説明

スイッチ機構および製氷装置

【課題】スイッチレバーの揺動中心線と直交する方向における小型化が可能なスイッチ機構を提供すること。
【解決手段】スイッチ機構25は、カム歯車21、カム歯車21の第1カム面32、スイッチ26、並びに、カムフォロワー272およびスイッチ操作部273を備えるスイッチレバー27を有する。また、カムフォロワー272が第1カム面32に対してスイッチレバー揺動中心線L3を中心とする一方の揺動方向に押し付けられた状態が維持されるようにスイッチレバー27を付勢している付勢部材を有する。付勢部材28がスイッチレバー揺動中心線L3に同軸に配置された捩りコイルバネなので、スイッチ機構がコンパクトである。スイッチレバー揺動中心線L3からカムフォロワー272までがスイッチ操作部273までの寸法よりも長いので、捩りコイルバネの付勢力が大きくても、第1カム面32とスイッチレバー27の間の摺動ロスが少ない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カム歯車のカム面に摺動してスイッチをオンとオフに切り替えるスイッチレバーを備えるスイッチ機構に関する。また、製氷皿で製造された氷を貯氷部に移動させるための氷移動機構と、貯氷部の氷量を確認する氷量確認機構と、氷移動機構および氷量確認機構を同期させて駆動制御するためのカム歯車とを有しており、このカム歯車を利用して構成されたスイッチ機構によって貯氷部の氷量確認用の信号を得る製氷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製氷皿で製造された氷を貯氷部に貯蔵する製氷装置としては、製氷皿で製造された氷を貯氷部に移動させるための氷移動機構と、貯氷部の氷量を確認する氷量確認機構を備えるものが知られている。氷移動機構と氷量確認機構はカム歯車によって連携させられて駆動制御されており、貯氷部が満杯であることが確認された場合には、製氷皿から移動させた氷が貯氷部から溢れることがないように、氷を製氷皿から貯氷部に移動させる動作を停止する。このような製氷装置は、例えば、特許文献1、2に記載されている。
【0003】
これらの特許文献の製氷装置では、氷量確認機構は、貯氷部内の氷に当接可能な氷量検出用レバーを貯氷部に向かって駆動しており、氷量検出用レバーが氷に当接した位置に基づいて、貯氷部が満杯か否かを確認している。氷量検出用レバーが氷に当接した位置は、氷量確認機構と氷移動機構とを連携させているカム歯車を利用して構成されたスイッチ機構からの信号に基づいて検出される。
【0004】
ここで、スイッチ機構は、カム歯車に形成されたカム面と、カム歯車の回転中心線と直交する揺動中心線回りに揺動可能に支持されており、揺動中心線から離れた部位にカム面に摺動するカムフォロワーおよびスイッチ操作部を備えるスイッチレバーと、スイッチレバーのカムフォロワーがカム面に対して揺動中心線を中心とする一方の揺動方向に押し付けられた状態が維持されるようにスイッチレバーを付勢するコイルバネと、揺動方向に揺動するスイッチレバーのスイッチ操作部に押されてオンまたはオフに切り替わるスイッチを有している。特許文献1、2では、スイッチレバーは、回転中心線から離れた部位にバネ係合部を備えており、コイルバネは、一方の端がバネ係合部に接続され、他方の端が装置ケースに設けられたケース側バネ係合部に接続された状態で、スイッチレバーを所定の回転方向に付勢している。コイルバネは、その伸縮方向がスイッチレバーの揺動中心線と直交するように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−165540号公報
【特許文献2】特開平10−78277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のスイッチ機構では、コイルバネは、スイッチレバーから揺動中心線と直交する方向に離れた位置において、その伸縮方向が揺動中心線と直交するように配置されている。このため、装置ケース内においてスイッチ機構が占めるスペースは、スイッチレバーが揺動中心線回りを回転するのに必要なスペースと比較して、揺動中心線と直交する方向に大きなものとなっており、製氷装置の小型化が阻まれているという問題がある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて、スイッチレバーの揺動中心線と直交する方向における小型化が可能なスイッチ機構を提供することにある。また、コンパクトなスイッチ機構を搭載することにより小型化された製氷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明のスイッチ機構は、
カム歯車と、
前記カム歯車の半径方向の内側または外側を向くように形成されたカム面と、
前記カム歯車の回転中心線に直交する揺動中心線回りに揺動可能に支持されており、前記揺動中心線から離れた部位にカムフォロワーおよびスイッチ操作部を備えるスイッチレバーと、
前記スイッチレバーの前記カムフォロワーが前記カム面に対して前記揺動中心線を中心とする一方の揺動方向に押し付けられた状態が維持されるように当該スイッチレバーを付勢している付勢部材と、
前記揺動方向に揺動する前記スイッチレバーのスイッチ操作部に押されてオンまたはオフに切り替わるスイッチとを有し、
前記付勢部材は、前記揺動中心線の方向に同軸に配置されており、
前記揺動中心線から前記カムフォロワーと前記カム面の当接位置までの距離は、前記揺動中心線から前記スイッチ操作部と前記スイッチの当接位置までの距離よりも長いことを特徴とする。
【0009】
本発明のスイッチ機構によれば、スイッチレバーを揺動中心線回りの一方の揺動方向に付勢する付勢部材は、スイッチレバーの揺動中心線の方向と同軸に配置されている。従って、揺動中心線と直交する方向において、スイッチ機構をコンパクトに構成できる。
【0010】
