説明

スイッチ装置

【課題】 ロック自動解除機構の簡素化を図ると共に、スイッチの操作方向に対して奥行き寸法を短く形成できるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】 収納部1aを有するハウジング1と、収納部1a内に配設された固定接点3と、固定接点3と接離する可動接点6を保持し、ハウジング1の上下方向に移動可能に収納された操作部材4と、操作部材4を押圧位置にロックするロック手段9a、14aと、操作部材4のロックを解除するロック解除手段10とを備え、ハウジング1に、可動接点6及び固定接点3を操作部材4の押圧方向に重なるように対向させて配置すると共に、操作部材4の押圧方向とは直交する方向に沿って操作部材4と可動接点6及び固定接点3と並設して、ロック手段9a、14aとロック解除手段10を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器の電源スイッチとして使用されるスイッチ装置に係り、特にオートオフ機能を有するスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のオートオフ機能を有するスイッチ装置の構造としては、スイッチ本体の横に電磁ソレノイドを配設し、この電磁ソレノイドの可動プランジャにアーム状の駆動部材の一端側を連結させ、この電磁ソレノイドを駆動させることにより、駆動部材の他端側に設けられたカム面でスイッチの操作部材をロックしているロック部材を押圧してロックを解除させる構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、従来のスイッチ装置の構造を図に基づいて説明する。
図7は従来のスイッチ装置の平面図、図8は従来のスイッチ装置の動作を説明する説明図である。
【0004】
図に示すように、枠体20にACスイッチ部33、およびソレノイド部22が形成されている。また、ACスイッチ部33には、DCスイッチ部34が取り付けられ、ACスイッチ部33、ソレノイド部22、DCスイッチ部34が一体化されて配設されている。また、ACスイッチ部33に取り付けられたケース23内部には、ACスイッチ部33、およびDCスイッチ部34のスイッチをオン/オフすることができるスライド部材21が配設され、このスライド部材21の操作軸21aが枠体20から突出されている。スライド部材21は、常に矢印A方向に弾性付勢されており、この状態では、ACスイッチ部33、およびDCスイッチ部34のスイッチがオフ状態になっている。
【0005】
この状態からスライド部材21を矢印B方向に押圧すると、ACスイッチ部33、およびDCスイッチ部34のスイッチがオンされると共に、スライド部材21がロックされるようになっている。スライド部材21には、カム凹部29及び複数の傾斜面と段部とから成るカム底面29aが形成されており、このカム底面29aにはロック壁30aを有するハートカム30が形成されている。カム凹部29にはロック部材27が位置するものとなり、このロック部材27は一端に揺動支点27aと他端にロック部27bとを有する。ロック部材27は、揺動支点27aがケース23に軸支され、カム底面29a上をロック部27bが摺動してハートカム30の周囲を揺動するものとなる。
【0006】
また、ソレノイド部22に取り付けられたソレノイドは、プランジャ22aが吸引されて矢印B方向に移動するようになっている。ソレノイドにより駆動される駆動カム24は、枠体20に回動自在に支持されている。また、駆動カム24の一端にはプランジャ22aが係合され、プランジャ22aの吸引に合わせて、駆動カム24が回動するようになっている。また、駆動カム24の他端に形成されたロック解除部25は、スライド部材21のカム凹部29に位置するように配設され、傾斜面25a、25bを有する山形に形成されている。
【0007】
動作としては、初期状態では、ロック部材27のロック部27bが、ハートカム30のロック壁30aから外れて、ハートカム30の上方側に位置している。この時、駆動カム24は、ロック解除部25がロック部材27から離れた所に位置しスイッチはオフ状態になっている。次に、操作軸21aを矢印B方向に押圧してスライド部材21を移動させると、ロック部材27のロック部27bがカム底面29a上を摺動して、図8(a)に示すようにロック部27bがハートカム30のロック壁30aに位置してロック状態になりスイッチがオンされる。
【0008】
