説明

スイッチ動作検出回路

【課題】 スイッチ回路から出力されるオン/オフ信号を高精度に検出することが可能なスイッチ動作検出回路を提供できるようにする。
【解決手段】 スイッチ回路1からオン/オフ信号Sinが入力されると、所定の短い期間よりも長く、かつ所定の長い期間よりも短い期間において、前記オン/オフ信号Sinの電位反転が発生したか否かを検出する電位判定検出回路18と、前記電位判定検出回路18の検出結果に基づいて、予め設定された所定波形の開閉検出信号を生成して出力する開閉検出信号出力回路17とを設け、オン/オフ信号Sinを検出する精度を向上させることができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスイッチ動作検出回路に関し、例えば、自動販売機のように金額に応じて類別された硬貨が通路に配設された接点スイッチを通過する際に押下するのに従って出力されるオン/オフ信号を検出するために用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の機器に接点スイッチ回路が設けられており、前記接点スイッチが押下されたのに従って出力されるオン/オフ信号をスイッチ動作検出回路によって検出するようにしている。例えば、自動販売機等において設けられているコイン検出装置は、図5(a)に示すように、電源Eと基準電位との間に抵抗器Rと接点スイッチSWとが設けられていて、前記接点スイッチSWは待ち受け時は開放であり、接点が閉じられたことを検出する動作時には短絡し、その後で開放状態に復帰するように動作するように構成されていて、前記接点の開閉動作に従ってオン/オフ信号が出力される。
【0003】
したがって、前記抵抗器Rと前記接点スイッチSWの接続点の電位は、図5(b)に示すように、動作の大部分を占める待ち受け時には"H"レベルであり、検出動作時には"L"レベルとなっている。スイッチ動作検出回路は、前記抵抗器Rと前記接点スイッチSWとの接続点から出力されるオン/オフ信号の電位を検出する。
【0004】
例えば、自動販売機のように投入された硬貨のサイズ、重量、ころがり慣性、磁性、電気抵抗器等の検出結果を受けて、金額に応じて類別された硬貨が通路を通過する際に動作して、接点がオン/オフするスイッチからの信号のように、あらかじめ想定されたパターンのオン/オフ信号が設定された最小期間以上であり、設定された最大期間以下の範囲内の期間において、"L"レベルを継続した場合のみ信号として検出し、それ以外のパターンの信号を排除することにより、コイン検出の精度を向上させるようにしている。
【0005】
更に云えば、オン/オフ信号を一旦検出すると、それから設定した所定の期間は新たな信号を検出しないようにすることにより、誤動作を防止するようにしている。また、待機時の回路動作電流を減らしたり、本来の信号にはない波形の信号を検出したりしないようにすることで、誤動作を更に減らすようにしている。また、図5(b)において符号50を付して説明したように、信号レベルが"H"から"L"に変化する際に、「チャッタリング」と呼ばれる現象、すなわち、リレー接点やスイッチ接点が,切り替わった直後にばたついて、オン/オフ信号が「ON/OFF」状態を繰り返す現象が発生することがある。
【0006】
前述のような、本来の信号にはない波形の信号を検出することによる誤動作を減らすようにするために、例えば、特許文献1に記載の接点信号入力方式においては、チャッタリング平滑化回路を用いた例が提案されている。
【0007】
【特許文献1】特開2001−126574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のスイッチ動作検出回路においては、オン/オフ信号を出力する接点スイッチが機械的な接点を有していることにより、検出対象の接点スイッチが設置されている装置に伝わる振動等により、前記機械的な接点がオン/オフ動作を繰り返す現象が発生してしまうことがある。また、硬貨やアイテム(コイン)以外の物体が接点の近くに設けられたセンサー部を通過した場合でもセンサー部に当たって前記機械的な接点がオン/オフ動作してしまう問題点もあった。また、外部ノイズが誘導して誤動作してしまうこともあった。
【0009】
このような誤動作が発生する例として、装置の電源を連続して短時間内にオフ/オンさせて電源電圧が一旦下がって上がるため、スイッチの接点がオン/オフ動作した場合と同様な信号が出力されてしまうことがあった。また、期待している硬貨やアイテム(コイン)が通過した場合においても、接点の構造が機械的なものなので動作する時に、前述したチャッタリングとよばれる接点の開閉を何回も繰り返す動作を起す場合があった。
