説明

スイッチング制御回路、電源装置

【課題】温度が急激に上昇した場合であっても、負荷を安定に駆動できるスイッチング制御回路を提供する。
【解決手段】スイッチング制御回路は、入力電圧から目的レベルの出力電圧を生成すべく、駆動信号のデューティ比に応じて入力電圧が入力電極に印加されたトランジスタをオンオフする駆動回路と、出力電圧に応じた帰還電圧及び基準電圧に基づいて、帰還電圧のレベルが基準電圧のレベルと一致するように駆動信号のデューティ比を変化させるとともに、温度の上昇に応じて出力電圧が低下するように駆動信号のデューティ比を変化させて、駆動信号を生成する駆動信号生成回路と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング制御回路、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電源IC等の集積回路には、一般に電源ICが熱により破壊されることを防ぐための過熱保護回路が設けられている。過熱保護回路は、例えば、電源ICが所定の温度になると電源ICのスイッチング動作を停止させる。これにより、過熱保護回路は、電源ICの更なる発熱を抑制し、電源ICが熱により破壊されることを防ぐことができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−108241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電源ICから負荷に供給される出力電流が過渡的に増加した場合、電源ICの温度も出力電流の増加に応じて急激に上昇する。そして、電源ICの温度が所定の温度となると過熱保護回路が動作し、出力電流の供給は停止される。一般に、電源ICの周辺温度が高い場合に出力電流が急激に増加すると、電源ICが所定の温度を越える可能性も高くなる。このため、出力電流の生成が停止される回数も増加し、電源ICが負荷を安定に駆動することは難しいという問題がある。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、温度が急激に上昇した場合であっても、負荷を安定に駆動できるスイッチング制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一つの側面に係るスイッチング制御回路は、入力電圧から目的レベルの出力電圧を生成すべく、駆動信号のデューティ比に応じて前記入力電圧が入力電極に印加されたトランジスタをオンオフする駆動回路と、前記出力電圧に応じた帰還電圧及び基準電圧に基づいて、前記帰還電圧のレベルが前記基準電圧のレベルと一致するように前記駆動信号のデューティ比を変化させるとともに、温度の上昇に応じて前記出力電圧が低下するように前記駆動信号のデューティ比を変化させて、前記駆動信号を生成する駆動信号生成回路と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
温度が急激に上昇した場合であっても、負荷を安定に駆動できるスイッチング制御回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態であるスイッチング電源回路10の構成を示す図である。
【図2】スイッチング電源回路10の動作を説明するための図である。
【図3】温度が変化した際のスイッチング電源回路10の動作を説明するための図である。
【図4】スイッチング電源回路12の構成を示す図である。
【図5】負荷11の状態が変動した際のスイッチング電源10,12の動作を説明するための図である。
【図6】過熱保護回路51が動作した際のスイッチング電源12における主要な信号の波形を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態であるスイッチング電源回路15の構成を示す図である。
【図8】スイッチング電源回路15の動作を説明するための図である。
【図9】温度が変化した際のスイッチング電源回路15の動作を説明するための図である。
【図10】本発明の一実施形態である電源装置100,150の構成を示す図である。
【図11】電源装置100の動作を説明するための図である。
【図12】電源装置150の動作を説明するための図である。
【図13】本発明の一実施形態である電源装置200,250の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
==スイッチング電源回路の第1の実施形態==
図1は、本発明の一実施形態であるスイッチング電源回路10の構成を示す図である。スイッチング電源回路10は、例えば、入力電圧Vin1から所望の出力電圧Vout1を生成する回路であり、電源IC20、インダクタ30、コンデンサ31,32、抵抗33〜35を含んで構成されている。
【0011】
負荷11は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の集積回路であり、出力電圧Vout1を電源電圧として動作する。なお、負荷11に流れる負荷電流をIL1とする。
【0012】
電源IC20(スイッチング制御回路)は、基準電圧回路40、誤差増幅回路41、発振回路42、温度検出回路43、加算回路44、コンパレータ45、クロック生成回路46、Dフリップフロップ47、駆動回路50、過熱保護回路51、NMOSトランジスタ55、及びPMOSトランジスタ56を含んで構成される。また、電源IC20は、端子IN、端子SW、端子RC、端子FBを備える集積回路である。そして、電源IC20は、端子FBに印加される電圧Vfb1が所定レベルとなるようにNMOSトランジスタ55、PMOSトランジスタ56をスイッチングし、目的レベルの出力電圧Vout1を生成する。なお、基準電圧回路40、誤差増幅回路41、発振回路42、温度検出回路43、加算回路44、コンパレータ45、クロック生成回路46、Dフリップフロップ47は、駆動信号生成回路に相当する。また、発振回路42、温度検出回路43、加算回路44は、発振信号出力回路に相当する。コンパレータ45、クロック生成回路46、Dフリップフロップ47は、駆動信号出力回路に相当する。