ここで、揺動中心線の方向に同軸に配置された付勢部材を用いてスイッチレバーにスイッチを操作可能な付勢力を付与するためには、スイッチレバーから揺動中心線と直交する方向に離れた位置において、その伸縮方向が揺動中心線と直交するように配置されたコイルバネを用いてスイッチレバーを付勢する場合と比較して、付勢部材による付勢力を大きくする必要がある。しかし、付勢部材による付勢力を大きくすると、カムフォロワーがカム面に対して付勢される付勢力も大きくなり、カムフォロワーとカム面との間に摺動ロスが発生してスイッチ機構の耐久性が低下してしまうという問題がある。また、付勢力が大きくなると、コイルバネなどの付勢部材による付勢力のばらつきが製品毎に大きくなるという問題がある。これに対して、本発明では、揺動中心線からカムフォロワーまでの寸法を、揺動中心線からスイッチ操作部までの寸法よりも長く設定しているので、スイッチ操作部がスイッチを操作可能な付勢力を維持したままで、カムフォロワーがカム面に対して付勢される付勢力を小さくできる。この結果、カムフォロワーとカム面との摺動ロスを低減させることができるので、付勢部材を揺動中心線と同軸に配置してもスイッチ機構の耐久性を低下させることがない。しかも、製品毎の付勢力のばらつきを抑制することができるので、安定した製品を供給することができる。
【0011】
本発明において、付勢部材をスイッチレバーの揺動中心線と同軸上に配置するためには、前記付勢部材は、揺動中心線に同軸に配置した捩りコイルバネであることが望ましい。
【0012】
本発明において、カム面はカム歯車の端面に設けられた突部の外側外周面に形成することもできるが、前記カム面は、前記カム歯車の前記端面に設けられた前記凹部の内側内周面に形成されていることが望ましい。
【0013】
本発明において、前記カムフォロワーは、前記凹部の開口から前記凹部の内側に挿入された状態で前記カム面に当接しており、前記スイッチレバーおよび前記スイッチは、前記回転中心線の方向から見たときに前記カム歯車と重なる位置に配置されていることが望ましい。このようにすれば、カム歯車の回転中心線と直交する方向においてもスイッチ機構をコンパクトに構成できる。
【0014】
本発明において、前記凹部の底面に形成された第2の凹部の内側内周面に形成された第2のカム面と、前記回転中心線と直交する第2の揺動中心線回りに揺動可能に支持され、前記第2の前記揺動中心線から離れた部位に第2のカムフォロワーを備える従動部材と、前記従動部材の前記第2のカムフォロワーが前記第2のカム面に対して前記第2の揺動中心線を中心とする一方の揺動方向に押し付けられた状態が維持されるように当該従動部材を付勢している第2の付勢部材と、前記従動部材が前記第2の揺動中心線回りの所定の角度に位置したときに、前記スイッチレバーの前記揺動中心線回りの揺動を規制して当該スイッチレバーによる前記スイッチの操作を阻止するスイッチ操作規制機構とを有しており、前記スイッチ操作規制機構は、前記従動部材の前記第2の揺動中心線から離れた部位に形成され、前記従動部材が前記第2の揺動中心線回りの所定の角度に位置したときに、前記スイッチレバーの側に向いて当該スイッチレバーと干渉する規制用突部を備えていることが望ましい。このようにすれば、従動部材の第2の揺動中心線回りの角度位置に連携させて、スイッチをオンおよびオフに切り替えるスイッチ機構を構成できる。
【0015】
この場合において、スイッチレバーがスイッチを押下することを確実に阻止するためには、前記スイッチ操作規制機構は、前記スイッチレバーの前記カムフォロワーおよび前記スイッチ操作部の間に前記規制用突起を受け入れ可能な溝部を備えており、前記規制用突起と前記溝部の内周側面とが干渉することにより、前記スイッチレバーによる前記スイッチの操作を阻止することが望ましい。
【0016】
また、この場合において、スイッチ機構を回転中心線の方向にコンパクトに構成するためには、前記カム歯車の外歯と、前記カム面および前記第2のカム面とは、前記回転中心線と直交する方向から見た場合に、重なる位置に形成されていることが望ましい。
【0017】
次に、本発明の製氷装置は、
製氷皿と、
前記製氷皿から氷を掻き出して貯氷部に移動させる掻き出し部材と、
前記貯氷部内の氷に当接可能であり、前記貯氷部の氷量を検出するために前記貯氷部に向かって駆動される氷量検出用レバーと、
前記貯氷部の氷が所定量以上のときに出力状態を変化させるためのスイッチ機構とを備えた製氷装置であって、
前記スイッチ機構は、上記のスイッチ機構であり、
前記カム歯車には、前記掻き出し部材が一体に回転するように取り付けられており、
前記従動部材には、前記氷量検出用レバーが一体に回転するように取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のスイッチ機構によれば、スイッチレバーを揺動中心線回りの一方の揺動方向に付勢する付勢部材は、スイッチレバーの揺動中心線の方向と同軸に配置されている。従って、揺動中心線と直交する方向において、スイッチ機構をコンパクトに構成できる。
【0019】
ここで、揺動中心線の方向に同軸に配置された付勢部材を用いてスイッチレバーにスイッチを操作可能な付勢力を付与するためには、スイッチレバーから揺動中心線と直交する方向に離れた位置において、その伸縮方向が揺動中心線と直交するように配置されたコイルバネを用いてスイッチレバーを付勢する場合と比較して、付勢部材による付勢力を大きくする必要がある。しかし、付勢部材による付勢力を大きくすると、カムフォロワーがカム面に対して付勢される付勢力も大きくなり、カムフォロワーとカム面との間に摺動ロスが発生してスイッチ機構の耐久性が低下してしまうという問題がある。また、付勢力が大きくなると、コイルバネなどの付勢部材による付勢力のばらつきが製品毎に大きくなるという問題がある。これに対して、本発明では、揺動中心線からカムフォロワーまでの寸法を、揺動中心線からスイッチ操作部までの寸法よりも長く設定しているので、スイッチ操作部がスイッチを操作可能な付勢力を維持したままで、カムフォロワーがカム面に対して付勢される付勢力を小さくできる。この結果、カムフォロワーとカム面との摺動ロスを低減させることができるので、付勢部材を揺動中心線と同軸に配置してもスイッチ機構の耐久性を低下させることがない。しかも、製品毎の付勢力のばらつきを抑制することができるので、安定した製品を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用した製氷装置を示す斜視図である。
【図2】外側ケースを取り外した駆動ユニットの側面図である。
【図3】内側ケースを取り外した駆動ユニットを製氷皿の側から見た側面図である。
【図4】図3においてカム歯車を取り外した状態を示す駆動ユニットの側面図である。
