説明

スイッチング制御装置、電力変換装置および集積回路

【課題】スイッチング素子の駆動時に発生するEMIノイズによる周囲の機器への影響を低減する。
【解決手段】スイッチング制御装置100は、PWM信号生成部210と、バッファ230,231とを備え、制御指令に応じてスイッチング素子TR1を駆動する。PWM信号生成部210は、オシレータ220からのパルス信号と制御指令とに基づいて、スイッチング素子TR1を駆動するためのタイミング信号を生成する。バッファ230,231は、タイミング信号に応答して、スイッチング素子TR1のゲートに供給するゲート電流を周期的に変更してスイッチング速度を変化させる。これによって、スイッチング制御装置100は、スイッチング素子TR1のスイッチング動作時に発生するEMIノイズの周波数を分散化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング制御装置、電力変換装置および集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチングレギュレータやチャージポンプ回路などを含む、スイッチング素子のオン・オフ動作によって電力を変換する電力変換装置においては、スイッチング時に発生する過渡的な高周波電流に起因して電磁妨害(Electro Magnetic Interference:EMI)ノイズが発生し得る。近年、電波や高周波の電気信号を扱う電子機器(特に携帯電話やパーソナルコンピュータなどのデジタル信号を扱う情報通信機器)の増加に伴って、一般家庭に普通にあるような家電製品がノイズの発生源となる可能性がある。
【0003】
このEMIノイズは、周囲の機器の動作に影響を与えてしまう場合があり、特に電波を扱う携帯電話や医療機器に対しては、EMIノイズを低減することが必要とされている。
【0004】
特開2007−209130号公報(特許文献1)には、スイッチング素子を有する電力変換装置の、スイッチング素子のオン・オフのタイミングを決定するパルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)制御回路において、スイッチング素子のオンタイミングおよびスイッチング素子のオフタイミングのうち、EMIノイズレベルの小さいほうのタイミングを固定周期とし、大きいほうのタイミングをパルス幅制御することによって、PWMのキャリア周波数を変えることなくEMIノイズを低減させる技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−209130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特開2007−209130号公報(特許文献1)によれば、ノイズレベルが大きくなるタイミングの発生周期が時間的に分散されるため、EMIノイズレベルのピーク値が低減される。
【0007】
しかしながら、特開2007−209130号公報(特許文献1)のような技術では、EMIノイズレベルのピーク値は低減されるものの、発生するEMIノイズの周波数は変化しないので、特定の周波数成分にEMIノイズのピークが発生する。
【0008】
そのため、このEMIノイズの周波数帯が、たとえば周囲の機器の動作周波数や無線周波数などに近接している場合には、これらの機器への影響を低減できない可能性がある。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、スイッチング素子の駆動時に発生するEMIノイズによる周囲の機器への影響を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明におけるスイッチング制御装置は、PWM信号生成部と、バッファ回路とを備え、制御指令に応じてスイッチング素子を駆動する。PWM信号生成部は、発振器からのパルス信号と制御指令とに基づいて、スイッチング素子を駆動するタイミング信号を生成する。バッファ回路は、タイミング信号に応答して、スイッチング素子のゲートに供給するゲート電流を周期的に変更してスイッチング速度を変化させる。
【0011】
好ましくは、バッファ回路は、複数のバッファを含む。バッファ回路は、複数のバッファを周期的に制御することによってゲート電流を変更する。
【0012】
好ましくは、バッファ回路は、タイミング信号に応じて、複数のバッファのうちで、ゲート電流を供給するバッファの数を変更することによって、ゲート電流を変更する。
【0013】
好ましくは、複数のバッファは、第1および第2のバッファを含む。第2のバッファは、第1のバッファの動作の2周期に1回の割合で動作する。
【0014】
好ましくは、第2のバッファは、第1のバッファと等しいゲート電流を供給するように設定される。
【0015】
好ましくは、第2のバッファは、第1のバッファとは異なるゲート電流を供給するように設定される。
【0016】
好ましくは、ゲート電流は、複数のバッファごとに異なる値に設定される。バッファ回路は、ゲート電流を変更するために、タイミング信号に応答して複数のバッファを切換えるための切換部をさらに備える。
【0017】