【0013】
基準電圧回路40は、例えばバンドギャップ電圧など、温度に依存しない所定レベルの基準電圧Vref1を生成する回路である。
誤差増幅回路41は、端子FBに印加される帰還電圧Vfb1と、基準電圧Vref1との誤差を増幅する回路である。また、誤差増幅回路41の出力とグランドGNDとの間には、端子RCを介して、位相補償用のコンデンサ32及び抵抗35が接続されている。なお、誤差増幅回路41の出力と端子RCとが接続されたノードの電圧を、電圧Ve1とする。
発振回路42は、所定周期の鋸歯状の発振信号Vosc1を出力する。
【0014】
温度検出回路43(温度電圧生成回路)は、電源IC20の温度Tx1に応じて電圧レベルが変化する温度電圧Vt1を出力する。なお、温度Tx1は、電源IC20の各回路で生じる発熱と、電源IC20の周辺の環境温度Taとの和で定まる。また、本実施形態では、温度が高くなると、温度電圧Vt1のレベルは高くなるように温度検出回路43が設計されている。
加算回路44は、発振信号Vosc1の電圧レベルと、温度電圧Vt1の電圧レベルとを加算する。また、加算回路44は、加算結果を電圧Vs1として出力する。
【0015】
コンパレータ45は、電圧Ve1と電圧Vs1とを比較し、PWM信号Vp1を出力する。なお、ここでは、電圧Ve1がコンパレータ45の非反転入力端子に印加され、電圧Vs1がコンパレータ45の反転入力端子に印加されている。このため、電圧Vs1のレベルが電圧Ve1のレベルより低くなるとPWM信号Vp1はHレベルとなり、電圧Vs1のレベルが電圧Ve1のレベルより高くなるとPWM信号Vp1はLレベルとなる。また、以下本実施形態では、PWM信号Vp1の一周期においてHレベルの占める期間を、PWM信号Vp1のデューティ比とする。
クロック生成回路46は、発振信号Vosc1が立下りから立ち上がりに変化するタイミングで、Hレベルとなるクロック信号Vck1を出力する。
【0016】
Dフリップフロップ47は、コンパレータ33からのPWM信号Vp1をクロック信号Vck1に同期させて、駆動信号Vq1を変化させる。PWM信号Vp1がHレベルの場合、クロック信号Vck1の立ち上がりと同時に駆動信号Vq1はHレベルになり、PWM信号Vp1がLレベルの場合、Dフリップフロップ47はリセットされ駆動信号Vq1はLレベルとなる。
【0017】
駆動回路50は、駆動信号Vq1に基づいて、NMOSトランジスタ55、PMOSトランジスタ56をスイッチングする。具体的には、駆動信号Vq1がHレベルとなると、NMOSトランジスタ55をオフし、PMOSトランジスタ56をオンする。一方、駆動信号Vq1がLレベルとなると、NMOSトランジスタ55をオンし、PMOSトランジスタ56をオフする。
【0018】
過熱保護回路51は、温度電圧Vt1に基づいて、電源IC20の温度Tx1が所定の温度Toとなると、駆動回路50のスイッチングを停止させる。つまり、過熱保護回路51は、温度Toとなると、駆動回路50に、NMOSトランジスタ55及びPMOSトランジスタ56をオフさせる。
【0019】
NMOSトランジスタ55及びPMOSトランジスタ56は、同期整流回路である。駆動回路50がNMOSトランジスタ55をオンし、PMOSトランジスタ56をオフすると、端子SWの電圧は、ほぼグランドGNDとなる。このため、コンデンサ31は放電され出力電圧Vout1は低下する。一方、駆動回路50がNMOSトランジスタ55をオフし、PMOSトランジスタ56をオンすると、端子SWの電圧は、ほぼ入力電圧Vinとなる。このため、コンデンサ31は充電され出力電圧Vout1は上昇する。ところで、電源IC20では、他の一般的な電源ICと同様に、負荷電流IL1となる電流を出力するPMOSトランジスタ56の発熱が最も大きい。このため、PMOSトランジスタ56のオン抵抗をRpとし、PMOSトランジスタ56の電流をIp1すると、電源IC20の発熱は、PMOSトランジスタ56で生じる発熱であるRp×Ip1に応じて変化する。なお、PMOSトランジスタ56のソース電極が入力電極に相当する。
【0020】
インダクタ30及びコンデンサ31は、端子SWの電圧Vswの高周波成分を減衰するローパスフィルタを構成する。このため、コンデンサ31には、直流レベルの出力電圧Vout1が生成される。
【0021】
抵抗33及び抵抗34は、出力電圧Vout1を抵抗33,34の抵抗比で分圧した帰還電圧Vfb1を生成する。
【0022】
==温度が一定の場合のスイッチング電源回路10の動作==
ここで、図2を参照しつつ、電源IC20の温度Tx1が一定の場合におけるスイッチング電源回路10の動作の一例を説明する。なお、ここでは、電源IC20の温度Tx1が一定であることとするため、電圧Vt1と、電圧Vs1の直流レベルとは一定となる。この場合、電圧Vs1は発振信号Vosc1と同様に変化する。また、スイッチング電源回路10は、所望のレベルの出力電圧Vout1を生成していることとする。
【0023】
まず、時刻t0において、電圧Ve1より電圧Vs1が低くなると、PWM信号Vp1はHレベルとなる。そして、発振信号Vosc1の立ち上がる時刻t1にクロック信号Vck1がHレベルとなると、駆動信号Vq1はHレベルとなる。このため、NMOSトランジスタ55はオフされ、PMOSトランジスタ56はオンされる。
【0024】
つぎに、時刻t2に電圧Vs1が電圧Ve1より高くなると、PWM信号Vp1はLレベルとなる。この結果、Dフリップフロップ57はリセットされ、駆動信号Vq1もLレベルとなる。したがって、NMOSトランジスタ55はオンし、PMOSトランジスタ56はオフする。また、時刻T3において電圧Vs1が電圧Ve1より低くなると、時刻t0と同様に、PWM信号Vp1がHレベルとなる。時刻t3以降、時刻t0〜t3までの動作が繰り返される。
【0025】
