説明

スイッチ装置及びこれを用いたリモコン送信機

【課題】主に各種電子機器の操作に用いられるスイッチ装置及びこれを用いたリモコン送信機に関し、誤操作がなく操作の容易なものを提供することを目的とする。
【解決手段】操作体4近傍のケース1上面または操作体4上面に表示部3を設けると共に、制御手段10が所定の操作体4の操作に応じて、これに関連する他の操作体4の表示部3を照光することによって、例えば、テレビ用の操作体を操作した場合には、テレビに関連する機能を操作する複数の操作体の表示部のみが照光し、ビデオを選択した場合には、ビデオに関連する操作体の表示部のみが照光するため、各々の操作体の判別が容易に行え、誤操作がなく操作の容易なスイッチ装置、及びこれを用いたリモコン送信機を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の操作に用いられるスイッチ装置、及びこれを用いたリモコン送信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、映像や音響、空調等の各種電子機器の高機能化や多様化が進むなか、これらを操作するスイッチ装置やリモコン送信機においても、多様な操作を容易に行えるものが求められている。
【0003】
このような従来のスイッチ装置及びこれを用いたリモコン送信機について、図4を用いて説明する。
【0004】
図4は従来のリモコン送信機の斜視図であり、同図において、1は絶縁樹脂製で略箱型のケース、2はフィルム状で光透過性のシートで、このケース1上面やシート2には複数の開口孔が形成されると共に、シート2が接着剤によってケース1上面に貼付されている。
【0005】
そして、このシート2下面の開口孔近傍には、白色や乳白色等の明色で透光性の塗料によって、文字や数字、記号等の形状の、複数の表示部3が形成されると共に、この表示部3以外の下面全面には、黒色等の暗色で不透光性の塗料が塗布されている。
【0006】
また、このケース1やシート2の開口孔からは、複数の操作体4上端が上下動可能に突出すると共に、ケース1内には、上下面に複数の配線パターンが形成された配線基板(図示せず)が収納されている。
【0007】
そして、この配線基板には操作体4の上下動に応じて電気的接離を行うスイッチ接点(図示せず)や、シート2の表示部3下方に配置された発光ダイオード等の発光体(図示せず)が実装されている。
【0008】
さらに、配線基板にはマイコン等によって制御手段(図示せず)が形成され、この制御手段が配線パターンを介して、スイッチ接点や発光体に接続されてスイッチ装置が形成されると共に、発光ダイオード等の送信手段(図示せず)が制御手段に接続されて、リモコン送信機が構成されている。
【0009】
以上の構成において、例えば、近傍の表示部3Aに「TV」が表示された操作体4Aを押圧操作した後、近傍の表示部3に「1」が表示された操作体4を押圧操作すると、この下方のスイッチ接点の電気的接離が行われる。
【0010】
そして、このスイッチ接点の電気的接離に応じて、制御手段が送信手段から赤外線のリモコン信号をテレビへ送信し、例えば、テレビのチャンネルが「1」に切換わる。
【0011】
また、近傍の表示部3Bに「+」や「−」が表示された操作体4Bを、いずれかへ揺動操作すると、この下方のスイッチ接点の電気的接離が行われ、これに応じたリモコン送信がテレビへ送信されて、テレビの音量が増加または減少する。
【0012】
或いは、例えば、近傍の表示部3Cに「VTR」が表示された操作体4Cを押圧操作した後、近傍の表示部3Dに「∧」や「∨」が表示された操作体4Dを、いずれかへ揺動操作すると、この下方のスイッチ接点の電気的接離に応じたリモコン信号がビデオへ送信され、ビデオのチャンネルが順次切換えられて、選局が行われる。
【0013】
さらに、周囲が暗く表示部3が見づらい場合には、例えば、近傍の表示部3に「ON」が表示された操作体4を押圧操作すると、この下方のスイッチ接点の電気的接離に応じて制御手段が全ての発光体を発光させ、この光が下方から全ての表示部3を照光するため、周囲が暗い場合でも、操作したい操作体4を容易に識別することができる。
【0014】
なお、この時、ケース1内の電池(図示せず)の消耗を防ぐため、操作に必要な所定時間、例えば5秒経つと、制御手段が全ての発光体を消灯させるようになっている。
【0015】
つまり、操作体4Aや4C等を操作して、遠隔操作したい機器を選択した後、操作体4Bや4D等を操作して、選局や音量等の機器の機能を切換えることによって、ひとつのリモコン送信機で複数の電子機器の遠隔操作が行えるようになっている。
【0016】
また、周囲が暗い場合には、所定の操作体4の操作により下方の発光体を発光させ、全ての表示部3を照光することによって、操作したい操作体4の識別を容易にし、操作が行い易いように構成されているものであった。
【0017】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2005−223386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記従来のスイッチ装置やリモコン送信機においては、遠隔操作する電子機器が増えるにしたがい、機器を選択する操作体も、選局や音量等の機能を切換える操作体も多くなり、どの操作体がどの機器のどの機能を操作するものなのかが判りづらくなるため、操作が煩雑となり、誤操作も生じ易くなってしまうという課題があった。