【図5】(a)はカム歯車、軸状部材、スイッチ機構の側面図であり、(b)はその平面図である。
【図6】カム歯車、軸状部材、スイッチ機構の分解斜視図である。
【図7】カム歯車を反出力側から見た端面図である。
【図8】製氷装置の製氷動作を示すフローチャートである。
【図9】(a)は初期化動作を示すカムチャートであり、(b)は氷量不足時の動作を示すカムチャートであり、(c)は貯氷部が満杯時の動作を示すカムチャートであり、(d)は検氷軸の回転動作を示すカムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した製氷装置について説明する。
【0022】
(全体構成)
図1は本発明を適用した製氷装置を示す斜視図である。製氷装置1は、冷蔵庫内あるいは冷凍庫内において氷を連続して製造するとともに、製造した氷を下方に配置された貯氷部2に落下させて貯蔵する。
【0023】
製氷装置1は、氷を製造するための製氷皿3を備えている。製氷皿3の上側には、製氷皿3で製造された氷を製氷皿3から掻き出すための掻き出し部材4が配置されており、掻き出し部材4の前側には、製氷皿3から掻き出された氷を貯氷部2へ滑り落とすための氷滑落用ガイド部材5が配置されている。掻き出し部材4は、回転軸6と、この回転軸6から半径方向に突出する複数の掻き出し爪7を備えており、掻き出し部材4が回転軸6を中心として時計回り(CW方向)に回転駆動されると、掻き出し爪7が製氷皿3内に区画された製氷セル8で製造された氷を掻き出して氷滑落用ガイド部材5の上面に載せる。氷滑落用ガイド部材5に載せられた氷は氷滑落用ガイド部材5に沿って装置前方に滑り、貯氷部2に落下する。
【0024】
図1において、製氷皿3の装置幅方向の左端部分には駆動ユニット9が配置されている。製氷皿3および駆動ユニット9の装置前方には、貯氷部2の氷量を確認するために上下方向に揺動駆動される氷量検出用レバー10が配置されている。氷量検出用レバー10は、駆動ユニット9に取り付けられている取付部10aを中心に上下方向に揺動することにより貯氷部2内の氷に当接可能となっている。
【0025】
駆動ユニット9は、全体として直方体形状をした装置ケース11を備えている。装置ケース11は装置幅方向において左側に配置されている外側ケース12と、製氷皿3が位置する右側に配置されている内側ケース13を備えている。駆動ユニット9は、掻き出し部材4とともに製造された氷を製氷皿3から貯氷部2に移動させる氷移動機構(4、9)を構成している。また、駆動ユニット9は、氷量検出用レバー10とともに貯氷部2内の氷量の確認をおこなう氷量確認機構(9、10)を構成している。
【0026】
不図示の給水機構から製氷皿3に供給された製氷用の水が凍結することにより、製氷皿3内に氷が製造される。氷が製造されると、駆動ユニット9は掻き出し部材4を回転駆動する氷掻き出し動作を行ない、これにより、氷を製氷皿3から掻き出して貯氷部2に落下させる。また、駆動ユニット9は、氷掻き出し動作と同期して、氷量検出用レバー10を下方に向けて揺動させる氷量確認動作を行い、これにより、貯氷部2に所定量の氷が貯蔵されているか否かを確認する。
【0027】
氷掻き出し動作と並行して行なわれる氷量確認動作によって貯氷部2に所定量の氷が貯蔵されてないこと、すなわち、貯氷部2が満杯でないことが確認された場合には、駆動ユニット9は氷掻き出し動作によって、掻き出し部材4を掻き出し爪7が製氷皿3よりも上に位置している製氷位置4Aから時計回りに1回転させる。これにより、氷は製氷皿3から掻き出され、落氷用ガイド部材を滑り落ちて、貯氷部2へと移動する。
【0028】
一方、氷量確認動作によって掻き出し部材4は一旦時計回りに回転を始めるが、貯氷部2に所定量の氷が貯蔵されていること、すなわち、貯氷部2が満杯であることが確認された場合には、製氷皿3から移動させた氷が貯氷部2から溢れることがないように、駆動ユニット9は氷掻き出し動作を停止し、氷掻き出し動作をリセットする。すなわち、掻き出し部材4が製氷セル8内に挿入される前に、掻き出し部材4を反時計回りに回転させて、製氷位置4Aに戻す。
【0029】
氷掻き出し動作がリセットされると、所定時間経過後に、駆動ユニット9は再び氷掻き出し動作を開始する。また、氷掻き出し動作と同期して氷量確認動作が行なわれる。
【0030】
ここで、貯氷部2が満杯でないことが確認された場合には、氷移動機構は氷掻き出し動作によって掻き出し部材4を時計回りに1回転させて氷を貯氷部2へ移動させる。貯氷部2が満杯であることが確認された場合には、氷掻き出し動作を停止するとともに、氷掻き出し動作をリセットする。そして、所定時間経過後に、再び、上記の動作を繰り返す。
【0031】
(駆動ユニット)
図2は外側ケース12を取り外した駆動ユニット9を装置幅方向の左側から見た側面図である。図3は内側ケース13を取り外した駆動ユニット9を装置幅方向の右側から見た側面図である。図4は図3においてカム歯車を取り外した状態の駆動ユニットの側面図である。駆動ユニット9は、掻き出し部材4および氷量検出用レバー10の駆動源となるモータ20と、掻き出し部材4が一体に回転するように接続されているカム歯車21と、モータ20からの回転出力をカム歯車21へ伝達する減速輪列22を備えている。
【0032】
また、駆動ユニット9は、カム歯車21に従動して氷量検出用レバー10を上下方向に揺動させる軸状部材23と、この軸状部材23を一方の揺動方向に付勢する圧縮コイルバネ24と、貯氷部2の氷が満杯のときに信号を出力するスイッチ機構25を搭載している。スイッチ機構25は、カム歯車21に形成されたカム面と、貯氷部2の氷が満杯のときに信号を出力するためのスイッチ26と、スイッチ26を操作するスイッチレバー27と、スイッチレバー27を付勢する付勢部材28を備えている。
【0033】
(モータおよび減速輪列)
モータ20は、DCモータであり、その反出力側部分が装置ケース11内の前側部分(図2では右側、図3、図4では左側)において上下方向に延びる基板29の上端部分に固定されており、出力軸が装置後方に向かって延びている。減速輪列22は、モータ20の出力軸に連結されたウォーム221、大径歯車部分がウォーム221と噛み合う第1複合歯車222、大径歯車部分が第1複合歯車222の小径歯車部分と噛み合う第2複合歯車223を備えており、第2複合歯車223の小径歯車部分はカム歯車21の外歯211と噛み合っている。ウォーム221、第1複合歯車222および第2複合歯車223は、カム歯車21の回転中心線L1よりも装置後方で図2における上下方向に並んで配置されている。
