説明

スイッチング電源

【課題】冷却性能を維持しつつ、簡易な構造でトランスを冷却板に固定可能なスイッチング電源を提供する。
【解決手段】冷却板と、前記冷却板上に配置され、前記冷却板との当接面に対し、反対側の押圧面に凹部が形成されたトランスと、前記凹部に嵌合する突出部及び前記凹部の両側の押圧面に当接する当接部を有する押圧部材とを備え、前記押圧部材により、前記トランスを前記冷却板に固定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング電源に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、車両の燃費性能及び環境保護性能を向上させる技術の1つとして、車両にエンジンとモータの2つの動力源を搭載し、走行状況に応じて両者を協調制御するハイブリッドシステムの導入が進んでいる。このハイブリッドシステムでは、モータを駆動する場合、高電圧バッテリから出力される直流電圧をインバータによって3相交流電圧に変換してモータに供給することが一般的である。
【0003】
また、このハイブリッドシステムでは、インバータの入力側に設けられた平滑コンデンサにスイッチング電源を接続し、モータ駆動時に平滑コンデンサに蓄えられた高電圧電力を、スイッチング電源によって低電圧電力に変換して低電圧バッテリに蓄えることにより、エネルギー効率の向上及び感電事故の防止を図っている。
【0004】
このように車両に搭載されるスイッチング電源には、高い信頼性に加えて高性能化、小型化及び低コスト化が要求されるため、従来から様々な改良技術が提案されている。例えば、下記特許文献1には、小型化及び部品点数の削減が可能で放熱効果の良好なスイッチング電源(DC−DCコンバータ)の構成が開示されており、また、下記特許文献2には、配線基板の強度向上が不要であり、トランスまたはチョークコイルの長寿命化が可能なスイッチング電源の構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−221919号公報
【特許文献2】特開2000−14149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1及び2に開示されたスイッチング電源の構成では、トランスを冷却板に固定する場合に、押圧面1つに対してネジ固定部が2つ必要であり、構造が複雑となっていた。また、トランスが大型化すると、トランスを冷却板に固定する場合に荷重が均一とならず、冷却板との固定力が低下し、その結果、冷却性能が低下する虞があった。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、冷却性能を維持しつつ、簡易な構造でトランスを冷却板に固定可能なスイッチング電源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では、スイッチング電源に係る第1の解決手段として、冷却板と、前記冷却板上に配置され、前記冷却板との当接面に対し、反対側の押圧面に凹部が形成されたトランスと、前記凹部に嵌合する突出部及び前記凹部の両側の押圧面に当接する当接部を有する押圧部材と、を備え、前記押圧部材により、前記トランスを前記冷却板に固定した、という手段を採用する。
このような構成を採用することにより、1つの押圧部材によって、トランスに均一に荷重をかけつつ、トランスを冷却板に固定できるため、冷却性能を維持しつつ、簡易な構造でトランスを冷却板に固定可能なスイッチング電源を得ることが可能である。
【0009】
また、スイッチング電源に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記押圧部材は、板バネ構造を有する、という手段を採用する。
このように押圧部材を板バネ構造とすることで、より均一に荷重をかけつつ、トランスを冷却板に固定できるようになる。
【0010】
また、スイッチング電源に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記押圧部材の突出部に形成された貫通孔と、前記貫通孔に挿入するネジと、を備え、前記ネジにより、前記押圧部材、前記トランス及び前記冷却板を固定した、という手段を採用する。
これによると、1本のネジを用いて均一に荷重をかけつつ、トランスを冷却板に固定できるようになるため、トランスの固定構造をより簡易な構造とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、冷却性能を維持しつつ、簡易な構造でトランスを冷却板に固定可能なスイッチング電源を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態におけるインダクタ1の分解斜視図及び組立て後の斜視図である。
【図2】2つのインダクタ1を組み合わせて得られる合成インダクタの斜視図及びその等価回路図である。
