説明

スイッチ装置

【課題】 キー操作の良好性を保ちつつ、スイッチパネルの局所的な変形を防止することができるスイッチ装置及びスイッチパネル用補強部材を提供する。
【解決手段】 補強部材20がスイッチパネル14のスイッチマーク141の裏面の案内孔131の縁部周辺に貼り付けられる。オペレータがキー操作をするのに、キートップ111の頭部を指で押圧する際に、スイッチパネル14の案内孔131の縁部の周辺に補強部材20が設けられているので、オペレータの指の腹や爪などが案内孔131の縁部にひっかかるようなことがなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば工業機械、電化製品等の電気機器を操作するために押釦スイッチ装置が用いられることがある。このような押釦スイッチ装置としては、例えば特許文献1に示すようなものがある。
【0003】
押釦スイッチ装置には、ワイヤハーネスが接続される基板と、基板に設けられたタクトスイッチを押圧してスイッチング動作をさせるキートップが並設されたキートップ板と、それぞれのキートップを案内するとともに装置を保護する案内カバーと、案内カバー上に設けられるスイッチパネルとを備えたものがある。
【0004】
この押釦スイッチ装置では、キートップそれぞれを案内するための案内孔が案内カバーに形成されており、また案内孔の大きさにそれぞれ対応する丸孔がスイッチパネルに形成されている。案内カバーの案内孔とスイッチパネルの丸孔は同心円上に配置される。
【特許文献1】特開平9−1677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
案内カバーの案内孔の径及びスイッチパネルの丸孔の径は、キートップを押圧可能にするためにキートップの頭部の大きさよりも大きく形成される。よって、キートップの頭部と案内カバーの案内孔の縁部及びスイッチパネルの丸孔の縁部との間には隙間が生じる。
【0006】
従って、上述した押釦スイッチ装置では、キー操作で、キートップの頭部を指で押圧する際に、例えば爪がスイッチパネルの丸孔の縁部にひっかかってしまい、スイッチパネルに凹みがついてしまったりする場合があった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、キー操作の良好性を保ちつつ、スイッチパネルの局所的な変形を防止することができるスイッチ装置及びスイッチパネル用補強部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のスイッチ装置は、キートップと、
該キートップを案内する案内孔を有するカバーと、
該カバーの表面に取り付けられ、前記案内孔を覆う樹脂フィルムからなるスイッチパネルと、を備えたスイッチ装置であって、
前記案内孔の縁部周辺に設けられるとともに、前記キートップを押圧可能な孔が形成された補強部材を有することを特徴とする。
【0009】
また、前記補強部材は、リング状であるようにしてもよい。
【0010】
また、前記補強部材は、前記案内孔の縁部と前記キートップの頭部との隙間を覆うように設けられるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、キー操作の良好性を保ちつつ、スイッチパネルの局所的な変形を防止することができるスイッチ装置及びスイッチパネル用補強部材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態に係るスイッチパネル用補強部材を備えた押釦スイッチ装置について、以下図面を参照して説明する。押釦スイッチ装置1は、図1および図2に示すように、キートップ板11と、タクトスイッチ121が設けられたスイッチ基板12と、案内カバー13と、スイッチパネル14と、ハーネス15と、スイッチパネル14の補強部材20と、目隠し板21とを備えている。
【0013】
キートップ板11には、複数のキートップ111が並設されている。キートップ111は、図3に示すように、オペレータに押圧される頭部111aと、頭部111aと一体に形成され、タクトスイッチ121を押圧する当接部111bとにより構成されている。キートップ111は、弾性部材によりキートップ板11と一体的に形成されており、キートップ板11に対して押圧方向に弾性変形可能になっており、スイッチ基板12の方向とは反対側に付勢されている。
【0014】
キートップ111の頭部111aが、オペレータにより指で押圧されることにより、当接部111bがタクトスイッチ121を押圧し、タクトスイッチ121は閉じられる。オペレータが頭部111aを離せば、付勢力により、当接部111bがスイッチ基板12とは反対側に戻り、タクトスイッチ121は開かれる。
【0015】
スイッチ基板12には、複数のタクトスイッチ121が設けられている。タクトスイッチ121は、キートップ111の位置に対応するようにスイッチ基板12上に設けられている。また、スイッチ基板12には操作対象に接続されたハーネス15が接続されている。なお、スイッチ基板12には案内カバー13を取り付けるための係合溝122が形成されている。
【0016】
案内カバー13は、キートップ111をそれぞれ案内する複数の案内孔131が形成されているとともに、キートップ111等を保護するものである。案内孔131は、キートップ111の頭部111aの径よりも大きい径を有する丸孔である。
【0017】
案内カバー13には、スイッチ基板12の係合溝122に係合する一対の係合片132が形成されている。また、案内カバー13には、複数の凸状のねじ止め部133が形成されており、ねじ30がねじ止め部133にねじ止めされることにより、案内カバー13がスイッチ基板12に固定される。
【0018】
スイッチパネル14は、各キートップ111の操作の説明等が記載されたPET(Polyethyleneterephtalate)等の樹脂フィルムからなるパネルである。スイッチパネル14には、複数のスイッチマーク141が印刷されている。スイッチマーク141は、案内カバー13の案内孔131の大きさ、位置にそれぞれ対応して印刷されている。スイッチマーク141と案内孔131の大きさはほぼ同じ大きさに印刷されている。スイッチパネル14は、案内カバー13に接着剤などにより貼付される。