【0034】
(カム歯車)
図5(a)はカム歯車21、軸状部材23、スイッチ機構25の側面図であり、図5(b)はその平面図である。図6はカム歯車21、軸状部材23、スイッチ機構25の分解斜視図である。図7はカム歯車を反出力側から見た端面図である。
【0035】
カム歯車21は、外歯211にDCモータからの駆動力が伝達されることにより、回転中心線L1を中心として回転する。回転中心線L1は装置幅方向に延びており、装置幅方向の右側、すなわち、製氷皿3の位置する側がカム歯車21の出力側となっている。図5、図6に示すように、カム歯車21は反出力側から出力側に向かって外歯211が形成されている大径部212と、この大径部212分よりも小径の小径部213と、小径部213よりも更に小径の筒状の出力軸部214を備えている。出力軸部214にはDカットされた掻き出し部材4の回転軸6の一方の端部分が挿入され、これにより、掻き出し部材4はカム歯車21と同軸で一体に回転する。
【0036】
図7に示すように、カム歯車21の反出力側の端面30には第1凹部31が形成されており、この第1凹部31の内側内周面に第1カム面32が形成されている。また、第1凹部31の底面には第2凹部33が形成されており、この内側内周面に第2カム面34が形成されている。第1カム面32および第2カム面34は大径部212の内側に位置しており、第1カム面32と第2カム面34とは回転中心線L1の方向において異なる位置に形成されている。
【0037】
図7において外側に形成された第1カム面32には、スイッチレバー27が従動する。すなわち、カム歯車21を回転させると、その回転位置に応じて、スイッチ機構25のスイッチレバー27が揺動して、スイッチ26がオンおよびオフに切り替わる。
【0038】
第1カム面32は、図7に示される状態のカム歯車21の右下側部分から反時計回り(CCW方向)に連続して、スイッチオン用第1カム部321、スイッチオフ用第1カム部322、スイッチオン用第2カム部323、および、スイッチオフ用第2カム部324を備えている。
【0039】
スイッチオン用第1カム部321は、図7に示される状態のカム歯車21の右下側部分において外周縁に近い位置に円弧形状に形成されている。スイッチオン用第1カム部321は、製氷装置1が氷を製造している製氷状態のときに、スイッチレバー27を回動させることによりスイッチレバー27にスイッチ26を押下させ、スイッチ26をオンとして、掻き出し部材4の原点位置を確認するための信号を出力させる区間である。
【0040】
スイッチオフ用第1カム部322は、氷掻き出し動作を開始したときに、スイッチ26をオフにするための区間であり、スイッチオン用第1カム部321よりも径方向の内側に形成されている。
【0041】
スイッチオン用第2カム部323は、氷量検出用レバー10を下方に移動させる氷量確認動作の間に、スイッチレバー27を回動させることによりスイッチレバー27にスイッチ26を押下させ、スイッチ26をオンとして、氷量確認用の信号を出力させるための区間である。スイッチオン用第2カム部323は、カム歯車21の外周縁に近い位置に形成されている。
【0042】
スイッチオフ用第2カム部324は、氷量確認動作が終了して待機状態に戻る際に、スイッチ26をオフにするための区間であり、スイッチオン用第2カム部323よりも径方向の内側に形成されている。
【0043】
第2カム面34は、軸状部材23が従動する。すなわち、カム歯車21を回転させると、その回転位置に応じて、軸状部材23が揺動して、氷量検出用レバー10を揺動させる。
【0044】
第2カム面34は、反時計回り(CCW方向)に連続して、氷量検出用第1カム部341、氷量検出用第2カム部342、氷量検出用第3カム部343、および、氷量検出用第4カム部344を備えている。
【0045】
氷量検出用第1カム部341は氷量検出用レバー10を回動させない状態で維持させるための区間であり円弧形状に形成されている。
【0046】
氷量検出用第2カム部342は、軸状部材23を揺動させることによって、軸状部材23に接続された氷量検出用レバー10を下降させるための区間であり、図7に示される状態のカム歯車21の右下側部分において、氷量検出用第1カム部341から径方向の外側に延びるように形成されている。
【0047】
氷量検出用第3カム部343は、貯氷部2に氷が貯まっていない場合に、氷量検出用レバー10を最下降させた状態で維持させる区間であり円弧形状に形成されている。
【0048】
氷量検出用第4カム部344は、下降した氷量検出用レバー10を上昇させるための区間であり、氷量検出用第3カム部343から径方向の内側に延びるように形成されている。
【0049】
なお、小径部213の反出力側の端面には穴215が形成されており、この穴215の回転中心線L1に向いている内周部分を利用して、氷量検出用第2カム部342の一部、氷量検出用第3カム部343および氷量検出用第4カム部344の一部が構成されている。
【0050】
(軸状部材)
軸状部材23は、図4に示すように、外側ケース12の側板部分に形成された軸貫通孔121を貫通して、装置ケース11の外側から内側まで延びている。軸状部材23は、装置ケース11の外側に露出している大径部231と、装置ケース11の内側の端部分に形成されている小径部232と、大径部231と小径部232の間を連続させている胴部233を備えている。
【0051】
小径部232は外側ケース12の底板部分122から上方に突出するケース内軸受部123に形成された円形凹部123aに挿入されており、軸状部材23は、軸貫通孔121と円形凹部123aによって軸線を中心として揺動可能な状態で支持されている。軸状部材23の軸状部材揺動中心線L2(軸線)は、図2に示すように、カム歯車21の回転中心線L1の方向から見たときに、カム歯車21の下半部分と重なる位置に設定されている。また、軸状部材揺動中心線L2は、図5に示すように、カム歯車21の回転中心線L1と直交している。大径部231には、氷量検出用レバー10の揺動中心となる取付部10aが固定される。これにより、氷量検出用レバー10は軸状部材23と一体に、軸状部材揺動中心線L2回りに揺動する。
【0052】