【図3】図2に示す合成インダクタを2つ隣り合うように配置した状態を示す斜視図及びその等価回路図である。
【図4】本実施形態におけるトランス100の分解斜視図、組立て後の斜視図及び等価回路図である。
【図5】本実施形態におけるスイッチング電源SSの回路構成図である。
【図6】スイッチング電源SSが有する第1モジュール400と第2モジュール500の斜視図、及びトランス100と、第1モジュール400と、第2モジュール500との配置関係を示す平面図である。
【図7】スイッチング電源SSの外観斜視図である。
【図8】押圧部材60によってトランス100を冷却板700に押圧固定する様子を詳細に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下では、説明の便宜上、本実施形態におけるスイッチング電源を説明するに当って、始めにスイッチング電源が備えるトランスの構成部品であるインダクタについて説明する。
〔インダクタ〕
図1(a)は、本実施形態におけるインダクタ1の分解斜視図であり、図1(b)は、組立て後におけるインダクタ1の斜視図である。これらの図に示すように、本実施形態におけるインダクタ1は、コア10、絶縁ケース20及び平板状コイル30から構成されている。
【0014】
コア10は、例えば平面的に矩形をなすE字型のフェライトコアであり、長辺方向の両端部に突出するように形成された外磁脚11及び12と、これら外磁脚11と12との間の中間位置において並列的に突出するように形成された内磁脚13とを有している。これら外磁脚11、12の頂上面11a、12aと、内磁脚13の頂上面13aは平面的に矩形をなし、互いに同一の高さとなるように寸法設定されている。
【0015】
また、コア10において、外磁脚11と内磁脚13との間には底面14aを有する溝部14が形成され、外磁脚12と内磁脚13との間には底面15aを有する溝部15が形成されている。なお、コア10において、一方のE字形状の側面を10a、他方のE字形状の側面を10b、一方の矩形状の側面を10c、他方の矩形状の側面を10d、各磁脚頂上面11a、12a及び13aに対して反対側の面(裏面)を10eとする。
【0016】
絶縁ケース20は、コア10の各磁脚頂上面11a、12a及び13aと裏面10eとが露出し、その他の面が被覆されるように加工形成された絶縁部材である。つまり、この絶縁ケース20には、コア10の各磁脚頂上面11a、12a及び13aを露出させるための開口部21、22、23と、裏面10eを露出させるための開口部24とが設けられている。このような絶縁ケース20をコア10に装着することで、コア10の各磁脚頂上面11a、12a、13a及び裏面10eは外部に露出する一方、各溝部底面14a、15a及び各側面10a、10b、10c、10dを含む他の面は絶縁ケース20によって被覆された状態となる(図1(b)参照)。
【0017】
平板状コイル30は、コア10の側面10a、10b、10d及び溝部底面14a、15aを沿うように折り曲げ加工によって形成された平板状配線部材(バスバー)である。つまり、この平板状コイル30は、コア10の側面10aを沿うように形成された導電路31と、溝部底面14a、15aを沿うように形成された導電路32、33と、側面10bを沿うように形成された導電路34、35と、側面10dを沿うように形成された導電路36とを有している。
【0018】
詳細には、導電路31は、コア10の側面10aにおいて溝部14から15までの区間を沿うように、コア10の長辺方向と平行に延設されている。導電路32は、溝部底面14aの全区間を沿うように、導電路31の溝部14側の端部から屈曲してコア10の短辺方向と平行に延設されている。導電路33は、溝部底面15aの全区間を沿うように、導電路31の溝部15側の端部から屈曲してコア10の短辺方向と平行に延設されている。
【0019】
導電路34は、コア10の側面10bにおいて溝部14から側面10dまでの区間を沿うように、導電路32の側面10b側の端部から屈曲してコア10の長辺方向と平行に延設されている。導電路35は、コア10の側面10bにおける溝部15から側面10cまでの区間を沿うように、導電路33の側面10b側の端部から屈曲してコア10の長辺方向と平行に延設されている。導電路36は、コア10の側面10dにおいて側面10bから中央位置までの区間を沿うように、導電路34の側面10d側の端部から屈曲してコア10の短辺方向と平行に延設されている。
【0020】
また、この平板状コイル30は、導電路35の端部(導電路33に対して反対側の端部)からコア10の短辺方向に屈曲して形成された端子部37と、導電路36の端部(導電路34に対して反対側の端部)からコア10の長辺方向に屈曲して形成された端子部38とを有している。これら端子部37、38には、それぞれネジ止め固定を可能とする貫通孔37a、38aが設けられている。このような平板状コイル30を、絶縁ケース20が装着されたコア10に絶縁ケース20の上から配置することで、図1(b)に示すインダクタ1が得られる。