次にスイッチをオフするには、ソレノイドに通電してプランジャ22aを矢印B方向に吸引すると、駆動カム24が図8(b)に示す矢印C方向に回動し、ロック解除部25が矢印D方向に移動して、ロック状態のロック部27bが傾斜面25aに当接して押圧される。そして、ロック部27bが傾斜面25aに沿って下方側に移動してロック壁30aから外れ、スライド部材21のロックが解除される。そして、スライド部材21は矢印A方向に移動しスイッチがオフされて初期状態に自動的に復帰するようになっている。
【0009】
【特許文献1】特開2000−149708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来のスイッチ装置の構造においては、スイッチ本体の側面に設けられたソレノイドに通電して、ソレノイドのプランジャに連結されたアクチュエータ(駆動カム)を回動させることによってロック部材をハートカムのロック位置から解除させる構造のため、ロック自動解除機構が複雑になり、ソレノイドと、スイッチの操作部材、ロック部材、接点部材等がスイッチの操作方向に沿って配置されていることから、奥行き寸法が長くなってしまうという問題があった。
【0011】
したがって、本発明では上述した問題点を解決し、ロック自動解除機構の簡素化を図ると共に、スイッチの操作方向に対して奥行き寸法を短く形成できるスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明では第1の解決手段として、収納部を有するハウジングと、前記収納部内に配設された固定接点と、この固定接点と接離する可動接点を保持し、前記ハウジングの上下方向に移動可能に収納された操作部材と、この操作部材を押圧位置にロックするロック手段と、前記操作部材のロックを解除するロック解除手段とを備え、前記ハウジングに、前記可動接点及び前記固定接点を前記操作部材の押圧方向に重なるように対向させて配置すると共に、前記操作部材の押圧方向とは直交する方向に沿って前記操作部材と前記可動接点及び前記固定接点と並設して、前記ロック手段と前記ロック解除手段を配置した構成とした。
【0013】
また、第2の解決手段として、前記ロック手段は、ハート型カム溝を有するカム板を備え、このカム板が前記操作部材に係合されており、前記カム板に並設して前記ロック解除手段を配置した構成とした。
また、第3の解決手段として、前記ロック解除手段は、電磁ソレノイドで構成され、この電磁ソレノイドには、前記操作部材の押圧方向と直交する方向にスライド移動可能な可動鉄心を有しており、この可動鉄心に一体的にロックピンを形成し、このロックピンを前記カム板のハート型カム溝に当接させた構成とした。
また、第4の解決手段として、前記可動接点及び前記固定接点を複数個設け、複数個の前記可動接点及び前記固定接点を前記操作部材の押圧方向とは直交する方向に並設した構成とした。
【発明の効果】
【0014】
上述したように、本発明のスイッチ装置は、収納部を有するハウジングと、収納部内に配設された固定接点と、固定接点と接離する可動接点を保持し、ハウジングの上下方向に移動可能に収納された操作部材と、操作部材を押圧位置にロックするロック手段と、操作部材のロックを解除するロック解除手段とを備え、ハウジングに、可動接点及び固定接点を操作部材の押圧方向に重なるように対向させて配置すると共に、操作部材の押圧方向とは直交する方向に沿って操作部材と可動接点及び固定接点と並設して、ロック手段とロック解除手段を配置したことから、可動接点及び固定接点からなるスイッチ接点部を操作部材の押圧方向と同じ向きに対向させて配置し、このスイッチ接点部に並設して操作部材の押圧方向とは直交する方向にロック手段とロック解除手段を配置することにより、スイッチの構成部品を横方向に並べて配置できるので、スイッチの操作方向に対して奥行き寸法の短いスイッチ装置が提供できる。
【0015】
また、ロック手段は、ハート型カム溝を有するカム板を備え、カム板が操作部材に係合されており、カム板に並設してロック解除手段を配置したことから、カム板を介して操作部材とロック解除手段を対向して並設できるので、スイッチ装置の小型化が図れる。
また、ロック解除手段は、電磁ソレノイドで構成され、電磁ソレノイドには、操作部材の押圧方向と直交する方向にスライド移動可能な可動鉄心を有しており、可動鉄心に一体的にロックピンを形成し、ロックピンをカム板のハート型カム溝に当接させたことから、電磁ソレノイドとロックピンとを連結するアクチュエータ等の連結部材を設ける必要がないので、ロック手段とロック解除手段の構成を簡素化できる。