本発明による電力変換装置は、スイッチング素子と、PWM信号生成部と、バッファ回路とを備え、制御指令に応じたスイッチング素子のオン・オフ動作によって、電源からの電力を変換して負荷に供給する。PWM信号生成部は、発振器からのパルス信号と制御指令とに基づいて、スイッチング素子を駆動するタイミング信号を生成する。バッファ回路は、タイミング信号に応答して、スイッチング素子のゲートに供給するゲート電流を周期的に変更してスイッチング速度を変化させる。
【0018】
好ましくは、電力変換装置は、電源からの直流電圧の昇圧および降圧の少なくとも一方を行なうコンバータである。
【0019】
本発明による集積回路は、スイッチング素子と、発振器と、PWM信号生成部と、バッファ回路とを備え、制御指令に応じたスイッチング素子のオン・オフ動作によって、電源からの電力を変換して負荷に供給する電力変換装置を制御する。PWM信号生成部は、発振器からのパルス信号と前記制御指令とに基づいて、前記スイッチング素子を駆動するタイミング信号を生成する。バッファ回路は、タイミング信号に応答して、スイッチング素子のゲートに供給するゲート電流を周期的に変更してスイッチング速度を変化させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、スイッチング素子の駆動時に発生するEMIノイズの周波数を分散させることができ、特定の周波数に発生するピークを抑制することができるので、周囲の機器へのEMIノイズの影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態1に従うスイッチング制御装置を備える電力変換装置の機能ブロック図である。
【図2】ゲート信号の立ち上がり、立ち下がりが急峻な場合の、EMIノイズ信号の一例を示す図である。
【図3】ゲート信号の立ち上がり、立ち下がりが緩やかな場合の、EMIノイズ信号の一例を示す図である。
【図4】ゲート信号の立ち上がり、立ち下がりの時間を変化させた場合の、EMIノイズレベルと周波数との関係の例を示す図である。
【図5】実施の形態1における、各信号の状態を説明するためのタイムチャートである。
【図6】実施の形態1に従うスイッチング制御装置を備える集積回路の例を示す図である。
【図7】実施の形態1の変形例に従うスイッチング制御装置を備える電力変換装置の機能ブロック図である。
【図8】実施の形態2に従うスイッチング制御装置を備える電力変換装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0023】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に従うスイッチング制御装置200を備える電力変換装置100の機能ブロック図である。
【0024】
図1を参照して、電力変換装置100は、電源ノード120と、スイッチング制御装置200と、コイルL1と、スイッチング素子TR1と、コンデンサC1と、抵抗R1とを備え、たとえばLED(Light Emitting Diode)などの負荷110へ所定の直流電圧を供給する。なお、図1においては、スイッチング素子TR1として、N型金属酸化電界効果トランジスタ(Metal Oxide Field Effect Transistor:MOSFET)を用いる構成を説明するが、スイッチング素子TR1は、バイポーラトランジスタやその他のトランジスタを使用することができる。
【0025】
コイルL1の一方端は電源ノード120にされ、他方端はスイッチング素子TR1のドレインに接続される。スイッチング素子TR1のソースは接地され、ゲートはスイッチング制御装置200の出力に接続される。
【0026】
負荷110の一方端は、ダイオードD1を介して、スイッチング素子TR1のドレインに接続され、他方端は抵抗R1を介して接地される。ダイオードD1は、スイッチング素子TR1のドレインから負荷110に向かう方向を順方向として接続される。
【0027】
すなわち、コイルL1およびスイッチング素子TR1は、チョッパ回路として動作し、スイッチング制御装置200によって生成されるゲート信号のデューティに応じて、電源ノード120の電圧を昇圧して負荷110に供給する。
【0028】
コンデンサC1は、スイッチング素子TR1のドレインと接地との間に接続され、負荷110に供給される電圧を平滑化する。
【0029】
負荷110と抵抗R1との接続ノードは、スイッチング制御装置200の入力と接続され、フィードバック回路が形成される。
【0030】
スイッチング制御装置200は、PWM信号生成部210と、オシレータ220と、バッファ回路205とを含む。また、バッファ回路205は、バッファ230,231と、変調部240とを含む。
【0031】
PWM信号生成部210は、外部の制御装置(図示せず)からの昇圧指令SIGと、基準電圧REFと、フィードバック信号FBと、オシレータ220からの発振信号OSCとを受ける。PWM信号生成部210は、この基準電圧REFおよびフィードバック信号FBの偏差と、発振信号OSCとに基づいて生成されるキャリア信号とを比較して、スイッチング素子TR1のゲート信号となるPWM信号を生成する。そして、PWM信号生成部210は、昇圧指令SIGに従って、生成したPWM信号をバッファ230,231へ出力する。