【0021】
図2(a)は、上述した構成のインダクタ1を2つ使用し、絶縁ケース20及び平板状コイル30がそれぞれ付加された状態で、2つのコア10をそれぞれの各磁脚頂上面11a、12a及び13aが対向して当接するように組み合わせた状態を示す斜視図である。なお、図2(a)では、2つのインダクタ1を区別するために、一方のインダクタ1及びその構成要素の符号に「A」を付記し、他方のインダクタ1及びその構成要素の符号に「B」を付記している。また、以下の説明において、必ずしも両者を区別する必要がない場合には、符号に「A」或いは「B」を付記しない場合がある。
【0022】
図2(a)に示すように、同一構成の2つのインダクタ1A、1Bを組み合わせることにより、2つの平板状コイル30A、30Bの端子部38A、38Bは、外磁脚11側の側面10dの中央位置で重なり合って接続し、2つの平板状コイル30A、30Bの端子部37A、37Bは、外磁脚12側の側面10cで離間する。言い換えれば、2つのインダクタ1A、1Bを組み合わせた場合に、図2(a)に示す状態となるように、平板状コイル30は加工形成されている。
【0023】
また、図2(a)に示すように、2つのインダクタ1A、1Bにおけるコア10A、10Bが組み合わされることで、両者の外磁脚11と内磁脚13との間の溝部14による空間S1が形成され、両者の外磁脚12と内磁脚13との間の溝部15による空間S2が形成される。これらの空間S1、S2を利用して1次コイルを巻回することで、後述するような平板状コイル30A、30Bを2次コイルとして使用するトランス100を得ることが可能となる。
【0024】
図2(b)は、図2(a)のように組み合わされたインダクタ1A、1B(以下、合成インダクタと称す)の等価回路図である。この図2(b)に示すように、合成インダクタの等価回路は、コア10Aに巻回されて一端を端子部37A、他端を端子部38Aとする平板状コイル30Aと、コア10Bに巻回されて一端を端子部37B、他端を端子部38Bとする平板状コイル30Bとが直列接続された構成となる。つまり、平板状コイル30Aと30Bの接続部分である端子部38A、38Bは、平板状コイル30Aと30Bをトランスの2次コイルとして使用した場合のセンタータップとして利用できる。
【0025】
図3(a)は、図2(a)に示す合成インダクタを、さらにもう1組用意して隣り合うように配置した状態を示す斜視図である。なお、図3(a)では、追加したもう1組の合成インダクタを構成する一方のインダクタ1及びその構成要素の符号に「C」を付記し、他方のインダクタ1及びその構成要素の符号に「D」を付記している。
【0026】
つまり、等価回路としては、図3(b)に示すように、コア10Cに巻回されて一端を端子部37C、他端を端子部38Cとする平板状コイル30Cと、コア10Dに巻回されて一端を端子部37D、他端を端子部38Dとする平板状コイル30Dとが直列接続された部分が追加される。この場合、平板状コイル30Cと30Dの接続部分である端子部38C、38Dは、平板状コイル30Cと30Dをトランスの2次コイルとして使用した場合のセンタータップとして利用できる。
【0027】
このように2つの合成インダクタを隣り合うように配置した構成において、2つの合成インダクタのそれぞれに形成される空間S1、S2を利用して1次コイルを巻回し、平板状コイル30A、30B、30C、30Dをトランスの2次コイルとして使用すると、後述のような2次側が2系統に分割された分割型のトランス100を得ることができる。
【0028】
〔トランス〕
続いて、本実施形態におけるトランス100について説明する。図4(a)は、本実施形態におけるトランス100の分解斜視図であり、図4(b)は、組立て後におけるトランス100の斜視図であり、図4(c)は、トランス100の等価回路図である。なお、本実施形態におけるトランス100は、図3(a)に示した2組の合成インダクタのそれぞれに形成される空間S1、S2を利用して1次コイルを巻回し、平板状コイル30A、30B、30C、30Dを2次コイルとして使用した分割型トランスである。
【0029】
つまり、図4(a)に示すように、本実施形態におけるトランス100は、コア10A、絶縁ケース20A及び平板状コイル(以下、2次コイルと称す)30Aからなるインダクタ1Aと、コア10B、絶縁ケース20B及び2次コイル30Bからなるインダクタ1Bと、コア10C、絶縁ケース20C及び2次コイル30Cからなるインダクタ1Cと、コア10D、絶縁ケース20D及び2次コイル30Dからなるインダクタ1Dと、環状に巻回形成された1次コイル40とから構成されている。
【0030】
1次コイル40は、環状部41と、該環状部41の内側に形成された孔部42と有しており、さらに、1次コイル40の両端には1次側回路(スイッチング回路)と接続するために垂直上向きに引き出された1次側接続端子P11、P12が接続されている。