【0019】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、誤操作がなく操作の容易なスイッチ装置、及びこれを用いたリモコン送信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0021】
本発明の請求項1に記載の発明は、操作体近傍のケース上面または操作体上面に表示部を設けると共に、制御手段が所定の操作体の操作に応じて、これに関連する他の操作体の表示部を照光するようにしてスイッチ装置を構成したものであり、例えば、テレビ用の操作体を操作した場合には、テレビに関連する機能を操作する複数の操作体の表示部のみが照光し、ビデオを選択した場合には、ビデオに関連する操作体の表示部のみが照光するため、各々の操作体の判別が容易に行え、誤操作がなく操作の容易なスイッチ装置を得ることができるという作用を有する。
【0022】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のスイッチ装置のスイッチ接点に制御手段を接続し、制御手段がスイッチ接点の電気的接離に応じて、送信手段からリモコン信号を送信するようにしてリモコン送信機を構成したものであり、誤操作がなく、操作の容易なリモコン送信機を実現することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0023】
以上のように本発明によれば、誤操作がなく操作の容易なスイッチ装置、及びこれを用いたリモコン送信機を実現できるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図3を用いて説明する。
【0025】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0026】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるリモコン送信機の断面図、図2は同斜視図であり、同図において、1はABSやポリスチレン等の絶縁樹脂製で略箱型のケース、2はポリエステル等のフィルム状で光透過性のシートで、このケース1上面やシート2には複数の開口孔が形成されると共に、シート2が接着剤によってケース1上面に貼付されている。
【0027】
そして、このシート2下面の開口孔近傍には、白色や乳白色等の明色で透過性の塗料によって、文字や数字、記号等の形状の、複数の表示部3が形成されると共に、この表示部3以外の下面全面には、黒色等の暗色で不透光性の塗料が塗布されている。
【0028】
また、4はポリスチレンやABS等の絶縁樹脂製の複数の操作体で、上下動可能にケース1内に収納されると共に、上端がケース1やシート2の開口孔から突出している。
【0029】
さらに、5は紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板で、上下面に銅箔等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成されると共に、この配線基板5上面にはカーボン等によって、複数の固定接点6が形成されている。
【0030】
そして、7は銅合金等の弾性金属薄板製で略ドーム状の可動接点で、操作体4下方の配線基板5上面にテープ8によって貼付されると共に、中央部が固定接点6と所定の間隙を空けて対向して、スイッチ接点が形成されている。
【0031】
また、9は発光ダイオード等の複数の発光体で、上方のケース1の透孔を通し、シート2の表示部3を下方から照光するように、固定接点6側方の配線基板5上面に実装されている。
【0032】
さらに、10は配線基板5に実装されたマイコン等によって形成された制御手段で、この制御手段10が配線パターンを介して、複数の固定接点6や発光体9に接続されてスイッチ装置が形成されると共に、発光ダイオード等の送信手段11が制御手段10に接続されて、リモコン送信機が構成されている。
【0033】
以上の構成において、例えば、テレビを遠隔操作するために、近傍の表示部3Aに「TV」が表示された操作体4Aを押圧操作すると、この下方の可動接点7が操作体4A下面に押圧されて弾性変形し、節度感を伴って反動動作して下面中央部が固定接点6に接触し、可動接点7を介して固定接点6が電気的に接続される。
【0034】
そして、この電気的接離によってテレビ用の操作体4Aが操作されたことを制御手段10が検出し、テレビの操作に関連する他の操作体、例えば、チャンネル切換え用の複数の操作体4や操作体4D、音量切換え用の操作体4B下方の発光体9を発光させ、これらの操作体近傍の表示部3や3D、3Bを照光する。
【0035】
なお、この時、ビデオテープの停止や巻き戻し等の、ビデオの操作に関連する操作体4E近傍の表示部3Eは照光せず、テレビの操作に関連する表示部のみが照光した状態となっている。
【0036】
そして、この後、例えば、「1」が表示された近傍の表示部3が照光している操作体4を押圧操作すると、この下方のスイッチ接点の電気的接離が行われ、このスイッチ接点の電気的接離に応じて、制御手段10が送信手段11から赤外線のリモコン信号をテレビへ送信し、例えば、テレビのチャンネルが「1」に切換わる。
【0037】
或いは、同じく「+」や「−」が表示された近傍の表示部3Bが照光している操作体4Bを、いずれかへ揺動操作すると、この下方のスイッチ接点の電気的接離が行われ、これに応じたリモコン信号がテレビへ送信されて、テレビの音量が増加または減少する。
【0038】
