説明

スイッチングLEDドライバ回路

【課題】LEDの光度を熱増大なしに高める。
【解決手段】LEDドライバ回路が、逐次的にかつ繰り返し複数のLEDアレイを切替えて高周波での点滅に結びつく。PWM発生器が、n個の連続した高周波周期的PWM信号を出力する。PWM信号の各連続の周期(T)およびデューティーサイクル(d)は、互いに同一であるが、PWM信号のパルス部分は、時間とともに逐次的に続く、すなわちd=1/n。各PWM信号がLEDアレイの1つに対する入力PWM信号と同じタイミングで駆動電力を別々に出力するための調光定電流源に送信され、その結果、LEDアレイが高周波点滅をする。各々のおよび全体のLEDアレイの点滅周波数は、それぞれ、1/T Hzおよびn/T Hzである。それらが連続的に点灯されないので、LEDの駆動電流は定格平均順方向電流IAVGをこえて増大、目の視覚の残存性によって視覚効果が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光ダイオード(LED)に関し、特に複数のLEDを駆動するための回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年において、発光ダイオード(LED)の製造および適用技術は、迅速にかつ高度に発達した。大きな耐久性および省エネルギの利点のため、LEDは、蛍光ランプ、白熱電球、ハロゲンランプ、交通信号灯およびさらに液晶表示パネルのバックライトのような従来の光源をますます置換してきた。近年、大部分のLEDランプは全体的な明るさを高めるために複数のLEDから成る一つ以上のLEDアレイを使用する傾向がある。
【0003】
LEDは、PN接合を備えた半導体素子であり、それは順方向電流が中を流れると光を発することができる。LEDは、重要な特性を有し、それは、光度と順方向電流との間の正比例関係である。換言すれば、順方向電流がより大きくなればなるほど、光度がより高くなる。しかしながら、より大きい順方向電流はまた、より高い熱を伴う。過剰な熱がLEDの永続的な損傷または耐久性短縮に結びつくことはきわめて起こりうる。したがって、LED製品は常に連続動作の下のLEDの各モデルに対する平均順方向電流IAVGおよび瞬間的な動作の下のピークパルス駆動順方向電流IPKが評価される。後者は、前者より高くなければならない。LEDが高周波点滅を行う場合、IAVGより大きくかつIPKまでの順方向電流が、瞬間的な光度を達成するように印加されることができる。LEDが連続的に点灯する場合、IAVGより大きくない順方向電流だけが印加されることができる。連続的順方向電流によって発生される光度は、連続的で一貫しているが、瞬間的な光度より低くなければならない。
【0004】
従来のLEDランプは、連続的に点灯するモードの下で常に働き、それは、印加されるIAVEより大きくない順方向電流を可能にすることができるだけである。IAVEが発生させることができるものより高い光度が必要な場合、唯一の解決案は元のLEDをより高い出力のもので置換することである。しかしながら、間違いなく、この解決案は購入の相当な費用を必要とする。さらに、より高出力のLEDに伴う熱放散の問題もまた、解決するのがより難しい。向こう側に、LEDまたはその他の製品の開発は徐々に進行しなければならない。各期間は、常に技法の特定の限界を有する。市場内に全ての適用された要求を満たすことができる製品はない。例えば、これまでは、出力が10Wより高い単一のLEDが市場に出現するのはまれである。したがって、熱増加および耐久性短縮に結びつくことなく既存のLED製品の光度を高めることができる技法が必然的に必要である。
【発明の開示】
【0005】