【0031】
このような1次コイル40の孔部42に対し、インダクタ1Aにおけるコア10Aの内磁脚13Aを嵌め込む(同時にコア10Aの溝部14A、15Aに1次コイル40の環状部41が嵌め込まれる)一方、インダクタ1Aと対向する側から、インダクタ1Bにおけるコア10Bの内磁脚13Bを嵌め込む(同時にコア10Bの溝部14B、15Bに1次コイル40の環状部41が嵌め込まれる)ことで、インダクタ1Aと1Bを1次コイル40を挟んで組み合わせ、同様に、インダクタ1Cと1Dとを1次コイル40を挟んで組み合わせることにより、図4(b)に示すようなトランス100が得られる。
【0032】
なお、図4(b)に示すように、2次コイル30A、30B、30C、30Dの端子部37A、37B、37C、37Dには、2次側回路(整流回路)と接続するために垂直上向きに引き出された2次側接続端子P21、P22、P23、P24が接続されている。また、以下では、説明の便宜上、2次コイル30Aと30Bの接続部分である端子部38A、38BをセンタータップCT1と称し、2次コイル30Cと30Dの接続部分である端子部38C、38DをセンタータップCT2と称する(図4(b)、(c)参照)。
【0033】
図4(c)に示すように、トランス100の等価回路は、図3(b)に示した等価回路に、1次側接続端子P11、P12が両端に接続された1次コイル40が追加され、2次側が2系統に分割された構成となる。つまり、1次側接続端子P11、P12を介して1次コイル40に1次交流電圧を印加すると、1次コイル40と2次コイル30A、30B、30C、30Dのそれぞれの巻数比に応じた2次交流電圧が、2次側接続端子P21とセンタータップCT1の端子間、2次側接続端子P22とセンタータップCT1の端子間、2次側接続端子P23とセンタータップCT2の端子間、及び2次側接続端子P24とセンタータップCT2の端子間に発生することになる。
【0034】
〔スイッチング電源〕
続いて、本実施形態におけるスイッチング電源SSについて説明する。図5は、本実施形態におけるスイッチング電源SSの回路構成図である。この図5に示すように、本実施形態におけるスイッチング電源SSは、上述したトランス100と、トランス100の1次側に接続されたスイッチング回路200と、トランス100の2次側に接続された整流回路300とから構成されている。
【0035】
トランス100は、図4(c)と同様に、1次側接続端子P11、P12が両端に接続された1次コイル40と、一端が2次側接続端子P21に接続され、他端がセンタータップCT1に接続された2次コイル30Aと、一端が2次側接続端子P22に接続され、他端がセンタータップCT1に接続された2次コイル30Bと、一端が2次側接続端子P23に接続され、他端がセンタータップCT2に接続された2次コイル30Cと、一端が2次側接続端子P24に接続され、他端がセンタータップCT2に接続された2次コイル30Dとから構成されている。
【0036】
スイッチング回路200は、外部から入力される直流電圧を、スイッチング動作によって1次交流電圧に変換してトランス100の1次側に出力する回路であり、直流電圧を入力するための正極入力端子201及び負極入力端子202と、4つのトランジスタ(スイッチング素子)203、204、205、206と、4つのスナバダイオード207、208、209、210と、共振コイル211とから構成されている。
【0037】
各トランジスタ203、204、205、206は、例えばn型の電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transister)である。トランジスタ203と205のドレイン端子は正極入力端子201と接続され、トランジスタ204と206のソース端子は負極入力端子202と接続されている。そして、トランジスタ203のソース端子とトランジスタ204のドレイン端子が接続され、トランジスタ205のソース端子とトランジスタ206のドレイン端子が接続されている。なお、トランジスタ206のドレイン端子(トランジスタ205のソース端子)は、トランス100の1次側接続端子P12と接続されている。
【0038】
また、図5では図示を省略しているが、各トランジスタ203、204、205、206のゲート端子はPWM(Pulse Width Modulation)制御回路と接続されている。つまり、各トランジスタ203、204、205、206のオン/オフ動作(スイッチング動作)は、PWM制御回路から各ゲート端子に入力されるPWM信号によって制御されている。
【0039】