図6に示すように、軸状部材23の胴部233の外周面には、小径部232の側から大径部231の側に向かって、バネ係合用突部234、カムフォロワー用突部235、スイッチレバー規制用突部236がこの順番で形成されている。
【0053】
バネ係合用突部234は、胴部233の外周面からカム歯車21とは反対側に向かって突出している。バネ係合用突部234は、その先端と胴部233の外周面の間に下方に突出するバネ係合部234aを備えている。バネ係合部234aと外側ケース12の底板部分との間には圧縮コイルバネ24が配置されている(図2参照)。軸状部材23は、圧縮コイルバネ24の付勢力によって、軸状部材揺動中心線L2方向を小径部232の側から見たときに、図5(a)に矢印で示す、反時計回り(CCW方向)に付勢されている。
【0054】
カムフォロワー用突部235は、図6に示すように、胴部233の外周面からカム歯車21の側に向かって先細りに突出している。先端部分には、カム歯車21の奥に形成された第2カム面34に摺接可能なカムフォロワー235aが形成されている。カムフォロワー235aは、はカム歯車21に形成された第1凹部31を介してカム歯車21の内側に挿入され、第2カム面34に内側から当接している。また、カムフォロワー235aは、圧縮コイルバネ24の付勢力によって、第2カム面34に対して揺動中心線を中心とする一方の揺動方向に押し付けられた状態を維持可能となっている。
【0055】
カム歯車21が回転するとカムフォロワー235aが第2カム面34に摺動する。これにより、カムフォロワー235aはカム歯車21の回動角度に応じてカム歯車21の半径方向に変位するので、軸状部材23は軸状部材揺動中心線L2回りに所定の角度範囲で揺動する。また、軸状部材23が揺動すると、軸状部材23に取り付けられている氷量検出用レバー10が軸状部材揺動中心線L2を中心として所定の角度範囲で揺動する。
【0056】
次に、スイッチレバー規制用突部236は、軸状部材23が軸状部材揺動中心線L2回りの所定の角度に位置しているときに上方に向いた状態となるように形成されている。スイッチレバー規制用突部236が上を向いた状態になると、スイッチレバー規制用突部236がスイッチレバー27と干渉するので、スイッチレバー27がスイッチ26を押下することが阻止される。
【0057】
(スイッチ機構)
次に、図5、図6を参照して、スイッチ機構25を説明する。スイッチ機構25は、スイッチ26、カム歯車21の反出力側に位置する第1カム面32に従動するスイッチレバー27、および、付勢部材28を備えている。
【0058】
スイッチ26は、タクトスイッチであり、押下されるボタン261をカム歯車21の側に向けた状態で、基板29に取り付けられている。本例では、スイッチ26はボタン261が押下されるとオンとなり、氷量確認用の信号および原点位置確認用の信号を出力する。
【0059】
スイッチレバー27は、上下方向に延びる軸部271を備えており、図5に示すように、当該軸部271の軸線と一致し、カム歯車21の回転中心線L1と直交するスイッチレバー揺動中心線L3を中心に揺動可能な状態で外側ケース12に支持されている。また、スイッチレバー27は、図6に示すように、スイッチレバー揺動中心線L3から離れた部位に第1カム面32に摺動するカムフォロワー272およびスイッチ操作部273を備えている。カムフォロワー272とスイッチ操作部273とは、スイッチレバー揺動中心線L3を挟んだ軸部271の一方の側において、スイッチレバー揺動中心線L3回りの異なる角度位置に設けられている。
【0060】
カムフォロワー272はカム歯車21の第1凹部31の開口からカム歯車21の内側に挿入されて、第1カム面32に内側から当接している。スイッチ操作部273は、スイッチレバー揺動中心線L3回りにスイッチレバー27が揺動したときに、スイッチ26のボタン261を押下可能となっている。
【0061】
ここで、図5(b)に示すように、スイッチレバー揺動中心線L3からカムフォロワー272までの長さ寸法Mは、スイッチレバー揺動中心線L3からスイッチ操作部273までの長さ寸法Nの2倍に設定されている。カムフォロワー272とスイッチ操作部273の間には、上下方向に矩形の貫通孔(溝部)274aを備える規制用突起受入部274が形成されている。
【0062】
規制用突起受入部274は、軸状部材23に設けられているスイッチレバー規制用突部236と共に、スイッチレバー27のスイッチレバー揺動中心線L3回りの回転を規制して、スイッチレバー27によるスイッチ26の押下を阻止するスイッチ操作規制機構を構成している。
【0063】
規制用突起受入部274は、スイッチレバー規制用突部236が軸状部材23から上方に向いている状態のときに、スイッチレバー規制用突部236を貫通孔274a内に受け入れた状態となる。このように、規制用突起受入部274にスイッチレバー規制用突部236を受け入れた状態では、スイッチレバー27は、スイッチ操作部273がスイッチ26のボタン261を僅かな隙間を開けて対峙しており、スイッチレバー27がスイッチレバー揺動中心線L3回りに揺動しようとしても、スイッチレバー規制用突部236と規制用突起受入部274の内側内周面とが干渉して、スイッチレバー27の揺動が阻止される。この結果、スイッチレバー27がスイッチ26を押下することが阻止される。
【0064】
付勢部材28は捩りコイルバネであり、軸部271の外周側にスイッチレバー揺動中心線L3と同軸上に配置されている。捩りコイルバネは、カムフォロワー272が第1カム面32に対してスイッチレバー揺動中心線L3を中心とする一方の揺動方向に押し付けられた状態が維持されるように、スイッチレバー27を付勢している。捩りコイルバネがスイッチレバー27を付勢する揺動方向は、スイッチレバー27がスイッチ26を押下する方向と同じである。本例では、スイッチレバー揺動中心線L3の方向を上方から見たときに、図5(b)に示すように、スイッチレバー27を時計回り(CW方向)に付勢している。
【0065】
カム歯車21が回転するとカムフォロワー272が第1カム面32に摺動する。これにより、カムフォロワー272は、カム歯車21の回動角度に応じてカム歯車21の半径方向に変位するので、スイッチレバー27はスイッチレバー揺動中心線L3回りに所定の角度範囲で揺動する。
【0066】