【0010】
このため、スイッチの接点がオンしたら、信号レベルが待ち受け時の"H"レベルから"L"レベルになることを利用して、オン/オフ信号の"L"レベルを単純に検出するだけでは誤検出してしまう問題があった。
【0011】
このような不都合を回避するために、オン/オフ信号を所定の時間だけ間隔をあけて連続して何回もサンプリングしたデータ列より、オン/オフ信号のハイーローが正常な信号パターンになっているものだけをCPU(中央演算処理ユニット)で検出するような技術が採用される場合もあった。しかしながら、このように構成すると、コストが高くなる上に、待ち受け時の消費電流が多くなってしまう問題があった。
【0012】
前記CPUを利用してオン/オフ信号を検出するように構成することは、装置に組み込まれるCPUを利用することが可能であるので大きな問題にはならない場合もある。しかしながら、待ち受け時の消費電流が多くなってしまうことは、動作時間のほとんどが待ち受け状態にある用途では無視できない問題となる場合もあった。
【0013】
さらに、消費電力に関しては、接点スイッチを有する既存の装置にオン/オフ信号を検出する装置を追加する場合であって、オン/オフ信号を検出する装置の動作電力を、オン/オフ信号から供給してもらうように構成する場合には、既存の装置に影響を与えない微小なリークレベルまで待ち受け時の消費電力を極限まで小さくする必要があった。
【0014】
本発明は上述の問題点にかんがみ、接点スイッチから出力されるオン/オフ信号を高精度に検出することが可能なスイッチ動作検出回路を提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のスイッチ動作検出回路は、スイッチ回路から出力されるオン/オフ信号が所定のハイレベル判定基準電位よりも高いハイレベルにあることを検出する第1の入力レベル判定回路と、前記オン/オフ信号が所定のローレベル判定基準電位よりも低いローレベルにあることを検出する第2の入力レベル判定回路と、前記第1の入力レベル判定回路の出力と、前記第2の入力レベル判定回路の出力とに基づいて前記スイッチ回路の起動を判定する起動判定回路と、前記起動判定回路から出力される判定結果信号に基づいて、所定の短い期間よりも長く、かつ所定の長い期間よりも短い期間において、前記オン/オフ信号の電位反転が発生したか否かを検出する電位反転検出回路と、前記電位反転検出回路の検出結果に基づいて、予め設定された所定波形の開閉検出信号を生成して出力する開閉検出信号出力回路とを有することを特徴とする。
また、本発明のスイッチ動作検出回路の他の特徴とするところは、前記電位反転検出回路は、前記起動判定回路の反転出力端子から出力される信号で動作を開始する第1及び第2のタイマ回路と、前記起動判定回路の出力端子から出力される信号で動作を開始する第3のタイマ回路と、前記第1のタイマ回路、第2のタイマ回路及び第3のタイマ回路の出力に基づいて前記スイッチ回路のオン/オフ動作を判定する出力判定回路とを有することを特徴とする。
また、本発明のスイッチ動作検出回路のその他の特徴とするところは、スイッチ回路から出力されるオン/オフ信号が所定のハイレベル判定基準電位より高いハイレベルにあることを検出する第1の入力レベル判定回路と、前記オン/オフ信号が所定のローレベル判定基準電位より低いローレベルにあることを検出する第2の入力レベル判定回路と、前記第1の入力レベル判定回路の出力と、前記第2の入力レベル判定回路の出力とに基づいて前記スイッチ回路の起動を判定する起動判定回路と、前記第1の入力レベル判定回路のハイレベル判定基準電位と、前記第2の入力レベル判定回路のローレベル判定基準電位との中間レベルを判定する中間レベル検出回路と、前記起動判定回路から出力される判定結果信号と、上記中間レベル検出回路から出力される判定結果信号に基づいて、所定の短い期間よりも長く、所定の長い期間よりも短い期間において、所定の設定時間以上にわたって中間レベルを継続する異常状態が発生しない条件の下で、前記オン/オフ信号が所定の電位レベル以上の大きさで電位反転したか否かを検出する電位反転検出回路と、前記電位反転検出回路の検出結果に基づいて、予め設定された所定の波形の開閉検出信号を生成して出力する開閉検出信号出力回路とを有することを特徴とする。
