説明

スイッチ装置

【課題】 コイルばねを備えていても、回転操作性が良く、回転操作部材および押圧操作部材を円滑に回転させることができるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】 コイルばね37の外端部側に位置する押圧操作部材17の頭部23の内面に、回転操作部材18を回転させた際にコイルばね37を回転方向に滑らせる滑り部材38を配置した。従って、回転操作部材18と共に回転する押圧操作部材17がコイルばね37のばね力によって回転操作部材18から押し出される方向に向けて付勢されていても、回転操作部材18を回転操作する際に、コイルばね37が回転方向に沿って滑るので、回転操作部材18を押圧操作部材17と共に円滑に回転させることができる。このため、コイルばね37を備えていても、回転操作性が良く、回転操作部材18および押圧操作部材17を円滑に回転させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子腕時計などの電子時計に用いられるスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子腕時計においては、特許文献1に記載されているように、時刻を修正する際に、巻真を所定位置に引き出して回転させることにより、指針を運針させるスイッチ装置を備えた構成のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭50−4765号公報
【0004】
この種のスイッチ装置は、腕時計ケースにその内部と外部とに貫通して設けられたガイドパイプ内に巻真をスライドおよび回転可能な状態で取り付け、この巻真の外端部に押圧操作部を一体的に設けると共に、この押圧操作部の外周に竜頭である円筒形状の回転操作部材をスライド可能で且つ回転可能に取り付けた構成になっている。
【0005】
このようなスイッチ装置では、回転操作部材が押し込まれた通常運針状態で、押圧操作部が回転操作部材から外部に露出し、この露出した押圧操作部を押圧することにより、スイッチを動作させることができ、また時刻を修正する際に、回転操作部材を引き出すと、押圧操作部が回転操作部材内に沈み込み、この状態で回転操作部材を回転させることにより、指針を運針させることができる。
【0006】
しかしながら、このような従来のスイッチスイッチ装置では、回転操作部材が押し込まれた通常運針状態で、押圧操作部を押圧操作することができても、回転操作部材を引き出した際に、押圧操作部が回転操作部材の引出し操作に連動してスライドしないため、押圧操作部が回転操作部材内に沈み込んでしまい、スイッチ装置として、違和感が生じ、デザイン的に好ましくないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、このような問題を解消するために、回転操作部材を引き出した際に、押圧操作部を回転操作部材の引出し操作に連動してスライドさせることにより、押圧操作部が回転操作部材内に沈み込まないようにしたスイッチ装置が開発されている。このようなスイッチ装置は、回転操作部材の引出し操作に応じて押圧操作部を回転操作部材と共に移動させるためのコイルばねを備えた構成になっている。
【0008】
すなわち、このスイッチ装置では、押圧操作部を巻真から切り離した状態で巻真と連動可能に連結すると共に、押圧操作部の外端部である頭部に回転操作部材からの抜け出しを阻止するためのストッパ部を設け、この押圧操作部の頭部の内面と腕時計ケース側に位置するガイドパイプの外端面との間にコイルばねを配置し、このコイルばねのばね力によって押圧操作部に安定した押圧荷重を付与して、押圧操作部が回転操作部材内に沈み込まないように構成されている。
【0009】
しかしながら、このような構成のスイッチ装置では、押圧操作部の頭部の内面とガイドパイプの外端面との間にコイルばねを配置し、このコイルばねによって押圧操作部に安定した押圧荷重を付与して、押圧操作部が回転操作部材内に沈み込まないようにしているため、コイルばねの両端部が当接する押圧操作部の頭部の内面およびガイドパイプの外端面とにおける各当接面の摩擦抵抗が大きいと、回転操作部材を押圧操作部と共に回転させた際に、コイルばねのばね力によって回転操作部材および押圧操作部が円滑に回転しないという問題が生じる。
【0010】
この発明が解決しようとする課題は、コイルばねを備えていても、回転操作性が良く、回転操作部材および押圧操作部材を円滑に回転させることができるスイッチ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
請求項1に記載の発明は、軸方向に貫通孔が形成された回転操作部材と、この回転操作部材の前記貫通孔内に移動可能で、前記貫通孔の一方の開口から押圧操作可能で、且つ前記貫通孔の前記一方の開口から抜け出さないように設けられていると共に、前記回転操作部材を回転させた際に前記回転操作部材と共に一体的に回転する押圧操作部材と、前記回転操作部材の前記貫通孔内に配置され、前記押圧操作部材を前記一方の開口方向に向けて付勢するコイルばねと、このコイルばねにおける前記一方の開口に位置する端部および他方の開口に位置する端部の少なくとも一方が対応する箇所に設けられ、前記回転操作部材を回転させた際に前記コイルばねを回転方向に滑らせる滑り部材と、を備えていることをスイッチ装置である。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記滑り部材が、前記コイルばねにおける前記一方の開口に位置する端部および前記他方の開口に位置する端部の少なくとも一方が対応する箇所に設けられた表面処理層であることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置である。
【0013】
