消されるため、主要回路部品間を、最短、かつ、太い配線で接続することが可能である。この結果、主要回路部品間を接続する配線パタンが有する寄生インダクタの値が小さくなり、スイッチングノイズが低減する。さらに、スイッチングノイズの低減により、主要回路部品の耐圧破壊が抑制される。また、配線パタンの寄生抵抗の値も減少する結果、配線パタンの温度上昇が抑制され、回路基板14の長寿命化や半田接続部の信頼性が向上する。
【0058】
主要回路部品間の距離が短くなることによる上記効果に加え、インターリーブPFC主要回路IMを構成する2組の主要回路部品において、主要回路部品を接続する回路基板14の配線パタンは、各組において同一の形状とすることが可能となる。図7(b)において、インダクタL1、トランジスタTr1、ダイオードD1、および電解コンデンサC間を接続する配線パタンと、インダクタL2、トランジスタTR2、ダイオードD2、および電解コンデンサC間を接続する配線パタンとは、同一形状となっている。
【0059】
2組の主要回路部品における配線パタンを同一とすることにより、インターリーブPFC回路のスイッチング動作時に、2つのPFC回路間の高周波電圧の発信現象が抑制され、安定したインターリーブ制御が可能となる。
【0060】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
N11,N12 入力ノード、N21,N22 出力ノード、Tr1,Tr2 トランジスタ、D1,D2 ダイオード、L1,L2 インダクタ、C 電解コンデンサ、GND アース配線、IM インターリーブPFC主要回路、1,11 放熱器、11a 第1の放熱部、11b 第2の放熱部、11c 第3の放熱部、15a,15b 開口部、2,11d フィン、3 回路部品搭載部、4,14 回路基板、13 アース接続線、15 放熱穴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
所定の間隔および所定の長さに亘り対向する、矩形形状の第1の放熱部および第2の放熱部と、前記第1の放熱部および第2の放熱部の間に、前記回路基板と対向して、前記所定の間隔に亘り設けられた第3の放熱部とを有する放熱器と、
インターリーブ方式の力率改善回路を構成する2組のインダクタ、トランジスタ、およびダイオード、とを備え、
前記放熱器は、前記第1の放熱部および第2の放熱部で前記回路基板と実装され、
前記2組のインダクタは、前記回路基板に実装されるとともに、前記第1の放熱部、前記第2の放熱部、および前記第3の放熱部の内面で形成される空間領域に配置され、
前記2組のトランジスタおよびダイオードは、前記回路基板に実装されるとともに、前記第1の放熱部の外面に装着される、スイッチングレギュレータ。
【請求項2】
前記放熱器は、その長さ方向の端部において、前記第1の放熱部、前記第2の放熱部、前記第3の放熱部、および前記回路基板で形成される第1の開口部および第2の開口部を有する、請求項1記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項3】
前記スイッチングレギュレータは、さらに前記放熱器に接続されたアース接続線を有し、
前記アース接続線は、前記放熱器にアース電位を供給する、請求項1または請求項2記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項4】
前記放熱器は、前記第3の放熱部に放熱穴を有する、請求項1ないし請求項3いずれか1項記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項5】
前記2組のうちの一方のトランジスタおよびダイオードは、前記第1の放熱部を挟んで、前記2組のうちの一方のインダクタと対向して配置され、前記2組のうちの他方のトランジスタおよびダイオードは、前記第1の放熱部を挟んで、前記2組のうちの他方のインダクタと対向して配置される、請求項1ないし請求項4いずれか1項記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項6】
前記2組のうちの一方のトランジスタおよびダイオードの配置順と、前記2組のうちの他方のトランジスタおよびダイオードの配置順とは、前記第1の放熱部が延在する方向において同一である、請求項5記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6いずれか1項記載のスイッチングレギュレータを備える電源装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−94028(P2013−94028A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236083(P2011−236083)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】