説明

スイッチ装置及びこれを用いた入力装置

【課題】主に各種電子機器の操作に用いられるスイッチ装置及びこれを用いた入力装置に関し、誤操作がなく、操作の容易なものを提供することを目的とする。
【解決手段】一端に形成された支点部12Bを支点として揺動、及びこの揺動方向と直交方向へ傾倒可能なホルダー12の中間部に、略円柱状の操作体11を回転可能に装着すると共に、操作体11の回転・揺動・傾倒操作によって、複数のスイッチ接点の電気的接離を行うことによって、例えばメニューの選択や確定等を行う際、一つの操作体11に指等を触れたまま、この操作体11を回転または揺動することでメニューの選択を、傾倒することでメニューの確定を各々行うことができるため、操作が容易で、誤操作も生じにくいスイッチ装置17、及びこれを用いた入力装置を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の操作に用いられるスイッチ装置、及びこれを用いた入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、映像や音響、空調等の各種電子機器の高機能化や多様化が進むなか、これらを操作するスイッチ装置や入力装置においても、多様な操作を容易に行えるものが求められている。
【0003】
このような従来のスイッチ装置及びこれを用いた入力装置について、リモコン送信機を例に、図6を用いて説明する。
【0004】
図6は従来のリモコン送信機の斜視図であり、同図において、1は絶縁樹脂製で略箱型の筐体、2はゴム等の複数の押釦、3は同じく複数の操作体で、押釦2や操作体3の上面には数字や文字等が表示されると共に、これらが筐体1上面に形成された複数の開口孔から突出している。
【0005】
また、筐体1内には、複数の配線パターンが形成された配線基板(図示せず)が収納されると共に、押釦2や操作体3下面と配線基板上面の間には複数のスイッチ接点(図示せず)が形成されて、スイッチ装置が構成されている。
【0006】
さらに、筐体1上面には、液晶表示素子等の表示手段4が装着されると共に、筐体1内の配線基板には、実装された発光ダイオード等によって送信手段(図示せず)や、マイコン等の制御手段(図示せず)が形成され、これらが配線パターンによって電気的に接続されて、リモコン送信機が構成されている。
【0007】
以上の構成において、例えば、上面に「6」が表示された押釦2Aを押圧操作すると、押釦2Aが下方へ移動して、この下面のスイッチ接点の電気的接離が行われ、これを制御手段が検出して、送信手段から赤外線のリモコン信号をテレビへ送信し、例えば、テレビのチャンネルが「6」に切換わる。
【0008】
また、テレビとの通信等により表示手段4に複数のメニューが表示された状態で、上下方向に配置された操作体3Aや3Bを押圧操作すると、この下面のスイッチ接点の電気的接離を制御手段が検出して、表示手段4に表示されたカーソルAやポインタ等を上下方向に移動させる。
【0009】
或いは、左右方向に配置された操作体3Cや3Dを押圧操作すると、カーソルAが左右方向に移動し、所望のメニュー上にカーソルAが移動した状態で、中央の操作体3Eを押圧操作するとメニューが確定し、これを制御手段が検出してリモコン信号をテレビへ送信し、メニューの選択と確定が行われる。
【0010】
つまり、複数の押釦2の操作によって、遠隔操作したい機器、例えばテレビの選局等といった機器の機能を直接操作すると共に、操作体3A〜3Dや3Eの操作によって、表示手段4に表示された複数のメニューの選択や確定が行われるように構成されているものであった。
【0011】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2005−228548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来のスイッチ装置やリモコン送信機においては、表示手段4に表示されたメニューの選択や確定を行う場合、複数の操作体3A〜3Dの操作によってメニューの選択を、操作体3Eの操作によってメニューの確定を各々行っているため、操作の都度、それまで操作していた操作体から指を離し、別の操作体を操作する必要があり、操作が煩雑で、押し間違い等の誤操作も生じ易いという課題があった。
【0013】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、簡易な構成で誤操作がなく、操作の容易なスイッチ装置及びこれを用いた入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0015】