ここで、例えば、出力電圧Vout1が上昇した場合、帰還電圧Vfb1も上昇する。帰還電圧Vfb1が基準電圧Vref1より大きくなると、電圧Ve1は低下し、駆動信号Vq1のデューティ比も低下する。したがって、上昇した出力電圧Vout1及び帰還電圧Vfbは低下する。一方、出力電圧Vout1が低下した場合、帰還電圧Vfb1も低下する。そして、帰還電圧Vfb1が基準電圧Vref1より小さくなると、電圧Ve1は上昇し、駆動信号Vq1のデューティ比も増加する。したがって、低下した出力電圧Vout1及び帰還電圧Vfb1は上昇する。このように、帰還電圧Vfb1は、基準電圧Vref1に一致するようフィードバック制御され、電源IC20は所望の電圧Vout1を生成し続ける。
【0026】
==温度変化が緩やかな場合のスイッチング電源回路10の動作==
電源IC20の温度変化が緩やかな場合のスイッチング電源回路10の動作の一例を説明する。なお、温度変化が緩やかとは、帰還電圧Vfb1のフィードバックループのループ帯域の応答速度よりも、電源IC20の温度Tx1が十分遅く変化することをいう。また、スイッチング電源回路10は、所望のレベルの出力電圧Vout1を生成していることとする。なお、以下、帰還電圧Vfb1のフィードバックループのループ帯域の応答速度は、単にスイッチング電源回路10の応答速度と称する。
【0027】
例えば、環境温度Taが上昇すると、電源IC20の温度Tx1も上昇する。したがって、温度電圧Vt1は上昇し、電圧Vs1の直流レベルも上昇する。電圧Vs1の直流レベルが上昇すると、図3に例示したように、駆動信号Vq1のデューティ比は低下する。駆動信号Vq1のデューティ比が低下すると、出力電圧Vout1は低下するため、帰還電圧Vfb1も低下する。前述のように、帰還電圧Vfb1は、基準電圧Vref1に一致するようフィードバック制御されている。また、本実施形態では、スイッチング電源回路10の応答速度が、環境温度Taの変化よりも十分早くなるよう設計されている。このため、電圧Vs1の直流レベルが上昇して帰還電圧Vfb1が低下すると、電源IC20は、帰還電圧Vfb1が基準電圧Vref1に一致するよう、直ちに電圧Ve1のレベルも増加させる。したがって、本実施形態では、駆動信号Vq1のデューティ比は実質的には変化せず、駆動信号Vq1のデューティ比は一定のままとなる。なお、環境温度Taが低下した場合も同様である。このように、温度変化が緩やかな場合には、スイッチング電源IC10は、所望の出力電圧Vout1を生成し続ける。
【0028】
==温度変化が急激な場合のスイッチング電源回路10の動作==
電源IC20の温度変化が急激な場合のスイッチング電源回路10の動作の一例を説明する。なお、温度変化が急激とは、電源IC20の温度Tx1が、スイッチング電源回路10の応答速度に対し無視できない程度の速さで変化することをいう。
【0029】
温度Tx1が急激に高くなると、図3に例示したように、駆動信号Vq1のデューティ比は小さくなる。このため、PMOSトランジスタ56のオン期間は短くなり、PMOSトランジスタ56から端子SWへ供給される電流Ip1は小さくなる。前述のように、温度Tx1は電流Ip1に応じて変化するため、温度Tx1が急激に上昇すると、結果的に温度Tx1の上昇が抑制される。一方、温度Tx1が急激に低くなると、駆動信号Vq1のデューティ比は大きくなる。このため、PMOSトランジスタ56のオン期間は長くなり、電流Ip1は大きくなる。つまり、温度Tx1が急激に低下すると、結果的に温度Tx1の低下が抑制される。このように、スイッチング電源回路10は、温度Tx1が急激に変化した際に、温度Tx1の変化を妨げるよう動作する。
【0030】
ここで、スイッチング電源回路10の動作の詳細を、一般的なスイッチング電源回路の動作と比較しつつ説明する。なお、一般的なスイッチング電源回路は、例えば、図4に示すような電源IC21を用いたスイッチング電源回路12である。電源IC21は、電源IC20において加算回路44を設けず、発振回路42の発振信号Vosc2をコンパレータ46の反転入力端子に印加した構成である。電源IC21において、電源IC20とで同じ符号が付されたブロックは同じである。また、電源IC21における各ノードの電圧等については、電源IC20の各ノードの電圧等と同様の符号が付してある。電源IC21では、加算回路44等以外の構成は電源IC20と同様であるため、電源IC21の発振信号Vosc2の直流レベルは温度変化によらず一定である。したがって、温度Tx1が一定の場合のスイッチング電源回路10と同様に、スイッチング電源回路12は、帰還電圧Vfb2が基準電圧Vref2に一致するように出力電圧Vout2を制御する。なお、ここでは、電源IC21の温度をTx2とする。
【0031】
図5は、負荷11が過渡的に変化した際の負荷電流等の変化の一例を示す図である。負荷11が変化する前の時刻t10において、出力電圧Vout1,Vout2は所望の電圧V1であることとする。さらに、負荷電流IL1,IL2は電流I1であり、温度Tx1,Tx2は温度T1であることとする。また、図5においては、時刻t10から時刻t11まで負荷11が重くなり、その後、時刻t11から時刻t12まで負荷11が軽くなる。そして、時刻t12において負荷11の状態が時刻t10の負荷11の状態と同じとなるように変化する。本実施形態では、負荷11の状態が変化する速度は、スイッチング電源回路10,12の応答速度よりも早いこととする。
【0032】
まず、スイッチング電源回路12の各波形について説明する。前述のように、負荷11の状態はスイッチング電源回路12の応答速度より速く変動するため、出力電圧Vout2は負荷11が重くなるにつれて低下し、負荷11が軽くなるにつれて上昇する。また、時刻t11において負荷11が最も重い状態となるため、負荷電流IL2は、時刻t11で最大となる。スイッチング電源回路12は、出力電圧Vout2が電圧V1から低下すると、出力電圧Vout2を上昇させるべく、PMOSトランジスタ56のオン期間を長くする。PMOSトランジスタ56のオン期間は、出力電圧Vout2が電圧V1から低下する程長くなる。このため、PMOSトランジスタ56に流れる電流Ip2は、負荷電流IL2と同様に変化する。前述のように、電源IC21の温度Tx2は電流Ip2に応じて変化するため、温度Tx2は時刻t11で最大となる。
【0033】