また、本発明のスイッチ動作検出回路のその他の特徴とするところは、前記中間レベル検出回路は、前記第1の入力レベル判定回路から出力される信号を反転させた信号と前記第2の入力レベル判定回路から出力される信号を反転させた信号とからオン/オフ信号が出力されたことを検出する出力検出回路と、前記出力検出回路から出力される中間レベル検出信号の電位レベルが設定時間以上継続した場合に、前記電位反転検出回路の電位反転検出動作を禁止する検出禁止信号を出力する禁止信号生成手段とを有することを特徴とする。
また、本発明のスイッチ動作検出回路のその他の特徴とするところは、前記電位反転検出回路は、前記起動判定回路の反転出力端子から出力される信号で動作を開始する第1及び第2のタイマ回路と、前記起動判定回路の出力端子から出力される信号で動作を開始する第3のタイマ回路と、前記第1のタイマ回路〜第3のタイマ回路の出力及び前記中間レベル検出回路の出力に基づいて前記接点スイッチのオン/オフ動作を判定する出力判定回路とを有することを特徴とする。
また、本発明のその他の特徴とするところは、前記第1の入力レベル判定回路が、前記スイッチ回路から出力されるオン/オフ信号が所定のハイレベル判定基準電位よりも高いハイレベルではなくなったことを検出した場合に、前記第2の入力レベル判定回路の動作を開始させるようにしたことを特徴とする。
また、本発明のスイッチ動作検出回路のその他の特徴とするところは、前記スイッチ回路から出力されるオン/オフ信号に含まれるノイズを取り除くためのノイズ除去回路を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、接点スイッチから出力されるオン/オフ信号における正常範囲の時間巾のレベルが継続されている信号だけを検出するようにしたので、オン/オフ信号を検出する精度を大幅に向上させることができる。
また、本発明の他の特徴によれば、一旦正常なオン/オフ信号と判断して検出した後は、所定の時間においては出力が継続するので、この間にオン/オフ信号が再びローレベル判定基準電位レベルまで下がってから、再びハイレベル判定基準電位に復帰する現象が発生しても、開閉検出信号が新たに検出されないので、あらかじめ設定した所定の時間内においては、オン/オフ信号を新規にしないようにすることができる。これにより、あらかじめ設定した所定の時間内において、1回のスイッチング動作について複数回検出してしまう誤動作を防止することができる。
また、本発明のその他の特徴によれば、中間レベルの状態が継続する異常状態を検出した場合には排除するようにしたので、本来は"H"レベルか"L"レベルにあり、オン/オフの切り替わりの瞬間にだけ過渡的に短い時間だけ中間レベルとなる機械的接点から出力されるオン/オフ信号において、異常なパターンのオン/オフ信号は排除して、正常なパターンのオン/オフ信号のみを検出することが可能となり、例えば、本体の電源を一旦切った直後に再度投入した場合等に発生しやすい誤動作を防止することができる。
また、本発明のその他の特徴によれば、待ち受け時には動作する必要のない第2の入力レベル判定回路を休止させておけるので、待ち受け時の消費電流を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
以下、図1を参照しながら本発明のスイッチ動作検出回路の第1の実施の形態を説明する。
図1において、1は検出対象のスイッチ回路であり、抵抗器Rと開閉スイッチSW、及びオン/オフ信号発生用電源Eによって構成されており、抵抗器Rと開閉スイッチSWとの間からオン/オフ信号Sinが取り出されて、後述するローパスフィルタ10に供給される。
【0018】
11は第1の入力レベル判定回路、12は第2の入力レベル判定回路、13は起動判定回路、14は第1のタイマ回路、15は第2のタイマ回路、16は第3のタイマ回路、17は第4のタイマ回路、18は出力判定回路、INVは入力された論理レベルを反転させて出力する反転回路である。
【0019】
ローパスフィルタ10は、入力されるオン/オフ信号Sinに含まれるノイズを取り除く為のノイズ除去回路として設けられているものである。
第1の入力レベル判定回路11は、ローパスフィルタ10を通した後のオン/オフ信号Sinが予め設定した所定のハイレベル判定基準電位Hiよりも高い"H"レベルにあることを検出するためのものである。
【0020】
第2の入力レベル判定回路12は、ローパスフィルタ10を通した後のオン/オフ信号Sinが予め設定した所定のローレベル判定基準電位Loよりも低い"L"レベルにあることを検出するためのものである。
