説明

スイッチング電源回路及びスイッチング電源回路の制御方法

【課題】軽負荷時における効率低下を抑制すること。
【解決手段】スイッチ制御回路16は、クロック信号Scと、コンパレータ14の出力信号Spに基づいて、メイン側のスイッチ回路11と同期整流側のスイッチ回路12を相補的にオンオフする。そして、スイッチ制御回路16は、同期整流側のスイッチ回路12に接続されたゼロクロスコンパレータ17の出力信号S0xに基づいて、スイッチ回路12にゼロクロスが発生するとき、即ち軽負荷時にメイン側のスイッチ回路11に含まれる主スイッチSW1をオフ固定し、副スイッチSW1aのみをオンオフ制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
スイッチング電源回路及びスイッチング電源回路の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルコンピュータ等の電子機器には、スイッチング電源回路が含まれる。スイッチング電源回路は、ACアダプタや電池から供給される直流入力電圧を、内部回路の動作に適した電圧に変換する。
【0003】
スイッチング電源回路は、主スイッチをオンオフ制御して直流入力電圧を昇圧・降圧して出力電圧を生成するとともに、負荷に供給する上記出力電圧を一定の目標電圧に保つようにフィードバック制御を行っている。フィードバック制御には、電圧モード制御と電流モード制御がある。電圧モード制御は、電圧帰還ループを有し、電圧変動を誤差増幅器(エラーアンプ)にて検出し、その検出結果に応じて主スイッチのオン時間(又はオフ時間)を制御するものである。電流モードは、電圧帰還ループと電流帰還ループとを有し、上記誤差増幅器の出力信号と、電流を検出するための電流センスアンプの出力信号とに応じて主スイッチのオン時間(又はオフ時間)を制御するものである。
【0004】
主スイッチは、例えばMOSトランジスタであり、その駆動能力等の電気的特性は、負荷に供給する電流の最大値に応じて設定されている。一方、電子機器は、その動作状態に応じて、負荷にて消費する電流量が変化する。この電流量の変化に応じて、スイッチング電源の出力電流量が変化する。このため、負荷が軽い、即ち負荷が必要な電流量が少ない場合、主スイッチのゲート容量を駆動する損失により、効率が低下する。
【0005】
効率の低下を抑える一つの方法は、検出した電流値が一定値以下のときに主スイッチをオンするまでの期間(オフ期間)の長さを変更するものである。この方式のスイッチング電源回路には、例えばPFM方式のDC−DCコンバータ、負荷に応じてPWM方式とPFM方式とを切り替えるDC−DCコンバータ等がある。効率の低下を抑える別の方法は、オン抵抗値の異なる2つのスイッチを互いに並列に接続して主スイッチを構成し、検出した電流値に応じて制御するスイッチを切り替えるものである(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−296186号公報
【特許文献2】米国特許第5731731号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電流を検出する方法には、平均電流を検出する方法、コイルに流れる電流のピークを検出する方法、がある。平均電流は、コイルの出力側にセンス用の抵抗を接続し、その抵抗の両端子間の電位差により検出することができる。コイル電流は、コイルの入力側の抵抗成分(例えば、降圧型のスイッチング電源回路の主スイッチのオン抵抗)の両端子間の電位差により検出することができる。
【0008】
なお、誤差増幅器の出力電圧レベルにより電流を検出することもできる。この検出方法では、比較的大きな遅延が許されるため、誤差増幅器の出力電圧と基準電圧を比較するコンパレータに低速なコンパレータを用いることができるが、電流検出の精度が低いという問題がある。
【0009】
また、平均電流を検出する方法では、センス用抵抗による損失がある。損失を低減するために抵抗値を小さくすると、両端子間の電位差が小さくなるため、検出精度が高いコンパレータが必要となり、占有面積が大きく、消費電流が多くなる。また、コイル電流のピークを検出する方法では、スイッチング周期毎にコイル電流と基準電圧とを比較するため、高速な検出回路及びコンパレータが必要であり、高速なコンパレータは占有面積が大きく消費電流が多い。
【0010】
このスイッチング電源回路で、電流検出の回路を追加することなく、軽負荷を検出し、この時の効率低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一観点によれば、互いに並列接続された主スイッチ及び副スイッチを含み、入力電圧が印加される端子とコイルとの間に前記主スイッチ及び副スイッチが接続された第1のスイッチ回路と、前記第1のスイッチ回路をオンオフ制御し、前記コイルと基準電位の端子との間に接続された第2のスイッチ回路を相補的にオンオフ制御する第1の制御回路と、動作状態を切り替えるための制御信号に基づいて、前記主スイッチの状態を固定する第2の制御回路と、を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一観点によれば、追加的な電流検出回路を設けることなく、実質的に簡単な論理回路の追加のみで、軽負荷における効率低下を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第一実施形態のスイッチング電源回路の回路図である。
【図2】スイッチ制御回路の回路図である。
【図3】(a)(b)はスイッチ回路の説明図である。
【図4】電流センスアンプの回路図である。
【図5】(a)(b)はスイッチング電源回路の動作波形図である。
【図6】第二実施形態のスイッチング電源回路の回路図である。
【図7】第三実施形態のスイッチング電源回路の回路図である。
【図8】第四実施形態のスイッチング電源回路の回路図である。
【図9】別のスイッチ制御回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第一実施形態)
以下、第一実施形態を説明する。
図1に示すように、スイッチング電源回路は、入力端子Pi(同図左端)に入力される電圧Vinより生成した電圧Voutを出力端子Po(同図右端)から出力する。このスイッチング電源回路は同期整流方式の降圧型スイッチング電源回路であり、メイン側のスイッチ回路(第1のスイッチ回路)11と同期整流側のスイッチ回路(第2のスイッチ回路)12を有している。
【0015】
両スイッチ回路11,12は、入力端子Piと、入力電圧Vinより低い電圧を供給するための電源線との間に直列に接続されている。本実施形態では、電源線はグランドであり、0V(ゼロボルト)の電圧を供給する。両スイッチ回路11,12の間のノードN1にはコイルL1の第1端子が接続され、コイルL1の第2端子は出力電圧Voutを出力する出力端子Poに接続されている。そして、出力端子Poとグランドとの間には平滑用のコンデンサC1が接続されている。
【0016】
スイッチング電源回路は、メイン側のスイッチ回路11と同期整流側のスイッチ回路12とを相補的にオンオフ駆動する。メイン側のスイッチ回路11がオンし同期整流側のスイッチ回路12がオフすると、コイルL1に入力電圧Vinと出力電圧Voutとの差に応じてコイル電流ILが増加し、コイルL1にエネルギー(電力)が蓄積される。メイン側のスイッチ回路11がオフし同期整流側のスイッチ回路12がオンすると、コイルL1は蓄えたエネルギーを放出し、誘導電流(コイル電流IL)が減少する。このようにして、スイッチング電源回路は、スイッチ回路11,12のオンオフ期間に応じた出力電圧Voutを出力する。
【0017】
メイン側のスイッチ回路11は、互いに並列接続された2つのスイッチSW1,SW1aを含む。第1のスイッチSW1は入力端子PiとノードN1との間に接続され、供給される駆動信号DR1に応答してオンオフする。第2のスイッチSW1aは第1のスイッチSW1に並列接続され、供給される駆動信号DR1aに応答してオンオフする。
【0018】
第1のスイッチSW1は例えばPチャネルMOSトランジスタであり、Lレベルの駆動信号DR1に応答してオンし、Hレベルの駆動信号DR1に応答してオフする。第2のスイッチSW1aは例えばPチャネルMOSトランジスタであり、Lレベルの駆動信号DR1aに応答してオンし、Hレベルの駆動信号DR1aに応答してオフする。
【0019】
メイン側のスイッチ回路11には、負荷に供給する電流が流れる。このため、メイン側のスイッチ回路11の電気的特性の1つである負荷駆動能力の最大値は、このスイッチ回路11が流すことが可能な電流量の最大値であり、この値は、負荷に供給する電流の最大値に応じて設定されている。
【0020】
両駆動信号DR1,DR1aは、通常、互いに同期して変化するため、両スイッチSW1,SW1aが同時にオンオフする。従って、両スイッチSW1,SW1aのそれぞれに流れる電流量の合計値が、負荷に供給する電流の最大値となるように設定されている。
【0021】