これに対し、テレビではなく、例えばビデオを遠隔操作する場合には、近傍の表示部3Cに「VTR」が表示された操作体4Cを押圧操作すると、この下方の可動接点7が固定接点6に接触してスイッチ接点の電気的接離が行われ、これによってビデオ用の操作体4Cが操作されたことを制御手段10が検出して、ビデオの操作に関連する他の操作体、例えば、チャンネル切換え用の操作体4Dや、ビデオテープ操作用の操作体4E下方の発光体9を発光させ、これらの操作体近傍の表示部3Dや3Eを照光する。
【0039】
なお、この時、テレビの操作に関連する操作体4や4B近傍の表示部3や3Bは照光せず、ビデオの操作に関連する表示部のみが照光した状態となっている。
【0040】
そして、この後、例えば、「∧」や「∨」が表示された近傍の表示部3Dが照光している操作体4Dを、いずれかへ揺動操作すると、この下方のスイッチ接点の電気的接離に応じたリモコン信号がビデオへ送信され、ビデオのチャンネルが順次切換えられて、選局が行われる。
【0041】
つまり、操作体4Aや4C等を操作して、遠隔操作したい機器を選択した後、操作体4Bや4D等を操作して、選局や音量等の機器の機能を切換えることによって、ひとつのリモコン送信機で複数の電子機器の遠隔操作が行えるようになっているが、機器を選択する操作体を4Aや4C等操作すると、これに応じて、その選択した機器の操作に関連する操作体の表示部のみが照光されるように構成されている。
【0042】
即ち、例えば、テレビ用の操作体4Aを操作した場合には、テレビに関連する機能を操作する複数の操作体4や操作体4D、4Bの表示部3や3D、3Bのみが照光し、ビデオ用の操作体4Cを操作した場合には、ビデオに関連する操作体4Dや4Eの表示部3Dや3Eの表示部のみが照光するため、どの操作体がどの機器のどの機能を操作するものなのかの判別が容易に行え、誤操作がなく容易に操作が行えるようになっている。
【0043】
このように本実施の形態によれば、制御手段10が所定の操作体4の操作に応じて、これに関連する他の操作体4の表示部3を照光することによって、操作したい機器を選択した際、その機器に関連する操作体の表示部のみが照光するため、各々の操作体の判別が容易に行え、誤操作がなく操作の容易なスイッチ装置、及びこれを用いたリモコン送信機を得ることができるものである。
【0044】
なお、以上の説明では、ケース1上面に貼付されたシート2の、操作体4近傍に表示部3を形成した構成について説明したが、図3の斜視図に示すように、異なる色の樹脂を順次成形する二色成形や、塗装した操作体4へのレーザ加工等によって、操作体4上面に文字や数字、記号等の形状の表示部3を形成し、この複数の操作体4をケース1上面の開口孔から突出させると共に、この下方に複数の発光体9を配置し、これによって操作体4上面の表示部3を照光する構成としても、本発明の実施は可能である。
【0045】
また、以上の説明では、操作する機器を選択すると、その機器に関連する操作体4の表示部3が照光する構成として説明したが、例えば「メニュー」等が表示された操作体を設け、これを操作すると図3に示すように、テレビの画面上で移動するカーソル等を操作する操作体4Fが照光したり、或いは、「画質」等の操作体を設け、これを操作すると「明るさ」「コントラスト」等の操作体が照光したりするように構成してもよい。
【0046】
さらに、操作体4下方に配置された発光体9の発光色を異なるものとしたり、表示部3の塗料の色を異なるものとしたりして、例えば、選択した機器毎に関連する操作体4の照光色を区別すれば、より操作を行い易いものとすることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によるスイッチ装置及びこれを用いたリモコン送信機は、誤操作がなく操作の容易なものが得られ、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施の形態によるリモコン送信機の断面図
【図2】同斜視図
【図3】同他の実施の形態による斜視図
【図4】従来のリモコン送信機の斜視図
【符号の説明】
【0049】
1 ケース
2 シート
3、3A〜3F 表示部
4、4A〜4F 操作体
5 配線基板
6 固定接点
7 可動接点
8 テープ
9 発光体
10 制御手段
11 送信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に複数の開口孔が形成された略箱型のケースと、このケースの開口孔に上下動可能に装着された複数の操作体と、この操作体の上下動に応じて電気的接離を行うスイッチ接点と、上記操作体の下方に配置された発光体と、上記スイッチ接点及び発光体に接続された制御手段からなり、上記操作体近傍のケース上面または操作体上面に表示部を設けると共に、上記制御手段が所定の操作体の操作に応じて、これに関連する他の操作体の表示部を照光するスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1記載のスイッチ装置と、このスイッチ装置の制御手段に接続された送信手段からなり、上記制御手段が上記スイッチ接点の電気的接離に応じて、送信手段からリモコン信号を送信するリモコン送信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−311035(P2007−311035A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136056(P2006−136056)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】