人間の目は、視覚の残存性の特性を有し、それは、高周波点滅を備えた照明器を連続的点灯と見誤る、脳で作られた錯覚を生成することができる。例えば、通常の蛍光ランプ(真空管)が変圧器タイプの安定器によって駆動される場合、交流電流(AC)都市電気の周波数の倍の周波数を備えた点滅が出現する(1つの正弦波周期内に2つのゼロクロス点があるので)。つまり、60Hzの都市電気によって、120Hzの点滅が生じる。この種の低周波の点滅は、それでも人間の目によって感知されることができ、さらに人間の目に不利な影響に結びつくかもしれない。したがって、市場では電子安定器を採用する、より高水準のランプがある。この種の安定器は、点滅周波数を20−60kHzに高められるようにするために、都市電気の周波数を10−30kHzの高周波範囲に変換する。この種の高周波点滅は人間の目による検知の範囲外であり、かつ、連続的照明の誤った視覚効果を引き起こすことができる。換言すれば、たとえLEDが点滅するとしても、それらは人間の目に対して連続的に点灯することになる。
【0006】
本発明はこの特性を活用して、複数のLEDまたはLEDアレイに、それらを逐次的に点滅させるために高周波スイッチングによって断続的な電流を印加する。印加電流は、定格平均順方向電流IAVEより高く、かつ定格ピークパルス駆動順方向電流IPKまでであることができる。したがって、LEDの光度は熱増大なしに高められることができ、より高出力LEDを購入するための費用を節約し、および、熱放散の問題を伴う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本発明によるLEDドライバ回路の好ましい実施態様のブロック図である。ドライバ回路は、パルス幅変調(PWM)発生器1、複数の調光定電流源2a〜2fおよび複数のLEDアレイ3a〜3fを含み、調光定電流源2a〜2fの数は、LEDアレイ3a〜3fのそれと同一であり、および、双方ともが1対1の配置の下にある。図1は6組の例を示すが、1以外のその他の数量が有効である。向こう側に、上述した説明は別々の6個のLEDアレイを全体のより大きいアレイに結合する実施態様を指摘する。例えば、各LEDアレイ3a〜3fが10個のLEDから成る場合、6個のLEDアレイ3a〜3fは60個のLEDを有するより大きいアレイを構成する。もちろん、すべてのLEDアレイ3a〜3fはまた、単一のLEDであることができ、すなわち6個のLEDを1個のLEDアレイに結合することができる。その上、上述した調光定電流源2a〜2fはPWM信号入力端子を有する直流電流(DC)定電流源であり、その一定の電流出力は、同期した断続を引き起こすように入力PWM信号によって制御されることができる。商品の好ましい具体例は、Macroblock社によって製造される型番号MB16650の直直流変換器集積回路であり、その調光制御端子のピン2(DIM)を、PWM信号入力端子とすることができる。
【0008】
定電流源2a〜2fのPWM信号入力端子は、それぞれ、PWM発生器1のPWM信号出力端子に接続する。PWM発生器1は複数のPWM信号を別々に出力することが可能であり、その数は、調光定電流源3a〜3fと同一である。PWM信号のタイミングが、図2に示される。PWM信号の全ての連続は周期的であり、および、それらの周期(T)およびデューティーサイクル(d)は互いに同一である。つまり、PWM信号のパルス幅(τ)は同じである。駆動されたLEDアレイ3a〜3fの数がnである場合、デューティーサイクルdはnの逆数、すなわちd=1/nである。およびPWM信号のパルス部分は時間とともに逐次的にかつ繰り返し続く。換言すれば、第1のPWM信号のパルス部分の後に接近して第2のPWM信号の別のパルス部分が続く。更に詳細に、第1のPWM信号の別のパルスが終わる瞬間に、第2のPWM信号のパルスが生じる。他のパルスのタイミングは、同じ様に類推により説明されることができる。パルス幅τ=1ms、および、n=6、各PWM信号の周期Tは6ms、およびデューティーサイクルd=1/6≒16.67%であると想定する。
【0009】