スイッチ回路11に含まれるスイッチSW1,SW1aは、スイッチSW1を主たるスイッチとしたとき、スイッチSW1aはおおむねスイッチSW1の半分以下の素子サイズに設計される。例えば、スイッチSW1aのサイズをスイッチSW1の1/4とすると、スイッチSW1をオフ固定した場合、スイッチSW1aのみのオンオフ制御で駆動できる電流は、両スイッチSW1,SW1aを同時にオンオフ制御したときに駆動できる電流のおおむね1/5となる。
【0022】
この時、2つのスイッチSW1,SW1aをオンオフする場合の電力と比べて、スイッチSW1aのみをオンオフする場合に必要な電力は、両スイッチSW1,SW1aをともにオンオフする場合に必要な電力の1/5と少なくなり、スイッチの駆動時におけるスイッチング損失が少なくなる。
【0023】
MOSトランジスタの駆動能力は、ゲート幅(W)とゲート長(L)に対応する。MOSトランジスタが流す電流量を多くするとき、複数のMOSトランジスタを互いに並列接続し、各MOSトランジスタのゲートに同一の信号を供給することで、実効的なゲート幅を広くすることが行われる。
【0024】
上記のスイッチSW1,SW1aの構成例では、例えば図3(a)に示すように、4:1の素子サイズ比を、図3(b)の素子配置図の通り実現しており、主樽電流をになう第1のスイッチSW1を主スイッチと呼び、駆動能力を小さく設計された第2のスイッチSW1aを副スイッチと呼ぶ。
【0025】
図1に示すように、同期整流側のスイッチ回路12は、互いに並列接続された2つのスイッチSW2,SW2aを含む。第1のスイッチSW2はノードN1とグランドとの間に接続され、供給される駆動信号DR2に応答してオンオフする。第2のスイッチSW2aは第1のスイッチSW2に並列接続され、供給される駆動信号DR2aに応答してオンオフする。
【0026】
第1のスイッチSW2は例えばNチャネルMOSトランジスタであり、Hレベルの駆動信号DR2に応答してオンし、Lレベルの駆動信号DR2に応答してオフする。第2のスイッチSW2aは例えばNチャネルMOSトランジスタであり、Hレベルの駆動信号DR2aに応答してオンし、Lレベルの駆動信号DR2aに応答してオフする。
【0027】
同期整流側のスイッチ回路12には、負荷に応じた電流が流れる。このため、このスイッチ回路12は、メイン側のスイッチ回路11と同様に構成されている。このため、スイッチ回路11に含まれる第1のスイッチSW2を主スイッチと呼び、第2のスイッチSW2aを副スイッチと呼ぶ。なお、スイッチ回路12は、スイッチ回路11と同様であるため、構成例を示す図面及び説明を省略する。
【0028】
メイン側のスイッチ回路11の両端子は、電流センスアンプ13の入力端子にそれぞれ接続されている。詳しくは、電流センスアンプ13の非反転入力端子はスイッチ回路11の入力端子Piに接続され、電流センスアンプ13の反転入力端子は、スイッチ回路11の出力側端子N1に接続される。
【0029】
電流センスアンプ13は、スイッチ回路11(スイッチSW1,SW1a)のオン抵抗値と、コイルL1に流れる電流量に応じた電圧を増幅した検出電圧Vsを出力する。
電流センスアンプ13から出力される検出電圧Vsは、PWMコンパレータ14の非反転入力端子に入力される。PWMコンパレータ14の反転入力端子には、誤差増幅器15から出力される誤差電圧Veが入力される。誤差増幅器15の反転入力端子は出力端子Poに接続され、出力電圧Voutが入力される。誤差増幅器15の非反転入力端子は基準電源E1に接続され、基準電圧Vr1が入力される。
【0030】
誤差増幅器15は、基準電圧Vr1と出力電圧Voutの差電圧を増幅した電圧(誤差電圧)Veを出力する。この基準電圧Vr1は、出力電圧Voutを制御する目標に応じた電圧である。つまり、スイッチング電源回路は、出力電圧Voutを目標電圧である基準電圧Vr1に近づけるように動作する。
【0031】
PWMコンパレータ14は、検出電圧Vsと誤差電圧Veとを比較し、その比較結果に応じたレベルの制御信号Spをスイッチ制御回路16に出力する。本実施形態において、PWMコンパレータ14は、検出電圧Vsが誤差電圧Veより高い場合にHレベルの制御信号Spを出力し、検出電圧Vsが誤差電圧Veより低い場合にLレベルの制御信号Spを出力する。
【0032】
スイッチ回路12の両端子は、ゼロクロスコンパレータ17の入力端子にそれぞれ接続されている。詳しくは、ゼロクロスコンパレータ17の非反転入力端子はスイッチ回路12の高電位側の端子、つまりノードN1の電圧が入力される。ゼロクロスコンパレータ17の反転入力端子はスイッチ回路12の低電位側の端子、つまりグランドに接続されている。
【0033】
ゼロクロスコンパレータ17は、スイッチ回路12の両端子電圧を互いに比較し、その比較結果に応じた検出信号S0xをスイッチ制御回路16に出力する。詳しくは、ゼロクロスコンパレータ17は、ノードN1の電位がグランドレベルより高いときにHレベルの検出信号S0xを出力し、ノードN1の電位がグランドレベルより低いときにLレベルの検出信号S0xを出力する。
【0034】
コイルL1の入力側端子における電圧、即ちノードN1の電圧VN1は、メイン側のスイッチ回路11及び同期整流側のスイッチ回路12の状態と、負荷に流れる電流量に応じて変化する。
【0035】
メイン側のスイッチ回路11がオンしているとき、ノードN1の電圧VN1は、入力電圧Vinに近い電圧となっている。
メイン側のスイッチ回路11がオフされ、同期整流側のスイッチ回路12がオンされると、ノードN1の電圧VN1はグランドレベルより低くなり、コイルL1に蓄積されたエネルギーの減少に従って上昇し、コイル電流ILが減少する。
【0036】
負荷に供給する電流量が少ないとき、例えば、発振器18のクロック信号(発振信号)Scが入力され、次のクロック信号Scが入力されるまでコイル電流が流れている状態において、コイル電流ILの最大振幅値(Peak to Peak value:P−P値)の半分(1/2)よりも負荷電流が少ないときを軽負荷時とし、負荷電流が最大振幅値の半分以上のときを通常動作時とする。
【0037】
通常動作時では、負荷に電流が継続的に供給され、同期整流側のスイッチ回路12がオンしているとき、ノードN1の電圧VN1はグランドレベルより低い。
一方、軽負荷時では、コイル電流ILが0(ゼロ)よりも小さくなる、即ち逆流が発生するため、ノードN1の電圧VN1は、同期整流側のスイッチ回路12がオンしている期間に、グランドレベル(0V)よりも高くなる。即ち、ノードN1の電圧波形が、グランドレベルを示す電圧波形と交差(クロス)する。この交差することをゼロクロス(0クロス)と呼ぶ。
【0038】
スイッチ制御回路16は、上記の制御信号Spと検出信号S0xが入力されるとともに、発振器18からクロック信号Scが入力される。発振器18は、一定の周期でHレベルとなるパルス信号をクロック信号Scとして出力する。スイッチ制御回路16は、各信号Sp,S0x,Scに基づいて、メイン側のスイッチ回路11のスイッチSW1,SW1aと同期整流側のスイッチ回路12のスイッチSW2,SW2aをそれぞれ駆動する駆動信号DR1,DR1a,DR2,DR2aを生成する。
【0039】
また、電流センスアンプ13から出力される検出電圧Vsは、過電流検出コンパレータ19の非反転入力端子に入力される。コンパレータ19の反転入力端子には、基準電源E2が接続され、基準電圧Vr2が入力される。基準電圧Vr2は、コイルL1に流すことが可能な最大電流(規定値)に応じて設定されている。過電流検出コンパレータ19は、検出電圧Vsと基準電圧Vr2とを比較し、その比較結果に応じた過電流検出信号Sovを出力する。本実施形態の過電流検出コンパレータ19は、検出電圧Vsが基準電圧Vr2より高いときにHレベルの検出信号Sovを出力し、検出電圧Vsが基準電圧Vr2より低いときにLレベルの検出信号Sovを出力する。
【0040】
図2に示すように、スイッチ制御回路16は、OR回路21,22、フリップフロップ回路(FF回路)23〜25、AND回路26〜29、インバータ回路30を含む。
上記の制御信号SpはOR回路21に入力される。このOR回路21には、信号S21が入力される。OR回路21は、制御信号Spと信号S21に基づく信号S22をFF回路23に出力する。
【0041】
FF回路23はRS−FFであり、リセット端子Rに信号S22が入力され、セット端子Sにクロック信号Scが入力され、反転出力端子XQから信号S23xを出力する。FF回路23は、Hレベルのクロック信号Scに応答してLレベルの信号S23xを出力し、Hレベルの信号S22に応答してHレベルの信号S23xを出力する。この信号S23xは、駆動信号DR1aとして出力される。また信号S23xは、OR回路22とAND回路26〜28に入力される。駆動信号DR1aは、メイン側スイッチ回路11の副スイッチSW1a(図1参照)に供給される。
【0042】
上記の検出信号S0xはAND回路26に入力される。AND回路26は、信号S23xと検出信号S0xに基づく信号S24をFF回路24に出力する。
FF回路24はRS−FFであり、リセット端子Rにクロック信号Scが入力され、セット端子Sに信号S24が入力され、出力端子Qから信号S25をFF回路25に出力する。FF回路25は、Hレベルのクロック信号Scに応答してLレベルの信号S25を出力し、Hレベルの信号S24に応答してHレベルの信号S25を出力する。