【0021】
第1のタイマ回路14〜第4のタイマ回路17は、起動信号が印加されると起動して設定時間巾のパルス信号を出力する動作を行う。また、起動判定回路13は、第1の入力レベル判定回路11及び第2の入力レベル判定回路12の出力を受けて、第1のタイマ回路14〜第3のタイマ回路16を起動させる。
【0022】
出力判定回路18は、第1のタイマ回路14〜第3のタイマ回路16の出力を受けて出力判定動作を行うものであり、第1のタイマ回路14のパルス信号出力動作が終了し、かつ第2のタイマ回路15がまだパルス信号出力動作中の期間中に、第3のタイマ回路16が動作すると、第4のタイマ回路17を起動させるようにする出力判定を行う。
【0023】
第1のタイマ回路14の設定時間巾T1は、オン/オフ信号Sinの接点がオン時に発生するチャタリング時間よりも長く、かつオン/オフ信号Sinの検出動作が始まってからオン状態が継続した後にオフするまでの時間巾のバラツキのうちの最短時間に設定されている。
【0024】
第2のタイマ回路15の設定時間巾T2は、オン/オフ信号Sinの検出動作が始まってから、オン状態が継続した後にオフするまでの時間巾のバラツキのうちの、最長時間に設定されている。
【0025】
第3のタイマ回路16の設定時間巾T3は短く設定されており、第4のタイマ回路17の設定時間巾T4中はオン/オフ信号Sinが連続して発生するときに想定される最小の時間間隔に設定されている。また、ローパスフィルタ10の遅延時間TD1は、第1のタイマ回路14の設定時間巾T1よりも充分に短く設定されている。
【0026】
次に、図2の動作波形を参照しながら前述のように構成された本実施の形態のスイッチ動作検出回路の動作を説明する。
図2(A)〜(C)は、想定される入力波形の例を示しており、図2(A)は短い波形、図2(C)は長い波形、図2(B)は(A)よりも長いが(C)よりも短い波形を示している。また、図2(A)〜(C)の波形において、符号100で示した期間においてチャタリングが発生していることを示している。また、図2(B)の信号に対応するローパスフィルタ10の出力を(D)に示している。
【0027】
スイッチ回路1の抵抗器Rと開閉スイッチSWとの間から取り出されたオン/オフ信号Sinは、ローパスフィルタ10を介して、第1の入力レベル判定回路11と第2の入力レベル判定回路12の信号入力端子に印加される。
【0028】
第1の入力レベル判定回路11の他方の端子には、ハイレベル判定基準電位Hiが印加されており、待ち受け時には"H"レベルであるオン/オフ信号Sinが"L"レベルに変化したときには、オン/オフ信号Sinの電位がハイレベル判定基準電位Hiよりも下回ることになる。したがって、第1の入力レベル判定回路11の出力は、図2(E)に示すように、"L"レベルに反転する。
【0029】
また、前記ローパスフィルタ10から出力されるオン/オフ信号Sin(図2の(D))の電位が更に低下して、第2の入力レベル判定回路12のローレベル判定基準電位Loに達すると、図2(F)に示すように、第2の入力レベル判定回路12の出力信号の論理レベルが"H"レベルに反転する。第1の入力レベル判定回路11の出力は起動判定回路13のセット入力端子Sに入力され、第2の入力レベル判定回路12の出力は起動判定回路13のリセット信号入力端子Rに入力される。これにより、第2の入力レベル判定回路12の反転出力端子Qバーの論理レベルが反転して、第1のタイマ回路14及び第2のタイマ回路15を起動する。図2(G)に第1のタイマ回路14の出力を示し、図2(H)に第2のタイマ回路15の出力を示す。
【0030】
そして、ローパスフィルタ10から印加されるオン/オフ信号Sinが、第2の入力レベル判定回路12のローレベル判定基準電位Loに達した後で、第1の入力レベル判定回路11のハイレベル判定基準電位Hiにまで再び復帰すると、第1の入力レベル判定回路11がこれを検出して出力信号を"H"レベルに反転する。これにより、起動判定回路13のセット入力端子Sに"H"レベルの信号が入力されることにより、起動判定回路13の出力端子Qが"H"レベルとなり、起動判定回路は第3のタイマ回路16を起動する。図2(I)に第3のタイマ回路16の出力波形を示す。
【0031】