また、可動接点及び固定接点を複数個設け、複数個の可動接点及び固定接点を操作部材の押圧方向とは直交する方向に並設したことから、多回路のスイッチ装置に対しても奥行き寸法の短いスイッチ装置が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明のスイッチ装置の実施形態を図1乃至図6に示す。図1は本発明のスイッチ装置の分解斜視図、図2は本発明のスイッチ装置の組立斜視図、図3は本発明のスイッチ装置の接点部分を示す説明図、図4は本発明のスイッチ装置のロック機構及びロック解除機構部分を示す説明図、図5は本発明のスイッチ装置のロック状態を示す動作説明図、図6は本発明のスイッチ装置のロック解除直後の状態を示す動作説明図である。
【0017】
図において、ハウジング1は、合成樹脂等の絶縁材からなり、上面開口状の箱型に形成されている。このハウジング1には、方形状からなるやや大き目の第1の収納部1aと、この第1の収納部1aに連続して同じく方形状からなるやや小さめの第2の収納部1bが形成されている。また、ハウジング1の外側面には、複数の突起1cが設けられており、これらの突起1cと後述するカバー17の係合孔17eが係合されることによりハウジング1とカバー17とが一体化されるものとなる。
【0018】
また、第1の収納部1aの中央には、円柱状の支軸部1dが突設されており、この支軸部1dを挟んで対向する位置には、方形状の一対のガイド柱1eが立設されている。また、このガイド柱1eが並設された方向とは交差する方向で、ガイド柱1eを挟んで対向する位置には、それぞれ一対の端子受部1fが形成されている。この端子受部1fは、第1の収納部1aの対角線上の四角部に、やや突出した状態で4個形成されている。
【0019】
また、第2の収納部1bには、第1の収納部1aに連続する側とは対向する側の側板部の上端側に、一対のスリット1gが設けられている。このスリット1gから後述するコイル11の導線11aが導出されるものとなる。
【0020】
複数(本実施例では4個)の固定端子2は、導電性の金属板からなり、略L字状に屈曲して形成されている。また、固定端子2の基台には銀等の貴金属からなる固定接点3が固着されている。この固定端子2は、前記ハウジング1の第1の収納部1aに形成された前記端子受部1fに、前記固定接点3が上面側を向くように載置されてかしめ等の方法でそれぞれ固着されている。また、固定端子2の他端側は、前記第1の収納部1aの底面部からハウジング1の外方へ突設されている。
【0021】
操作部材4は、合成樹脂等の絶縁材で形成されており、略方形状の基部4aと、この基部4aの上面側に突出された操作ノブ4bとを有している。この操作部材4の基部4aの一側面には、方形状の箱溝部4cが設けられており、この箱溝部4cが設けられた面とは交差する方向の対向する両側面には、一対の突起部4dが設けられている。また、前記突起部4dを繋ぐ線を挟んで両側には、下面側が開放した断面コ字状の横溝部4eが設けられており、この横溝部4eの中央には第1のばね保持部4fが設けられている。
【0022】
また、前記基部4aの中央下面側には、第2のばね保持部4gが設けられており、この第2のばね保持部4gを挟んで前記突起部4dの形成方向に沿った両側には、前記第1の収納部1aに形成された前記ガイド柱1eに係合して、操作部材4が上下方向へ移動可能にガイドされる図示しないガイド溝が形成されている。そして、前記操作部材4は、前記ハウジング1の第1の収納部1aに上下方向(操作ノブ4bが押圧される操作方向)に移動可能に収納されている。
【0023】
導体板5は、平板状の導電性の金属板で長尺状に形成され、その下面側の両端部には銀等の貴金属からなる可動接点6が固着されている。また、導体板5の上面中央には、突起状のばね係止部5aが設けられている。この導体板5は、前記操作部材4の一対の横溝部4eに収容されている。この時、前記横溝部4eにはコイル状の巻き線ばねからなる接点ばね7が係合されており、この接点ばねの一端が前記第1のばね保持部4fに係止され、他端が導体板5のばね係止部5aに係止されて導体板5が横溝部4eの下面側に付勢された状態で前記操作部材4に収容されている。
【0024】
また、前記操作部材4の中央下面側の第2のばね保持部4gには、コイル状の巻き線ばねからなる復帰ばね8の一端が係合されている。この復帰ばね8の他端は前記ハウジング1の第1の収納部1aに形成された前記支軸部1dに係合されており、操作部材4は復帰ばね8により上方へ付勢された状態で前記ハウジング1の第1の収納部1aに収容されている。
【0025】
また、この時、前記導体板5のそれぞれの可動接点6は、前記固定端子2のそれぞれの固定接点3と上下方向に一定の間隔を保持した状態で対向されており、前記可動接点6及び前記固定接点3は、前記操作部材4の押圧方向に重なるように対向されて配置されている。また、前記可動接点6及び前記固定接点3は、複数個(本実施例ではそれぞれ4個)設けられており、この複数個の前記可動接点6及び前記固定接点3が、前記操作部材4の押圧方向とは直交する方向に並設して配設されている。