【0043】
FF回路25はD−FFであり、入力端子Dに信号S25が入力され、クロック端子CKにクロック信号Scが入力される。FF回路25は、クロック信号Scの立上がりエッジに同期して信号S25のレベルと等しいレベルの信号S26を出力端子Qから出力するとともに、信号S26と相補な信号S26xを反転出力端子XQから出力する。
【0044】
FF回路25の出力信号S26はOR回路22に入力される。OR回路22は、FF回路23から出力される信号S23xと信号S26に応じたレベルの駆動信号DR1を出力する。この駆動信号DR1は、メイン側スイッチ回路11の主スイッチSW1(図1参照)に供給される。
【0045】
FF回路25の出力信号S26xはAND回路27に入力される。AND回路27にはインバータ回路30の出力信号S27が入力される。インバータ回路30は、検出信号S0xを論理反転したレベルの信号S27を出力する。AND回路27は、信号S27と、FF回路23の出力信号S23xと、FF回路25の出力信号S26xとに応じたレベルの駆動信号DR2を出力する。この駆動信号DR2は、同期整流側スイッチ回路12の主スイッチSW2(図1参照)に供給される。
【0046】
インバータ回路30の出力信号S27はAND回路28に入力される。AND回路28は、信号S27と、FF回路23の出力信号S23xとに応じたレベルの駆動信号DR2aを出力する。この駆動信号DR2aは、同期整流側スイッチ回路12の副スイッチSW2a(図1参照)に供給される。
【0047】
また、FF回路25の出力信号S26xはAND回路29に入力される。このAND回路29には、過電流検出信号Sovが入力される。AND回路29は、信号S26xと過電流検出信号Sovに応じた信号S21をOR回路21に出力する。
【0048】
次に、上記のように構成されたスイッチ制御回路16の動作を説明する。
先ず、通常動作を説明する。
スイッチ制御回路16は、クロック信号ScによりFF回路23はLレベルの信号S23xを出力する。この信号S23xが駆動信号DR1aとして図1に示す副スイッチSW1aに供給され、副スイッチSW1aがオンする。このとき、FF回路25はLレベルの信号S26を出力するとともにHレベルの信号S26xを出力する。従って、OR回路22からHレベルの駆動信号DR1が図1に示す主スイッチSW1に供給され、主スイッチSW1がオンする。つまり、メイン側のスイッチ回路11がオンする。
【0049】
更に、Lレベルの信号S23xに基づいてAND回路27,28からLレベルの駆動信号DR2,DR2aが図1に示すスイッチSW2,SW2aにそれぞれ供給され、両スイッチSW2,SW2aがオフする。つまり、同期整流側のスイッチ回路12がオフする。
【0050】
次に、制御信号SpによりFF回路23はHレベルの信号S23xを出力する。従って、図1の副スイッチSW1aはオフする。また、OR回路22はHレベルの駆動信号DR1を出力し、図1の主スイッチSW1がオフする。つまり、メイン側のスイッチ回路11がオフする。
【0051】
すると、ノードN1の電圧VN1がグランドレベルより低くなるため、ゼロクロスコンパレータ17はLレベルの検出信号S0xを出力する。そして、図2のFF回路25はHレベルの信号S26xを出力している。従って、AND回路27,28からHレベルの駆動信号DR2,DR2aが図1のスイッチSW2,SW2aにそれぞれ供給され、両スイッチSW2,SW2aがオンする。つまり、同期整流側のスイッチ回路12がオンする。
【0052】
上記のクロック信号Scは、図1の発振器18から一定の周期毎に出力される。そして、クロック信号Scに基づいて、メイン側のスイッチ回路11がオンし、同期整流側のスイッチ回路12がオフする。即ち、メイン側のスイッチ回路11は、クロック信号Scの周期(サイクル)でオンする。そして、スイッチ回路11をオンしてから次にスイッチ回路をオンするまでの期間が1つのスイッチングサイクルである。
【0053】
次に、軽負荷時の動作を説明する。
今、図に示す同期整流側のスイッチ回路12がオンしている。つまり、図1に示すメイン側のスイッチSW1,SW1aはHレベルの駆動信号DR1,DR1aに応答してオフしている。また、AND回路27,28は、Hレベルの駆動信号DR2,DR2aをそれぞれ出力している。
【0054】
このとき、コイル電流ILが減少し、ほぼ0となるゼロクロスを検出すると、図1のゼロクロスコンパレータ17はHレベルの検出信号S0xを出力する。すると、図2のインバータ回路30からLレベルの信号S27がAND回路27,28に入力され、AND回路27,28はLレベルの駆動信号DR2,DR2aをそれぞれ出力する。その結果、主スイッチSW2及び副スイッチSW2aが直ちにオフし、逆流を阻止する。そして、図2のFF回路23はHレベルの信号S23xを出力しているため、AND回路26はHレベルの信号S24を出力し、FF回路24はHレベルの信号S25を出力する。
【0055】
次にクロック信号Scが入力されると、FF回路23からLレベルの信号S23x、つまり駆動信号DR1aが図1の副スイッチSW1aに供給される。このとき、FF回路25は入力端子Dに入力されるHレベルの信号S25によりHレベルの信号S26を出力するとともにLレベルの信号S26xを出力する。この信号S26によりOR回路22からHレベルの駆動信号DR1が図1の主スイッチSW1に継続して供給される。従って、主スイッチSW1はオフ状態を維持し、副スイッチSW1aのみがオンする。つまり、ゼロクロスを検出する、即ち軽負荷を検出すると、その検出時の次のスイッチングサイクルにおいて、メイン側スイッチ回路11の主スイッチSW1のオン駆動が禁止される。
【0056】
次に制御信号Spが入力されると、FF回路23からHレベルの信号S23x(駆動信号DR1a)が図1の副スイッチSW1aに供給され、副スイッチSW1aがオフする。
すると、ノードN1の電圧VN1がグランドレベルより低くなるため、ゼロクロスコンパレータ17はLレベルの検出信号S0xを出力する。すると、図2のAND回路28にはインバータ回路30からHレベルの信号S27が入力される。また、AND回路28には、FF回路23からHレベルの信号S23xが入力される。従って、AND回路28はHレベルの駆動信号DR2aを出力する。一方、FF回路25はLレベルの信号S26xを出力している。従って、AND回路27はLレベルの駆動信号DR2を出力する。
【0057】
従って、図1の主スイッチSW2にはLレベルの駆動信号DR2が供給され、副スイッチSW2aにはHレベルの駆動信号DR2aが供給される。これにより、主スイッチSW2はオフ状態を継続し、副スイッチSW2aがのみオンする。つまり、ゼロクロスを検出する、即ち軽負荷を検出すると、その検出時の次のスイッチングサイクルにおいて、同期整流側スイッチ回路12の主スイッチSW2のオン駆動が禁止される。
【0058】
図1に示すように、同期整流側の副スイッチSW2aがオンすると、この副スイッチSW2aを介してグランドからコイルL1に向って電流が流れ、負荷に電流が供給される。軽負荷の場合、コイル電流ILは副スイッチSW2aをオンしたときの電流量からエネルギーの放出に従って減少し、ノードN1の電圧VN1は上昇する。
【0059】
次にクロック信号Scが入力されるまでにゼロクロスコンパレータ17がゼロクロスを検出すると、上記の動作が繰り返され、主スイッチSW1,SW2がオフ状態とされる。即ち、軽負荷のとき、メイン側のスイッチ回路11と同期整流側のスイッチ回路12は、主スイッチSW1,SW2の駆動がそれぞれ禁止され、副スイッチSW1a,SW2aのみがそれぞれオンオフ駆動される。
【0060】
一方、次にクロック信号Scが入力されるまでにゼロクロスコンパレータ17がゼロクロスを検出しない場合、そのクロック信号Scによって図2のFF回路24がLレベルの信号S25を出力するため、FF回路25はLレベルの信号S26とHレベルの信号S26xを出力する。つまり、上記の通常動作時の動作に戻る。
【0061】
上記したように、主スイッチSW1,SW2は、副スイッチSW1a,SW2aよりも多くの電流を流すように形成されている。従って、主スイッチSW1,SW2及び副スイッチSW1a,SW2aをオンオフ駆動する場合と比べて、副スイッチSW1a,SW2aのみをオンオフ駆動する場合は、そのオンオフ駆動するためにゲートに供給する電流量が少ない。つまり、軽負荷時には、通常動作時よりもスイッチング損失が少なくなる。
【0062】
図1に示すゼロクロスコンパレータ17は、ノードN1の電圧VN1とグランドレベルとを比較し、その比較結果に応じてHレベル又はLレベルの検出信号S0xを出力する。ノードN1の電圧VN1は、スイッチ回路12に流れる電流量と、スイッチ回路12の両端子間の抵抗値、に応じた値となる。
【0063】
スイッチ回路12は互いに並列接続された主スイッチSW2と副スイッチSW2aを含み、通常動作時には両スイッチSW2,SW2aが同時にオンオフ駆動され、軽負荷時には主スイッチSW1はオフされ副スイッチSW2aのみがオンオフ駆動される。従って、スイッチ回路12の両端子間の抵抗値は、通常動作時に両スイッチSW2,SW2aのオン抵抗値の合成値となり、軽負荷時には副スイッチSW2aのみのオン抵抗値となる。