出力判定回路18は、第1のタイマ回路14を反転回路INVにより判定した信号、第2のタイマ回路15の出力信号、第3のタイマ回路16の出力信号が供給されており、第3のタイマ回路16のパルスを受けた瞬間において、第1のタイマ回路14の設定時間巾T1のパルス信号出力動作が終了し、かつ第2のタイマ回路15の設定時間巾T2のパルス信号出力動作中であると、3つの入力の全てが"H"レベルとなることにより、出力信号を"H"レベルとする。これにより、第4のタイマ回路17を起動して、図2(J)に示すような第4のタイマ回路17の出力波形(T4)を示す。
【0032】
図2(J)に示したように、第4のタイマ回路17の設定時間巾T4のパルスをオン/オフ信号Sinとして、第4のタイマ回路17から出力することで、異常なパターンのオン/オフ信号Sinにより検出出力されないように排除することができる。
【0033】
したがって、本実施の形態のスイッチ動作検出回路によれば、オン/オフ信号Sinに外部ノイズが重畳していても、ローパスフィルタ10で取り除くことができる。また、ノイズレベルが大きくても、第2の入力レベル判定回路12のローレベル判定基準電位Loに達した後、第1の入力レベル判定回路11のハイレベル判定基準電位Hiに戻っても、その時間間隔が検出条件に合わないと検出しないので、誤検出を防止することができる。
【0034】
また、このときにローパスフィルタ10でオン/オフ信号Sinのチャッタリング100を取りきれない場合でも、第1のタイマ回路14からの設定時間巾T1のパルス信号出力動作が終了するまでは、検出間隔が短すぎると判定して信号レベルの変化を受け付けないので、誤検出しないようにすることができる。
【0035】
また、第2のタイマ回路15の設定時間巾T2のパルス信号よりもオン/オフ信号Sinが長すぎる場合においても、信号レベルの変化を受け付けないので、検出間隔が長すぎることによる誤検出の発生を防止することができる。これにより、開閉スイッチSWが押下される状態が不揃いであっても、その検出結果を示す信号として、図2(J)に示した第4のタイマ回路17の出力波形のように、振幅及び時間(T4)が一定である開閉検出信号Soutを出力することができる。
【0036】
また、一旦開閉検出信号Soutを検出すると、所定の時間(T4)においては出力が継続するので、この間にオン/オフ信号Sinが再びローレベル判定基準電位Loレベルまで下がってから、再びハイレベル判定基準電位Hiに復帰しても、開閉検出信号Soutは新たに検出されないので、あらかじめ設定した所定の時間内においては、オン/オフ信号Sinを新規にしないようにすることができる。これにより、あらかじめ設定した所定の時間内において、1回のスイッチング動作について複数回検出してしまう誤動作を防止することができる。
【0037】
(第2の実施の形態)
次に、図3及び図4を参照しながら第2の実施の形態を説明する。
図3に示したように、本実施の形態のスイッチ動作検出回路の構成は、図1に示した第1の実施の形態におけるスイッチ動作検出回路のスイッチ回路1〜出力判定回路18の構成に対して、以下の構成を付加したものである。なお、図1のスイッチ動作検出回路においては、出力判定回路18の入力端子は3つであったが、本実施の形態のスイッチ動作検出回路においては5入力の出力判定回路40を設けているのが、図1とは異なっている。
【0038】
本実施の形態のスイッチ動作検出回路は、中間レベル検出回路20を付加して構成している。
中間レベル検出回路20は、反転回路21a及び21b、出力検出回路22及び第2のローパスフィルタ回路23、第2の反転回路INV2〜第5の反転回路INV5等によって構成されている。
【0039】
出力検出回路22は、2つの入力端子を有する論理判定回路であり、第1の入力端子には第1の入力レベル判定回路11の出力信号を反転回路21aで反転した信号が入力される。また、第2の入力端子には第2の入力レベル判定回路12の出力信号を反転回路21bによって反転させた信号が入力される。
【0040】
また、出力検出回路22の出力信号は、第2のローパスフィルタ回路23に入力され、第2のローパスフィルタ回路23の出力信号は第2の反転回路INV2及び第5のタイマ回路24に入力される。
【0041】
第2の反転回路INV2の出力信号は、第3の反転回路INV3及び第4の反転回路INV4を介して出力判定回路40の第4の入力端子に入力される。なお、出力判定回路40における第1の入力端子〜第3の入力端子には、上述した第1の実施の形態と同じ入力信号が入力されている。
【0042】
また、第5のタイマ回路24の出力信号は第5の反転回路INV5を介して出力判定回路40の第5の入力端子に入力される。
【0043】