【0032】
バッファ230,231は、PWM信号生成部210とスイッチング素子TR1のゲートとの間に並列に接続される。バッファ230,231は、PWM信号生成部210からのPWM信号に基づいて、スイッチング素子TR1のゲートに所定のゲート電圧を供給する。バッファ230,231は、PWM信号がオンになると、ゲート電流を供給してゲートに電荷を充電させることによってゲートに印加するゲート電圧を増加させる。また、バッファ230,231は、PWM信号がオフになると、ゲートに充電された電荷を放電することによってゲート電圧を低下させる。このゲート電流の大きさによって、ゲート信号の立ち上がり、立ち下がりの傾き(すなわち、スイッチング速度)が定められる。なお、バッファ230,231の各々が供給可能なゲート電流の大きさは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0033】
バッファ230は、常時アクティブな状態とされており、PWM信号生成部210からのPWM信号と同じタイミングで、スイッチング素子TR1のゲートへゲート電流を供給する。
【0034】
バッファ231は、変調部240からのイネーブル信号ENがオンに設定されているときにアクティブな状態とされ、PWM信号生成部210からのPWM信号に従ってスイッチング素子TR1のゲートへゲート電流を供給する。一方、バッファ231は、イネーブル信号ENがオフに設定されているときには非アクティブな状態とされ、PWM信号を受けてもゲート電流を供給しない。
【0035】
変調部240は、オシレータ220からの発振信号OSCを受ける。そして、変調部240は、受けた発振信号OSCを変調し、その変調したタイミングでイネーブル信号ENを生成してバッファ231へ出力する。
【0036】
実施の形態1においては、たとえば、変調部240は、オシレータ220の発振信号OSCの2倍の周期でイネーブル信号ENをオンに設定する。これによって、バッファ231からは、PWM信号の2周期に1回の頻度でゲート電流が出力される。そして、バッファ230のみによってゲート電流を供給する場合と、バッファ230,231の両方からゲート電流を供給する場合とで、スイッチング速度が変化する。
【0037】
次に、図2および図3を用いて、ゲート信号のスイッチング速度と、スイッチング動作によって発生するEMIノイズとの関係について説明する。図2は、ゲート信号の立ち上がり、立ち下がりが急峻な場合のEMIノイズ信号の一例を示す図である。また、図3は、ゲート信号の立ち上がり、立ち下がりが緩やかな場合のEMIノイズ信号の一例を示す図である。
【0038】
図2および図3を参照して、一般的に、発生するEMIノイズの周波数成分は、スイッチング素子のゲート信号の立ち上がりおよび立ち下がりの時間と相関があり、ゲート信号が急激に変化するほど、高い周波数成分を含むEMIノイズが発生する。すなわち、図2の場合、すなわち供給されるゲート電流が多く、ゲート信号の立ち上がり、立ち下がりが急峻なほうが、図3の場合と比べて発生するEMIノイズに、より高い周波数成分が含まれるようになる。
【0039】
図4に、EMIノイズレベルとノイズの周波数fnとの関係を示すが、図2の場合は図4における曲線W1のように、周波数の高い領域でノイズレベルがピークとなり、図3の場合には図4における破線の曲線W2のように、曲線W1よりも周波数の低い領域でノイズレベルがピークとなる。
【0040】
そのため、図2の場合と図3の場合とを、交互に繰り返してスイッチングを行なうと、曲線W1およびW2が時間的に平均され、図4の曲線W3のように発生するノイズレベルのピークが緩和されるとともに、発生する周波数成分が時間的に分散化される。
【0041】
図5は、実施の形態1における、各信号の状態を説明するためのタイムチャートである。図5においては、横軸に時間が示され、縦軸には、オシレータ220の発振信号OSC、変調部240のイネーブル信号EN、PWM信号生成部210のPWM信号、バッファ230,231の動作状態、およびスイッチング素子TR1のゲートに供給されるゲート信号の状態が示される。
【0042】
図5を参照して、発振信号OSCは、一定周期Tのパルス信号である。そして、イネーブル信号ENは、周期Tごとにオンとオフとが交互に繰り返される信号である。
【0043】
PWM信号は、基準電圧REFおよびフィードバック信号FBの偏差とキャリア信号とから定まるデューティ比に従った、周期Tのパルス波形、すなわち、デューティ比=D/Tとなるパルス幅をD有するパルス波形である。
【0044】
バッファ230は、上述のように常にアクティブな状態であるので、PWM信号と同期して動作する。
【0045】
一方、バッファ231は、イネーブル信号ENがオンのときにアクティブな状態となるので、2Tの周期ごと、すなわち図5中の時刻t1〜t2,t5〜t6において動作する。
【0046】
これによって、バッファ230,231の両方が動作状態となる時刻t1〜t2,t5〜t6においては、両方のバッファからゲート電流が供給されるので、ゲート信号の立ち上がり、立ち下がりが急峻になる。一方、バッファ231が停止状態となる時刻t3〜t4においては、バッファ230からのゲート電流のみが供給されるので、ゲート信号の立ち上がり、立ち下がりが緩やかになる。