各PWM信号は調光定電流源2a〜2fの1つに送信され、その結果、調光定電流源2a〜2fはLEDアレイ3a〜3fの1つに入力対応PWM信号と同じタイミングを有する一定の電流駆動出力を別々に出力することができる。したがって、LEDアレイはそのタイミングが図2と同一である高周波点滅を発生させることができる。つまり、各単一LEDアレイ3a〜3fは1/T Hzの別々の点滅周波数を有し、およびLEDアレイ3a〜3fは全体としてn/T Hzの全体的な点滅周波数を有する。上述した具体例内の参照番号に従って、各単一LEDアレイ3a〜3fが166.7Hzの別々の点滅周波数を有し、および、全体的な点滅周波数が1kHzである。各PWM信号のパルス幅τが0.1msと設定される場合、全体的な点滅周波数は10kHzまで上昇する。更に、τが0.05msと設定されるならば、全体的な点滅周波数は20kHzである。τが0.0286msと設定されるならば、全体的な点滅周波数は35kHzである。
【0010】
本発明は、複数のLEDアレイ3a〜3fを高周波で逐次的にかつ繰り返し点滅させ、および定格平均順方向電流IAVGより大きくかつ必ずしも定格ピークパルス駆動順方向電流IPKより大きくない駆動電流を印加する。結果として、LEDの瞬間的な光度が効果的に高められることができる。更に人間の目の視覚の残存性によって、高められた瞬間的な光度はほぼ連続的光度と等しい視覚効果を形成することができる。換言すれば、高められた全体的な明るさが達成される。
【0011】
上記の発明の典型的な実施態様が説明のために記載されたとはいえ、上記の説明は本願明細書において本発明の限定とみなされてはならない。したがって、さまざまな変更態様、改作および変形例が本発明の趣旨および目的から逸脱することなく、当業者に生じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による好ましい実施態様のブロック図である。
【図2】図1の実施態様のPWM発生器によって出力されるPWM信号のタイミングを示す。
【符号の説明】
【0013】
1パルス幅変調(PWM)発生器
2a〜2f調光定電流源
3a〜3fLEDアレイ
T周期
dデューティーサイクル
τパルス幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光ダイオード(LED)を駆動するための回路であって、各々、前記LEDが定格平均順方向電流IAVEおよび定格ピークパルス駆動順方向電流IPKを有し、前記回路が、
周期およびデューティーサイクルが同じである複数の周期的PWM信号を出力することが可能なパルス幅変調(PWM)発生器であって、各々、前記デューティーサイクルが前記PWM信号の数の逆数であり、および前記PWM信号のパルス部分が時間とともに逐次的にかつ繰り返し続く、パルス幅変調発生器と、
各々が前記PWM信号を受信するための前記PWM発生器に接続するPWM信号入力端子を有する、複数の調光定電流源であって、前記調光定電流源によって出力される駆動電流が、前記PWM信号によって制御されて同期した断続を引き起こし、かつ前記IAVGより大きいが前記IPKより大きくない、調光定電流源と、を備え、
それによって、前記LEDが、前記断続的駆動電流によって別々に駆動されて点滅するために、前記調光定電流源の1つに別々に接続されることができる、ことを特徴とする回路。
【請求項2】
発光ダイオード(LED)ドライバ回路であって、
周期およびデューティーサイクルが同じである複数の周期的PWM信号を出力することが可能なパルス幅変調(PWM)発生器であって、前記デューティーサイクルが前記PWM信号の数の逆数であり、および前記PWM信号のパルス部分が時間とともに逐次的にかつ繰り返し続く、パルス幅変調発生器と、
各々が前記PWM信号を受信するための前記PWM発生器に接続するPWM信号入力端子を有する、複数の調光定電流源であって、前記調光定電流源によって出力される駆動電流が、前記PWM信号によって制御されて同期した断続を引き起こす、調光定電流源と、
定格平均順方向電流IAVGおよび定格ピークパルス駆動順方向電流IPKを有し、かつ前記調光定電流源の1つに別々に接続する複数のLEDであって、前記駆動電流が、前記IAVGより大きいが、前記IPKより大きくない、LEDと、を備えることを特徴とする回路。
【請求項3】
請求項2の回路であって、前記LEDの各々が、LEDアレイである、ことを特徴とする回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate