説明

スイッチ装置

【課題】複数のスイッチ機能を備える小型のスイッチ装置を提供すること。
【解決手段】ロータリスイッチ機構を操作する回転ノブ2,3の中央に、プッシュスイッチ機構を操作する操作ノブ4を設けたスイッチ装置1において、前記操作ノブ4の操作によって軸方向に摺動するスライダ9と、前記操作ノブ2,3の操作位置を保持するカム機構を前記スライダ9と共に構成するカム部を一面側に備える第1のベース部材12と、前記スライダ9の摺動に連動して切り替えられるスイッチ回路を一面側に備える第2のベース部材13とを備え、前記スライダ9を前記第1及び第2のベース部材12,13の相対向する一面側によって挟まれる空間に配置するとともに、前記回転ノブ2,3の操作によって回転するロータ5,6によって切り替えられるスイッチ回路を前記第1及び第2のベース部材12,13の各他面側にそれぞれ設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリスイッチ機構とプッシュスイッチ機構を複合して1つのボディに内蔵して成るスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のヘッドランプやサイドランプを点灯させるための複数のスイッチ機能が備えられているコンビネーションスイッチには、ロータリスイッチ機構とプッシュスイッチ機構を複合して1つのボディ(スイッチケース)に内蔵して成るものがある。特にトラクタ等の農業機械に採用されるコンビネーションスイッチには、自動車に採用されるものよりもコンパクトな構造とすることが望まれている。
【0003】
ところで、トラクタ等の農業機械も一般の公道を走行するため、これに使用されるコンビネーションスイッチにもハザードランプ機能を設定する必要があるが、ハザードランプスイッチはサイドランプを同時に点滅させる必要があるためにスイッチ機構が複雑となり、従って、従来はプッシュスイッチを別個に設ける構成が採用されていた。
【0004】
スイッチ装置に関して、例えば特許文献1には、作動軸と共に回動するロータに保持された接点板と第1のターミナルベースの接点によって間欠駆動と低速駆動及び高速駆動の切替位置を選択する3つの切替スイッチを形成するとともに、ロータの接点板と第1のターミナルベースの抵抗膜によって可変抵抗を形成し、第2のターミナルベースの接点と操作軸の押圧部によって押圧される可動体に保持された接点板によってウォッシャスイッチを形成することによって小型化を図ったワイパースイッチのような複合スイッチの構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平7−043905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来のコンビネーションスイッチのプッシュスイッチは、モーメンタリ型(自動復帰型)の1回路のスイッチ機構によるホーンスイッチとして使用されるものが多く、大きなスペースは不要である反面、ホーンスイッチをハザードランプスイッチに変更しようとすると、オルタネイト型(位置保持型、プッシュオン・プッシュオフ型)の2回路のスイッチ機構とする必要があった。このため、そのままの構造ではスイッチ装置を成立させることが難しく、構成を大きく変更する必要があるとともに、スイッチ装置が全体的に大型化してしまい、コンビネーションスイッチとして複合化するには適していなかった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、複数のスイッチ機能を備える小型のスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
ロータリスイッチ機構を操作する回転ノブの中央に、プッシュスイッチ機構を操作する操作ノブを設けたスイッチ装置において、
前記操作ノブの操作によって軸方向に摺動するスライダと、
前記操作ノブの操作位置を保持するカム機構を前記スライダと共に構成するカム部を一面側に備える第1のベース部材と、
前記スライダの摺動に連動して切り替えられるスイッチ回路を一面側に備える第2のベース部材とを備え、
前記スライダを前記第1及び第2のベース部材の相対向する一面側によって挟まれる空間に配置するとともに、前記回転ノブの操作によって回転するロータによって切り替えられるスイッチ回路を前記第1及び第2のベース部材の各他面側にそれぞれ設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記スライダと前記第1及び第2のベース部材を収容するスライドベースを設け、該スライドベース内の前記第1及び第2のベース部材の他面側とスライドベース内面との間に、前記ロータによって軸直角方向に摺動するスライド部材を配置したことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、同軸上に相対回転可能に配された第1及び