請求項3に記載の発明は、軸方向に貫通孔が形成された回転操作部材と、この回転操作部材の前記貫通孔内に移動可能で、前記貫通孔の一方の開口から押圧操作可能で、且つ前記貫通孔の前記一方の開口から抜け出さないように設けられていると共に、前記回転操作部材を回転させた際に前記回転操作部材と共に一体的に回転する押圧操作部材と、前記回転操作部材の前記貫通孔内に配置され、前記押圧操作部材を前記一方の開口方向に向けて付勢するコイルばねと、前記回転操作部材の前記貫通孔における他方の開口に対応して設けられ、前記押圧操作部材における前記一方の開口に対応する箇所の摩擦係数よりも低い摩擦係数を有し、前記コイルばねが弾接する受け部材と、を備えていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記押圧操作部材と機能操作部材とを間欠的に連結する連結部材を備え、この連結部材は、前記押圧操作部材が前記回転操作部材と共に前記一方の開口側に向けてスライドする際に、前記押圧操作部材のスライド距離が予め定められた距離に到達するまでは連動せず、前記スライド距離が予め定められた距離に到達した後に連動して前記機能操作部材をスライドさせ、この状態で前記押圧操作部材が押圧操作された際に、この押圧操作された押圧操作部材と連動せず、また前記押圧操作部材が前記回転操作部材によって前記他方の開口側に向けて押し込まれた状態のときに、前記押圧操作部材の押圧操作に連動して前記機能操作部材をスライドさせること特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスイッチ装置である。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、回転操作部材と共に回転する押圧操作部材がコイルばねのばね力によって回転操作部材の一方の開口方向に向けて付勢されていても、回転操作部材を回転操作する際に、コイルばねが回転方向に沿って滑るので、回転操作部材を押圧操作部材と共に円滑に回転させることができる。このため、コイルばねを備えていても、回転操作性が良く、回転操作部材および押圧操作部材を円滑に回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明を指針式の電子腕時計に適用した一実施形態を示した正面図である。
【図2】図1に示された電子腕時計のA−A矢視における要部を示した拡大断面図である。
【図3】図2に示された押圧操作部材を示し、(a)はその下側半分を断面で示した拡大正面図、(b)はその右側面図である。
【図4】図2に示された連結部材を示し、(a)はその拡大斜視図、(b)はその下側半分を断面で示した拡大正面図である。
【図5】図2に示された回転操作部材を示し、(a)はその拡大断面図、(b)はその右側面図である。
【図6】図2に示された連動パイプを示し、(a)はその下側半分を断面で示した拡大正面図、(b)はその右側面図である。
【図7】図2に示された滑り部材を示した拡大正面図である
【図8】図2に示されたスイッチ装置のB−B矢視における位置規制部材を示した要部の拡大裏面図である。
【図9】図2に示された電子腕時計のスイッチ装置においてガイドパイプに対する回転操作部材のロックを解除した状態を示した要部の拡大断面図である。
【図10】図9に示されたスイッチ装置において回転操作部材を更に引き出して時刻を修正する状態を示した要部の拡大断面図である。
【図11】図2に示されたスイッチ装置の通常運針状態において押圧操作部材を押圧操作した状態を示した要部の拡大断面図である。
【図12】図8に示された位置規制部材において巻真が引き出されて時刻を修正する状態を示した拡大平面図である。
【図13】図8に示された位置規制部材の通常運針状態において押圧操作部材が押圧操作されて巻真が押し込まれた状態を示した拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1〜図13を参照して、この発明を指針式の電子腕時計に適用した一実施形態について説明する。
この電子腕時計は、図1および図2に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1の上部開口部には、時計ガラス2がパッキン2aを介して取り付けられており、この腕時計ケース1の下部には、裏蓋3が防水リング3aを介して取り付けられている。
【0018】
また、この腕時計ケース1の内部には、図2に示すように、時計モジュール4が設けられている。この時計モジュール4は、図1および図2に示すように、ハウジング5を備えている。このハウジング5には、指針6を運針する時計ムーブメント(図示せず)と、時刻を修正するためのスイッチ装置7とが設けられている。この場合、指針6は、時針6a、分針6b、秒針6c、機能針6dを有し、これらが同一軸上に位置する各指針軸8に取り付けられ、これら各指針軸8の回転に伴って運針するように構成されている。
【0019】
また、時計モジュール4のハウジング5の上面には、図2に示すように、光透過性を有する文字板10が設けられており、この文字板10の上面には、リング状の見切部材11が設けられている。また、文字板10の下面には、外部光を受光して発電するソーラーパネル12が押え板13によって設けられている。
【0020】
さらに、時計モジュール4のハウジング5の下面には、図2に示すように、時計全体の駆動およびその制御をするための回路基板14が配置されている。また、このハウジング5は、腕時計ケース1内の下部に固定された押えリング15によって、ハウジング5の下面が押えられた状態で腕時計ケース1内に配置されている。
【0021】
一方、スイッチ装置7は、図2に示すように、巻真16と、押圧操作部材17と、回転操作部材18とを備えている。巻真16は、その内端部(図2では左端部)が時計モジュール4のハウジング5内に回転可能で且つスライド可能な状態で配置され、外端部(図2では右端部)が腕時計ケース1の側壁部1aにその内部と外部とに貫通して設けられたガイドパイプ20内に挿入されている。