カムフォロワー272がカム歯車21の半径方向の外側に変位すると、スイッチレバー27は上方から見たときに時計回りに揺動して、スイッチ操作部273がスイッチ26のボタン261を押下する。この結果、スイッチ26はオンとなり、氷量確認用の信号または原点位置確認用の信号が出力された状態となる。カムフォロワー272がカム歯車21の半径方向の内側に変位すると、スイッチレバー27は反時計回りに揺動し、スイッチ操作部273とスイッチ26のボタン261との間に隙間が形成される。この結果、スイッチ26はオフとなり、氷量確認用の信号および原点位置確認用の信号は出力されない。
【0067】
ここで、軸状部材23がスイッチレバー揺動中心線L3回りの所定の角度に位置すると、スイッチレバー規制用突部236が上方に向いて規制用突起受入部274に受け入れられた状態となる。この結果、スイッチレバー27のスイッチレバー揺動中心線L3回りの揺動が阻止され、スイッチレバー27がスイッチ26を押下することが阻止される。より具体的には、氷量検出用レバー10を下降させる氷量検出動作において、貯氷部2が満杯でない場合には、氷量検出用レバー10の下降が貯氷部2の氷によって妨げられないので、軸状部材23が軸状部材揺動中心線L2回りの所定の角度に位置する。このような場合に、スイッチレバー規制用突部236が上方に向き、スイッチレバー27の規制用突起受入部274の貫通孔274a内に挿入された状態となる。この結果、スイッチレバー27のカムフォロワー272が第1カム面32のスイッチオン用第2カム部323に当接しようとしても、スイッチレバー27の回動が阻止され、スイッチレバー27がスイッチ26を押下することも阻止される。よって、スイッチ26はオフのままで維持される。
【0068】
(製氷動作)
図8は製氷装置1の製氷動作を示すフローチャートである。図9(a)は初期化動作を示すカムチャートであり、図9(b)は貯氷量不足時の動作を示すカムチャートであり、図9(c)は貯氷部2が満杯の状態の場合の動作を示すカムチャートであり、図9(d)は軸状部材23の回転動作を示すカムチャートである。図8のフローチャートに挿入された図は、上側の図が対応するステップにおける掻き出し爪7および氷量検出用レバー10の位置を示し、下側の図が対応するステップにおけるカム歯車21の状態を示している。上側の図は掻き出し爪7および製氷皿3の断面図であり、駆動ユニット9の側から見ている。下側の図はカム歯車21を第1凹部31および第2凹部33が形成された端面30の側から見ている。
【0069】
製氷装置1は不図示の制御部によって駆動制御される。この制御部は、製氷装置1が備えている場合もあるが、製氷装置1が搭載された冷蔵庫の制御部の一部として構成されている場合もある。
【0070】
電源オンまたは初期化する旨の信号のいずれかが制御部に入力されると、制御部は、氷量検出用レバー10および掻き出し爪7を原点位置にセットする初期化動作を行う。
【0071】
初期化動作では、制御部は、まず、モータ20を駆動してカム歯車21を反時計回り(CCW方向)に回転させる。そして、スイッチレバー27がスイッチオン用第1カム部321に従動してスイッチ26から原点位置確認用の信号が出力されるのを監視する。原点位置確認用の信号が出力されると、所定時間経過後にモータ20を停止する。この動作により、カム歯車21は、原点位置(0度)から−15度の位置で停止する。
【0072】
次に、制御部は、モータ20を反対方向に駆動して、スイッチレバー27がスイッチオフ用第2カム部324に従動してスイッチ26がオフになるまでカム歯車21を時計回り(CW方向)に回転させる。この動作により、カム歯車21は原点位置で停止した状態になり、掻き出し爪7は製氷位置4Aにセットされ、氷量検出用レバー10は製氷位置10Aにセットされる(ステップST1)。
【0073】
製氷位置4Aでは、ステップST1の図に示すように、掻き出し爪7は氷滑落用ガイド部材5が配置されている前側に向いて傾いている状態となる。軸状部材23のカムフォロワー235aは氷量検出用第1カム部341に当接しており、氷量検出用レバー10は先端部分が製氷皿3の前方に位置する状態となっている。スイッチレバー27のカムフォロワー272はスイッチオフ用第1カム部322に当接しており、この結果、スイッチ26はオフとなり、信号は出力されていない。
【0074】
初期化動作が終了すると、製氷皿3への給水が行われ、タイマーがセットされる(ステップST2)。
【0075】
タイマーにセットされた所定時間が経過して製氷皿3内に氷が製造されると、制御部は、モータ20を駆動して氷掻き出し動作を開始する。氷掻き出し動作が開始すると、氷掻き出し動作に同期して氷量確認動作が開始される(ステップST3)。
【0076】
ステップST3について、より詳細には、カム歯車21が時計回り(CW方向)に回転させられると、掻き出し爪7は氷滑落用ガイド部材5の側に向かって回動し始める。また、カム歯車21が原点位置から7度回転した時点から軸状部材23のカムフォロワー235aが氷量検出用第2カム部342を摺動し、これにより、軸状部材23が回動して氷量検出用レバー10が下降し始める。
【0077】
更に、カム歯車21が時計回り(CW方向)に回転させられて、カム歯車21が原点位置から31度回転した氷量確認位置に達すると、制御部は、スイッチ26から信号が出力されたか否かを確認する(ステップST4)。氷量確認位置では、スイッチレバー27のカムフォロワー272は、スイッチオン用第2カム部323に当接可能な位置に至っている。
【0078】
ステップST4において、カム歯車21が氷量確認位置まで回転したときに貯氷部2内に氷が貯まっていなければ、氷量検出用レバー10の下降が貯氷部2の氷により妨げられることはない。この結果、軸状部材23のカムフォロワー235aは氷量検出用第3カム部343を摺動し、氷量検出用レバー10は最下降位置まで下降する。これにより、軸状部材23は、軸状部材揺動中心線L2回りの所定の角度(20°)を超えて回転する。
【0079】
ここで、軸状部材23が軸状部材揺動中心線L2回りの所定の角度を超えた角度に位置すると、スイッチレバー規制用突部236が上方に向き、スイッチレバー27の規制用突起受入部274の貫通孔274a内に挿入された状態となる。この結果、氷量確認位置において、スイッチレバー27のカムフォロワー272が第1カム面32のスイッチオン用第2カム部323に当接しようとしても、スイッチレバー27の回動が阻止され、スイッチレバー27がスイッチ26を押下することも阻止される。よって、スイッチ26はオフのままで維持される。