スナバダイオード207は、トランジスタ203のドレイン−ソース端子間に並列接続されている。スナバダイオード208は、トランジスタ204のドレイン−ソース端子間に並列接続されている。スナバダイオード209は、トランジスタ205のドレイン−ソース端子間に並列接続されている。スナバダイオード210は、トランジスタ206のドレイン−ソース端子間に並列接続されている。共振コイル211の一端はトランジスタ203のソース端子(トランジスタ204のドレイン端子)と接続され、他端はトランス100の1次側接続端子P11と接続されている。
【0040】
一方、整流回路300は、トランス100から出力される2次交流電圧を、整流作用によって直流電圧に変換して外部に出力する回路であり、4つの整流ダイオード301、302、303、304と、2つの平滑コイル305、306と、3つの平滑コンデンサ307、308、309と、出力端子310とから構成されている。
【0041】
整流ダイオード301のアノード端子はトランス100の2次側接続端子P21に接続され、カソード端子は平滑コイル305の一端と接続されている。整流ダイオード302のアノード端子はトランス100の2次側接続端子P22に接続され、カソード端子は平滑コイル305の一端と接続されている。整流ダイオード303のアノード端子はトランス100の2次側接続端子P23に接続され、カソード端子は平滑コイル306の一端と接続されている。整流ダイオード304のアノード端子はトランス100の2次側接続端子P24に接続され、カソード端子は平滑コイル306の一端と接続されている。
【0042】
平滑コイル305の他端は、平滑コンデンサ307、309の一端及び出力端子310と接続されている。平滑コイル306の他端は、平滑コンデンサ308、309の一端及び出力端子310と接続されている。平滑コンデンサ307、308及び309の他端は共通のグランドラインに接続されている。なお、トランス100のセンタータップCT1及びCT2も、共通のグランドラインと接続されている。
【0043】
図6(a)は、上記のスイッチング回路200が実装された第1モジュール400の斜視図である。この図に示すように、第1モジュール400は、アルミ基板401と、アルミ基板401上における両方の長辺側の中央位置に配置された入力コネクタ402及び出力コネクタ403と、アルミ基板401上において入力コネクタ402と出力コネクタ403との間の領域に配置されたトランジスタパッケージ404、405、406、407、ダイオードパッケージ408、409及びコイルパッケージ410とから構成されている。
【0044】
トランジスタパッケージ404、405、406、407には、スイッチング回路200におけるトランジスタ203、204、205、206がそれぞれ内包されている。ダイオードパッケージ408には、スイッチング回路200におけるスナバダイオード207及び208の2つが内包され、ダイオードパッケージ409には、スイッチング回路200におけるスナバダイオード209及び210の2つが内包されている。コイルパッケージ410には、スイッチング回路200における共振コイル211が内包されている。
これらの各回路素子を内包するパッケージは、図5に示したスイッチング回路200が形成されるように、アルミ基板401上において結線されている。
【0045】
また、入力コネクタ402は、外部入力される直流電圧と、不図示のPWM制御回路から入力されるPWM信号(各トランジスタ203、204、205、206のゲート端子に入力される信号)とを受けて、アルミ基板401上に形成されたスイッチング回路200に出力する役割を担うコネクタであり、垂直上方に突出するように配置された各信号の入力端子402aを有している。出力コネクタ403は、アルミ基板401上に形成されたスイッチング回路200から出力される1次交流電圧を受けて、トランス100の一次側に出力する役割を担うコネクタであり、垂直上方に突出するように配置された出力端子403aを有している。
【0046】
図6(b)は、上記の整流回路300が実装された第2モジュール500の斜視図である。この図に示すように、第2モジュール500は、アルミ基板501と、アルミ基板501上における両方の長辺側の中央位置に配置された入力コネクタ502及び出力コネクタ503と、アルミ基板501上において入力コネクタ502と出力コネクタ503との間の領域に配置されたダイオードパッケージ504、505、506、507、コイルパッケージ508及びコンデンサパッケージ509、510、511から構成されている。
【0047】
ダイオードパッケージ504、505、506、507には、整流回路300における整流ダイオード301、302、303、304がそれぞれ内包されている。コイルパッケージ508には、整流回路300における平滑コイル305、306の2つが内包されている。コンデンサパッケージ509、510、511には、整流回路300における平滑コンデンサ307、308、309がそれぞれ内包されている。これらの各回路素子を内包するパッケージは、図5に示した整流回路300を形成するように、アルミ基板501上において結線されている。
【0048】