【0022】
押圧操作部材17は、図2に示すように、その内端部(図2では左端部)がガイドパイプ20内において巻真16の外端部に連結部材21によって連結され、外端部(図2では右端部)が腕時計ケース1の外部に突出している。回転操作部材18は、腕時計ケース1の外部に突出した押圧操作部材17の外周部に、その軸方向に沿ってスライド可能で且つ押圧操作部材17と共に一体的に回転可能な状態で、取り付けられている。
【0023】
この場合、ガイドパイプ20は、図2に示すように、段付きパイプであり、腕時計ケース1の側壁部1a内における内側(図2では左側)に位置する部分が小径部に形成され、腕時計ケース1の側壁部1a内における外側(図2では右側)に位置する部分が中間径部に形成され、さらに腕時計ケース1の外部に突出する部分が大径部に形成されている。この場合、中間径部は、その内径および外径が、大径部よりも小さく且つ小径部よりも大きく形成されている。
【0024】
このガイドパイプ20内には、図2に示すように、押圧操作部材17が挿入されている。この押圧操作部材17は、図2および図3に示すように、その外径がガイドパイプ20の小径部の内径と同じ大きさに形成された軸部22と、この軸部22の外端部に形成されて軸部22よりも大きい径の頭部23とを備えている。
【0025】
この押圧操作部材17の軸部22は、図2に示すように、そのガイドパイプ20の中間径部に設けられて防水性を確保するための一対の防水リング24を介してガイドパイプ20内にスライド可能で且つ回転可能な状態で取り付けられている。この場合、軸部22の内部には、図2および図3に示すように、断面四角形状の第1ガイド孔22aと、断面円形状の第2ガイド孔22bとが、軸方向に沿って連続して設けられている。
【0026】
この押圧操作部材17と巻真16とを間欠的に連結する連結部材21は、図2および図4に示すように、巻真16の外端部(図2では右端部)が螺入する円筒部25と、断面四角形状の第1ガイド孔22a内にスライド可能に配置される四角形状のガイド板26と、断面円形状の第2ガイド孔22b内をスライドするガイド軸27とを備えている。
【0027】
この場合、円筒部25の内部には、図2および図4に示すように、巻真16の外端部に設けられたねじ部16aが螺入して取り付けられるねじ孔25aが設けられている。この円筒部25の外端部(図4(b)では右端面)には、四角形状のガイド板26が設けられている。このガイド板26の外端面(図4(b)では右端面)には、ガイド軸27が外部側(図4(b)では右側)に向けて突出して設けられている。
【0028】
これにより、連結部材21は、図2および図4に示すように、巻真16のねじ部16aが円筒部25のねじ孔25aに螺入することにより、巻真16に取り付けられ、この巻真16と一体的に軸方向に沿ってスライドすると共に回転するように構成されている。また、この連結部材21は、四角形状のガイド板26が押圧操作部材17の軸部22に設けられた断面四角形状の第1ガイド孔22a内をスライドすると共に、押圧操作部材17の軸部22と共に一体的に回転するように構成されている。
【0029】
この場合、押圧操作部材17の軸部22の内端部(図3(a)では左端面)には、図2および図3(a)に示すように、断面四角形状の第1ガイド孔22a内にスライド可能に配置された連結部材21の四角形状のガイド板26が第1ガイド孔22a内から抜け出すのを防ぐための抜止め突起17aが設けられている。
【0030】
また、押圧操作部材17の軸部22の第1ガイド孔22a内には、図2に示すように、ワッシャー28が抜止め突起17aと連結部材21のガイド板26との間に配置されている。さらに、この押圧操作部材17の軸部22の第2ガイド孔22b内には、図2に示すように、補助コイルばね29が配置されている。この補助コイルばね29は、その内部に連結部材21のガイド軸27が挿入した状態で、四角形状のガイド板26を腕時計ケース1の内部側(図2では左側)に向けて付勢するように構成されている。
【0031】
回転操作部材18は、図2および図5に示すように、ほぼ円筒形状に形成され、その内部に腕時計ケース1の外部に位置する押圧操作部材17およびガイドパイプ20が挿入するように構成されている。すなわち、この回転操作部材18は、図5(a)および図5(b)に示すように、その軸方向に貫通する貫通孔30が形成されている。
【0032】
この貫通孔30の外部側(図5(a)では右側)の開口には、図2および図5(a)に示すように、押圧操作部材17が貫通孔30から腕時計ケース1の外部側(図2では右側)に向けて抜け出すのを阻止する抜止め鍔部31が設けられている。また、この貫通孔30における内部側(図5(a)では左側)に位置する開口の内周面には、ガイドパイプ20の大径部に設けられた雄ねじ部32が着脱可能に螺合する雌ねじ部33が設けられている。
【0033】
また、この回転操作部材18の貫通孔30内には、図2に示すように、連動パイプ34が嵌め込まれている。この連動パイプ34は、回転操作部材18の回転を押圧操作部材17に伝達するためのものであり、回転操作部材18の貫通孔30内に固定されている。この連動パイプ34の内周面には、図6(a)および図6(b)に示すように、凹凸部34aが設けられている。これに伴って、押圧操作部材17の頭部23には、図3(b)に示すように、連動パイプ34の凹凸部34aに係合する凹凸部36aが設けられている。
【0034】
すなわち、押圧操作部材17の頭部23は、図2および図3に示すように、回転操作部材18の抜止め鍔部31内に挿入して外部に露出する操作部35と、抜止め鍔部31の内壁面に当接するストッパ部36とを有している。このストッパ部36は、その外周部に設けられた凹凸部36aが連動パイプ34の凹凸部34aに係合することにより、連動パイプ34内に軸方向に沿ってスライドすると共に、連動パイプ34と一体的に回転するように構成されている。