【0064】
ゼロクロスコンパレータ17は、逆流を防止するために、グランドレベルよりわずかに低い電圧(例えば−0.01V)(しきい値電圧)よりもノードN1の電圧VN1が高くなるとHレベルの検出信号S0xを出力するように設定されている。即ち、上記のゼロクロス検出は、実際の逆流を検出するものではなく、逆流する状態に近づくのを検出している。
【0065】
図5(a)(b)はコイル電流ILとノードN1の電圧VN1の変化を示し、図5(a)は両スイッチSW2,SW2aをオンオフ制御したときの波形図、図5(b)は副スイッチSW2aのみをオンオフ制御したときの波形図である。
【0066】
時刻t1において図1のメイン側スイッチ回路11がオフすると、電圧VN1がグランドレベル(0V)より低くなる。すると、図1の同期整流側スイッチ回路12がオンする。そして、コイル電流ILは減少し、電圧VN1が上昇する。
【0067】
図1のゼロクロスコンパレータ17は、電圧VN1がしきい値電圧より高くなると、Hレベルの検出信号S0x(図2参照)を出力し、同期整流側のスイッチ回路12がオフする(時刻t2)。図5(b)では、スイッチSW2aのみがオンするためオン抵抗値が高く、時刻t2におけるコイル電流ILが少なくなり、コイル電流ILがより0に近いときの検出信号S0xを出力する、つまり検出精度を高くすることができる。
【0068】
同期整流側のスイッチ回路12がオフされると、ノードN1の電圧VN1は、両スイッチSW2,SW2aの寄生ダイオードの順方向電圧に応じた電圧まで低下する。そして、コイル電流ILが0になると(時刻t3)、ノードN1の電圧VN1はグランドレベルとなる。
【0069】
整流動作における損失は、通常動作では、コイル電流ILとスイッチ回路12の両端子間の電位差、即ちノードN1の電圧VN1の積の値となり、両スイッチSW2,SW2aを同時にオンすることにより、損失を低減する。コイル電流が0となる軽負荷時は、時刻t2−t3の期間の電圧降下が、スイッチSW2aがオンしている場合の電圧降下より圧倒的に大きいため、検出精度を高くすることにより、時刻t2−t3の期間を短縮し、損失が低減される。
【0070】
なお、通常動作状態での第一の動作状態において、過電流が発生すると、過電流検出コンパレータ19からHレベルの過電流検出信号Sovが出力され、駆動信号DR1,DR1aがHレベルとなり、第二の状態となる。この結果、メイン側のスイッチ回路11のオン時間が制限され、過電流保護が行われる。過電流時においては、比較的大きな検出電圧Vsが得られるが、軽負荷でゼロクロスが発生するときには、電流センスアンプ13の検出感度を高くすることが好ましい。
【0071】
電流センスアンプの回路例を図4に示す。
電流センスアンプ13は、トランジスタT1,T1a,T2〜T4、抵抗R1、定電流源CC1,CC2を含む。ここでは、スイッチSW1,SW1aに対する接続を、MOSトランジスタの端子名を用いて説明する。トランジスタT1,T1aはPチャネルMOSトランジスタであり、ソースとドレインが互いに接続されている。また、両トランジスタT1,T1aのソースはスイッチSW1,SW1aのソースに接続されている。トランジスタT1のゲートは主スイッチSW1のゲートに接続され、トランジスタT1aのゲートは副スイッチSW1aのゲートに接続されている。従って、トランジスタT1は、主スイッチSW1とともにオンオフする。また、トランジスタT1aは、副スイッチSW1aとともにオンオフする。
【0072】
トランジスタT1はトランジスタT1aの整数倍の大きさに形成されており、軽負荷時の電流検出精度の設定により決定される。ここでは、同一サイズとする。主スイッチSW1と副スイッチSW1aは、トランジスタT1のサイズの整数倍の大きさ、つまり同じゲート電圧に対して整数倍の電流を流すように形成されている。例えば、トランジスタT1,T1aのサイズを「x1」とすると、主スイッチSW1のサイズは「x900」、副スイッチSW1aのサイズは「x100」に設定されている。
【0073】
主スイッチSW1及び副スイッチSW1aのドレインはPチャネルMOSトランジスタT2のソースに接続されている。トランジスタT2はドレインとゲートが互いに接続され、そのドレインは定電流源CC1を介してグランドに接続されている。
【0074】
トランジスタT2のゲートはトランジスタT3のゲートに接続されている。トランジスタT3はPチャネルMOSトランジスタであり、ソースはトランジスタT1,T1aのドレインに接続され、ドレインは定電流源CC2を介してグランドに接続されている。定電流源CC2は、トランジスタT2に接続された定電流源CC1と同量の電流を流すように構成されている。トランジスタT3はトランジスタT2と同じ大きさに形成されている。そして、トランジスタT2とトランジスタT3はカレントミラー回路を構成する。
【0075】
トランジスタT3と定電流源CC2との間の接続点(ノード)はトランジスタT4のゲートに接続されている。トランジスタT4はNチャネルMOSトランジスタであり、ドレインはトランジスタT3のソースに接続され、ソースは抵抗R1を介してグランドに接続されている。そして、トランジスタT4と抵抗R1との間の接続点から検出電圧Vsが出力される。
【0076】
トランジスタT2のドレインとトランジスタT3のドレインには同じ値の電流を流す定電流源CC1,CC2がそれぞれ接続されている。通常動作では、トランジスタT4を介して抵抗R1に流れる電流が定電流源CC1,CC2の電流値より大きく設定されているため、トランジスタT1,T1aの飽和電圧が主スイッチSW1及び副スイッチSW1aの飽和電圧と同じとなるように、トランジスタT4の帰還回路が働く。その結果、トランジスタT4には、コイル電流ILと比例したソース電流が流れる。詳しくは、スイッチ回路11に含まれるオンしたスイッチとトランジスタT1,T1aのサイズ比に応じた電流が流れる。
【0077】
例えば、主スイッチSW1と副スイッチSW1aがオンしたとき(通常動作時)、トランジスタT1とトランジスタT1aがオンする。従って、トランジスタT1,T1aのサイズと主スイッチSW1及び副スイッチSW1aのサイズ比は2:1000となり、トランジスタT4にコイル電流ILの2/1000のソース電流が流れる。また、副スイッチSW1aのみがオンしたとき(軽負荷時)、トランジスタT1aのみがオンする。従って、トランジスタT1aのサイズと副スイッチSW1aのサイズ比は1:100となり、トランジスタT4にコイル電流ILの1/100のソース電流が流れる。
【0078】
抵抗R1には、トランジスタT4のソース電流が流れる。検出電圧Vsは、抵抗R1の抵抗値と、トランジスタT4のソース電流の値との積となる。そして、軽負荷時に抵抗R1に流れる電流量は、通常動作時の同一のコイル電流ILの時と比較すると5倍となる。つまり、軽負荷時における電流センスアンプ13の検出感度を通常動作時の5倍とすることができる。
【0079】
検出電圧Vsの変化量が大きくなると、その検出電圧Vsと誤差電圧Veとを比較するPWMコンパレータ14において、制御信号Spのレベルを変更するタイミングのずれが少なくなる。従って、メイン側のスイッチ回路11のオフタイミング(同期整流側のスイッチ回路12のオンタイミング)のずれを抑制することができる。
【0080】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)スイッチ制御回路16は、クロック信号Scと、コンパレータ14の出力信号Spに基づいて、メイン側のスイッチ回路11と同期整流側のスイッチ回路12を相補的にオンオフする。そして、スイッチ制御回路16は、同期整流側のスイッチ回路12に接続されたゼロクロスコンパレータ17の出力信号S0xに基づいて、スイッチ回路12がオンしている放電サイクル中にゼロクロスが発生するとき、即ち軽負荷時にメイン側のスイッチ回路11に含まれる主スイッチSW1をオフ固定し、副スイッチSW1aのみをオンオフ制御するようにした。その結果、スイッチの駆動におけるスイッチング損失を低減する、即ち軽負荷時における効率低下を抑制することができる。
【0081】
(2)スイッチ制御回路16は、ゼロクロスコンパレータ17の出力信号S0xに基づいて、ゼロクロスを検出した次のスイッチングサイクルから、同期整流側のスイッチ回路12に含まれる主スイッチSW2をオフ固定し、副スイッチSW2aのみをオンオフ制御するようにした。副スイッチSW2aのオン抵抗値は、主スイッチSW2のオン抵抗値と副スイッチSW2aのオン抵抗値の合成値よりも大きい。このため、副スイッチSW2aのみをオンしたときの両端子間電圧は、両スイッチSW2,SW2aをオンしたときの端子間電圧よりも大きくなる。従って、副スイッチSW2aの両端子間電圧に基づいてゼロクロスを精度良く検出することができる。
【0082】