第2の回転ノブによってそれぞれ回転する第1及び第2のロータを前記スライドベースの外部に同軸的且つ相対回転可能に配置するとともに、該第1及び第2のロータの回転に連動してそれぞれ軸直角方向に摺動する第1及び第2のスライド部材を前記スライドベース内に収容し、該スライドベースに、前記第1及び第2のロータと前記第1及び第2のスライド部材とをそれぞれ接続するための開口部を形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記操作ノブと前記スライダとを連結する操作ロッドを前記第1のロータ内に軸方向に移動可能に挿通保持するとともに、前記第2のロータを回転可能に軸支する軸筒部を前記第1のロータに設け、前記操作ノブと前記第1及び第2のロータを同軸上に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、プッシュ操作されるスライダを2つのベース部材の間に配置することによって、該スライダを操作位置に保持するためのカム機構を効率良く配置することができるため、構造の大型化を招くことなくオルタネイト型のプッシュスイッチ機構を構成することができる。
【0013】
又、第1及び第2のスライド部材にスイッチ回路の配置面を大きく取ることができるため、例えばスイッチ装置を車両用として使用する場合には、ハザードスイッチ等のように2つのサイドランプを点滅させる回路を2つ配置することが可能である。
【0014】
更に、第1及び第2のベース部材の他面側を利用して、回転ノブによって切り替えられるスライドスイッチを構成することができ、複数のスイッチ機能を備えたスイッチ装置の小型化を図ることができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、スライダとベース部材及びスライド部材の全てをスライドベース内に収容してこれらをサブ組みすることができるため、スライド部材とロータとの接続が容易化して組付性が高められる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、第1及び第2の回転ノブと第1及び第2のロータを同軸的にコンパクトに配置したため、スイッチ装置の小型化が図られる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、操作ノブの操作力をスライダに伝達する操作ロッドを第1のロータ内に挿通保持するとともに、第1のロータの軸筒部で第2のロータを回転可能に軸支し、操作ノブと第1及び第2のロータを同軸上に配置したため、スイッチ装置の径方向寸法を小さく抑えてその小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るスイッチ装置の縦断面図である。
【図2】本発明に係るスイッチ装置の分解斜視図である。
【図3】本発明に係るスイッチ装置の第1の回転ノブの操作系の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明に係るスイッチ装置の第2の回転ノブの操作系の構成を示す斜視図である。
【図5】本発明に係るスイッチ装置のスライダを示す図であって、(a)は内面図、(b)は外面図、(c)は(a)のA−A線断面図である。
【図6】本発明に係るスイッチ装置の第1のベース部材を示す図であって、(a)は内面図、(b)は外面図、(c)は(b)のB−B線断面図である。
【図7】本発明に係るスイッチ装置の第2のベース部材を示す図であって、(a)は内面図、(b)は外面図、(c)は(b)のC−C線断面図である。
【図8】本発明に係るスイッチ装置のスライドベースを示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のD−D線断面図である。
【図9】本発明に係るスイッチ装置の第1のロータを示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は(b)のE−E線断面図である。
【図10】本発明に係るスイッチ装置の第2のロータを示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は(b)のF−F線断面図である。
【図11】本発明に係るスイッチ装置の第1及び第2の回転ノブの操作角度を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は本発明に係るスイッチ装置の縦断面図、図2は同スイッチ装置の分解斜視図、図3は第1の回転ノブの操作系の構成を示す斜視図、図4は第2の回転ノブの操作系の構成を示す斜視図、図5はスライダを示す図であって、(a)は内面図、(b)は外面図、(c)は(a)のA−A線断面図、図6は第1のベース部材を示す図であって、(a)は内面図、(b)は外面図、(c)は(b)のB−B線断面図、図7は第2のベース部材を示す図であって、(a)は内面図、(b)は外面図、(c)は(b)のC−C線断面図、図8はスライドベースを示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のD−D線断面図、図9は第1のロータを示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は(b)のE−E線断面図、図10は第2のロータを示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は(b)のF−F線断面図、図11は第1及び第2の回転ノブの操作角度を示すスイッチ装置の平面図である。