【0047】
そのため、上述のように、時刻t1〜t2,t5〜t6の場合と、時刻t3〜t4の場合とで、発生するEMIノイズの周波数が異なるので、発生する周波数成分が時間的に分散化され全体として発生するノイズレベルのピークが緩和される。これによって、EMIノイズによる周囲の機器への影響を低減することが可能となる。
【0048】
なお、上述の例においては、バッファ231は、周期Tの2倍の周期でアクティブとされる構成としたが、たとえば3倍の周期や4倍の周期でアクティブとされるようにしてもよい。また、各バッファにおいて供給されるゲート電流については、所望のゲート信号のスイッチング速度に応じて適宜設定される。ただし、スイッチング速度を遅くする、すなわち傾きを小さくするほど、スイッチング素子TR1におけるスイッチング損失が増大してしまうので、許容できるスイッチング損失の範囲内でゲート電流を設定することが必要であることに注意すべきである。
【0049】
また、上記の例では、2つのバッファを用いてゲート電流を変化させる構成について説明したが、複数のレベルのゲート電流設定が可能な1つのバッファを用いて、上記のバッファ回路と同様の機能を実現するような構成とすることもできる。
【0050】
図6は、図1で示した電力変換装置100において、スイッチング制御装置200およびスイッチング素子TR1を集積回路150としてパッケージ化した例である。集積回路150には、過電流保護部170および過電圧保護部160が必要に応じて追加される。
【0051】
過電流保護部170は、スイッチング素子TR1のソースに流れる電流を検出し、検出電流がしきい値を超過すると、スイッチング制御装置200の動作を停止させて装置を保護する。
【0052】
過電圧保護部160は、負荷110の電源側の電圧を検出し、検出電圧がしきい値を超過するとスイッチング制御装置200の動作を停止させて装置を保護する。
【0053】
[実施の形態1の変形例]
上述の実施の形態1においては、2つのバッファを備えて、それぞれの動作周期を異なる周期に設定することによって、ゲート信号のスイッチング速度を変更する構成を説明したが、バッファの数は2つに限らず、3つ以上の場合にも適用可能である。
【0054】
図7は、図1のスイッチング制御装置200に、もう1つのバッファ232を追加した、3つのバッファを有するスイッチング制御装置200Aを備える電力変換装置100Aの機能ブロック図である。図7において、図1と重複する要素の説明は繰り返さない。
【0055】
この変形例においては、バッファ回路205Aは、バッファ230,231,232および変調部240を含む。変調部240は、バッファ231およびバッファ232に対して、イネーブル信号EN1,EN2をそれぞれ出力する。バッファ231およびバッファ232は、それぞれイネーブル信号EN1,EN2がオンとなっている場合にアクティブな状態とされる。なお、上記においては、イネーブル信号がオンの場合にバッファがアクティブとなる例を示すが、イネーブル信号の論理はこれに限定されず、たとえば、イネーブル信号がオフの場合にバッファがアクティブとなるように設定してもよい。
【0056】
このイネーブル信号EN1,EN2、および各バッファから供給可能なゲート電流を適切に設定することによって、ゲート信号のスイッチング速度を、たとえば、3段階あるいは4段階に変更することが可能となる。そうすると、発生するEMIノイズの周波数をさらに分散化することができるので、EMIノイズによる周囲の機器への影響を低減することが可能となる。
【0057】
[実施の形態2]
実施の形態1およびその変形例においては、複数のバッファにおいて、ゲート電流を供給するバッファの数を変化させることによって、ゲート信号のスイッチング速度を変更する構成について説明した。
【0058】
実施の形態2においては、供給可能なゲート電流が異なる値に設定された複数のバッファを有し、PWM信号に従って使用するバッファを切換えることによって、ゲート信号のスイッチング速度を変更する構成について説明する。
【0059】
図8は、実施の形態2に従うスイッチング制御装置200Bを備える電力変換装置100Bの機能ブロック図である。図8において、図1と重複する要素の説明は繰り返さない。
【0060】
図8を参照して、スイッチング制御装置200Bは、図1のスイッチング制御装置200において、バッファ回路205をバッファ回路205Bに置き換えた構成となっている。バッファ回路205Bは、バッファ230B,231Bと、切換部250とを含む。
【0061】
バッファ230B,231Bは、供給可能なゲート電流が互いに異なる値となるように設定される。
【0062】
バッファ230Bは、スイッチング素子TR1のゲートと、切換部250の端子T0との間に接続される。バッファ231Bは、スイッチング素子TR1のゲートと、切換部250の端子T1との間に接続される。
【0063】
切換部250は、オシレータ220からの発振信号OSCに従って、端子T0,T1とPWM信号生成部210との接続を交互に切換える。
【0064】
このような構成とし、バッファ230B,231Bを適切に設定することによって、ゲート信号のスイッチング速度を、PWM信号の周期ごとに変化させることができる。これによって、発生するEMIノイズの周波数を分散化することができるので、EMIノイズによる周囲の機器への影響を低減することが可能となる。
【0065】
なお、実施の形態2においても、バッファの数を3つ以上としてもよい。
なお、本実施の形態においては、電力変換装置が、直流電源電圧を所望の電圧まで昇圧する昇圧コンバータである構成を例として説明したが、電力変換装置の形態はこれに制限されない。すなわち、スイッチング素子のオン・オフ動作によって電力を変換するものであれば、直流電源電圧を降圧する降圧コンバータや、交流電力を直流電力に変換するコンバータ、直流電力を交流電力に変換するインバータなどにも適用可能である。
【0066】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0067】
100,100A,100B 電力変換装置、110 負荷、120 電源ノード、150 集積回路、160 過電圧保護部、170 過電流保護部、200,200A,200B スイッチング制御装置、205,205A,205B バッファ回路、210 PWM信号生成部、220 オシレータ、230,230B,231,231B,232 バッファ、240 変調部、250 切換部、C1 コンデンサ、D1 ダイオード、L1 コイル、R1 抵抗、T0,T1 端子、TR1 スイッチング素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御指令に応じてスイッチング素子を駆動するためのスイッチング制御装置であって、
発振器からのパルス信号と前記制御指令とに基づいて、前記スイッチング素子を駆動するタイミング信号を生成するためのPWM信号生成部と、
前記タイミング信号に応答して、前記スイッチング素子のゲートに供給するゲート電流を周期的に変更してスイッチング速度を変化させるように構成されたバッファ回路とを備える、スイッチング制御装置。
【請求項2】
前記バッファ回路は、複数のバッファを含み、
前記バッファ回路は、前記複数のバッファを周期的に制御することによって、前記ゲート電流を変更する、請求項1に記載のスイッチング制御装置。
【請求項3】
前記バッファ回路は、前記タイミング信号に応じて、前記複数のバッファのうちで、前記ゲート電流を供給するバッファの数を変更することによって、前記ゲート電流を変更する、請求項2に記載のスイッチング制御装置。
【請求項4】
前記複数のバッファは、第1および第2のバッファを含み、
前記第2のバッファは、前記第1のバッファの動作の2周期に1回の割合で動作する、請求項3に記載のスイッチング制御装置。
【請求項5】
前記第2のバッファは、前記第1のバッファと等しいゲート電流を供給するように設定される、請求項4に記載のスイッチング制御装置。
【請求項6】
前記第2のバッファは、前記第1のバッファとは異なるゲート電流を供給するように設定される、請求項4に記載のスイッチング制御装置。
【請求項7】
前記ゲート電流は、前記複数のバッファごとに異なる値に設定され、
前記バッファ回路は、
前記ゲート電流を変更するために、前記タイミング信号に応答して前記複数のバッファを切換えるための切換部をさらに備える、請求項2に記載のスイッチング制御装置。
【請求項8】
制御指令に応じたスイッチング素子のオン・オフ動作によって、電源からの電力を変換して負荷に供給するための電力変換装置であって、
前記スイッチング素子と、
発振器からのパルス信号と前記制御指令とに基づいて、前記スイッチング素子を駆動するタイミング信号を生成するためのPWM信号生成部と、
前記タイミング信号に応答して、前記スイッチング素子のゲートに供給するゲート電流を周期的に変更してスイッチング速度を変化させるように構成されたバッファ回路とを備える、電力変換装置。
【請求項9】
前記電力変換装置は、前記電源からの直流電圧の昇圧および降圧の少なくとも一方を行なうコンバータである、請求項8に記載の電力変換装置。
【請求項10】
制御指令に応じたスイッチング素子のオン・オフ動作によって、電源からの電力を変換して負荷に供給する電力変換装置を制御するための集積回路であって、
前記スイッチング素子と、
発振器と、
前記発振器からのパルス信号と前記制御指令とに基づいて、前記スイッチング素子を駆動するタイミング信号を生成するためのPWM信号生成部と、
前記タイミング信号に応答して、前記スイッチング素子のゲートに供給するゲート電流を周期的に変更してスイッチング速度を変化させるように構成されたバッファ回路とを備える、集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−80739(P2012−80739A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226300(P2010−226300)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】