つぎに、スイッチング電源10の各波形について説明する。時刻t10となると、負荷11の状態は重くなるため、出力電圧Vout1は減少し、負荷電流IL1は増加する。また、スイッチング電源回路10は、出力電圧Vout1が電圧V1から低下すると、出力電圧Vout1を上昇させるべく、PMOSトランジスタ56のオン期間を長くする。このため、電源IC20の温度Tx1は上昇する。温度Tx1が上昇すると、電源IC20は、前述のように、温度Tx1の上昇を妨げるようにNMOSトランジスタ55、PMOSトランジスタ56を制御する。つまり、電源IC20は、PMOSトランジスタ56のオン期間が短くなるようPMOSトランジスタ56を制御する。したがって、電源IC20の信号Vpのデューティ比は、電源IC21の信号Vpのデューティ比より小さくなる。この結果、負荷11が変化した場合であっても、図5に示すように、温度Tx1は、温度Tx2よりも小さくなるとともに、出力電圧Vout1は、出力電圧Vout2より低下する。また、負荷電流IL1,IL2は、負荷11に印加される出力電圧Vout1,Vout2と、負荷11の状態(実質的な負荷11の抵抗値)とで定まる。このため、負荷電流IL1は負荷電流IL2よりも小さくなる。
【0034】
ここで、例えば、図6に示すように、時刻t13に、温度Tx2が過熱保護回路51の動作温度Toとなる場合について説明する。温度Tx2が動作温度Toとなると、電源IC21はスイッチング動作を停止する。このため、出力電圧Vout2は、ほぼゼロとなり、負荷11に供給される負荷電流IL2もほぼゼロとなる。スイッチング動作が停止されると、電源IC21の温度Tx2は、環境温度Taに近づくように変化する。一方、電源IC20の温度Tx2は、温度Tx1よりも低いため、電源IC20はスイッチング動作し続ける。このように、スイッチング電源回路10は、負荷11に変動があった場合、
例えば図5に示すように、負荷11を駆動する能力(出力電圧、負荷電流)は、スイッチング電源回路12よりも低い。しかしながら、図6に示すように、温度Tx1の変化を妨げるように動作し、温度Tx1は温度Tx2よりも低くなる。このため、スイッチング電源回路10は、急激に負荷11が変動した際に過電圧保護回路51が動作する可能性を少なくできる。したがって、スイッチング電源回路10は、一般的なスイッチング電源回路12より安定に負荷11を駆動することができる。
【0035】
==スイッチング電源回路の第2の実施形態==
図7は、本発明の一実施形態であるスイッチング電源回路15の構成を示す図である。スイッチング電源回路15は、例えば、入力電圧Vin3から所望の出力電圧Vout3を生成する回路であり、電源IC25、インダクタ30、コンデンサ31,32、抵抗33〜35を含んで構成されている。
【0036】
電源IC25(スイッチング制御回路)は、いわゆる電流モードの電源ICであり、基準電圧回路40、誤差増幅回路41、発振回路42、温度検出回路43、コンパレータ45、クロック生成回路46、Dフリップフロップ47、駆動回路50、過熱保護回路51、NMOSトランジスタ55、PMOSトランジスタ56、電流検出抵抗60、増幅回路61、及び加算回路62を含んで構成される。なお、図7に示したスイッチング電源回路15と、図1に示したスイッチング電源回路10とで同じ符号の付されているブロックは同じである。また、電源IC25における各ノードの電圧等については、電源IC20の各ノードの電圧等と同様の符号が付してある。電源IC20と、電源IC25とを比較すると、電流検出抵抗60、増幅回路61、及び加算回路62のみが異なるブロックであるため、ここでは、異なるブロックについて説明する。なお、電流検出抵抗60、増幅回路61は、電流検出回路に相当する。
【0037】
電流検出抵抗60は、PMOSトランジスタ56に流れる電流Ip3を検出する抵抗である。
増幅回路61は、電流検出抵抗60の両端に生じる電圧を増幅し、電流Ip3の電流値に応じた電圧Vamp(検出電圧)を出力する。
加算回路62は、電圧Vampの電圧レベルと、発振信号Vosc3の電圧レベルと、温度電圧Vt3の電圧レベルとを加算する。また、加算回路62は、加算結果を電圧Vs3として出力する。
【0038】
==温度が一定の場合のスイッチング電源回路15の動作==
ここで、図8を参照しつつ、電源IC25の温度Tx3が一定の場合におけるスイッチング電源回路15の動作の一例を説明する。なお、ここでは、電源IC25の温度Tx3が一定であることとするため、電圧Vt3と、電圧Vs3の直流レベルとは一定となる。また、スイッチング電源回路15は、所望のレベルの出力電圧Vout3を生成していることとする。
【0039】
まず、時刻t20より前では、電圧Ve3より電圧Vs3が低いため、PWM信号Vp3はHレベルである。そして、時刻t20にクロック信号Vck3がHレベルとなると、駆動信号Vq3はHレベルとなる。このため、NMOSトランジスタ55はオフされ、PMOSトランジスタ56はオンされる。PMOSトランジスタ56がオンされると、PMOSトランジスタ56の電流Ipが流れるため、電圧Vampも増加する。このため、電圧Vs3のレベルも上昇する。
【0040】
そして、時刻t21に電圧Vs3が電圧Ve3より高くなると、PWM信号Vp3はLレベルとなる。この結果、Dフリップフロップ57はリセットされ、駆動信号Vq3もLレベルとなる。このため、PMOSトランジスタ56はオフし、電流Ip3はゼロとなる。また、時刻t22にクロック信号Vck3がHレベルとなると、時刻t20と同様に、PWM信号Vp3がHレベルとなる。時刻t22以降、時刻t20〜t22までの動作が繰り返される。
【0041】
ここで、例えば、出力電圧Vout3が上昇した場合、帰還電圧Vfb3も上昇する。帰還電圧Vfb3が基準電圧Vref3より大きくなると、電圧Ve3は低下し、駆動信号Vq3のデューティ比も低下する。したがって、上昇した出力電圧Vout3及び帰還電圧Vfb3は低下する。一方、出力電圧Vout3が低下した場合、帰還電圧Vfb3も低下する。そして、帰還電圧Vfb3が基準電圧Vref3より小さくなると、電圧Ve3は上昇し、駆動信号Vq3のデューティ比も増加する。したがって、低下した出力電圧Vout3及び帰還電圧Vfb3は上昇する。このように、帰還電圧Vfb3は、基準電圧Vref3に一致するようフィードバック制御される。したがって、スイッチング電源回路15は所望の電圧Vout3を生成し続ける。