【0021】
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、ハザードスイッチ機能とライトスイッチ機能及びフラッシャスイッチ機能の3つの機能を備えたコンビネーションスイッチであって、例えばトラクタ等の農業用機械に設置されるものである。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態に係るスイッチ装置1は、同軸上に配された上下2段の第1回転ノブ2と第2の回転ノブ3及び第1の回転ノブ2の中央に配された操作ノブ4を備えており、第1の回転ノブ2と第2の回転ノブ3は同軸上に配された第1のロータ5と第2のロータ6の各上端部に結着されている。又、操作ノブ4は押圧操作されるものであって、その中心部から下方に向かって垂直に延びる操作ロッド(プッシュロッド)7はボディ8内に収容されたスライダ9に連結されている。
【0023】
上記ボディ8は二重筒状に成形され、その上面の中心部には円筒部8aが上方に向かって一体に立設され、該ボディ8の下面の開口部はカバー10によって塞がれており、カバー10の中央には下方に向かって延びる角筒状のコネクタ接続部10aが一体に形成されている。そして、ボディ8内には、略有底筒状のスライドベース11がボディ8の内壁に嵌合する状態で収容されており、図8に示すように、スライドベース8の上壁の略中心部には矩形のスライド挿入孔11aが形成され、その両側には矩形の開口部11bがそれぞれ形成されている。
【0024】
図1に示すように、上記スライドベース11内の略中央には、前記操作ロッド7の下端に連結された前記スライダ9がスライドベース11の前記スライド挿入孔11aを貫通して上下動可能に収容されており、その両側には図1の紙面垂直方向に長い第1ベース部材12と第2のベース部材13が配され、これらの第1及び第の2ベース部材12,13の外側であって、スライドベース11の内面部との間には第1のスライド部材14と第2のスライド部材15が図1の紙面垂直方向に摺動可能に配されている。
【0025】
上述のようにスライドベース11内には、スライダ9、第1及び第2のベース部材12,13、第1及び第2のスライド部材14,15が収容されているが、スライダ9は、第1及び第2のベース部材12,13の相対向する内面によって挟まれる空間に配置されている。そして、このスライダ9と操作ロッド7及び操作ノブ4は、スライダ9とカバー10との間に縮装されたスプリング16によって常時上方に付勢されている。
【0026】
ここで、上記スライダ9の第1のベース部材12の内面に対向する側には、図5(b)に示すように、軸17に巻装されたカムスプリング18が設けられており、このカムスプリング18の一端は当該スライダ9に係止され、他端(自由端)は第1のベース部材12側に向かって屈曲する係合部18a(図5(c)参照)を構成している。又、スライダ9の第2のベース部材13の内面に対向する面には、図5(a),(c)に示すように、3つのフラッシャ用端子19が横方向に適当な間隔で配置されている。
【0027】
又、前記第1のベース部材12のスライダ9に対向する内面には、図6(a)に示すように、カム部であるカム溝12aが形成されており、このカム溝にはスライダ9に設けられた前記カムスプリング18の係合部18aが係合している。これらのカムスプリング18とカム溝12aは、操作ノブ4の操作位置を保持するカム機構を構成しており、このカム機構によってオルタネイト型(プッシュオン・プッシュオフ型)のプッシュスイッチ機構が構成されている。即ち、操作ノブ4を一度押すと、該操作ノブ4は押し込まれた位置に保持され、次に操作ノブ4を押すと該操作ノブ4はスプリング16の付勢力によって元の位置に戻る。
【0028】
そして、第1のベース部材12の第1のスライド部材14に対向する外面には、図6(b)に示すように、第1のスライド部材14の摺動に連動して切り替えられるライトスイッチ回路20が設けられている。尚、このライトスイッチ回路20は、不図示のヘッドランプの点灯のON/OFF、Hiビーム及びLoビームの切り替えを行うためのものである。
【0029】