また、入力コネクタ502は、トランス100の2次側から出力される2次交流電圧を受けて、アルミ基板501上に形成された整流回路300に出力する役割を担うコネクタであり、垂直上方に突出するように配置された各信号の入力端子502aを有している。出力コネクタ503は、アルミ基板501上に形成された整流回路300から出力される直流電圧を受けて、後述の外部出力端子600に出力する役割を担うコネクタであり、垂直上方に突出するように配置された出力端子503aを有している
【0049】
図6(c)は、トランス100と、第1モジュール400と、第2モジュール500との配置関係を示す平面図である。この図に示すように、本実施形態におけるスイッチング電源SSにおいて、トランス100は、同一平面上において、1次側接続端子P11、P12と第1モジュール400の出力コネクタ403が向かい合うように、且つ2次側接続端子P21、P22、P23、P24と第2モジュール500の入力コネクタ502が向かい合うように、第1モジュール400と第2モジュール500との間に配置されている。なお、図6(c)において、符号600は、第2モジュール500のコネクタ503と接続された外部出力端子である。
【0050】
さらに、図7(a)に示すように、本実施形態におけるスイッチング電源SSでは、図6(c)に示す配置関係を維持した状態で、トランス100、第1モジュール400、第2モジュール500及び外部入力端子600を冷却板700上にネジ止め固定する。この冷却板700は、放熱性に優れた材料から形成されており、ヒートシンクとしての役割を担っている。
【0051】
詳細には、第1モジュール400のアルミ基板401には、その対角線上の両端に貫通孔401a、401bが形成されており、ワッシャー付きのネジN1、N2を貫通孔401a、401bに貫通させて、冷却板700上に設けられているネジ孔に締結することにより、第1モジュール400を冷却板700に固定する。
【0052】
また、貫通孔61aが形成された押圧部材60をトランス100の上部に配置した状態で、ワッシャー付きのネジN3を貫通孔61aに貫通させ、押圧部材60によってトランス100を上部から押圧しつつ、冷却板700上に設けられているネジ孔に締結することで、トランス100を冷却板700に固定する(詳細は図8参照)。なお、トランス100のセンタータップCT1、CT2は、ワッシャー付きのネジN4、N5によって第1モジュール400のアルミ基板401に締結されることにより、共通のグランドラインと電気的に接続される。
【0053】
また、第2モジュール500のアルミ基板501には、その対角線上の両端に貫通孔501a、501bが形成されており、ワッシャー付きのネジN6、N7を貫通孔501a、501bに貫通させて、冷却板700上に設けられているネジ孔に締結することにより、第2モジュール500を冷却板700に固定する。また、外部入力端子600には、両側に貫通孔600a、600bが形成されており、ワッシャー付きのネジN8、N9を貫通孔600a、600bに貫通させて、冷却板700上に設けられているネジ孔に締結することにより、外部入力端子600を冷却板700に固定する。
【0054】
さらに、冷却板700には、長辺側の縁に沿って四角柱状のボス701、702、703、704、705、706が垂直上方に突出するように形成されており、図7(b)に示すように、制御基板800がこれらのボス701、702、703、704、705、706にネジ止め固定される。
【0055】
この制御基板800には、トランス100の1次側接続端子P11、P12及び2次側接続端子P21、P22、P23、P24と、第1モジュール400の入力端子402a及び出力端子403aと、第2モジュール500の入力端子502aとが貫通する貫通孔が設けられている。よって、図7(b)に示すように、制御基板800が冷却板700に固定されると、各端子の先端部分が制御基板800を貫通して露出した状態となる。この状態で、制御基板800上に露出した各端子をハンダ付けすることで、各端子と制御基板800上に形成された配線パターンとを電気的に接続する。
【0056】
制御基板800には、直流電圧を外部入力するための外部入力端子801、802とPWM制御回路が設けられており、これら外部入力端子801、802とPWM制御回路の出力端子(つまり、PWM信号の出力端子)は、制御基板800上において第1モジュール400の入力端子402aと電気的に接続される。また、第1モジュール400の出力端子403aと、トランス100の1次側接続端子P11、P12は、制御基板800上において電気的に接続される。また、トランス100の2次側接続端子P21、P22、P23、P24と、第2モジュール500のコネクタ502の入力端子502aも、制御基板800上において電気的に接続される。このような構成により、図5に示した回路構成を有するスイッチング電源SSが得られる。
【0057】