本発明の請求項1に記載の発明は、一端に形成された支点部を支点として揺動、及びこの揺動方向と直交方向へ傾倒可能なホルダーの中間部に、略円柱状の操作体を回転可能に装着すると共に、操作体の回転・揺動・傾倒操作によって、複数のスイッチ接点の電気的接離を行うようにしてスイッチ装置を構成したものであり、例えばメニューの選択や確定等を行う際、一つの操作体に指等を触れたまま、この操作体を回転または揺動することでメニューの選択を、傾倒することでメニューの確定を各々行うことができるため、操作が容易で、誤操作も生じにくいスイッチ装置を得ることができるという作用を有する。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、ホルダーの支点部側に揺動用のスイッチ接点の揺動押圧部を、この揺動押圧部とは逆側に傾倒用のスイッチ接点の傾倒押圧部を形成したものであり、揺動押圧部を支点部の近くに、傾倒押圧部を支点部から離れた箇所に設けることによって、傾倒操作時に揺動用のスイッチ接点が押圧されることを防ぎ、揺動及び傾倒操作時の、各スイッチ接点の電気的接離を確実に行うことができるという作用を有する。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載のスイッチ装置と表示手段に制御手段を接続すると共に、制御手段がスイッチ装置の操作に応じて、表示手段のメニューを選択するようにして入力装置を構成したものであり、メニューの選択や確定等が行い易く、誤操作がなく操作の容易な入力装置を実現することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明によれば、簡易な構成で誤操作がなく、操作の容易なスイッチ装置及びこれを用いた入力装置を実現できるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、主にリモコン送信機を例に、図1〜図5を用いて説明する。
【0020】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるリモコン送信機の側面断面図、図2は同分解斜視図、図3は同斜視図であり、11はポリスチレンやABS等の絶縁樹脂製で略円柱状の操作体で、外周には複数の凹凸部が形成されると共に、両側面には回転軸11Aが突出形成されている。
【0021】
そして、12は同じく絶縁樹脂製で略額縁状のホルダーで、ホルダー12の中間部には、回転軸11Aを回転孔12Aに挿入した操作体11が、回転可能に装着されると共に、ホルダー12左端には、上下端が半球状に形成された支点部12Bが突出形成されている。
【0022】
また、13はポリスチレンやABS等の絶縁樹脂製で略箱型のケースで、上面の開口孔から操作体11が突出すると共に、ケース13下面の半球状の保持部13Aには、ホルダー12の支点部12B上端が回動可能に挿入保持されている。
【0023】
さらに、14は紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板で、上下面に銅箔等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成されると共に、この配線基板14上面に支点部12B下端が当接して、ホルダー12が支点部12B上端を支点として前後方向へ揺動、及びこれと直交方向の右方向へ傾倒可能に保持されている。
【0024】
そして、配線基板14上面にはレバースイッチ15が実装されると共に、このレバースイッチ15の中立位置復帰型で上方へ突出したレバー15Aが、操作体11側面の回転軸11A外周に形成された複数の突部11Bに当接して、回転用のスイッチ接点が形成されている。
【0025】
また、配線基板14上面には、カーボン等によって複数の固定接点(図示せず)が形成されると共に、これらの固定接点上には、略ドーム状で銅合金等の複数の可動接点16Aや16Bが載置され、左方前後の二つの固定接点と可動接点16Aによって揺動用のスイッチ接点が、右方の固定接点と可動接点16Bによって傾倒用のスイッチ接点が各々形成されている。
【0026】
さらに、左方前後の二つの可動接点16A上面には、支点部12B側のホルダー12左端下面の前後に突出形成された揺動押圧部12C下端が、右方の可動接点16B上面には、揺動押圧部12Cとは逆側のホルダー12右端下面の中間に突出形成された傾倒押圧部12Dが、各々当接してスイッチ装置17が構成されている。
【0027】