(3)副スイッチSW2aのみをオンオフ制御することにより、ゼロクロス検出は、コイル電流ILがほぼゼロのときに検出信号S0xを出力する。整流動作において、コイル電流ILが多いほど、損失が大きくなる。従って、副スイッチSW2aのみをオンすることにより、両スイッチSW2,SW2aを同時にオンする場合と比べて、損失を低減することができる。
【0083】
(4)スイッチ制御回路16は、メイン側のスイッチ回路12をオンするための駆動信号を出力するFF回路23の出力信号S23xと、検出信号S0xが入力されるAND回路26と、クロック信号Scによりリセットし、AND回路26の出力信号S24によりセットするFF回路24とを含む。更に、スイッチ制御回路16は、FF回路24の出力信号を、クロック信号ScによりラッチするFF回路25を含み、そのFF回路25の出力信号により主スイッチSW1,SW2をオフ固定するようにした。従って、アナログ信号を処理するオペアンプやコンパレータの追加が不要であり、容易に主スイッチSW1,SW2の状態を固定することができる。また、アナログ回路を追加しないため、回路規模の増大を抑えることができる。
【0084】
(第二実施形態)
以下、第二実施形態を説明する。
なお、本実施形態において、第一実施形態と同じ部材については同じ符号を付し、それらの説明の全て又は一部を省略する。
【0085】
図6に示すように、本実施形態のスイッチング電源回路は、第1のスイッチ回路11と第2のスイッチ回路32を含み、両スイッチ回路11,32は入力端子Piとグランドとの間に直列に接続されている。第1のスイッチ回路11と第2のスイッチ回路32との間の接続点(ノードN1)はコイルL1を介して出力端子Poに接続されている。
【0086】
第2のスイッチ回路32はスイッチSW12とダイオードを含み、スイッチSW12とダイオード(整流素子)D1は互いに並列に接続されている。スイッチSW12は例えばNチャネルMOSトランジスタであり、このMOSトランジスタのソースがグランドに接続され、ドレインがコイルL1に接続され、ゲートに駆動信号DR2が供給される。ダイオードD1は、コイルL1からグランドに向う電流(以下、逆流という)を防止するように接続されている。つまり、ダイオードD1のアノードはグランドに接続され、ダイオードD1のカソードはコイルL1(ノードN1)に接続されている。
【0087】
スイッチSW12の電気的特性は、通常動作(CCM)においてグランドからコイルL1に向って流れる電流に応じて設定され、スイッチ制御回路36から供給される駆動信号DR2に応答してオンオフする。
【0088】
スイッチ制御回路36は、第一実施形態のスイッチ制御回路16と同様に、駆動信号DR1,DR1aを生成する。駆動信号DR1,DR1aは、第1のスイッチ回路11に含まれるスイッチSW1,SW1aにそれぞれ供給される。従って、通常動作(CCM)において、主スイッチSW1と副スイッチSW1aがオンオフし、軽負荷時(DCM)において、主スイッチSW1はオフし、副スイッチSW1aがオンオフする。このため、軽負荷時において、第1のスイッチ回路11をオンオフ制御する際のスイッチング損失を低減することができる。
【0089】
また、スイッチ制御回路36は、第一実施形態のスイッチ制御回路16と同様に、駆動信号DR2を生成する。駆動信号DR2は、第2のスイッチ回路32に含まれるスイッチSW12に供給される。従って、通常動作(CCM)において、スイッチSW12は駆動信号DR2に応答してオンオフする。つまり、本実施形態のスイッチング電源回路は、通常動作において、同期整流方式の降圧型スイッチング電源回路として動作する。
【0090】
ゼロクロスコンパレータ17がゼロクロスを検出すると、スイッチ制御回路36は、スイッチングサイクルに関係なく、検出信号S0xに応答してLレベルの駆動信号DR2を出力し、その駆動信号DR2に応答してスイッチSW12がオフする。従って、軽負荷時における逆流を防止し、効率低下を抑制する。
【0091】
次のスイッチングサイクルにおいて、スイッチ制御回路36は、駆動信号DR2をLレベルに固定して、スイッチSW12をオフする。そして、第1のスイッチ回路11(スイッチSW1a)をオフすると、ダイオードD1を介してグランドからコイルL1に向って電流が流れる。つまり、本実施形態のスイッチング電源回路は、軽負荷時に非同期整流方式のスイッチング電源回路として動作する。
【0092】
ダイオードD1の両端子間に生じる電圧は、コイル電流ILが流れているとき約0.7Vと高く損失が大きくなるが、コイル電流ILの値自体が小さいため問題とならない。そして、コイル電流ILが小さくなると急速に等価抵抗が高くなり、逆流を阻止する。
【0093】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)同期整流側のスイッチ回路32は、互いに並列接続されたスイッチSW12とダイオードD1を含み、ゼロクロスを検出したときにスイッチSW12をオフするようにした。その結果、同期整流側のスイッチ回路32を駆動する信号を生成するための回路構成が簡略化される。
【0094】
(2)軽負荷時には、スイッチSW12をオフし、スイッチSW12の駆動損失が生じないため、軽負荷時の効率を改善することができる。
(第三実施形態)
以下、第三実施形態を説明する。
【0095】
なお、本実施形態において、上記各実施形態と同じ部材については同じ符号を付し、それらの説明の全て又は一部を省略する。
本実施形態は、固定クロックが無く、オン時間を設定する単安定マルチバイブレータ回路(mono-stable multivibrator:以下、MM回路)で制御される、周波数可変型のPFM方式電源回路への適用例である。
【0096】
図7に示すように、このスイッチング電源回路は、第1のスイッチ回路41と第2のスイッチ回路32を含む。
第1のスイッチ回路41は入力端子PiとコイルL1の入力側端子との間に接続され、第2のスイッチ回路32はコイルL1の入力側端子とグランドとの間に接続されている。
【0097】
第1のスイッチ回路41は、互いに並列接続された2つのスイッチSW11,SW11aを含む。両スイッチSW11,SW11aは例えばNチャネルMOSトランジスタである。第1のスイッチSW11は、第2のスイッチSW11aよりも多くの電流を流すように形成されている。つまり、第1のスイッチSW11が主スイッチであり、第2のスイッチSW11aが副スイッチである。両スイッチSW11,SW11aは、スイッチ制御回路46から供給される駆動信号DR11,DR11aに応答してそれぞれオンオフする。
【0098】
コイルL1の出力側端子はコンパレータ45の反転入力端子に接続され、その反転入力端子に出力電圧Voutが入力されている。コンパレータ45の非反転入力端子は基準電源E1から基準電圧Vr1が入力される。
【0099】
コンパレータ45は、基準電圧Vr1と出力電圧Voutとを比較し、その比較結果に応じた信号(誤差信号)Seをスイッチ制御回路46に出力する。コンパレータ45は、出力電圧Voutが基準電圧Vr1より低いときにHレベルの信号Seを出力し、出力電圧Voutが基準電圧Vr1より高いときにLレベルの信号Seを出力する。この基準電圧Vr1は、出力電圧Voutを制御する目標値に応じた電圧である。
【0100】
スイッチ制御回路46は、コンパレータ45の出力信号Seとゼロクロスコンパレータ17の出力信号S0xとに基づいて、スイッチ回路41,32に含まれるスイッチSW1,SW1a,SW12を駆動する駆動信号DR11,DR11a,DR12を生成する。
【0101】
スイッチ制御回路46は、MM回路51,52、FF回路53,54、AND回路55,56を含む。
コンパレータ45の出力信号SeはMM回路51,52とFF回路53のクロック端子CKに入力される。MM回路51は、Hレベルの信号Seをトリガとして時定数に応じた期間、出力端子QからHレベルとなる駆動信号DR11aを出力するとともに、反転出力端子XQから駆動信号DR11aと相補な信号S51xを出力する。
【0102】
MM回路52は、Hレベルの信号Seをトリガとして時定数に応じた期間、出力端子QからHレベルとなる信号S52を出力する。MM回路52の時定数は、MM回路51の時定数の数倍(期待動作周期の2〜3倍)に設定されている。また、このMM回路52はリトリガラブルの単安定マルチバイブレータであり、Hレベルの信号S52を出力している間に信号Seが立上がると、そのタイミングから更に時定数に応じた期間Hレベルとなる信号S52を出力する。
【0103】
FF回路53は、クロック端子CKに供給される信号Seが立上がる毎に、入力端子Dに入力される信号S52のレベルと等しいレベルの信号S53を出力する。従って、信号Seが立上がる間隔がMM回路52の時定数により定まる間隔より短い場合、FF回路53は継続的にHレベルの信号S53を出力する。
【0104】
一方、信号Seが立上がる間隔がMM回路52の時定数により定まる間隔より長くなると、時定数による期間の経過後にLレベルの信号S52を出力するため、FF回路53はLレベルの信号S53を出力する。
【0105】