【0026】
このように、前記可動接点6及び前記固定接点3を複数個設け、これらの複数個の可動接点6及び固定接点3を前記操作部材4の押圧方向とは直交する方向に並設するようにしたことから、多回路のスイッチ装置に対しても奥行き寸法の短いスイッチ装置が提供できるものとなっている。
【0027】
カム板9は、合成樹脂等の絶縁材で方形状に形成されており、このカム板9の一面側にはハート型カム溝9aが形成されている。このハート型カム溝9aは複数の段差を有する環状のカム面と、このカム面から突出したロック部9bを有している。このカム板9は、前記操作部材4の一側面に設けられた方形状の前記箱溝部4cに係合されている。
【0028】
この場合、カム板9の外形は、縦方向の寸法が箱溝部4cの縦方向の内寸と略同じ(内寸に収まる寸法で横に移動可能な寸法)で、横方向の寸法が箱溝部4cの横方向の内寸よりも小さくなるように形成されている。このため、カム板9は、箱溝部4c内を縦方向には移動不可で、横方向には移動可能なように係合されている。
【0029】
前記カム板9は、前記操作部材4が上下方向に押圧操作された際には、前記操作部材4の押圧操作に伴って前記ハウジング1の上下方向に移動可能なように前記操作部材4に係合すると共に、前記操作部材4が押圧操作される際には、前記カム板9が前記操作部材4の押圧方向と直交する左右方向にも移動可能となっている。
【0030】
このように、前記ハート型カム溝9aを有するカム板9を、前記操作部材4の押圧操作に伴って前記ハウジング1の上下方向に移動可能なように前記操作部材4に係合すると共に、前記操作部材4が押圧操作される際には、前記カム板9が前記操作部材4の押圧方向と直交する左右方向にも移動可能としたことから、前記ハート型カム溝9aを有するカム板9の面に対して垂直にしか動かない後述するロックピン14aと左右に動く前記カム板9を組み合わせた構成により、ロック機構を簡単に形成できると共に、ロック機構の信頼性の向上が図れるものとなっている。
【0031】
電磁ソレノイド10は、コイル11が巻かれたボビン12と、このボビン12内に固着された固定鉄心13と、ボビン12内に可動に配設された可動鉄心14と、可動鉄心14を一方向に付勢する圧縮ばね15と、これらを収納するヨーク16とから構成されている。前記圧縮ばね15は固定鉄心13と可動鉄心14との間に介在されており、常時は可動鉄心14を固定鉄心13から離れる方向(ボビン12の外方)へ付勢している。
【0032】
また、前記可動鉄心14には、細棒状のロックピン14aが一体に形成されている。このロックピン14aは前記圧縮ばね15によって常時ボビン12の外方へ付勢されている。また、前記コイル11からは一対の導線11aが導出されている。この一対の導線11aを通して前記コイル11に通電されることによって、前記可動鉄心14が圧縮ばね15の付勢力に抗して固定鉄心13側に吸引され、前記ロックピン14aがボビン12の内方へ移動するものとなっている。
【0033】
前記電磁ソレノイド10は、前記ハウジング1の第2の収納部1bに収納されており、この時、前記ロックピン14aの先端が、前記第1の収納部1aに収納された前記操作部材4の箱溝部4cに係合されている、前記カム板9のハート型カム溝9aに当接されている。この場合、前記ロックピン14aが形成された前記可動鉄心14は、前記操作部材4の押圧方向(上下方向)に対して直交する方向に移動可能に配設されており、前記圧縮ばね15の付勢力によって、前記ロックピン14aの先端が、常時、ハート型カム溝9aのカム面に圧接された状態となっている。
【0034】
このように、前記電磁ソレノイド10は、スライド移動可能な前記可動鉄心14を有し、前記可動鉄心14に前記ロックピン14aを一体的に形成したことから、前記電磁ソレノイド10とロックピン14aとを連結するアクチュエータ等の連結部材を設ける必要がないので、部品点数が削減でき、ロック手段とロック解除手段の構成を簡素化できるものとなる。また、前記電磁ソレノイド10は、前記可動鉄心14が前記操作部材4の押圧方向と直交する方向に移動可能に配置されていることから、前記可動鉄心14に設けられた前記ロックピン14aの動作が前後一方向の動作となるため、前記ロックピン14aの挙動が安定し、ロック機構における信頼性を高めることができるものとなっている。
【0035】
また、前記電磁ソレノイド10には、前記可動鉄心14をスライド移動方向へ付勢する前記圧縮ばね15を設け、前記圧縮ばね15により前記ロックピン14aを、常時、前記ハート型カム溝9aへ押圧するようにしたことから、前記ロックピン14aを前記ハート型カム溝9aへ押圧する押圧力を単純な圧縮ばねで形成できるため、押圧時の面圧のバラツキを抑えることができ、品質の安定化が図れるものとなっている。