【0042】
==温度変化が緩やかな場合のスイッチング電源回路15の動作==
電源IC25の温度変化が緩やかな場合のスイッチング電源回路15の動作の一例を、図9を参照しつつ説明する。なお、ここでは、スイッチング電源回路15の出力電圧Vout3は所望レベルに制御されていることとする。
【0043】
例えば、環境温度Taが上昇すると、電源IC25の温度Tx3も上昇するため、温度電圧Vt3は上昇する。このため、電圧Vs3の直流レベルも上昇し、駆動信号Vq3のデューティ比は低下する。駆動信号Vq3のデューティ比が低下すると、出力電圧Vout3は低下するため、帰還電圧Vfb3も低下する。前述のように、帰還電圧Vfb3は、基準電圧Vref3に一致するようフィードバック制御されている。本実施形態では、スイッチング電源回路15の応答速度が、環境温度Taの変化よりも十分早くなるよう設計されている。したがって、実際には電圧Vs3の直流レベルが上昇すると、電源IC25は、帰還電圧Vfb3が基準電圧Vref3に一致するよう直ちに電圧Ve3のレベルも増加させる。つまり、本実施形態では、駆動信号Vq3のデューティ比は実質的には変化せず、駆動信号Vq3のデューティ比は一定のままとなる。なお、環境温度Taが低下した場合も同様である。このように、温度変化が緩やかな場合には、スイッチング電源IC10は、所望の出力電圧Vout3を生成し続ける。
【0044】
==温度変化が急激な場合のスイッチング電源回路15の動作==
電源IC25の温度変化が急激な場合のスイッチング電源回路15の動作の一例を説明する。
温度Tx3が急激に高くなると、図9に例示したように、駆動信号Vq3のデューティ比は小さくなる。このため、PMOSトランジスタ56のオン期間は短くなり、PMOSトランジスタ56から端子SWへ供給される電流Ip3は小さくなる。電源IC25の温度Tx3は、温度Tx1と同様に、電流Ip3に応じて変化する。したがって、温度Tx3が急激に上昇すると、温度Tx3の上昇が抑制される。一方、温度Tx3が急激に低くなると、駆動信号Vq3のデューティ比は大きくなる。このため、PMOSトランジスタ56のオン期間は長くなり電流Ip3は大きくなる。つまり、温度Tx3が急激に低下すると、温度Tx3の低下が抑制される。このように、スイッチング電源回路15は、温度Tx3が急激に変化した際に、温度Tx3の変化を妨げるよう動作する。
したがって、スイッチング電源回路15では、一般的な電流モードの電源ICを用いた一般的なスイッチング電源回路(不図示)と比較すると、急激な温度変化が生じにくい。
このため、スイッチング電源回路15は、急激に負荷11が変動した際に過電圧保護回路51が動作する可能性を少なくできるため、一般的なスイッチング電源回路より安定に負荷11を駆動し続けることができる。
【0045】
==電源装置の第1の実施形態==
図10は、本発明の一実施形態である電源装置100の構成を示す図である。電源装置100は、所望の出力電圧を負荷11に対して供給する装置であり、並列に接続された2つのスイッチング電源回路10を含んで構成される。本実施形態では、2つのスイッチング電源回路10を区別すべく、一方をスイッチング電源回路10aとし、他方をスイッチング電源回路10bとする。なお、以下、符号の後に記載された“a”、“b”は、同じブロックを区別するためのものである。
【0046】
スイッチング電源10aは、電源IC20a、インダクタ30a、コンデンサ31a,32、抵抗33a,34a,35を含んで構成される。電源IC20aは、前述のように、図1に示す電源IC20と同じである。このため、特に図示しないが、電源IC20aに含まれる各ブロックには、“a”が付されていることとする。
【0047】
スイッチング電源10bは、電源IC20b、インダクタ30b、コンデンサ31b,32、抵抗33b,34b,35を含んで構成される。電源IC20bを構成する各ブロックにも、電源IC20aと同様に、“b”が付されていることとする。なお、スイッチング電源回路10a,10bの夫々は、コンデンサ32、抵抗35を夫々で共有し、同じ負荷11を駆動する。つまり、スイッチング電源10a,10bは並列運転する。
【0048】
電源装置100では、電源IC20a,20bの夫々の端子RC(不図示)と、コンデンサ32とが接続されるノードの電圧を電圧Ve1とし、スイッチング電源回路10a,10bの共通する出力電圧をVout1とし、負荷11の負荷電流をIout1とする。このため、スイッチング電源回路10aからの負荷電流IL1aと、スイッチング電源回路10aからの負荷電流IL1bとの和がIout1となる。さらに、電源IC20aの温度をTA1とし、電源IC20bの温度をTA2とする。
【0049】
なお、上記以外のスイッチング電源回路10a,10bにおける各ノードの電圧等については、スイッチング電源回路10の各ノードの電圧等と同様である。
【0050】
==電源装置100の動作==
ここで、温度TA1が温度TA2よりも高い場合の電源装置100の動作について、図1を参照しつつ説明する。なお、温度TA1が温度TA2より高くなる状況は、例えば、電源IC20a,20bの夫々の周辺温度が同じであるが、負荷電流IL1aが負荷電流IL1bより大きい場合や、負荷電流IL1a,IL1bは同じであるが、電源IC20aの周辺温度が電源IC20bの周辺温度より高い場合に生じる。また、周辺温度に差が生じる状況は、例えば、電源IC20aの直近に高温のCPU(不図示)等があり、電源IC20bの周辺には特に発熱する回路等が無い場合等が考えられる。
【0051】
温度TA1が温度TA2より高いため、図11に示すように、電源IC20aにおける加算回路44aからの電圧Vs1aの直流レベルは、電源IC20bにおける加算回路44bからの電圧Vs1bの直流レベルより高くなる。また、電圧Ve1は共通であるため、電源IC20aの駆動信号Vq1aのデューティ比は、電源IC20bの駆動信号Vq1bのデューティ比より小さくなる。この結果、負荷電流IL1aは負荷電流IL1bより小さくなり、温度TA1は低下し温度TA2は上昇する。つまり、本実施形態の電源装置100は、所望の出力電圧Vout1を生成しつつ、温度TA1と温度TA2との差が少なくなるよう動作する。