【0035】
これにより、押圧操作部材17は、図2に示すように、回転操作部材18の外部に露出した頭部23の操作部35が押圧操作されると、ストッパ部36の凹凸部36aが連動パイプ34の凹凸部34aに係合した状態で、連動パイプ34内を軸方向に沿ってスライドするように構成されている。また、この押圧操作部材17は、回転操作部材18の回転操作に伴って連動パイプ34が回転すると、この連動パイプ34の凹凸部34aにストッパ部36の凹凸部36aが係合していることにより、空転することなく、連動パイプ34と共に一体的に回転するように構成されている。
【0036】
また、この押圧操作部材17は、図2に示すように、コイルばね37によって回転操作部材18の貫通孔30における外端部側(図2では右側)の開口に向けて付勢されている。すなわち、このコイルばね37は、腕時計ケース1の外部に突出した押圧操作部材17の軸部22の外周に配置された状態で、押圧操作部材17の頭部23とガイドパイプ20との間に配置されている。
【0037】
この場合、コイルばね37は、その内端部(図2では左端部)がガイドパイプ20の大径部内に挿入されてガイドパイプ20の大径部と中間径部との段差部に弾接し、外端部(図2では左端部)が押圧操作部材17の頭部23の内面に滑り部材38を介して弾接するように構成されている。この滑り部材38は、図2および図7に示すように、円板状のワッシャーであり、フッ素系、ポリエチレン系などの表面摩擦抵抗が小さい滑り性を有する合成樹脂によって形成されている。
【0038】
これにより、押圧操作部材17は、図2に示すように、回転操作部材18の回転操作に伴って連動パイプ34が回転する際に、コイルばね37のばね力によって押圧操作部材17の頭部23が腕時計ケース1の外部側(図2では右側)に向けて付勢されていても、コイルばね37の外端部(図2では右端部)が滑り部材38に弾接した状態で、回転方向に沿って滑ることにより、連動パイプ34と共に円滑に回転するように構成されている。
【0039】
ところで、巻真16は、図2に示すように、時計モジュール4のハウジング5内に配置された箇所の内部側(図2では左側)に磁石40が設けられ、この磁石40が巻真16と共に回転することにより、磁石40で発生した磁界の変化を磁気センサ41で検出するほか、図8に示すように、巻真16の軸方向のスライド位置が位置規制部材42によって規制されると共に、そのスライド位置に応じてスイッチが切り替わるように構成されている。
【0040】
すなわち、ハウジング5内に位置する箇所の巻真16には、図2に示すように、その内端部側(図2では左端部側)から順に、ガイド軸部43、スライド軸部44、係合溝部45が設けられている。ガイド軸部43は、ハウジング5内に設けられたガイド孔46内にスライド可能で、且つ回転可能な状態で配置されている。
【0041】
スライド軸部44は、断面四角形状の角棒状に形成され、磁石40が軸方向に沿ってスライド可能に取り付けられていると共に、磁石40がスライド軸部44と共に一体的に回転するように構成されている。係合溝部45は、巻真16に設けられた環状の凹溝であり、位置規制部材42の後述するオシドリ47を巻真16のスライド動作に応じて回転させるように構成されている。
【0042】
磁石40は、図2に示すように、巻真16のスライド軸部44にスライド可能に取り付けられた状態で、ハウジング5によって軸方向への移動が規制されている。すなわち、この磁石40は、巻真16がスライドしても、スライド軸部44が磁石40に対してスライドすることにより、スライド軸部44の軸方向における位置がハウジング5によって規制されて常に所定位置で回転するように構成されている。
【0043】
磁気センサ41は、図2に示すように、ハウジング5の下面に設けられた回路基板14の上面に磁石40と対応して設けられている。この磁気センサ41は、2つの磁気検出素子、例えば磁気抵抗素子(MR素子:Magneto Resistance 素子)と、その出力をデジタル化するICとを1つのパッケジに収めたものであり、2つの磁気抵抗素子で磁石40の回転に伴う磁界の変化を検出して、高い(ハイ:H)、低い(ロウ:L)の2種類の検出信号を出力するように構成されている。
【0044】
すなわち、この磁気センサ41は、2つの磁気抵抗素子の設置位置が異なっていることにより、磁石40の回転に伴う磁界の変化を検出した際に、出力に位相差が生じ、この位相差によって2種類の検出信号を出力することにより、磁石40の回転を検出するように構成されている。この場合、回路基板14に組み付けられたマイコン(図示せず)は、2種類の検出信号を解析して、磁石40の回転角度(回転量)を算出するように構成されている。
【0045】
また、この磁気センサ41は、磁石40の回転方向(正回転であるか逆回転であるか)を検出すると共に、磁石40の正回転または逆回転が連続しているか否かをも検出する。これにより、回路基板14のマイコンは、磁気センサ41で検出された回転方向の検出信号により、指針6を正方向(時計回り)または逆方向(反時計回り)に回転させると共に、磁気センサ41で検出された磁石40の回転が連続しているか否かの検出信号により、回転が連続している場合に、指針6を早送りで正方向(時計回り)または逆方向(反時計回り)に回転させる。
【0046】
一方、巻真16を位置規制する位置規制部材42は、図8に示すように、オシドリ47、オシドリばね48、スイッチ板49、および押え板50を備えている。オシドリ47は、図8に示すように、平板状に形成され、ハウジング5に回転可能に取り付けられ、巻真16の軸方向への移動に応じて回転するように構成されている。すなわち、このオシドリ47は、ハウジング5に起立して設けられた支持軸52にハウジング5の面方向に回転可能に取り付けられている。
【0047】