【0036】
前記カム板9のハート形カム溝9aと、前記ロックピン14aとで前記操作部材4を押圧位置にロックするロック手段が構成されており、また、前記電磁ソレノイド10で前記操作部材4のロックを解除する解除手段が構成されている。また、前記操作部材4の押圧方向とは直交する方向に沿って、前記操作部材4と前記可動接点6及び前記固定接点3と並設した状態で、前記ロックピン14aが設けられた可動鉄心14を有する電磁ソレノイド10からなる、ロック手段とロック解除手段が配置されている。
【0037】
このように、前記操作部材4に、前記ハート型カム溝9aを有する前記カム板9を係合して、前記カム板9に並設して前記電磁ソレノイド10からなるロック解除手段を配置したことから、前記カム板9を介して前記操作部材4とロック解除手段を対向して並設できるので、スイッチ装置の小型化が図れるものとなっている。
【0038】
また、前記ハウジング1の第2の収納部1bに設けられた一対の前記スリット1gを介して、前記コイル11の一対の導線11aが、前記ハウジング1の外方へ導出されている。
【0039】
カバー17は、合成樹脂等の絶縁材からなり、下面開口状の箱型に形成されている。このカバー17は、やや大き目の第1方形部14aと、やや小さ目の第2方形部17bとが連続して一体に形成されている。また、やや大き目の第1方形部17aの中央には角形の挿通孔17cが形成されており、この挿通孔17cに前記操作部材4の操作ノブ4bが挿通されて外方へ突出されている。また、やや小さ目の第2方形部17bの一側面部には一対のスリット17dが形成されており、このスリット17dを介して、前記コイル11の一対の導線11aが、前記カバー17の外方へ導出されている。
【0040】
また、カバー17の外周側面部には、複数の係合孔17eが形成されており、この複数の係合孔17eに前記ハウジング1の外周側面部に形成された複数の前記突起1cが係合されて、前記ハウジング1とカバー17とが一体化されている。
【0041】
次に、図4乃至図6を用いて、上述したスイッチ装置の動作を説明する。
まず、図4に示す初期の状態では、操作部材4は復帰ばね8の付勢力により上方へ付勢されている。この時、導体板5の可動接点6と固定端子2の固定接点3とは離間しており、スイッチはオフ状態となっている。
【0042】
この状態から、操作部材4の操作ノブ4bが押圧されると、図5に示すように、操作部材4が復帰ばね8の付勢力に抗して下方へ移動し、可動接点6と固定接点3とが当接する。そして、操作部材4と共にカム板9も下方へ移動するものとなり、ハート型カム溝9aのカム面に当接しているロックピン14aがハート型カム溝9aに沿って摺動しロック部9bにロックされる。
【0043】
この時、ロックピン14aは、圧縮ばね15の付勢力により操作部材4の押圧方向とは直交する一方向にのみスライド移動可能となっているが、操作部材4が押圧操作される際には、カム板9が操作部材4の押圧方向と直交する左右方向にも移動可能となっていることから、ロックピン14aがハート型カム溝9aのカム面に沿って無理無く摺動されるものとなっている。また、導体板5は接点ばね7により下方(固定接点3側)へ付勢されているため、可動接点6が一定の圧力をもって固定接点3と接触しており、安定した接触が得られるものとなっている。
【0044】
次に、ロックを解除させるには、図6に示すように、電磁ソレノイド10のコイル11の導線11aを介してコイル11に通電することにより、コイルに発生する磁力によって可動鉄心14が圧縮ばね15の付勢力に抗して吸引され、ロックピン14aが操作部材4の押圧方向とは直交する方向へスライド移動して、ハート型カム溝9aのロック部9bから外れるものとなる。
【0045】
そして、操作部材4は復帰ばね8の付勢力により上方へ付勢され、図4に示す初期の状態に復帰するものとなり、可動接点6が固定接点3から離間してスイッチがオフ状態となる。
【0046】
尚、手動でスイッチのロックを解除させる場合には、図5に示す状態から、再度、操作部材4の操作ノブ4bを押圧してやると、ハート型カム溝9aの環状のカム面の作用により、ロック部材14aがハート型カム溝9aのロック部9bから外れて移動するものとなり、操作部材4は復帰ばね8の付勢力により上方へ付勢され、図4に示す初期の状態に復帰するものとなる。この場合、ロックピン14aは操作部材4の押圧方向と直交する方向にはスライド移動せず、ハート型カム溝9aの環状のカム面を循環して図4に示す初期位置に復帰するものとなる。
【0047】