【0052】
==電源装置の第2の実施形態==
本発明の一実施形態である電源装置150を、図10を参照しつつ説明する。なお、電源装置150は、所望の出力電圧を負荷11に対して供給する装置であり、並列に接続された2つのスイッチング電源回路15を含んで構成される。本実施形態でも、2つのスイッチング電源回路15を区別すべく、一方をスイッチング電源回路15aとし、他方をスイッチング電源回路15bとする。電源装置150は、電源装置100における電源IC20a、20bの代わりに電源IC25a、25bを用いた以外は電源装置100と同じである。
【0053】
スイッチング電源15aは、電源IC25a、インダクタ30a、コンデンサ31a,32、抵抗33a,34a,35を含んで構成される。電源IC25aは、前述のように、図1に示す電源IC25と同じである。スイッチング電源15bは、電源IC25b、インダクタ30b、コンデンサ31b,32、抵抗33b,34b,35を含んで構成される。なお、スイッチング電源回路15a,15bの夫々は、コンデンサ32、抵抗35を夫々で共有し、同じ負荷11を駆動する。つまり、スイッチング電源15a,15bは並列運転する。
【0054】
電源装置150では、電源IC25a,25bの夫々の端子RC(不図示)と、コンデンサ32とが接続されるノードの電圧を電圧Ve3とし、スイッチング電源回路10a,10bの共通する出力電圧をVout3とし、負荷11の負荷電流をIout3とする。さらに、電源IC25aの温度をTB1とし、電源IC25bの温度をTB2とする。
【0055】
また、上記以外のスイッチング電源回路15a,15bにおける各ノードの電圧等については、スイッチング電源回路15の各ノードの電圧等と同様である。
【0056】
==電源装置150の動作==
ここで、温度TB1が温度TB2よりも高い場合の電源装置150の動作について、図7を参照しつつ説明する。
温度TB1が温度TB2より高いため、図12に示すように、電源IC25aにおける加算回路62aからの電圧Vs3aの直流レベルは、電源IC25bにおける加算回路62bからの電圧Vs3bの直流レベルより高くなる。また、電圧Ve3は共通であるため、電源IC25aの駆動信号Vq3aのデューティ比は、電源IC25bの駆動信号Vq3bのデューティ比より小さくなる。この結果、負荷電流IL3aは負荷電流IL3bより小さくなり、温度TB1は低下し温度TB2は上昇する。つまり、本実施形態の電源装置150は、所望の出力電圧Vout3を生成しつつ、温度TB1と温度TB2との差が少なくなるよう動作する。
【0057】
==電源装置の第3の実施形態==
本発明の一実施形態である電源装置200を、図13を参照しつつ説明する。電源装置200は、所望の出力電圧を負荷11に対して供給する装置であり、並列に接続された2つのスイッチング電源回路10を含んで構成される。なお、スイッチング電源回路10c,10dは、コンデンサ32、抵抗35を夫々有している以外は、スイッチング電源回路10a,10bと同じである。
【0058】
スイッチング電源10cは、電源IC20a、インダクタ30a、コンデンサ31a,32a、抵抗33a〜35aを含んで構成される。スイッチング電源10dは、電源IC20b、インダクタ30b、コンデンサ31b,32b、抵抗33b〜35bを含んで構成される。なお、スイッチング電源回路10c,10dの共通する出力電圧をVo1とし、負荷11の負荷電流をIo1とする。また、ここでは電源装置100と同様に、電源IC20aの温度をTA1とし、電源IC20bの温度をTA2とする。
【0059】
==電源装置200の動作==
ここで、例えば、初期状態として温度TA1,TA2がともに所定の温度であり、その後、温度TA1のみが上昇した場合の電源装置200の動作について図1を参照しつつ説明する。
【0060】
温度TA1が上昇すると、電源IC20aの加算回路44aからの電圧Vs1aの直流レベルは上昇する。この結果、電源IC20aの駆動信号Vq1aのデューティ比は小さくなり、出力電圧Vo1は低下する。出力電圧Vo1が低下すると、帰還電圧Vfb1a,Vfb1bはともに低下する。このため、電源IC20a、20bは、帰還電圧Vfb1a,Vfb1bの夫々が基準電圧Vref1a,Vref1bと一致するよう電圧Ve1a,Ve1bを上昇させる。
【0061】
ここで、例えばスイッチング電源回路10のように、温度Tx1が上昇したことによって低下した出力電圧Vout1を、スイッチング電源回路10のみの制御で上昇させる場合、電源IC20は、温度Tx1の変化の前後で同じデューティ比の駆動信号Vq1を出力する必要がある。しかしながら、電源装置200では、温度TA1が上昇して出力電圧Vo1が低下すると、前述のように、電源IC20aのみならず、電源IC20bも出力電圧Vo1が上昇するよう動作する。さらに、温度TA2は一定のため、電源IC20bの加算回路44bからの電圧Vs1bの直流レベルは変化しない。このため、電圧Ve1bが上昇すると、電源IC20bの駆動信号Vq1bのデューティ比は温度TA1が上昇する前より大きくなる。したがって、温度TA1が上昇する前よりも小さいデューティ比の駆動信号Vq1aが生成されている状態で、所望のレベルの出力電圧Vo1が生成されることとなる。
【0062】
このように、温度TA1が上昇すると、駆動信号Vq1aのデューティ比は温度TA1が上昇する前より小さくなり、駆動信号Vq1bのデューティ比は温度TA1が上昇する前より大きくなる。よって、本実施形態の電源装置200は、所望の出力電圧Vo1を生成しつつ、温度TA1と温度TA2との差が少なくなるよう動作する。
【0063】
==電源装置の第4の実施形態==
本発明の一実施形態である電源装置250を、図13を参照しつつ説明する。電源装置250は、所望の出力電圧を負荷11に対して供給する装置であり、並列に接続された2つのスイッチング電源回路15を含んで構成される。電源装置250は、電源装置200における電源IC20a、20bの代わりに電源IC25a、25bを用いた以外は電源装置200と同じである。