このように構成された本実施の形態のスイッチ動作検出回路においては、異常なパターンのオン/オフ信号Sinを排除するようにしている。例えば、図4(A)に示したように、オン/オフ信号Sinがオフした直後にオンした場合について説明する。この場合、ローパスフィルタ10の出力は図4(B)に示すようになる。
【0044】
本実施の形態においては、第1のタイマ回路14の設定時間巾T1はオン/オフ信号Sinの接点がオン時に発生するチャタリング時間よりも長く、かつオン/オフ信号Sinの検出動作が始まってからオン状態が継続した後にオフするまでの時間巾のバラツキの内で最短時間に設定されている。
【0045】
また、第2のタイマ回路15の設定時間巾T2は、オン/オフ信号Sinの検出動作が始まってからオン状態が継続した後にオフするまでの時間巾のバラツキの内で最長時間に設定されている。
【0046】
第3のタイマ回路16の設定時間巾T3は短く設定されており、第4のタイマ回路17の設定時間巾T4(図2を参照)はオン/オフ信号Sinが連続して発生するときに想定される最小の時間間隔に設定されている。
【0047】
第5のタイマ回路の設定時間巾T5は、第2のタイマ回路15の設定時間巾T2より充分長い時間に設定されており、ローパスフィルタ10の遅延時間TD1は第1のタイマ回路14の設定時間巾T1より充分短く設定されている。
【0048】
第2のローパスフィルタ23の持つ遅延時間TD2は、第1のローパスフィルイタ10が備える遅延時間TD1より長く、かつ第1のタイマ回路14の出力するパルス信号より短く設定されている。これは、第2のローパスフィルタ23の持つ遅延時間TD2が第1のタイマ回路14の設定時間巾T1より長いとエラー判定が間に合わないので、エラー判定が間に合うようにするためである。
【0049】
このように構成された本実施の形態のスイッチ動作検出回路においては、オン/オフ信号Sinはローパスフィルタ10を介して第1の入力レベル判定回路11と第2の入力レベル判定回路12に印加される。待ち受け時は"H"レベルであるオン/オフ信号Sinがローパスフィルタ10を介して第1の入力レベル判定回路11に設定されている"H"レベル判定基準電位Hiより下回り(図4(C))、さらに第2の入力レベル判定回路12に設定されているローレベル判定基準電位Loに達したことを検出したときに(図4(D))、起動判定回路13は、図4の(E)及び(F)に示すように第1のタイマ回路14及び第2のタイマ回路15を起動する。
【0050】
そして、第1のローパスフィルイタ10から出力されるオン/オフ信号Sinが第2の入力レベル判定回路12のローレベル判定基準電位Loに達した後に、第1の入力レベル判定回路11のハイレベル判定基準電位Hiにまで復帰すると、起動判定回路13は第3のタイマ回路16を起動する(図4の(G))。
【0051】
中間レベル検出回路20は、第1の入力レベル判定回路11で入力レベルがハイレベル判定基準電位Hiでは無くなったことを検出したにもかかわらず、第2の入力レベル判定回路で入力レベルがローレベル判定基準電位Loにもなっていない中間レベルにあることを検出している(図4の(H))。
【0052】
出力検出回路22の出力は、第2のローパスフィルタ23を介して出力判定回路40に供給されるとともに、第5のタイマ回路24の起動入力端子に入力される。したがって、中間レベル検出回路20の出力が第2のローパスフィルタ23の遅延時間TD2以上継続すると、出力検出回路22に異常であることを伝え、かつこの異常状態から復帰しても第5のタイマ回路24が起動する。これにより、第5のタイマ回路24に設定された時間巾T5のパルス信号が出力判定回路40に出力され、この間に異常状態が起きていたことが出力判定回路40に入力される。
【0053】
出力判定回路40は、図4の(E)〜(G)に示すように、第3のタイマ回路16が起動したときに第1のタイマ回路14のパルス信号出力動作("H"レベル)が終了し、かつ第2のタイマ回路15がまだパルス信号出力動作中("H"レベル)の期間であり、かつ第2のローパスフィルタ23に出力が"L"レベルであり、かつ第5のタイマ回路24がパルス信号("H"レベル信号)を出していないときに第4のタイマ回路17を起動する。
【0054】
なお、第2の反転回路INV2、第3の反転回路INV3及び第4の反転回路INV4は、第2のローパスフィルタ23の出力が"L"レベルに復帰して、出力検出回路22へ異常状態を伝える信号が第2のローパスフィルタ23の出力から、第5のタイマ24の出力→第5の反転回路INV5を介した出力へと切り替わるときに瞬断させないための遅延回路として配設されている。