このオシドリ47には、図8に示すように、巻真16の係合溝部45内に配置される連動アーム部47aと、オシドリばね48によって弾力的に位置規制される連動ピン47bと、スイッチ板49をオシドリ47と共に回転させる連結ピン47cとが設けられている。これにより、オシドリ47は、図8に示すように、巻真16が軸方向に移動すると、巻真16の係合溝部45の移動に伴って連動アーム部47aが揺動することにより、支持軸52を中心に回転するように構成されている。
【0048】
オシドリばね48は、図8に示すように、板ばねであり、オシドリ47の近傍に位置する箇所のハウジング5に固定され、オシドリ47の連動ピン47bを弾力的に保持して位置規制することにより、オシドリ47の回動位置を弾力的に規制して巻真16の軸方向の移動位置を規制するように構成されている。すなわち、このオシドリばね48は、図8に示すように、その先端部にオシドリ47の連動ピン47bを弾力的に保持する位置規制部51が設けられている。
【0049】
この位置規制部51には、図8に示すように、連動ピン47bを弾力的に係止する複数の係止凹部51aが設けられている。これにより、オシドリばね48は、図8に示すように、巻真16が押し込まれた第1の位置(通常運針状態)のときに、オシドリ47の連動ピン47bを位置規制部51のいずれかの係止凹部51aで弾力的に係止することにより、巻真16を第1の位置に規制するように構成されている。
【0050】
また、このオシドリばね48は、図12に示すように、巻真16が軸方向に引き出された第2の位置(時刻修正状態の位置)に移動するときに、オシドリ47が回転し、その回転に伴って連動ピン47bが回転移動して位置規制部51を弾性変形させ、この弾性変形した位置規制部51のいずれかの係止凹部51aがオシドリ47の連動ピン47bを弾力的に係止することにより、巻真16を第2の位置に規制するように構成されている。
【0051】
さらに、このオシドリばね48は、図8に示すように、巻真16が押し込まれた第1の位置(通常運針状態)から、図13に示すように、巻真16が更に押し込まれた第3の位置(他の機能状態)に移動する際に、オシドリ47の回転に伴って連動ピン47bが回転移動して位置規制部51を弾性変形させ、この弾性変形した位置規制部51がオシドリ47の連動ピン47bを弾力的に係止することにより、巻真16を第3の位置に規制するように構成されている。
【0052】
スイッチ板49は、金属板からなり、図8に示すように、オシドリ47と共に支持軸52に回転可能に取り付けられている。このスイッチ板49には、図8に示すように、回路基板14の上面に接触して摺動する接触ばね部49aが、オシドリ47の連動アーム部47aと反対側に向けて延設されている。このスイッチ板49の所定箇所には、図8に示すように、オシドリ47の連結ピン47cが挿入されている。
【0053】
これにより、スイッチ板49は、図8に示すように、接触ばね部49aの先端部が回路基板14の上面に接触した状態で、オシドリ47と共に回転移動し、この接触ばね部49aの先端部が回路基板14の上面に設けられた接点部14a、14bのいずれかに接触することにより、接触位置が切り替わるように構成されている。
【0054】
すなわち、このスイッチ板49は、図8に示すように、巻真16が第1の位置(通常運針状態)に押し込まれてオシドリ47が回転したときに、このオシドリ47と共に回転移動し、接触ばね部49aが回路基板14の上面に設けられた接点部14a、14b間に位置して、その接点部14a、14bのいずれにも接触しないことにより、通常運針モードを維持するように構成されている。
【0055】
また、このスイッチ板49は、図12に示すように、巻真16が第2の位置(時刻修正状態)に引き出されてオシドリ47が回転したときに、このオシドリ47と共に回転移動し、接触ばね部49aが回路基板14の上面に設けられた1つの接点部14aに接触することにより、通常運針モードから時刻修正モードに切り替えるように構成されている。
【0056】
さらに、このスイッチ板49は、図13に示すように、巻真16が第3の位置(他の機能状態)に押し込まれてオシドリ47が回転したときに、このオシドリ47と共に回転移動し、接触ばね部49aが回路基板14の上面に設けられた他の接点部14bに接触することにより、通常運針モードから他の機能モードに切り替えるように構成されている。
【0057】
なお、押え板50は、図8に示すように、オシドリばね48と共にハウジング5にねじ50aによって取り付けられて、オシドリばね48およびスイッチ板49を押え付けることにより、オシドリ47をハウジング5に対して押えるように構成されている。
【0058】
次に、この電子腕時計におけるスイッチ装置7の作用について説明する。
まず、スイッチ装置7の回転操作部材18を操作しない通常運針状態について説明する。この通常運針状態では、図2に示すように、回転操作部材18が腕時計ケース1に向けて押し込まれ、回転操作部材18の雌ねじ部33がガイドパイプ20の大径部の雄ねじ部32に螺着してロックされている。
【0059】
このため、押圧操作部材17は、図2に示すように、その頭部23に設けられたストッパ部36が、回転操作部材18の抜止め鍔部31に当接することにより、この回転操作部材18の抜止め鍔部31によって押圧操作部材17の頭部23が、滑り部材38を介してコイルばね37を圧縮させた状態で、腕時計ケース1の内部側に向けて押し込まれている。このため、押圧操作部材17は、その軸部22がガイドパイプ20内における腕時計ケース1の内部側に向けて押し込まれている。
【0060】
また、この状態では、図8に示すように、巻真16が位置規制部材42のオシドリ47によって第1の位置(通常運針状態)に位置規制されていると共に、この位置規制部材42のスイッチ板49が回路基板14の接点部14a、14b間に位置して、そのいずれも接触しないオフ状態になっている。
【0061】