図8(a)は、押圧部材60によってトランス100を冷却板700に押圧固定する様子を詳細に示したものである。この図に示すように、押圧部材60は、トランス100の押圧面(コア10B及びコア10Dの裏面10e)に形成された凹部55に嵌合する突出部61及び凹部51の両側の押圧面(コア10B及びコア10Dの裏面10e)に当接する当接部62、63を有する板バネ構造体である。
【0058】
押圧部材60の突出部61に貫通孔61aが形成されており、押圧部材60の突出部61をトランス100の凹部55に嵌め込むと共に当接部62、63を凹部55の両側の押圧面(コア10B及びコア10Dの裏面10e)に当接させた状態で、突出部61の貫通孔61aにネジN3を貫通させ、押圧部材60によってトランス100が押圧されるように突出部61に力を加えつつ、冷却板700上に突設されたボス707のネジ孔707aにネジN3を締結することで、押圧部材60とともにトランス100を冷却板700に固定する。
【0059】
また、図8(b)に示すように、冷却板700上に突設されたボス707には、ネジ孔707aの他、位置決め孔707bが形成されており、図8(c)に示すように、トランス100を固定する際に、押圧部材60の突出部61の下部に形成された突起61bを位置決め孔707bに嵌め込むことで、押圧部材60の位置ずれを規制可能となっている。
【0060】
以上のような構成を採用した本実施形態におけるスイッチング電源SSによれば、トランス100に均一に荷重をかけつつ、トランス100を冷却板700に固定できるようになる。すなわち、冷却性能を維持しつつ、簡易な構造でトランス100を冷却板700に固定可能なスイッチング電源SSを得ることができる。
【0061】
〔変形例〕
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、以下のような変形例が挙げられる。
(1)上記実施形態では、図1に示したような形状を有する平板状コイル(2次コイル)30を例示したが、この平板状コイル30は、少なくともコア10の側面10a、10bと溝部底面14a、15aを沿うような形状をしていれば良く、端子部37、38の有無や位置は特に限定されない。
【0062】
(2)上記実施形態では、図4に示したように、トランス100として合成インダクタ(インダクタ1が2つ組み合わされたもの)を2組使用する分散型トランスを例示して説明したが、合成インダクタを1組、或いは3組以上の複数組使用するトランスを構成しても良い。
【0063】
(3)上記実施形態では、図5に示したような回路構成のスイッチング回路200と整流回路300を有するスイッチング電源SSを例示して説明したが、これらの回路構成はあくまで一例であり、スイッチング電源400に要求される性能や仕様、或いはトランス100の構成に応じて、スイッチング回路200と整流回路300の回路構成を適宜変更しても良い。
【0064】
(4)上記実施形態では、板バネ構造を有する押圧部材60を例示したが、必ずしも板バネ構造とする必要はなく、トランス100に均一に荷重を加えることが可能な構造であれば良い。
【符号の説明】
【0065】
SS…スイッチング電源、1…インダクタ、10…コア、20…絶縁ケース、30…平板状コイル(2次コイル)、40…1次コイル、60…押圧部材、100…トランス、200…スイッチング回路、300…整流回路、400…第1モジュール、500…第2モジュール、600…外部入力端子、700…冷却板、800…制御基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却板と、
前記冷却板上に配置され、前記冷却板との当接面に対し、反対側の押圧面に凹部が形成されたトランスと、
前記凹部に嵌合する突出部及び前記凹部の両側の押圧面に当接する当接部を有する押圧部材と、を備え、
前記押圧部材により、前記トランスを前記冷却板に固定したことを特徴とするスイッチング電源。
【請求項2】
前記押圧部材は、板バネ構造を有することを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源。
【請求項3】
前記押圧部材の突出部に形成された貫通孔と、
前記貫通孔に挿入するネジと、を備え、
前記ネジにより、前記押圧部材、前記トランス及び前記冷却板を固定したことを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチング電源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−182500(P2011−182500A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41960(P2010−41960)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【Fターム(参考)】