前記第2のベース部材13のスライダ9に対向する内面には、図7(a)に示すように、スライダ9の上下の摺動に連動して切り替えられるハザードスイッチ回路21が設けられている。又、第2のベース部材13の第2のスライド部材15に対向する外面には、図7(b),(c)に示すように、第2のスライド部材15の軸直角方向の摺動に連動して切り替えられるフラッシャスイッチ回路22が設けられている。尚、フラッシャスイッチ回路22は、不図示の左右のフラッシャランプの一方を選択的に点滅させるためのものである。
【0030】
ところで、図1及び図2に示すように、第1の回転ノブ2の内部には、該第1の回転ノブ2と共に一体に回転するノブベース23が設けられており、該ノブベース23の中心部に垂直に立設された円筒部23aの外周には操作ノブ4が上下動可能に嵌合している。そして、第1の回転ノブ2とノブベース23によって画成される空間内には蛇腹状の防水カバー24が配置されており、この防水カバー24の上端内周部は操作ノブ4の外周に形成された凹溝4aに嵌着され、該防水カバー24の下端外周に形成された鍔部24aはノブベース23の内底面上に載置され、操作ノブ4の上壁内面から下方に向かって形成された円筒状の押圧リブ4bによってノブベース23の内底面に密着されている。
【0031】
而して、前記第1のロータ5は、ノブベース23の円筒部23aの内部に挿通嵌着され、その上端部外周には前述のように操作ノブ4が上下動可能に嵌合しているが、この嵌合部は防水カバー24によって覆われてシールされているため、該嵌合部からの水の侵入が防がれる。尚、図1において、25はシール部材としてのOリングである。
【0032】
次に、第1及び第2のロータ5,6の構成について説明する。
【0033】
図1に示すように、第1のロータ5と第2のロータ6は、スライドベース11の外部において同軸上に相対回転可能に配置されており、第1のロータ5は、図9に示すように、上下方向に延びる円筒状の軸筒部5Aと、該軸筒部5Aの下端に形成されたクランク状のアーム部5Bとで構成されており、軸筒部5Aの内部には操作ロッド7が挿通している(図1参照)。
【0034】
第1のロータ5の上記アーム部5Bの上面には波形の複数の係合溝5aが形成され、下面にはピン5bが垂直下方に向かって一体に突設されている。図1に示すように、第1のロータ5のアーム部5Bはボディ8内に収容されており、該アーム部5Bに形成された係合溝5aの1つには、スプリング26によって付勢されたスチールボール27が係合している。ここで、係合溝5aとこれに係合するスチールボール27及び該スチールボール27を付勢するスプリング26はクリック機構を構成しており、このクリック機構によって第1の回転ノブ2の回転にクリック感が付与される。
【0035】
又、図3に示すように、第1のロータ5のアーム部5Bに形成された前記ピン5bは、図8に示すスライドベース11に形成された開口部11bを貫通してスライドベース11内に臨んでおり、このピン5bは、スライドベース11の内部に収容された前記第1のスライド部材14の上面に平行に立設された一対のガイドリブ14a間に係合している。これによって第1の回転ノブ5によって操作される第1のロータ5の回転は、第1のスライド部材14の軸直角方向の直線的な摺動に変換される。
【0036】
他方、第2のロータ6は、図10に示すように、上下方向に延びる円筒部6Aと、該円筒部6Aの下端に形成されたクランク状のアーム部6Bとで構成されている。ここで、第2のロータ6の円筒部6Aは第1のロータ5の軸筒部5Aよりも大径であって、その内部に第1のロータ5が挿通することによって第2のロータ6が第1のロータ5の軸筒部5Aによって回転可能に軸支されている(図1参照)。
【0037】
第2のロータ6の上記アーム部6Bの上面には波形の複数の係合溝6aが形成され、下面にはピン6bが垂直下方に向かって一体に突設されている。図1に示すように、第2のロータ6のアーム部6Bはボディ8内に収容されており、該アーム部8Bに形成された係合溝6aの1つには、スプリング28によって付勢されたスチールボール29が係合している。ここで、係合溝6aとこれに係合するスチールボール29及び該スチールボール29を付勢するスプリング28はクリック機構を構成しており、このクリック機構によって第2の回転ノブ3の回転にクリック感が付与される。
【0038】
又、図4に示すように、第2のロータ6のアーム部6Bに形成された前記ピン6bは、図8に示すスライドベース11に形成された開口部11bを貫通してスライドベース11内に臨んでおり、このピン6bは、スライドベース11の内部に収容された前記第2のスライド部材15の上面に平行に立設された一対のガイドリブ15a間に係合している。これによって第2の回転ノブ3によって操作される第2のロータ6の回転は、第2のスライド部材15の軸直角方向の直線的な摺動に変換される。即ち、本実施の形態に係るスイッチ装置1では、第1及び第2のベース部材12,13のプッシュスイッチ機構の反対の面にライトスイッチ回路20とフラッシャスイッチ回路22を配置し、プッシュスイッチ機構とは直交する方向に直線的に摺動するスライドスイッチ機構により、第1の回転ノブ2と第2の回転ノブ3によるスイッチ機構を構成している。そのため、ボディ8の平面方向に第1の回転ノブ2によるロータリスイッチ機構と、第2の回転ノブ3によるロータリスイッチ機構をそれぞれ設けるよりも、ハザードスイッチ回路21によって形成されるスペースを利用して、ライトスイッチ回路20とフラッシャスイッチ回路22の配置面を効率的に形成することができる。従って、複数のスイッチ回路を集約して配置することができるため、ボディ8を小型化することが可能となる。