このため、巻真16に連結された連結部材21の四角形状のガイド板26は、押圧操作部材17の軸部22に設けられた断面円形状の第2ガイド孔22b内の補助コイルばね29を圧縮させた状態で、押圧操作部材17の軸部22に設けられた断面四角形状の第1ガイド孔22a内における外端部側(図2では右端部側)に位置する内面に当接している。
【0062】
すなわち、巻真16が位置規制部材42によって第1の位置(通常運針状態)に位置規制されていることにより、この巻真16に連結された連結部材21の四角形状のガイド板26は、押圧操作部材17の軸部22に設けられた断面四角形状の第1ガイド孔22a内を補助コイルばね29のばね力に抗して相対的にスライドし、連結部材21のガイド軸27が押圧操作部材17の第2ガイド孔22b内を相対的にスライドすることにより、巻真16および連結部材21がスライドせずに、補助コイルばね29を圧縮させる。
【0063】
次に、巻真16を回転させて時刻を修正する場合について説明する。
この場合には、まず、図9に示すように、回転操作部材18を回転させて、ガイドパイプ20の大径部の雄ねじ部32に対する回転操作部材18の雌ねじ部33の螺着を解除する。このときには、回転操作部材18がそのロックを解除する回転操作に伴って腕時計ケース1から離れる方向(図9では右側)に移動するので、この回転操作部材18の移動に伴って押圧操作部材17がコイルばね37のばね力によって押し出されることにより、回転操作部材18と同じ方向にスライドする。
【0064】
また、このときには、押圧操作部材17の第2ガイド孔22b内に配置された補助コイルばね29が押圧操作部材17のスライドに応じて伸びるので、連動部材21は押圧操作部材17と共にスライドしない。すなわち、押圧操作部材17が回転操作部材18の移動に伴って押し出される方向にスライドするときには、連結部材21の四角形状のガイド板26が押圧操作部材17の軸部22に設けられた断面四角形状の第1ガイド孔22a内を相対的にスライドする。
【0065】
このため、押圧操作部材17は、その軸部22に設けられた抜止め突起17aが連結部材21の四角形状のガイド板26にワッシャー28を介して接近する。これにより、連結部材21はスライドせず、巻真16もスライドすることがない。このため、巻真16は位置規制部材42によって第1の位置(通常運針状態)に位置規制され、この位置規制部材42のスイッチ板49が回路基板14の接点部14a、14b間に位置して、そのいずれも接触しないオフ状態を維持する。
【0066】
また、このときには、回転操作部材18が回転すると、その回転に伴って押圧操作部材17が回転すると共に、連動部材21が回転するので、巻真16も回転する。このため、巻真16に設けられた磁石40が回転する。しかし、このときには、スイッチ板49がオフ状態であるから、磁気センサ41は磁石40の磁界を検出することはない。
【0067】
この状態で、図10に示すように、回転操作部材18を腕時計ケース1から離れる方向(図10では右側)に更に引き出すと、この回転操作部材18の移動に伴って押圧操作部材17がコイルばね37のばね力によって押し出されることにより、回転操作部材18と共に同じ方向にスライドする。
【0068】
このときには、押圧操作部材17の軸部22に設けられた抜止め突起17aに、巻真16に連結された連結部材21の四角形状のガイド板26が当接することにより、押圧操作部材17のスライド動作に伴って連結部材21が引き出される方向(図10では右側)に向けてスライドして巻真16を引き出す方向にスライドさせる。
【0069】
すると、図12に示すように、巻真16の係合溝部45に係合している位置規制部材42のオシドリ47が、巻真16のスライドに伴って回転し、スイッチ板49を回転させて、スイッチ板49の接触ばね部49aを1つの接点部14aに接触させる。これにより、スイッチがオン状態になり、モードが通常運針モードから時刻修正モードに切り替わる。このため、磁気センサ41がオンして巻真16に設けられた磁石40の磁界を検出可能な状態になる。
【0070】
この状態で、回転操作部材18を回転させると、これに伴って押圧操作部材17が回転し、この押圧操作部材17の回転が連結部材21のガイド板26に伝わり、この連結部材21が押圧操作部材17と共に回転し、この連結部材21の回転によって巻真16が回転する。すると、巻真16と共に磁石40が回転するので、この磁石40の回転に伴う磁界の変化を磁気センサ41で検出し、その検出結果に基づいて指針6を運針させて時刻を修正する。
【0071】
この状態のときに、押圧操作部材17を外部から押圧操作しても、スイッチ板49は動作せず、スイッチが切り替わることはない。すなわち、回転操作部材18の回転操作中に誤って押圧操作部材17を外部から押圧操作した際には、巻真16に連結された連結部材21の四角形状のガイド板26が、押圧操作部材17の軸部22に設けられた断面四角形状の第1ガイド孔22a内を相対的にスライドして、押圧操作部材17の軸部22に設けられた抜止め突起17aが連結部材21の四角形状のガイド板26から離れる。
【0072】
このため、連結部材21はスライドせず、巻真16もスライドすることがないので、図12に示すように、巻真16は位置規制部材42によって第2の位置(時刻修正状態)に規制された状態を維持すると共に、スイッチ板49の接触ばね部49aが回路基板14の1つの接点部14aに接触したオン状態を維持する。
【0073】
次に、このスイッチ装置7の押圧操作部材17を押圧操作して他の機能に切り替え、指針6の機能針6dを運針させる場合について説明する。
この場合には、図2に示したように、スイッチ装置7の回転操作部材18が操作できない通常運針状態にロックする。すなわち、回転操作部材18を腕時計ケース1側に押し込んで、回転操作部材18の雌ねじ部33をガイドパイプ20の大径部の雄ねじ部32に螺着させてロックする。
【0074】
この状態では、巻真16が位置規制部材42のオシドリ47によって第1の位置(通常運針状態)に位置規制され、この位置規制部材42のスイッチ板49が回路基板14の接点部14a、14b間に位置して、そのいずれも接触しないオフ状態になる。また、このときには、押圧操作部材17の頭部23に設けられたストッパ部36がコイルばね37のばね力によって回転操作部材18の抜止め鍔部31に当接すると共に、巻真16に連結された連結部材21の四角形状のガイド板26が、押圧操作部材17の軸部22に設けられた断面四角形状の第1ガイド孔22a内における内面に当接した状態になる。
【0075】
このような通常運針状態において、押圧操作部材17が外部から押圧操作されると、図11に示すように、押圧操作部材17がコイルばね37のばね力に抗して腕時計ケース1の内部側(図11では左側)に向けてスライドする。すると、押圧操作部材17の第1ガイド孔22a内における内面が連結部材21の四角形状のガイド板26を押圧するので、押圧操作部材17のスライドに伴って連結部材21が腕時計ケース1の内部側に向けてスライドし、この連結部材21によって巻真16が押し込まれる。
【0076】
すると、巻真16の係合溝部45に係合している位置規制部材42のオシドリ47が、巻真16のスライドに伴って回転し、スイッチ板49を回転させる。このため、図13に示すように、スイッチ板49の接触ばね部49aが他の接点部14bに接触してオン状態になり、スイッチが通常運針モードから他の機能モードに切り替わる。このため、磁気センサ41がオンして巻真16に設けられた磁石40の磁界を検出可能な状態になる。
【0077】
この状態で、回転操作部材18を回転させると、これに伴って押圧操作部材17が回転し、この押圧操作部材17の回転が連結部材21のガイド板26に伝わり、この連結部材21が押圧操作部材17と共に回転し、この連結部材21の回転によって巻真16が回転する。すると、巻真16と共に磁石40が回転するので、この磁石40の回転に伴う磁界の変化を磁気センサ41で検出する。このときには、その検出結果に基づいて他の機能モードである指針6の機能針6dを運針させる。
【0078】
このように、この電子腕時計のスイッチ装置7によれば、軸方向に貫通孔30が形成された回転操作部材18と、この回転操作部材18の貫通孔30内に移動可能で、貫通孔30の一方の開口である外端部側から押圧操作可能で、且つ貫通孔30の外端部側から抜け出さないように設けられていると共に、回転操作部材18を回転させた際に回転操作部材18と共に一体的に回転する押圧操作部材17と、回転操作部材18の貫通孔30内に配置され、押圧操作部材17を外端部側に向けて付勢するコイルばね37と、を備えているので、回転操作部材18のスライド動作に応じて押圧操作部材17を間欠的に連動させてスライドさせることができる。
【0079】
すなわち、このスイッチ装置7では、回転操作部材18を引き出した際に、コイルばね37のばね力によって押圧操作部材17を回転操作部材18の引出し操作に連動させてスライドさせることができるので、押圧操作部17が回転操作部材18内に沈み込まないようにすることができ、これによりスイッチ装置7として、違和感が生じることがなく、デザイン的に好ましいものを得ることができる。
【0080】
また、このスイッチ装置7によれば、滑り部材38が、コイルばね37における外端部側に位置する端部および内端部側に位置する端部のうち、外端部側に位置する端部が当接する箇所である押圧操作部材17の頭部23における内面に設けられ、回転操作部材18を回転させた際に、滑り部材38がコイルばね37を回転方向に滑らせる構成であるから、回転操作部材18と共に回転する押圧操作部材17がコイルばね37のばね力によって回転操作部材18の外端部側に向けて付勢されていても、コイルばね37が滑り部材38によって回転方向に沿って滑ることにより、回転操作部材18を回転操作する際に、回転操作部材18を押圧操作部材17と共に円滑に回転させることができる。このため、コイルばね37を備えていても、回転操作性が良く、回転操作部材18および押圧操作部材17を円滑に回転させることができる。
【0081】
さらに、このスイッチ装置7によれば、押圧操作部材17と機能操作部材である巻真16とを間欠的に連結する連結部材21を備えており、この連結部材21は、押圧操作部材17が回転操作部材18と共に外端部側に向けてスライドする際に、押圧操作部材17のスライド距離が予め定められた距離に到達するまでは連動せず、スライド距離が予め定められた距離に到達した後に連動して巻真16をスライドさせ、この状態で押圧操作部材17が押圧操作された際に、この押圧操作部材17と連動してスライドしない構成であるから、回転操作部材18を引き出した時刻修正状態で回転操作させて時刻を修正している際に、誤って押圧操作部材17を押圧操作しても、連結部材21が巻真16をスライドさせることがなく、スイッチを不用意に切り替えてしまうのを防ぐことができる。
【0082】
また、この連結部材21は、押圧操作部材17が回転操作部材18によって内端部側に向けて押し込まれた通常運針状態のときに、押圧操作部材17の押圧操作に連動して巻真16をスライドさせる構成であるから、押圧操作部材17が回転操作部材18によって内端部側に向けて押し込まれた通常運針状態で、押圧操作部材17を押圧操作すると、巻真16がスライドして、通常運針モードから他の機能モードに確実に且つ良好に切り替えることができる。
【0083】
なお、上述した実施形態では、コイルばね37の外端部側が対応する押圧操作部材17における頭部23の内面に滑り部材38を配置した場合について述べたが、これに限らず、コイルばね37の内端部側が対応するガイドパイプ20における大径部と中間径部との段差部に滑り部材38を配置しても良い。また、これに限らず、滑り部材38は、コイルばね37の外端部側が対応する押圧操作部材17における頭部23の内面と、コイルばね37の内端部側が対応するガイドパイプ20の段差部との両方に配置しても良い。