【0055】
本実施の形態においては、上述のようにしてオン/オフ信号Sinが設定時間(TD2)以上にわたって中間レベルを継続する異常状態を検出すると(図4の(H))、その検出出力が第2のローパスフィルタ23に入力され、図4の(I)に示す第2のローパスフィルタ23の出力によって第5のタイマ回路24が起動される。
【0056】
これにより、第5のタイマ回路の設定時間巾T5においては出力判定回路40の出力が"H"レベルにならない。これにより、異常状態が一旦発生すると、異常状態から復帰してもそれ以降、所定の設定時間(T5)については、第4のタイマ回路17が動作しないようにすることができる(図4の(K))。したがって、本体の電源を一旦切ってから直後に再度投入した場合に、オン/オフ信号Sinの異常なパターンが発生した場合においても誤動作を起さないようにすることができる。
【0057】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
第3の実施の形態においては、上述した第1及び第2の実施の形態における第4のタイマ回路17が起動する立ちあがりのタイミングで、第2のタイマ回路15をリセットすることを特徴とする。
【0058】
このように構成するのは、以下の理由による。すなわち、オン/オフ信号Sinが連続して発生する間隔が短い場合があり得るため、第4のタイマ回路17の設定時間巾T4を短く設定することがある。一方、オン/オフ信号Sinの検出動作が始まってから、オン状態が継続した後にオフするまでの時間巾のバラツキが大きくて、最長時間が長い場合には、第2のタイマ回路15の設定時間巾T2を大きくすると、オン/オフ信号Sinの検出動作が始まってからオン状態が継続した後にオフするまでの時間巾が短い動作で最小間隔が連続すると、検出できなくなる不都合が発生する。
【0059】
このような不都合を防止するために、オン/オフ信号Sinを検出すると、第2のタイマ回路15を直ちに初期化して次の検出動作に備えるようにしている。なお、第1のタイマ回路14の設定時間巾T1、第3のタイマ回路16の設定時間巾T3は短いので、特に初期化する必要はない。
【0060】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。
本実施の形態においては、上述した第1の実施の形態〜第3の実施の形態において、入力レベルが"H"レベルでは無くなったことを第1の入力レベル判定回路11が検出した場合に、第2の入力レベル判定回路12の動作を開始するように構成した。このように構成することで、第2の入力レベル判定回路12が待ち受け時に消費する電流を減らすことができる。
【0061】
なお、前述した電位反転検出回路の構成、及び中間レベル検出回路の構成は一例であり、本願発明のスイッチ動作検出回路はこれらの回路に限定されることなく、任意の回路を用いて構成することができる。
【0062】
また、前述した実施の形態においては、機械的な接点スイッチSWを有するスイッチ回路1について説明したが、本発明のスイッチ動作検出回路は所定のパルス巾の信号を出力するものであれば、例えば、フォトインタラプタのような光学スイッチ回路にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第1の実施の形態を示し、スイッチ動作検出回路の構成例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態を示し、各回路部の動作を説明する波形図である。
【図3】第2の実施の形態を示し、スイッチ動作検出回路の構成例を示すブロック図である。
【図4】第2の実施の形態を示し、各回路部の動作を説明する波形図である。
【図5】本発明のスイッチ動作検出回路が適用される接点スイッチ回路の一例を示し、(a)は回路図であり、(b)は波形図である。
【符号の説明】
【0064】
1 スイッチ回路
10 ローパスフィルタ
11 第1の入力レベル判定回路
12 第2の入力レベル判定回路
13 起動判定回路
14 第1のタイマ回路
15 第2のタイマ回路
16 第3のタイマ回路
17 第4のタイマ回路
18 出力判定回路
20 中間レベル検出回路
21a 反転回路
21b 反転回路
22 出力検出回路
23 第2のローパスフィルタ回路
24 第5のタイマ回路
40 出力判定回路
Sin オン/オフ信号
Sout 開閉検出信号