【0039】
尚、図1に示すように、ボディ8の上部に立設された円筒部8aの外周には取付用ナット30が螺合しており、この取付用ナット30を締め付けることによって当該スイッチ装置1を所定の箇所に取り付けることができる。
【0040】
次に、以上のように構成されたスイッチ装置1の作用について説明する。
【0041】
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、前述のようにハザードスイッチ機能とライトスイッチ機能及びフラッシャスイッチ機能の備えるものであって、例えばハザードランプを点滅させるには、操作ノブ4を1回だけ押し込む。すると、操作ノブ4の押し込みは操作ロッド7を経てスライダ9に伝達され、該スライダ9がスプリング16の付勢力に抗して下方へと摺動し、これらの操作ノブ4と操作ロッド7及びスライダ9がカム機構によってその位置に保持され、スライダ9に設けられたフラッシャ用端子19(図5(a),(b)参照)が第2のベース部材13の内面に設けられたフラッシャスイッチ回路22と導通してハザードランプを点滅させる。
【0042】
そして、上記状態から操作ノブ4を再度押し込むと、カム機構の作用によって該操作ノブ4と操作ロッド7及びスライダ9がスプリング16の付勢力によって上動して図1に示す元の位置に戻されるため、スライダ9に設けられたフラッシャ用端子19と第2のベース部材15の内面に設けられたフラッシャスイッチ回路22との導通が遮断され、ハザードランプの点滅が停止される。
【0043】
又、第1の回転ノブ2を回すと、第1のロッド5が一体的に回転し、その回転は前述のように第1のスライド部材14の軸直角方向(図1の紙面垂直方向)の摺動に変換されるため、該第1のスライド部材14の摺動によって第1のベース部材12の外面に設けられたライトスイッチ回路20が切り替えられ、前述のようにヘッドランプの点灯のON/OFF、Hiビーム及びLoビームの切り替えが行われる。即ち、第1の回転ノブ2が図11に示すOFF位置にあるときにはヘッドランプが消灯され、第1の回転ノブ2をOFF位置から図11の時計方向に図示の角度α(本実施の形態では30°)だけ回すとヘッドランプがLoビームに切り替えられ、そこから更に角度αだけ時計方向に回すとヘッドランプがHiビームに切り替えられる。尚、前述のように第1の回転ノブ2の回転にはクリック機構によってクリック感が付与される。
【0044】
他方、第2の回転ノブ3を回すと、第2のロッド6が第1のロッド5の軸筒部5Aを中心として一体的に回転し、その回転は前述のように第2のスライド部材15の軸直角方向(図1の紙面垂直方向)の摺動に変換されるため、該第2のスライド部材15の摺動によって第2のベース部材15の外面に設けられたフラッシャスイッチ回路22が切り替えられ、左右のフラッシャランプの点滅が切り替えられる。即ち、第2の回転ノブ3を中立位置Nから図11に示す角度β(本実施の形態では20°)だけ時計方向にR位置まで回すと右側のフラッシャランプが点滅し、中立位置Nから角度βだけ反時計方向にL位置まで回すと左側のフラッシャランプが点滅する。尚、前述のように第2の回転ノブ3の回転にもクリック機構によってクリック感が付与される。
【0045】
以上において、本実施の形態では、プッシュ操作されるスライダ9を2つに分割された第1及び第2のベース部材12,13の間の空間に配置するようにしたため、該スライダ9を操作位置に保持するためのカム機構を効率良く配置することができ、構造の大型化を招くことなくオルタネイト型のプッシュスイッチ機構を構成することができる。
【0046】
又、第1及び第2のスライド部材14,15にライトスイッチ回路20とフラッシャスイッチ回路22の配置面を大きく取ることができるため、例えばスイッチ装置1を車両用として使用する場合には、ハザードスイッチ等のように2つのサイドランプを点滅させる回路を2つ配置することが可能となる。
【0047】
更に、第1及び第2のベース部材12,13の外面を利用して、第1及び第2の回転ノブ2,3によってそれぞれ切り替えられるライトスイッチとフラッシャスイッチを構成することができるため、複数のスイッチ機能を備えたスイッチ装置1の小型化を図ることができる。
【0048】
又、本実施の形態では、スライダ9、第1及び第2のベース部材12,13、第1及び第2のスライド部材14,15の全てをスライドベース11内に収容してこれらをサブ組みすることができるため、第1及び第2のスライド部材14,15と第1及び第2のロータ5,6との接続が容易化して組付性が高められる。そして、本実施の形態では、第1及び第2の回転ノブ2,3と第1及び第2のロータ5,6を同軸的にコンパクトに配置したため、スイッチ装置1の小型化が図られる。
【0049】
更に、本実施の形態では、操作ノブ4の操作力をスライダ9に伝達する操作ロッド7を第1のロータ5内に挿通保持するとともに、第1のロータ5の軸筒部5Aで第2のロータ6を回転可能に軸支し、操作ノブ4と第1及び第2のロータ5,6を同軸上に配置する構成を採用したため、スイッチ装置1の径方向寸法を小さく抑えてその小型化を図ることができるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0050】
1 スイッチ装置
2 第1の回転ノブ
3 第2の回転ノブ
4 操作ノブ
4a 操作ノブの凹溝
4b 操作ノブの押圧リブ
5 第1のロータ
5A 第1のロータの軸筒部
5B 第1のロータのアーム部
5a 第1のロータの係合溝
5b 第1のロータのピン
6 第2のロータ
6A 第2のロータの円筒部
6B 第2のロータのアーム部
6a 第2のロータの係合溝
6b 第2のロータのピン
7 操作ロッド
8 ボディ
8a ボディの円筒部
9 スライダ
10 カバー
10a カバーのコネクタ接続部
11 スライドベース
11a スライドベースのスライド挿入孔
11b スライドベースの円筒部
12 第1のベース部材
12a 第1のベース部材のカム溝
13 第2のベース部材
14 第1のスライド部材
14a 第1のスライド部材のガイドリブ
15 第2のスライド部材
15a 第2のスライド部材のガイドリブ
16 スプリング
17 軸
18 カムスプリング
18a カムスプリングの係合部
19 フラッシャ用端子
20 ライトスイッチ回路
21 ハザードスイッチ回路
22 フラッシャスイッチ回路
23 ノブベース
23a ノブベースの円筒部
24 防水カバー
24a 防水カバーの鍔部
25 Oリング
26 スプリング
27 スチールボール
28 スプリング
29 スチールボール
30 取付用ナット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリスイッチ機構を操作する回転ノブの中央に、プッシュスイッチ機構を操作する操作ノブを設けたスイッチ装置において、
前記操作ノブの操作によって軸方向に摺動するスライダと、
前記操作ノブの操作位置を保持するカム機構を前記スライダと共に構成するカム部を一面側に備える第1のベース部材と、
前記スライダの摺動に連動して切り替えられるスイッチ回路を一面側に備える第2のベース部材とを備え、
前記スライダを前記第1及び第2のベース部材の相対向する一面側によって挟まれる空間に配置するとともに、前記回転ノブの操作によって回転するロータによって切り替えられるスイッチ回路を前記第1及び第2のベース部材の各他面側にそれぞれ設けたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記スライダと前記第1及び第2のベース部材を収容するスライドベースを設け、該スライドベース内の前記第1及び第2のベース部材の他面側とスライドベース内面との間に、前記ロータによって軸直角方向に摺動するスライド部材を配置したことを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
同軸上に相対回転可能に配された第1及び第2の回転ノブによってそれぞれ回転する第1及び第2のロータを前記スライドベースの外部に同軸的且つ相対回転可能に配置するとともに、該第1及び第2のロータの回転に連動してそれぞれ軸直角方向に摺動する第1及び第2のスライド部材を前記スライドベース内に収容し、該スライドベースに、前記第1及び第2のロータと前記第1及び第2のスライド部材とをそれぞれ接続するための開口部を形成したことを特徴とする請求項2記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記操作ノブと前記スライダとを連結する操作ロッドを前記第1のロータ内に軸方向に移動可能に挿通保持するとともに、前記第2のロータを回転可能に軸支する軸筒部を前記第1のロータに設け、前記操作ノブと前記第1及び第2のロータを同軸上に配置したことを特徴とする請求項3記載のスイッチ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−38420(P2012−38420A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163596(P2010−163596)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)
【Fターム(参考)】