コンパレータ45は、出力電圧Voutが基準電圧Vr1より低くなるとHレベルの信号Seを出力し、スイッチ制御回路46は、Hレベルの信号Seに応答して、MM回路51の時定数に応じた期間、Hレベルの駆動信号DR11aを出力し、その信号DR11aによりスイッチSW11aがオンする。また、信号Seのパルス間隔がMM回路52の時定数以下であれば、駆動信号DR11aと信号S53が入力されるAND回路55の出力信号DR11は、等価な信号でありスイッチSW11を同時にオンする。信号Seのパルス間隔がMM回路52の時定数以下であれば、AND回路55はLレベルの信号DR11を出力するため、スイッチSW11はオフを維持する。
【0106】
Lレベルの駆動信号DR11により信号S51xがHレベルとなり、駆動信号DR11aによりFF回路54の出力信号S54がHレベルとなっているため、駆動信号DR12がHレベルとなる。その後、ゼロクロスコンパレータ17がゼロクロスを検出し、出力信号S0xがHレベルになるとFF回路54がリセットされ、駆動信号DR12がLレベルとなる。
【0107】
信号Seのパルス間隔が長くなるのは、軽負荷時(DCM)と想定されるため、以上により、軽負荷では、スイッチSW11がオンすることが無くゲート駆動電力を軽減し、通常負荷では、スイッチSW11がオンすることにより最大駆動能力が維持される。
【0108】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)PFM方式のスイッチング電源回路において、コンパレータ45の出力信号Seが、MM回路52の時定数に応じた期間、入力されなかった場合に、メイン側スイッチ回路41に含まれる主スイッチSW11をオフ固定するようにした。その結果、スイッチの駆動時におけるスイッチング損失を低減する、即ち軽負荷時における効率低下を抑制することができる。
【0109】
(2)スイッチ制御回路46は、MM回路52の時定数に応じた期間、入力されなかった場合に、メイン側スイッチ回路41に含まれる主スイッチSW11をオフ固定する。従って、アナログ信号を処理するオペアンプやコンパレータの追加が不要であり、容易に主スイッチSW11の状態を固定することができる。また、アナログ回路を追加しないため、回路規模の増大を抑えることができる。
【0110】
なお、MM回路52を省略し、ゼロクロスコンパレータ17の出力信号S0xの反転信号をFF回路53に供給しても同等の効果が得られる。
(第四実施形態)
以下、第四実施形態を説明する。
【0111】
図8に示すスイッチング電源回路は、第1〜第4スイッチ回路61〜64、コイルL1、誤差増幅器65、コンパレータ66、発振器67、制御回路68、発振器69を含む。入力電圧Vinが供給される入力端子Piには第1スイッチ回路61の第1端子(入力側端子)が接続され、第1スイッチ回路61の第2端子(出力側端子)はコイルL1の第1端子に接続されている。コイルL1の第2端子は第4スイッチ回路64の第1端子に接続され、第4スイッチ回路64の第2端子は出力電圧Voutを出力する出力端子Poに接続されている。
【0112】
コイルL1の第1端子には第2スイッチ回路62の第1端子が接続され、第2スイッチ回路62の第2端子はグランドに接続されている。コイルL1の第2端子には第3スイッチ回路63の第1端子が接続され、第3スイッチ回路63の第2端子はグランドに接続されている。
【0113】
第1スイッチ回路61は互いに並列接続された主スイッチSW1と副スイッチSW1aを含む。主スイッチSW1と副スイッチSW1aは例えばPチャネルMOSトランジスタである。これらのスイッチSW1,SW1aは第一実施形態と同様に構成されている。
【0114】
第2スイッチ回路62及び第3スイッチ回路63は例えばNチャネルMOSトランジスタである。第4スイッチ回路64は例えばPチャネルMOSトランジスタである。
出力電圧Voutは誤差増幅器65の反転入力端子に入力されている。誤差増幅器65の非反転入力端子は基準電源E11に接続され、基準電圧Vr11が入力される。基準電圧Vr11は、出力電圧Voutを安定化する目標値(目標電圧)に応じて、例えば目標電圧と等しく設定されている。誤差増幅器65は、出力電圧Voutと基準電圧Vr11との差電圧に応じた誤差電圧V1を出力する。
【0115】
コンパレータ66の反転入力端子には誤差電圧V1が入力され、非反転入力端子には発振器67から出力されるスロープ信号V2が入力される。発振器67は、発振器69から出力されるクロック信号Scに同期して動作し、鋸歯状のスロープ信号V2を生成する。コンパレータ66は、誤差電圧V1とスロープ信号V2を比較し、その比較結果に応じた制御信号CPを出力する。
【0116】
入力電圧Vinはコンパレータ70の反転入力端子に供給され、コンパレータ70の非反転入力端子には出力電圧Voutが入力される。コンパレータ70は、出力電圧Voutが入力電圧Vinより高いときにHレベルの信号Csを出力し、低いときにLレベルの信号Csを出力する。この信号Csは制御回路68に供給される。
【0117】
本実施形態において、信号CsがHレベルのときに昇圧動作、信号CsがLレベルのときに降圧動作とし、2つの動作を独立して制御する。
昇圧動作では、クロック信号Scのパルスが入力されたとき、誤差電圧V1がスロープ信号V2より高くなっている第一期間に、スイッチ回路61,63がオンとなり、スイッチ回路62,64がオフとなり、コイルL1の電流が増加し、エネルギーが蓄積される。スロープ信号V2が上昇して誤差電圧V1より高くなる第二期間は、スイッチ回路61,64がオンとなり、スイッチ回路62,63がオフとなり、出力端子Poから負荷に電流が供給され、コイルL1の電流が減少し、エネルギーが放出される。以上の2つの状態を繰り返すことにより、所定の出力電圧Voutが得られる。
【0118】
降圧動作では、クロック信号Scのパルスが入力されたとき、誤差電圧V1がスロープ信号V2より高くなっている第一期間に、スイッチ回路61,64がオンとなり、スイッチ回路62,63がオフとなり、出力端子Poから負荷に電流が供給されるとともに、コイルL1の電流が増加し、エネルギーが蓄積される。スロープ信号V2が上昇して誤差電圧V1より高くなる第二期間に、スイッチ回路62,64がオンとなり、スイッチ回路61,63がオフとなり、コイルL1の電流が減少し、エネルギーが放出され、出力端子Poから負荷に電流が供給される。以上の2つの状態を繰り返すことにより、所定の出力電圧Voutが得られる。
【0119】
この方式で昇圧動作と降圧動作とを安定に切り換えるためには、スロープ信号V2が、降圧動作時にその振幅に想到する電圧だけ低くなる必要がある。
以上の昇降圧方式の電源回路において、第1〜第3実施形態と同様、降圧時において、スイッチ回路62におけるゼロクロスを検出して、スイッチ回路61のスイッチSW1を停止してもよい。昇圧動作時では、スイッチ回路61における逆流を検出する必要があるが、逆流検出時にスイッチ回路61のスイッチSW1を停止してもよい。
【0120】
また、昇圧動作時は、出力端子Poに向かって流れる電流Iout以上の電流がスイッチ回路61に流れるため、その最大電流に応じたスイッチSW1,SW1aの素子サイズが設定されている。降圧動作時における出力電流Ioutは、コイル電流IL以上とならないため、信号CsがLレベルの場合にスイッチSW1を停止してもよい。この場合、一般に昇降圧型の電源回路にける昇圧比はたかだか2〜3倍であり、スイッチSW1の素子サイズは、スイッチSW1aの1〜3倍程度となり、スイッチ駆動損失の低減効果は小さくなる。
【0121】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)昇降圧型のスイッチング電源回路において、制御回路68は、昇圧制御と降圧制御を切り替え、その制御に応じて、降圧制御の時には第1スイッチ回路61の主スイッチSW1をオフし、副スイッチSW1aのみをオンオフ制御するようにした。その結果、スイッチの駆動時におけるスイッチング損失を低減する、即ち降圧制御時における効率低下を抑制することができる。
【0122】
(2)制御回路68は、コンパレータ70から入力される制御信号Csに基づいて、第1スイッチ回路61の主スイッチSW1の状態を固定する。この制御信号Csは、昇圧制御と降圧制御とを切り替えるための信号であり、制御回路68は、制御信号CPから図示しない論理回路により主スイッチSW1の状態を固定するようにしている。従って、アナログ信号を処理するオペアンプやコンパレータの追加が不要であり、容易に主スイッチSW1の状態を固定することができる。また、アナログ回路を追加しないため、回路規模の増大を抑えることができる。
【0123】
尚、上記各実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態におけるスイッチ制御回路の構成を適宜変更してもよい。別の例のスイッチ制御回路を図9に従って説明する。
【0124】
このスイッチ制御回路80は、第一実施形態のスイッチ制御回路16(図2参照)と同様の部材を有しているため、それらの部材については同じ符号を用いて説明する。
スイッチ制御回路80はパルス検出回路81を有している。パルス検出回路81は、インバータ回路82,84、AND回路83,85、FF回路86を含む。制御信号Spは、FF回路23のリセット端子Rに入力される。また、制御信号Spは、インバータ回路82に入力され、そのインバータ回路82の出力信号はAND回路83に入力される。このAND回路83にはクロック信号Scが入力され、AND回路83の出力信号Sc1はFF回路23のセット端子Sに入力される。