また、18はゴムやエラストマー等の弾性樹脂製の押釦で、下面外周に形成された薄肉のドーム部によって複数の押釦18が連結されると共に、この上面に数字や文字等が表示された複数の押釦18が、ケース13上面の複数の開口孔から上下動可能に突出している。
【0028】
そして、各々の押釦18下面には、カーボン等によって可動接点19が形成されると共に、配線基板14上面にはカーボン等によって、押釦18の可動接点19と所定の間隙を空けて対向する複数の固定接点20が形成されている。
【0029】
さらに、21は液晶表示素子等の表示手段で、この表示手段21が導電ゴム22によって配線基板14の配線パターンに接続されると共に、配線基板14には、実装された発光ダイオード等によって送信手段23や、同じくマイコン等によって制御手段24が形成されている。
【0030】
そして、この制御手段24に配線パターンを介して、スイッチ装置17のレバースイッチ15や、可動接点16Aや16Bを載置した固定接点、表示手段21や送信手段23、複数の固定接点20等が電気的に接続されて、入力装置としてのリモコン送信機が構成されている。
【0031】
以上の構成において、例えば、上面に「6」が表示された押釦18Aを押圧操作すると、押釦18Aが下方へ移動して、この下面の可動接点19と固定接点20の電気的接離が行われ、これを制御手段24が検出して、送信手段23から赤外線のリモコン信号をテレビへ送信し、例えば、テレビのチャンネルが「6」に切換わる。
【0032】
また、図3に示すように、テレビとの通信等により表示手段21に複数のメニューが表示された状態で、スイッチ装置17の操作体11を回転操作すると、操作体11の回転に伴って複数の突部11Bが回転し、この複数の突部11Bが順次レバースイッチ15のレバー15Aを揺動させて、レバースイッチ15の電気的接離が順次行われる。
【0033】
そして、この回転用のスイッチ接点としてのレバースイッチ15の電気的接離に応じて制御手段24が、レバー15Aの操作方向と回数から操作体11の回転方向と回転量を検出して、表示手段21に表示されたカーソルAやポインタ等を、操作体11を回転した方向へ回転した分だけ上下方向に移動させる。
【0034】
これに対し、図4(a)の正面断面図に示すように、指をややずらせて操作体11を右または左方向へ揺動操作すると、図4(b)に示すように、ケース13下面の保持部13Aに挿入された支点部12B上端を支点として、ホルダー12が右または左方向へ揺動し、下面に突出形成された揺動押圧部12C下端が、右または左側の可動接点16Aを押圧する。
【0035】
そして、可動接点16Aが弾性変形して下面の固定接点の電気的接離が行われ、この揺動用のスイッチ接点の電気的接離を制御手段24が検出して、表示手段21に表示されたカーソルAを、操作体11が揺動操作された右または左方向へ移動させる。
【0036】
さらに、所望のメニュー上にカーソルAが移動した状態で、操作体11中央を下方へ押圧操作すると、図5の側面断面図に示すように、支点部12B上端を支点として、ホルダー12が上述した揺動方向と直交する右方向へ傾倒し、下面に突出形成された傾倒押圧部12D下端が、可動接点16Bを押圧する。
【0037】
そして、可動接点16Bが弾性変形して下面の固定接点の電気的接離が行われ、この傾倒用のスイッチ接点の電気的接離を制御手段24が検出して、選択したメニューが確定し、この確定したメニューに応じたリモコン信号が送信手段23からテレビへ送信される。
【0038】
つまり、複数の押釦18の操作によって、遠隔操作したい機器、例えばテレビの選局等といった機器の機能を直接操作すると共に、一つの操作体11を回転及び揺動、或いは傾倒操作することによって、表示手段21に表示された複数のメニューの選択や確定が行われるように構成されている。
【0039】
即ち、メニューの選択や確定を行う都度、それまで操作していた操作体から指を離し、別の操作体を操作する必要はなく、一つの操作体11に指を触れたままで、これを回転または揺動操作することでメニューの選択を、傾倒操作することでメニューの確定を各々行うことができるため、誤操作が生じにくく、容易に操作を行うことが可能なようになっている。
【0040】
また、この時、揺動用のスイッチ接点である可動接点16Aを押圧する揺動押圧部12Cは、ホルダー12の支点部12B側の左端下面に、傾倒用のスイッチ接点である可動接点16Bを押圧する傾倒押圧部12Dは、揺動押圧部12Cとは逆側のホルダー12右端下面に形成されているため、操作体11を傾倒操作した際、可動接点16Bのみが傾倒押圧部12Dに押圧されて弾性変形し、揺動押圧部12Cによって可動接点16Aも押圧され、可動接点16Bと16Aが同時に電気的接離を行うことがないようになっている。