INV1〜INV5 反転回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ回路から出力されるオン/オフ信号が所定のハイレベル判定基準電位よりも高いハイレベルにあることを検出する第1の入力レベル判定回路と、
前記オン/オフ信号が所定のローレベル判定基準電位よりも低いローレベルにあることを検出する第2の入力レベル判定回路と、
前記第1の入力レベル判定回路の出力と、前記第2の入力レベル判定回路の出力とに基づいて前記スイッチ回路の起動を判定する起動判定回路と、
前記起動判定回路から出力される判定結果信号に基づいて、所定の短い期間よりも長く、かつ所定の長い期間よりも短い期間において、前記オン/オフ信号の電位反転が発生したか否かを検出する電位反転検出回路と、
前記電位反転検出回路の検出結果に基づいて、予め設定された所定波形の開閉検出信号を生成して出力する開閉検出信号出力回路とを有することを特徴とするスイッチ動作検出回路。
【請求項2】
前記電位反転検出回路は、前記起動判定回路の反転出力端子から出力される信号で動作を開始する第1及び第2のタイマ回路と、前記起動判定回路の出力端子から出力される信号で動作を開始する第3のタイマ回路と、前記第1のタイマ回路、第2のタイマ回路及び第3のタイマ回路の出力に基づいて前記スイッチ回路のオン/オフ動作を判定する出力判定回路とを有することを特徴とする請求項1に記載のスイッチ動作検出回路。
【請求項3】
スイッチ回路から出力されるオン/オフ信号が所定のハイレベル判定基準電位より高いハイレベルにあることを検出する第1の入力レベル判定回路と、
前記オン/オフ信号が所定のローレベル判定基準電位より低いローレベルにあることを検出する第2の入力レベル判定回路と、
前記第1の入力レベル判定回路の出力と、前記第2の入力レベル判定回路の出力とに基づいて前記スイッチ回路の起動を判定する起動判定回路と、
前記第1の入力レベル判定回路のハイレベル判定基準電位と、前記第2の入力レベル判定回路のローレベル判定基準電位との中間レベルを判定する中間レベル検出回路と、
前記起動判定回路から出力される判定結果信号と、上記中間レベル検出回路から出力される判定結果信号に基づいて、所定の短い期間よりも長く、所定の長い期間よりも短い期間において、所定の設定時間以上にわたって中間レベルを継続する異常状態が発生しない条件の下で、前記オン/オフ信号が所定の電位レベル以上の大きさで電位反転したか否かを検出する電位反転検出回路と、
前記電位反転検出回路の検出結果に基づいて、予め設定された所定の波形の開閉検出信号を生成して出力する開閉検出信号出力回路とを有することを特徴とするスイッチ動作検出回路。
【請求項4】
前記中間レベル検出回路は、前記第1の入力レベル判定回路から出力される信号を反転させた信号と前記第2の入力レベル判定回路から出力される信号を反転させた信号とからオン/オフ信号が出力されたことを検出する出力検出回路と、
前記出力検出回路から出力される中間レベル検出信号の電位レベルが設定時間以上継続した場合に、前記電位反転検出回路の電位反転検出動作を禁止する検出禁止信号を出力する禁止信号生成手段とを有することを特徴とする請求項3に記載のスイッチ動作検出回路。
【請求項5】
前記電位反転検出回路は、前記起動判定回路の反転出力端子から出力される信号で動作を開始する第1及び第2のタイマ回路と、前記起動判定回路の出力端子から出力される信号で動作を開始する第3のタイマ回路と、前記第1のタイマ回路〜第3のタイマ回路の出力及び前記中間レベル検出回路の出力に基づいて前記接点スイッチのオン/オフ動作を判定する出力判定回路とを有することを特徴とする請求項3に記載のスイッチ動作検出回路。
【請求項6】
前記第1の入力レベル判定回路が、前記スイッチ回路から出力されるオン/オフ信号が所定のハイレベル判定基準電位よりも高いハイレベルではなくなったことを検出した場合に、前記第2の入力レベル判定回路の動作を開始させるようにしたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のスイッチ動作検出回路。
【請求項7】
前記スイッチ回路から出力されるオン/オフ信号に含まれるノイズを取り除くためのノイズ除去回路を有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のスイッチ動作検出回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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