【0125】
また、クロック信号Scはインバータ回路84とAND回路85に入力され、インバータ回路84の出力信号はAND回路85に入力される。AND回路85は、クロック信号Scとインバータ回路84の出力信号に基づいて、クロック信号Scの立上がりタイミングからインバータ回路84の遅延時間分のパルス幅の信号Sc2を出力する。
【0126】
FF回路86はRS−FFであり、セット端子SにAND回路85の出力信号Sc2が入力され、リセット端子RにFF回路23の出力端子Qから出力される信号S23が入力される。そして、FF回路86の反転出力端子XQから出力される信号Sc3は、AND回路27に入力される。AND回路27には、FF回路25の反転出力端子XQから出力される信号S26xと、AND回路28から出力される駆動信号DR2aが入力される。そして、AND回路27から駆動信号DR2が出力される。
【0127】
出力電圧Voutが高くなると、図1の誤差増幅器15は誤差電圧Veを低くするため、メイン側のスイッチ回路11がオンしてからPWMコンパレータ14がHレベルの制御信号Spを出力するまでの期間が短くなる。さらに、出力電圧Voutが高くなって誤差増幅器15から出力される誤差電圧Veが電流センスアンプ13の出力電圧Vsの最低値より低くなると、PWMコンパレータ14はHレベルの制御信号Spを継続的に出力する。つまり、スイッチ回路11,12をスイッチングするための信号(パルス)が無くなる。
【0128】
ここで、ある周期P1において、出力パルスが発生し、次の周期P2において出力パルスが発生しない場合を想定する。周期P1では、スイッチング信号があるため、クロック信号Scの立ち上がり時に、上記の信号Spが継続的にHレベルとなる状態ではない。つまり、信号SpがLレベルであるため、AND回路83の出力信号Sc1は、信号Scと同じレベルとなり、FF回路23がセットされ、信号S23xがLレベルとなるのは、先の図2と同様であり、信号S23はHレベルとなる。次に、信号SpがHレベルとなったときに、信号S23はLレベルとなる。なお、FF回路23のリセット条件は、過電流検出信号Sovを処理する図2のOR回路21が無いだけであり、過電流の生じない通常時は、図2と同様であることは明らかである。以上により、周期P1の動作は、図2と同じであることがわかる。また、FF回路86については、クロック信号Scの立ち上がりパルスである信号Sc2でセットされるが、信号S23が信号Scによりセットされるため、直ちにリセットされるため、出力信号Sc3は、ほぼHレベルであり、瞬時的にLレベルとなるのは、駆動信号DR2,DR2aがLれべるとなる信号Sc立ち上がり後のタイミングであるため影響は生じない。
【0129】
次の周期P2において、出力が生じない条件であり、周期P1より、継続的に信号SpがHレベルとなっている。ここで、クロック信号Scの立ち上がりが入ると、周期P1と異なり、AND回路83の出力信号Sc1はLレベルに固定となるため、FF回路23の出力信号S23はセットされず、Lレベルを維持する。信号S23xがHレベルを維持することも明らかで、駆動信号DR1,DR1aもHレベルを維持し、クロック信号Scにより、強制的にオンとならないため、不必要な出力駆動が生じないことがわかる。また、ここまでの説明では、駆動信号DR2,DR2aもゼロクロス検出信号S0xが入らない限り、Hレベルを維持している。
【0130】
周期P2において、FF回路86の出力信号Sc3は、クロック信号Scにより一度Lレベルとなり、信号S23がLレベルを維持しているので、信号Sc3はHレベルとならない。駆動信号DR2について、ゼロクロスが生じていない場合であっても、コイル電流が0に近づく状態であり、電流は小さいと推定され、信号Sc3がAND回路27の出力信号DR2をLレベルに固定とするため、この時の同期整流の主スイッチSW2はオフとなり、次のゼロクロス検出の精度を向上させる。
【0131】
周期P2において、ゼロクロスが生じると、図2同様、駆動信号DR2aがLレベルとなり、スイッチSW2aをオフさせることは言うまでもない。
以上のように、図9の論理回路では、出力電圧が高くなったときに、必要のないスイッチ回路11のオンを行わず、また、最後のスイッチ回路11のオンのあった周期の内にゼロクロスが発生しない場合を考慮し、ゼロクロス発生まで、駆動信号DR2aのHレベルを確実に維持している。
【0132】
・上記第二実施形態では、ダイオードD1をスイッチSW12に明示的に並列接続したが、ダイオードD1を省略してもよい。この場合、NチャネルMOSトランジスタであるスイッチSW12に内蔵されたダイオード(寄生ダイオード又はボディ・ダイオードと呼ばれる)が整流動作するため、省略することができる。
【0133】
・上記実施形態では、ゼロクロスコンパレータ17により同期整流側のスイッチ回路12にゼロクロスが発生するのを検出した次のスイッチングサイクルでメイン側スイッチ回路11に含まれる主スイッチSW1の制御を禁止するようにした。スイッチング電源回路において、負荷の急変により過渡的に出力電流が減少し、ゼロクロスを検出することがある。この時に、ゼロクロス点感度の差などにより、わずかに出力電圧安定度に影響することが考えられる。このため、ゼロクロスを複数サイクル継続して検出した場合に主スイッチSW1の制御を禁止するようにしてもよい。
【0134】
・上記各実施形態は、同期整流方式のスイッチング電源回路であったが、非同期整流方式のスイッチング電源回路としてもよい。例えば、第一実施形態のスイッチング電源回路において、同期整流側のスイッチ回路12、及びこのスイッチ回路12の駆動信号DR2,DR2aを生成するための回路素子を削除する。また、第四実施形態(昇降圧型)のスイッチング電源回路において、コイルL1の入力側端子とグランドとの間に接続された第2スイッチ回路62と、コイルL1の出力側端子と出力端子Poとの間に接続された第4スイッチ回路64とのうちの少なくとも一方をダイオードに置き換え、置き換えたスイッチに供給する駆動信号を生成する回路素子を削除する。このように構成されたスイッチング電源回路においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0135】
・上述とは逆に、主たるスイッチ回路11を1つのスイッチ素子として、スイッチSW1a及び駆動信号DR1aを省略し、同期整流側のスイッチ回路のみについて、駆動信号DR2,DR2aを生成し、対応するスイッチを用意してもよい。
【0136】
・上記第三実施形態では、MM回路52の時定数に応じた期間内にコンパレータ45からパルス状の信号Seが出力されないときに主スイッチSW11の制御を変更するようにした。これに対し、カウンタやタイマ等の経過時間を計測する手段を設け、計測した時間内におけるパルス信号Seの有無に応じて主スイッチSW11の制御を変更するようにしてもよい。また、ゼロクロス検出信号S0xから主スイッチSW11の制御を変更してもよい。
【0137】
・上記各実施形態に対し、スイッチング電源回路の構成や制御方式を適宜変更してもよい。例えば、負荷電流に応じて、PWM制御とPFM制御を切り替える方式がある。この方式に対し、上記実施形態では軽負荷時での電流検出を高精度にて行うことができるため、制御を切り替える電流やタイミングの精度が高くなり、制御の安定性等の点で有利となる。
【0138】
・降圧型及び昇降圧型の電源回路について説明したが、昇圧電源回路においても、出力端子から入力端子への電流の逆流を検出するゼロクロス検出器があり、まったく同様に、主及び副スイッチの制御を行うようにしてもよい。
【0139】
上記各実施形態に関し、以下の付記を開示する。
(付記1)
互いに並列接続された主スイッチ及び副スイッチを含み、電圧が印加される端子とコイルとの間に前記主スイッチ及び副スイッチが接続された第1のスイッチ回路と、
前記第1のスイッチ回路をオンオフ制御する第1の制御回路と、
動作状態を切り替えるための制御信号に基づいて、前記主スイッチの状態をオフ状態に固定する第2の制御回路と、
を有することを特徴とするスイッチング電源回路。
(付記2)
同期整流を行うスイッチ回路の両端子間電圧に応じて検出信号を出力するコンパレータを有し、
前記検出信号が一回又は一定数回発生した場合、次のスイッチングサイクルにおいて前記主スイッチをオフ固定する、
ことを特徴とする付記1記載のスイッチング電源回路。
(付記3)
前記同期整流を行うスイッチ回路を第2のスイッチ回路とし、入力電圧が印加される端子と前記コイルとの間のスイッチ回路を第1のスイッチ回路として、
前記第1のスイッチ回路と前記第2のスイッチ回路のいずれか一方または両方のスイッチが、互いに並列接続された主スイッチ及び副スイッチで構成され、
前記第1の制御回路は、電流連続モードのときに前記主スイッチ及び副スイッチをオンオフ制御し、電流断続モードのときに前記副スイッチを含むスイッチ回路の前記主スイッチをオフ固定し前記副スイッチをオンオフ制御する、
ことを特徴とする付記2記載のスイッチング電源回路。
(付記4)
前記第2のスイッチ回路は互いに並列接続されたスイッチ及びダイオードを含み、
前記第1の制御回路は、電流連続モードのときに前記主スイッチをオンオフ制御し、電流断続モードのときに前記主スイッチをオフ固定する、
ことを特徴とする付記3記載のスイッチング電源回路。
(付記5)
前記検出信号に基づいて、スイッチングサイクル期間内に前記第2のスイッチ回路においてゼロクロスが発生しない場合に、電流断続モードから電流連続モードへの切り替えを次のスイッチングサイクルから行い、
前記第2の制御回路は、前記第1のスイッチ回路または前記第2のスイッチ回路に含まれる主スイッチの固定状態を解除する、
ことを特徴とする付記3記載のスイッチング電源回路。
(付記6)
前記第1のスイッチ回路に流れる電流に応じた検出電圧を出力する電流センスアンプと、
出力電圧と基準電圧との差に応じた誤差電圧を出力する誤差増幅器と、
前記検出電圧と前記誤差電圧とを比較し、その比較結果に応じた制御信号を出力するPWMコンパレータと、
前記検出電圧と基準電圧とを比較し、比較結果に応じた過電流検出信号を出力するコンパレータと
を有し、
前記第1の制御回路は、一定周期のクロック信号と前記制御信号とに基づいて前記第1のスイッチ回路と前記第2のスイッチ回路とを制御する電流モードにて動作し、前記過電流検出信号に基づいて過電流が検出されたときに前記第1のスイッチ回路のオン動作を停止するとともに前記第2のスイッチ回路をオフし、動作モードの切り替えの信号に基づいて、前記第2のスイッチ回路に含まれる主スイッチをオフ固定したときに前記過電流検出信号を無効化する、
を特徴とする付記3〜5のうちの何れか一項に記載のスイッチング電源回路。
(付記7)
前記電流センスアンプは、前記主スイッチ及び前記副スイッチの駆動信号に基づいて前記第1のスイッチ回路に流れる電流の検出感度を変更する、
ことを特徴とする付記6記載のスイッチング電源回路。
(付記8)
前記第1の制御回路は、一定周期の第1のパルス信号により前記第1のスイッチ回路をオン制御し、出力電圧及び前記第1のスイッチ回路に流れる電流に応じて生成された第2のパルス信号により前記第1のスイッチ回路をオフし、
前記第1のパルス信号の発生時に前記第2のパルス信号が生じているときに、前記第1のスイッチ回路のオン制御を禁止する第3の制御回路を有する、
ことを特徴とする付記1〜7のうちの何れか一項に記載のスイッチング電源回路。
(付記9)
前記第3の制御回路は、
前記第1のパルス信号と前記第1のスイッチ回路をオンオフ制御する信号に基づいて、前記第1のスイッチ回路をオンオフ制御しないときに、前記第2のスイッチ回路に含まれる主スイッチをオフ固定する、
ことを特徴とする付記8記載のスイッチング電源回路。
(付記10)
出力電圧と基準電圧とを比較し、その比較結果に応じたパルス信号を出力するコンパレータを有し、
前記第1の制御回路は、前記コンパレータの出力信号に基づいて前記第1のスイッチ回路を一定時間オンし、
前記第2の制御回路は、前記パルス信号の周期を監視し、その監視結果またはゼロクロス発生検出に応じて前記主スイッチの制御を切り替える、
ことを特徴とする付記1記載のスイッチング電源回路。
(付記11)
前記第2の制御回路は、前記パルス信号が入力されてから所定期間内またはゼロクロス検出前に次のパルス信号が入力されたときには前記第1のスイッチ回路又は第2のスイッチ回路の主スイッチの制御を許可し、前記所定期間内またはゼロクロス検出前に次のパルス信号が入力されないときには前記第1のスイッチ回路または前記第2のスイッチ回路の主スイッチのオン制御を禁止する、
ことを特徴とする付記10記載のスイッチング電源回路。
(付記12)
前記第2の制御回路は、
前記パルス信号をトリガとして前記所定期間のパルス幅の信号を出力するリトリガラブルなマルチバイブレータと、
前記パルス信号に応答して前記マルチバイブレータの出力信号レベルを保持し、その保持したレベルの信号を出力するフリップフロップ回路と、
を有することを特徴とする付記10又は11記載のスイッチング電源回路。
(付記13)
動作状態を切り替えるための制御信号として、軽負荷を示すスタンバイ信号、または動作モードを切り替えるための信号を用いる、
ことを特徴とする付記1記載のスイッチング電源回路。
(付記14)
互いに並列接続された主スイッチ及び副スイッチを含み、入力端子とコイルの第1端子との間に前記主スイッチ及び副スイッチが接続された第1のスイッチ回路と、
前記コイルの第1端子と基準電位の端子との間に接続された第2のスイッチ回路と、
前記コイルの第2端子と基準電位の端子との間に接続された第3のスイッチ回路と、
前記コイルの第2端子と出力端子との間に接続された第4のスイッチ回路と、
前記入力電圧または制御状態の監視結果に応じて昇圧制御と降圧制御とを切り替え、昇圧制御のときに前記第1のスイッチ回路をオン固定し、降圧制御のときに前記第1のスイッチ回路をオンオフ制御する第1の制御回路と、
前記第1の制御回路が昇圧制御と降圧制御を切り替えるための信号に基づいて、降圧制御のときに、前記第1のスイッチ回路に含まれる主スイッチをオフ固定する第2の制御回路と、
を有することを特徴とするスイッチング電源回路。
(付記15)
互いに並列接続された主スイッチ及び副スイッチを含むスイッチ回路をオンオフ制御し、動作状態を切り替えるための制御信号に基づいて、前記主スイッチの状態をオフ固定する、
ことを特徴とするスイッチング電源回路の制御方法。
【符号の説明】
【0140】
16,36,46 スイッチ制御回路(第1の制御回路、第2の制御回路)
68 制御回路(第1の制御回路、第2の制御回路)
11 第1のスイッチ回路
12 第2のスイッチ回路
SW1,SW2 主スイッチ
SW1a,SW2a 副スイッチ
L1 コイル
Vout 出力電圧
Vin 入力電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルにエネルギーを充電するための少なくとも一つのスイッチ回路と、整流素子または同期整流を行うスイッチ回路を含み、少なくともいずれかのスイッチ回路は、互いに並列接続された主スイッチ及び副スイッチで構成され、
前記スイッチ回路をオン状態とオフ状態とに制御し、出力端子に安定化した電圧を発生させる第1の制御回路と、
前記制御に必要な制御信号に基づいて、所定のスイッチング周期において前記主スイッチの状態をオフ状態に固定する第2の制御回路と、
を有することを特徴とするスイッチング電源回路。
【請求項2】
前記整流素子または同期整流を行うスイッチ回路に流れる電流がゼロとなるまたは遮断されたことを示す検出信号を出力する検出器を有し、
前記第1の制御回路は、前記検出信号に基づいて動作状態を電流連続モードと電流断続モードとを切り替え、
前記第2の制御回路は、前記検出信号に基づいて電流断続モードのときに前記主スイッチをオフ固定する、
ことを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源回路。
【請求項3】
出力電圧と基準電圧とを比較し、その比較結果に応じたパルス信号を出力するコンパレータを有し、
前記第1の制御回路は、前記コンパレータの出力信号に基づいて前記スイッチ回路を一定時間オンまたはオフと制御し、
前記第2の制御回路は、前記制御信号の周期を監視し、その監視結果に応じて前記主スイッチの制御を切り替える、
ことを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源回路。
【請求項4】
互いに並列接続された主スイッチ及び副スイッチを含み、入力電圧が印加される端子とコイルの第1端子との間に前記主スイッチ及び副スイッチが接続された第1のスイッチ回路と、
前記コイルの第1端子と基準電位の端子との間に接続された第2のスイッチ回路と、
前記コイルの第2端子と基準電位の端子との間に接続された第3のスイッチ回路と、
前記コイルの第2端子と出力電圧を出力する端子との間に接続された第4のスイッチ回路と、
前記入力電圧または出力安定化のための制御状態の監視結果に応じて昇圧制御と降圧制御とを切り替え、昇圧制御のときに前記第1のスイッチ回路をオン固定し、降圧制御のときに前記第1のスイッチ回路をオンオフ制御する第1の制御回路と、
前記第1の制御回路が降圧制御を行うときに、前記第1のスイッチ回路に含まれる主スイッチをオフ固定する第2の制御回路と、
を有することを特徴とするスイッチング電源回路。
【請求項5】
互いに並列接続された主スイッチ及び副スイッチを含むスイッチ回路をオンオフ制御し、動作状態を切り替えるための制御信号に基づいて、前記主スイッチの状態を固定する、
ことを特徴とするスイッチング電源回路の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−135730(P2011−135730A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294633(P2009−294633)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】