【0064】
また、電源IC25a、25bも、夫々の温度変化に対しては電源IC20a,20bと同様に動作する。このため、例えば、電源IC25aの温度のみが上昇した場合、電源装置250は、電源IC25aの温度と、電源IC25bの温度との差が少なくなるよう動作する。
【0065】
以上に説明した本実施形態の電源IC20は、温度Tx1が急激に変化した際に、温度Tx1の変化を妨げるよう動作する。例えば、スイッチング電源回路10において負荷11が重くなった際にも温度Txの上昇は抑制される。このため、温度Txが過電圧保護回路51の動作する温度Toとなる可能性は少なくなる。したがって、電源IC20がスイッチング動作を停止する回数は少なくなるため、スイッチング電源回路10は負荷11を安定に駆動できる。
【0066】
また、電源IC20では、温度Tx1に応じて直流レベルの変化する電圧Vs1は、帰還電圧Vfb1と、基準電圧Vref1との誤差を生成する誤差増幅回路41の電圧Ve1と比較される。電圧Ve1は、帰還電圧Vfb1のフィードバックループのループ帯域の応答速度に応じて変化する。このため、温度Tx1の変化が緩やかで、電圧Vs1の直流レベルの変化が応答速度よりも十分遅い場合、スイッチング電源回路10は温度Tx1の変化を妨げることは無い。したがって、例えば、環境温度Taが徐々に高くなる場合には、温度Tx1は環境温度Taに同様に高くなる。そして、温度Tx1が温度Toとなると過熱保護回路51は動作する。このため、電源IC20は、環境温度Ta等が上昇し、熱により破壊される可能性が高くなる場合には、確実に過熱保護回路51を動作させることができる。
【0067】
また、電源IC20では、温度Tx1に応じて直流レベルの変化する温度電圧Vt1と、発振信号Vosc1の電圧レベルとを加算回路44で加算している。このような構成とすることで、温度Tx1に応じて直流レベルの変化する電圧Vs1を生成している。
【0068】
また、電源IC25では、加算回路62に、発振信号Vosc3及び温度電圧Vt3の他に、PMOSトランジスタ56の電流Ip3に応じた電圧Vampが入力されている。このため、電源IC25は、いわゆる電流モードの電源ICとして動作する。また、電源IC25は、温度Tx3の変化に対しては電源IC20と同様に動作する。したがって、スイッチング電源回路15は、スイッチング電源回路10と同様に負荷11を安定に駆動できる。
【0069】
また、例えば、電源装置200は、所望の出力電圧Vout1を生成しつつ、電源IC20aの温度TA1と電源IC20bの温度TA2との差が少なくなるよう動作する。つまり、電源装置200は、温度TA1と温度TA2とが平均化されるよう動作する。このため、電源IC20a、20bのうち、一方の温度の高い場合であっても、一方の動作が過熱保護回路51によって停止される可能性は低くなる。よって、電源装置200は、負荷11を安定に駆動できる。
【0070】
また、例えば、電源装置200において、スイッチング電源回路10c,10dの夫々は同じ構成である。しかしながら、電源IC20a,20bや、外付け部品等の製造バラツキにより、スイッチング電源回路10c,10dの夫々の応答速度は異なる。このため、スイッチング電源回路10cの応答速度が、スイッチング電源回路10dの応答速度より速い場合等がある。この様な場合には、例えば、温度TA1が上昇して出力電圧Vo1が低下しても、応答速度の速い電圧Ve1aのみしか上昇しないことが起こりうる。したがって、電源IC20a,20bの発熱が平均化されにくくなる。しかしながら、例えば、電源装置100では、電源IC20a,20bのRC端子が共通である。このため、例えば、温度TA1が上昇すると、確実に駆動信号Vq1aのデューティ比は温度TA1が上昇する前より小さくなり、駆動信号Vq1bのデューティ比は温度TA1が上昇する前より大きくなる。よって、電源装置100は、所望の出力電圧Vout1を生成しつつ、より確実に温度TA1と温度TA2との差が少なくできる。
【0071】
なお、上記実施例は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0072】
電源IC20では、温度Tx1に応じて電圧Vs1の直流レベルが変化することとしたが、これに限られるものでは無い。例えば、電圧Veの直流レベルを温度に応じて変化させる可変抵抗回路(例えば、電圧Vt1に応じて分圧比が変化する回路)を設けても良い。そして、可変抵抗回路の出力をコンパレータ45の非反転入力端子に印加し、例えば、発振信号Vosc1をコンパレータ45の反転入力端子に印加すると、電源IC20と同様に、温度Tx1に応じて駆動信号Vq1のデューティ比を変化させることができる。
【0073】
例えば、電源装置100は、コンデンサ32,抵抗35を電源IC20a,20bで共有することとしたが、電源IC20a,20bの夫々が有することとしても良い。その場合であっても、電源IC20a,20bの夫々のRC端子が接続されていれば、電源装置100と同様に動作する。
【0074】
また、コンデンサ32等の電源IC20の位相補償用の外付け部品は、電源IC20の中に設けられていても良い。
【0075】
また、発振信号Vosc1は鋸歯状波であるが、例えば、三角波や、逆鋸歯状波であっても良い。
【符号の説明】
【0076】
10,12,15 スイッチング電源回路
11 負荷
20,21,22 電源IC
30 インダクタ
31,32 コンデンサ
33〜35 抵抗
40 基準電圧回路
41 誤差増幅回路
42 発振回路
43 温度検出回路
44,62 加算回路
45 コンパレータ
46 クロック生成回路
47 Dフリップフロップ
50 駆動回路
51 過熱保護回路
60 電流検出抵抗
62 増幅回路
100,150,200,250 電源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧から目的レベルの出力電圧を生成すべく、駆動信号のデューティ比に応じて前記入力電圧が入力電極に印加されたトランジスタをオンオフする駆動回路と、