【0080】
モータ20が駆動されてから所定時間経過する前にスイッチ26から信号が出力されなかった場合には、制御部は、貯氷部2が満杯ではないと判断する。従って、制御部は、モータ20の駆動を継続して、カム歯車21を時計回り(CW方向)に回転させる氷掻き出し動作を継続する(ステップST5)。
【0081】
この結果、掻き出し爪7によって製氷皿3内の氷は氷滑落用ガイド部材5に上面に載せられ、氷滑落用ガイド部材5の上面に沿って滑り、貯氷部2へと落下させられる。これと並行して、カム歯車21が原点位置から59.5度回転した時点からカムフォロワー235aが氷量検出用第4カム部344を摺動し、これにより、軸状部材23が回動して氷量検出用レバー10が製氷位置10Aに復帰する(ステップST6)。
【0082】
その後、モータ20のCW方向への駆動が継続された後にカム歯車21が原点位置から291度回転するとスイッチレバー27がスイッチオン用第1カム部321に従動してスイッチ26から信号が出力される。制御部は、スイッチ26から信号が出力されたことを確認した後に、スイッチ26から信号が出力されなくなるまでモータ20を駆動して、カム歯車21を時計回り(CW方向)に回転させて原点位置に戻す。これにより、掻き出し爪7は回転軸6を中心として1回転して製氷位置4Aに戻る(ステップST7)。
【0083】
次に、ステップST4において、カム歯車21が氷量確認位置まで回転したときに貯氷部2に氷が所定量以上貯まっている場合には、氷量検出用レバー10の下降が貯氷部2の氷により妨げられるので、氷量検出用レバー10は最下降位置まで下降せず、軸状部材23の揺動は所定の角度で停止している。本例では、氷量検出用レバー10の下降が氷によって妨げられ、軸状部材23の揺動が所定の角度(20°)で停止したときに、貯氷部2は満杯である。ここで、軸状部材23の軸状部材揺動中心線L2回りの所定の角度以下の場合には、スイッチレバー規制用突部236は上方を向いておらず、スイッチレバー27の規制用突起受入部274の貫通孔274a内に挿入された状態となっていない。この結果、スイッチレバー27の回動は阻止されないので、スイッチレバー27のカムフォロワー272がスイッチオン用第2カム部323を摺動して、スイッチ操作部273がスイッチ26を押下する。
【0084】
ここで、モータ20がCW方向に駆動されてから所定時間経過する前にスイッチ26から信号が出力されると、制御部は、貯氷部2が満杯であると判断する。従って、制御部は、次にスイッチ26からの信号が出力されるまでカム歯車21を反時計回り(CCW方向)に回転させる。すなわち、スイッチレバー27のカムフォロワー272がスイッチオン用第1カム部321を摺動するまで回転させる(ステップST8)。そして、信号が出力されてから所定時間経過した後にモータ20を停止する。
【0085】
この動作により、カム歯車21は原点位置から−15度の位置で停止する。しかる後に、モータ20をCW方向に駆動して、スイッチレバー27がスイッチオフ用第2カム部324に従動してスイッチ26がオフになるまでカム歯車21を時計回り(CW方向)に回転させる。これによりカム歯車21は原点位置で停止した状態となり、氷量検出用レバー10および掻き出し爪7は原点位置にセットされる(ステップST9)。
【0086】
ステップST4において、制御部が、貯氷部2が満杯であると判断した場合には、所定時間経過後に、ステップST2〜ステップST9までの動作が繰り返される。
【0087】
(スイッチ機構の作用効果)
本例のスイッチ機構25によれば、スイッチレバー27をスイッチレバー揺動中心線L3回りの一方の揺動方向に付勢する付勢部材28は、スイッチレバー27のスイッチレバー揺動中心線L3と同軸に配置された捩りコイルバネである。従って、スイッチレバー揺動中心線L3と直交する方向において、スイッチ機構25をコンパクトに構成できる。従って、製氷装置1の小型化を図ることが可能となる。
【0088】
ここで、スイッチレバー揺動中心線L3と同軸の配置された捩りコイルバネを用いてスイッチレバー27にスイッチ26を押下可能な付勢力を付与するためには、スイッチレバー27からスイッチレバー揺動中心線L3と直交する方向に外れた位置において、その伸縮方向がスイッチレバー揺動中心線L3と直交するように配置されたコイルバネを用いてスイッチレバー27を付勢する場合と比較して、捩りコイルバネによる付勢力を大きくする必要がある。しかし、捩りコイルバネによる付勢力を大きくすると、カムフォロワー272が第1カム面32に対して付勢される付勢力も大きくなり、カムフォロワー272と第1カム面32との間に摺動ロスが発生してスイッチ機構25の耐久性が低下してしまうという問題がある。これに対して、本例では、スイッチレバー揺動中心線L3からカムフォロワー272までの寸法を、スイッチレバー揺動中心線L3からスイッチ操作部273までの寸法の2倍に設定している。この結果、スイッチ操作部273がスイッチ26を操作可能な付勢力を十分なものとした場合でも、カムフォロワー272が第1カム面32に対して付勢される付勢力をその1/2とすることができる。この結果、カムフォロワー272と第1カム面32との摺動ロスを低減させることができるので、付勢部材28をスイッチレバー揺動中心線L3と同軸に配置してもスイッチ機構25の耐久性を低下させることがない。
【0089】
また、捩りコイルバネによる付勢力を大きくすると、付勢力のばらつきが製品毎に大きくなるという問題がある。これに対して、本例では、スイッチレバー揺動中心線L3からカムフォロワー272までの寸法を、スイッチレバー揺動中心線L3からスイッチ操作部273までの寸法よりも長く設定しているので、スイッチ操作部273がスイッチ26を操作可能な付勢力を維持したままで、カムフォロワー272が第1カム面32に対して付勢される付勢力を小さくできる。この結果、製品毎の付勢力のばらつきを抑制することができるので、安定した製品を供給することができる。
【0090】
また、本例によれば、図2に示すように、スイッチレバー27およびスイッチ26は、カム歯車21の回転中心線L1方向から見たときにカム歯車21と重なる位置に配置されている。従って、カム歯車21の半径方向(スイッチレバー27のスイッチレバー揺動中心線L3の方向)においても、スイッチ機構25をコンパクトに構成できる。よって、製氷装置1の小型化を図ることが可能となる。