上記した本発明の実施例によれば、ハウジング1の上下方向に移動可能に収納された操作部材4を押圧位置にロックするハート型カム溝9aとハート型カム溝内を摺動するロックピン14aで構成したロック手段と、前記操作部材4のロックを解除する電磁ソレノイド10で構成したロック解除手段とを備え、前記ハウジング1に、前記可動接点6及び前記固定接点3を前記操作部材4の押圧方向に重なるように対向させて配置すると共に、前記操作部材4の押圧方向とは直交する方向に沿って前記操作部材4と前記可動接点6及び前記固定接点3と並設して、ロック手段とロック解除手段を配置したことから、前記可動接点6及び前記固定接点3からなるスイッチ接点部を前記操作部材4の押圧方向と同じ向きに対向させて配置し、このスイッチ接点部に並設して前記操作部材4の押圧方向とは直交する方向にロック手段とロック解除手段を配置することにより、スイッチの構成部品を横方向に並べて配置できるので、スイッチの操作方向に対して奥行き寸法の短いスイッチ装置が提供できるものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明のスイッチ装置を示す分解斜視図である。
【図2】本発明のスイッチ装置を示す組立斜視図である。
【図3】本発明のスイッチ装置の接点部分を示す説明図である。
【図4】本発明のスイッチ装置のロック機構及びロック解除機構部分を示す説明図である。
【図5】本発明のスイッチ装置のロック状態を示す動作説明図である。
【図6】本発明のスイッチ装置のロック解除直後の状態を示す動作説明図である。
【図7】従来のスイッチ装置を示す平面図である。
【図8】従来のスイッチ装置の動作を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0049】
1:ハウジング
1a:第1の収納部
1b:第2の収納部
1c:突起
1d:支軸部
1e:ガイド柱
1f:端子受部
1g:スリット
2:固定端子
3:固定接点
4:操作部材
4a:基部
4b:操作ノブ
4c:箱溝部
4d:突起部
4e:横溝部
4f:第1のばね保持部
4g:第2のばね保持部
5:導体板
5a:ばね係止部
6:可動接点
7:接点ばね
8:復帰ばね
9:カム板
9a:ハート型カム溝(ロック手段)
9b:ロック部
10:電磁ソレノイド(ロック解除手段)
11:コイル
11a:導線
12:ボビン
13:固定鉄心
14:可動鉄心
14a:ロックピン(ロック手段)
15:圧縮ばね
16:ヨーク
17:カバー
17a:第1方形部
17b:第2方形部
17c:挿通孔
17d:スリット
17e:係合孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納部を有するハウジングと、前記収納部内に配設された固定接点と、この固定接点と接離する可動接点を保持し、前記ハウジングの上下方向に移動可能に収納された操作部材と、この操作部材を押圧位置にロックするロック手段と、前記操作部材のロックを解除するロック解除手段とを備え、前記ハウジングに、前記可動接点及び前記固定接点を前記操作部材の押圧方向に重なるように対向させて配置すると共に、前記操作部材の押圧方向とは直交する方向に沿って前記操作部材と前記可動接点及び前記固定接点と並設して、前記ロック手段と前記ロック解除手段を配置したことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記ロック手段は、ハート型カム溝を有するカム板を備え、このカム板が前記操作部材に係合されており、前記カム板に並設して前記ロック解除手段を配置したことを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記ロック解除手段は、電磁ソレノイドで構成され、この電磁ソレノイドには、前記操作部材の押圧方向と直交する方向にスライド移動可能な可動鉄心を有しており、この可動鉄心に一体的にロックピンを形成し、このロックピンを前記カム板のハート型カム溝に当接させたことを特徴とする請求項2記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記可動接点及び前記固定接点を複数個設け、複数個の前記可動接点及び前記固定接点を前記操作部材の押圧方向とは直交する方向に並設したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−19138(P2006−19138A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195814(P2004−195814)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】