前記出力電圧に応じた帰還電圧及び基準電圧に基づいて、前記帰還電圧のレベルが前記基準電圧のレベルと一致するように前記駆動信号のデューティ比を変化させるとともに、温度の上昇に応じて前記出力電圧が低下するように前記駆動信号のデューティ比を変化させて、前記駆動信号を生成する駆動信号生成回路と、
を備えることを特徴とするスイッチング制御回路。
【請求項2】
入力電圧から目的レベルの出力電圧を生成すべく、駆動信号のデューティ比に応じて前記入力電圧が入力電極に印加されたトランジスタをオンオフする駆動回路と、
前記出力電圧に応じた帰還電圧及び基準電圧に基づいて、前記帰還電圧のレベルが前記基準電圧のレベルと一致するように前記駆動信号のデューティ比を変化させて前記駆動信号を生成する駆動信号生成回路と、を備え、
前記駆動信号生成回路は、
前記帰還電圧と前記基準電圧との誤差に応じた誤差電圧を生成する誤差増幅回路と、
直流レベルを中心に所定周期で発振する三角波状の発振信号を出力するとともに、温度の変化に応じて前記直流レベルを変化させる発振信号出力回路と、
前記誤差電圧と前記発振信号との大小関係に基づいて、前記帰還電圧のレベルが前記基準電圧のレベルと一致するようなデューティ比の前記駆動信号を出力する駆動信号出力回路と、
を含むことを特徴とするスイッチング制御回路。
【請求項3】
請求項2に記載のスイッチング制御回路は、
前記発振信号出力回路は、
直流レベルを中心に前記所定周期で発振する三角波状の出力信号を生成する発振回路と、
温度に応じた電圧レベルの温度電圧を生成する温度電圧生成回路と、
温度の上昇に応じて前記出力電圧が低下するように、前記出力信号の電圧レベルと前記温度電圧の電圧レベルとを加算し、加算結果を前記発振信号として出力する加算回路と、
を含むことを特徴とするスイッチング制御回路。
【請求項4】
請求項3に記載のスイッチング制御回路は、
前記トランジスタに流れる電流を検出し、検出結果に応じた検出電圧を出力する電流検出回路を更に備え、
前記加算回路は、
温度の上昇または、前記トランジスタに流れる電流の増加に応じて前記出力電圧が低下するように、前記出力信号と前記温度電圧と前記検出電圧とを加算し、加算結果を前記発振信号として出力すること、
を特徴とするスイッチング制御回路。
【請求項5】
第1入力電圧から目的レベルの出力電圧を生成すべく、第1駆動信号のデューティ比に応じて前記第1入力電圧が入力電極に印加された第1トランジスタをオンオフする第1駆動回路と、前記出力電圧に応じた第1帰還電圧及び第1基準電圧に基づいて、前記第1帰還電圧のレベルが前記第1基準電圧のレベルと一致するように前記第1駆動信号のデューティ比を変化させるとともに、温度の上昇に応じて前記出力電圧が低下するように前記第1駆動信号のデューティ比を変化させて、前記第1駆動信号を生成する第1駆動信号生成回路と、を含む第1スイッチング電源回路と、
第2入力電圧から前記出力電圧を生成すべく、第2駆動信号のデューティ比に応じて前記第2入力電圧が入力電極に印加された第2トランジスタをオンオフする第2駆動回路と、前記出力電圧に応じた第2帰還電圧及び第2基準電圧に基づいて、前記第2帰還電圧のレベルが前記第2基準電圧のレベルと一致するように前記第2駆動信号のデューティ比を変化させるとともに、温度の上昇に応じて前記出力電圧が低下するように前記第2駆動信号のデューティ比を変化させて、前記第2駆動信号を生成する第2駆動信号生成回路と、を含む第2スイッチング電源回路と、
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項6】
第1入力電圧から目的レベルの出力電圧を生成すべく、第1駆動信号のデューティ比に応じて前記第1入力電圧が入力電極に印加された第1トランジスタをオンオフする第1駆動回路と、前記出力電圧に応じた第1帰還電圧及び第1基準電圧に基づいて、前記第1帰還電圧のレベルが前記第1基準電圧のレベルと一致するように前記第1駆動信号のデューティ比を変化させて前記第1駆動信号を生成する第1駆動信号生成回路と、を含む第1スイッチング電源回路と、
第2入力電圧から前記出力電圧を生成すべく、第2駆動信号のデューティ比に応じて前記第2入力電圧が入力電極に印加された第2トランジスタをオンオフする第2駆動回路と、前記出力電圧に応じた第2帰還電圧及び第2基準電圧に基づいて、前記第2帰還電圧のレベルが前記第2基準電圧のレベルと一致するように前記第2駆動信号のデューティ比を変化させて前記第2駆動信号を生成する第2駆動信号生成回路と、を含む第2スイッチング電源回路と、を備え、
前記第1駆動信号生成回路は、
前記第1帰還電圧と前記第1基準電圧との差に応じてコンデンサを充放電する第1誤差増幅回路と、
直流レベルを中心に所定周期で発振する三角波状の第1発振信号を出力するとともに、温度の変化に応じて前記直流レベルを変化させる第1発振信号出力回路と、
前記コンデンサの充電電圧と前記第1発振信号との大小関係に基づいて、前記第1帰還電圧のレベルが前記第1基準電圧のレベルと一致するようなデューティ比の前記第1駆動信号を出力する第1駆動信号出力回路と、
を含み、
前記第2駆動信号生成回路は、
前記第2帰還電圧と前記第2基準電圧との差に応じて前記コンデンサを充放電する第2誤差増幅回路と、
直流レベルを中心に所定周期で発振する三角波状の第2発振信号を出力するとともに、温度の変化に応じて前記直流レベルを変化させる第2発振信号出力回路と、
前記コンデンサの充電電圧と前記第2発振信号との大小関係に基づいて、前記第2帰還電圧のレベルが前記第2基準電圧のレベルと一致するようなデューティ比の前記第2駆動信号を出力する第2駆動信号出力回路と、
を含むこと、
を特徴とする電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−114984(P2011−114984A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270586(P2009−270586)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(506227884)三洋半導体株式会社 (1,155)
【Fターム(参考)】