【0084】
また、上述した実施形態では、コイルばね37の外端部側が対応する押圧操作部材17における頭部23の内面にワッシャー形状の滑り部材38を配置した場合について述べたが、滑り部材38は必ずしもワッシャー形状である必要はなく、例えば、コイルばね37の外端部側が対応する押圧操作部材17における頭部23の内面に設けられたテフロン(登録商標)層やめっき層などの摩擦抵抗の小さい表面処理層であっても良い。
【0085】
この場合にも、表面処理層は、コイルばね37の内端部側が対応するガイドパイプ20における大径部と中間径部との段差部に設けた構成でも良く、またコイルばね37の外端部側が対応する押圧操作部材17の頭部23の内面と、コイルばね37の内端部側が対応するガイドパイプ20の段差部との両方に設けた構成であっても良い。
【0086】
さらに、上述した実施形態では、コイルばね37の外端部側が対応する押圧操作部材17における頭部23の内面に滑り部材38を配置した場合について述べたが、必ずしも滑り部材38を設ける必要はなく、例えばコイルばね37の内端部側が対応する受け部材であるガイドパイプ20を、コイルばね37の外端部側が対応する押圧操作部材17の摩擦係数よりも小さい摩擦係数を有するフッ素系やポリエチレン系などの滑り性を有する合成樹脂で形成しても良い。また、これに限らず、コイルばね37の外端部側が対応する押圧操作部材17も、摩擦係数の小さいフッ素系やポリエチレン系などの滑り性を有する合成樹脂で形成しても良い。
【0087】
なおまた、上述した実施形態およびその各変形例では、指針式の電子腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも電子腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の指針式の電子時計に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 腕時計ケース
4 時計モジュール
5 ハウジング
6 指針
7 スイッチ装置
16 巻真
17 押圧操作部材
17a 抜止め突起
18 回転操作部材
20 ガイドパイプ
21 連結部材
22 押圧操作部材の軸部
22a 第1ガイド孔
22b 第2ガイド孔
23 押圧操作部材の頭部
25 連結部材の円筒部
26 連結部材のガイド板
27 連結部材のガイド軸
30 回転操作部材の貫通孔
31 抜止め鍔部
34 連動パイプ
35 押圧操作部材の操作部
36 押圧操作部材のストッパ部
37 コイルばね
38 滑り部材
40 磁石
41 磁気センサ
42 位置規制部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に貫通孔が形成された回転操作部材と、
この回転操作部材の前記貫通孔内に移動可能で、前記貫通孔の一方の開口から押圧操作可能で、且つ前記貫通孔の前記一方の開口から抜け出さないように設けられていると共に、前記回転操作部材を回転させた際に前記回転操作部材と共に一体的に回転する押圧操作部材と、
前記回転操作部材の前記貫通孔内に配置され、前記押圧操作部材を前記一方の開口方向に向けて付勢するコイルばねと、
このコイルばねにおける前記一方の開口に位置する端部および他方の開口に位置する端部の少なくとも一方が対応する箇所に設けられ、前記回転操作部材を回転させた際に前記コイルばねを回転方向に滑らせる滑り部材と、
を備えていることをスイッチ装置。
【請求項2】
前記滑り部材は、前記コイルばねにおける前記一方の開口に位置する端部および前記他方の開口に位置する端部の少なくとも一方が対応する箇所に設けられた表面処理層であることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
軸方向に貫通孔が形成された回転操作部材と、
この回転操作部材の前記貫通孔内に移動可能で、前記貫通孔の一方の開口から押圧操作可能で、且つ前記貫通孔の前記一方の開口から抜け出さないように設けられていると共に、前記回転操作部材を回転させた際に前記回転操作部材と共に一体的に回転する押圧操作部材と、
前記回転操作部材の前記貫通孔内に配置され、前記押圧操作部材を前記一方の開口方向に向けて付勢するコイルばねと、
前記回転操作部材の前記貫通孔における他方の開口に対応して設けられ、前記押圧操作部材における前記一方の開口に対応する箇所の摩擦係数よりも低い摩擦係数を有し、前記コイルばねが弾接する受け部材と、
を備えていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項4】
前記押圧操作部材と機能操作部材とを間欠的に連結する連結部材を備え、この連結部材は、前記押圧操作部材が前記回転操作部材と共に前記一方の開口側に向けてスライドする際に、前記押圧操作部材のスライド距離が予め定められた距離に到達するまでは連動せず、前記スライド距離が予め定められた距離に到達した後に連動して前記機能操作部材をスライドさせ、この状態で前記押圧操作部材が押圧操作された際に、この押圧操作された押圧操作部材と連動せず、また前記押圧操作部材が前記回転操作部材によって前記他方の開口側に向けて押し込まれた状態のときに、前記押圧操作部材の押圧操作に連動して前記機能操作部材をスライドさせること特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスイッチ装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−163899(P2011−163899A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26479(P2010−26479)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】