【0041】
このように本実施の形態によれば、一端に形成された支点部12Bを支点として揺動、及びこの揺動方向と直交方向へ傾倒可能なホルダー12の中間部に、略円柱状の操作体11を回転可能に装着すると共に、操作体11の回転・揺動・傾倒操作によって、複数のスイッチ接点の電気的接離を行うことによって、例えばメニューの選択や確定等を行う際、一つの操作体11に指等を触れたまま、この操作体11を回転または揺動することでメニューの選択を、傾倒することでメニューの確定を各々行うことができるため、操作が容易で、誤操作も生じにくいスイッチ装置17、及びこれを用いた入力装置を得ることができるものである。
【0042】
また、ホルダー12の支点部12B側に揺動用のスイッチ接点の揺動押圧部12Cを、この揺動押圧部12Cとは逆側に傾倒用のスイッチ接点の傾倒押圧部12Dを形成することによって、揺動押圧部12Cは支点部の近くに、傾倒押圧部12Dは支点部から離れた箇所に設けられているため、傾倒操作時に揺動用のスイッチ接点が押圧されることを防ぎ、揺動及び傾倒操作時の、各スイッチ接点の電気的接離を確実に行うことができる。
【0043】
なお、以上の説明では、入力装置としてリモコン送信機を用い、これに装着された表示手段21のメニューを、操作体11の操作によって選択・確定する構成について説明したが、テレビ等の画面に複数のメニューを表示し、これを操作体11の操作によって選択・確定したり、スイッチ装置17をテレビ等の電子機器に装着し、機器の画面を見ながらメニューの選択や確定を行うようにしたりしても、本発明の実施は可能である。
【0044】
また、回転用のスイッチ接点として中立位置復帰型のレバースイッチ15を、揺動用及び傾倒用のスイッチ接点として、略ドーム状の可動接点16Aや16Bを用いた構成について説明したが、回転用のスイッチ接点としては、操作体11の回転方向と回転量を検出可能なものであればよく、揺動用及び傾倒用のスイッチ接点としては、ゴム等の下面に可動接点を形成したものや、単独のプッシュスイッチ等を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によるスイッチ装置及びこれを用いた入力装置は、誤操作がなく操作の容易なものが得られ、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施の形態によるリモコン送信機の側面断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同斜視図
【図4】同揺動操作時の正面断面図
【図5】同傾倒操作時の側面断面図
【図6】従来のリモコン送信機の斜視図
【符号の説明】
【0047】
11 操作体
11A 回転軸
11B 突部
12 ホルダー
12A 回転孔
12B 支点部
12C 揺動押圧部
12D 傾倒押圧部
13 ケース
13A 保持部
14 配線基板
15 レバースイッチ
15A レバー
16A、16B 可動接点
17 スイッチ装置
18、18A 押釦
19 可動接点
20 固定接点
21 表示手段
22 導電ゴム
23 送信手段
24 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円柱状の操作体と、この操作体を中間部に回転可能に装着すると共に、一端に形成された支点部を支点として揺動、及びこの揺動方向と直交方向へ傾倒可能なホルダーと、上記操作体の回転・揺動・傾倒操作に応じて、電気的接離を行う複数のスイッチ接点からなるスイッチ装置。
【請求項2】
ホルダーの支点部側に揺動用のスイッチ接点の揺動押圧部を、この揺動押圧部とは逆側に、傾倒用のスイッチ接点の傾倒押圧部を形成した請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
請求項1記載のスイッチ装置と、複数のメニューを表示する表示手段と、上記スイッチ装置及び上記表示手段に接続された制御手段からなり、上記制御手段が上記スイッチ装置の操作に応じて、上記表示手段のメニューを選択する入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−194159(P2007−194159A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−13387(P2006−13387)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】