【0091】
なお、第1カム面32および第2カム面34は反出力側の端面30設けられた凹部の内側内周面に形成されているが、反出力側の端面30に設けた突部の外側外周面に形成することもできる。
【符号の説明】
【0092】
1・製氷装置、2・貯氷部、3・製氷皿、4・掻き出し部材、4A・掻き出し部材の製氷位置、5・氷滑落用ガイド部材、6・回転軸、7・掻き出し爪、8・製氷セル、9・駆動ユニット、10・氷量検出用レバー、10a・取付部、10A・氷量検出用レバーの製氷位置、11・装置ケース、12・外側ケース、13・内側ケース、20・モータ、21・カム歯車、22・減速輪列、23・軸状部材、24・圧縮コイルバネ、25・スイッチ機構、26・スイッチ、27・スイッチレバー、28・付勢部材、29・基板、30・端面、31・第1凹部、32・第1カム面、33・第2凹部、34・第2カム面、121・軸貫通孔、122・底板部分、123・ケース内軸受部、123a・円形凹部、211・外歯、212・大径部、213・小径部、214・出力軸部、215・穴、221・ウォーム、222・第1複合歯車、223・第2複合歯車、231・大径部、232・小径部、233・胴部、234・バネ係合用突部、234a・バネ係合部、235・カムフォロワー用突部、235a・軸状部材のカムフォロワー、236・スイッチレバー規制用突部、261・ボタン、271・軸部、272・スイッチレバーのカムフォロワー、273・スイッチ操作部、274a・貫通孔(溝部)、274・規制用突起受入部、321〜324・第1カム面のカム部、341〜344・第2カム面のカム部、L1・回転中心線、L2・軸状部材揺動中心線、L3・スイッチレバー揺動中心線、M・寸法、N・寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カム歯車と、
前記カム歯車の半径方向の内側または外側を向くように形成されたカム面と、
前記カム歯車の回転中心線に直交する揺動中心線回りに揺動可能に支持されており、前記揺動中心線から離れた部位にカムフォロワーおよびスイッチ操作部を備えるスイッチレバーと、
前記スイッチレバーの前記カムフォロワーが前記カム面に対して前記揺動中心線を中心とする一方の揺動方向に押し付けられた状態が維持されるように当該スイッチレバーを付勢している付勢部材と、
前記揺動方向に揺動する前記スイッチレバーのスイッチ操作部に押されてオンまたはオフに切り替わるスイッチとを有し、
前記付勢部材は、前記揺動中心線の方向に同軸に配置されており、
前記揺動中心線から前記カムフォロワーと前記カム面の当接位置までの距離は、前記揺動中心線から前記スイッチ操作部と前記スイッチの当接位置までの距離よりも長いことを特徴とするスイッチ機構。
【請求項2】
請求項1において、
前記付勢部材は、前記揺動中心線に同軸に配置した捩りコイルバネであることを特徴とするスイッチ機構。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記カム面は、前記カム歯車の前記端面に設けられた前記凹部の内側内周面に形成されていることを特徴とするスイッチ機構。
【請求項4】
請求項3において、
前記カムフォロワーは、前記凹部の開口から前記凹部の内側に挿入された状態で前記カム面に当接し、
前記スイッチレバーおよび前記スイッチは、前記回転中心線の方向から見たときに前記カム歯車と重なる位置に配置されていることを特徴とするスイッチ機構。
【請求項5】
請求項4において、
前記凹部の底面に形成された第2の凹部の内側内周面に形成された第2のカム面と、
前記回転中心線と直交する第2の揺動中心線回りに揺動可能に支持され、前記第2の前記揺動中心線から離れた部位に第2のカムフォロワーを備える従動部材と、
前記従動部材の前記第2のカムフォロワーが前記第2のカム面に対して前記第2の揺動中心線を中心とする一方の揺動方向に押し付けられた状態が維持されるように当該従動部材を付勢している第2の付勢部材と、
前記従動部材が前記第2の揺動中心線回りの所定の角度に位置したときに、前記スイッチレバーの前記揺動中心線回りの揺動を規制して当該スイッチレバーによる前記スイッチの操作を阻止するスイッチ操作規制機構とを有しており、
前記スイッチ操作規制機構は、前記従動部材の前記第2の揺動中心線から離れた部位に形成され、前記従動部材が前記第2の揺動中心線回りの所定の角度に位置したときに、前記スイッチレバーの側に向いて当該スイッチレバーと干渉する規制用突部を備えていることを特徴とするスイッチ機構。
【請求項6】
請求項5において、
前記スイッチ操作規制機構は、前記スイッチレバーの前記カムフォロワーおよび前記スイッチ操作部の間に前記規制用突起を受け入れ可能な溝部を備えており、前記規制用突起と前記溝部の内周側面とが干渉することにより、前記スイッチレバーによる前記スイッチの操作を阻止することを特徴とするスイッチ機構。
【請求項7】
請求項5または6において、
前記カム歯車の外歯と、前記カム面および前記第2のカム面とは、前記回転中心線と直交する方向から見た場合に、重なる位置に形成されていることを特徴とするスイッチ機構。
【請求項8】
製氷皿と、
前記製氷皿から氷を掻き出して貯氷部に移動させる掻き出し部材と、
前記貯氷部内の氷に当接可能であり、前記貯氷部の氷量を検出するために前記貯氷部に向かって駆動される氷量検出用レバーと、
前記貯氷部の氷が所定量以上のときに出力状態を変化させるためのスイッチ機構とを備えた製氷装置であって、
前記スイッチ機構は、請求項5ないし7のうちのいずれかの項に記載のスイッチ機構であり、
前記カム歯車には、前記掻き出し部材が一体に回転するように取り付けられており、
前記従動部材には、前記氷量検出用レバーが一体に回転するように取り付けられていることを特徴とする製氷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−214667(P2011−214667A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83624(P2010−83624)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】