【0019】
補強部材20は、スイッチパネル14のスイッチマーク141の縁部、すなわち、案内孔131とキートップ111との隙間、を保護するための部材である。押釦スイッチ装置1では、複数の補強部材20が用いられている。補強部材20は、リング状(ドーナツ状)の薄板からなるシール部材により構成されている。補強部材20は、柔軟性のある例えばPC(Polycarbonate)等の弾性材料などにより形成されている。
【0020】
補強部材20は、外径が案内孔131の内径よりも大きく形成されている。また、補強部材20の内径201は、リング状部がキートップ111と案内孔131との隙間に位置する大きさに形成され、かつ、キートップ111が隠れて押しづらくならないような大きさに形成されている。
【0021】
目隠し板21は、キートップ111及び案内孔131がそれぞれキートップ板11及び案内カバー13に形成されてはいるが用いられない位置にある場合に、スイッチパネル14からキートップ111及び案内孔131が透けて見えないようにこれらを覆い隠すための板である。また、目隠し板21は、スイッチパネル14の補強部材も兼ねる。目隠し板21は、例えば、補強部材20と同じ材質の円形の部材により構成される。
【0022】
押釦スイッチ装置1では、補強部材20がスイッチパネル14の裏面の案内孔131の縁部に貼り付けられる。目隠し板21は、スイッチパネル14の裏面の使用しないキートップ111及び案内孔131を塞ぐように貼り付けられる。この補強部材20及び目隠し板21は、これらを案内カバー13に接着し、その後にスイッチパネル14を接着してもよいし、この補強部材20及び目隠し板21が貼り付けられたスイッチパネル14を、案内カバー13に接着するようにしてもよい。
【0023】
この案内カバー13がキートップ板11を挟んでスイッチ基板12に、係合片132を係合溝122に係合させたり、ねじ止め部133にねじ30をねじ止めすること等により、固定されて、押釦スイッチ装置1は組み立てられる。
【0024】
このように本実施の形態の押釦スイッチ装置1では、オペレータがキー操作をするのに、スイッチマーク141の上からキートップ111の頭部111aを指で押圧する際に、スイッチパネル14のスイッチマーク141の縁部、すなわち、案内孔131とキートップ111の頭部111aとの隙間を極力塞ぐように補強部材20が設けられているので、オペレータの指の腹や爪などが案内孔131とキートップ111の頭部111aとの間にめり込むようなことを抑える。
【0025】
よって、スイッチパネル14が局所的に変形することを防止できる。また、補強部材20は、柔軟性のある部材により形成されているので、キー操作の良好性は保持される。
【0026】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、本実施形態では、補強部材20のリング状部の厚さを、リング状部がキートップ111の頭部111aと案内孔131との縁部との隙間に位置する大きさに形成する例について説明したが、リング状部の厚さは、キートップ111の頭部111aを押圧する操作に差し支えない程度まで厚くすることができる。例えばリング状部の厚さをキートップ111の頭部111aと案内孔131との縁部との隙間に合わせて形成することも可能である。
【0027】
また、本実施形態では、補強部材20をスイッチパネル14または案内カバー13に貼付する例について説明したが、補強部材20は必ずしもスイッチパネル14に貼り付ける必要はなく、スイッチパネル14と案内カバー13との間に挟持されるようにすればよい。
【0028】
また、本実施形態では、目隠し板21を用いる例について説明したが、必ずしも目隠し板21を用いる必要はない。
【0029】
また、本実施形態では、補強部材20が円形状である例について説明したが、案内カバー13に形成された孔が円形でなく多角形である場合には、補強部材20をその案内カバー13の孔の形状に適合した形状に形成するようにしてもよい。
【0030】
また、本実施形態では、キートップ111が複数である例について説明したが、キートップ111が単数である場合にも本発明を適用することは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係る押釦スイッチ装置の分解斜視図である。
【図2】図1に示した押釦スイッチ装置の正面図である。
【図3】図2のA−A’線での矢視断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 押釦スイッチ装置
11 キートップ板
111 キートップ
111a 頭部
111b 当接部
12 スイッチ基板
121 タクトスイッチ
13 案内カバー
131 案内孔
14 スイッチパネル
141 スイッチマーク
20 補強部材
201 内径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キートップと、
該キートップを案内する案内孔を有するカバーと、
該カバーの表面に取り付けられ、前記案内孔を覆う樹脂フィルムからなるスイッチパネルと、を備えたスイッチ装置であって、
前記案内孔の縁部周辺に設けられるとともに、前記キートップを押圧可能な孔が形成された補強部材を有することを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記補強部材は、リング状であることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記補強部材は、前記案内孔の縁部と前記キートップの頭部との隙間を覆うように設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−52976(P2007−52976A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−236377(P2005−236377)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【出願人】(396004981)セイコープレシジョン株式会社 (481)
【Fターム(参考)】